JP4791997B2 - 建物建て替え方法 - Google Patents

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本発明は、地下構造部を備えた既設建物を解体するに伴って、地下部分に構真柱を設置して、その上に新規免震建物の床部を形成し、その床部上に地上部の新規建物を形成する一方、その下方に新規地下部を地上部と並行して形成することで工期短縮を図れる建物建て替え方法に関し、更に詳しくは、地下構造部を備えた既設建物を解体して、その上に新規免震建物を建築する建物建て替え方法に関する。
従来、この種の建物建て替え方法としては、図8に示すように、前記地下構造部D0を残した状態で既設底盤部1の上に新設基礎70を別に形成し、その上の既設建物の地下構造部D0を壊しながら新規建物に建て替えて行く(例えば、特許文献1参照)ものがあった(以後、第1従来例と言う)。
また、別に、免震建物の建築に際して、地上部と地下部とを並行して建設する方法としては、図9に示すように、山留めを形成した後、その内側のスペースに、構真台柱80を形成すると共に、その構真台柱80に支持させる状態に構真柱8aを建て込み、建て込んだ構真柱8aの上に免震装置Mを介して新規建物の床部9を形成し、その床部9を挟んで地上部と地下部との施工を並行して進める(例えば、特許文献2参照)ものがあった(以後、第2従来例と言う)。
特開平11−50480号公報(図3) 特開平11−336095号公報(図6)
上述した第1従来例によれば、構真柱を使用しないため、地下部に本格的な躯体となる柱を形成しなければならず、その柱、及び、その上の床を形成してからでないと地上部の施工にかかれない。従って、構真柱を使用して一階の新設床を支持させて、その上下に並行して新構造部を形成するのに比べて、工期が長くなる問題点がある。
上述した第2従来例によれば、構真柱を安定した状態に設置するために構真台柱を地盤中に形成するわけであるが、この技術を建物建て替えに利用する場合は、既設地下構造部の底盤部に前記構真台柱や構真柱が貫通自在な貫通孔を形成する必要がある。しかし、例えば、対象地盤が、高い地下水位の透水性地盤である場合には、地下空間への地下水噴出事故を生じる危険性が高く、それを防止するために事前に地下水低下のための補助工法を実施する必要がある。その結果、工期が長期化すると共に、コストアップにつながる問題点がある。
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、迅速な施工によって経済的に免震建物に建て替えを実施できる建物建て替え方法を提供するところにある。
本発明の第1の特徴構成は、地下構造部を備えた既設建物を解体して、その上に新規免震建物を建築する建物建て替え方法において、前記地下構造部を解体するに伴って、地下構造部の底盤部と地下外壁とを残した状態で、前記底盤部上に、前記地下構造部内に立設する構真柱の下端部を支持可能な状態に基礎部を形成し、その基礎部上に前記構真柱を立設すると共に、前記構真柱の上端に免震装置を介して前記新規免震建物の床部を形成し、その床部の上方と下方とに並行して前記新規免震建物の各構造部を建築するところにある。
本発明の第1の特徴構成によれば、前記地下構造部を解体するに伴って、地下構造部の底盤部と地下外壁とを残した状態で、前記底盤部上に、前記地下構造部内に立設する構真柱の下端部を支持可能な状態に基礎部を形成し、その基礎部上に前記構真柱を立設すると共に、前記構真柱の上端に免震装置を介して前記新規免震建物の床部を形成し、その床部の上方と下方とに並行して前記新規免震建物の各構造部を建築するから、既設建物の底盤部を貫通させなくても構真柱を安定した状態に立設することができ、短工期で経済的に免震建物に建て替えを実施することが可能となる。
即ち、前記構真柱は、底盤部を貫通する構真台柱を設置しなくても、頑丈に形成された基礎部によって支持されるから、迅速に且つ安定した状態で地下空間内に設置することができる。
そして、構真柱の設置のために底盤部に穴開けを行う必要がないので、その穴開けに掛かる手間や、その穴からの地下水噴出防止を図るための補助工事の手間を省略でき、短工期で経済性の高い建て替え工事を実現することが可能となる。
本発明の第2の特徴構成は、地下構造部を備えた既設建物を解体して、その上に新規免震建物を建築する建物建て替え方法において、前記地下構造部を解体するに伴って、地下構造部の底盤部と地下外壁とを残した状態で、前記底盤部上に、前記地下構造部内に立設する構真柱の下端部を支持可能な状態に基礎部を形成し、その基礎部上に前記構真柱を立設すると共に、一方の前記地下外壁から他方の前記地下外壁にわたって新たに切梁を設置し、その切梁と前記構真柱とを連結した後、前記構真柱の上端に免震装置を介して前記新規免震建物の床部を形成し、その床部の上方と下方とに並行して前記新規免震建物の各構造部を建築するところにある。
本発明の第2の特徴構成によれば、前記地下構造部を解体するに伴って、地下構造部の底盤部と地下外壁とを残した状態で、前記底盤部上に、前記地下構造部内に立設する構真柱の下端部を支持可能な状態に基礎部を形成し、その基礎部上に前記構真柱を立設すると共に、一方の前記地下外壁から他方の前記地下外壁にわたって新たに切梁を設置し、その切梁と前記構真柱とを連結した後、前記構真柱の上端に免震装置を介して前記新規免震建物の床部を形成し、その床部の上方と下方とに並行して前記新規免震建物の各構造部を建築するから、既設建物の底盤部を貫通させなくても構真柱を安定した状態に立設することができ、短工期で経済的に免震建物に建て替えを実施することが可能となる。
即ち、前記構真柱は、底盤部を貫通する構真台柱を設置しなくても、頑丈に形成された基礎部によって支持されると共に、前記切梁によって転倒しない状態に位置保持されるから、迅速に且つ安定した状態で地下空間内に設置することができる。
そして、前記切梁は新たに設置されるから、構真柱の位置に合わせて自由な箇所に設置でき、新規免震建物の柱配置計画を束縛することなく自由に実施することが可能となる。
更には、構真柱の設置のために底盤部に穴開けを行う必要がないので、その穴開けに掛かる手間や、その穴からの地下水噴出防止を図るための補助工事の手間を省略でき、短工期で経済性の高い建て替え工事を実現することが可能となる。
本発明の第3の特徴構成は、前記基礎部は、前記底盤部と一体に形成されるところにある。
本発明の第3の特徴構成によれば、本発明の第1又は2の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、前記基礎部を、前記底盤部と一体に形成するから、既設底盤部も新設基礎部と共に応力的に有効に作用し、新設基礎部としての梁成(又は厚み)をより少なくでき、新規建物の地下部により大きな有効地下空間を確保することが可能となる。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の建物建て替え方法の一つの方法によって建て替える既設建物B0を示し、図2は、その一つの方法によって建て替えられた新規免震建物B1を示している。
前記既設建物B0は、地下構造部D0と、地上構造部U0とを備えて構成されている(図1参照)。
前記地下構造部D0は、底盤部1、地下外壁2、柱3、床部(梁4a含む)4を備えて構成されている一方、地上構造部U0は、前記地下構造部D0の直上に一体に立設されており、前記地下構造部D0によって地上構造部U0の荷重が支持されている。
前記新規免震建物B1は、地下構造部D1の上に、免震装置Mを介して地上構造部U1を設けて構成されている(図2参照)。
前記地下構造部D1は、前記底盤部1と地下外壁2とは、既設建物B0のものを利用して形成されており、底盤部1を含めて一体に形成された基礎部7、地下外壁2、柱8、床部(梁9a含む)9、壁11等を備えて構成されている。
前記基礎部7は、前記底盤部1の耐圧板1aや基礎梁1b上部に配筋を行ってコンクリートを打設することで、一体のマットスラブとして構成されており、構真柱8aを支持できるように形成されている。このように、基礎部7を、底盤部1と一体に形成することで、底盤部1の強度をも基礎部7に加味することができ、部材の有効利用によって経済性が向上すると共に、基礎部分に無駄な空間を残すことが無いから、建て替え後の地下空間をより広く確保することができる。
また、柱8は、前記基礎部7上に立設した構真柱8a(例えば、形鋼製)の外周部に充分な強度部材(例えば、鉄筋やコンクリート)を一体に設けて本設の柱として構成されている。
一方、地上構造部U1は、前記地下構造部D1の直上に設けられており、前記免震装置Mを介して前記地下構造部D1によって荷重が支持されている。そして、地震等の振動伝播に対しては、前記免震装置Mによって緩和することができ、前記地上構造部U1への悪影響がでにくいように構成されている。
次に、建物建て替え手順について説明する。
[1] 地上構造部U0の解体と共に、基礎部7を形成する(図3参照)。
[2] 既設建物B0の一階床を解体すると共に、構台12を架設する(図4参照)。
[3] 構真柱8aを、前記基礎部7上に立設すると共に、一方の地下外壁2から他方の地下外壁2にわたって新たに切梁13を設置して、切梁13と構真柱8aとを連結する(図5参照)。当該切梁13を設置することで、既設の地下構造部D0解体時に地下外壁2に作用している背面側からの外力を支持できると共に、構真柱8aの転倒防止を図ることができる。
[4] 各構真柱8aの頭部に免震装置Mを設置すると共に、その上に、一階床部9を形成する(図6参照)。また、合わせて、地下一階部分の既存床部4を解体する。
[5] 地下一階部分に新規床部9を形成すると共に、適切な時期に構台12や、切梁13を解体する(図7参照)。そして、床部9上に地上構造部U1を形成する。
[6] 地下二階部分の既存床部4を含む地下構造部D0を解体すると共に、構真柱8aを鉄筋コンクリートで包んで本設の柱8を構築したり、残りの新規地下構造部D1を形成する。
本実施形態の建物建て替え方法によれば、既設建物B0の転用のきく部分は使用しながら、既設建物の底盤部を貫通させない構真柱を用いた建物建て替えを行うことで、安全に、且つ、短工期で経済的に免震建物に建て替えを実施することが可能となる。更には、新規免震建物の柱配置も自由に設定できると共に、地下空間をより広く確保することが可能となり、より使用し易い建物に建て替えることができる。
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
〈1〉 当該建物建て替え方法は、先の実施形態で説明した建物構造に限るものではなく、地下構造部を有する各種既設建物の建て替えに適用することができる。また、先の実施形態では、免震装置Mの設置箇所を、一階の床部9の直下に設置した例を説明し、便宜上、一階より上方の新規構造部を地上構造部U1、地下階の新規構造部を地下構造部D1と呼んだが、この形態に限るものではなく、例えば、免震装置Mの直上の床部が、地下階の床部であったり、或いは、地上階の床部であってもよい。
〈2〉 前記基礎部7は、先の実施形態では既設建物B0の底盤部1を巻き込んで一体に形成したものを説明したが、この構成に限るものではなく、例えば、既設建物B0の底盤部1の上方に別の部分として基礎部を形成するものであってもよい。
要するに、前記底盤部1の上で、前記構真柱8aの下端部を支持可能に形成してあればよく、それらを含めて基礎部7と総称する。勿論、構造は鉄筋コンクリートに限るものではなく、他の構造であってもよい。
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
既設建物を示す正面視断面図 新規免震建物を示す正面視断面図 建て替え手順を示す正面視説明図 建て替え手順を示す正面視説明図 建て替え手順を示す正面視説明図 建て替え手順を示す正面視説明図 建て替え手順を示す正面視説明図 従来の建物建て替え方法を示す説明図 従来の免震建物建築方法を示す説明図
符号の説明
1 底盤部
2 地下外壁
7 基礎部
8a 構真柱
9 床部
13 切梁
B0 既設建物
B1 新規免震建物
D0 地下構造部(既設)
D1 地下構造部(新規)
M 免震装置
U1 地上構造部(新規)

Claims (3)

  1. 地下構造部を備えた既設建物を解体して、その上に新規免震建物を建築する建物建て替え方法であって、
    前記地下構造部を解体するに伴って、地下構造部の底盤部と地下外壁とを残した状態で、前記底盤部上に、前記地下構造部内に立設する構真柱の下端部を支持可能な状態に基礎部を形成し、その基礎部上に前記構真柱を立設すると共に、前記構真柱の上端に免震装置を介して前記新規免震建物の床部を形成し、その床部の上方と下方とに並行して前記新規免震建物の各構造部を建築する建物建て替え方法。
  2. 地下構造部を備えた既設建物を解体して、その上に新規免震建物を建築する建物建て替え方法であって、
    前記地下構造部を解体するに伴って、地下構造部の底盤部と地下外壁とを残した状態で、前記底盤部上に、前記地下構造部内に立設する構真柱の下端部を支持可能な状態に基礎部を形成し、その基礎部上に前記構真柱を立設すると共に、一方の前記地下外壁から他方の前記地下外壁にわたって新たに切梁を設置し、その切梁と前記構真柱とを連結した後、前記構真柱の上端に免震装置を介して前記新規免震建物の床部を形成し、その床部の上方と下方とに並行して前記新規免震建物の各構造部を建築する建物建て替え方法。
  3. 前記基礎部は、前記底盤部と一体に形成される請求項1又は2に記載の建物建て替え方法。
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