JP4790096B2 - 鼻炎治療剤 - Google Patents

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Description

本発明は、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を有効成分とする鼻炎治療剤に関する。
1.鼻炎について
鼻炎は、いわゆる鼻粘膜の炎症を意味し、病理組織的には浸出性炎症であって、中でも化膿性炎症、アレルギー性炎症が多くみられる。いずれの場合も、血管からの液性成分の浸出、浮腫、細胞浸出および分泌亢進を特徴としている。
鼻炎は、急性鼻炎(いわゆる鼻かぜ)、慢性鼻炎、アレルギー性鼻炎などその原因や症状に応じて様々なものがあるが、通常はその原因や症状に応じて、下記のとおり、感染性鼻炎、過敏性非感染性鼻炎、刺激性鼻炎、その他の4つに分類される。
以下、これら鼻炎について説明する。
感染性鼻炎は、短期間に推移する急性鼻炎(いわゆる鼻かぜ)と長期にわたる慢性鼻炎に分けることができる。篩骨洞、中鼻道を中心に鼻腔に病変をもつ感染性慢性副鼻腔炎(infective chronic paranasal sinusitis)も感染性鼻炎に包含される。
感染性鼻炎のうち急性鼻炎は、主にウイルス感染等の感染症によって引き起こされる鼻かぜが主であるが、単純性急性鼻炎も多く見受けられる。
急性のウイルス性鼻炎(かぜ)は、鼻水、鼻づまり、鼻汁が喉に回る後鼻漏、せき、微熱等の症状を特徴とする。鼻づまりを和らげるには、フェニレフリンのスプレー式点鼻薬かプソイドエフェドリンの内服薬などの血管収縮剤が用いられる。しかし、スプレー剤の使用は3〜4日以内にとどめる必要がある。それ以上長く使用した場合には、薬の効果が薄れ、鼻の粘膜が薬を使う前よりも腫れてしまうリバウンド現象が起こるためである。また、抗ヒスタミン薬には鼻水を抑える効果があるが、眠気などの副作用がある。
一方、単純性急性鼻炎の誘因としては、副鼻腔炎、扁桃炎、アデノイドなど近接する器官の炎症をはじめ、塵埃、煤煙、たばこ、空気汚染、極端な温度変化、過度の乾燥や湿潤などがあげられる。症状は、くしゃみに始まり、鼻漏(鼻汁)過多、鼻閉(鼻づまり)、嗅覚障害であり、鼻かぜと似ているが発熱などの全身症状はない。鼻粘膜は充血し、腫脹する。通常、10日以内に治癒するが、ときに細菌感染をおこして症状が悪化し、発熱する。経過が長引くと副鼻腔炎や慢性鼻炎になる。治療は、安静や加温のほか、対症的に解熱剤、鎮痛剤、鎮咳(ちんがい)剤、消炎剤を使用し、細菌感染をおこした場合は抗生物質を使用する。
慢性鼻炎は、長期にわたる感染性鼻炎であり、急性鼻炎の誘因が改善されない場合に慢性鼻炎に移行する。慢性鼻炎は、概して慢性副鼻腔炎を伴う場合が多い。慢性鼻炎には三つの病態があり、それぞれ慢性単純性鼻炎、慢性肥厚性鼻炎、萎縮性鼻炎と呼ばれる。
慢性単純性鼻炎は、急性鼻炎を繰り返したたために鼻腔粘膜が慢性的に腫れた病態である。慢性単純性鼻炎の症状は慢性肥厚性鼻炎とだいたい同じで、鼻閉、鼻漏過多、嗅覚障害、頭痛などがみられる。しかし、血管収縮剤によって鼻粘膜の腫脹が改善される点で、慢性肥厚性鼻炎とは異なる。治療は、誘因の除去がもっとも重要で、薬剤塗布や消炎剤の使用などの保存的治療も行われる。
慢性肥厚性鼻炎は、ひどい炎症が長期間続くのを原因として生ずる。慢性肥厚性鼻炎は、慢性鼻炎のうち、最も多くみられる病態で、鼻粘膜の腫脹が著しく、粘膜の肥厚した状態をいう。
慢性萎縮性鼻炎は、鼻腔粘膜や鼻の骨組織が萎縮し鼻腔が広くなった病態をいう。鼻詰まりは両側におき、膿性の鼻汁が出る。鼻腔壁に鼻内の分泌物がかさぶた状に付き、悪臭を放つようになる。
過敏性非感染性鼻炎は、体質や何らかの理由により鼻腔の粘膜が敏感になって炎症を起こす鼻炎であり、ウイルスや細菌感染など以外の刺激によって生じるものである。
更に、過敏性非感染性鼻炎は、複合型(鼻過敏症)鼻炎、鼻漏型鼻炎、うっ血型鼻炎、乾燥型鼻炎に分類することができる。また、複合型(鼻過敏症)鼻炎は、アレルギー性鼻炎と非アレルギー性鼻炎に分類することができ、更に、アレルギー性鼻炎は好発時期から通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎に分類でき、非アレルギー性鼻炎は血管運動神経性鼻炎(本態性鼻炎、vasomotor rhinitis、idiopathic rhinitis)と好酸球増多性鼻炎(non-allergic rhinitis with eosinophilia syndrome)に分類できる。また、鼻漏型鼻炎は味覚性鼻炎、冷気吸入性鼻炎、老人性鼻炎に分類でき、うっ血型鼻炎は、薬物性鼻炎、心因性鼻炎、妊娠性鼻炎、寒冷性鼻炎に分類することができる。
複合型(鼻過敏症)鼻炎は、通常、くしゃみ、水性鼻漏、鼻閉(鼻づまり)の症状のうちいくつか、例えば、くしゃみと水性鼻漏、くしゃみと水性鼻漏と鼻閉を複合している。
複合型(鼻過敏症)鼻炎のうちアレルギー性鼻炎(allergic rhinitis)は、外部環境中の原因物質に対して体の免疫システムが反応することによって引き起こされる。アレルギー性鼻炎の原因物質としては、室内塵(house dust)、ダニ(house dust mite)カビ、花粉、草、樹木、動物などが一般的である。より詳しくは、アレルギー性鼻炎は、鼻粘膜のI型アレルギー性疾患であり、原則的には発作性反復性のくしゃみ、水性鼻漏、鼻閉を特徴とする。アレルギー性鼻炎は、I型アレルギー性疾患なので、アレルギー素因(アレルギーの既往、合併症、家族歴)をしばしばもち、血清特異的IgE抗体レベルの上昇、局所肥満細胞、および局所と血液の好酸球の増加、粘膜の非特異的過敏性亢進などの特徴をもつ。
アレルギー性鼻炎のうち通年性アレルギー性鼻炎は、多くはハウスダストやダニが原因であり、季節性アレルギー性鼻炎は、花粉が原因である場合が多い。
非アレルギー性鼻炎のうち血管運動神経性鼻炎(本態性鼻炎)は、慢性鼻炎の1種であり、鼻閉(鼻づまり)、くしゃみ、水性鼻漏(鼻水)など一般的なアレルギー性鼻炎と症状は類似するが、明らかな抗原が認められない鼻炎をいう。症状としては、鼻づまり等の他、粘膜が腫れ、その色は赤から紫まで様々である。副鼻腔に軽い炎症がみられることもある。治療には抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤などを用いる。
非アレルギー性鼻炎のうち好酸球増多性鼻炎は、アレルギー検査は陰性だが、鼻汁好酸球のみがかなりの程度増加している疾患をいう。
過敏性非感染性鼻炎のうち鼻漏型は、鼻漏が主であり、味覚性鼻炎(gustatory rhinitis)、冷気吸入性鼻炎、老人性鼻炎の3タイプが知られている。味覚性鼻炎は、刺激性の強い、あるいは極度に熱い食物の摂食中に起こる場合が多い。冷気吸入性鼻炎は、寒冷空気の吸入による鼻漏であり、スキーヤー鼻(skier’s nose)として有名である。老年者鼻炎も水性鼻漏を主とする疾患であるが、明確な原因は不明である。
過敏性非感染性鼻炎のうちうっ血型鼻炎は、鼻閉を主症状とし、更に、薬物性鼻炎、心因性鼻炎、妊娠性鼻炎、内分泌性鼻炎、寒冷性鼻炎に細分類されるが、いずれの鼻炎も、粘膜のうっ血が主であり、鼻詰まり症状が観察される場合が多い。
このうち、薬物性鼻炎は、症状としては鼻詰まりが主体であり、交感神経遮断性降圧薬、血管拡張性降圧薬、β刺激性降圧薬、気管支拡張薬、抗うつ薬、避妊薬ピルなどの長期連用によって副作用として発現される可能性があることが報告されている。しかし、その中で最も頻度の高いのは、鼻閉に対する点鼻用血管収縮薬の乱用によるものである。心因性鼻炎は、慢性ストレス、うつ病、神経症などでみられ、鼻閉を主体とする。妊娠性鼻炎は、妊娠中期以降に起こり、その発症には女性ホルモン、特にエストロゲンの鼻粘膜血管および自律神経受容体に対する作用が関与するものと考えられる。内分泌性鼻炎では、甲状腺機能低下が強調されているが症例は少ない。寒冷性鼻炎は、身体、特に手足の寒冷刺激を介する反射性の鼻粘膜容積血管拡張によるものと考えられる。
過敏性非感染性鼻炎のうち乾燥型鼻炎(dry nose)は、冬の空気の乾燥と暖房により室内湿度が20%以下になると粘膜乾燥、痂皮形成、鼻出血などの症状が起こり、粘液層の乾燥により刺激過敏性が増加し、鼻乾燥感、鼻閉感を起こすとされている。
刺激性鼻炎は、多くは職業の作業環境に起因する場合が多く、その原因により、物理性鼻炎、化学性鼻炎、放射線性鼻炎に細分類される。これら物理性鼻炎、化学性鼻炎は、粘膜の物理的、あるいは化学的な急性または慢性の刺激により発症する。時により、鼻粘膜の放射線照射により炎症が起こるが、これを放射線性鼻炎という。
その他の鼻炎として、萎縮性鼻炎(atrophic rhinitis)、特異性肉芽腫性鼻炎(specific granulomatous rhinitis)を挙げることができる。萎縮性鼻炎(臭鼻症)は、症状としては、鼻の粘膜が薄く硬くなり、鼻腔が広がって乾燥が進むが、本邦では現在稀である。特異性肉芽腫性鼻炎は、肉芽腫を伴う鼻炎であり、特異性鼻炎(結核、梅毒など)、サルコイドーシス、ウエゲナー肉芽腫症(Wegener granulomatosis)があるが、症例数は極めて少ない。
いずれにしても、鼻炎は、鼻の粘膜が炎症を起こして腫れた状態で、鼻水や鼻づまりといった症状が特徴であり、息苦しく、日常生活にも支障をきたす、厄介な疾患である。
2.鼻炎の治療方法について
これらの鼻炎、特にアレルギー性鼻炎の治療法は、重症度と病型の組み合わせで選択するのが一般的であり、その選択は画一的なものではないが、「鼻アレルギー診療ガイドライン2009年版」(鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会編)によれば、その治療方法は以下のとおりである。
軽症例に対しては、病型にかかわらず第2世代抗ヒスタミン薬またはケミカルメディエター遊離抑制薬を第一選択とする。眠気、口渇などの副作用がなければ、即効性のある第1世代抗ヒスタミン薬を頓用してもよい。
中等症例のうち、くしゃみ・鼻漏型では、
(1)第2世代抗ヒスタミン薬、
(2)ケミカルメディエター遊離抑制薬、または
(3)鼻噴霧用ステロイド薬のいずれか1つを選択し、
必要に応じて(1)または(2)に(3)を併用する。
中等症例の鼻閉型または充全型のうち、特に鼻閉が強い症例では、
(1)抗ロイコトリエン薬、
(2)抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬、または
(3)鼻噴霧用ステロイド薬のいずれか1つを選択し、
必要に応じて(1)または(2)に(3)を併用する。
重症例で、くしゃみ、鼻漏が特に強い場合には、第2世代抗ヒスタミン薬に鼻噴霧用ステロイド薬を併用する。一方、重症例の鼻閉型または充全型のうち、特に鼻閉が強い症例では抗ロイコトリエン薬または抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬に鼻噴霧用ステロイド薬を併用する。
抗原除去、回避の努力はすべての症例に必要であり、継続治療が可能な症例では、特異的免疫療法の適応も選択肢のひとつであり、長期寛解も期待できる。鼻中隔弯曲症などの形態異常が明らかな症例、または鼻閉に対する薬物療法の効果が不十分な症例に対しては、手術療法も治療選択肢の1つとなる。鼻噴霧用抗ヒスタミン薬の効果も報告されているが、鼻噴霧用ステロイド薬との比較では劣るとされている。
上記のとおり、アレルギー性鼻炎の治療法にとしては、抗原の除去と回避、薬物療法、特異的免疫療法、手術療法が代表的であり、薬物療法に使用される薬剤は、その作用機序に基づいて、ステロイド薬、ヒスタミン受容体拮抗薬、ケミカルメディエーター遊離抑制剤、トロンボキサンA2受容体拮抗薬、トロンボキサンA2合成阻害薬、ロイコトリエン拮抗薬、Th2サイトカイン阻害薬などの薬剤群に分類することができる。
そのうち、ステロイド薬としては、ベクロメタゾン(商品名:べコナーゼ、アルデシン、リノコート、サルコート)、フルチカゾン(商品名:フルナーゼ)等が用いられる。ヒスタミン受容体拮抗薬としては、ケトチフェン(商品名:ザジテン)、メキタジン(商品名:ゼスラン)、フェキソフェナジン(商品名:アレグラ)、エバスチン(商品名:エバステル)、ベポタスチン(商品名:タリオン)、オロパタジン(商品名:アレロック)、ロラタジン(商品名:クラリチン)等が用いられる。ケミカルメディエーター遊離抑制剤としては、クロモグリク酸(商品名:インタール)やトラニラスト(商品名:リザベン)等が用いられる。トロンボキサンA2受容体拮抗薬としては、セラトロダスト(商品名:ブロニカ)やラマトロバン(商品名:バイナス)等が用いられる。トロンボキサンA2合成阻害薬としては、オザグレル(商品名:ドメナンまたは商品名:ベガ)等が用いられる。ロイコトリエン拮抗薬としては、モンテルカスト(商品名:シングレア、キプレス)やプランルカスト(商品名:オノン)等が用いられる。Th2サイトカイン阻害薬としては、スプラタスト(商品名:アイピーディ)等が用いられる。
このように、アレルギー性鼻炎の治療薬として使用可能な薬剤は多数あるものの、中等症例については、ステロイド薬またはヒスタミン受容体拮抗薬が頻繁に使用され、重症例についてはステロイド薬とヒスタミン受容体拮抗薬が併用される。
ところが、鼻噴霧用ステロイド薬は、鼻内刺激感、乾燥感、鼻灼熱感、鼻出血等の局所的副作用がみられる。加えて、ステロイド薬を長期使用した場合には、ステロイド離脱困難に至らぬよう注意しなければならないほか、感染症の併発の心配も避けられない。ステロイド薬に治療抵抗性を示す鼻炎も少なからず存在する。また、効果の持続時間が長くなく、成人の場合、1日4回程度の頻度で使用する必要がある。このため、鼻噴霧用ステロイド薬の使用には抵抗感を示す患者が多く、半数以上の患者が処方通りに服用しなかったとの報告もなされている。
また、抗ヒスタミン薬はアレルギー反応とそれによる症状を抑えるが、鼻の粘膜を乾燥させ、眠気を催すなどの欠点がある。また、アレルゲン注射(減感作療法)は、特定の原因物質に対する長期的な免疫寛容を導くが、十分な効果が現れるまでには数カ月から数年を要すという弱点がある。
このため、鼻炎患者、特にアレルギー性鼻炎患者に対して有効かつ安全であるばかりでなく、局所副作用がなく、感染症の併発の心配等のない新たな鼻炎治療剤の開発が望まれている。更には、ステロイド薬に治療抵抗性を示す重症例の患者にも有効な鼻炎治療剤の開発が望まれている。
3.ナトリウム利尿ペプチドについて;
ナトリウム利尿ペプチド(NP;natriuretic peptide)としては、3種類のナトリウム利尿ペプチドファミリーが知られており、具体的には、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP;atrial natriuretic peptide)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP;B-type natriuretic peptide)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP;C-type natriuretic peptide)であり、それぞれ28残基、32残基、22残基のアミノ酸からなる物が主として知られている。
(1)ANPとBNP;
ANPは主として心房で合成され、BNPは主として心室で合成され、心臓から全身へ分泌される。血中を循環しているANP、BNPはほぼ100%心臓由来であるといわれている。これらANP、BNPは、高血圧、心肥大、心不全、心筋梗塞、弁膜症、不整脈、肺高血圧などの病態に深く関与しているとの報告もなされている。
ヒトANPは、心房細胞で産生され分泌されるアミノ酸28個から成るペプチドであり、7番目のシステインと23番目のシステインが分子内でジスルフィド結合をして環状構造を形成する。ANPは、腎臓では利尿作用を示し、血管では血管平滑筋を弛緩・拡張する。他方、ヒトBNPは、心室細胞で産生され分泌されるアミノ酸32個からなるペプチドであり、10番目のシステインと26番目のシステインが分子内でジスルフィド結合をして環状構造を形成する。BNPも、利尿作用と血管拡張作用を有する。なお、BNPは、1988年に日本で豚の脳から単離同定されたペプチドであり、脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide)とも呼ばれる。
ANPとBNPは、ともにグアニレートシクラーゼドメインを有する受容体NPR−A(別名、GC−A)に結合して、cGMPの産生を促進して上記の作用を発現する。実際、ANPはうっ血性心不全などにおいて心房膨満圧の上昇に伴い分泌が促進され、上記の作用によりうっ血性心不全などの症状を軽減する働きをしている。BNPも心筋梗塞などの際に、分泌が促進され、上記の作用により心筋梗塞などに伴う諸症状を和らげる働きをしている(非特許文献1参照)。血中 BNP の由来はほとんど心室由来であるが、一部は心房からも分泌される。心不全の状態で、BNPおよびANPの発現は双方とも、正常レベルよりも100倍増加するが、BNPの上昇はANPよりも大きく、かつ速いとの報告もある。ANP(hANP)は、我が国で急性心不全治療薬として上市されており、米国では、BNPが臨床応用されている。
(2)CNP;
CNPは最初に脳内より発見されたことから、脳神経ペプチドとして機能していると考えられていたが、その後末梢にも存在することが明らかになった。特に、血管壁においては、平滑筋細胞にCNP特異的受容体が多いこと、単球/マクロファージ系細胞および内皮細胞がCNPを産生すること、などから、CNPは血管壁の局所因子として平滑筋細胞の増殖抑制に関与するものと考えられている。このことから、虚血性心疾患の患者が経皮的冠動脈形成術(PTCA)を受けた後に一定の頻度で発生し臨床的に問題となっている血管内再狭窄を、CNPの投与によって予防できる可能性について、現在臨床応用が検討されている。
さらに最近、CNPを静脈内に投与すると心筋梗塞後の心臓肥大と線維化が著明に改善し、心機能がよくなるとの動物実験の報告もなされている。心臓の繊維化は、拡張障害や不整脈の原因となることが知られているが、CNPは線維芽細胞の増殖を強力に抑制する作用を有するため、これら心臓線維化治療薬としての研究も行われている。CNPは、体内に備わるホルモンであるため、副作用の心配が少なく、動脈硬化性疾患や心疾患に対する臨床治療薬として応用が期待されている。なお、CNPとしては、アミノ酸22個のCNP−22やそのN末端に31アミノ酸残基が付加されたアミノ酸53個のCNP−53等が知られている。
(3)ナトリウム利尿ペプチド受容体;
NPの受容体としては、グアニレートシクラーゼドメインを有するNPR−A受容体(別名、GC−A)、グアニレートシクラーゼドメインを有するNPR−B受容体(別名、GC−B)、グアニレートシクラーゼドメインを有さないNPR−C受容体の3種類の受容体が知られており、ANPはNPR−A受容体およびNPR−C受容体に、BNPはNPR−A受容体およびNPR−C受容体に、CNPはNPR−B受容体およびNPR−C受容体に、それぞれ結合しうることが知られている。
NPR−A受容体の活性化は血管拡張作用、利尿作用、細胞増殖抑制作用をもたらすといわれている。一方、NPR−B受容体は血管平滑筋細胞に多く存在しており、血管平滑筋細胞の増殖抑制作用をもたらすと考えられている。
(4)ナトリウム利尿ペプチドと免疫系との関連;
ナトリウム利尿ペプチドは、歴史的には、まず、心房が分泌するペプチドとしてANPが発見されるとともにその血管拡張作用および利尿作用が注目を集めた。その後、ANPに類似するペプチドとしてBNPおよびCNPが見出された。このような歴史的経緯から、ナトリウム利尿ペプチドと免疫との関連については、心血管系に関連したものに関心が注がれてきた。また、その後、CNPノックアウトマウスは軟骨の成長が悪いために小人症のような表現型を示すことがわかったことから(非特許文献2参照)、関節炎とナトリウム利尿ペプチドとの関連にも関心がもたれている。
ANPは、マクロファージが炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子α(TNF−α)およびインターロイキン1β(IL1β)を分泌するのを抑制することから、関節炎や敗血症における役割が示唆されている(非特許文献3参照)。しかし、この文献は、ANPと鼻炎との関連については記載していない。
また、血中のBNP濃度は心臓移植の拒絶反応と平行して上昇することが報告されていることから、心血管系における免疫調節に関与していることが示唆されている(非特許文献4参照)。しかし、この文献はBNPと鼻炎との関連については記載していない。
Kuroski de Bold et alは、心臓移植時の拒絶反応において血中BNP濃度が上昇することに着目して、ナトリウム利尿ペプチドの免疫調節作用を検討し、ANPとBNPは、ともにリンパ球の増殖を抑えることを見出している(非特許文献5参照)。しかし、この文献はNPと鼻炎との関連については記載していない。
一方で、Chiurchiu et alは、心疾患および敗血症との関連に着目してBNPの免疫調節作用を検討し、BNPは、炎症性サイトカインであるアラキドン酸、プロスタグランディンE2(PGE2)、ロイコトリエンB4(LTB4)、および、抗炎症サイトカインであるインターロイキン10(IL10)をマクロファージが放出するのを、ともに促進することから、何らかの炎症調節作用を有することが示しているが、全体として炎症の抑制に働くのか促進に働くのかは結論づけられなかった(非特許文献6参照)。この文献もBNPと鼻炎との関連については記載していない。
CNPについても、マクロファージがCNPを分泌することが報告されており(非特許文献7参照)、Scotland et alは、心虚血および再灌流後の心筋傷害におけるCNPの役割を検討する過程で、CNPが血小板の凝集および白血球の遊走を抑制したことを報告している(非特許文献8参照)。しかし、この文献はCNPと鼻炎との関連については記載していない。
同様に、Obata et alは、心筋炎におけるCNPの作用を検討し、ブタのミオシンを注射したラット心筋炎モデルに、その後1週間CNPを持続的に投与すると、心臓組織の壊死および炎症を抑制するとともに血管新生を促して心臓の機能低下を抑えたことを報告している(非特許文献9参照)。しかし、この文献はCNPと鼻炎との関連については記載していない。
さらに、CNPノックアウトマウスでは小人症のような表現型を示すことから、CNPは軟骨の生育との関連においても関心がもたれており、Agoston et alは、マウス胎児の頸骨から分離した初代培養軟骨細胞において、デキサメサゾンがCNP遺伝子の発現を上昇させることを見出している(非特許文献10参照)。しかし、この文献はCNPと鼻炎との関連については記載していない。
このように、近年、免疫とナトリウム利尿ペプチドとの関連にも関心がもたれるようになってきているが、心血管系の炎症とナトリウム利尿ペプチド、あるいは関節炎とナトリウム利尿ペプチドとの関連においてであり、鼻炎とナトリウム利尿ペプチドとの関連についての報告はなされていない。
(5)ナトリウム利尿ペプチドに関する応用の報告;
CNP、BNP、ANPの応用については、例えば下記のように、この他にも数多く報告されている。
小出寿子らは、ANP、BNP、CNP、ウロジラチン(P−Uro)およびこれらの前駆体と派生物質、またはこれらの組み合わせを活性成分として含有し、薬剤学上通常用いられる希釈液、賦形剤、充填剤または助剤を含有していてもよい組成物を含有する組織器官の修復再生製剤を提案している(特許文献1参照)。
しかし、具体的な組織器官の修復再生の例は、心筋再生、皮下組織の再形成、頭髪再生、水泥仕事によるヒビ割れと皮膚の荒れの改善等に関するものであり、しかも、全てANP投与によるものであって、CNPまたはBNPの投与による鼻炎治療剤を示唆するような記載はない。
田中正治らは、血管平滑筋細胞の増殖抑制作用を示すC型ナトリウム利尿ペプチドおよびそれらペプチドを有効成分とする血管平滑筋増殖抑制剤を提案している(特許文献2参照)。
しかし、これはCNPの平滑筋細胞抑制剤としての利用を意味するもので、CNPまたはBNPの鼻炎治療剤への応用を示唆するものではない。
中田勝彦らは、ナトリウム利尿ペプチドを有効成分とする涙液分泌促進または角結膜障害治療用点眼剤を提案し、使用可能なナトリウム利尿ペプチドとしてANP、BNPおよびCNPを挙げている(特許文献3参照)。
しかし、これはANP、CNP、BNPの涙液分泌促進作用を角結膜障害治療用点眼剤として利用するもので、CNPまたはBNPの鼻炎治療剤への応用を示唆するものではない。
中尾一和らは、CNP等のグアニルシクラーゼB(GC−B)活性化物質を有効成分として含む、FGFR3異常を有しない個体に投与する身長増加用組成物を提案している(特許文献4参照)。
しかし、これは、CNPを過剰発現するトランスジェニックマウスにおいて鼻肛長が正常同腹仔より大きかったという知見に基づいて、CNPを身長増加用組成物として利用することを意味するもので、CNPまたはBNPの鼻炎治療剤への応用を示唆するものではない。
同じく中尾一和らは、CNP等のグアニルシクラーゼB(GC−B)活性化物質を有効成分として含む、関節炎症の治療剤または予防剤を提案している(特許文献5参照)。
しかし、これは、CNPを過剰発現するトランスジェニックマウスにおいて関節軟骨の厚さが正常同腹仔に比べて厚く、また、関節炎モデル動物にCNPを持続投与すると、関節炎が抑制されることを見出したものであり、CNPを関節炎症の治療剤または予防剤として利用することを意味するもので、CNPまたはBNPの鼻炎治療剤への応用を示唆するものではない。
ところで、田中正治らは、以下のとおり、CNPは、ANPやBNPと、その構造や作用効果が全く異なることを発表している(特許文献2参照)。
「現在ANPとBNPはいずれも心臓から血中へ分泌されるホルモンとして働くと共に、神経伝達因子としても作動し、生体の体液量及び血圧のホメオスタシス維持に重要な役割を果たしていると考えられている。(中略)CNPのNPとしての生理的役割については不明な点が多い。すなわち、CNPはそのアミノ酸一次配列がANP及びBNPと類似しており、また、in vivo投与でナトリウム利尿作用及び血圧降下作用を示すことからNPファミリーに帰属された。しかし、CNPのナトリウム利尿作用及び血圧降下作用はANP・BNPに比べ著しく弱いこと(1/50〜1/100)(中略)から、CNPはNPファミリーのなかでも特異的な位置を占め、その生理的役割については体液量や血圧のホメオスタシス維持以外に別な役割を果たしているのではないかと推定されていた。(中略)CNPの構造をANP及びBNPのそれらと比較すると、CNPはANPまたはBNPと以下に述べる点が異なっていることが判る(中略)。すなわち、CNPのアミノ酸一次配列は、環外N−末端ドメインではANPまたはBNPと全く異なり、また、環内ドメインでは17アミノ酸残基のうちANPとは5残基、BNPとは4残基異なっていることが判る。また、CNPの環外C−末端ドメインの構造はANPまたはBNPと大きく異なり、CNPにはANPまたはBNPに存在するtail構造が存在しない(ANP・BNPの場合、環状構造のC−末端側にANPで5個、BNPで6個、アミノ酸残基が付加されており、この構造を便宜的にtail構造と呼ぶ)。以上述べたCNPとANPまたはBNPとの構造上の違いが、前記したCNPの特徴的薬理作用発現に関与していることは明かである。」
特開2008−162987号公報 特開平6−9688号公報 特開2000−169387公報 WO2005/094890号パンフレット WO2005/094889号パンフレット
European J.Endocrinology,135巻,265頁,1996年 Proceedins of the National Academy of Sciences of the United States of America 98巻,7号,4016頁,2001年 Annals of the Rheumatic Disease 60巻,Suppl 3,iii,68頁,2001年 The Journal of Heart and Lung Transplantation 27巻,31頁,2008年 The Journal of Heart and Lung Transplantation 29巻,3号,323頁,2010年 Regulatory Peptides 148巻,26頁,2008年)。 Experimental Hematology 29巻,609頁,2001年 Proceedins of the National Academy of Sciences 102巻,40号,14452頁,2005年 Biochemical and Biophysical Research Communications 356巻,60頁,2007年 BMC Musculoskeletal Disorders 7巻,87頁,2006年
鼻炎、特にアレルギー性鼻炎は再発性の疾患であることから、薬物を継続的に使用する必要がある。しかしながら、上述のとおり、鼻噴霧用ステロイド薬は、微量で局所効果が強い半面、局所的副作用として鼻内刺激感、乾燥感、鼻灼熱感、鼻出血等がときにみられるほか、長期使用による感染症等の併発の心配もさけられない。また、抗ヒスタミン薬はアレルギー反応とそれによる症状を抑えるが、鼻の粘膜を乾燥させ、眠気を催すなどの欠点がある。
したがって、本発明の目的は、鼻炎患者、特にアレルギー性鼻炎患者に対して有効かつ安全であるばかりでなく、鼻内刺激感、乾燥感、鼻灼熱感、鼻出血、眠気等の副作用のない新たな鼻炎治療剤の提供である。
このような事情に鑑み、本発明者は鋭意研究を行った結果、従来から血管平滑筋増殖抑制剤等として知られているC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)およびB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が鼻炎治療剤、特にアレルギー性鼻炎治療剤として優れた有効性と安全性を有することを見出し、しかも粘膜が敏感な患者にも刺激症状を生じる事なく使用できることを確認して本発明を完成した。
本発明は、具体的には下記のとおりである。
[1] C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を有効成分として含有する鼻炎治療剤。
[2] C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)が、CNP−22、CNP−53、または、CNP−22若しくはCNP−53のアミノ酸配列において任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加し、かつCNP活性を有するCNP誘導体である、 [1]に記載の鼻炎治療剤。
[3] C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)がCNP−22である、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[4] B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が、BNP−26、BNP−32、BNP−45、または、BNP−26、BNP−32若しくはBNP−45のアミノ酸配列において任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加し、かつBNP活性を有するBNP誘導体である、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[5] B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)がBNP−32である、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[6] C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が、分子内ジスルフィド結合によって環状構造を形成する、CNPとBNPのキメラペプチドであって、
前記CNPがCNP−22、CNP−53、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したCNP−22のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、または、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したCNP−53のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択されるペプチドであり、
前記BNPがBNP−26、BNP−32、BNP−45、または、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−26のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−32のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−45のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択されるペプチドであり、
かつ、CNP活性またはBNP活性を有するキメラペプチド、あるいは、その誘導体である、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[7] C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の含有量が、20〜200μg/gである、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[8] C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の含有量が、50〜200μg/gである、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[9] C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の含有量が、50〜100μg/gである、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[10] 鼻炎が、感染性鼻炎、過敏性非感染性鼻炎、刺激性鼻炎、萎縮性鼻炎または特異性肉芽腫性鼻炎である、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[11] 感染性鼻炎が、急性鼻炎または慢性鼻炎である、[10]に記載の鼻炎治療剤。
[12] 過敏性非感染性鼻炎が、複合型(鼻過敏症)鼻炎、鼻漏型鼻炎、うっ血型鼻炎または乾燥型鼻炎である、[10]に記載の鼻炎治療剤。
[13] 複合型(鼻過敏症)鼻炎が、アレルギー性鼻炎である、[12]に記載の鼻炎治療剤。
[14] アレルギー性鼻炎が、ハウスダスト、ダニ、スギ、カモガヤ、ブタクサ、および猫毛からなる群から選択される少なくとも1つのアレルゲンに対するアレルギー性鼻炎である、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[15] 刺激性鼻炎が、物理性鼻炎、化学性鼻炎または放射線性鼻炎である、[10]に記載の鼻炎治療剤。
[16] 鼻炎が、萎縮性鼻炎または特異性肉芽腫性鼻炎である、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[17] 鼻炎が、充全型鼻炎、くしゃみ・鼻漏型鼻炎または鼻閉型鼻炎である、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[18 剤形が、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、液剤、粉末剤またはスプレー剤からなる点鼻剤である、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[19] 剤形が、ゲル剤、液剤またはスプレー剤からなる点鼻剤である、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[20] 鼻炎が、アトピー性皮膚炎を罹患している対象における鼻炎である、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[21] 鼻炎が、ステロイド薬に治療抵抗性を示す鼻炎である、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[22] 鼻炎が、ステロイド離脱困難状態に至った対象の鼻炎である、[1]に記載の鼻炎治療剤。
[23] 鼻炎が、抗ヒスタミン薬に治療抵抗性を示す鼻炎である、[1]に記載の鼻炎治療剤。
本発明の鼻炎治療剤は、後述の症例試験からも明らかなとおり、鼻漏や鼻閉の改善、くしゃみや鼻掻痒感の消失等に対して卓越した効果を有するだけでなく、鼻粘膜への浸透性(吸収性)、持続性にも優れ、かつ即効性であり、しかも、鼻粘膜が敏感な患者に対しても全く刺激感がなく、局所副作用や眠気誘因などの全身性副作用も観察されない。
本発明の鼻炎治療剤は、CNPまたはBNPを有効成分とするものであり、従来のステロイド薬や抗ヒスタミン薬に比べても、その効果は顕著であり、持続性の点でも、1日1回の使用で症状が緩和されるという画期的なものである。
このように、ステロイド薬や抗ヒスタミン薬の内服をしなくても、本発明の鼻炎治療剤を1日1回使用するだけで、重症の鼻炎症状を顕著に改善することが可能であり、また、使用を中断乃至中止した後も症状が増悪するような懸念はない。
加えて、 本発明の鼻炎治療剤は、その薬効持続時間も長いので、初回は朝と就寝前2回の使用が推奨されるが、2日目からは多くの場合1日1回の使用で、くしゃみ、鼻漏、鼻閉等の症状を顕著に改善することができる。
吸収性、即効性に関しては、吸入後10分から20分程度で効果を発現し、かつ、充全型鼻炎、鼻閉型鼻炎、くしゃみ・鼻漏型鼻炎のいずれに対しても有効である。実際の症例試験(16症例)での治療効果は100%の症例で有効であった。
なお、従来よりBNPとANPはファミリーが同一であるばかりでなく、その受容体も共通であることから、BNP製剤とANP製剤は同等の作用効果を有するものと予想したが、本発明者が実際に鼻炎の患者、特にアレルギー性鼻炎の患者で試したところ驚くべきことにBNP製剤の薬理効果はANP製剤に比べ遥かに優れたものであった。すなわち、BNP製剤はANP製剤に比べて即効性が認められ、臨床症状の改善も顕著で効果に持続性があった。一方、ANP製剤は予想に反し、鼻水、鼻漏、鼻閉とも、鼻炎症状の改善度はBNPのそれに比べて非常に劣り、ほとんどの場合、全く効果がないか、または増悪する例が多かった。わずかにANP製剤の効果が認められた場合でも、鼻炎症状の改善は不十分かつ一時的なものであった。鼻炎治療剤としてのBNPが同じナトリウム利尿ペプチドファミリーに属するANPに比べて卓越した効果を有することは、驚くべきことであった。
本発明の有効成分であるCNPとBNPはもともと体内に備わるホルモンであり副作用の心配が少なく、また適正な使用量であるかぎり血行動態に対する影響が軽微と考えられ、血圧が低いまたは不安定な患者にも安心して使えるので慢性的な鼻炎患者に対しても長期の使用が可能である。また、鼻炎に対する有効性は従来のステロイド薬や抗ヒスタミン薬よりも顕著であり、しかも、即効性であってその効果も大であり、効果に持続性が有り、多くの場合、重症な例でも1日1回の使用で、くしゃみ、鼻漏、鼻閉の症状を顕著に改善することができる。 CNP製剤またはBNP製剤の使用によって、ほとんどの例で抗ヒスタミン剤の内服を併用せずに軽度ないし軽度以下の安定した状態を維持することが可能であり、ステロイド噴霧剤でみられることがある局所刺激症状がまったくないこともメリットである。加えて、本発明の鼻炎治療剤は、ステロイド治療に抵抗性の患者や重症例の患者にも有効であるというメリットを有する、従来にはない極めて卓越した治療剤である。
このように、本発明の鼻炎治療剤は、各種の鼻炎、特にアレルギー性鼻炎の治療に極めて効果的であり、しかも副作用等の懸念もないことから、従来の鼻噴霧用ステロイド薬や抗ヒスタミン薬で効果の見られなかった患者や、副作用への懸念からこれら薬剤の使用を控えなければならなかった患者、若年者にも適用が可能である。
したがって、本発明の鼻炎治療剤は、ステロイド薬や抗ヒスタミン薬に代わる新たな鼻炎治療剤としての実用化が大いに期待できる。
ヒトCNPペプチドのアミノ酸配列とヒトBNPペプチドのアミノ酸配列とヒトANPペプチドのアミノ酸配列の比較図である。各アルファベットは、アミノ酸の種類を1文字表記で示している。ヒトCNPペプチドのアミノ酸配列とヒトBNPペプチドとヒトANPペプチドのアミノ酸配列には、「CFG」で表されるアミノ酸配列、「DRI」で表されるアミノ酸配列、「SGLGC」で表されるアミノ酸配列、の3箇所の共通する領域があり、これら3箇所の共通配列によって区切られた4つの相互に異なる配列を有している。 CNP点鼻剤の噴霧による治療前後における鼻炎の治療効果を示す図である。各点が各症例を表す。9症例の重症例および1症例の中等症例のすべてが、100μg/mlのCNP点鼻剤によって、軽症にまで症状が改善した。 BNP点鼻剤の噴霧による治療前後における鼻炎の治療効果を示す図である。各点が各症例を表す。2症例の最重症例および1症例の中等症例が、50μg/mlのBNP点鼻剤の噴霧によって軽症にまで症状が改善した。また、1症例の最重症例が、50μg/mlのBNP点鼻剤の噴霧によって中等症にまで症状が改善した。同様に、1症例の最重症例が、100μg/mlのBNP点鼻剤の噴霧によって軽症にまで症状が改善した。同様に、1症例の重症例が、200μg/mlのBNP点鼻剤の噴霧によって軽症にまで症状が改善した。
本発明は、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を有効成分とする鼻炎治療剤である。
ここで、CNPとは、アミノ酸が22個のCNP−22、そのN末端に31アミノ酸残基が付加されたアミノ酸が53個のCNP−53あるいはその誘導体等を意味し、CNP活性を有する限り特に限定されるものではない。これらCNP−22、CNP−53あるいはその誘導体はいずれも公知であり、化学合成あるいは遺伝子操作によって作製することができる。
CNP−22およびCNP−53の由来については、CNP活性を有する限り特に制限されるものではないが、好ましくはヒトを含む哺乳動物または鳥類に由来するCNP、より好ましくはヒト、サル、マウス、ラットまたはブタ由来のCNP、特に好ましくはヒト由来のCNPである。
また、CNP誘導体とは、これらCNP−22またはCNP−53のアミノ酸配列において好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1または2個のアミノ酸が欠失、置換または付加し、かつCNP活性を有するもの、あるいはこれらCNP−22またはCNP−53のアミノ酸配列と85%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上の相同性を有する配列を有し、かつCNP活性を有するものを意味する。
置換可能なアミノ酸は、保存的アミノ酸置換が望ましい。保存的アミノ酸は、極性度や電荷の種類によって分類される。例えば、非極性の非電荷型アミノ酸にはグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン等、芳香族アミノ酸にはフェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、極性の非電荷型アミノ酸にはセリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミンなど、負電荷アミノ酸にはアスパラギン酸、グルタミン酸、正電荷アミノ酸にはリジン、アルギニン、ヒスチジンが、それぞれ含まれる。このように、アミノ酸置換は、同じ分類に属する保存的アミノ酸どうしで置換することが望ましい。ただし、プロリンを他の非極性の非電荷型アミノ酸で置換する場合、あるいは、プロリン以外の非極性の非電荷型アミノ酸をプロリンで置換する場合には、プロリンが立体的に柔軟な構造ではないことに留意する必要がある。また、システインを他の極性の非電荷型アミノ酸で置換する場合、あるいは、システイン以外の極性の非電荷型アミノ酸をシステインで置換する場合には、システインが他のシステインとジスルフィド結合を形成しうることに留意する必要がある。
また、CNP誘導体には、CNP活性を有する限り、CNPのC末端がアミド化されたもの、CNPのC末端がメトキシ化されたもの、CNPにポリエチレングリコールが付加したもの、CNPに糖鎖が付加したもの、CNPにアルキル鎖が付加したもの、ならびにCNPに脂肪酸が付加したものも含まれる。
このように、本発明においては、CNP活性を有することを条件として公知のいかなるCNPをも使用可能である。例えば、特開平6−9688に開示されるCNP誘導体、米国特許5583108号に開示されるCNP誘導体または米国特許6818619号に開示されるCD−NPであってもよい。また、CNP活性の有無については、公知の手段によって容易に確認することが可能であり、例えば、血菅平滑筋細胞の増殖抑制作用、あるいはNPR−B受容体発現細胞におけるcGMP産生活性を試験することにより確認することができる。
本発明の有効成分として、CNP−22、CNP−53またはそれらの誘導体のいずれも使用可能であるが、好ましくは吸収性の観点から分子量のより小さいCNP−22である。CNP−22は、化学合成あるいはヒトCNP遺伝子を用いて遺伝子操作によって作製することも可能であるが、例えば、株式会社ペプチド研究所(PEPTIDE INSTITUTE、 INC.)からCNP−22(human)として入手することができる。
本発明で使用し得るCNPは、天然からの精製CNP、既知の遺伝子工学的な手法で製造された遺伝子組み換えCNP、既知の化学合成法(例えば、ペプチド合成機を用いる固相合成法)で製造されたCNPを含むものである。遺伝子組み換え技術、部位特異的突然変異誘発法、PCR技術などの基本的手法は公知ないし周知であり、例えばCurrent Protocols In Molecular Biology;JohnWiley&Sons(1998)、特開平5−207891号公報などに記載されている。
また、本発明においてBNPとは、アミノ酸がそれぞれ26個のBNP−26、32個のBNP−32、45個のBNP−45あるいはその誘導体等を意味し、BNP活性を有する限り特に限定されるものではない。BNPは、BNP前駆体からシグナルペプチドが切断された分子量約13000の高分子型γ−BNPであってもよい。特に好ましくはBNP−32またはその誘導体である。BNP−26、BNP−32、BNP−45あるいはその誘導体はいずれも公知であり、化学合成あるいは遺伝子操作によって作製することができる。
BNP−26、BNP−32およびBNP−45の由来については、BNP活性を有する限り特に制限されるものではないが、好ましくはヒトを含む哺乳動物または鳥類に由来するCNP、より好ましくはヒト、サル、マウス、ラットまたはブタ由来のCNP、特に好ましくはヒト由来のBNPである。
また、BNP誘導体とは、これらBNP−26、BNP−32またはBNP−45のアミノ酸配列において好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1または2個のアミノ酸が欠失、置換または付加し、かつBNP活性を有するもの、あるいはこれらBNP−26、BNP−32またはBNP−45のアミノ酸配列と85%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上の相同性を有する配列を有し、かつBNP活性を有するものを意味する。
BNP誘導体において置換可能なアミノ酸は、CNP誘導体について置換可能なアミノ酸と同様である。
また、BNP誘導体には、BNP活性を有する限り、BNPのC末端がアミド化されたもの、BNPのC末端がメトキシ化されたもの、BNPにポリエチレングリコールが付加したもの、BNPに糖鎖が付加したもの、BNPにアルキル鎖が付加したもの、ならびにBNPに脂肪酸が付加したものも含まれる。
このように、本発明においては、BNP活性を有することを条件として公知のいかなるBNPをも使用可能である。例えば、特表2007−525213号公報に開示されるBNP誘導体、米国特許6028055号に開示されるBNP誘導体、米国特許5114923号に開示されるBNP誘導体、米国特許6818619号に開示されるBD−NPまたは特表2010−500032号公報に開示される利尿ポリペプチドまたはナトリウム利尿ポリペプチドであってもよい。
また、BNP活性の有無については、公知の手段によって容易に確認することが可能であり、例えばNPR−A受容体発現細胞におけるcGMP産生活性を試験することにより確認することができる。
本発明の有効成分として、BNP−26、BNP−32、BNP−45またはそれらの誘導体のいずれも使用可能であるが、好ましくは薬効、入手の容易性の観点からBNP−32である。
本発明のBNPは、化学合成あるいはヒトBNP遺伝子を用いて遺伝子操作によって作製することも可能であるが(例えば、特開平5−207891号公報、特表2007−525957号公報、特表2007−525213号公報参照)、BNPは既に上市されていることから、市場からも入手することができる。また、例えば、株式会社ペプチド研究所(PEPTIDE INSTITUTE, INC.)からBNP−32(human)として入手することができる。
このように、本発明で使用し得るBNPは、天然からの精製BNP、既知の遺伝子工学的な手法で製造された遺伝子組み換えBNP、既知の化学合成法(例えば、ペプチド合成機を用いる固相合成法)で製造されたBNPを含むものである。遺伝子組み換え技術、部位特異的突然変異誘発法、PCR技術などの基本的手法は公知ないし周知であり、例えばCurrent Protocols In Molecular Biology;JohnWiley&Sons(1998)、特開平5−207891号公報などに記載されている。
本明細書においてCNPまたはBNPという場合には、CNPまたはBNPのいずれかという意味の他に、CNPとBNPとのキメラペプチドも含まれる。すなわち、本明細書においてCNPまたはBNPという場合には、
C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が、分子内ジスルフィド結合によって環状構造を形成する、CNPとBNPのキメラペプチドであって、
前記CNPがCNP−22、CNP−53、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したCNP−22のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、または、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したCNP−53のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択されるペプチドであり、
前記BNPがBNP−26、BNP−32、BNP−45、または、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−26のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−32のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−45のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択されるペプチドであり、
かつ、CNP活性またはBNP活性を有するキメラペプチド、あるいは、その誘導体をも意味する。
ここでCNP−22およびCNP−53の由来については、CNP活性を有する限り特に制限されるものではないが、好ましくはヒトを含む哺乳動物または鳥類に由来するCNP、より好ましくはヒト、サル、マウス、ラットまたはブタ由来のCNP、特に好ましくはヒト由来のCNPである。同様にBNP−26、BNP−32、BNP−45の由来については、BNP活性を有する限り特に制限されるものではないが、好ましくは好ましくはヒトを含む哺乳動物または鳥類に由来するBNP、より好ましくはヒト、サル、マウス、ラットまたはブタ由来のBNP、特に好ましくはヒト由来のBNPである。
また、CNPとBNPとのキメラペプチドの誘導体とは、これらCNPとBNPとのキメラペプチドのアミノ酸配列において好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1または2個のアミノ酸が欠失、置換または付加し、かつCNP活性またはBNP活性を有するものを意味する。
CNPとBNPとのキメラペプチドの誘導体において置換可能なアミノ酸は、CNP誘導体について置換可能なアミノ酸と同様である。
また、CNPとBNPとのキメラペプチドの誘導体には、CNP活性またはBNP活性を有する限り、CNPとBNPとのキメラペプチドのC末端がアミド化されたもの、CNPとBNPとのキメラペプチドのC末端がメトキシ化されたもの、CNPとBNPとのキメラペプチドにポリエチレングリコールが付加したもの、CNPとBNPとのキメラペプチドに糖鎖が付加したもの、CNPとBNPとのキメラペプチドにアルキル鎖が付加したもの、ならびに、CNPとBNPとのキメラペプチドに脂肪酸が付加したものも含まれる。
また、配列番号1で表されるヒトCNPペプチドのアミノ酸配列と配列番号2で表されるヒトBNPペプチドのアミノ酸配列は、図1に示すように、それぞれ「CFG」、「DRI」、「SGLGC」のアミノ酸配列で表される3箇所の共通配列によって区切られた4つの相互に異なる配列を有している。そのため、CNPとBNPとのキメラペプチドとして、これら4つの相互に異なる配列の組み合わせにより、配列番号3〜16で表される少なくとも14種類のキメラペプチドが例示される。そして、これらのキメラペプチドおよびその誘導体は、CNPとBNPに共通する性質を有するものと考えられる。つまり、これらのキメラペプチドおよびその誘導体は、本発明の鼻炎治療剤の有効成分として使用することができる。
このように、本発明においては、CNP活性またはBNP活性を有することを条件として公知のいかなるCNPとBNPとのキメラペプチド、あるいは、その誘導体をも使用可能である。例えば、特表2010−502231号公報にABC−NP、ABC−NP1、BC−NP等として開示される水利尿ポリペプチドまたはナトリウム利尿ポリペプチド、であってもよい。これらのポリペプチドは、配列番号17〜20のアミノ酸配列として例示される。
CNP活性またはBNP活性の有無については、公知の手段によって容易に確認することが可能であり、例えばNPR−A受容体発現細胞またはNPR−B発現細胞におけるcGMP産生活性を試験することにより確認することができる。
本発明のCNPとBNPとのキメラペプチドおよびその誘導体は、化学合成あるいは遺伝子操作によって作製することも可能である。
本発明の鼻炎治療剤の適用疾患は、鼻粘膜に炎症を起こし、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどの症状を有する、いわゆる鼻炎であれば特に制限されるものではない。本発明の鼻炎治療剤は、各種の鼻炎に対して適用することができる。
より詳しくは、本発明の鼻炎治療剤が適用可能な鼻炎は、感染性鼻炎、過敏性非感染性鼻炎、刺激性鼻炎、萎縮性鼻炎または特異性肉芽腫性鼻炎であり、治癒効果の点から好ましいのは感染性鼻炎、過敏性非感染性鼻炎であり、特に好ましくは過敏性非感染性鼻炎である。
感染性鼻炎については、急性鼻炎または慢性鼻炎のいずれであってもよく、好ましくは急性鼻炎である。本発明の鼻炎治療剤の使用により、くしゃみ、鼻漏(鼻汁)過多、鼻閉(鼻づまり)、嗅覚障害等を効果的かつ早期に治癒させることが可能である。
過敏性非感染性鼻炎については、アレルギー性鼻炎および非アレルギー性鼻炎を含む複合型(鼻過敏症)鼻炎、味覚性鼻炎、冷気吸入性鼻炎および老人性鼻炎から選ばれる鼻漏型鼻炎、薬物性鼻炎、心因性鼻炎、妊娠性鼻炎および内分泌性鼻炎および寒冷性鼻炎から選ばれるうっ血型鼻炎、または乾燥型鼻炎のいずれであってもよい。
中でも好ましいのは、アレルギー性鼻炎または非アレルギー性鼻炎であり、アレルギー性鼻炎は通年性アレルギー性鼻炎であっても季節性アレルギー性鼻炎であってもよい。本発明の鼻炎治療剤は、治癒または長期寛解が難しいとされたアレルギー性鼻炎、特にハウスダストやダニを原因とする通年性アレルギー性鼻炎の治療薬として極めて優れた有効性と安全性を示し、効果的である。
また、本剤は、物理性鼻炎、化学性鼻炎、放射線性鼻炎等の刺激性鼻炎や、萎縮性鼻炎、特異性肉芽腫性鼻炎に起因する、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどを症状とする各種鼻炎の治療剤としても有効である。
更に、症状面から本鼻炎治療剤の適用疾患を分類するならば、「鼻アレルギー診療ガイドライン2009年版」(鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会編)に従って分類される、充全型鼻炎、鼻閉型鼻炎、またはくしゃみ・鼻漏型鼻炎に効果的に使用することができる。
なお、これら各種鼻炎の用語の意味乃至症状の特徴については、上述の背景技術の欄に記載した通りである。
本発明の鼻炎治療剤は、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を有効成分とするものであり、投与経路、剤形は特に限定されるものではない。
投与経路については、患者や症状に応じて注射剤、内服剤または外用剤とすることができる。具体的には、点鼻剤、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、スプレー剤、液剤、鼻噴霧剤、パッチ剤、エアゾール剤、ゼリー剤、パップ剤、貼付剤、硬膏剤、懸濁剤、乳剤、注射剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤等を例示でき、また、適当な溶剤を選定することにより、液剤としても使用できる。いずれの製剤も、周知乃至公知の方法に従って製造することができる。好ましくは、鼻噴霧剤等の点鼻剤、液剤、ゲル剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、またはローション剤、粉末剤であり、更に好ましくは点鼻剤、液剤、ゲル剤、粉末剤、エアゾール剤またはスプレー剤であり、特に好ましくは液剤である。
本発明の点鼻剤は、液剤または粉末剤等の乾燥製品とすることができ、担体または賦形剤、界面活性剤、懸濁剤、粘膜付着基剤および等張化剤を含むことができる。等張化剤として、塩化ナトリウム、グリセリン、亜硫酸水素ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、果糖、クエン酸、クエン酸ナトリウム、結晶リン酸二水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、D−ソルビトール液、ニコチン酸アミド、濃グリセリン、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、ホウ酸、ホウ砂、マクロゴール4000、リン酸水酸化ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウムを好適なものとして用いることができる。懸濁化剤としては、結晶セルロース・カルメロースナトリウム及びヒドロキシプロピルセルロースを用いることができる。
ゲル剤(懸濁性基剤)は、含水ゲル、無水ゲル、または膨潤可能なゲル形成性材料からなる低含水量のゲルのいずれであってもよい。また、ヒドロゲル基剤とリオゲル基剤のいずれであってもよいが、好ましくは無機または有機の高分子をベースとする透明なヒドロゲルである。油や脂肪分を含む製剤と同様、ゲルそれ自体は鼻粘膜に吸収されない。ヒドロゲル基剤は、無脂肪性で軟膏のような稠度を有し、薬剤の経皮吸収性を高めることを狙ったものであり、リオゲル基剤は、ステアリルアルコール等をプロピレングリコール中に懸濁させてゲル化したものであり、鼻粘膜吸収性や吸湿性に優れている。
本発明のゲル剤は、カルボキシルビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー、ポリメタクリレート、プロピレングリコール等を含む親水性ゲル基剤中に、有効成分であるCNPまたはBNPを均一に分散させたゲル剤であってもよい。
液剤は、CNPまたはBNPからなる有効成分を基剤としてのアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、水などに溶解させたものであり、好ましくはCNPまたはBNPを生理食塩水に溶解した水溶液からなる液剤である。水溶液は、生理食塩水の他にアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の有機基剤を少量混合してもよい。
軟膏剤は、油脂性基剤と水溶性基剤のいずれであってもよく、いずれも公知の方法に従って容易に得ることができる。ワセリン等の油脂性基剤は、刺激感が少なく無臭であり、鼻粘膜の保護作用に優れている。水溶性基剤は、マクロゴール基剤を主とする軟膏であり、水性分泌物を吸収し除去する作用が強い。
クリーム剤(乳剤性基剤)は、水中油型基剤(O/W)(バニシングクリーム)であっても、油中水型基剤(W/O)(コールドクリーム)であってもよい。水中油型基剤は、水溶性成分に比較して油溶性成分が少なく、塗布した場合クリームの白さが消失するように見える利点を有する。また、鼻粘膜への吸収性にも優れているので、慢性の肥厚性病変に良い適応となる。
ローション剤は、CNPまたはBNPを液中に溶解または均等に分散した、液状の外用剤を意味する。ローションは剤は液状であるので、鼻腔内の粘膜に使用する際に好適である。ローションの形態は、懸濁性ローション基剤、乳剤性ローション、
スプレー剤は、CNPまたはBNPを溶液にして、ガスの圧力で噴霧するものである。広範囲に用いる際には便利である。
液剤としては、例えば、生理食塩水に適量のCNPまたはBNPを配合した水溶液剤を用いることができる。またあるいは、CNPまたはBNPを安定に保つことができる緩衝液中にCNPまたはBNPを溶解した水溶液剤を液剤として用いることができる。
粉末剤としては、CNPまたはBNPは、純粋な剤形または不活性担体で希釈した剤形で投与できる。不活性担体としては、炭酸カルシウムまたはラクトースなどを使用しうる。同時に、親水性補助剤として、例えば、ポビドン、ラクトースを用いることもできる。鼻には強力な排泄メカニズムがあるので、乾燥粉末剤として投与することにより、液状である場合に比べて、作用時間が延長する点で有利である。粉末剤は、再結晶により、造粒により、乾燥により、または、特定の粒径に粉砕することにより、微粉化して製造し得る。
エアゾール剤の調製は、CNPまたはBNPを、好ましくは5μm以下に微粉砕し、必要ならば分散剤を加えて、冷却下噴射剤と共に噴霧容器中に充填して調製することができる。好ましい分散剤としては、スパン80(Span 80)、スパン85(Span 85)などの登録商標名で市販されている非イオン性界面活性剤、大豆レシチンなどの両性界面活性剤、オレイルアルコールなどの天然アルコールなどが挙げられる。好ましい噴射剤としては、フッ素化・塩化低級アルカンであるCFC(クロロフルオロカーボン)11、CFC12、CFC114およびこれらの混合物が挙げられる。
このように、本発明の鼻炎治療剤を製造するに際しては、各種の、基剤、保湿剤、紫外線吸収剤、アルコール類、キレート類、pH調製剤、防腐剤、増粘剤、着色剤、香料、充填剤、賦形剤、崩壊剤、増量剤、結合剤、皮膜剤、可溶化剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤、界面活性剤、抗酸化剤、分散剤、乳化剤、溶解剤、溶解補助剤等を任意に組み合わせて配合できる。また、主薬成分であるCNPまたはBNPの他に、各種薬剤、例えば鎮痛消炎剤、殺菌消毒剤、ビタミン類等を必要に応じて適宜配合してもよい。
賦形剤の例としては、乳糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム等を挙げることができる。結合剤の例としては、結晶セルロース、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール等を挙げることができる。
液剤として好ましいのは、適量のCNPまたはBNPを生理食塩水に溶解してなるCNPまたはBNP水溶液剤である。液剤を噴霧容器に入れて使用することも可能である。これら液剤には、通常の添加剤、例えばソルビトール、シロップ、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素化食用脂肪のような沈殿防止剤、レシチン、ソルビタンモノオレエート、アラビアゴムのような乳化剤、アーモンド油、精留ココナッツ油、グリセリンエステル等の油状エステル、プロピレングリコール、エチルアルコールのような(食用油も包含し得る)非水性媒体、p−ヒドロキシ安息香酸のメチルエステル、エチルエステル若しくはプロピルエステル、またはソルビン酸のような保存剤、および必要に応じて通常の香味剤または着色剤などを配合することができる。
なお、本鼻炎治療剤を経口製剤とする場合は、ペプチドであるCNPまたはBNPが胃酸によって分解されるのを抑制するため、錠剤や顆粒剤の表面に腸溶性コーティング剤をコーティングして、あるいは腸溶性のカプセルを用いて腸溶製剤とするのが好ましい。
また、液剤は、上記の水溶液剤の他、水性または油性の懸濁液製剤、エマルジョン製剤としてもよい。あるいは使用前に水または適当な媒体により再溶解され得る乾燥医薬組成物として提供してもよい。
このように、本発明の鼻炎治療剤は、それぞれ適量のCNPまたはBNPと各種基剤、必要に応じて添加物を配合してなる製剤である。本発明の鼻炎治療剤は、症状や患者に応じて適宜剤形と基剤の選択を行うことができる。
次に、本鼻炎治療剤の代表例として、液剤としての水溶液剤およびゲル剤の製造例について述べる。
本発明において、好ましい点鼻剤の1つが水溶液剤である。このような水溶液剤は、例えば、主剤としての0.1mg〜1mgのヒトCNP−22(株式会社ペプチド研究所製)を10mlの生理食塩水に溶解することによって、CNP濃度10〜100μg/mlの水溶液剤を調製することができる。なお、水の比重は1であることから、この場合のCNP濃度は重量比で10〜100μg/gである。CNP濃度が20μg/ml以下では効果が十分でないが、100μg/mlで十分な効果が得られるので、200μg/mlを越える濃度で用いなくてもよい。水溶液剤の好ましいCNP濃度は、10〜500μg/g、より好ましくは20〜200μg/g、さらに好ましくは50〜200μg/ml、特に好ましくは50〜100μg/mlである。
BNP水溶液剤もCNP水溶液剤と同様にして製造することができ、好ましい濃度もCNP水溶液剤同様である。
ゲル剤は、公知乃至周知の方法に従って、蒸留水または生理食塩水に適量のCNPを溶解して水溶液となし、さらにこれと公知乃至周知または市販のゲル化剤を混合して撹拌することによって得ることができる。ゲル剤の好ましいCNP濃度は、10〜500μg/g、より好ましくは20〜200μg/g、さらに好ましくは50〜200μg/ml、特に好ましくは10〜100μg/g、もっと好ましくは50〜100μg/ml、最も好ましくは30〜100μg/gである。
高分子無機成分からなるゲル化剤としては、含水のまたは吸水性のケイ酸塩、例えばケイ酸アルミニウム、例えばベントナイト、ケイ酸マグネシウム−アルミニウム、またはコロイドシリカを挙げることができる。高分子有機物質からなるゲル化剤としては、天然、半合成または合成のポリマーの使用が可能である。天然および半合成のポリマーとしては、例えば、セルロース等の多糖類、デンプン、トラガカント、アラビアゴム、キサンタンガム、寒天、ゼラチン、アルギン酸およびその塩、例えばアルギン酸ナトリウムおよびその誘導体、低級アルキルセルロース、例えばメチルセルロースまたはエチルセルロース、カルボキシ−またはヒドロキシ−低級−アルキルセルロース、例えばカルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース等を挙げることができる。
合成のゲル化剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸等を挙げることができる。これらゲル化剤は、1種類であっても2種類以上のゲル化剤混合物であってもよい。
また、所望に応じ、経皮吸収助剤を添加してもよい。この経皮吸収助剤としては、例えばリモネン、メントール、サリチル酸、ヒアルロン酸、オレイン酸、N、N−ジエチル−m−トルアミド、ステアリン酸n−ブチル、ベンジルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ポリプロピレングリコール、クロタミトン、ジエチルセバケート、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ラウリルアルコールなどが挙げられる。さらに、防腐剤や酸化防止剤なども、所望に応じ添加してもよい。
鼻炎治療剤中のCNPまたはBNP濃度は、症状、年令、剤型等を考慮して適宜選択できる。好ましいCNPまたはBNP濃度は、液剤、ゲル剤、ローション剤、エアゾール剤等の点鼻剤に対して10〜500μg/g、さらに好ましくは20〜200μg/gである。低年齢の患者や肌の弱い患者に対しては20〜100μg/gの濃度のものを使用するのが好ましい。ゲル剤における好ましいCNPまたはBNP濃度は10〜100μg/g、特に好ましくは30〜100μg/gである。また、液剤における好ましいCNPまたはBNP濃度は20〜200μg/ml、特に好ましくは50〜200μg/mlである。
本鼻炎治療剤の使用回数及び使用期間は、症状、年令、剤型等によって異なるが、標準的には1日1〜2回、使用期間は2日から7日で十分である。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例等になんら制約されるものではない。
1.CNP点鼻液の製造
主剤としての3mgのヒトCNP−22(株式会社ペプチド研究所製)を3mlの生理食塩水に溶解して1000μg/mlのCNP溶液を調製した。得られた1000μg/mlのCNP溶液100μlを900μlの生理食塩水で希釈し、CNP濃度が100μg/mlのCNP点鼻液を調製した。同様に、1000μg/mlのCNP溶液50μlを950μlの生理食塩水で希釈し、CNP濃度が50μg/mlのCNP点鼻液を調製した。さらに、同様に、1000μg/mlのCNP溶液200μlを800μlの生理食塩水で希釈し、CNP濃度が200μg/mlのCNP点鼻液を調製した。
2.CNP点鼻液からなる点鼻剤の製造
前記で得られたCNP濃度が100μg/ml、50μg/mlおよび200μg/mlである3種類のCNP点鼻液を定量式の点鼻用噴霧容器(アステラス製薬株式会社製;インタール点鼻液で使用する鼻用定量噴霧容器を使用した)に充填して1回の噴霧量を130μlとなるように調製した。従って、1回の噴射液中に含まれるCNP量は、100μg/ml、50μg/mlおよび200μg/mlのCNP点鼻液のそれぞれについて、順に13μg、6.5μg、26μgである。
3.BNP点鼻液の製造
主剤としての3mgのヒトBNP−32(株式会社ペプチド研究所製)を3mlの生理食塩水に溶解して1000μg/mlのBNP溶液を調製した。得られた1000μg/mlのBNP溶液100μlを900μlの生理食塩水で希釈し、BNP濃度が100μg/mlのBNP点鼻液を調製した。同様に、1000μg/mlのBNP溶液50μlを950μlの生理食塩水で希釈し、BNP濃度が50μg/mlのBNP点鼻液を調製した。さらに、同様に、1000μg/mlのBNP溶液200μlを800μlの生理食塩水で希釈し、BNP濃度が200μg/mlのBNP点鼻液を調製した。
4.BNP点鼻液からなる点鼻剤の製造
前記で得られたBNP濃度が100μg/ml、50μg/mlおよび200μg/mlである3種類のBNP点鼻液を定量式の点鼻用噴霧容器(アステラス製薬株式会社製;インタール点鼻液で使用する鼻用定量噴霧容器を使用した)に充填して1回の噴霧量を130μlとなるように調製した。従って、1回の噴射液中に含まれるBNP量は、100μg/ml、50μg/mlおよび200μg/mlのBNP点鼻液のそれぞれについて、順に13μg、6.5μg、26μgである。
5.ANP点鼻液の製造
比較試験のために、ヒトANP−28(株式会社ペプチド研究所製)0.5mgを1mlの生理食塩水に溶解して500μg/mlのANP溶液を調製した。得られた500μg/mlのANP溶液1mlを9mlの生理食塩水で希釈し、ANP濃度が50μg/mlのANP点鼻液を調製した。
6.ANP点鼻液からなる点鼻剤の製造
前記で得られたANP濃度が50μg/mlである3種類のANP点鼻液を定量式の点鼻用噴霧容器(アステラス製薬株式会社製;インタール点鼻液で使用する鼻用定量噴霧容器を使用した)に充填して1回の噴霧量を130μlとなるように調製した。従って、1回の噴射液中に含まれるANP量は6.5μgである。
被験者と診断、症状の評価、CNP点鼻剤、BNP点鼻剤、ANP点鼻剤の試験は、以下のように行った。
1.被験者と診断
被験者は、いずれも、ステロイド等の既存の外用薬を使用しても効果が十分認められない患者、あるいは局所的副作用として、鼻内刺激感、乾燥感があり、ステロイドの使用を控えなければならない患者である。これら被験者の診断と処置は、本発明者が医師として実施したものである。
2.症状の評価
アレルギー性鼻炎の症状の重症度の評価は、原則的に「鼻アレルギー診療ガイドライン 2009年版」(鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会編)に従って下記の通り、鼻5段階に分類して行った。充全型とは、くしゃみ発作または鼻漏と鼻閉が同程度に表れた場合をいう。
なお、上記表において、くしゃみ発作、鼻漏および鼻閉の評価スコアは下記表のとおりである。
3.点鼻液製剤の試験方法
本発明の点鼻液製剤の投与試験は、原則的に、点鼻用噴霧容器に入れたCNP点鼻液、BNP点鼻液またはANP点鼻液を起床時と就寝前の1日2回、1回当たり各鼻腔に1噴霧ずつ噴霧吸入することによって行った。したがって、1回の噴霧あたりのCNP、BNPまたはANPの点鼻量は100μg/mlのCNP点鼻液、BNP点鼻液またはANP点鼻液の場合で、いずれも13μgに相当する。同様に、CNP点鼻液、BNP点鼻液またはANP点鼻液の1回当たりのCNP、BNPまたはANPの点鼻量は、50μg/mlの濃度の場合はいずれも6.5μgに相当し、200μg/mlの濃度の場合はいずれも26μgに相当する。
各症例の診断結果
CNP製剤、BNP製剤またはANP製剤の使用に先だって、被験者への問診、アレルゲンに対するScratch試験、診断を行った。表4〜表7に、それら被験者への問診、診断結果、即ち、各症例における被験者の性別、年齢、病歴、家族歴、Scratch試験結果、診断所見、症状の評価を示す。
CNP用量設定試験
後述する症例10の被験者を対象として、濃度100μg/mlのCNP点鼻液を1日1回、連続7日間使用した後、14日間使用を中断し、その後に、濃度50μg/mlのCNP点鼻液で試験を行った。その結果、濃度100μg/mlのものに比べるとその効果の発現までの時間は20分程度であって、薬効発現まで約2倍の時間を要し、かつ、鼻閉の改善の程度もやや低下することが明らかとなった。尚、濃度200μg/mlのCNP点鼻液では、依然として刺激もなく、鼻炎に対する効果は顕著であったが、100μg/mlの場合に比べて特に効果が倍増するということはなかった。
BNP用量設定試験
BNPについても、用量設定試験を行い、CNPと同様の結果が得られた。
CNP製剤を使用した結果を表4、表5、および図2にまとめ、その詳細を試験例1〜10として、以下に記載する。
試験例1(症例1)
被験者は48歳の女性であり、充全型の重症患者である。アトピー性皮膚炎の既往歴があり、本人の子供もアトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト3+、ダニ3+である。この被験者は、鼻閉が非常に強く、口呼吸が1日のうちにかなりの時間あり、ひどい水性鼻汁症状もある。鼻噴霧用ステロイド剤は鼻内刺激感があるため、使用できない。
先ず、予備試験として、実施例1で得た濃度100μg/mlのCNP点鼻液を被験者の両鼻腔に1回ずつ噴霧吸入した(片方の鼻腔へのCNPの投与量は13μg)。その結果、15分後には鼻漏が治まり、鼻閉も改善された。浸透性もよく、刺激感もなく、局所刺激症状等の副作用も観察されなかった。
そこで、翌日の朝、就寝前の2回、本CNP点鼻液を両鼻腔に1回ずつ噴霧吸入したところ、翌々日には、症状が軽快し、鼻漏、鼻閉も顕著に改善され、1日中症状は出なかった。点鼻を中止後も2〜3日は効果が持続し症状がでなかった。
試験例2(症例2)
被験者は39歳の女性であり、くしゃみ・鼻漏型の重症患者である。アトピー性皮膚炎の既往歴があり、本人の子供もアトピー性皮膚炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ2+、スギ2+、カモガヤ3+、ブタクサ1+である。この被験者は、鼻閉とくしゃみ、ティッシュが山積みになるほどの水性鼻汁の両症状を有する重症例であり、第2世代抗ヒスタミン薬を常用している患者である。噴霧用ステロイド剤は鼻内刺激感、鼻掻痒感、くしゃみ、鼻漏がかえって増悪し、自覚的な改善効果はない。試験例1と同様に、実施例1で得た濃度100μg/mlのCNP点鼻液をこの被験者の両鼻腔に1回ずつ噴霧吸入した(片方の鼻腔へのCNPの投与量は13μg)。その結果、噴霧直後から鼻掻痒感が消失し10分後には鼻漏が治まった。浸透性もよく、刺激感もなく、局所副作用も観察されなかった。1日1回の使用で、鼻がぐずぐずすることもなく、鼻漏は全くみられなかった。効果は1日持続した。
翌朝も鼻漏は全く観察されなかった、念のため、朝1回、本CNP点鼻液を両鼻腔に1回ずつ噴霧吸入した。その結果、その日は鼻がぐずぐずすることもなく、鼻漏は全くみられなかった。鼻炎のことを忘れるほどであり、第2世代抗ヒスタミン薬も必要なかったというのが被験者の感想である。
このことから、本発明のCNP点鼻液剤は、持続性、吸収性、即効性に優れており、1日1回の噴霧で十分な効果が得られることが明らかになった。
試験例3(症例3)
被験者は32歳の女性であり、充全型の重症患者である。アトピー性皮膚炎の既往歴があり、本人の母もアトピー性皮膚炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト1+、ダニ1+、スギ1+、カモガヤ2+、ブタクサ1+である。この被験者は、鼻閉が非常に強く、臭いがわからない。ひどい水性鼻漏もある。鼻噴霧用ステロイド剤は鼻内刺激感と鼻とのどの奥がくっつくような乾燥感があり、使用後しばらくしてから少しは鼻水が減る程度で満足のいく効果はなかった。
試験例1と同様に、実施例1で得た濃度100μg/mlのCNP点鼻液をこの被験者の両鼻腔に1回ずつ噴霧吸入した(片方の鼻腔へのCNPの投与量は13μg)。その結果、5分後には鼻閉感が消失し、鼻漏も治まった。局所刺激症状はまったくなかった。その後、朝1日1回の噴霧を継続したところ、鼻閉感が消失し、嗅覚が回復するとともに、水性鼻汁も改善され、3日後には鼻漏も完全に治まった。刺激感等の局所副作用も眠気などの全身副作用も認められなかった。1週間の間、朝1回使用で効果は1日持続し、抗アレルギー剤の内服を1日目だけ併用したが2日目からはその必要はなくなった。1週間後使用を中止したがその後も効果は2週間以上維持された。 このことから、本発明のCNP点鼻液剤は、即効性、吸収性、持続性に優れており、1日1回の噴霧で十分であることが明らかになった。
試験例4(症例4)
被験者は23歳の男性であり、鼻閉型の重症患者である。小児喘息の既往歴があり、本人の母はアトピー性皮膚炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト3+、ダニ3+である。この被験者は、口呼吸が1日のうちにかなりの時間あり、鼻閉傾向が非常に強い。また、この被験者は、全身ステロイド薬の長期使用による離脱困難症状のため、ステロイド薬の使用は控えなければならなかった。
試験例1と同様に、実施例1で得た濃度100μg/mlのCNP点鼻液をこの被験者の両鼻腔に1回ずつ噴霧吸入した(片方の鼻腔へのCNPの投与量は13μg)。その結果、5分から10分後には鼻閉感が消失した。効果は1日持続し鼻の通りが良くなって呼吸が楽になった。1日1回、4日間使用した後に使用を中止してからも3日程度、効果は持続した。
上記各試験例の場合と同様、浸透性もよく、刺激感もなく、局所副作用も観察されなかった。この事実は以下の試験例においても同様であった。
このように、本発明のCNP点鼻剤は効果が絶大であり、ステロイド製剤の使用を避けなければならない鼻炎患者に対して大いなる福音である。
試験例5(症例5)
被験者は24歳の女性であり、充全型の重症患者である。アトピー性皮膚炎の既往歴があり、本人の妹もアトピー性皮膚炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト3+、ダニ3+、スギ3+、カモガヤ2+、ブタクサ2+である。この被験者は、口呼吸が1日のうちにかなりの時間あり、鼻閉傾向が非常に強く観察され、かつ、鼻汁がひどい。鼻噴霧用ステロイド剤は鼻内刺激と乾燥感のため使用していない。
試験例1と同様に、実施例1で得た濃度100μg/mlのCNP点鼻液をこの被験者の両鼻腔に1回ずつ噴霧吸入(片方の鼻腔へのCNPの投与量は13μg)したところ、20分後には鼻閉感が改善され、鼻漏も治まった。効果は1日持続し、翌日以降も鼻閉、鼻漏とも鎮静状態が維持された。
試験例6(症例6)
被験者は37歳の女性であり、充全型の重症患者である。アトピー性皮膚炎の既往歴があり、本人の母と姉もアトピー性皮膚炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト3+、ダニ3+である。この被験者は、症例5と同様、口呼吸が1日のうちにかなりの時間あり、鼻閉傾向が非常に強く観察され、かつ、鼻汁がひどい。被験者は、夜間の鼻閉とくしゃみがひどく、鼻掻痒感にも悩まされていた。鼻噴霧用ステロイド剤は鼻内乾燥感のため使用していない。
そこで、就寝前に実施例1で得た濃度100μg/mlのCNP点鼻液を両鼻腔に1回ずつ噴霧吸入(片方の鼻腔へのCNPの投与量は13μg投与)したところ、1時間後には鼻閉が顕著に改善されて呼吸も楽となり、明け方においても両鼻の通りが良く熟睡できたとの報告を受けた。
更に、前夜の投与に引き続き、翌朝、再度、本発明のCNP点鼻液を両鼻腔に1回ずつ噴霧吸入したところ、1日中鼻掻痒感および鼻閉感も解消された。水性鼻汁は鼻をかまなくても良いほどに改善された。局所刺激症状もまったくなかった。その後、朝と就寝前に1日2回5日間使用して症状が落ち着いたので、使用を中止した。使用を中止したあとも4〜5日間効果が持続し鼻掻痒感、鼻閉、鼻漏とも改善状態が維持された。
試験例7(症例7)
被験者は39歳の女性であり、充全型の重症患者である。アトピー性皮膚炎の既往歴があり、本人の子供もアトピー性皮膚炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト−、ダニ2+、スギ−、カモガヤ3+、ブタクサ−である。この被験者は、症例6と同様、口呼吸が1日のうちにかなりの時間あり、鼻閉傾向が非常に強く観察され、かつ、鼻汁のひどい。とりわけ朝方の鼻漏、鼻閉およびくしゃみがひどく、鼻掻痒感に悩まされていた。また、この被験者は、鼻噴霧用ステロイド薬に対して鼻内刺激感があり、かえってくしゃみ、鼻水が出るためステロイド薬を使用することができず、また、第2世代抗ヒスタミン薬を内服した場合はだるくなる症状を呈する傾向があるため、抗ヒスタミン薬の使用を極力避けなければならなかった。
そこで、被験者に対して、実施例1で得た濃度100μg/mlのCNP点鼻液を両鼻腔に1回ずつ噴霧吸入(片方の鼻腔へのCNPの投与量は13μg)したところ、使用直後に鼻がとおるようになり10分後には鼻閉が顕著に改善された。また、呼吸が楽になったとの報告を受けた。ティッシュをつめておかないと落ちてくるほどの水性鼻汁も止まった。1日1回の使用で翌日まで効果は持続し、鼻閉、鼻漏とも改善が維持された。
したがって、本発明のCNP点鼻液は、従来のステロイド薬や抗ヒスタミン薬を使用できない、または控えなければならない鼻炎患者には福音である。
試験例8(症例8)
被験者は39歳の女性であり、充全型の中等症患者である。アトピー性皮膚炎、小児喘息、副鼻腔炎の既往歴があるが、家族はこれらの疾患にもアレルギー性鼻炎にも罹患していない。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ3+、スギ2+、カモガヤ1+、ブタクサ−、猫毛3+である。この被験者は、口呼吸が1日のうちに時々あり、鼻閉傾向が強い。ステロイド剤は、1年半前に副鼻腔炎に罹患したため使用していない。
この被験者に対して、実施例1で得た濃度100μg/mlのCNP点鼻液を両鼻腔に1回ずつ噴霧吸入(片方の鼻腔へのCNPの投与量は13μg)したところ、使用直後に鼻の通りが良くなり、10分後には鼻閉が顕著に改善されて呼吸が楽になり、20分後には水性鼻汁も止まった。また、呼吸が楽になったとの報告を受けた。
1日1回の使用で効果は1日持続し、鼻閉、鼻漏とも気にならない程度にまで改善された。
試験例9(症例9)
被験者は21歳の男性であり、鼻閉型の重症患者である。アトピー性皮膚炎とアレルギー性結膜炎の既往歴があり、本人の母もアトピー性皮膚炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ3+、スギ2+、カモガヤ3+、ブタクサ1+である。この被験者は、症例7と同様、口呼吸が1日のうちにかなりの時間あり、鼻閉傾向が非常に強く観察される。過去にステロイド薬を使用したが、鼻閉が十分に改善されなかった。鼻汁はそれ程ひどくなかった。
この被験者に対して、実施例1で得た濃度100μg/mlのCNP点鼻液を両鼻腔に1回ずつ噴霧吸入(片方の鼻腔へのCNPの投与量は13μg投与)したところ、点鼻直後から鼻の通りが良くなり刺激症状を全く伴うことなく症状は25分後には鼻閉顕著に改善され、鼻漏もおさまった。夕方1回の点鼻で効果は1日持続し、翌日から3日間、治療していないにもかかわらず鼻水は気にならない程度におさまり、ほとんどかまずにすんだ。この間、抗ヒスタミン剤内服の必要はなかった。
試験例10(症例10)
被験者は55歳の女性であり、充全型の重症患者である。アトピー性皮膚炎の既往歴があり、本人の子供もアトピー性皮膚炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト1+、ダニ2+、スギ2+、カモガヤ3+、ブタクサ2+である。この被験者は、鼻閉が強く、常に耳に閉塞感がある。なお、この患者に対して1日3回のステロイド内服薬とステロイド噴霧薬を使用したが、鼻閉に対する効果は十分ではなく、持続性も低く、鼻漏も十分には改善されなかった。ステロイド噴霧薬使用時に鼻の奥から頭にかけて重苦しくなって頭痛があり、意識がぼうっとしてしまう。
この被験者に対して、実施例1で得た濃度100μg/mlのCNP点鼻液を両鼻腔に1回ずつ噴霧吸入(片方の鼻腔へのCNPの投与量は13μg投与)したところ、刺激症状を伴うことなく、10分後には鼻閉症状も、鼻水も完全に止まった。その後、ステロイド薬を内服することなく、朝と就寝前の2回、本CNP点鼻液を噴霧吸入した結果、鼻閉、鼻漏とも顕著に改善され、併せて耳の閉塞感も解消された。その後は1日1回の使用で丸一日効果は持続し、鼻の症状はすこぶる良く、水性鼻汁は止まり、鼻閉感もぬけたような感じがして自然な感じで症状が抑えられる。常に使用していたステロイドの内服や注射の必要はなかった。7日間の濃度100μg/mlのCNP点鼻液の使用中止後も1週間程度効果は持続し、鼻閉、鼻漏とも鎮静状態が維持され続けた。投与中止後14日後から50μg/mlのCNP点鼻液を1日1回5日間使用した場合にも、鼻噴霧後、20分で鼻閉が治まり、鼻漏も1日3〜4回鼻をかむ程度に改善した。更に耳閉塞感からも解放された。これらの効果は使用中止後も3〜4日間効果が持続した。
BNP製剤を使用した結果を表6および図3にまとめ、その詳細を試験例11〜16として、以下に記載する。
試験例11(症例11)
被験者は42歳の女性であり、くしゃみ・鼻漏型の最重症患者である。アトピー性皮膚炎とアレルギー性結膜炎の既往歴がある。本人の子供がアレルギー性鼻炎とアトピー性皮膚炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ2+、スギ−、カモガヤ3+、ブタクサ2+である。この被験者は、夜だけ鼻閉のため口呼吸になる。この被験者は、幼小時からアトピー性皮膚炎に罹患していたが、22歳〜23歳頃から花粉症を併発した。毎年5月から7月初旬にかけて症状が悪化する。この時期は、くしゃみ、鼻水がとめどなく出て止まることがない。鼻噴霧用ステロイド薬では効果を実感したことがなく、局所刺激症状として乾燥感が強く痛みを伴う。
この被験者に対して、実施例1で得た濃度50μg/mlのBNP点鼻液を試みに1回だけ両鼻腔にそれぞれ1噴霧吸入したところ(片方の鼻腔へのBNPの投与量は6.5μg)、10分経過後には、鼻粘膜に浸透して症状が落ち着き、水性鼻汁が改善された。効果が確認されたので、2日目の朝方1噴霧して晴天のなか外出したが、花粉症の症状は気にならない程度にまで改善され、鼻水、くしゃみの症状が夕方まで見られなかった。その後5日間、50μg/mlのBNP点鼻液を使用したところ、朝1回の噴霧で一日中鼻水、くしゃみの症状が出ないこともあれば、午後から鼻水がでることもあった。この場合も1日2回使用することで症状をおさえることができた。抗ヒスタミン剤併用の必要はなかった。さらに、局所刺激症状もなかった。
試験例12(症例12)
被験者は21歳の女性であり、充全型の中等症患者である。アトピー性皮膚炎の既往歴があり、本人の父がアレルギー性鼻炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト1+、ダニ2+、スギ3+、カモガヤ1+、ブタクサ1+である。この被験者は、幼小時からアトピー性皮膚炎に罹患していたが、2年前に花粉症を併発し、ムズムズしたかゆみと鼻漏、鼻閉があり、特に疲労時には増悪した。鼻閉が強く、1日のうち、ときどき口呼吸となる。この被験者は、増悪時はステロイド点鼻では十分な効果が得られず、特に鼻漏に対し十分な効果が得られていなかった。
この被験者に対して、実施例1で得た濃度50μg/mlのBNP点鼻液を試みに1回だけ両鼻腔にそれぞれ1噴霧吸入したところ(片方の鼻腔へのBNPの投与量は6.5μg)、10分経過後、水性鼻漏はとまり、少し鼻の通りが良くなって、20分後には鼻閉感が改善された。翌朝、1噴霧したところ、いつもは朝、鼻がムズムズかゆくなり鼻水が出るが、10分から20分程でおさまり、鼻閉感も楽になり夕食時まで効果は持続した。1週間1日2回朝晩使用した結果、水性鼻漏、鼻閉とも症状が改善したので7日間で使用を中止した。その後も効果は持続し、点鼻中止後も4〜5日間鼻漏、鼻閉の再発はなく、鎮静状態が維持された。1日2回のBNP点鼻液使用で中等症から軽症に改善された。
試験例13(症例13)
被験者は28歳の女性であり、鼻漏型の最重症患者である。アトピー性皮膚炎の既往歴がある。本人の妹がアレルギー性鼻炎とアトピー性皮膚炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト1+、ダニ2+、スギ3+、カモガヤ3+、ブタクサ2+である。この被験者は、幼小時からアトピー性皮膚炎に罹患していたが、20歳から花粉症症状が出現した。特に6月ごろから鼻水、くしゃみがひどくなり、一日中鼻をかんでいて、下をむくと鼻水が垂れてくるという状態であった。この被験者は、口呼吸はあまりないが、鼻閉がある。
この被験者に対して、実施例1で得た濃度100μg/mlのBNP点鼻液を両鼻腔にそれぞれ1噴霧吸入したところ(片方の鼻腔へのBNPの投与量は13μg)、30分で鼻水が止まった。くしゃみも投与1時間後に治まった。その後、半日間は本点鼻液の効果が持続し、再び鼻水が出てきたのは夜9時ごろであった。BNP点鼻液使用時の症状改善度は重症から軽症であった。
この被験者は、ステロイド点鼻液の使用時やステロイド内服時には、副作用として鼻粘膜の表面がつっぱるような刺激感や、乾燥感があり、満足のゆく治療効果は得られていなかった。これに対し、本BNP点鼻液は、ステロイドに勝る効果があるにもかかわらず、そのような副作用は観察されなかった。
試験例14(症例14)
被験者は46歳の女性であり、充全型の最重症患者である。アトピー性皮膚炎とアレルギー性結膜炎の既往歴があるが、本人の子供もアレルギー性鼻炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ2+、スギ3+、カモガヤ3+、ブタクサ2+である。この被験者は、10歳ころから、鼻水、鼻閉、目のかゆみがあったが、20歳からは、鼻炎が重症化し、鼻に詰め物をしないと鼻水が止めどなくだらだら出るようになった。この被験者は、鼻閉がかなり強く、口呼吸が一1日のうちかなりの時間ある。
この被験者に対して、実施例1で得た濃度50μg/mlのBNP点鼻液を両鼻腔にそれぞれ1噴霧吸入したところ(片方の鼻腔へのBNPの投与量は6.5μg)、5分後には鼻が軽くなったような感じがし、15分後には鼻が通る感じがして鼻漏の改善が顕著に認められ、30分後には鼻閉感が顕著に改善され、喉の痒みも治まった。被験者も本点鼻液の効果の素晴らしさに感動していた。
また、被験者の報告によれば、ステロイドの点鼻液は、鼻の中が乾燥した感じがして刺激症状があるだけでなく、効果としても全く効かなかった。本点鼻液の場合は、むしろしっとりした感じがするとのことであった。
就寝前に1回噴霧すると、抗ヒスタミン剤を内服しなくても鼻汁がでないので熟睡できた。就寝前に使用しただけで翌日の日中も鼻漏症状が気にならない程度におさまっていて、1時間に1回鼻をかむ程度まで改善し、抗ヒスタミン剤内服の併用は必要なかった。就寝前1回の使用で3〜4日効果が持続し、その後は3〜4日毎に就寝前に1回ずつ、計4回の使用で鼻漏、鼻閉、目のかゆみが中等症レベルに鎮静された状態が維持され続けた。BNP点鼻液の症状改善度は最重症から中等症にまで改善された。
試験例15(症例15)
被験者は45歳の女性であり、くしゃみ・鼻漏型の重症患者である。アトピー性皮膚炎の既往歴があり、本人の子供もアトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ3+、スギ1+、カモガヤ2+、ブタクサ1+である。この被験者は、通年性の水のような鼻汁が持続的に出ているが、鼻閉はほとんどない。ステロイド剤を点鼻しても、鼻内刺激感が強く、点鼻前よりも水性鼻汁が増加した。
この被験者に対して、実施例1で得た濃度200μg/mlのBNP点鼻液を両鼻腔にそれぞれ1噴霧吸入したところ(片方の鼻腔へのBNPの投与量は26μg)、10分後に鼻汁が止まった。その際、局所刺激症状や違和感は全くなかったとのことである。抗ヒスタミン剤の内服の併用なしでも、鼻汁が止まる効果は一日持続した。翌日も1日1回の使用で水性鼻汁はおさえられた。2日間のBNP点鼻液使用により、重症から軽症に症状が改善された。
試験例16(症例16)
被験者は35歳の男性であり、充全型の最重症患者である。アレルギー性結膜炎も合併している。本人の父、姉、子供がアレルギー性鼻炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト‐、ダニ1+、スギ2+、カモガヤ3+、ブタクサ1+である。水性鼻汁が持続的に出ていて、ティッシュ箱を2箱使うくらいこう鼻しなければならない。鼻閉もあり、一日中完全に鼻が詰まっている状態にある。この症状は5月後半から9月まで続いていた。ステロイド剤を点鼻しても、ステロイドレジスタンスが起こりやすく、2回目のステロイド剤使用からは効果が無くなり、更にはステロイド剤の使用により強い刺激感を伴う。
この被験者に対して、実施例1で得た濃度50μg/mlのBNP点鼻液を両鼻腔にそれぞれ1噴霧したところ(片方の鼻腔へのBNPの投与量は6.5μg)、10分後に水性鼻汁、鼻掻痒感、鼻閉感がおさまった。その際、刺激症状はまったくなかった。その後も5日間にわたって朝1回噴霧すると、10分から15分で鼻掻痒感が消え、水性鼻汁が止まって、効果は一日持続し、一日中鼻水が出なかった。朝晩2回使用すると、鼻閉も改善して、抗ヒスタミン剤の内服は必要なくなった。使用期間は5日間で、使用時の症状改善度は最重症から軽症に改善した。使用中止後、鼻漏、鼻閉の鎮静効果は7日間維持された。
比較のためANP点鼻液を用いて試験を行った。
ANP製剤を使用した比較例の結果を表7にまとめ、その詳細を試験例17〜18として、以下に記載する。

比較例1(症例17)
被験者は、28歳の男性であり、充全型の重症患者である。アトピー性皮膚炎の既往歴があり、本人の父はアトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハフスダスト2+、ダニ3+、スギ−、カモガヤ3+、ブタクサ2+である。この被験者は、幼小時からアトピー性皮膚炎に罹患していたが、社会人になってから花粉症症状を発現し、特に6月頃には鼻閉感が強くなり、口呼吸になる。鼻水、くしゃみがひどく、鼻をかむ回数は1日20回程である。
この被験者に対して、実施例1で得た濃度50μg/mlのANP点鼻液を1日2回両鼻腔にそれぞれ1噴霧吸入したところ(片方の鼻腔へのANPの投与量は6.5μg)、依然として鼻水、くしゃみが止まらず、鼻閉感は改善されなかった。7日間、1日2回使用したが、使用前と使用後で鼻漏、鼻閉とも変化がなく改善されなかった。症状改善度は、ANP使用前に重症であった症状が、ANP使用後も重症のままであった。
比較例2(症例18)
被験者は28歳の女性であり、充全型の重症患者である。アトピー性皮膚炎の既往歴があり、本人の母もアレルギー性鼻炎に罹患している。スクラッチテストの結果は、ハウスダスト2+、ダニ2+、スギ2+、カモガヤ3+、ブタクサ2+である。この被験者は、通年性の持続性鼻炎であり、初夏から秋口にかけて特に悪化し、くしゃみ、水性鼻汁がとまらなくなり、夜間には強い鼻閉もともなう。ステロイド剤は鼻内刺激があるので使用していないとのことであった。
この被験者に対して、実施例1で得た濃度50μg/mlのANP点鼻液を両鼻腔にそれぞれ1噴霧吸入したところ(片方の鼻腔へのANPの投与量は6.5μg)、15経過後も鼻漏は止まらなかったが、20分後には使用前と比べて自覚的には鼻が通っている感じがした。しかしその後20分で再度鼻閉が再発し、むずむずした。同日の夜間にもまた一噴霧したが、20分ぐらいで自覚的には鼻が通った感じがしたが、その15分後には鼻閉が再発し、むずむずしてきたとのことである。翌日の朝は目が覚めるほど鼻閉が強く、再度1噴霧したが、20分後には鼻閉が再発した。重症度および改善度は重症から重症のままであり満足のいく改善効果はみられなかった。
比較例3(症例2)
被験者は100μg/mlのCNP点鼻液の効果を試験した症例2の被験者と同一の被験者である。ただし、CNP点鼻液を3日間使用してから11月経過後にANP点鼻液の効果を試験しているので、ANP点鼻液の使用時には40歳になっていた。既往歴、家族歴、スクラッチテストの結果、ステロイド剤の効果等、被験者の有する背景情報は、試験例2および表4に記載したとおりである。
この被験者に対して、実施例1で得た濃度50μg/mlのANP点鼻液を両鼻腔にそれぞれ1噴霧吸入したが(片方の鼻腔へのANPの投与量は6.5μg)、すぐには全く効果がみられなかった。1時間後に鼻内掻痒感に多少の改善の兆しが見られたが明瞭ではなく、鼻漏は改善されなかった。同じ日の晩、翌日の朝と晩、翌々日の朝と晩に上記と同じようにANP点鼻液を使用したところ、3日後には鼻内掻痒感のみにおいて軽度の改善が見られたが、持続性が低く、朝に使用した場合午後には再発した。3日間使用しても鼻漏に改善は見られず、1日計20回程度は鼻をかむ必要があった。重症度および改善度は重症から重症のままであり、明らかな改善効果は見られなかった。
症例試験結果のまとめ
上記試験例から明らかなとおり、本発明の点鼻薬は、吸入後10分から20分程度で、鼻炎の代表的な症状である鼻閉、くしゃみ発作、鼻漏に対して顕著な効果を発現し、かつ、充全型、鼻閉型、くしゃみ・鼻漏型のいずれに対しても有効であった。しかも、本発明の点鼻薬は、CNP点鼻薬もBNP点鼻薬も、顕著な鼻炎改善効果を有するのみならず、薬効発現が極めて早く、即効性であり、刺激感等の局所副作用、眠気などの全身副作用もみられず、薬効持続時間も十分に長く、使用回数が1日1〜2回でコンプライアンスがよいといった点鼻薬として理想的な特性を備えている。さらに、連用したいくつかの症例では、連用により改善率が上昇する傾向が見られた。
また、本発明の点鼻薬は、従来のステロイド薬や抗ヒスタミン薬に比べても、その効果は顕著であり、持続性の点で、1日1回の使用でも症状が緩和されるという画期的なものである。
さらに、ANPとBNPは受容体が同一であることから、同一の効果を奏するであろうと思われたが、驚くべきこと、予想に反してANPとBNPのうちではBNPのみが著効を示した。
さらに10例追加して同様の臨床試験を行った結果、すべての症例で極めて顕著な症状改善が観察され、抗アレルギー剤やステロイド薬の内服を中止できる重症例が多数であったことは、単に薬効が顕著であるという以外にも、医療費の大幅な削減が期待できるであろう点でも注目できる。
本発明の鼻炎治療剤は、各種の鼻炎、特にアレルギー性鼻炎の治療に極めて効果的であり、しかも副作用の懸念もないことから、従来の鼻噴霧用ステロイド薬や抗ヒスタミン薬で効果の見られなかった患者や、副作用への懸念からこれら薬剤の使用を控えなければならなかった患者、若年者にも適用が可能である。
ところで、スギ花粉症の治療に関して、ARIA(Allergic Rhinitis and its Impact on Asthma)2008年版に従うと、中等症から最重症のスギ花粉症患者に対しては鼻噴霧用ステロイド薬単独で治療を開始し、改善がなければ鼻噴霧用ステロイド薬を増量し、くしゃみ/鼻掻痒感に対しては抗ヒスタミン薬を追加、鼻漏に対してはイプラトロピウム臭加物水和物を追加、鼻閉に対しては血管収縮剤または経口ステロイド薬を追加する、ステップアップ方式の治療を勧めている。
しかし、従来使われている鼻噴霧用ステロイド薬の使用頻度は成人の場合1日2〜4回必要とされ、効果の持続性が短く、効果の発現までの期間が1〜3日以上であり、効果がピークに達するまでに2〜4週間要する。、効果に対する満足度も低い。更に、鼻内の刺激感や乾燥感、咽喉頭刺激感、頭痛、長期使用による感染症の併発の危険性などの副作用も有る。
1日1回噴霧というメリットのあるモメタゾンフランカルボン酸エステル水和物が最近になり日本でも使用可能になったが、欧米の花粉症症例に対する2週間使用した時の効果は、総症状の改善の程度は40〜50%、鼻閉の改善度は30〜40%にすぎず、治療効果の観点からすると、十分とは言えない。
それに対して、本発明の鼻炎治療剤は1日1回の投与でステロイド薬や抗ヒスタミン薬の内服をしなくても、重症の鼻炎症状を顕著に改善することが可能である。更に即効性があり、効果が持続する。すなわち、使用直後から効果の発現が認められ、ほとんどの場合10〜20分後には、鼻閉、鼻漏とも著明に改善する。そして全例において、1日1回1噴霧ないし1日2回の噴霧で、鼻閉、鼻漏ともに顕著な改善効果が1日中維持される。
更に、鼻噴霧用ステロイド薬で見られる局所副作用も全く認められず、使用感は非常に良いとの報告を全例で受けた。抗ヒスタミン薬やステロイド薬の内服で見られる眠気、作業効率の低下などの全身副作用もない。その上、投与回数が1日1回〜2回1噴霧であるためにコンプライアンスも良い。すなわち、本発明の鼻炎治療剤は、即効性と持続性において既存の点鼻薬より優れており,副作用もなく、コンプライアンスもよい、アレルギー性鼻炎の治療剤として理想的な特性を兼ね備えたものである。
したがって、本発明の鼻炎治療剤は、ステロイド薬や抗ヒスタミン薬に代わる新たな鼻炎治療剤としての実用化が大いに期待できる。

Claims (21)

  1. 型ナトリウム利尿ペプチド(NP)または型ナトリウム利尿ペプチド(NP)を有効成分として含有する鼻炎治療剤。
  2. C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)が、CNP−22、CNP−53、または、CNP−22若しくはCNP−53のアミノ酸配列において任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加し、かつCNP活性を有するCNP誘導体である、請求項1に記載の鼻炎治療剤。
  3. C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)がCNP−22である、請求項1または2に記載の鼻炎治療剤。
  4. B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が、BNP−26、BNP−32、BNP−45、または、BNP−26、BNP−32若しくはBNP−45のアミノ酸配列において任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加し、かつBNP活性を有するBNP誘導体である、請求項1に記載の鼻炎治療剤。
  5. B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)がBNP−32である、請求項1または4に記載の鼻炎治療剤。
  6. C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が、分子内ジスルフィド結合によって環状構造を形成する、CNPとBNPのキメラペプチドであって、
    前記CNPがCNP−22、CNP−53、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したCNP−22のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、または、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したCNP−53のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択されるペプチドであり、
    前記BNPがBNP−26、BNP−32、BNP−45、または、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−26のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−32のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチド、1〜5個の任意のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加したBNP−45のアミノ酸配列中の5アミノ酸以上の連続する任意のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択されるペプチドであり、
    かつ、CNP活性またはBNP活性を有するキメラペプチド、あるいは、その誘導体である、請求項1に記載の鼻炎治療剤。
  7. 型ナトリウム利尿ペプチド(NP)または型ナトリウム利尿ペプチド(NP)の含有量が、20〜200μg/gである、請求項1〜のいずれか一項に記載の鼻炎治療剤。
  8. 型ナトリウム利尿ペプチド(NP)または型ナトリウム利尿ペプチド(NP)の含有量が、50〜200μg/gである、請求項1〜のいずれか一項に記載の鼻炎治療剤。
  9. 型ナトリウム利尿ペプチド(NP)または型ナトリウム利尿ペプチド(NP)の含有量が、50〜100μg/gである、請求項1〜のいずれか一項に記載の鼻炎治療剤。
  10. 鼻炎が、感染性鼻炎、過敏性非感染性鼻炎、刺激性鼻炎、萎縮性鼻炎または特異性肉芽腫性鼻炎である、請求項1〜のいずれか一項に記載の鼻炎治療剤。
  11. 感染性鼻炎が、急性鼻炎または慢性鼻炎である、請求項10に記載の鼻炎治療剤。
  12. 過敏性非感染性鼻炎が、複合型(鼻過敏症)鼻炎、鼻漏型鼻炎、うっ血型鼻炎または乾燥型鼻炎である、請求項10に記載の鼻炎治療剤。
  13. 複合型(鼻過敏症)鼻炎が、アレルギー性鼻炎または非アレルギー性鼻炎である、請求項12に記載の鼻炎治療剤。
  14. アレルギー性鼻炎が、ハウスダスト、ダニ、スギ、カモガヤ、ブタクサ、および猫毛からなる群から選択される少なくとも1つのアレルゲンに対するアレルギー性鼻炎である、請求項13に記載の鼻炎治療剤。
  15. 刺激性鼻炎が、物理性鼻炎、化学性鼻炎または放射線性鼻炎である、請求項10に記載の鼻炎治療剤。
  16. 鼻炎が、充全型鼻炎、くしゃみ・鼻漏型鼻炎または鼻閉型鼻炎である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の鼻炎治療剤。
  17. 剤形が、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、液剤、粉末剤またはスプレー剤からなる点鼻剤である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の鼻炎治療剤。
  18. 鼻炎が、アトピー性皮膚炎を罹患している対象における鼻炎である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の鼻炎治療剤。
  19. 鼻炎が、ステロイド薬に治療抵抗性を示す鼻炎である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の鼻炎治療剤。
  20. 鼻炎が、ステロイド離脱困難状態に至った対象の鼻炎である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の鼻炎治療剤。
  21. 鼻炎が、抗ヒスタミン薬に治療抵抗性を示す鼻炎である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の鼻炎治療剤。
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