JP2007525213A - 新規の脳性ナトリウム利尿ペプチドの変異体及びその利用方法 - Google Patents

新規の脳性ナトリウム利尿ペプチドの変異体及びその利用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
【解決手段】
新規のBNP変異体:本発明に係る新規のBNP変異体は適宜、本明細書に記載されるように、BNP変異体で検出可能な疾患の診断に使用してもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、BNPの変異体である新規のヌクレオチド配列及びタンパク質配列、並びにそのアッセイ及びその利用方法に関する。
ECMの分解及び再構築は、組織損傷後の正常な修復のための必須の過程である。組織損傷に対する生理学的な反応は、細胞の移動及び複製、細胞外マトリクス(ECM)構成成分の代謝回転及び細胞の微細環境への変化を含む多数の因子を含む複雑な過程である。本質的に、そのような反応には、損傷した組織の修復又は交換が挙げられる。そのような反応には、特定の基礎的な原理が必ずしも関与するわけではないが、そのような修復又は交換の緻密な性質は、関与する組織に依存する。損傷後の組織の正常な又は必要な修復には、調節された遺伝子発現による多種多様な因子の協調が求められる。
従って、線維形成は、組織損傷への通常の反応である。多数の異なる因子が、生物学的な経路又は機構に影響を与え、調節し、結果として組織の線維形成に至ると考えられている。そのような因子には、初期の炎症作用、線維芽細胞集団の局所的増加、線維芽細胞の合成機能の調節、並びにコラーゲンの生合成及び分解の調節の変化が挙げられる。
線維形成に見られる組織損傷への病態生理学的応答は、結果として、元来の臓器組織の機能性を複製しない異常な組織の形成を生じるので、組織損傷の修復は、臓器の能力や機能の完全な回復をもたらさない。組織損傷への病態生理学的応答から生じる線維化過程の一例は、心筋線維症である。心筋線維症は多数の原因があり、線維性組織の沈着を招く。たとえば、心筋線維症は、心不全、高血圧、及びそのほかの心臓の病態/疾病状態から生じる可能性がある。そのような線維性組織の沈着が増加するにつれて、機能する心臓の能力が低下し、機能障害を招き、最終的には患者の死を招く。心臓における線維性組織の形成は、そのほかのマトリクスタンパク質と同様にコラーゲンを始めとする異常に大量の細胞外マトリクスの沈着を特徴とする。従って、心臓組織への損傷、従って心臓の機能する能力への損傷を防ぐために、心筋の線維化過程を抑制する必要がある。
心臓の線維芽細胞は、心不全に関係しているとみなされる間質性タンパク質及びそのほかの心筋構成成分を産生するので、心筋の線維化過程に対して重要である(Hess et al., Circ., 63:360-371, 1981; Villari et al., Am. J. Cardiol., 69:927-934, 1992; Villari et al., JACC, 22:1477-1484, 1993; Brilla et al., Circ. Res., 69:107-115, 1991; Sabbah et al., Mol. & Cell Biochem., 147:29-34, 1995)。
心不全の病理は、容積及び圧の加重負荷の双方に関連するものを含む、多数の心臓の病態又疾病状態について線維形成と明瞭に関係している(Maron et al., Cardiol., 35:725-739, 1975; Schwarz et al., Am. J. Cardiol., 42:661-669, 1978; Fuster et al., Circ., 55:504-508, 1976; Bartosova et al., J. Physiol., 200:285-295, 1969: Weber et al., Circ., 83:1849-1865, 1991; Schaper et al., Basic Res. Cardiol., 87:S1303-S1309, 1992; Boluyt et al., Circ. Res., 75:23-32, 1994; Bishop et al., J. Mol. Cardiol., 22:1157-1165, 1990)。心臓手術は、心筋線維化の原因となる可能性があり、そのような線維化が追加の手術の必要性を招く可能性があり、それはさらに高い罹患率及び死亡率と関係することが多い。
従って、心筋線維化の検出及び/又は定量は、そのような線維化を防ぐ又は治療するために非常に重要である。種々の画像技術を用いて、心筋線維化を見てもよいが、分子レベルで心筋線維化を検出するための市販の非侵襲性試験はないけれども、実際には、分子レベルでそのような線維化を検出するには、組織試料(生検)を得るための侵襲性の処置を必要とする。
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は、心臓によって産生されるナトリウム利尿ペプチドのファミリーに属する。BNP及びその関連ナトリウム利尿ペプチドANPは、17個のアミノ酸の環構造を含有し、それぞれ、容量加重負荷に反応して心房により、圧の加重負荷に反応して心室によって産生される(Broomsma et al., Cardiovascular Research, 51:442-449, 2001; McCullough et al., Reviews in cardiovascular medicine 4, suppl. 7:S3-S12, 2003)。これらのホルモンは、強力な利尿作用、ナトリウム利尿作用、血管平滑筋弛緩作用及び血管拡張作用を有するので、血液容量及び血圧を低下させる(Azzay et al., heart Failure Review 8:315-320, 2003)。その目覚しい生理作用によって、BNPは心不全の治療剤及び/又は診断マーカーとしての開発の魅力的な標的であった。
ANP及びBNPは双方ともにプレプロポリペプチドとして見い出されている。ヒトのBNPは134個のアミノ酸の前駆体プレプロBNPに由来する。放出の刺激の際、26個のアミノ酸のシグナルペプチド配列が、プレプロBNPのN末端から切断される。循環中に放出される間に、残りのプロBNP1〜108プロホルモンはさらに、コリン、膜結合性セリンプロテアーゼによって、N末端プロBNP1〜76断片及び活性のある32−ペプチド、BNPと呼ばれるC末端プロBNP77〜108ホルモンに切断される(Azzay et al., Heart Failure Review, 8, 315-320, 2003)。ANP及びBNPの主要な機能は、容量加重負荷から循環系を保護することである。それらは、血管壁の伸縮、血管の拡張及び/又は流体の加重負荷で生じる圧の増加に反応して分泌される(Azzay et al., Heart Failure Review, 8, 315-320, 2003)。双方とも、毛細血管床から間質への流体シフトを誘発し、先行加重及び血圧の低下を生じることによって血管内容量の縮小を生じる。BNPは、結果として生じる反動、頻脈、反動の血管収縮及びさらに、血管を収縮させる神経ホルモン系の活性化を生じることなく、左心室を満たす圧を低下させる重要な能力を有する。BNPはまた、心室弛緩作用を有し、心筋線維化を阻害することが明らかにされている。ナトリウム利尿ペプチドはまた、心臓及びそのほか臓器系で細胞分裂抑制作用を示すと考えられ、細胞増殖の調節における潜在的役割を示唆している。追加の証拠は、心筋の酸素消費の低下による冠状動脈に対する直接的な血管拡張作用を示唆している。
これら心臓や血管に対する特性に加えて、BNPは、腎臓の血行動態及び機能に直接的な影響を有する。糸球体ろ過の上昇は、糸球体輸入細動脈の血管拡張と糸球体輸出細動脈の血管収縮の不均衡の結果である。ナトリウム及び水の処理に対する尿細管の直接的な影響もあると思われ、結果として、アルドステロン及びレニンの放出の抑制と同様に、ナトリウム利尿及び利尿を生じる。これら特性の正味の効果は、ナトリウム利尿及び利尿と同様に動脈床及び静脈床の均衡の取れた血管拡張である(Fonarow G.C., heart Failure Review 8:321-325, 2003)。
ANP及びBNPの効果のほとんどは、A型のナトリウム利尿ペプチド受容体への結合が介在するものであり、それは、グアニルサイクラーゼを活性化し、環状グアノシン1リン酸(cGMP)の形成を生じる。cGMPは強力な血管拡張作用を有し、BNPに対するセカンドメッセンジャーとして作用する。A型のナトリウム利尿ペプチド受容体は、腎臓、血管、副腎、心臓、肺、脂肪組織、目、妊娠中の子宮及び胎盤を含む種々の組織で発現されている。ANP及びBNPの血中からのクリアランスは、2つの方法:特別なクリアランス受容体、C型ナトリウム利尿受容体を介して、及び中性のエンドペプチダーゼによる酵素的分解を介して達成される(Broomsma et al., Cardiovascular Research, 51:442-449, 2001 )。ナトリウム利尿ペプチドは、17個のアミノ酸の中央環状構造を特徴とし、それはジスルフィド架橋により形成され、各受容体へのこれらペプチドの結合及びその生物活性のために必要であると示唆されている(Azzay et al., heart Failure Review 8:315-320, 2003)。
ANP及びBNPは双方とも、心室よりも心房に多く発現される。BNPの方が心室で多く発現される(心房:心室の発現比=ANPの40:1に比べて3:1)。心不全の状態で、BNP及びANPの発現は双方とも、正常レベルよりも100倍増加する(Trends Endocrinol. Metab., 14(9):411-6, 2003 Nov.)。しかしながら、BNPの上昇は、ANPよりも大きく、速いことが多く、それは、心不全及び左心室機能不全の優れたマーカーとして出現した(Azzay et al., heart Failure Review 8:315-320, 2003)。BNPは、以下のような幾つかの異なった臨床目的で診断上の有益性を有することが示された:
1.BNPの血漿レベルの上昇は、心臓壁の緊張状態で見い出される。鬱血性の心不全(CHF)では、BNPの循環中の濃度が明らかに上昇し、この上昇は、症状の重症度を反映する。従って、心不全の患者の予後を確定するのにそれを使用することができる。さらに、それは、エコー画像のようなさらに高度の診断様態を使用することなく、不全の重症度における変化を監視するツールを提供する。
2.幾つかの研究によって、ナトリウム利尿ペプチドは心不全における生存率に関する優れた予後指標であることが明らかに示されてきた。
3.治療に対する応答の検出:血漿濃度の連続的な上昇は、上手く行ってない又は成功に乏しい治療を示している。4.心筋梗塞においてANP及びBNPの濃度も上昇し、患者がほとんど危機にあることを示す予後値である。5.BNPを測定することによって、心臓が原因の呼吸困難と心臓以外が原因の呼吸困難を識別することができる(Lancet, 19:343(8895):440-4, 1994 Feb))。しかしながら、患者が無症状である場合の心臓の損傷又は心不全の極めて早期についてそれが有用なマーカーでありうるというには証拠に限界がある。
N末端プロBNP(ntBNP)はさらに安定であり、BNPよりも血清レベルが上昇するので、理論的にはBNP自体よりもBNPの過剰産生のより良いマーカーである。さらに、BNP診断の点でその添加される値は鏡像である。左心室駆出分画(LVEF)が<40%のCHF集団の検討では、BNP及びntBNPは診断特性に差異を示さなかった。LVEF<50%の患者(あまり重篤ではない患者)については、ntBNPはBNPよりやや改善を示し、曲線下受信者動作特性面積は、ntBNPで0.82、BNPで0.794であった(Eur. J. Heart Fail., 15:6(3):295-300, 2004, Mar)。
背景技術はBNPの変異体を教示していないし、示唆していない。背景技術はまた、診断マーカーとして有用であるBNPの変異体を教示していないし、示唆していない。背景技術はまた、心臓疾患及び/又は心臓病理に関する診断マーカーとして有用であるBNPの変異体を教示していないし、示唆していない。
本発明は、適宜、診断マーカーとして使用されてもよいBNP変異体を提供することによって背景技術におけるこれらの欠陥を克服する。
好ましくは、これらのBNP変異体は、心不全及び左心室機能不全を含むが、これらに限定されない心臓疾患及び/又は心臓病態に対する診断マーカーとして有用である。本発明の好ましい実施態様によれば、心臓疾患及び/又は心臓病態及び/又は心臓の症状及び/又は心臓の障害は、1以上の心筋梗塞、急性冠状症候群、狭心症(安定及び不安定)、心筋症、心筋炎、鬱血性心不全、又はそのほかの種類の心不全、再梗塞の検出、心筋梗塞後の血栓療法の成功の検出、手術後の心筋梗塞、心筋梗塞における梗塞サイズの評価、肺関連症状(肺塞栓症)からの心臓関連症状の鑑別診断、呼吸困難の鑑別診断及び心臓弁関連の症状を含んでもよい。
本明細書で使用されるとき、語句「心臓疾患」は、慢性及び急性の双方を含むいかなる種類の心臓の病態及び/又は障害及び/又は損傷を含み、並びに急性の心臓の損傷から慢性のそれへの進行、並びに1つの急性の事象から別の急性の事象への伝播も含む。後者の例は、梗塞に、相対的に短い時間内、たとえば24時間以内に梗塞が続く場合に生じてもよい。別の例としては、梗塞は、梗塞直後の急性心不全を招いてもよい。これらの非限定例は、心臓疾患が複数の急性事象を含むことも明らかにすることを意図する。
これらの変異体マーカーは、「BNP変異体疾患マーカー」と記載されてもよい。本発明の実施態様の1つによれば、マーカーは、上記示差的な変異体マーカーの状態の1つに従って、疾患症状のもとでの血流に特異的に関係する。適宜及び好ましくは、変異体マーカーは、対象(患者)から適宜採取されてもよい生体試料において検出される。本発明の好ましい実施態様によれば、好適な生体試料の例には、血液、血清、血漿、血液細胞、尿、喀痰、唾液、大便、脊髄液、リンパ液、並びに皮膚、呼吸器、腸管、及び消化管の外部分泌物、涙、乳、神経組織並びにヒトの任意の臓器及び組織が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施態様では、生体試料は、心臓組織及び/又は血清試料及び/又は尿試料及び/又はそのほかの組織又は体液の試料を含む。抗体を使用するならば、抗体と試料を接触させる前に好適な溶離剤によって適宜、試料を希釈することができる。
4つの異なったソフトウエアプログラム:膜貫通領域の予測についてはtmhmm(生物配列分析センター、デンマーク工科大学、DTU、http://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM/TMHMM2.0b.guide.php)又はtmpred(スイスバイオインフォーマティクス研究所、ルートウィヒ癌研究センター、ISRECバイオインフォーマティクスグループ及びLICR情報技術オフィスによって維持されているEMBネット、http://www.ch.embnet.org/software/TMPRED_form.html)、シグナルペプチドの予測についてはsignalp_hmm及びsignalp_nn(双方共に生物配列分析センター、デンマーク工科大学、DTU、http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/background/prediction.php)に従って局在を決定した。用語「signalp_hmm及びsignalp_nn」は、プログラムSignalPの操作の2つの方式を言い:hmmは、ハイデンマルコフモデルを言い、一方、nnは、神経ネットワークを言う。機知のタンパク質局在及び/又は遺伝子構造の手動での推測、並びに個々の研究者の経験則の使用によっても局在を決定した。細胞における局在の予測の手動での推測では場合によっては、研究者は、ProLoc計算基盤[Einat-Hazkani-Covo, Erez levanon, Galit Rotman, Dan graur and Amit Novik (2004):後生動物における多細胞性の進化:酵母、ショウジョウバエ及び線虫におけるタンパク質の細胞局在の比較分析、Cell Biology International 25(3):171-8, 2004]を使用したが、それは、タンパク質ドメイン(たとえば、膜貫通領域の予測及びタンパク質内でのその局在)、pI、タンパク質の長さ、アミノ酸組成、注釈を付ける前のタンパク質との相同性、タンパク質を特定の細胞内小器官に向ける配列パターンの認識(たとえば、核局在シグナル、NLS、ミトコンドリア局在シグナル)、シグナルペプチド及びアンカー形成を含む種々のパラメータに基づいて、単一区分に特異的なPfamからの独特のドメインを用いて、タンパク質の局在を予測する。
情報は、SNP(単一ヌクレオチド多型)に関して本文中に提供される。略記の記載は以下のとおりである。「T−>C」は、SNPが、表に与えられた位置にてTからCへの変化を生じることを意味する。同様に、「M−>Q」は、SNPが、相当するアミノ酸配列にてメチオニン(M)からグルタミン(Q)への変化を生じたことを意味する。ヌクレオチド配列SNPについて右側で文字の代わりにスペースがあれば、フレームシフトが生じたことを示す。フレームシフトはハイフン(−)で示してもよい。停止コドンは右側での星印(*)によって示される。SNPの記載の部分として、SNP自体の上記記載の後の括弧の中にコメントが見い出されてもよい。このコメントは、示されたSNPと共に創られたSwissProtエントリーに対する識別子であるFTIdを含んでもよい。FTIdは独特で安定な特徴識別子であり、特徴表における位置特異的な注釈から特殊化されたタンパク質関連データベースに直接リンクを構成することができる。FTIdは、以下のような:XXXが、特異的な特徴キーに対する3文字コドンであり、下線により6桁数から分離されるFTId=XXX_数のような、記載分野における特徴の常に最後の構成成分である。本発明の選択されたスプライス変異体の野生型タンパク質のアミノ酸突然変異の表では、最初の欄の見出しが、アミノ酸配列の既知の突然変異の位置を示す「アミノ酸配列でのSNPの位置」である。SNPは、単独で又は1以上のそのほかのSNP及び又はそのほかの診断マーカーと共に、本発明に係る診断マーカーとして適宜、使用されてもよい。本発明の好ましい実施態様は、以下に示す既知(WT又は野生型)のタンパク質配列における新規のSNPを含むそのようなSNP、そのようなSNPを介して形成される新規の核酸又はアミノ酸の配列、及び/又は本明細書で記載される変異体アミノ酸及び/又は核酸の配列における任意のSNPを含む。
以下のリストは、このクラスターのEST発現を示すヒストグラムにおける略記に関する(示されていない組織は極わずかな発現を有したか、又は全く発現していなかった)
ADP=脂肪細胞
BLD=血液
BLDR=膀胱
BRN=脳
BONE=骨
BM=骨髄
BRS=乳腺
CAR=軟骨
CNS=中枢神経系
COL=結腸
E_ADR=内分泌_副腎
E_PAN=内分泌_膵臓
E_PT=内分泌_副甲状腺
ENDO=内分泌_特徴付けなし
EPID=上皮
GI=消化管
GU=尿生殖器
HN=頭頚
HRT=心臓
KD=腎臓
LI=肝臓
LUNG=肺
LN=リンパ節
MUS=筋肉
OV=卵巣
PNS=末梢神経系
PRO=前立腺
SKIN=皮膚
SPL=脾臓
SYN=滑膜
TCELL=免疫T細胞
THYM=胸腺
TST=精巣
UTER=子宮頚部
VAS=血管
野生型に対する相同性は、以下の特殊(初期設定ではない)パラメータ:
−モデル=sw.モデル
−GAPEXT=0
−GAPOP=100.0
−MATRIX=blosum100を用いたスミス−ウォータマン、バージョン5.1.2によって決定した。
用語「断片」、「セグ」及び「ノード」は、本発明の核酸配列を参照して相互交換可能に使用され、以下に記載されるような1以上の特性を有することが示された核酸配列の部分を言うことに言及すべきである。それらはまた、以下でさらに詳細に記載されるように完全な核酸配列を構築するのに使用された成形ブロックである。適宜及び好ましくは、それらは、本発明の実施態様であるオリゴヌクレオチドの例であり、たとえば、アンプリコン、ハイブリッド形成単位としての例であり、及び/又はそれから適宜プライマー及び/又は相補的なオリゴヌクレオチドを誘導するオリゴヌクレオチドであり、及び/又はそのほかの任意の用途のオリゴヌクレオチドである。
本明細書で使用されるとき、語句「心臓疾患」は、慢性及び急性の双方を含むいかなる種類の心臓の病態及び/又は障害及び/又は損傷を含み、並びに急性の心臓の損傷から慢性のそれへの進行、並びに1つの急性の事象から別の急性の事象への伝播も含む。後者の例は、梗塞に、相対的に短い時間内、たとえば24時間以内に梗塞が続く場合に生じてもよい。別の例としては、梗塞は、梗塞直後の急性心不全を招いてもよい。これらの非限定例は、心臓疾患が複数の急性事象を含むことも明らかにすることを意図する。
本発明の背景における用語「マーカー」は、心臓疾患を有していない対象から採取された匹敵する試料と比べたとき、たとえば、急性の心臓の損傷のような心臓疾患を有する患者から採取された試料中に示差的に存在する核酸断片、ペプチド又はポリペプチドを言う。
本明細書で使用されるとき、語句「示差的に存在する」は、心臓疾患を有していない対象から採取された匹敵する試料と比べたとき、心臓疾患を有する患者から採取された試料中に存在するマーカーの量における差異を言う。たとえば、ハイブリッド形成法及び/又はNATに基づくアッセイによって測定したとき、1つの試料における核酸断片の量が他の試料における核酸の量と有意に異なっていれば、核酸断片は、2つの試料の間で適宜、示差的に存在してもよい。1つの試料におけるポリペプチドの量が他の試料におけるポリペプチドの量と有意に異なっていれば、ポリペプチドは、2つの試料の間で適宜、示差的に存在する。マーカーが1つの試料では検出可能であり、他の試料では検出可能でなければ、そのとき、そのようなマーカーは示差的に存在するとみなすことができることに言及すべきである。たとえば、急性の心臓損傷の場合では、マーカー(たとえば、タンパク質又はその断片)が患者の血液試料に適宜存在すればよく、それは損傷の存在を指し;そのようなマーカーの存在の欠如(及び/又は、低レベルの存在)は、従って、適宜及び好ましくは、そのような損傷の欠如を指す。或いは、慢性的に損傷された心臓は、血液試料に存在すべきマーカーの低レベルを生じる一方で、急性の損傷は、存在すべき高レベルを生じる。当業者は、マーカーのそのような相対的なレベルを容易に決定すればよく;さらに以下の個々のマーカーの記載で指針がさらに提供される。
本明細書で使用されるとき、語句「診断上」は、病理学的症状の存在又は性質を確認することを意味する。診断方法は、その感受性及び特異性が異なる。診断法の「感受性」は、試験陽性である病気の個体の比率(「真性陽性のパーセント)である。その方法で検出されない病気の個体は、「偽陰性」である。病気ではなく且つ試験陰性の対象は、「真性陰性」である。診断法の「特異性」は、1マイナス偽陽性率であり、「偽陽性率」は病気でなく試験陽性の者の比率として定義される。特定の診断方法が症状の決定的な診断を提供しなくてもよい一方で、方法が、診断に役立つ陽性の指示を提供すればそれは十分である。
本明細書で使用されるとき、語句「診断すること」は、疾患又は症状を分類し、疾患の重症度を決定し、疾患の進行を監視し、疾患の予後及び/又は回復の見込みを予想することを言う。用語「検出すること」も適宜、上記のいずれかを包含してもよい。
本発明に係る疾患の診断は、対象から得られる生体試料における本発明のポリヌクレオチド又はポリペプチドのレベルを決定することによって達成することができるが、決定されるレベルは、疾患の素因、存在又は非存在に相関することができる。「対象から得られる生体試料」はまた、以下でさらに詳細に記載されるような対象から物理的に取り出されたことがない試料を適宜含んでもよいことが言及されるべきである。
本明細書で使用されるとき、用語「レベル」は、本発明のマーカーのRNA及び/又はタンパク質の発現レベル又はDNAのコピー数を言う。
通常、対象から得られる生体試料におけるマーカーのレベルは、健常な個体から得られる同様の試料における同一変異体のレベルとは異なる(すなわち、上昇又は低下する)(生体試料の例は本明細書に記載される)。
対象における当該変異体のDNA、RNA及び/又はポリペプチドのレベルを決定するために、多数の周知の組織又は体液の採取方法を利用して対象から生体試料を採取することができる。
例には、微細針生検、針生検、コア針生検及び外科生検(たとえば、脳生検)及び洗浄が挙げられるが、これらに限定されない。採用される処置にかかわらず、いったん、生検/試料が得られると、変異体のレベルを決定することができるので、診断を下すことができる。
好ましくは、同一起源の正常組織における同一変異体のレベルの決定は、正常組織とは対照的な変異体の発現の上昇及び/又は増幅及び/又は発現の低下を検出するために平行して達成される。
マーカーの「試験量」は、調べられる試料に存在するマーカーの量を言う。試験量は、絶対量(たとえば、マイクログラム/mL)又は相対量(たとえば、シグナルの相対強度)のいずれかであることができる。
マーカーの「試験量」は、心臓疾患の診断と矛盾しない対象の試料におけるマーカーの量を言う。試験量は、絶対量(たとえば、マイクログラム/mL)又は相対量(たとえば、シグナルの相対強度)のいずれかであることができる。
マーカーの「対照量」は、マーカーの試験量に対して比較される任意の量又は量の範囲であることができる。たとえば、マーカーの対照量は、心臓疾患の患者又は心臓疾患ではないヒトにおけるマーカーの量であることができる。対照量は、絶対量(たとえば、マイクログラム/mL)又は相対量(たとえば、シグナルの相対強度)のいずれかであることができる。
「検出する」は、検出される目的物の存在、非存在又は量を同定することを言う。
「標識」には、分光光度、光学化学、生化学、免疫化学又は化学の手段によって検出可能な部分又は品目が挙げられる。たとえば、有用な標識には、32P、35S、蛍光染料、電子密度試薬、酵素(たとえば、ELISAで一般に使用される)、ビオチン−ストレプトアビジン、ジオキシゲニン、抗血清又はモノクローナル抗体が利用できるハプテン及びタンパク質、標的に相補的な配列を持つ核酸分子が挙げられる。標識は、試料中で結合した標識の量を定量するのに使用することができる放射活性シグナル、発色シグナル又は蛍光シグナルのような測定可能なシグナルを生成することが多い。共有結合、イオン、ヴァンデルワース力又は水素結合のいずれかを介してプライマー又はプローブに標識を取り込む又は結合させることができ、たとえば、放射活性ヌクレオチドの取り込み、又はストレプトアビジンによって認識されるビオチン化ヌクレオチドの取り込み。標識は、直接又は間接的に検出可能である。間接的検出には、一次標識への二次標識の直接的又は間接的な結合が関与する。たとえば、標識は、ストレプトアビジンに対する結合相手であるビオチンのような結合相手のリガンド、又は特異的にハイブリッド形成することができる相補的配列の結合相手であるヌクレオチド配列であることができる。結合相手はそれ自体直接的に検出されてもよく、たとえば、抗体はそれ自体蛍光分子で標識されてもよい。結合相手は間接的に検出されてもよく、たとえば、相補的ヌクレオチド配列を有する核酸は、同様に他の核酸分子とのハイブリッド形成を介して検出可能である分枝DNA分子の一部であることができる(たとえば、P.D. Fahrlander and A. Klausner, Bio/Technology 6:1165, 1988を参照のこと)。シグナルの定量は、たとえば、シンチレーションカウンタ、デンシトメータ又はフローサイトメトリーによって達成される。
免疫アッセイで適宜に好ましく使用されるための例示的な検出可能な標識には、磁気ビーズ、蛍光染料、放射性標識、酵素(たとえば、西洋ワサビのペルオキシド、アルカリ性ホスファターゼ及びELISAで一般に使用されるそのほか)、及びコロイド状の金又は着色ガラス又はプラスチックビーズのような熱量測定用標識が挙げられるが、これらに限定されない。或いは、たとえば、二次標識抗体を用いて結合したマーカー特異的な抗体を検出する間接アッセイ、及び/又はたとえば、マーカーの別個のエピトープに結合するモノクローナル抗体を混合物と同時にインキュベートする競合アッセイ又は阻害アッセイを用いて、試料中のマーカーを検出することができる。
「免疫アッセイ」は、抗原に特異的に結合する抗体を用いるアッセイである。免疫アッセイは、特定の抗体の特異的結合特性を用いて抗原を単離する、標的とする及び/又は定量することを特徴とする。
タンパク質又はペプチド(又はそのほかのエピトープ)を言う場合、語句、抗体に「特異的に(又は選択的に)結合する」又は「特異的に(又は選択的に)免疫反応性である」は、異質性のタンパク質又はそのほかの生物製剤の集団におけるタンパク質の存在を決定する結合反応を言う。従って、指定された免疫アッセイの条件下では、特定の抗体は、バックグランド(非特異的シグナル)よりも少なくとも2倍大きく特定のタンパク質と結合し、試料中に存在するそのほかのタンパク質に有意な量では実質的に結合しない。そのような条件下での抗体への特異的結合は、特定のタンパク質へのその特異性について選択された抗体を必要としてもよい。たとえば、ラット、マウス、又はヒトのような特定の種に由来する精子塩基性タンパク質に対して作られたポリクローナル抗体を選択して、精子塩基性タンパク質の多型変異又は対立遺伝子を除いて、そのほかのタンパク質と反応しない、精子塩基性タンパク質に特異的に免疫反応性であるポリクローナル抗体のみを得ることができる。この選択は、他の種に由来する精子塩基性タンパク質分子と交差反応をする抗体を差し引くことによって達成される。種々の免疫アッセイの形式を利用して特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択してもよい。たとえば、固相ELISA免疫アッセイを日常的に用いてタンパク質と特異的な免疫反応をする抗体を選択する(たとえば、特異的免疫反応性を決定するのに使用することができる免疫アッセイの形式及び条件の記載については、Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (1988)を参照のこと)。通常、特異的な又は選択的な反応は、バックグランドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍、さらに通常では、バックグランドの10〜100倍よりも大きい。
本発明の好ましい実施態様によれば、好ましくは、上記核酸及び/又はアミノ酸の配列のいずれかが、少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%のそれとの相同性を有する任意の配列をさらに含む。
本発明の実施態様として本明細書で示される核酸配列及び/又はアミノ酸配列はすべて、単離されたポリヌクレオチド(あらゆる転写物を含む)、オリゴヌクレオチド(あらゆる断片、アンプリコン及びプライマーを含む)、ペプチド(あらゆる尾部、架橋部、挿入部、頭部を含み、適宜、本明細書で記載されるようなそのほかの抗体エピトープを含む)、及び/又はポリペプチド(あらゆるタンパク質をふくむ)としての、それらの単離された形態に関係する。オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチド、又はペプチド及びポリペプチドは適宜、相互交換可能に使用されてもよいことに言及すべきである。
言及しない限り、あらゆる実験データは、本発明の変異体に関するものであり、(記載されるようなRT−PCTを介して発現が調べられると)調べられた断片に従って命名される。
本発明の好ましい実施態様によれば、HUMNATPEP_PEA_1_T1、HUMNATPEP_PEA_1_T2、HUMNATPEP_PEA_1_T3 又は HUMNATPEP_PEA_1_T4から成る群より選択された核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドが提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、HUMNATPEP_PEA_1_ノード_0、 HUMNATPEP_PEA_1_ノード_1、HUMNATPEP_PEA_1_ノード_2、HUMNATPEP_PEA_1_ノード_3、HUMNATPEP_PEA_1_ノード_4、HUMNATPEP_PEA_1_ノード_5又はHUMNATPEP_PEA_1_ノード_6から成る群より選択された核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチド断片が提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、HUMNATPEP_PEA_1_P2、HUMNATPEP_PEA_1_P3又はHUMNATPEP_PEA_1_P7から成る群より選択されたアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドが提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、HUMNATPEP_PEA_1_P2のアミノ酸1〜129にも相当するANFB_HUMANのアミノ酸1〜129に相当するMDPQTAPSRALLLLLFLHLAFLGGRSHPLGSPGSASDLETSGLQEQRNHLQGKLSELQVEQTSLEPLQESPRPTGVWKSREVATEGIRGHRKMVLYTLRAPRSPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKに少なくとも90%相同である第1のアミノ酸配列、及びHUMNATPEP_PEA_1_P2のアミノ酸130〜162に相当する配列GKHPLPPRPPSPIPVCDTVRVTLGFVVSGNHTLを有するポリペプチドに少なくとも70%、適宜少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%相同である第2のアミノ酸配列を含み、その際、前記第1及び第2のアミノ酸配列は、隣接して順に並ぶHUMNATPEP_PEA_1_P2をコードする単離されたキメラポリペプチドが提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、HUMNATPEP_PEA_1_P2における配列GKHPLPPRPPSPIPVCDTVRVTLGFVVSGNに少なくとも70%、適宜少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%相同であるポリペプチドを含むHUMNATPEP_PEA_1_P2の尾部をコードする単離されたポリペプチドが提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、HUMNATPEP_PEA_1_P3のアミノ酸1〜44にも相当するANFB_HUMANのアミノ酸1〜44に相当するMDPQTAPSRALLLLLFLHLAFLGGRSHPLGSPGSASDLETSGLQ に少なくとも90%相同である第1のアミノ酸配列、及びHUMNATPEP_PEA_1_P3のアミノ酸45〜75に相当する配列VRAEGSSGGLDSSNERVLTCCPKRPSSFLWNを有するポリペプチドに少なくとも70%、適宜少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%相同である第2のアミノ酸配列を含み、その際、前記第1及び第2のアミノ酸配列は、隣接して順に並ぶHUMNATPEP_PEA_1_P3をコードする単離されたキメラポリペプチドが提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、HUMNATPEP_PEA_1_P3における配列VRAEGSSGGLDSSNERVLTCCPKRPSSFLWNに少なくとも70%、適宜少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%相同であるポリペプチドを含む、HUMNATPEP_PEA_1_P3の尾部をコードする単離されたポリペプチドが提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、HUMNATPEP_PEA_1_P7のアミノ酸1〜42にも相当するANFB_HUMANのアミノ酸93〜134に相当するMVLYTLRAPRSPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRHに少なくとも90%相同である第1のアミノ酸配列を含むHUMNATPEP_PEA_1_P7をコードする単離されたキメラポリペプチドが提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、本明細書に記載されるようなアミノ酸配列のエピトープに特異的に結合することが可能である抗体が提供される。
適宜、アミノ酸配列は、本明細書に記載されるような尾部に相当する。また、適宜、抗体は、前記エピトープを有するスプライス変異体と相当する既知のタンパク質とを区別することが可能である。
本発明の好ましい実施態様によれば、本明細書に記載されるようなスプライス変異体の過剰発現を検出するキットを含む、心臓障害を検出するキットが提供される。適宜、キットは、NAT−に基づいた技術を含む。また適宜、キットはさらに、本明細書に記載されるような核酸配列と選択的にハイブリッド形成することが可能である少なくとも1対のプライマーを含む。
適宜、キットはさらに、本明細書に記載されるような核酸配列と選択的にハイブリッド形成することが可能である少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。また、適宜、キットは本明細書に記載されるような抗体を含む。好ましくは、キットはさらにELISA又はウエスタンブロットを行うための少なくとも1つの試薬を含む。
本発明の好ましい実施態様によれば、上記請求項のいずれかに記載のスプライス変異体の過剰発現を検出することを含む、心臓障害を検出する方法が提供される。適宜、過剰発現の検出は、NAT−に基づいた技術によって行われる。また適宜、過剰発現の検出は、免疫アッセイで行われる。好ましくは、免疫アッセイは、本明細書に記載されるような抗体を含む。
本発明の好ましい実施態様によれば、上記核酸配列又はその断片、或いは上記アミノ酸配列又はその断片を含む、BNP変異体で検出可能な疾患を検出することが可能である生体マーカーが提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、本明細書に記載されるような生体マーカー又は抗体又は方法又はアッセイと共に、BNP変異体で検出可能な疾患に冒された細胞を検出することを含む変異体で検出可能な疾患をスクリーニングする方法が提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、本明細書に記載されるような生体マーカー又は抗体又は方法又はアッセイと共に、BNP変異体で検出可能な疾患に冒された細胞を検出することを含む、BNP変異体で検出可能な疾患を診断する方法が提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、本明細書に記載されるような生体マーカー又は抗体又は方法又はアッセイと共に、BNP変異体で検出可能な疾患に冒された細胞を検出することを含む、BNP変異体で検出可能な疾患の進行及び/又は治療有効性及び/又は急性若しくは慢性の増悪をモニターする方法が提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、本明細書に記載されるような生体マーカー又は抗体又は方法又はアッセイと共に、BNP変異体で検出可能な疾患に冒された細胞を検出すること及び前記検出に従って治療法を選択することを含む、BNP変異体で検出可能な疾患の治療法を選択する方法が提供される。
BNP変異体で検出可能な疾患は適宜、心不全及び/又は左心室機能不全を含む。
本発明の好ましい実施態様によれば、本明細書に記載されるような単離されたポリヌクレオチドを含む核酸構築物が提供される。
核酸構築物は適宜、単離されたポリヌクレオチドの転写をセンス方向又はアンチセンス方向で調節するためのプロモータをさらに含む。
核酸構築物は適宜、相同組換え事象について選択するための陽性及び陰性の選択マーカーをさらに含む。
本発明の好ましい実施態様によれば、本明細書に記載されるような核酸構築物を含む宿主細胞が提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、初期設定パラメータ又はそのアクティブ部を用いたEMBnetスイス(http://www.ch.embnet.org/index.html)のLALIGNソフトウエアを用いて決定したとき、本明細書に記載されるようなポリペプチドに少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドが提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、本明細書に記載されるようなポリペプチドをコードする核酸配列と特異的にハイブリッド形成可能なオリゴヌクレオチドが提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、治療上有効量の本明細書に記載されるようなポリペプチド及び薬学上許容可能なキャリア又は希釈剤を含む医薬組成物が提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、対象におけるBNP関連疾患を治療する方法が提供され、該方法は、対象において本明細書に記載されるようなポリペプチドの発現を上方調節し、それによって患者におけるBNP関連疾患を治療することを含む。前記ポリペプチドの発現の上方調節は適宜、
(i)対象に前記ポリペプチドを投与すること及び/又は
(ii)前記ポリペプチドをコードする発現可能なポリヌクレオチドを対象に投与することによって達成される。
本発明の好ましい実施態様によれば、配列番号20、23又は26から成る群より選択されたアンプリコンを含む単離されたオリゴヌクレオチドが提供される。
本発明の好ましい実施態様によれば、本明細書に記載されるようなアンプリコン又は断片を増幅することが可能である単離されたオリゴヌクレオチドの対を含む1対のプライマーが提供される。適宜、該プライマーは、配列番号18と19、21と22、24と25又は27と28から成る群より選択された1対の単離されたオリゴヌクレオチドを含む。
定義されない限り、本明細書で使用される専門用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されている意味を有する。以下の参考文献は、本発明で使用される用語の多くの一般的定義と共に技量の1つを提供する:Singleton et al., 微生物及び分子生物学の辞典(1994年第2版);科学及び技術のケンブリッジ辞典(Walker ed., 1988));遺伝学辞典、第5版、Rieger et al. (eds.), Springer Verlag (1991);及びハーパー・コリンズの生物学辞典(1991年)。これらすべては、本明細書で完全に述べられるが如く参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書で使用されるとき、以下の用語は、特定されない限り、それらに帰する意味を有する。
本発明は、適宜、診断用マーカーとして使用してもよいBNP変異体を提供することによって背景技術のこれらの欠陥を克服する。
好ましくは、これらのBNP変異体は、心不全及び左心室機能不全を含むが、これらに限定されない心臓疾患及び/又は心臓病態のための診断用マーカーとして有用である。本発明の変異体は、利尿、ナトリウム利尿、血管平滑筋弛緩及び血管拡張作用、並びに血液容量及び血圧の低下を含むが、これらに限定されない治療法用途のために適宜、追加的に又は代替的に使用してもよい。これらの変異体は、心不全の治療的処理に適宜使用されてもよい。
本発明は、感度の良く且つ精密な、心臓疾患のための新規のマーカーである。本発明の方法論を使用して明らかにされ、本明細書に記載される生体分子の配列(アミノ酸及び/又は核酸の配列)は、疾患を治療する又は予防するための組織又は病態のマーカー及び/又は薬剤又は薬剤標的として有効に利用されてもよい。
これらのマーカーは、心臓の損傷を含むが、これらに限定されない心臓疾患及び/又は心臓病態の状態のもとで血流に特異的に放出され、及び/又はさもなければ心臓で非常に高いレベルで発現され、及び/又は特異的に発現される。本発明の方法は、他の正常組織と比較して、好ましくは、骨格筋組織と比較して心筋組織に示差的に転写物が発現されることを特徴とするクラスター(遺伝子)を同定する。心臓組織が低酸素(壊死と共に又は壊死なしで)を経験する急性症状では、正常では分泌されない細胞内タンパク質が細胞膜を介して細胞外空間に漏れ出すことができる。従って、ESTの発現の解析を介したようま、心筋組織に示差的に発現されるタンパク質は、急性の心臓損傷の潜在的なマーカーである。
細胞内内容物の漏出は心筋への慢性的な損傷でも生じうるので、本方法に従って選択されたタンパク質は慢性の心臓症状に対する潜在的なマーカーである。心筋で示差的に発現されるタンパク質が分泌された場合、分泌は、細胞外で生理的役割を有するので、慢性的損傷に反応して心筋によって使用される可能性があるので、それは、慢性の心臓損傷のマーカーとして有用である可能性が高い。この合理的根拠は、示差的に発現される心筋タンパク質であり、分泌され、鬱血性心不全のマーカーであることが示されているタンパク質BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)及びANP(心房ナトリウム利尿因子)の非限定例によって経験的に支持されている。さらに、BNP及びANPは心臓組織で示差的に発現されるだけでなく、心不全が発生した場合、劇的に過剰発現される(何百倍もの発現)。そのほかの心臓特異的な分泌タンパク質は慢性的損傷で同様の過剰発現を提示してもよい。
適宜及び好ましくは、本明細書で記載されるマーカーは、以下でさらに詳細に記載されるように筋肉とは対照的に心臓で過剰発現される。患者試料におけるこれらマーカーの単独又は組み合わせての測定は、診断医が心臓の損傷を含むが、これらに限定されない心臓疾患及び/又は心臓の病態の可能性ある診断と相関させることができる情報を提供する。
従って、本発明は、心臓の損傷を含むが、これらに限定されない心臓疾患及び/又は心臓の病態の診断用アッセイ、及び適宜及び好ましくは、対象(患者)から得た試料、より好ましくは一種の血液試料における心臓の損傷を含むが、これらに限定されない心臓疾患及び/又は心臓の病態の検出のためのそのようなマーカーの使用方法(単独又は組み合わせ)にも関する。
従って、本発明は、心臓の損傷を含むが、これらに限定されない心臓疾患及び/又は心臓の病態の診断用アッセイ、及び適宜及び好ましくは、対象(患者)から得た試料、より好ましくは一種の血液試料における心臓の損傷を含むが、これらに限定されない心臓疾患及び/又は心臓の病態の検出のためのそのようなマーカーの使用方法(単独又は組み合わせ)にも関する。
別の実施態様では、本発明は、そのようなペプチドの架橋部、尾部、頭部及び/又は挿入部、及び/又は類縁体、相同体及び誘導体に関する。そのような架橋部、尾部、頭部及び/又は挿入部は、実施例に関連して以下で詳細に記載される。
本明細書で使用されるとき、「尾部」は、本発明に係るスプライス変異体に独特であるアミノ酸配列の末端のペプチド配列を言う。従って、そのような尾部を有するスプライス変異体は適宜、スプライス変異体の少なくとも第1の部分が通常、相当する既知のタンパク質の部分に高い相同性があるが(100%同一であることが多い)、少なくとも変異体の第2の部分が尾部を含むという点でキメラとみなされてもよい。
本明細書で使用されるとき、「頭部」は、本発明に係るスプライス変異体に独特であるアミノ酸配列の開始部分のペプチド配列を言う。従って、そのような頭部を有するスプライス変異体は適宜、スプライス変異体の少なくとも第1の部分が頭部を含み、少なくとも第2の部分が通常、相当する既知のタンパク質の部分に高い相同性がある(100%同一であることが多い)という点でキメラとみなされてもよい。
本明細書で使用されるとき、「縁部分」は、野生型又は既知のタンパク質では接合していなかった、本発明に係るスプライス変異体の2つの部分の接続を言う。たとえば、縁は適宜、変異体の「既知のタンパク質」部分と尾部との間の接合によって生じてよく、及び/又は野生型配列の内部部分がもはや存在しなければ、既知のタンパク質では隣接していなかったスプライス変異体において、配列の2つの部分が今や隣接するように生じてもよい。「架橋部」は適宜、上述のような縁部分であってもよいが、頭部と変異体の「既知のタンパク質」部分との間の接合、又は尾部と変異体の「既知のタンパク質」部分との間の接合、又は挿入部と変異体の「既知のタンパク質」部分との間の接合を含んでもよい。
適宜及び好ましくは、尾部又は頭部又は独特の挿入部と変異体の「既知のタンパク質」部分との間の架橋部は、少なくとも約10個のアミノ酸、好ましくは少なくとも約20個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも約30個のアミノ酸、及びその上より好ましくは少なくとも約40個のアミノ酸を含み、その際、少なくとも1個のアミノ酸が尾部/頭部/挿入部に由来し、且つ少なくとも1個のアミノ酸が変異体の「既知のタンパク質」部分に由来する。また適宜、架橋部は、約10〜約40のアミノ酸のいかなる数(たとえば、10、11、12、13・・・37、38、39、40の長さのアミノ酸又は間のいかなる数)を含んでもよい。
架橋部はいずれの方向にも配列の長さを超えて伸びることができないことに言及すべきであり、各架橋部の記載は、架橋の長さが配列自体を超えて伸びないように読まれるべきであることを前提とすべきである。
さらに、架橋部は、以下の特定の背景でスライドウインドウに関して記載される。たとえば、架橋部の特定の記載は、以下の形式を特徴とする:2つの縁(既知のタンパク質の部分が変異体で存在しない)の間の架橋部は適宜、以下のように記載されてもよい:nが、少なくとも約10個のアミノ酸、適宜少なくとも約20個のアミノ酸、好ましくは少なくとも約30個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも約40個のアミノ酸及び最も好ましくは少なくとも約50個のアミノ酸であり、少なくとも2つのアミノ酸が、以下のような構造(CONTIG-NAME_P1の配列に従った番号付け)を有するXX(架橋の中央の2つのアミノ酸、縁の各末端からの1つ)を含む、長さ「n」を有するポリペプチドを含むCONTIG-NAME_P1(タンパク質の名称を表す)の架橋部分:アミノ酸番号49−x〜49(たとえば)のいずれかから開始し、アミノ酸番号50+((n−2)−x)(たとえば)のいずれかで終了し、その際、xが0〜n−2で変化する配列。この例では、nが10〜50アミノ酸の長さの間でのいかなるアミノ酸数でもある架橋部を含むとしても読まれるべきである。さらに、架橋ポリペプチドは、配列を超えて伸びることはできないので、49−x(たとえば)は1未満ではなく、50+((n−2)−x)(たとえば)は全配列の長さより長くないように読まれるべきである。
別の実施態様では、本発明は、本発明のスプライス変異体及びそのポリペプチド断片を特異的に認識する抗体を提供する。好ましくは、そのような抗体は、本発明のスプライス変異体を示差的に認識するが、相当する既知のタンパク質を認識しない(そのような既知のタンパク質は以下の実施例でそのスプライス変異体に関して議論される)。
別の実施態様では、本発明は、本発明に係るスプライス変異体をコードし、本明細書に列記される配列のいずれか1つに述べられるようなヌクレオチド配列又はそれに相補的な配列を有する単離された核酸分子を提供する。別の実施態様では、本発明は、本明細書に列記される配列のいずれか1つに述べられるようなヌクレオチド配列又はそれに相補的な配列を有する単離された核酸分子を提供する。別の実施態様では、本発明は、本発明の核酸分子と特異的にハイブリッド形成する少なくとも約12ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドを提供する。別の実施態様では、本発明は、本発明の単離された核酸を含むベクター、細胞、リポソーム及び組成物を提供する。
別の実施態様では、本発明は、生体試料において本発明に係るスプライス変異体を検出する方法であって、生体試料において抗体がスプライス変異体と特異的に相互作用するが、既知の相当するタンパク質(既知のタンパク質は以下の実施例でそのスプライス変異体に関して議論される)を認識しない条件下で本発明に係るスプライス変異体を認識する抗体に生体試料を接触させること、及び前記相互作用を検出することを含み、その際、相互作用の存在が生体試料におけるスプライス変異体の存在と相関する方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、生体試料においてスプライス変異体の核酸配列を検出する方法であって、生体試料の核酸材料に単離された核酸分子又は少なくとも約最小限の長さのオリゴヌクレオチド断片をハイブリッド形成させること、及びハイブリッド形成複合体を検出することを含み、その際、ハイブリッド形成複合体の存在が、生体試料におけるスプライス変異体の核酸配列の存在と相関する方法を提供する。
本発明によれば、本明細書に記載されるスプライス変異体は、心臓の損傷を含むが、これらに限定されない心臓疾患及び/又は心臓病態を診断するためのマーカーの非限定例である。本発明の各スプライス変異体は、単独で又は組み合わせて、心臓の損傷を含むが、これらに限定されない心臓疾患及び/又は心臓病態の予後、予測、スクリーニング、初期診断、進行の判定、治療法の選択及び治療モニターを含むが、これらに限定されない種々の用途に使用することができる。
本発明の任意の、しかし、好ましい実施態様によれば、本発明にかかるマーカーはいずれも適宜、単独で又は組み合わせて使用してもよい。そのような組み合わせは適宜、本明細書に記載される複数のマーカーを含み、適宜、マーカーの補助的組み合わせ及び/又は少なくとも1つのほかのマーカー、たとえば、既知のマーカーを特徴とする組み合わせを包含する。さらに、そのような組み合わせは、適宜及び好ましくは、本明細書に記載されるそのほかのマーカー及び/又はそのほかの既知のマーカー及び/又はそのほかのマーカーとの本明細書に記載されるマーカーの定量的測定又は半定量的測定の比を決定することに関連して上述されるように使用してもよい。本明細書に記載されるマーカー(又はその組み合わせ)と既知のマーカーとの間のそのような比に関して、より好ましくは、既知のマーカーは、各クラスター又は遺伝子に関して以下で詳細に記載される「既知のタンパク質」を含む。
本発明のそのほかの好ましい実施態様によれば、スプライス変異体タンパク質又はその断片、或いはスプライス変異体核酸配列又はその断片は、生体マーカーが適宜上記のいずれかを含むように、心臓の損傷を含むが、これらに限定されない心臓疾患及び/又は心臓病態を検出するための生体マーカーとして特徴付けられてもよい。さらにそのほかの好ましい実施態様によれば、本発明は、適宜及び好ましくは、本明細書で記載されるようなスプライス変異体タンパク質に相当する核酸配列によってコードされるアミノ酸配列又はその断片を包含する。そのようなアミノ酸配列又はその断片に関する任意のオリゴペプチド又はペプチドは適宜、また(追加的に又は代替的に)、尾部、頭部、挿入部、縁又は架橋部として描かれるこれらタンパク質の独特のアミノ酸配列を含むが、これらに限定されない生体マーカーとして使用してもよい。本発明はまた、適宜、そのようなオリゴペプチド又はペプチドを認識する及び/又はそれによって導き出される抗体も包含する。
本発明はまた、適宜及び好ましくは、上述のような、適宜、任意の適用のための本発明のスプライス変異体に相当する任意の核酸配列又はその断片、或いはアミノ酸配列又はその断片を包含する。
方法又はアッセイの非限定例を以下に記載する。
本発明はまた、そのような診断方法又はアッセイに基づくキットにも関する。
核酸配列及びオリゴヌクレオチド
本発明の種々の実施態様は、上記に記載された核酸配列、その断片、それとハイブリッド形成する配列、それに相同の配列、異なったコドンを利用した類似ポリペプチドをコードする配列、天然に生じた又は無作為に若しくは狙い定めて人為的に起こした1以上ヌクレオチドの欠失、挿入又は置換のような突然変異を特徴とする変更された配列を包含する。
本発明は、本明細書に記載される核酸配列、その断片、それとハイブリッド形成する配列、それに相同の配列[たとえば、以下に述べられる核酸配列に少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、又はさらに言えば100%同一である]、異なったコドンを利用した類似ポリペプチドをコードする配列、天然に生じた又は無作為に若しくは狙い定めて人為的に起こした1以上ヌクレオチドの欠失、挿入又は置換のような突然変異を特徴とする変更された配列を包含する。本発明は、本発明のポリヌクレオチドに固有の配列領域を含む相同の核酸配列(すなわち、本発明のポリヌクレオチド配列の一部を形成する)も包含する。
本発明のポリヌクレオチド配列があらかじめ同定されていないポリペプチドをコードする場合、本発明はまた、上記で記載された単離されたポリヌクレオチド及びその各核酸断片によってコードされる新規のポリペプチド又はその一部も包含する。
「核酸断片」又は「オリゴヌクレオチド」又は「ポリヌクレオチド」は、本明細書では相互交換可能に使用され、核酸のポリマーを言う。本発明のポリヌクレオチド配列は、RNA配列、相補的ポリヌクレオチド配列(cDNA)、ゲノムポリヌクレオチド配列及び/又は複合ポリヌクレオチド配列(たとえば、上記の組み合わせ)の形態で単離され、提供される一本鎖又は二本鎖の核酸配列を言う。
本明細書で使用されるとき、語句「相補的なポリヌクレオチド配列」は、逆転写酵素又はそのほかのRNA依存性DNAポリメラーゼを用いたメッセンジャーRNAの逆転写の結果生じる配列を言う。そのような配列は、DNA依存性DNAポリメラーゼを用いてその後in vivo又はin vitroで増幅することができる。
本明細書で使用されるとき、語句「ゲノムのポリヌクレオチド配列」は、染色体に由来する(から単離される)配列を言う。従って、それは染色体の連続した部分を表す。
本明細書で使用されるとき、語句「複合ポリヌクレオチド配列」は、ゲノム配列及びcDNA配列から成る配列を言う。複合配列は、本発明のポリペプチドをコードするのに必要とされる一部のエクソン配列並びにその間に介入する一部のイントロン配列を含むことができる。イントロン配列は、そのほかの遺伝子を含むいかなる起源でもよく、通常、保存されたスプライシングシグナル配列が含まれる。そのようなイントロン配列はさらに、シス作用の発現調節要素を含んでもよい。
本発明の好ましい実施態様は、オリゴヌクレオチドプローブを包含する。
本発明で利用することができるオリゴヌクレオチドプローブの例は、本発明に係る架橋部、尾部、頭部及び/又は挿入部のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列及び/又は本明細書で提供されるヌクレオチド配列の同等部分(本明細書に記載されるノード、断片又はアンプリコンを含むが、これらに限定されない)を含むが、これらに限定されない、本発明に係る任意の変異体の固有の配列領域に相補的な配列を含む一本鎖ポリヌクレオチドである。
或いは、本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、上記核酸配列、特に、本発明に係る架橋部、尾部、頭部及び/又は挿入部のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列及び/又は本明細書で提供されるヌクレオチド配列の同等部分(本明細書に記載されるノード、断片又はアンプリコンを含むが、これらに限定されない)を含むが、これらに限定されない、上で特定された部分によって包含される核酸配列とハイブリッド形成するように設計することができる。
本発明の教示に従って設計されるオリゴヌクレオチドは、たとえば、酵素的合成又は固相合成のような当該技術で既知のオリゴヌクレオチド合成方法に従って生成することができる。固相合成を実行するための器具及び試薬は、たとえば、アプライドバイオシステムズから市販されている。そのような合成のためのそのほかの手段も採用してもよく;オリゴヌクレオチドの実際の合成は、当業者の能力の十分な範囲内であり、たとえば、「分子クローニング:実験室マニュアル」Sambrook et. al., (1898);「分子生物学における現在のプロトコール」Volumes I-III Ausubel, R. M., ed. (1994);「分子生物学における現在のプロトコール」John Wiley and Sons, Baltimore, Maryland (1989);Perbal「分子クローニングへの実践的指針」John Wiley & Sons, New York (1988)及び「オリゴヌクレオチドの合成」Gait, M. J., ed. (1984)に記載されるような確立した方法論によって、固相化学、たとえば、シアノエチルホスホルアミダイト後の脱タンパク、脱塩及び、たとえば、自動トリチルオン法又はHPLCによる精製を用いて達成することができる。
本発明のこの側面に従って使用されるオリゴヌクレオチドは、約10〜約200塩基、好ましくは約15〜約150塩基、より好ましくは約20〜約100塩基、最も好ましくは約20〜約50塩基の範囲から選択された長さを有するものである。好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドは、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40塩基を特徴とし、本発明の生体マーカーと特異的にハイブリッド形成する。
本発明のオリゴヌクレオチドは、3’〜5’ホスホジエステル結合で結合されたプリン及びピリミジンから成る複素環ヌクレオシドを含んでもよい。
好ましく使用されるオリゴヌクレオチドは、以下に大まかに記載されるように、1以上の骨格、ヌクレオシド間結合又は塩基で修飾されたものである。
本発明のこの側面に従って有用である好ましいオリゴヌクレオチドの具体例には、修飾された骨格又は非天然のヌクレオシド間結合を含有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。修飾された骨格を有するオリゴヌクレオチドには、米国特許第4,469,863号;同第4,476,301号;同第5,023,243号;同第5,177,196号;同第5,188,897号;同第5,264,423号;同第5,276,019号;同第5,278,302号;同第5,286,717号;同第5,321,131号;同第5,399,676号;同第5,405,939号;同第5,453,496号;同第5,455,233号;同第5,466,677号;同第5,476,925号;同第5,519,126号;同第5,536,821号;同第5,541,306号;同第5,550,111号;同第5,563,253号;同第5,571,799号;同第5,587,361号;及び同第5,625,050号に記載されたような骨格にリン原子を保持するものが挙げられる。
好ましい修飾されたオリゴヌクレオチドの骨格には、たとえば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’−アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含むメチル及びそのほかのアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホルアミダイト及びアミノアルキルホスホルアミダイトを含むホスホルアミダイト、チオノホスホルアミダイト、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、及び正常な3’−5’結合、それらの2’−5’結合類縁体を有するボラノホスフェート、及び隣接するヌクレオシド対の単位が3’−5’から5’−3’又は2’−5’から5’−2’に連結する反転極性を有するものが挙げられる。種々の塩、混合塩及び遊離の酸の形態も使用することができる。
或いは、その中にリン原子を含まない修飾されたオリゴヌクレオチドの骨格は、短鎖アルキル又はシクロアルキルのヌクレオシド間結合、混合へテロ原子及びアルキル又はシクロアルキルのヌクレオシド間結合、或いは1以上の短鎖のヘテロ原子又は複素環のヌクレオシド間結合によって形成される骨格を有する。これらには、米国特許第5,034,506号;同第5,166,315号;同第5,185,444号;同第5,214,134号;同第5,216,141号;同第5,235,033号;同第5,264,562号;同第5,264,564号;同第5,405,938号;同第5,434,257号;同第5,466,677号;同第5,470,967号;同第5,489,677号;同第5,541,307号;同第5,561,225号;同第5,596,086号;同第5,602,240号;同第5,610,289号;同第5,602,240号;同第5,608,046号;同第5,610,289号;同第5,618,704号;同第5,623,070号;同第5,663,312号;同第5,633,360号;同第5,677,437号;及び同第5,677,439号に開示されたような、モルフォリノ結合(部分的にはヌクレオシドの糖部分から形成される);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド及びスルホンの骨格;ホルムアセチル及びチオホルムアセチルの骨格;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチルの骨格;アルケン含有の骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノの骨格;スルホネート及びスルホンアミドの骨格;アミド骨格及び混合されたN、O、S及びCH構成成分部分を有するものが挙げられる。
本発明に従って使用することができるそのほかのオリゴヌクレオチドは、糖及びヌクレオシド間結合の両方で修飾されたものであり、すなわち、ヌクレオチド単位の骨格が新規の基によって置き換えられる。塩基単位は、相補性のために適当なポリヌクレオチド標的によって維持される。そのようなオリゴヌクレオチド模倣体の例には、ペプチド核酸(PNA)が挙げられる。PNA化合物の調製を教示する米国特許には、米国特許第5,539,082号;同第5,714,331号;及び同第5,719,262号が挙げられるが、これらに限定されず、これらをそれぞれ参照によって本明細書に組み入れる。本発明で使用することができるそのほかの骨格の修飾は、米国特許第6,303,374号に開示されている。
本発明のオリゴヌクレオチドは、塩基の修飾又は置換を含んでもよい。本明細書で使用されるとき、「非修飾の」又は「天然の」塩基には、プリン塩基、アデニン(A)及びグアニン(G)並びにピリミジン塩基、チミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)が挙げられる。修飾された塩基には、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6−メチル及びそのほかのアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2−プロピル及びそのほかのアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミン及び2−チオシトシン、5−ハロウラシル及びシトシン、5−プロピニルウラシル及びシトシン、6−アゾウラシル、シトシン及びチミン、5−ウラシル(偽ウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオ、8−チオアルキル、8−ヒドロキシ及びそのほかの8−置換のアデニン及びグアニン、5−ハロ、特に、5−ブロモ、5−トリフルオロメチル及びそのほかの5−置換のウラシル及びシトシン、7−メチルグアニン及び7−メチルアデニン、8−アザグアニン、8−アザアデニン、7−デアザグアニン及び7−デアザアデニン及び3−デアザグアニン及び3−デアザアデニンのような合成及び天然の塩基が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を高めるのに特に有用なさらなる塩基には、5−置換のピリミジン、6−アザピリミジン、並びに2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル及び5−プロピニルシトシンを含むN−2、N−6及びO−6置換のプリンが挙げられる。5−メチルシトシン置換は、0.6〜1.2℃で核酸の二本鎖安定性を高めることが示され、一層さらに特に、2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わせた場合、現在好ましい塩基置換である。
本発明のオリゴヌクレオチドの別の修飾には、オリゴヌクレオチドの1以上の部分又は抱合体への化学結合が関与し、それは、オリゴヌクレオチドの活性、細胞内分布又は細胞への取り込みを高める。そのような部分には、米国特許第6,303,374号に開示されるような、コレステロール部分、コール酸、チオエステル、たとえば、ヘキシル−S−トリチルチオール、チオコレステロール、脂肪族鎖、たとえば、ドデカンジオール又はウンデシル残基、リン脂質、たとえば、ジ−ヘキサアデシル−rac−グリセロール又はトリエチルアンモニウム、1,2−ジ−O−ヘキサアデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート、ポリアミン又はポリエチレングリコール鎖、又はアダマンタン酢酸、パルミチル部分、又はオクタデシルアミン又はヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分のような脂質部分が挙げられるが、これらに限定されない。
所定のオリゴヌクレオチド分子のあらゆる位置が均一に修飾される必要はなく、実際、1より多くの前述の修飾が、単一の化合物又はオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシドにさえ組み入れられてもよい。
本発明のオリゴヌクレオチドが、診断剤としてさらに効率良く使用されるために及び/又は生物利用性、治療有効性を高め、細胞傷害性を低減するために修飾をさらに含んでもよいことは十分に理解されるであろう。
本発明のポリヌクレオチドの細胞での発現を可能にするために、本発明に係る核酸構築物を使用してもよく、それは、少なくとも上記核酸配列の1つのコーディング領域を含み、さらに、少なくとも1つのシス作用性の調節要素を含む。本明細書で使用されるとき、語句「シス作用性の調節要素」は、トランス作用性の調節因子に結合し、その下流に局在するコーディング領域の転写を調節するポリヌクレオチド配列、好ましくはプロモータを言う。
本発明の核酸構築物によって、いかなる好適なプロモータシークエンスも使用することができる。
好ましくは、本発明の核酸構築物によって利用されるプロモータは、形質転換される特定の細胞集団で活性がある。細胞種特異的プロモータ及び/又は組織特異的プロモータの例には、たとえば、肝臓特異的であるアルブミン、リンパ特異的プロモータ[Calame et al., (1988) Adv. Immunol. 43:235-275];特に、T細胞受容体のプロモータ[Winoto et al., (1989) EMBO J. 8:729-733]及び免疫グロブリンのプロモータ[Banerji et al. (1983) Cell 33729-740];ニューロフィラメントプロモータのようなニューロン特異的なプロモータ[Byrne et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:5473-5477]、膵臓特異的なプロモータ[Edlunch et al. (1985) Science 230:912-916]、又は乳清プロモータのような乳腺特異的なプロモータ(米国特許第4,873,316号及び欧州特許出願公開番号264,166号)のようなプロモータが挙げられる。本発明の核酸構築物は、さらにエンハンサを含むことができ、それは、プロモータに隣接しても、離れてもよく、転写の上方調節で機能することができる。
本発明の核酸構築物は好ましくは、適当な選抜可能なマーカー及び/又は複製開始点をさらに含む。好ましくは、利用される核酸構築物はシャトルベクターであり、それは、大腸菌(構築物が適当な選抜可能なマーカー及び複製開始点を含む)で増殖することができ、細胞における増殖、又は選択された遺伝子及び組織における組込みに適合性がある。本発明に係る構築物は、たとえば、プラスミド、バクミド、ファージミド、コスミド、ファージ、ウイルス又は人工染色体であることができる。
好適な構築物の例には、pcDNA3、pcDNA3.1(+/−)、pGL3、PzeoSV2(+/−)、pDisplay、pEF/myc/cyto、pCMV/myc/cytoが挙げられ、それぞれインビトロゲン(www.invitrogen.com)から市販されれている。レトロウイルスベクター及びパッケージング系の例は、カリフォルニア州、サンディエゴのクロンテックにより販売されるものであり、レトロ−Xベクター、pLNCX及びpLXSNが挙げられ、マルチクローニング部位へのクローニングができ、導入遺伝子は、CMVプロモータから転写される。pBabeのようなMo−MuLVに由来するベクターも含まれ、導入遺伝子は、5’LTRプロモータから転写される。
現在好ましいin vivoでの核酸の転移技術には、たとえば、アデノウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスI型ウイルス、又はアデノ関連ウイルス(AAV)及び脂質に基づく系のようなウイルス性又は非ウイルス性の構築物による形質移入が挙げられる。脂質介在性の遺伝子移入に有用な脂質は、たとえば、DOTMA、DOPE及びDC−Chol[Tonkinson et al., Cancer Investigation, 14(1): 54-65 (1996)]である。遺伝子治療で使用するのに最も好ましい構築物は、ウイルスであり、最も好ましくは、アデノウイルス、AAV、レンチウイルス又はレトロウイルスである。レトロウイルス構築物のようなウイルス構築物は、少なくとも1つの転写プロモータ/エンハンサ若しくは遺伝子座限定要素、又は選択的スプライシング、RNAの核外輸送、又はメッセンジャーの翻訳後修飾のようなそのほかの手段によって遺伝子の発現を制御するそのほかの要素を含む。そのようなベクター構築物は、ウイルス構築物にすでに存在しなければ、パッケージングシグナル、長い末端反復配列(LTR)又はその一部、及び使用されるウイルスへの適当な、正及び負の鎖のプライマー結合部位も含む。さらに、そのような構築物は通常、それが配置される宿主細胞からペプチドを分泌するためのシグナル配列を含む。好ましくは、この目的のためのシグナル配列は、哺乳類のシグナル配列又は本発明のポリペプチド変異体のシグナル配列である。構築物は適宜、ポリアデニル化を指向するシグナル、並びに1以上の制限部位及び翻訳停止配列も含んでもよい。例示の目的で、そのような構築物は通常、5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、2番目のDNA鎖の合成開始点、及び3’LTR又はその一部を含む。非ウイルス性のそのほかのベクター、たとえば、カチオン性脂質、ポリリジン及びデンドリマーを使用することができる。
ハイブリッド形成アッセイ
生体試料における当該核酸の検出は適宜、オリゴヌクレオチドプローブ(本発明に係るプローブの非限定例はすでに記載した)を用いたハイブリッド形成に基づくアッセイによって達成されてもよい。
伝統的なハイブリッド形成アッセイには、PCR、RT−PCR、リアルタイムPCR、RNA分解酵素保護、in situハイブリッド形成及びノーザンブロット(RNAの検出)(NATアッセイについては以下でさらに詳細に記載する)が挙げられる。さらに最近、PNAが記載されている(Nielsen et al. 1999, Current Opin. Biotechnol. 10:71-75)。そのほかの検出方法には、ディップスティックの設定でプローブを含有するキットなどが挙げられる。
生体試料における当該対象の変異体(DNA又はRNA)を検出できるハイブリッド形成に基づくアッセイは、10、15、20又は100ヌクレオチドの長さ、好ましくは10〜50、より好ましくは40〜50のヌクレオチドの長さであることができるオリゴヌクレオチドの使用に頼る。
従って、本発明の単離されたポリヌクレオチド(オリゴヌクレオチド)は好ましくは、中程度から厳密なハイブリッド形成の条件下で本明細書で記載される核酸配列のいずれかとハイブリッド形成可能である。
中程度から厳密なハイブリッド形成の条件は、65℃にて10%硫酸デキストラン、1MのNaCl、1%SDS及び5x10cpmの32Pを標識したプローブを含有するハイブリッド形成溶液、0.2xSSCと0.1%SDSの最終洗浄液及び65℃における最終洗浄を特徴とし、その際、中程度のハイブリッド形成は、65℃にて10%デキストラン硫酸、1MのNaCl、1%SDS及び5x10cpmの32Pを標識したプローブを含有するハイブリッド形成溶液を用い、1xSSCと0.1%SDSの最終洗浄液及び50℃における最終洗浄によって達成される。
さらに一般的には、短い核酸(200塩基対未満、たとえば、17〜40塩基対の長さ)のハイブリッド形成は、所望の厳密性に従って修正することができる以下の例示的ハイブリッド形成プロトコールを用いて達成することができる。(i)6xSSC及び1%SDS又は3MのTMACI、0.01Mのリン酸ナトリウム(pH6.8)、1mMのEDTA(pH7.6)、0.5%SDS,100μgの変性サケ精子DNA及び0.1%脱脂粉乳のハイブリッド形成溶液、Tm未満の1〜1.5℃のハイブリッド形成温度、Tm未満の1〜1.5℃での3MのTMACI、0.01Mのリン酸ナトリウム(pH6.8)、1mMのEDTA(pH7.6)、0.5%SDSの最終洗浄液;(ii)6xSSC及び0.1%SDS又は3MのTMACI、0.01Mのリン酸ナトリウム(pH6.8)、1mMのEDTA(pH7.6)、0.5%SDS,100μgの変性サケ精子DNA及び0.1%脱脂粉乳のハイブリッド形成溶液、Tm未満の2〜2.5℃のハイブリッド形成温度、Tm未満の1〜1.5℃での3MのTMACI、0.01Mのリン酸ナトリウム(pH6.8)、1mMのEDTA(pH7.6)、0.5%SDSの最終洗浄液;6xSSCの最終洗浄液及び22℃での最終洗浄;(iii)6xSSC及び1%SDS又は3MのTMACI、0.01Mのリン酸ナトリウム(pH6.8)、1mMのEDTA(pH7.6)、0.5%SDS,100μgの変性サケ精子DNA及び0.1%脱脂粉乳のハイブリッド形成溶液、ハイブリッド形成温度。
ハイブリッド二本鎖の検出は多数の方法によって行うことができる。通常、ハイブリッド形成の二本鎖はハイブリッド形成していない核酸から分離され、次いで二本鎖に結合した標識が検出される。そのような標識は、当該技術で通常使用する放射性の、蛍光の、生物学的又は酵素的なタグ又は標識を言う。オリゴヌクレオチドプローブ又は生体試料に由来する核酸のいずれかに標識を結合することができる。
多数の周知の方法に従って、プローブを標識することができる。放射性標識の非限定例には、3H、14C、32P及び35Sが挙げられる。検出可能なマーカーの非限定例には、リガンド、フルオロフォア、化学発光剤、酵素及び抗体が挙げられる。本発明の方法の感度を上げることが可能である、プローブと共に使用するためのそのほかの検出可能なマーカーにはビオチン及び放射性ヌクレオチドが挙げられる。特定の標識の選択はそれがプローブに結合する方式を決定づけることが当業者に明らかになるであろう。
たとえば、本発明のオリゴヌクレオチドは合成に続いて、ビオチン化dNTP又はrNTPを取り込むことによって、或いは幾つかの類似の手段(たとえば、ビオチンのプソラレン誘導体をRNAに光架橋させる)によって標識することができ、その後、標識されたストレプトアビジン(たとえば、フィコエリスリンを結合したストレプトアビジン)又は同等物を添加する。或いは、蛍光標識したオリゴヌクレオチドのプローブを使用する場合、フルオレセイン、リスアミン、フィコエリスリン、ローダミン(パーキンエルマーセタス)、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、フルオロX(アマシャム)及びそのほか(たとえば、Kricka et al. (1992), Academic Press San Diego, Calif)をオリゴヌクレオチドに結合することができる。
当業者は、洗浄工程を採用して過剰な標的DNA又はプローブ並びに未結合の抱合体を洗い流してもよいことを十分に理解するであろう。さらに、オリゴヌクレオチドのプライマー又はプローブに存在する標識を用いてハイブリッドを検出するためには、標準のヘテロ型アッセイ形式が好適である。
種々の対照を有用に採用してハイブリッド形成アッセイの精度を改善してもよいことが十分に理解されるであろう。たとえば、試料を無関係なプローブとハイブリッド形成させ、ハイブリッド形成に先立ってRNA分解酵素で処理して偽ハイブリッド形成を評価してもよい。
本発明は、特定の核酸配列の検出のための標識の使用に具体的には依存しないが、そのような標識が検出の感受性を高めることによって有益であってもよい。さらに、それは自動化を可能にする。多数の周知の方法に従ってプローブを標識することができる。
一般に知れれるように、幾つかの方法によって本発明のプローブに放射性のヌクレオチドを組み入れることができる。放射性標識の非限定例には、H、14C、32P及び35Sが挙げられる。
当業者は、洗浄工程を採用して過剰な標的DNA又はプローブ並びに未結合の抱合体を洗い流してもよいことを十分に理解するであろう。さらに、標準のヘテロ型アッセイ形式は、オリゴヌクレオチドのプライマー及びプローブに存在する標識を用いてハイブリッドを検出するのに好適である。
種々の対照を有用に採用してハイブリッド形成アッセイの精度を改善してもよいことが十分に理解されるであろう。
ホスホロチオエート、ジチオエート、アルキルホスホネート及びa−ヌクレオチドなどを含む修飾された骨格と同様に天然の糖リン酸骨格と共に、本発明のプローブを利用することができる。本発明のプローブは、リボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)のいずれか、好ましくはDNAから構築される。
NATアッセイ
生体試料における当該核酸の検出はまた適宜、NATに基づくアッセイによって達成されてもよく、それには、たとえば、PCR(又は、たとえば、リアルタイムPCRのようなその変異型)のような核酸増幅技術が関与する。
本明細書で使用されるとき、「プライマー」は、アニーリングして標的配列と(ハイブリッド形成することができ)、それによって好適な条件下でDNA合成の開始点として作用する二本鎖領域を創ることができるオリゴヌクレオチドを定義する。
選択された又は標的の核酸配列の増幅は、多数の好適な方法によって行われてもよい。一般に、Kwoh et al., 1990, Am. Biotechnol. Lab. 8:14を参照のこと。多数の増幅技術が記載されており、容易に順応して当業者の特定にニーズに適応している。増幅技術の非限定例には、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)、リガーゼ鎖反応(LCR)、鎖置換え増幅(SDA)、転写に基づく増幅、q3レプリカーゼ系及びNASBAが挙げられる(Kwoh et al., 1989, Proc. NatI. Acad. Sci. USA 86, 1173-1177; Lizardi et al., 1988, BioTechnology 6:1197-1202; Malek et al., 1994, Methods Mol. Biol., 28:253-260; and Sambrook et al., 1989, 上記)。
用語「増幅対」(又は「プライマー対」)は本明細書では、本発明のオリゴヌクレオチド対(オリゴズ)を言い、それは選択され、多数の種類の増幅方法の1つ、好ましくはポリメラーゼ鎖反応によって、選択された核酸配列を増幅するのに一緒に使用される。そのほかの種類の増幅方法には、以下でさらに詳細に説明されるリガーゼ鎖反応、鎖置換え増幅、又は核酸配列に基づいた増幅が挙げられる。当該技術で共通して知られるように、オリゴズは、選択された条件下で相補的な配列と結合するように設計される。
特定の実施態様の1つでは、患者からの核酸試料の増幅は、最も豊富な示差的に発現された核酸の増幅に有利に働く条件下で増幅される。好ましい実施態様の1つでは、RT−PCRは、最も豊富なmRNAの増幅に有利に働く条件下で患者からのmRNAについて行われる。別の好ましい実施態様では、示差的に発現された核酸の増幅はが同時に行われる。そのような方法が、示差的に発現された核酸配列の代わりに示差的に発現されたタンパク質の検出に適応されればよいことが当業者によって実現されるであろう。
本発明を実践するための核酸(すなわち、DNA又はRNA)は周知の方法に従って得てもよい。
本発明のオリゴヌクレオチドプライマーは、特定のアッセイ形式、特定の必要性及び採用される標的ゲノムに依存した好適な長さであってもよい。適宜、オリゴヌクレオチドプライマーは、少なくとも長さ12ヌクレオチド、好ましくは15〜24の分子の間であり、それらは、選択された核酸増幅系に特に合うように適応させてもよい。当該技術で共通して知られるように、オリゴヌクレオチドプライマーは、標的配列とそのハイブリッド形成の融点を考慮することによって設計することができる(Sambrook et al., 1989, 分子クローニング:実験室マニュアル, 2nd Edition, CSH Laboratories; Ausubel et al., 1989, 分子生物学の今日的プロトコール John Wiley & Sons Inc., N.Y.)。
アンチセンスオリゴヌクレオチドを採用して当該のスプライスアイソフォームの発現を定量することが十分に理解されるであろう。そのような検出はプレmRNAのレベルで達成される。本質的に、当該スプライス部位からの転写物を定量する能力は、スプライス部位のアクセス性に基づいて達成することができる。オリゴヌクレオチドはスプライス部位の配列についてスプライシング因子と競合してもよい。従って、アンチセンスオリゴヌクレオチドの低い活性がスプライシング活性を示す。
ポリメラーゼ鎖反応及びそのほかの核酸増幅方法は、当該技術で周知である(これらの反応の種々の非限定例が以下でさらに詳細に記載される)。本発明のこの側面にかかるオリゴヌクレオチド対が好ましくは、矛盾のない融解温度(Tm)、たとえば、7℃未満、好ましくは5℃未満、より好ましくは4℃未満、最も好ましくは3℃未満、理想的には3℃と0℃の間を有するように選択された。
ポリメラーゼ鎖反応(PCR):Mullis and Mullis et alへの米国特許第4,683,195号及び同第4,683,202号に記載されるようなポリメラーゼ鎖反応は、クローニング又は精製をしないで、ゲノムDNAの混合物中で標的配列の断片の濃度を高める方法である。この技術は、標的配列の濃度が低いという課題へのアプローチの1つを提供する。PCRを用いて標的の濃度を容易に検出可能なレベルまで直接高めることができる。標的配列を増幅するためのこの方法には、二本鎖標的配列の各鎖に相補的である過剰モルの2つのオリゴヌクレオチドプライマーの所望の標的配列を含有するDNA混合物への導入が関与する。混合物は変性され、次いでハイブリッド形成することができる。ハイブリッド形成に続いて、ポリメラーゼによって相補鎖を形成するようにプライマーが伸長される。所望の標的配列の断片の相対的に高い濃度を得るために、変性、ハイブリッド形成(アニーリング)、及びポリメラーゼ伸長(伸長)の工程は必要に応じて頻回繰り返すことができる。
所望の標的配列の断片の長さは、相互に関するプライマーの相対的な位置によって決定されるので、この長さは制御可能なパラメータである。標的配列の所望の断片が混合物において優位な配列(濃度という点で)になるので、それらは、「PCR増幅された」と言われる。
リガーゼ鎖反応(LCR又はLAR):リガーゼ鎖反応[LCR;「リガーゼ増幅反応」(LAR)と呼ぶこともある]は、核酸を増幅するよく認識された代替方法に発展した。LCRでは、4つのオリゴヌクレオチド、標的DNAの一方の鎖と固有にハイブリッドを形成する2つの隣接したオリゴヌクレオチド、及び反対側の鎖とハイブリッド形成する隣接するオリゴヌクレオチドの相補的なセットが混合され、DNAリガーゼが混合物に添加される。接合部において完全な相補性があるという条件で、リガーゼはハイブリッド形成した各セットの分子を共有結合する。重要なことに、LCRでは、2つのプローブは、ギャップやミスマッチなしで、それらが標的試料の配列で塩基対になる場合にのみ、一緒に連結する。変性及び連結の反復サイクルによってDNAの短い断片を増幅する。LCRをPCRと併用して使用し、単一塩基の変化の検出の増強を達成している;たとえば、SegevのPCT公開WO90011069A1(1990年)を参照のこと。しかしながら、本アッセイに使用される4つのオリゴヌクレオチドが対になって、2つの短い連結可能な断片を形成しうるので、標的とは無関係のバックグランドシグナルを生成する可能性がある。突然変異体のスクリーニングへのLCRの使用は、特定の核酸位置の実験に限定される。
自己維持型合成反応(3SR/NASBA):自己維持型の配列複製反応(3SR)は、転写を基にしたin vitroの増幅系であり、均一温度でRNA配列を対数的に増幅する。増幅されたRNAは次いで、突然変異の検出に利用することができる。この方法では、オリゴヌクレオチドプライマーを使用してファージRNAポリメラーゼプロモータを当該配列の5’末端に添加する。第2のプライマー、逆転写酵素、RNA分解酵素H、RNAポリメラーゼ、並びにリボヌクレオシド三リン酸及びデオキシリボヌクレオシド三リン酸を含む酵素及び基質のカクテルの中で、標的配列は、反復回数の転写、DNA合成及び第2鎖の合成を受け、当該領域を増幅する。突然変異を検出するための3SRの使用は動態的に、DNAの小さな断片(たとえば、200〜300塩基対)のスクリーニングに限定される。
Qベータ(Qβ)レプリカーゼ:本方法では、当該配列を認識するプローブが、Qβレプリカーゼのための複製可能なRNA鋳型に連結される。ハイブリッド形成しなかったプローブの複製の結果生じる偽陽性を伴う以前確認された主要な課題に、配列特異的な連結工程の使用を介して対処する。しかしながら、利用可能な熱安定性のDNAリガーゼは、このRNA基質には有効ではないので、低温(37℃)にてT4DNAリガーゼによって連結を行わなければならない。これは、LCRのような場合、特異性を達成する手段としての高温の使用を妨げ、他ではなく、接合部位にて連結事象を使用して突然変異を検出することができる。
上手く行く診断方法は特異性が高くなければならない。核酸のハイブリッド形成の特異性を制御する簡単な方法は、反応の温度を制御することによる。3SR/NASBA及びQβシステムはいずれも大量のシグナルを生成することができるが、それぞれに関与する酵素の1以上は高温(すなわち、>55℃)で使用することができない。従って、プローブの非特異的ハイブリッド形成を妨げるために反応温度を上げることはできない。プローブが低温でさらに容易に融解するために短縮されれば、複雑なゲノムにおける1以上の完璧な一致を有する可能性が増す。これらの理由のために、検出技術では、現在、PCR及びLCRが研究分野を支配している。
PCR及びLCRにおける増幅手段の根拠は、1サイクルの産物がその後すべてのサイクルの鋳型になり、その結果各サイクルで集団を倍加するという事実である。そのような倍加系の最終収量は、(1+X)=yとして表すことができ、式中、「X」は平均効率(各サイクルにおけるコピーされた比率)、「n」はサイクル数、及び「y」は全体の有効性又は反応の収量である。ポリメラーゼ鎖反応の各サイクルで標的DNAの各コピーが利用されるならば、そのとき、平均効率は100%である。20サイクルのPCRが行われるのならば、そのとき、収量は出発材料の220又は1,048,576コピーである。反応条件によって平均効率が85%に下がれば、そのとき、20サイクルにおける収量は、出発材料の1.8520又は220,513コピーである。言い換えれば、85%の効率で行われるPCRは、100%の効率で行われる反応に比べて最終産物の21%しか得られない。50%の平均効率に低下した反応は、可能性のある産物の1%未満しか得られない。
実際には、日常的なポリメラーゼ鎖反応が、理論的な最大収量を達成することは稀であり、PCRは普通、20サイクルより多く行って低い収量を補う。50%の平均効率では、20サイクルで理論的に可能な100万倍の増幅を達成するには34サイクルを要し、さらに低い効率では、必要とされるサイクル数には手が出せなくなる。さらに、意図する標的よりも高い平均効率で増幅するバックグランド産物が優位な産物となる。
また、例を挙げると、標的DNAの長さ及び二次構造、プライマーの長さ及び設計、プライマー及びdNTPの濃度、及び緩衝液組成を含む種々の変数がPCRの平均効率に影響する。外因性のDNA(たとえば、実験室周囲にこぼれたDNA)による反応の混入又は交差混入も主要な考慮すべき事項である。各異なったプライマー対及び標的配列について反応条件を慎重に最適化しなければならず、経験のある研究者にとっても工程は何日も要する。多数の技術的考慮及びそのほかの因子を含むこの工程の骨折り仕事は、臨床の設定においてPCRを使用することに対して有意な欠点を提示する。実際、PCRは臨床市場には未だ十分には浸透していない。LCRも各標的配列について異なったオリゴヌクレオチド配列を使用するために最適化しなければならないので、同様の懸念はLCRについても生じる。さらに、両方の方法は、正確な温度サイクルを行うことが可能な高価な機器を必要とする。
対立遺伝子の変異の研究を含む核酸検出技術の多数の出願には、複雑なバックグランドにおける特異的な配列の検出だけでなく、2、3の又は単一のヌクレオチドが異なる配列間の区別も関与している。PCRによる対立遺伝子特異的な変異体の検出方法の1つは、鋳型鎖と3’末端のプライマーとの間でミスマッチがある場合、TaqポリメラーゼがDNAを合成しにくいという事実に基づく。可能性のある対立遺伝子のたった1つと好ましくは一致するプライマーの使用によって対立遺伝子特異的な変異体を検出してもよく、そのほかの対立遺伝子に対するミスマッチはプライマーの伸長を妨げるように作用し、それによってその配列の増幅を妨げる。本方法は、ミスマッチの塩基組成がミスマッチを横切る伸長を妨げる能力に影響を与え、特定のミスマッチが伸長を妨げず又は最小の効果しか有さないという点で実質的な限界を有する。
同様の3’ミスマッチ戦略は、大きな効果を伴ってLCRで連結を妨げるのに使用される。任意のミスマッチが熱安定性のリガーゼの作用を効果的に阻止するが、LCRは未だに標的依存性のバックグランド連結産物が増幅を開始するという欠点を有する。さらに、個々の位置でのヌクレオチドを同定するためのPCRとその後のLCRの組み合わせは、臨床研究室では、明らかに厄介な提案である。
本発明の種々の好ましい実施態様に係る直接検出方法は、たとえば、サイクリングプローブ反応(CPR)又は分枝鎖DNA解析であってもよい。
検出される核酸が十分量利用可能である場合、その標的のコピーを多く作製する(たとえば、PCR及びLCRのような場合)代わりに、直接、その配列を検出するという利点がある。最も顕著なことに、シグナルを対数的に増幅しない方法は、定量的解析に向いている。単一のオリゴヌクレオチドに複数の染料を結合することによってシグナルを増強したとしても、最終的なシグナル強度と標的の量との相関は直接的である。そのような系は、反応の産物自体がさらなる反応を促進することはないので、産物による実験室周囲の混入が懸念するほど多くないという追加の利点を有する。最近考案された技法は、放射活性の使用を除き、及び/又は自動化可能な形式において感受性を改善することを求めている。2つの例は、「サイクリングプローブ反応」(CPR)及び「分枝鎖DNA」(bDNA)である。
サイクリングプローブ反応(CPR):サイクリングプローブ反応(CPR)は、中央部がRNAから成り、2つの末端部がDNAから成る」長いキメラオリゴヌクレオチドを使用する。標的DNAへのプローブのハイブリッド形成及び熱安定性RNA分解酵素Hへの暴露によって消化されるべきRNA部分を生じる。これが、二本鎖の残りのDNA部分を不安定にし、標的DNAから残りのプローブを遊離し、別のプローブ分子が工程を繰り返すことができる。切断されたプローブ分子の形態でシグナルが直線の比率で蓄積する。反復工程がシグナルを増やす一方で、オリゴヌクレオチドのRNA部分は、試料の調製を介して運ばれてもよいRNA分解酵素に無防備である。
分枝鎖DNA:分枝鎖DNA(bDNA)には、個々の各オリゴヌクレオチドが35〜40の標識(たとえば、アルカリホスファターゼ酵素)を運ぶことができる分枝した構造を持つオリゴヌクレオチドが関与する。これはハイブリッド形成事象からのシグナルを増強するが、非特異的結合からのシグナルも同様に増す。
本発明の種々の好ましい実施態様に係る少なくとも1つの配列の変化の検出は、たとえば、制限断片長多型(RFLP解析)、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)解析、変性/温度勾配ゲル電気泳動(DGGE/TGGE)、一本鎖高次構造多型(SSCP)解析又はジデオキシフィンガープリンティング(ddF)によって達成してもよい。
特定の核酸配列及び配列の変化を検出することができる試験に対する需要は臨床診断では急速に成長している。ヒト及び病態生物の遺伝子に関する核酸配列のデータが蓄積するにつれて、特定の配列内の今のところの突然変異に関する迅速な、費用有効性のある、且つ、使い勝手の良い試験が急速に増加している。
突然変異に関する核酸断片を精査するために手に余る方法が考案されてきた。選択肢の1つは、各試験試料(たとえば、細菌単離物)の全遺伝子配列を決定することである。およそ600ヌクレオチドより短い配列については、増幅した材料(たとえば、PCR反応産物)を用いて、これを達成してもよい。これによって、当該断片をクローニングすることに関連する時間及び費用を回避する。しかしながら、特殊化した機器及び高度に訓練された人材を必要とし、方法は、多大な労力を要しすぎ、又高価すぎるので臨床の設定では実践的ではなく、効果的でもない。
配列決定に関連する困難さの点から見ると、他の幾つかのレベルで核酸の所定の断片を特徴付けてもよい。最も低いレベルの解決では、同一ゲル上で既知の標準と比較することによって電気泳動により分子のサイズを決定することができる。電気泳動に先立って制限酵素の組み合わせで切断し、順番に地図を構成することにより分子のさらに詳細な図式を達成してもよい。断片内の特定の配列の存在は、標識したプローブとのハイブリッド形成によって検出することができ、正確なヌクレオチド配列は、連鎖停止ヌクレオチド類縁体の存在下、部分的な化学分解又はプライマーの伸長によって決定することができる。
制限断片長多型(RFLP):類似の配列の間で単一塩基の差異を検出するためには、解析の必要条件が解決の最高レベルであることが多い。該当するヌクレオチドの位置があらかじめ判っている場合、直接配列を決定することなく、単一塩基の変化を調べるために幾つかの方法が開発されている。たとえば、当該突然変異が制限認識配列内に生じれば、消化のパターンの変化を診断ツールとして使用することができる(たとえば、制限断片長多型[RFLP]解析)。
RFLPの創製又は破壊によって単一の点突然変異も検出されている。ミスマッチでの切断により生成されるRNA断片の存在とサイズによって突然変異が検出され、局在化される。DNAへテロ二本鎖における単一のヌクレオチドのミスマッチは、ある種の化学物質により認識され、切断され、単一の塩基置換を検出する代替の戦略を提供し、一般に「ミスマッチ化学物質切断(MCC)」と命名されている。しかしながら、本方法は、四酸化オスミウム及びピペリジンの使用を必要とし、有毒性の高い2つの化学物質は臨床研究室での使用に都合が悪い。
RFLP解析は感度の低さが悩みの種であり、多量の試料を必要とする。RFLP解析を点突然変異の検出に使用する場合、それは本質的に、既知の制限エンドヌクレアーゼの制限配列の範囲内に入る単一の塩基の変化のみの検出に限定される。さらに、利用可能な酵素の大半は、4〜6の塩基対の認識配列を有し、多数の大規模DNA操作では頻繁に切断しすぎる。従って、それは、ほとんどの突然変異がそのような部位の範囲内に入らない小さな分画の場合にのみ適用可能である。
8塩基対の特異性を持つ稀にしか切断しない扱いにくい酵素が単離されており、遺伝子地図作りに広く利用されているが、これらの酵素は数が少なく、G+Cリッチ配列の認識に限定されており、高度に群れを成す傾向がある部位で切断する。最近、12塩基対より多い特異性を有してもよいグループIイントロンでコードされるエンドヌクレアーゼが発見されたが、再び、それらは数が少ない。
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO):変化が認識配列の中になければ、そのときは、プライマー伸長及び連結事象が、マッチ又はミスマッチの指標として起きるように、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)を設計して突然変異を生じたヌクレオチドの近傍にハイブリッド形成させることができる。放射活性を持って標識された対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)とのハイブリッド形成も特定の点突然変異の検出に適用される。方法は、単一ヌクレオチドによって異なる短いDNA断片の融解温度における差異に基づく。厳密なハイブリッド形成及び洗浄の条件によって突然変異体と野生型の対立遺伝子が区別される。PCR産物に適用されたASOのアプローチは、ras遺伝子及びgsp/gip癌遺伝子における点突然変異を検出し、性状分析するために種々の研究者によって広範に利用されている。複数の位置での種々のヌクレオチド変化の存在のために、ASO法は、可能性のある癌遺伝子の突然変異をすべて網羅するには多数のオリゴヌクレオチドの使用を必要とする。
上述の技法(すなわち、RFLP及びASO)のいずれかで、推測される突然変異の正確な位置を試験に先立って知らなければならない。換言すれば、当該の遺伝子又は配列の中での突然変異の存在を検出する必要がある場合、それらは適用不能である。
変性/温度勾配ゲル電気泳動(DGGE/TGGE):他の2つの方法は、軽微な配列の変化に反応した電気泳動の易動度の変化を検出することによる。これらの方法の1つは、「変性勾配ゲル電気泳動」(DGGE)と呼ばれ、勾配ゲル上で電気泳動的に解像するとわずかに異なる配列が部分的な融解の異なったパターンを示すという所見に基づく。この方式では、電気泳動での易動度における相当する差異のために、単一ヌクレオチドで異なるホモ二本鎖とヘテロ二本鎖の融解特性の差異によって標的配列における突然変異の存在を検出することができるので、変異体を識別することができる。解析すべき断片、普通、PCR産物をG−C塩基対の長い伸展(30〜80)によって一方の末端で「クランプし」、鎖を完全に解離させることなく当該配列を完全に変性させる。GC「クランプ」のDNA断片への結合は、DGGEにより認識することができる突然変異の分画を増やす。1つのプライマーにGCクランプを結合することは、増幅された配列が低い解離温度を有することを保証することに決定的である。温度の勾配を用いた、技法の改変が開発されており、該方法はRNA:RNA二本鎖にも適用することができる。
DGGEの有用性の限界には、変性条件が調べられるDNAの各種類について最適化されねばならないという必要条件が挙げられる。さらに、方法は、ゲルを調製し、電気泳動中必要とされる高い温度を維持するための特殊化された機器を必要とする。調べられる各配列の1つのオリゴヌクレオチドにおけるクランプ尾部の合成に関連する経費も主要な考慮すべき点である。さらに、DGGEには長い電気泳動時間が要求される。DGGEの長い電気泳動時間は、一定変性ゲル電気泳動(CDGE)と呼ばれるDGGEの改変型で短縮された。CDGEは、突然変異の検出のための高い効率に達するために異なった変性剤条件の下でゲルを機能させることが必要とされる。
温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)と呼ばれるDGGEに対する技法類縁体は、化学変性剤勾配ではなく熱勾配を使用する。TGGEは、電場に対して垂直に配向する温度勾配を生成することができる特殊化された機器の使用を必要とする。TGGEは、相対的に小さなDNA断片で突然変異を検出することができるので、大きな遺伝子断片の精査は、ゲルで泳動させる前に複数のPCR産物の使用を必要とする。
一本鎖高次構造多型(SSCP):「一本鎖高次構造多型」(SSCP)と呼ばれるもう1つの一般的な方法は、Hayashi, Sekya及び共同研究者によって開発され、核酸の一本鎖が非変性条件で特徴的な高次構造を取り、これらの高次構造が電気泳動の易動度に影響するという所見に基づく。相補的な鎖は、一方の鎖が他方から解離されてもよい十分に異なった構造を想定する。断片内の配列における変化は、高次構造も変化させ、その結果、易動度を変化させ、配列の変異体のアッセイにこれを使用することができる。
SSCPの工程には、両方の鎖で標識されるDNA断片(たとえば、PCR産物)を変性させ、次いで、分子内相互作用を形成することができ、泳動中それを妨害しないように、非変性のポリアクリルアミドゲル上で緩慢に電気泳動して分離することが関与する。本技法は、ゲル組成及び温度の変動に極めて感受性が高い。本方法の深刻な限界は、明らかに類似する条件下で異なった研究室で生成されたデータを比較する際に遭遇する相対的な困難さである。
ジデオキシフィンガープリンティング(ddF):ジデオキシフィンガープリンティング(ddF)は、突然変異の存在について遺伝子を精査するために開発された別の技法である。ddF技法は、サンガーのジデオキシ配列決定法の成分をSSCPと組み合わせる。ジデオキシ配列決定反応は、1つのジデオキシターミネータを用いて行われ、次いで、反応生成物を非変性のポリアクリルアミドゲルで電気泳動してSSCP解析として停止配列の易動度における変化を検出する。ddFは、感受性の増加という点でSSCPを改善しているが、ddFは、高価なジデオキシヌクレオチドの使用を必要とし、この技法は、SSCPに好適なサイズの断片(すなわち、突然変異の最適な検出について200〜300塩基の断片)の解析に未だ限定されている。
上記の限界に加えて、これらの方法はすべて、解析することができる核酸断片のサイズについて限定される。直接的な配列決定のアプローチについては、欠失サブクローニング又はプライマー歩行のいずれかの結果として生じる遅延及び費用が原因で、断片全体を網羅するためには、600塩基対より大きい配列はクローニングを必要とする。SSCP及びDGGEはさらに厳しいサイズの限定を有する。配列の変化に対して感受性が低下するために、これらの方法は長い断片には好適であるとはみなされない。SSCPは、200塩基対の断片内では単一塩基置換の90%を検出することができるが、400塩基対の断片については検出は50%未満に低下するらしい。同様に、DGGEの感受性は、断片の長さが500塩基対に達するにつれて、低下する。直接的な配列決定法とSSCPの組み合わせであるddF技法もまた、スクリーニングできる相対的に小さなサイズのDNAによって限定されている。
本発明の現在好ましい実施態様によれば、腫瘍細胞又は癌患者に由来する細胞において本明細書に記載される核酸配列を検索する工程は、核酸の配列決定、ポリメラーゼ鎖反応、リガーゼ鎖反応、自己維持型合成反応、Qβレプリカーゼ、サイクリングプローブ反応、分枝鎖DNA、制限断片長多型解析、ミスマッチ化学切断、ヘテロ二本鎖解析、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド、変性勾配ゲル電気泳動、一定変性ゲル電気泳動、温度勾配ゲル電気泳動及びジデオキシフィンガープリンティングを含むが、これらに限定されない好適な技法によって達成される。
チップ又はそのようなそのほかの道具によって検出を適宜行ってもよい。解析されるべき候補領域を含む核酸試料は好ましくは単離され、増幅され、リポーター基によって標識される。このリポーター基は、フィコエリスリンのような蛍光基であることができる。次いで、流体工学ステーションを用いてチップ上の固相化したプローブと共に標識された核酸をインキュベートする。シリコン又はガラスの基材における流体工学装置、及び特に微少毛細管装置の製造を記載する。
いったん反応が完了すると、チップをスキャナーに挿入し、ハイブリッド形成のパターンを検出する。すでに核酸に取り込まれ、今やチップに接続されたプローブに結合するリポーター基から発するシグナルとしてハイブリッド形成のデータを回収する。チップ上に固相化された各プローブの配列及び位置が判るので、所定のプローブとハイブリッド形成した核酸の同一性を決定することができる。
自動化された機器と共に利用する場合、上述の検出方法を用いて、疾患及び/又は病態症状について複数の試料を迅速且つ容易にスクリーニングすることができることが十分に理解されるであろう。
アミノ酸配列及びペプチド
用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書では相互交換可能に使用され、アミノ酸残基のポリマーを言う。該用語は、1以上のアミノ酸残基が、相当する天然に生じるアミノ酸の類縁体又は模倣体であるアミノ酸ポリマー並びに天然に生じるアミノ酸ポリマーに適用される。たとえば、糖質残基を添加して糖たんぱく質を形成することによってポリペプチドを修飾することができる。用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、糖タンパク質並びに非糖タンパク質を包含する。
ポリペプチド生成物は、たとえば、標準の固相法を採用することによって生化学的に合成することができる。そのような方法には、排他的固相合成、部分固相合成法、断片縮合、古典的溶液法が挙げられるが、これらに限定されない。これらの方法は好ましくは、ペプチドが相対的に短い場合(すなわち、10kDa)及び/又は組換え法では製造できない場合(すなわち、核酸配列によってコードされない)、使用されるので、異なった化学反応が関与する。
固相ペプチド合成法は当該技術で周知であり、John Morrow Stewart and Janis Dillaha Young,著、「固相ペプチド合成」(2nd Ed., Pierce Chemical Company, 1984)によりさらに説明されている。
合成ポリペプチドは適宜、調製用高速液体クロマトグラフィ[Creighton T. (1983) タンパク質、構造及び分子の基礎、 WH Freeman and Co. N.Y.]で精製され、その後、アミノ酸配列決定によってその組成を確認することができる。
大量のポリペプチドが所望される場合、Bitter et al., (1987) Methods in Enzymol. 153:516-544, Studier et al. (1990) Methods in Enzymol. 185:60-89, Brisson et al. (1984) Nature 310:511-514, Takamatsu et al. (1987) EMBO J. 6:307-311, Coruzzi et al. (1984) EMBO J. 3:1671-1680 and Brogli et al., (1984) Science 224:838-843, Gurley et al. (1986) Mol. Cell. Biol. 6:559-565 and Weissbach & Weissbach, 1988, Methods for Plant Molecular Biology, Academic Press, NY, Section VIII, pp 421-463に記載されるような組換え法を用いて、それを生成することができる。
本発明は、本明細書で記載されるアミノ酸配列に係るポリペプチド同様に、本発明のポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドも包含する。本発明はまた、適宜及び好ましくは、以下:フィルタリングオン(この選択肢は、Seg(タンパク質)プログラムを用いて問い合わせから繰り返しの多い又は複雑さの低い配列をフィルターする)、ソーティングマトリクスは、タンパク質についてBLOSUM62、ワードサイズは3、E値は10、ギャップコストは11,1(初期化及び伸展)及び示されるアライメント数は50、を含む初期設定パラメータを用いた全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のBlastPソフトウエアを用いて決定することができるように、以下に述べるアミノ酸配列に少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、さらに言えば100%相同であることができるようなこれらポリペプチドの相同体も包含する。適宜及び好ましくは、核酸配列の相同性(同一性)は、初期設定パラメータを用いた全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のBlastNソフトウエアを用いて決定されるが、好ましくはDUSTフィルタープログラムを使用することを含み、また好ましくはB値10、低複雑性配列のフィルタリング及びワードサイズ11も含む。最後に、本発明はまた、上述のポリペプチドの断片及び天然に生じる又は無作為に若しくは狙い定めて人為的に変異させる1以上のアミノ酸の欠失、挿入又は置換のような突然変異を有するポリペプチドも包含する。
本発明に従って同定されるペプチドは、分解産物、合成ペプチド又は組換えペプチド並びにペプチド模倣体、通常、合成ペプチド及びペプチド類縁体であるペプトイド及び半ペプトイドであってもよく、たとえば、体内でペプチドをさらに安定にする又は細胞にさらに浸透できるようにする修飾を有してもよいことが十分に理解されるであろう。そのような修飾には、N末端修飾、C末端修飾、CH−NH、CH−S、CH−S=O、O=C−NH、CH−O、CH−CH、S=C−NH、CH=CH又はCF=CHを含むが、これらに限定されないペプチド結合修飾、骨格修飾及び残基修飾が挙げられるが、これらに限定されない。ペプチド模倣体の調製方法は当該技術で周知であり、特定される。この点でさらなる詳細は下記に提供される。
ペプチド内のペプチド結合(−CO−NH−)は、たとえば、N−メチル化結合(−N(CH)−CO−)、エーテル結合(−C(R)H−C−O−O−C(R)−N−)、ケトメチレン結合(−CO−CH−)、Rが任意のアルキル基、たとえば、メチル基であるα−アザ結合(−NH−N(R)−CO−)、カルバ結合(−CH−NH−)、ヒドロキシエチレン結合(−CH(OH)−CH−)、チオアミド結合(−CS−NH−)、オレフィン二重結合(−CH=CH−)、レトロアミド結合(−NH−CO−)、Rが天然には炭素原子上に存在する「正常の」側鎖であるペプチド誘導体(−N(R)−CH−CO−)によって置換されてもよい。
これらの修飾は、ペプチド鎖に沿った結合いずれか、同時に幾つか(2〜3)の結合で生じることができる。
非天然の合成酸、たとえば、フェニルグリシン、TIC、ナフチレアニン(Nol)、Pheの環状メチル化誘導体、Pheのハロゲン化誘導体又はo−メチル−Tyrのために、天然の芳香族アミノ酸、Trp、Tyr及びPheを置換してもよい。
上記に加えて、本発明のペプチドは、1以上の修飾されたアミノ酸又は1以上の非アミノ酸モノマー(たとえば、脂肪酸、錯体糖質など)も含んでもよい。
本明細書及び以下のクレームの項で使用されるとき、用語「アミノ酸(単数)」又は「アミノ酸(複数)」は、天然に生じる20種のアミノ酸、たとえば、ヒドロキシプロリン、ホスホセリン及びホスホスレオニンを含むin vivoで翻訳後修飾されることが多いアミノ酸、並びに、たとえば、2−アミノアジピン酸、ヒドロキシリジン、イソデスモシン、ノルバリン、ノルロイシン及びオルニチンを含むが、これらに限定されない非天然のアミノ酸を含むように理解される。さらに、用語「アミノ酸」は、D−及L−アミノ酸双方を包含する。
表1.本発明で使用することができる非従来の、又は修飾されたアミノ酸
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本発明のペプチドは、好ましくは可溶性形態であるべきペプチドを必要とする診断に利用されるので、本発明のペプチドは好ましくは、ヒドロキシルを含有する側鎖のためにペプチドの溶解性を高めることが可能であるセリン及びスレオニンを含むが、これらに限定されない1以上の非天然又は天然の極性アミノ酸を含む。
環化がペプチドの特徴を厳しく干渉しない場合、ペプチドの環状形態を利用することができることはとは十分に理解されるであろうが、本発明のペプチドは好ましくは、線状の形態で利用される。
本発明のペプチドは、標準の固相法を用いて生化学的に合成することができる。これらの方法には、当該技術で周知の排他的固相合成、部分固相合成法、断片縮合、古典的溶液法が挙げられる。これらの方法は好ましくは、ペプチドが相対的に短い場合(すなわち、10kDa)及び/又は組換え法では製造できない場合(すなわち、核酸配列によってコードされない)、使用されるので、異なった化学反応が関与する。
合成ペプチドは、調製用高速液体クロマトグラフィによって精製することができ、アミノ酸配列決定を介してその組成を確認することができる。
大量のポリペプチドが所望される場合、Methods in Enzymol. 153:516-544, Studier et al. (1990) Methods in Enzymol. 185:60-89, Brisson et al. (1984) Nature 310:511-514, Takamatsu et al. (1987) EMBO J. 6:307-311, Coruzzi et al. (1984) EMBO J. 3:1671-1680 and Brogli et al., (1984) Science 224:838-843, Gurley et al. (1986) Mol. Cell. Biol. 6:559-565 and Weissbach & Weissbach, 1988, Methods for Plant Molecular Biology, Academic Press, NY, Section VIII, pp 421-463に記載されるような及び上に記載されるような組換え法を用いて、本発明のペプチドを生成することができる。
抗体
「抗体」は、免疫グロブリン遺伝子(単数)又は免疫グロブリン遺伝子(複数)又はその断片によって好ましくは実質的にコードされ、エピトープ(たとえば、抗原)に特異的に結合し、それを認識するポリペプチドリガンドを言う。認識される免疫グロブリン遺伝子には、カッパ及びラムダの軽鎖定常領域遺伝子、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン及びミューの重鎖定常領域遺伝子、及び無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。抗体は、たとえば、未処理の免疫グロブリンとして又は種々のペプチダーゼによる消化によって製造されるよく性状分析された多数の断片として存在する。これには、たとえば、Fab’及びF(ab’)の断片も含まれる。本明細書で使用されるとき、用語「抗体」は、抗体全体の修飾によって製造される抗体断片又は組換えDNA法を用いてde novoで合成されたものも包含する。それはまた、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、又は単鎖抗体も包含する。抗体の「Fc」部分は、1以上の重鎖定常領域ドメイン、CH1、CH2及びCH3を含むが、重鎖可変領域を含まない免疫グロブリン重鎖の部分を言う。
マクロファージに結合することが可能であるFab、F(ab’)及びFvのような抗体の機能的断片は以下のように説明される:(1)Fab、抗体分子の一価の抗原結合断片を含有し、酵素パパインによる抗体全体の消化によって製造され、未処理の一方の軽鎖及び一方の重鎖の一部が得られる断片;(2)Fab’、抗体全体をペプシンで処理し、次いで還元することにより得ることができ、未処理の一方の軽鎖及び一方の重鎖の一部が得られる抗体分子の断片、抗体分子当たり、2つのFab’断片が得られる;(3)F(ab’)、酵素ペプシンにより抗体全体を処理し、次いで還元することなく得ることができる抗体の断片、F(ab’)は2つのジスルフィド結合によって一緒に保持される2つのFab’断片の二量体である;(4)Fv、2つの鎖として発現される、軽鎖の可変領域及び重鎖の可変領域を含有する遺伝子操作した断片として定義される;並びに(5)単鎖抗体(SCA)、遺伝的に融合させた単鎖分子として、好適なポリペプチドリンカーによって連結させた、軽鎖の可変領域及び重鎖の可変領域を含有する遺伝子操作した分子。
ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体並びにこれらの断片を製造する方法は、当該技術で周知である(たとえば、参照によって本明細書に組み込まれるHarlow and Lane, 抗体:実験室マニュアル、Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1988,)。
本発明に係る抗体断片は、抗体のタンパク質分解加水分解、又は断片をコードするDNAの大腸菌若しくは哺乳類細胞(たとえば、チャイニーズハムスターの卵巣細胞培養又はそのほかのタンパク質発現系)における発現によって調製することができる。従来の方法による抗体全体のペプシン消化又はパパイン消化によって抗体断片を得ることができる。たとえば、ペプシンによる抗体の酵素的切断によって抗体断片を製造し、F(ab’)を示す5S断片を提供することができる。チオール還元剤を用い、適宜、スルフヒドリル基のために保護基を用いてこの断片をさらに切断し、結果としてジスルフィド結合の切断を生じ、3.5SのFab’一価の断片を製造することができる。或いは、ペプシンを用いた酵素的切断は、2つの一価のFab’断片及びFc断片を直接生じる。これらの方法は、たとえば、Goldenbergによる米国特許第4,036,945号及び同第4,331,647号及びその中に含有される参考文献に記載されており、特許全体を参照により本明細書に組み入れる。Porter, R. R. [Biochem. J. 73: 119-126 (1959)]を参照のこと。未処理の抗体によって認識される抗原に断片が結合する限り、抗体を切断するそのほかの方法、たとえば、一価の軽鎖−重鎖断片を形成するための重鎖の分離、断片の更なる切断、又は酵素的な、化学的な又は遺伝的な技法も用いてもよい。
Fv断片は、VH鎖とVL鎖の会合を含む。この会合は、Inbar et al. [Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 69:2659-62 (19720]に記載されるように、非共有的であってもよい。或いは、可変鎖は、分子間ジスルフィド結合によって連結することができ、又はグルタールアルデヒドのような化学物質によって架橋されることができる。好ましくは、Fv断片は、ペプチドリンカーにより接続されるVH鎖及びVL鎖を含む。これらの単鎖抗原結合タンパク質(sFv)は、オリゴヌクレオチドによって接続されたVHドメイン及びVLドメインをコードするDNA配列を含む構造遺伝子を構築することによって調製される。構造遺伝子を発現ベクターに挿入し、続いてそれを大腸菌のような宿主細胞に導入する。組換え宿主細胞は、2つのVドメインを架橋するペプチドリンカーを持つ単一のポリペプチド鎖を合成する。sFvを製造する方法は、たとえば、Whitlow and Filpula, Methods 2: 97-105 (1991); Bird et al., Science 242:423-426 (1988); Pack et al., Bio/Technology 11:1271-77 (1993);及び米国特許第4,946,778号に記載されており、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。
抗体断片のもう1つの形態は、単一の相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである。CDRペプチド(「最小認識単位」)は、当該抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することによって得ることができる。そのような遺伝子は、たとえば、ポリメラーゼ鎖反応を用いて、抗体産生細胞のRNAに由来する可変領域を合成することによって調製される。たとえば、Larrick and Fry [Methods, 2: 106-10 (1991)].を参照のこと。
非ヒト(たとえば、マウス)抗体のヒト化された形態は、非ヒトの免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有する、免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその断片(たとえば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)又は抗体のそのほかの抗原結合配列)のキメラ分子である。ヒト化抗体は、受入者の相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特性、親和性及び能力を有するマウス、ラット又はウサギなどのような非ヒト種(供与者の抗体)のCDR由来の残基によって置き換えられるヒト免疫グロブリン(受入者抗体)を含む。一部の例では、ヒト免疫グロブリンのFvのフレームワーク残基が相当する非ヒト残基によって置き換えられる。ヒト化抗体は、受入者抗体にも移入されたCDR又はフレームワーク配列にも見い出されない残基を含んでもよい。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、通常は2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、その際、CDR領域のすべて又は実質的にすべては非ヒト免疫グロブリンに相当し、FR領域のすべて又は実質的にすべてはヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体はまた最適に、免疫グロブリンの定常領域(Fc)の少なくとも一部、通常、ヒト免疫グロブリンのそれも含むであろう[Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature, 332:323-329 (1988); and Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
非ヒト抗体をヒト化する方法は当該技術で周知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである起源からそれに導入された1以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、移入残基と呼ばれることが多く、通常、移入可変ドメインから選択された。ヒト化は、ヒト抗体の相当する配列についてげっ歯類のCDR又はCDR配列を置換することによって、Winter及び共同研究者 [Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323-327 (1988); Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988)の方法に従って本質的に行うことができる。従って、そのようなヒト化抗体はキメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、その際、未処理のヒト可変ドメインより実質的に少ないものが、非ヒト種に由来する相当する配列によって置換されている。実践的には、ヒト化抗体は通常、一部のCDR残基及びおそらく一部のFR残基が、げっ歯類の抗体の類似の部位に由来する残基で置換されるヒト抗体である。
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリ[Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581 (1991)]を含む当該技術で既知の種々の技法を用いて製造することもできる。ヒトのモノクローナル抗体[Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985) and Boerner et al., J. Immunol., 147(1):86-95 (1991)]の調製にCole et al. and Boerner et alの技法が利用可能である。同様に、ヒト抗体は、内因性の免疫グロブリン遺伝子を部分的に又は完全に不活化した遺伝子導入動物、たとえば、マウスにヒトの免疫グロブリン遺伝子座を導入することによって作製することができる。チャレンジの際に、ヒト抗体の産生が認められ、遺伝子の再構成、組立て及び抗体のレパートリーを含むあらゆる点で、それはヒトで見られるのによく似ている。このアプローチは、たとえば、米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,661,016号、及び以下の科学的出版物、Marks et al., Bio/Technology 10,: 779-783 (1992); Lonberg et al., Nature 368: 856-859 (1994); Morrison, Nature 368 812-13 (1994); Fishwild et al., Nature Biotechnology 14, 845-51 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology 14: 826 (1996); and Lonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13, 65-93 (1995)に記載されている。
好ましくは、本発明の本側面の抗体は、本発明のポリペプチド変異体の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する。本明細書で使用されるとき、用語「エピトープ」は、抗体のパラトープが結合する抗原における任意の抗原決定基を言う。
エピトープ決定基は普通、アミノ酸又は糖質側鎖のような分子の化学的に活性のある表面のグループ化から成り、普通、特定の電荷特性と同様に特定の三次元構造特性を有する。
適宜、以下に記載されるように、グリコシル化及び/又はリン酸化を含むが、これらに限定されない1以上の翻訳後修飾における変化のために変異体において固有のエピトープが創製されてもよい。そのような変化は、たとえば、特定の部位でのグリコシル化の除去を介して創製されるべき新しいエピトープを生じてもよい。
本発明に係るエピトープは適宜、直鎖ポリペプチド自体の固有の配列部分に隣接しないが、組み合わせにおいてエピトープを形成することができる、変異体の少なくとも1つのほかの部分との組み合わせで、本発明に係る変異体の固有の配列部分の一部又は全部を含んでもよい。1以上の固有の配列部分が、変異体の1以上のそのほかの隣接しない部分(既知のタンパク質の一部に極めて高い相同性を有してもよい部分を含む)と適宜結合してエピトープを形成してもよい。
免疫アッセイ
本発明の別の実施態様では、免疫アッセイを利用して試料中のマーカーを質的に又は量的に検出することができる。本方法は、マーカーに特異的に結合する抗体を提供すること;試料を抗体に接触させること;及び試料中のマーカーに結合した抗体の複合体の存在を検出することを含む。
マーカーに特異的に結合する抗体を調製するには、精製したタンパク質マーカーを使用することができる。当該技術で既知の任意の好適な方法を用いて、タンパク質マーカーに特異的に結合する抗体を調製することができる。
抗体が提供された後、多数のよく認識された免疫結合アッセイのいずれかを用いてマーカーを検出する及び/又は定量することができる。有用なアッセイには、たとえば、酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)のような酵素免疫アッセイ(EIA)、放射性免疫アッセイ(RIA)、ウエスタンブロットアッセイ又はスロットブロットアッセイが挙げられる(たとえば、米国特許第4,366,241号;同第4,376,110号;同第4,517,288号;及び同第4,837,168号を参照のこと)。一般に、対象から得た試料を、マーカーに特異的に結合する抗体と接触させることができる。
適宜、試料に抗体を接触させるのに先立って、抗体を固体の支持体に固定し、洗浄及びその後の複合体の単離を円滑にすることができる。固体の支持体の例には、ガラス又はプラスチックの形態、たとえば、マイクロタイタープレート、スティック、ビーズ又はマイクロビーズが挙げられるが、これらに限定されない。抗体を固体の支持体に結合することもできる。
試料を抗体と共にインキュベートした後、混合物を洗浄し、抗体−マーカーの複合体を検出することができる。このことは、洗浄した混合物を検出試薬と共にインキュベートすることによって達成することができる。或いは、間接アッセイを用いて、試料中のマーカーを検出することができ、その際、たとえば、標識二次抗体を用いて結合したマーカー特異的抗体を検出する、及び/又は、競合アッセイ又は阻害アッセイにおいて、マーカーの別個のエピトープと結合するモノクローナル抗体を混合物と同時にインキュベートする。
アッセイ全体を通して、試薬の各混合の後、インキュベート工程及び洗浄工程が必要とされてもよい。インキュベート工程は、5秒間〜数時間、好ましくは5分間〜24時間変化することができる。しかしながら、インキュベート時間は、アッセイ形式、マーカー、溶液の容量、濃度などに依存するであろう。アッセイは、たとえば、10℃〜40℃の温度範囲で実施することができるが、普通、それは常温で行われるであろう。
免疫アッセイを用いて、対象からの試料におけるマーカーの試験量を決定することができる。先ず、上述の免疫アッセイ法を用いて試料におけるマーカーの試験量を検出することができる。マーカーが試料に存在すれば、上述の好適なインキュベート条件下でマーカーを特異的に結合する抗体とそれは抗体/マーカー複合体を形成する。標準と比較することにより適宜、抗体/マーカー複合体の量を決定することができる。上述のように、測定の単位を対照の量及び/又はシグナルと比較することができる限り、マーカーの試験量を絶対単位で測定しなくてもよい。
好ましくは、たとえば、本発明のポリペプチドと特異的に相互作用するが、野生型タンパク質又はその異性体とは相互作用しない抗体が使用される。そのような抗体は、以下でさらに詳細に説明される架橋部、頭部、尾部及び挿入部を含むが、これらに限定されない、本発明のポリペプチド変異体の固有の配列部分に向けられる。本発明に係る抗体の好ましい実施態様は、「抗体」と題する項に関してさらに詳細に説明される。
放射性免疫アッセイ(RIA):種類の1つでは、本方法には、所望の基質の沈殿が関与し、以下に詳説の方法では、アガロースビーズのような沈殿可能なキャリアに固相化された特異的抗体及び放射性標識抗体結合タンパク質(たとえば、125Iで標識されたプロテインA)と共に所望の基質の沈殿が関与する。沈殿したペレットにおけるカウント数が基質の量に比例する。
RIAの別の種類では、標識基質及び非標識抗体結合タンパク質が採用される。未知の量の基質を含有する試料を量を変えて添加する。標識した基質からの沈殿したカウントにおける減少が添加した試料における基質の量に比例する。
酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA):本方法には、マイクロタイタープレートのウエルのような表面へのタンパク質基質を含有する試料(たとえば、固定した細胞又はタンパク様の溶液)の固定が関与する。基質特異的抗体をカップリングした酵素を適用し、基質に結合させる。次いで、抗体にカップリングさせた酵素を用いた発色反応によって抗体の存在を検出し、定量する。本方法で一般に採用される酵素には、西洋ワサビペルオキシダーゼ及びアルカリホスファターゼが挙げられる。ウエルが較正され、反応の直線範囲にあれば、試料に存在する基質の量は、生じる色の量に比例する。一般に基質標準を採用して定量的精度を改善する。
ウエスタンブロット:本方法には、アクリルアミドゲル次いで膜(たとえば、ナイロン又はPVDF)への基質の転移によるそのほかのタンパク質からの基質の分離が関与する。次いで、基質の存在は、基質特異的な抗体によって検出され、言い換えれば、抗体結合試薬によって検出される。抗体結合試薬は、たとえば、プロテインA又はそのほかの抗体である。抗体結合試薬は放射性標識されてもよく、又は上述のように酵素結合であってもよい。検出は、オートラジオグラフィ、発色反応又は化学発光によってもよい。本方法は、基質量の定量及び電気泳動中のアクリルアミドゲルでの移動距離を示す膜上の相対的位置によるその正体の決定の両方ができる。
免疫組織化学解析:本方法には、基質特異的抗体による固定された細胞におけるin situでの基質の検出が関与する。基質特異的抗体は、酵素結合型であってもよいし、フルオロフォアに結合されてもよい。検出は顕微鏡及び主観的評価による。酵素結合型の抗体を採用するのであれば、発色反応が必要とされてもよい。
蛍光活性化細胞ソーティング(FACS):本方法には、基質特異的抗体による細胞におけるin situでの基質の検出が関与する。基質特異的抗体は、フルオロフォアに連結される。検出は、光ビームを通過するとき各細胞から発せられる光の波長を読み取る細胞ソーティング機器による。本方法は、2以上の抗体を同時に採用してもよい。
放射性画像作成法
これらの方法には、ポジトロン放出断層撮影(PET)、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの技法は双方ともに非侵襲的であり、たとえば、癌様の細胞を検出することのような、多種多様な組織の事象及び/又は機能を検出及び/又は測定することができる。PETとは異なって、SPECTは適宜、2つの標識と共に使用することができる。SPECTは、たとえば、コスト及び使用することができる標識の種類に関して同様に幾つかのそのほかの利点を有する。たとえば、米国特許第6,696,686号は、乳癌の検出のためのSPECTの使用を記載しており、参考によってこの全体を本明細書に組み入れる。
ディスプレイライブラリ
本発明のさらに別の側面によれば、それぞれ少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、10〜15、12〜17、15〜20、15〜30又は20〜50の、本発明のポリペプチド配列に由来する連続するアミノ酸を表示する複数のディスプレイ媒体(たとえば、ファージ、ウイルス又は細菌)を含むディスプレイライブラリが提供される。
そのようなディスプレイライブラリを構築する方法は当該技術で周知である。そのような方法は、たとえば、Young AC, et al.、「クリプトコックス・ネオフォルマンスに対する多糖類結合抗体の三次元構造及びファージディスプレイライブラリからのペプチドとのその複合体:ペプチドミモトープの同定のための意味合い」J Mol Biol 1997 Dec 12;274(4):622-34; Giebel LB et al.、「環状ペプチドファージライブラリのスクリーニングは高親和性でストレプトアビジンを結合するリガンドを同定する」Biochemistry 1995 Nov 28;34(47):15430-5; Davies EL et al.、「ニワトリ免疫グロブリン遺伝子に由来するライブラリを用いた特異的ファージディスプレイ抗体の選抜」J Immunol Methods 1995 Oct 12;186(1):125-35; Jones C RT al.、「分子認識及び生体分離の現在の傾向」J Chromatogr A 1995 Jul 14;707(1):3-22; Deng SJ et al.、「合成遺伝子ライブラリからの改善された糖質を結合する単鎖抗体の選抜の基礎」Proc Natl Acad Sci U S A 1995 May 23;92(11):4992-6; 及び Deng SJ et al.、「改善された糖質結合を持つ抗体単鎖可変断片のファージディスプレイによる選抜」J Biol Chem 1994 Apr 1;269(13):9533-8に記載されており、これらを参照によって本明細書に組み入れる。
処理
上記で言及したように、本発明のBNP変異体及びそれ(すなわち、ペプチド、オリゴヌクレオチド)に由来する組成物は、心臓疾患のようなBNP関連の疾患を有する、そのように診断されている又はそのような素因がある対象を治療するのに使用することができる。
本発明に係る対象は、上記で記載されるような疾患の1つによって診断される、又は代わりに上記で記載される疾患の1つを有する素因を持つ哺乳類、好ましくはヒトである。
本明細書で使用されるとき、用語「治療すること」は、BNP関連の疾患の有害な影響を防ぐこと、治療すること、反転すること、減衰すること、緩和すること、最小化すること、抑制すること又は中断することを言う。
本発明に係る治療は、対象において本発明のポリペプチドの少なくとも1つの発現を特異的に上方調節することによって達成される。
上記で使用されるとき、語句「活性のある部分」は、本発明のBNPポリペプチドの1以上の機能を表示することが可能であるアミノ酸配列の部分を言う。
上方調節の方法及び作用剤
本発明のBNP変異体の発現を上方調節することは、真核細胞(たとえば、哺乳類細胞)でコーディング配列を発現するために設計された核酸発現構築物に連結された本発明の外因性ポリヌクレオチド配列(たとえば、配列番号1〜3、9〜10及び/又は12〜14)の少なくとも1つの投与を介して達成されてもよい。従って、外因性ポリヌクレオチド配列は、本発明の変異体又はその活性のある部分をコードするDNA又はRNAの配列であってもよい。
核酸構築物は下記に記載する、投与の好適な方式を用いて個体に投与することができること(すなわち、in vivo遺伝子治療)が十分に理解されるであろう。或いは、適当な遺伝子送達媒体/方法(遺伝子移入、形質導入、相同組換えなど)及び必要に応じて発現系を介して核酸構築物を好適な細胞に導入し、次いで修飾した細胞を培養で増やし、個体に戻す(すなわち、ex vivo遺伝子治療)。
本発明のポリヌクレオチドの細胞性の発現を可能にするために、本発明の核酸構築物は、少なくとも1つのシス作用性の調節要素をさらに包含する。本明細書で使用されるとき、「シス作用性の調節要素」は、トランス作用性の調節因子に結合し、その下流に局在するコーディング領域の転写を調節するポリヌクレオチド配列、好ましくはプロモータを言う。
本発明の核酸構築物によっていかなる好適なプロモータ配列も使用することができる。
好ましくは、本発明の核酸構築物によって利用されるプロモータは、形質転換される特定の細胞集団で活性がある。細胞種特異的プロモータ及び/又は組織特異的プロモータの例には、たとえば、肝臓特異的であるアルブミン[Pinkert et al., (1987) Genes Dev. 1:268-277]、リンパ特異的プロモータ[Calame et al., (1988) Adv. Immunol. 43:235-275];特に、T細胞受容体のプロモータ[Winoto et al., (1989) EMBO J. 8:729-733]及び免疫グロブリンのプロモータ[Banerji et al. (1983) Cell 33729-740];ニューロフィラメントプロモータのようなニューロン特異的なプロモータ[Byrne et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:5473-5477]、膵臓特異的なプロモータ[Edlunch et al. (1985) Science 230:912-916]、又は乳清プロモータのような乳腺特異的なプロモータ(米国特許第4,873,316号及び欧州特許出願公開番号264,166号)のようなプロモータが挙げられる。本発明の核酸構築物は、さらにエンハンサを含むことができ、それは、プロモータ配列に隣接しても、離れてもよく、転写の上方調節で機能することができる。
本発明の核酸構築物は好ましくは、適当な選抜可能なマーカー及び/又は複製開始点をさらに含む。好ましくは、利用される核酸構築物はシャトルベクターであり、それは、大腸菌(構築物が適当な選抜可能なマーカー及び複製開始点を含む)で増殖することができ、細胞における増殖、又は選択された遺伝子及び組織における組込みに適合性がある。本発明に係る構築物は、たとえば、プラスミド、バクミド、ファージミド、コスミド、ファージ、ウイルス又は人工染色体であることができる。
好適な構築物の例には、pcDNA3、pcDNA3.1(+/−)、pGL3、PzeoSV2(+/−)、pDisplay、pEF/myc/cyto、pCMV/myc/cytoが挙げられ、それぞれインビトロゲン(www.invitrogen.com)から市販されれている。レトロウイルスベクター及びパッケージング系の例は、カリフォルニア州、サンディエゴのクロンテックにより販売されるものであり、レトロ−Xベクター、pLNCX及びpLXSNが挙げられ、マルチクローニング部位へのクローニングができ、導入遺伝子は、CMVプロモータから転写される。pBabeのようなMo−MuLVに由来するベクターも含まれ、導入遺伝子は、5’LTRプロモータから転写される。
現在好ましいin vivoでの核酸の転移技術には、たとえば、アデノウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスI型ウイルス、又はアデノ関連ウイルス(AAV)及び脂質に基づく系のようなウイルス性又は非ウイルス性の構築物による形質移入が挙げられる。脂質介在性の遺伝子移入に有用な脂質は、たとえば、DOTMA、DOPE及びDC−Chol[Tonkinson et al., Cancer Investigation, 14(1): 54-65 (1996)]である。遺伝子治療で使用するのに最も好ましい構築物は、ウイルスであり、最も好ましくは、アデノウイルス、AAV、レンチウイルス又はレトロウイルスである。レトロウイルス構築物のようなウイルス構築物は、少なくとも1つの転写プロモータ/エンハンサ若しくは遺伝子座限定要素、又は選択的スプライシング、RNAの核外輸送、又はメッセンジャーの翻訳後修飾のようなそのほかの手段によって遺伝子の発現を制御するそのほかの要素を含む。そのようなベクター構築物は、ウイルス構築物にすでに存在しなければ、パッケージングシグナル、長い末端反復配列(LTR)又はその一部、及び使用されるウイルスへの適当な、正及び負の鎖のプライマー結合部位も含む。さらに、そのような構築物は通常、それが配置される宿主細胞からペプチドを分泌するためのシグナル配列を含む。好ましくは、この目的のためのシグナル配列は、哺乳類のシグナル配列又は本発明のポリペプチド変異体のシグナル配列である。構築物は適宜、ポリアデニル化を指向するシグナル、並びに1以上の制限部位及び翻訳停止配列も含んでもよい。例示の目的で、そのような構築物は通常、5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、2番目のDNA鎖の合成開始点、及び3’LTR又はその一部を含む。非ウイルス性のそのほかのベクター、たとえば、カチオン性脂質、ポリリジン及びデンドリマーを使用することができる。
本方法論は、本発明の変異体の発現を対象において内因性に上方調節することによって達成されることが十分に理解されるであろう。所定の遺伝子の特定のスプライス変異体の内因性の発現を上方調節する作用剤には、スプライト部位に向けられ、それによって遺伝子のスプライシングを変更するアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。このアプローチは、Bcl−x[Taylor (1999) Nat. Biotechnol. 17:1097-1100; and Mercatante (2001) J. Biol. Chem. 276:16411-16417]、IL−5R[Karras (2000) Mol. Pharmacol. 58:380-387]及びc−myc[Giles (1999) Antisense Acid Drug Dev. 9:213-220]の2つのアイソフォームの発現のバランスをシフトさせるのに上手く利用されている。
たとえば、インターロイキン5及びその受容体は、恒常性の調節剤として並びにアレルギー及び喘息のような一部の炎症性疾患におけるメディエータとして重要な役割を担っている。2つの選択的にスプライシングされたアイソフォームがIL−5Rから生成され、それらは、エクソン9を含む(長型)又は排除する(短型)。長型は、未処理の膜結合型受容体をコードするが、短型は、分泌型の可溶性の非機能的受容体をコードする。エクソン9の領域に特異的な2’−O−MOE−オリゴヌクレオチドを用いて、Karras及び共同研究者(上記)は、野生型受容体の発現を有意に低下させ、短いアイソフォームの発現を増加させることができた。本発明に従って使用することができるオリゴヌクレオチドの設計及び合成は、下記及びSazani and Kole (2003) Progress in Molecular and Subcellular Biology 31:217-239によって記載されている。
或いは、又はさらに、上方調節は、上記で記載されたような本発明のポリペプチド又はその活性のある部分のポリペプチド剤の少なくとも1つを患者に投与することによって達成されてもよい。しかしながら、長いポリペプチドの生物利用性は、高い分解及び低い浸透率のために相対的に少ないので、ポリペプチドの投与は、好ましくは、小さなペプチド断片(たとえば、約100のアミノ酸)に限定される。
BNPポリペプチドを上方調節することが可能である作用剤は、BNPポリペプチドをコードする内因性のDNA又はmRNAの転写及び/又は翻訳を高めることができるので、内因性のBNP活性を高めることができるいずれの化合物であってもよい。
BNPを上方調節することが可能である作用剤は、BNPの少なくとも機能的な部分(上記に記載されたような)を含む外因性のポリペプチドであってもよい。
BNPの上方調節は、少なくとも1つのBNPの基質を導入することによっても達成することができる。そのような作用剤の非限定例には、HOXC10(Gabellini D, et al., 2003; EMBO J. 22: 3715-24))、ヒトのセクリン及びサイクリンB1(Tang Z, et al., 2001; Mol. Biol. Cell. 12: 3839-51)、サイクリンA、ゲミニンH、及びCut2p(Bastians H, et al., 1999; Mol. Biol. Cell. 10: 3927?3941)が挙げられる。
BNPの上方調節は、BNPを発現している細胞を個体に投与することによっても達成することができることは十分に理解されるであろう。
BNPを発現する細胞は、個体に由来する、肺、卵巣、骨髄のような好適な細胞のいずれかであることができ、上記で記載されたようにBNPを発現するように設計されたポリヌクレオチドを含有する発現ベクターでex vivoにて形質移入される。
本発明のBNPを発現する細胞の投与は、静脈内、腹腔内及び卵巣内のような好適な経路を使用して達成することができる。現在好ましい実施態様によれば、本発明のBNPを発現する細胞は、静脈内投与及び/又は臓器内投与を用いて個体に導入される。
本発明のBNPを発現する細胞は、骨髄細胞のような自己供給源又は非自己供給源に由来する骨髄細胞又はそのほかの細胞のような同種供給源に由来することができる。非自己の細胞は生体に投与した場合、免疫反応を誘発する可能性があるので、非自己細胞の拒絶の可能性を低減するために幾つかのアプローチが開発されている。これらには、受入者の免疫系を抑制すること、又は移植前に免疫的に隔離された半浸透性の膜に非自己の細胞又は組織を被包することが挙げられる。
被包技法は、一般に、小型球形の媒体が関与するマイクロ被包、及びさらに大きな平坦なシート及び中空の繊維性膜が関与するマクロ被包に分類される(Uludag, H. et al. 哺乳類細胞の被包の技術、Adv Drug Deliv Rev. 2000; 42: 29-64)。
マイクロカプセルを作成する方法は、当該技術で既知であり、たとえば、Lu MZ, et al.、アルギネート及びα−フェノキシシナミリデン−アセチル化ポリ(アリルアミン)による細胞の被包、Biotechnol Bioeng. 2000, 70: 479-83,;Chang TM and Prakash S、酵素、細胞及び遺伝子操作された微生物のマイクロ被包の手順、Mol Biotechnol. 2001, 17: 249-60;及び Lu MZ, et al.、感光性ポリ(アリルアミンαーシアノシナミリデンアセテート)を用いた新規の細胞被包法、J Microencapsul. 2000, 17: 245-51によって開示されたものが挙げられる。
たとえば、修飾コラーゲンを2−ヒドロキシエチルメチルアクリレート(HEMA)、メタクリル酸及びメチルメタクリレート(MMA)のターポリマーシェルと共に錯体化し、2〜5μmのカプセル厚さを生じることによってマイクロカプセルを作成する。負に荷電した滑らかな表面を付与し、血漿タンパク質の付着をできるだけ抑えるために、そのようなマイクロカプセルを、追加の2〜5μmのターポリマーシェルでさらに被包する(Chia, S.M. et al. 細胞被包のための多層のマイクロカプセル、 Biomaterials. 2002 23: 849-56)。
そのほかのマイクロカプセルは、アルギネート、海洋性多糖類(Sambanis, A. 糖尿病治療における被包性脾島、 Diabetes Thechnol. Ther. 2003, 5: 665-8)又はその誘導体に基づく。たとえば、マイクロカプセルは、塩化カルシウムの存在下、ポリアニオンのアルギン酸ナトリウムとセルロース硫酸ナトリウムのポリカチオンのポリ(メチレン−コ−グアニジン)塩酸塩とのポリ電解質錯体化によって作成することができる。
さらに小さなカプセルが使用される場合、細胞の被包が改善されることが十分に理解されるであろう。従って、カプセルサイズが1nm〜400μmに縮小された場合、被包された細胞の品質管理、機械的安定性、拡散特性及びin vitroの活性が改善した(Canaple L. et al., サイズの制御を介した細胞の被包の改善、 J Biomater Sci Polym Ed. 2002;13: 783-96)。さらに、よく制御された7nmの小さな孔、誂えられた表面の化学的性質及び正確な基本設計を持つナノ多孔性生体カプセルは、細胞に対する微細環境を免疫的に上手く隔離することが見い出された(Williams D. 小さいことは美しい:医療用装置におけるマイクロ粒子及びナノ粒子、 Med Device Technol. 1999, 10: 6-9; Desai, T.A. 膵臓細胞の被包のためのマイクロ製造技術、 Expert Opin Biol Ther. 2002, 2: 633-46)。
下方調節の方法及び作用剤
BNPの下方調節は、転写及び/又は翻訳を妨害する種々の分子(たとえば、アンチセンス、siRNA、リボザイム、DNAザイム)を用いてゲノム及び/又は転写のレベルで、或いはポリペプチドなどを切断する、たとえば、拮抗剤、酵素を用いてタンパク質レベルで達成することができる。
以下は、BNPの発現レベル及び/又は活性を下方調節することが可能である作用剤のリストである。
BNPポリペプチドを下方調節することが可能である作用剤の一例は、BNPに特異的に結合することが可能である抗体又は抗体断片である。好ましくは、上記に記載したように、抗体は、BNPの少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する。
BNPの転写物を下方調節することが可能である作用剤は、小型干渉RNA(siRNA)である。RNA干渉は2工程過程である。開始工程と呼ばれる第1の工程、ATP依存性の方式でdsRNA(直接又は導入遺伝子若しくはウイルスを介して導入される)をプロセッシング(切断)するdsRNA特異的リボヌクレアーゼのRNA分解酵素IIIファミリーの一員であるダイサーのおそらく作用によって、投入dsRNAが21〜23ヌクレオチド(nt)の小さな干渉RNA(siRNA)に消化される。連続的な切断事象が、それぞれ2−ヌクレオチド3’−オーバーハングを持つ19〜21bpの二本鎖(siRNA)にRNAを分解する[Hutvagner and Zamore Curr. Opin. Genetics and Development 12:225-232 (2002); and Bernstein Nature 409:363-366 (2001)]。
エフェクター工程では、siRNA二本鎖がヌクレアーゼ複合体に結合してRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を形成する。RISCの活性化には、ATP依存性のsiRNAの巻き戻しを必要とする。次いで、活性のあるRISCは、塩基対相互作用によって相同の転写物を標的とし、siRNAの3’末端からmRNAを12ヌクレオチドの断片に切断する[Hutvagner and Zamore Curr. Opin. Genetics and Development 12:225-232 (2002); Hammond et al. (2001) Nat. Rev. Gen. 2:110-119 (2001); and Sharp Genes. Dev. 15:485-90 (2001)]。切断のメカニズムは未だ解明されるべきであるが、研究は、各RISCが単一のsiRNA及びRNA分解酵素を含有することを示している[Hutvagner and Zamore Curr. Opin. Genetics and Development 12:225-232 (2002)]。
RNAiの顕著な有効性のために、RNAi経路内の増幅工程が示唆されてきた。siRNAをさらに生成する投入dsRNAをコピーすることによって、又は形成されたsiRNAの複製によって増幅が生じればよい。或いは又はさらに、RISCの複数の代謝回転事象によって増幅が達成されればよい[Hammond et al. Nat. Rev. Gen. 2:110-119 (2001), Sharp Genes. Dev. 15:485-90 (2001); Hutvagner and Zamore Curr. Opin. Genetics and Development 12:225-232 (2002)]。RNAiに関するさらなる情報については以下の概説、Tuschl ChemBiochem. 2:239-245 (2001); Cullen Nat. Immunol. 3:597-599 (2002); and Brantl Biochem. Biophys. Act. 1575:15-25 (2002)を参照のこと。
本発明との使用に好適なRNAi分子の合成は、以下のように達成することができる。第1に、AAジヌクレオチド配列についてAUG開始コドンの下流で、BNPの転写物mRNA配列を精査する。各AAの発生及び3’隣接の19ヌクレオチドを可能性のあるsiRNA標的部位として記録する。好ましくは、非翻訳領域(UTR)が調節性タンパク質結合部位について豊富であれば、siRNA標的部位はオープンリーディングフレームから選択する。UTR−結合タンパク質及び/又は翻訳開始複合体が、siRNAエンドヌクレアーゼ複合体の結合を妨害してもよい[Tuschl, T. 2001, ChemBiochem. 2:239-245]。5’UTRに向けられたsiRNAが細胞内GAPDHのmRNAの約90%の低下に介在し、タンパク質レベルでは完全に消失したGAPDHについて明らかにされたように、非翻訳領域に向けられたsiRNAも有効であることが十分に理解されるであろう(www.ambion.com/techlib/tn/91/912.html)。
第2に、NCBIのサーバ(www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)から利用可能なBLASTソフトウエアのような配列比較ソフトウエアを用いて、可能性のある標的部位を、適当なゲノムのデータベース(たとえば、ヒト、マウス、ラットなど)と比較する。そのほかのコーディング配列に有意な相同性を示す推定上の標的部位をフィルターで除去する。
siRNA合成用の鋳型として標的配列を制限することを選択する。好ましい配列は、G/C含量が55%より高いものに比べて低いものの方が遺伝子のスプライシングに介在するのにより有効であることが判っているので、G/C含量の低いものである。評価するための標的遺伝子の長さに沿って好ましくは幾つかの標的部位を選択する。選択されたsiRNAのさらに良好な評価のために、好ましくは、併せて陰性対照を用いる。陰性対照のsiRNAは好ましくは、siRNAとしての同一ヌクレオチド組成を含むが、ゲノムへの十分な相同性を欠く。従って、それが、他の任意の遺伝子に十分な相同性を示さないという条件で、siRNAの混ぜ合わせにしたヌクレオチド配列を好ましくは使用する。
BNPの転写物を下方調節することが可能である別の作用剤は、BNPのmRNA転写物又はDNAの配列を特異的に切断することができるDNAザイム分子である。DNAザイムは、一本鎖及び二本鎖の標的配列を切断することが可能である一本鎖ポリヌクレオチドである(Breaker, R.R. and Joyce, G. Chemistry and Biology 1995;2:655; Santoro, S.W. & Joyce, G.F. Proc. Natl, Acad. Sci. USA 1997;943:4262)。DNAザイムの一般的なモデル(「10−23」モデル)が提案されている。「10−23」DNAザイムは、各7〜9のデオキシリボヌクレオチドの2つの基質認識ドメインが隣接する15デオキシリボヌクレオチドの触媒ドメインを有する。この種のDNAザイムは、プリン:ピリミジンの接合部でその基質RNAを効率的に切断することができる(Santoro, S.W. & Joyce, G.F. Proc. Natl, Acad. Sci. USA 199; DNAザイムの概説については Khachigian, LM [Curr Opin Mol Ther 4:119-21 (2002)を参照のこと)。
一本鎖及び二本鎖の標的切断部位を認識する合成の操作されたDNAザイムの構築及び増幅の例は、Joyce et al.への米国特許第6,326,174号に開示されている。ヒトのウロキナーゼ受容体に対して向けられた同様の設計のDNAザイムは最近、ウロキナーゼ受容体の発現を阻害し、in vivoで結腸癌細胞の転移を上手く阻害することが認められた(Itoh et al, 20002, Abstract 409, Ann Meeting Am Soc Gen Ther. www.asgt.org)。別の適用では、bcr−abl癌遺伝子に相補的なDNAザイムは、白血病細胞における癌遺伝子の発現を阻害すること並びにCML及びALLの場合、自己骨髄移植での再発率を下げることに成功した。
BNP転写物の下方調節は、BNPをコードするmRNA転写物と特異的にハイブリッド形成することが可能であるアンチセンスポリヌクレオチドを用いて達成することもできる。
アンチセンスのアプローチに重要な2つの側面を考慮しつつ、BNPを効率的に下方調節するのに使用することができるアンチセンス分子の設計を達成しなければならない。第1の側面は、適当な細胞の細胞質へのオリゴヌクレオチドの送達であり、第2の側面は、細胞内で指定されたmRNAにその翻訳を阻害するように特異的に結合するオリゴヌクレオチドの設計である。
従来技術は、多種多様の細胞種に効率的にオリゴヌクレオチドを送達するのに使用することができる多数の送達戦略を教示している[たとえば、Luft J Mol Med 76: 75-6 (1998); Kronenwett et al. Blood 91: 852-62 (1998); Rajur et al. Bioconjug Chem 8: 935-40 (1997); Lavigne et al. Biochem Biophys Res Commun 237: 566-71 (1997) and Aoki et al. (1997) Biochem Biophys Res Commun 231: 540-5 (1997)を参照のこと]。
さらに、標的mRNAとオリゴヌクレオチド双方における構造的変化のエネルギー特性を説明する熱動態サイクルに基づいた標的mRNAに対する最高の予想結合親和性を持つ配列を同定するためのアルゴリズムも利用可能である[たとえば、Walton et al. Biotechnol Bioeng 65: 1-9 (1999)を参照のこと]。
そのようなアルゴリズムを上手く利用して細胞においてアンチセンスのアプローチを実施している。たとえば、Walton et al.によって開発されたアルゴリズムは、科学者がウサギのβグロビン(RBG)及びマウスの腫瘍壊死因子−α(TNFα)の転写物に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを上手く設計することを可能にした。同一の研究グループがさらに最近、動的PCR法によって評価される細胞培養における3つのモデル標的mRNA(ヒトの乳酸脱水素酵素A及びB並びにラットのgp130)に対する合理的に選択されたオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性が、ホスホジエステル及びホスホロチオエートオリゴヌクレオチド化学物質を持つ2つの細胞種における3つの異なった標的に対する試験を含めてほとんどの場合で有効であることが判明したことを報告している。
さらに、in vitroの系を用いた特定のオリゴヌクレオチドの効率性を設計し、予測する幾つかのアプローチも出版されている(Matveeva et al., Nature Biotechnology 16: 1374 - 1375 (1998))。
幾つかの臨床試験は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの安全性、実現可能性及び活性を明らかにしている。たとえば、癌の治療に好適なアンチセンスオリゴヌクレオチドが上手く利用されている[Holmund et al., Curr Opin Mol Ther 1:372-85 (1999)]一方で、α−myb遺伝子、p53及びBcl−2を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを介した血液の悪性腫瘍の治療が臨床試験に入り、患者に認容されることが示されている[Gerwitz Curr Opin Mol Ther 1:297-306 (1999)]。
さらに最近、ヒトのヘパラナーゼ遺伝子の発現のアンチセンス介在性の抑制が、マウスのモデルにおけるヒト癌細胞の胸膜播種を阻害することが報告されている[Uno et al., Cancer Res 61:7855-60 (2001)]。
従って、現在のコンセンサスは、上述のように、精度の高いアンチセンスの設計アルゴリズム及び多種多様なオリゴヌクレオチドの送達系を導いたアンチセンス技術の分野の最近の発展によって、当業者が、過度の試験や誤った実験に頼ることなく、既知の配列の発現を下方調節するのに好適なアンチセンスのアプローチを設計し、実施することが可能になっているということである。
BNPの転写物を下方調節することが可能である別の作用剤は、BNPをコードするmRNA転写物を特異的に切断することができるリボザイム分子である。リボザイムは、当該タンパク質をコードするmRNAの切断によって遺伝子の発現を配列特異的に阻害するために、ますます使用されている[Welch et al., Curr Opin Biotechnol. 9:486-96 (1998)]。任意の特定の標的RNAを切断するリボザイムを設計する可能性は、基礎研究及び治療応用の双方においてそれらを有益なツールにしている。治療領域では、リボザイムを活用して、感染症におけるウイルスRNA、癌における優性の癌遺伝子及び遺伝性疾患における特定の体細胞突然変異を標的としている[Welch et al., Clin Diagn Virol. 10:163-71 (1998)]。最も著しいことに、HIV患者に対する幾つかのリボザイム遺伝子治療プロトコールがすでにフェーズI試験にある。さらに最近、リボザイムは、遺伝子導入動物の研究、遺伝子標的の検証及び経路解明に使用されている。幾つかのリボザイムが臨床試験の種々の段階にある。アンギオザイムは、ヒトの臨床試験で検討されるべく最初に化学的に合成されたリボザイムである。アンギオザイムは、血管形成経路の鍵となる成分であるVEGF−r(血管内皮増殖因子受容体)の形成を特異的に阻害する。リボザイム製薬会社並びにそのほかの会社は、動物モデルで血管形成抑制療法の重要性を実証している。ヘプタザイム、C型肝炎ウイルス(HCV)のRNAを選択的に破壊するように設計されたリボザイムは、細胞培養アッセイにおいてC型肝炎ウイルスのRNAを減らすことに有効であることが見い出された(リボザイム製薬会社、Webホームページ)。
BNPを下方調節することが可能である別の作用剤は、BNPに結合する及び/又はそれを切断する任意の分子である。そのような分子は、BNP拮抗剤又はBNP阻害ペプチドであることができる。
BNPを下方調節する作用剤として、BNPの少なくとも触媒部分又は結合部分の非機能的類縁体も使用することができることが十分に理解されるであろう。
BNPを下方調節するために本発明と共に使用することができる別の作用剤は、BNPの活性化又は基質の結合を妨害する分子である。
上記に記載された下方調節剤又は上方調節剤又はBNPをコードする発現ベクターのそれぞれを、個体自身に、又は生理学的に許容可能なキャリアも含む医薬組成物の一部として投与することができる。医薬組成物の目的は、有効成分の生物への投与を円滑にするためである。
本明細書で使用されるとき、「医薬組成物」は、生理学的に許容可能なキャリア及び賦形剤のようなそのほかの化学成分を伴った本明細書で記載される1以上の有効成分の製剤を言う。医薬組成物の目的は、有効成分の生物への投与を円滑にするためである。
本明細書では、用語「有効成分」は、生物学的効果を説明できる製剤を言う。
以下、相互交換可能に使用してもよい、語句「生理学的に許容可能なキャリア」及び「薬学上許容可能なキャリア」は、生物に十分な刺激を起こさず、投与される化合物の生物活性及び特性を排除しないキャリア又は希釈剤を言う。これらの語句のもとで補助剤も含まれる。薬学上許容可能なキャリアに含まれる成分の1つは、たとえば、有機媒体及び水性媒体の双方で広い範囲の溶解性を持つ生体適合性ポリマーであるポリエチレングリコール(PEG)である(Mutter et al. (1979))。
本明細書では、用語「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに円滑にするために医薬組成物に添加される不活性の物質を言う。賦形剤の限定のない例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖及びデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
薬剤の製剤化及び投与の技法は、「レミングトンの薬学科学」(Mack Publishing Co., Easton, PA, 最新版)に見い出されてもよく、参照によってそれを本明細書に組み入れる。
投与の好適な経路には、たとえば、経口、直腸、経粘膜、特に経鼻、腸管又は非経口の送達が挙げられ、筋肉内、皮下及び髄内の注射、並びにくも膜下、直接の脳室内、静脈内、腹腔内、鼻内又は眼内の注射が含まれる。代わりに、全身性ではなく局所性に、たとえば、患者の体の特定の領域への製剤の直接的な注射を介して製剤を投与してもよい。
本発明の医薬組成物は、当該技術で周知の工程、たとえば、従来の混合する工程、溶解する工程、顆粒化する工程、糖衣錠を作成する工程、すり潰す工程、乳化する工程、カプセル化する工程、被包する工程又は凍結乾燥する工程によって製造されてもよい。
本発明に従って使用するための医薬組成物は、有効成分の製剤中での加工を円滑にし、薬学的に使用することができる賦形剤及び補助剤を含む、1以上の生理学的に許容可能なキャリアを用いた従来の方式で製剤化してもよい。適切な処方は、選択された投与経路に依存する。
注射のためには、本発明の有効成分は、水溶液、好ましくはたとえば、ハンクス溶液、リンガー溶液又は生理食塩緩衝液のような相溶性の緩衝液中で製剤化される。経粘膜投与については、浸透すべきバリアに適当な浸透剤が処方に使用される。そのような浸透剤は、当該技術で一般に知られている。
経口投与については、有効成分を当該技術で周知の薬学上許容可能なキャリアと組み合わせることによって化合物を容易に製剤化することができる。そのようなキャリアは、本発明の化合物が、患者による経口摂取のための錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液剤、ジェル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化されることを可能にする。経口使用のための薬理学的製剤は、固形賦形剤を用い、適宜、所望であれば、好適な補助剤を添加した後、得られた混合物をすりつぶし、顆粒の混合物を加工して錠剤又は糖衣錠の芯を得て作製することができる。好適な賦形剤は、特に、たとえば、ラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトールを含む糖のような充填剤;セルロース製剤、たとえば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、ガム、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム;及び/又はたとえば、ポリビニルピロリドン(PVP)のような生理学的に許容可能なポリマーである。所望であれば、たとえば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天又はアルギン酸若しくはその塩、たとえば、アルギン酸ナトリウムのような崩壊剤を添加してもよい。
好適なコーティングで糖衣錠の芯が提供される。この目的で、適宜、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液及び好適な有機溶媒又は溶媒混合物を含有してもよい濃縮された糖溶液を用いてもよい。活性化合物用量の様々な組み合わせを同定する又は特徴付けるために、染料又は顔料を錠剤又は糖衣錠のコーティングに添加してもよい。
経口的に使用することができる医薬組成物は、ゼラチンから成る押し込み型カプセル並びにゼラチン及びグリセロール又はソルビトールのような可塑剤から成る軟質の密閉カプセルを包含する。押し込み型カプセルは、ラクトースのような充填剤、デンプンのような結合剤、タルク又はステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤及び適宜、安定剤との混合材料中で有効成分を含有してもよい。軟質カプセルでは、たとえば、脂肪油、流動パラフィン又は液状ポリエチレングリコールのような好適な液体に有効成分を溶解してもよく又は懸濁してもよい。経口投与のための処方はすべて、投与の選択された経路に好適な投与量であるべきである。
頬内投与については、組成物は、従来の方式で製剤化された錠剤又はトローチ剤の形態を取ってもよい。
鼻内吸入による投与については、本発明に従って使用するための有効成分は、たとえば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン又は二酸化炭素のような好適な高圧ガスの使用と共に、加圧包装又はネブライザーからのエアゾール噴霧提示の形態で従来のように送達される。加圧エアゾールの場合、計測量を送達するための弁を提供することによって投与量単位を決定してもよい。分配器で使用するための、たとえば、ゼラチンのカプセル又はカートリッジは、化合物及びラクトース又はデンプンのような好適な粉末基剤の粉末混合物を含有して製剤化してもよい。
本明細書に記載される製剤は、たとえば、ボーラス注射又は連続的な点滴による非経口投与のために処方してもよい。注射用の処方は、たとえばアンプルのような単位投与形態で、又は適宜添加された防腐剤と共に多用量容器で提示されてもよい。組成物は、油性又は水性の媒体における懸濁液、溶液又はエマルションであってもよく、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤のような処方剤を含有してもよい。
非経口投与用の医薬組成物は、水溶性形態における活性製剤の水溶液を包含する。さらに、適当な油性又は水性基剤の注射用懸濁液として有効成分の懸濁液を調製してもよい。好適な親油性溶媒又は媒体には、ゴマ油のような脂肪油、オレイン酸エチルのような合成脂肪酸エステル、トリグリセリド又はリポソームが挙げられる。水性の注射用懸濁液は、たとえば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストランのような懸濁液の粘度を高める物質を含有してもよい。適宜、懸濁液は、有効成分の溶解性を高めて濃度の高い溶液の調製を可能にする好適な安定剤も含有してもよい。
代替として、有効成分は、使用前に、好適な媒体、たとえば、無菌の、発熱物質なしの水系溶液と共に構築するために粉末の形態であってもよい。
本発明の製剤は、たとえば従来の座薬基剤、たとえばココアバター又はそのほかのグリセリドを用いて、たとえば、座薬又は停留浣腸剤のような直腸組成物に処方してもよい。
本発明の背景での使用に好適な医薬組成物は、有効成分が意図する目的を達成するのに有効な量で含有される組成物を包含する。さらに具体的には、理論的に有効な量は、疾患の症状を防ぐ、緩和する若しくは改善する又は治療される対象の生存を延長するのに有効な有効成分の量を意味する。理論的に有効な量の決定は、当業者の手腕の範囲内で十分である。
本発明の方法で使用される製剤については、in vitroのアッセイから、理論的に有効な量又は用量を最初に概算することができる。たとえば、動物モデルで用量を処方することができ、そのような情報を使用してヒトでの有用な用量をさらに正確に決定する。
本明細書に記載される有効成分の毒性及び治療上の有効性は、細胞培養又は実験動物におけるin vitroの標準的な薬学的手順によって判定することができる。これらin vitro及び細胞培養アッセイ及び動物試験から得られるデータをヒトでの使用のための投与量の範囲を処方するのに使用することができる。投与量は、採用される投与形態及び利用される投与経路によって変化してもよい。正確な処方、投与経路及び投与量は、患者の状態の点から見て個々の内科医によって選択されたことができる(たとえば、Fingl, et al., 1975, in "The Pharmacological Basis of Therapeutics", Ch. 1 p.1参照のこと)。
治療されるべき状態の重症度及び感応性によって、投薬は、単回又は複数回の投与であることができ、投与の経過は、数日〜数週間、又は治療が達成されるまで、又は病気の状態の先細りが達成されるまで続く。
投与されるべき組成物の量は当然、治療される対象、苦痛の重症度、投与の方式、処方内科医の判断などに依存するであろう。
相溶性の医薬キャリアで処方された本発明の製剤を含む組成物も調製し、適当な容器に入れ、適応の症状の治療のために標識してもよい。
所望であれば、本発明の医薬組成物は、有効成分を含有する1以上の単位投与形態を含有してもよい、たとえば、FDAが認可したキットのような包装又は分配装置で提示されてもよい。包装は、たとえば、透明包装のような金属又はプラスチックのホイルを含んでもよい。包装又は分配装置には投与のための指示書が伴う。包装又は分配器はまた、医薬の製造者、使用又は販売を規制する政府当局によって処方された形態で容器と一体にした注意書に従って提供され、注意書は、当局による組成物の形態又はヒト若しくは家畜への投与の認可を反映する。そのような注意書は、たとえば、米国食品医薬品局によって認可された処方薬剤用のラベルであってもよいし、又は認可製品挿入物であってもよい。
本発明に係るBNP関連疾患の治療は、当該技術で既知のそのほかの治療法と組み合わせてもよい(すなわち、併用療法)ことが十分に理解されるであろう。
本発明の原理及び操作は、図面及び添付の説明を参照してさらによく理解されてもよい。
本発明の少なくとも1つの実施態様を詳細に説明する前に、本発明がその適用において以下の又は実施例によって例示される説明で述べられる詳細に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施態様を可能にし、又は種々の方法で実践又は実行することが可能である。また、本明細書で採用される語句及び用語は説明の目的のためであって、限定としてみなすべきではないことが理解されるべきである。
本明細書で使用されるとき、用語「約」は±10%を言う。
本発明の追加の目的、利点及び新規の特徴は、限定を意図するものではない以下の実施例の試験の際に当業者に明らかになるであろう。さらに、上記で描写され、また以下のクレームの項で請求される本発明の種々の実施態様及び側面のそれぞれについては、以下の実施例において実験的支持が見い出される。
上記説明と共に以下の実施例を参照して、本発明を非限定的方法で説明する。
一般に、本明細書で使用された命名法及び本発明で利用される実験的手順は、分子、生化学、微生物学及び組換えDNAの手法を包含する。そのような技法は文献で十分に説明されている。たとえば、「分子クローニング:実験室マニュアル」、Sambrook et al., (1989);「分子生物学における今日的プロトコール」、I〜III巻、Ausubel, R. M., ed. (1994);「分子生物学における今日的プロトコール」、;John Wiley and Sons, Baltimore, Maryland (1989);Perbal、「分子クローニングの実践的ガイド」、John Wiley & Sons, New York (1988); Watson et al、「組換えDNA」、Scientific American Books, New York; Birren et al. (eds) 、「ゲノム解析:実験室マニュアルシリーズ」、1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1998);米国特許第4,666,828号;同第4,683,202号;同第4,801,531号;同第5,192,659号及び同第5,272,057号に述べられた方法論;「細胞生物学:実験室ハンドブック」I〜III巻、Cellis, J. E., ed. (1994);「免疫学における今日的プロトコール」I〜III巻、Coligan J. E., ed. (1994); Stites et al. (eds)、「基礎及び臨床の免疫学」(第8版)、Appleton & Lange, Norwalk, CT (1994); Mishell and Shiigi (eds)、「細胞性免疫学における精選された方法」、W. H. Freeman and Co., New York (1980)を参照のこと;利用可能な免疫アッセイは、特許及び科学文献に鋭意記載されており、たとえば、米国特許第3,791,932号;同第3,839,153号;同第3,850,752号;同第3,850,578号;同第3,853,987号;同第3,867,517号;同第3,879,262号;同第3,901,654号;同第3,935,074号;同第3,984,533号;同第3,996,345号;同第4,034,074号;同第4,098,876号;同第4,879,219号;同第5,011,771号及び同第5,281,521号;「オリゴヌクレオチドの合成」、Gait, M. J., ed. (1984);「核酸のハイブリッド形成」、Hames, B. D., and Higgins S. J., eds. (1985);「転写と翻訳」、Hames, B. D., and Higgins S. J., Eds. (1984);「動物細胞の培養」、Freshney, R. I., ed. (1986);「固相化細胞と酵素」、IRL Press, (1986);「分子クローニングのための実践的指針」、Perbal, B., (1984);及び「酵素学における方法」、1〜317巻、Academic Press;「PCRプロトコール:方法及び応用への指針」、Academic Press, San Diego, CA (1990); Marshak et al.、「タンパク質の精製及び性状分析の戦略−実験室コースマニュアル、CSHL Press (1996)を参照のこと;そのすべてをあたかも本明細書で完全に述べられるかの如く参照によって本明細書に組み入れる。そのほかの一般的な参考文献も本文書全体を通して提供される。その中の手順は当該技術で周知であると考えられ、読者の好都合のために提供される。その中に含有される情報はすべて参照によって本明細書に組み込まれる。
以下の項は、候補マーカーの実施例(第1の項)に関する。
候補マーカーの実施例の項
本項は、本発明に係る配列の実施例に関する。
本発明の生体分子の配列を明らかにするために行った方法論の説明
ヒトのEST及びcDNAは、ジェンバンクのバージョン136(2003年6月15日、ftp.ncbi.nih.gov/genbank/release.notes/gb136.release.notes);2003年4月のNCBIゲノムアセンブリ;2003年6月からのRefSeq配列;ジェンバンクのバージョン139(2003年12月);NCBIからのヒトゲノム(ビルド34)(2003年10月から);及び2003年12月からのRefSeq配列;及びIncyte LifeSeqライブラリ(ESTのみ、インサイト社)(Wilmington, DE, USA)から入手した。ジェンバンクの配列に関しては、EST(GBEST)部からのヒトEST配列及び霊長類(GBPRI)部からのヒトmRNA配列を使用した;また、ヒトのヌクレオチドRefSeqmRNA配列を使用した(たとえば、www.ncbi.nlm.nih.gov/Genbank/GenbankOverview.htmlを参照のこと;EST部の参照については、 www.ncbi.nlm.nih.gov/dbEST/を参照のこと;dbESTの一般的な参照、ジェンバンクのESTデータベースは、Boguski et al, Nat Genet. 1993 Aug;4(4):332-3に見い出されてもよく、そのすべてをあたかも本明細書で完全に述べられるかの如く参照によって本明細書に組み入れる。)
Sorek, R., Ast, G. & Graur, D.に記載されるようなLEADSクラスタリング及びアセンブリ系を用いて、新規のスプライス変異体を予測した。Alu含有のエクソンが選択的にスプライシングされる。ゲノムRes12、1060−7(2002);米国特許第6,625,545号;及び2004年5月27日、US20040101876として公開された米国特許出願第10/426,002号;そのすべてをあたかも本明細書で完全に述べられるかの如く参照によって本明細書に組み入れる。簡単に言えば、ソフトウエアが反復、ベクター及び免疫グロブリンから、発現された配列をきれいにする。次いで、それが、選択的スプライシングを考慮に入れるゲノムに対して発現された配列を並べ、重なり合った配列を、遺伝子又は一部の遺伝子を表す「クラスター」に分ける。
GeneCarta(コンピュゲン、Tel-Aviv, Israel)プラットフォームを用いて、これらに注釈を付けた。GeneCartaプラットフォームは、注釈の豊富なプール、配列情報(特に、スプライシングされた配列)、染色体情報、配置構造、並びに、たとえば、SNP、遺伝子存在論用語、発現特性、機能的解析、詳細なドメイン構造、既知の及び予想されるタンパク質、及び詳細な相同性の報告のような追加の情報を含む。
候補を選択する方法に関して手短な説明が提供される。しかしながら、この説明は記載目的のみのために提供されるのであって、何らかの限定を意図するものではないことに言及すべきである。発現された配列のデータベースを用いることによって、そのほかの種類の組織と対照的に、特に筋肉組織と対照的に心臓組織に特異的に発現される、遺伝子及び/又はそのスプライス変異体を見い出すように設計されたコンピュータ処理により、可能性のあるマーカーが同定された。ライブラリ注釈による分類に従って決定された、ESTライブラリにおける情報に関連した種々のパラメータを用いて、心臓組織に特異的に及び/又は示差的に発現される遺伝子及び/又はそのスプライス変異体の位置決定を助けた。選択方法及びこれらのパラメータの詳細な記載は、以下の実施例1に提示される。
実施例1
示差的に発現される遺伝子産物の同定−アルゴリズム
示差的に発現された遺伝子産物と構成的に発現された遺伝子残物(すなわち、ハウスキーピング遺伝子)との間を区別するために、頻度解析に基づくアルゴリズムが設定された。心臓組織で特異的に発現される転写物の同定のための特定のアルゴリズムを以下に記載する。
EST解析
ESTは以下の主要な供給源:ジェンバンクのバージョン136(2003年6月15日、ftp.ncbi.nih.gov/genbank/release.notes/gb136.release.notes)及びジェンバンクのバージョン139(2003年12月);及びインサイト社(Wilmington, DE, USA)のLifeSeqのEST部分から得た。ジェンバンク配列に関して、EST(GBEST)部のヒトEST配列を用いた。
ライブラリの注釈−ESTライブラリは以下に従って手動で分類される:
1.組織の起源
2.生物学的供給源−ESTライブラリを構築するために頻繁に使用される生物学的供給源の例には、癌細胞株;正常な組織;癌組織;胎児組織;並びに、たとえば、正常な細胞株、正常な細胞株のプール、癌細胞株及びその組み合わせが挙げられる。これらの組織/細胞株などに関して以下で使用される略語の特定の記載は上で与えられる。
3.ライブラリ構築のプロトコール−標準化したライブラリ構築;標準化されないライブラリ構築;差し引きライブラリ;ORESTES及びそのほか(ジェンバンクで利用可能な注釈に記載される)を含む種々の方法が当該技術で知られる。時には、ライブラリ構築のプロトコールは、そのライブラリについて利用可能な情報に示されていないことが十分に理解されるであろう。
以下の規則が続く。
同一の生物学的試料を起源とするESTライブラリは単一ライブラリとみなした。
平均レベルを上回る混入、たとえば、DNAの混入を含むESTライブラリは排除した。そのような混入の存在は以下のように決定した。各ライブラリについて、そのほかのスプライシングされた配列内には完全には含有されないスプライシングされないESTの数を数えた。そのような配列の比率(他のすべての配列と比較して)が、解析されたすべてのライブラリの平均よりも少なくとも4標準偏差分上回れば、このライブラリを混入があるとしてレッテルをはり、以下の解析における更なる検討材料から排除した(さらなる詳細については、Sorek, R. & Safer, H.M.混入のあるESTライブラリのコンピュータによる同定のための新規のアルゴリズム、 Nucleic Acids Res 31, 1067-74 (2003)を参照のこと)。
当該組織の少なくとも2つの配列を含む少なくとも5つの配列を有するクラスター(遺伝子)を解析した。上述したようなLEADSソフトウエアパッケージを用いてスプライス変異体を同定した。
実施例2
心臓組織に特異的な遺伝子の同定
心臓組織に特異的なクラスターを検出するために、クラスター及びジェンバンクにおける総数のライブラリ/配列、及び関連する数の筋肉組織のライブラリ/配列と、心臓組織のライブラリ/配列を比較した。他のすべての組織と比較して、また筋肉組織との比較において、統計学的ツールを採用して心臓組織に特異的であるクラスターを同定した。
アルゴリズム−試した各組織Tについて、及び試した各クラスターについて、以下を調べた。
1.各クラスターは組織Tからの少なくとも2つのライブラリを含む。クラスターにおける組織Tからの少なくとも3つのクローン(上述のように評価される)。
2.次いで、特定のクラスターについて、以下の式を用いて、すべての組織の種類での発現と比較して心臓組織特異的な発現を判定する;
Figure 2007525213
式中、nはクラスターについて利用可能なESTの総数であり、Nは、解析で熟慮されるライブラリすべてで利用可能なESTの総数である(混入のあるライブラリに属するので拒絶されたものを除く、ジェンバンクにおける事実上すべてのEST)。この比は適宜、少なくとも約5に設定されればよいが、好ましくは、比は少なくとも約8に設定された。
3.次いで、以下の式を用いて特定のクラスターについて心臓組織特異的な発現対骨格筋組織特異的な発現を判定した:
Figure 2007525213
式中、tはクラスターについて心臓組織特異的なESTの数を表し、Tは、解析における心臓組織特異的ESTすべての数であり、mはクラスターについて骨格筋組織特異的ESTの数であり、Mは解析における骨格筋組織特異的ESTすべての数である。この比は適宜、少なくとも約2に設定されればよいが、好ましくは、比は少なくとも約4に設定された。
4.評価されるクローンのカウントについてフィッシャーの直接確率検定P値を算出して、発現の全体としてのレベルに比べて心臓組織で実際に過剰発現しているクラスターの確率である、以下の関数:F(t,T,n,N)に従って、カウントが統計的に有意であることを確認した。P値は適宜約le−3未満に設定されればよいが、好ましくはle−5未満に設定された。
実施例3−実験データ及びマーカーデータ
本実施例は、本発明に係る配列の例に関するものであり、これらの配列を含む実験、並びにその方法、アッセイ及び使用の説明的な非限定例を含む。すべての実験が実施された仕事の基礎としてそれらを使用したので、先ず材料及び実験手順を説明する。
種々の心臓及び非心臓の組織試料でのその発現に関して本発明のマーカーを調べた。言及しない限り、実験データはすべて、調べられた断片によって命名された、本発明の変異体に関する(発現が記載されたようなRT−PCRで調べられたので)。パネルで使用した試料の説明を以下の表1に提供する。次いで、試験は以下のように行われた。
表1.試験パネルにおける組織試料
Figure 2007525213
Figure 2007525213
Figure 2007525213
Figure 2007525213
材料及び実験手順
RNAの調製:RNAは、クロンテック(Franklin Lakes, NJ USA 07417, www.clontech.com)、バイオチェイン社(Hayward, CA 94545 USA www.biochain.com)、ABS(Wilmington, DE 19801, USA, http://www.absbioreagents.com)又はアンビオン(Austin, TX 78744 USA, http://www.ambion.com)から入手した。或いは、RNAは、製造元の指示書に従って、TRI試薬(モレキュラーリサーチセンター)を用いて組織試料から生成した。組織及びRNA試料は、患者又は解剖体から得た。全RNAをDNasel(アンビオン)で処理し、RNeasyカラム(キアゲン)を用いて精製した。
RT PCR:精製したRNA(1μg)を、総容量15.6μLで、150ngのランダムヘキサマープライマー(インビトロゲン)及び500μMのdNTPと混合した。混合物を65℃にて5分間インキュベートし、次いで氷上で冷却した。その後、5μLの5xSuperscriptII一本鎖緩衝液(インビトロゲン)、2.4μLの0.1MのDTT及び70単位のRNasin(プロメガ)を加え、混合物を25℃にて10分間インキュベートし、次いで42℃で2分間インキュベートした。次いで、1μL(200単位)のSuperscriptII(インビトロゲン)を加え、反応物(最終容量25μL)を42℃にて50分間インキュベートし、次いで70℃にて15分間不活化した。得られたcDNAをTE緩衝液(10mMのTris,pH=8.1、1mMのEDTA、pH=8)で1:20に希釈した。
リアルタイムRT−PCR解析:特異的プライマー及びUNG酵素(ユーロゲンテック又はABI又はロシュ)と共にSYB.RグリーンIアッセイ(PEアプライドバイオシステム)を用いたリアルタイムPCR反応において、上述のように調製したcDNA(5μL)を鋳型として用いた。増幅は、以下:50℃で2分間、96℃で10分間、次いで95℃で15秒間の40サイクル、その後60℃で1分間のようにして達成した。PEアプライドバイオシステムSDS7000を用いて検出を行った。反応が蛍光の閾値レベル(Ct)を達成するサイクルが登録され、RT反応における相対的な転写物の量を算出するのにそれを使用した。式Q=効率^−Ctを用いて相対的な量を算出した。PCR反応の効率は、幾つかの逆転写(RT)反応の連続希釈を用いて創った標準曲線から算出した。RT反応における固有の差異をできるだけ少なくするために、幾つかのハウスキーピング(HSKP)遺伝子の相対的な量の幾何学的な手段に対して得られた相対的な量を標準化した。定量的リアルタイムPCR解析の模式的要約を図1に提示する。示されるようにx軸はサイクル数を示す。C=閾値サイクル点は、増幅曲線が実験で設定された蛍光の閾値と交差するサイクルである。この点は、PCR産物のシグナルがバックグランドレベル(受動染料ROX)を超え、未だに幾何的/対数期にある、算出されたサイクル数である(示されるように、蛍光のレベルが測定閾値と交差すると、それは幾何的増加期を有し、その間、測定は最も正確であり、その後、線形期及びプラトー期が続き、定量的測定では、後者2つの期は正確な測定値を提供しない)。y軸は、標準化されたリポーターの蛍光を示す。この種の解析は相対的な定量を提供することに言及すべきである。
正常の組織試料での実施例すべてにおいて測定されたハウスキーピング遺伝子の配列は以下のとおりだった。
RPL19(ジェンバンク受入番号NM_000981)
RPL19正方向プライマー(配列番号30):TGGCAAGAAGAAGGTCTGGTTAG
RPL19逆方向プライマー(配列番号31):TGATCAGCCCATCTTTGATGAG
RPL19アンプリコン(配列番号32):TGGCAAGAAGAAGGTCTGGTTAGACCCCAATGAGACCAATGAAATCGCCAATGCCAACTCCCGTCAGCAGATCCGGAAGCTCATCAAAGATGGGCTGATCA
TATAボックス(ジェンバンク受入番号NM_003194)
TATAボックス正方向プライマー(配列番号33):CGGTTTGCTGCGGTAATCAT
TATAボックス逆方向プライマー(配列番号34):TTTCTTGCTGCCAGTCTGGAC
TATAボックス−アンプリコン(配列番号35):CGGTTTGCTGCGGTAATCATGAGGATAAGAGAGCCACGAACCACGGCACTGATTTTCAGTTCTGGGAAAATGGTGTGCACAGGAGCCAAGAGTGAAGAACAGTCCAGACTGGCAGCAAGAAA
ユビキチン(ジェンバンク受入番号NM_000449)
ユビキチン正方向プライマー(配列番号36):ATTTGGGTCGCGGTTCTTG
ユビキチン逆方向プライマー(配列番号37):TGCCTTGACATTCTCGATGGT
ユビキチン−アンプリコン(配列番号38):ATTTGGGTCGCGGTTCTTGTTTGTGGATCGCTGTGATCGTCACTTGACAATGCAGATCTTCGTGAAGACTCTGACTGGTAAGACCATCACCCTCGAGG TTGAGCCCAGTGACACCATCGAGAATGTCAAGGCA
SDHA(ジェンバンク受入番号NM_004168)
SDHA正方向プライマー(配列番号39):TGGGAACAAGAGGGCATCTG
SDHA逆方向プライマー(配列番号40):CCACCACTGCATCAAATTCATG
SDHA−アンプリコン(配列番号41):TGGGAACAAGAGGGCATCTGCTAAAGTTTCAGATTCCATTTCTGCTCAGTATCCAGTAGTGGATCATGAATTTGATGCAGTGGTGG
クラスターHUMNATPEPに関する説明
クラスターHUMNATPEPは、4種の転写物及び7種の当該断片を特徴として、それらの名称はそれぞれ表1及び表2に示し、それら自体の配列は出願の最後に示す。選択したタンパク質の変異体は表3に示す。
表1.対象の転写物
Figure 2007525213
表2.対象の断片
Figure 2007525213
表3.対象のタンパク質
Figure 2007525213
これらの配列は、以前から知られているタンパク質として本明細書で言われる既知のタンパク質、ナトリウム利尿ペプチドB前駆体[ガンマ−脳性ナトリウム利尿ペプチド;脳性ナトリウム利尿ペプチド32(BNP−32)を含有する](SwissProt受入識別子ANFB_HUMAN)の変異体である。
タンパク質ナトリウム利尿ペプチドB前駆体[ガンマ−脳性ナトリウム利尿ペプチド;脳性ナトリウム利尿ペプチド32(BNP−32)を含有する]は、以下の機能を有することが知られる又は有すると考えられる。ナトリウム利尿、利尿、血管弛緩及びレニンとアルドステロンの分泌の阻害を含む種々の生物作用を伴って心臓ホルモンとして作用する。それは、循環器系の恒常性において鍵となる役割を担っていると考えられている。体内の塩と水のバランスを元に戻すのを助ける。心臓の機能を改善する。タンパク質ナトリウム利尿ペプチドB前駆体[ガンマ−脳性ナトリウム利尿ペプチド;脳性ナトリウム利尿ペプチド32(BNP−32)を含有する]の配列は、「ナトリウム利尿ペプチドB前駆体[ガンマ−脳性ナトリウム利尿ペプチド;脳性ナトリウム利尿ペプチド32(BNP−32)を含有する]のアミノ酸配列」(配列番号12)として本出願の最後に提供されている。この配列についての既知の多型を表4に示す。
表4.公知のタンパク質に関するアミノ酸突然変異
Figure 2007525213
タンパク質ナトリウム利尿ペプチドB前駆体[ガンマ−脳性ナトリウム利尿ペプチド;脳性ナトリウム利尿ペプチド32(BNP−32)を含有する]の局在は分泌されるためであると考えられている。
以前から公知のタンパク質は、以下の適応及び/又は可能性のある治療上の使用:肝機能障害、一般;高血圧、一般;心不全;喘息;腎不全も有する。ヒトでの臨床上/治療上の使用のために、たとえば、抗体又は小分子の標的として、及び/又は直接的な治療としてそれは研究されてきた;これらの研究に関連して利用可能な情報は以下のとおりである。以前から公知のタンパク質の薬学的に関連する又は治療上関連する可能性のある活性(単数)又は活性(複数)は以下のとおりである。心房性ペプチドアゴニスト;利尿剤。クラスターで表されるタンパク質に関する治療上の役割は、予測されてきた。このタンパク質が、可能性のある治療適応:肝保護性;血圧降下性;血圧降下性、利尿性;心臓刺激性;血管拡張性;冠動脈;泌尿器的;喘息抑制性;COPDの治療に使用される又は使用することができるという、薬剤データベース又は公的なデータベース(たとえば、本明細書で上述される)における情報があったので、クラスターをこの分野に振り分けた。
以下のGO注釈が以前から公知のタンパク質に適用される。以下の注釈が見い出された:流体分泌、細胞表面の受容体結合によるシグナル伝達、利尿、ナトリウム利尿、血管形成の負の調節、細胞増殖の負の調節、血圧の調節、血管浸透性の調節、生物学的過程に関係する注釈である血管拡張の調節;分子機能にに関係する注釈である利尿ホルモン;及び細胞成分に関係する注釈である細胞外間隙。
GO注釈は、<http://www.expasy.ch/sprot/>から利用可能であるSwissProt/TremB1タンパク質知識ベース、又は <http://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/LocusLink/>から利用可能であるLocuslinkの1以上からの情報を頼る。
心臓選択性の診断用マーカーの予測エンジンは、クラスターHUMNATPEPに関して以下の結果を提供した。以前記載された方法に従って、心臓組織におけるこのクラスターの転写物の選択的発現について予測を行った。以下の図2のy軸の数は、「百万分の1」(百万分の1に従った、このカテゴリーの全ESTの発現に対する特定のクラスターのESTの発現の比率)として各カテゴリーにおけるESTの評価される発現を言う。
全体として、ライブラリ/配列における心臓特異的クローンの数について、図2のヒストグラムに関して示されるような以下の結果が得られた。
このクラスターは、以下の理由で心臓に選択的に発現することが判明した:非心臓ESTのクラスターの全ての発現に対する心臓特異的なESTのクラスターの発現の比が、18.3であることが分かった。また、この遺伝子の筋肉での発現レベルは無視できるものであり;フィッシャーの正確検定P値を、ライブラリ及び重み付けされたクローンカウント双方について計算して、このカウントが統計的に有意であることをチェックし、この値が、3.40E−17であることが判明した。
心臓組織におけるクラスターの発現の特異性の特に重要な測定の1つは、筋肉とは対照的に、心臓におけるクラスターの発現の比の前述の比較である。このクラスターは、上述のように非心臓のESTとは対照的に、心臓において特異的に発現されることが見い出された。しかしながら、多数のタンパク質が心臓及び筋肉の双方で高いレベルで一般に発現されることが示されており、それはあまり望ましくない。上述のように、このクラスターについては、筋肉におけるこの遺伝子の発現レベルは無視できるものであり、それは、心臓組織での特異的発現を明らかに支持している。
上で言及したように、クラスターHAMNATPEPは、上記表1に列記した4種の転写物を特徴とする。これらの転写物は、タンパク質ナトリウム利尿ペプチドB前駆体[ガンマ−脳性ナトリウム利尿ペプチド;脳性ナトリウム利尿ペプチド32(BNP−32)を含有する]の変異体であるタンパク質をコードする。本発明に係る各変異体タンパク質の説明が提供される。
本発明に係る変異体タンパク質HAMNATPEP_PEA_1_P2は、本出願の最後に提示されるアミノ酸配列を有し、それは、転写物HAMNATPEP_PEA_1_T1によってコードされる。BNPスプライス変異体HAMNATPEP_PEA_1_T1は、BNP遺伝子の選択的スプライシングの結果生じるので、エクソン2のイントロン中への伸長を招き、野性型タンパク質の134のアミノ酸の長さと比べて伸長した162のアミノ酸の長さを生成する。この転写物によってコードされるタンパク質は、シグナルP(シグナルペプチド)及び完全なナトリウム利尿ペプチドドメインに加えてC末端に33アミノ酸の固有の配列を含有する。
本出願の最後に公知のタンパク質(ナトリウム利尿ペプチドB前駆体[ガンマ−脳性ナトリウム利尿ペプチド;脳性ナトリウム利尿ペプチド32(BNP−32)を含有する])に対する配列比較を提供する。本出願の最後に1以上の以前公開されたタンパク質配列に対する1以上の配列比較を提供する。そのように並べた各タンパク質に対する本発明に係る変異体タンパク質の関係についての手短な説明は以下のとおりである。
HAMNATPEP_PEA_1_P2とANFB_HUMANの間の比較報告:
1.HUMNATPEP_PEA_1_P2のアミノ酸1〜129にも相当するANFB_HUMANのアミノ酸1〜129に相当するMDPQTAPSRALLLLLFLHLAFLGGRSHPLGSPGSASDLETSGLQEQRNHLQGKLSELQVEQTSLEPLQESPRPTGVWKSREVATEGIRGHRKMVLYTLRAPRSPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKに少なくとも90%相同である第1のアミノ酸配列、及びHUMNATPEP_PEA_1_P2のアミノ酸130〜162に相当する配列GKHPLPPRPPSPIPVCDTVRVTLGFVVSGNHTLを有するポリペプチドに少なくとも70%、適宜少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%相同である第2のアミノ酸配列を含み、その際、前記第1及び第2のアミノ酸配列は、隣接して順に並ぶHUMNATPEP_PEA_1_P2をコードする単離されたキメラポリペプチド。
2.HUMNATPEP_PEA_1_P2における配列GKHPLPPRPPSPIPVCDTVRVTLGFVVSGNに少なくとも70%、適宜少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%相同であるポリペプチドを含むHUMNATPEP_PEA_1_P2の尾部をコードする単離されたポリペプチド。
本発明の別の側面によれば、上述の第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列を橋渡しする長さ10〜50の間のアミノ酸のHUMNATPEP_PEA_1_P2の架橋断片が提供される。
nが長さ少なくとも約10アミノ酸、適宜、長さ少なくとも約20アミノ酸、好ましくは長さ少なくとも約30アミノ酸、より好ましくは長さ少なくとも約40アミノ酸、及び最も好ましくは長さ少なくとも約50アミノ酸である長さ、「n」を有するポリペプチドを含み、その際、少なくとも2つのアミノ酸がKGを含み、以下(配列番号1に従った番号付け):アミノ酸番号129−x〜129のいずれかから開始し、アミノ酸番号130+(n−2)−xのいずれかで終了し、xが0〜n−2で、値((n−2)−x)が32より大きくならないように変化するような、構造を有するHUMNATPEP_PEA_1_P2の架橋部分が提供される。
たとえば、10アミノ酸のペプチドについては(たとえば、n=10)、x=n−2=8(すなわち、121=129−8)ならば、ペプチドがアミノ酸番号(130(130+(8−8=0))で終了するように、アミノ酸番号121で開始部分が配列で「早く」なればよい。他方、x=0ならば、ペプチドはアミノ酸番号129で開始すればよく(すなわち、129=129−0)、アミノ酸138(130+(8−0=8))で終了すればよい。
上記架橋部分は、上述の少なくとも1つの配列に少なくとも70%、適宜少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%相同であるポリペプチドを適宜含んでもよい。
同様に、架橋部分は適宜、たとえば、長さ約4〜約9のアミノ酸のように相対的に短くてもよい。4アミノ酸については、第1の架橋部分は以下のペプチド: GCKG、CKGK、KGKHを含む。ペプチドはすべて、その部分としてKGを特徴とする。約5〜約9のアミノ酸のペプチドも適宜、同様に構築すればよい。
変異体タンパク質の位置は、SignalP及びそのほかの特殊化されたプログラムの解析を含む多数の様々なソフトウエアのプログラム及び解析の結果に従って決定した。変異体タンパク質は、分泌する細胞に関して以下のように位置すると考えられる。双方のシグナル予測プログラムがこのタンパク質はシグナルペプチドを有することを予測し、膜貫通領域予測プログラムは、このタンパク質が膜貫通領域を有するとは予測しないので、タンパク質の局在は、分泌されるためであると考えられる。
InterProを用いて決定されたように、変異体タンパク質は以下のドメインを有する。ドメインは表6に記載されている。
表6.InterProドメイン
Figure 2007525213
図3Aは、変異体転写物HUMNATPEP_PEA_1_T1と公知又は「野生型」の転写物についてのゲノム構造の比較を示す。図3Bは、公知の「野生型」タンパク質の構造と比較した変異体タンパク質HUMNATPEP_PEA_1_P2の構造を示す。
変異体タンパク質HUMNATPEP_PEA_1_P2はまた、表7に列記される以下の非サイレントのSNP(単一ヌクレオチド多型)を有する(列記される代替アミノ酸と共にアミノ酸配列上のそれらの位置に従って提供される;最後の欄は、SNPが知られているのかどうかを示す;変異体タンパク質HUMNATPEP_PEA_1_P2配列における公知のSNPの存在は、本発明に係る変異体タンパク質の演繹された配列の支持を提供する)。
表7.アミノ酸突然変異
Figure 2007525213
変異体タンパク質HUMNATPEP_PEA_1_P2は、以下の転写物:HUMNATPEP_PEA_1_T1にコードされており、その配列は本出願の最後に提供されている。転写物HUMNATPEP_PEA_1_T1のコーディング部分は太字で示され、このコーディング部分は、249位で開始し、734位で終了する。転写物はまた、表8に列記するような以下のSNPを有する(列記される代替核酸と共にヌクレオチド配列上のそれらの位置に従って提供される;最後の欄は、SNPが知られているのかどうかを示す;変異体タンパク質HUMNATPEP_PEA_1_P2配列における公知のSNPの存在は、本発明に係る変異体タンパク質の演繹された配列の支持を提供する)。
表8.核酸のSNP
Figure 2007525213
本発明に係る変異体タンパク質HUMNATPEP_PEA_1_P3は、本出願の最後で提供されるようなアミノ酸配列を有する;それは、転写物HUMNATPEP_PEA_1_T2及びHUMNATPEP_PEA_1_T3によってコードされている。本出願の最後で公知のタンパク質(ナトリウム利尿ペプチドB前駆体[ガンマ−脳性ナトリウム利尿ペプチド;脳性ナトリウム利尿ペプチド32(BNP−32)を含有する])に対する配列比較が提供されている。1以上の以前公開されたタンパク質の配列に対して1以上の配列比較が、本出願の最後で提供されている。そのような並べられた各タンパク質に対する本発明に係る変異タンパク質の関係についての手短な説明は以下のとおりである。
HAMNATPEP_PEA_1_P3とANFB_HUMANの間の比較報告:
1.HUMNATPEP_PEA_1_P3のアミノ酸1〜44にも相当するANFB_HUMANのアミノ酸1〜44に相当するMDPQTAPSRALLLLLFLHLAFLGGRSHPLGSPGSASDLETSGLQ に少なくとも90%相同である第1のアミノ酸配列、及びHUMNATPEP_PEA_1_P3のアミノ酸45〜75に相当する配列VRAEGSSGGLDSSNERVLTCCPKRPSSFLWNを有するポリペプチドに少なくとも70%、適宜少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%相同である第2のアミノ酸配列を含み、その際、前記第1及び第2のアミノ酸配列は、隣接して順に並ぶHUMNATPEP_PEA_1_P3をコードする単離されたキメラポリペプチド。
2.HUMNATPEP_PEA_1_P3における配列VRAEGSSGGLDSSNERVLTCCPKRPSSFLWNに少なくとも70%、適宜少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%相同であるポリペプチドを含む、HUMNATPEP_PEA_1_P3の尾部をコードする単離されたポリペプチド。
変異体タンパク質の位置は、SignalP及びそのほかの特殊化されたプログラムの解析を含む多数の様々なソフトウエアのプログラム及び解析の結果に従って決定した。変異体タンパク質は、分泌する細胞に関して以下のように位置すると考えられる。双方のシグナル予測プログラムがこのタンパク質はシグナルペプチドを有することを予測し、膜貫通領域予測プログラムは、このタンパク質が膜貫通領域を有するとは予測しないので、タンパク質の局在は、分泌されるためであると考えられる。
変異体タンパク質HUMNATPEP_PEA_1_P3はまた、表9に列記される以下の非サイレントのSNP(単一ヌクレオチド多型)を有する(列記される代替アミノ酸と共にアミノ酸配列上のそれらの位置に従って提供される;最後の欄は、SNPが知られているのかどうかを示す;変異体タンパク質HUMNATPEP_PEA_1_P3配列における公知のSNPの存在は、本発明に係る変異体タンパク質の演繹された配列の支持を提供する)。
表9.アミノ酸突然変異
Figure 2007525213
変異体タンパク質HUMNATPEP_PEA_1_P3は、以下の転写物HUMNATPEP_PEA_1_T2及びHUMNATPEP_PEA_1_T3によってコードされ;その配列は本出願の最後に提供されている。転写物HUMNATPEP_PEA_1_T2及びHUMNATPEP_PEA_1_T3のコーディング部分は太字で示され、このコーディング部分は、249位で開始し、473位で終了する。転写物はまた、表10に列記するような以下のSNPを有する(列記される代替核酸と共にヌクレオチド配列上のそれらの位置に従って提供される;最後の欄は、SNPが知られているのかどうかを示す;変異体タンパク質HUMNATPEP_PEA_1_P3配列における公知のSNPの存在は、本発明に係る変異体タンパク質の演繹された配列の支持を提供する)。
表10.核酸のSNP
Figure 2007525213
本発明に係る変異体タンパク質HUMNATPEP_PEA_1_P7は、本出願の最後で提供されるようなアミノ酸配列を有する;それは、HUMNATPEP_PEA_1_T4によってコードされている。本出願の最後で公知のタンパク質(ナトリウム利尿ペプチドB前駆体[ガンマ−脳性ナトリウム利尿ペプチド;脳性ナトリウム利尿ペプチド32(BNP−32)を含有する])に対する配列比較が提供されている。1以上の以前公開されたタンパク質の配列に対して1以上の配列比較が、本出願の最後で提供されている。そのような並べられた各タンパク質に対する本発明に係る変異タンパク質の関係についての手短な説明は以下のとおりである。
HAMNATPEP_PEA_1_P7とANFB_HUMANの間の比較報告:
1.HUMNATPEP_PEA_1_P7のアミノ酸1〜42にも相当するANFB_HUMANのアミノ酸93〜134に相当するMVLYTLRAPRSPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRHに少なくとも90%相同である第1のアミノ酸配列を含むHUMNATPEP_PEA_1_P7をコードする単離されたキメラポリペプチド。
変異体タンパク質の位置は、SignalP及びそのほかの特殊化されたプログラムの解析を含む多数の様々なソフトウエアのプログラム及び解析の結果に従って決定した。変異体タンパク質は、細胞に関して以下のように変異体タンパク質は細胞内に位置すると考えられる。タンパク質の局在は、膜貫通領域予測プログラムがこのタンパク質について膜貫通領域を予測しなかったので、細胞内にあると考えられる。さらに、双方のシグナルペプチド予測プログラムはこのタンパク質が非分泌性タンパク質であることを予測する。
変異体タンパク質HUMNATPEP_PEA_1_P7は、以下の転写物HUMNATPEP_PEA_1_T4によってコードされ;その配列は本出願の最後に提供されている。転写物HUMNATPEP_PEA_1_T4のコーディング部分は太字で示され、このコーディング部分は、257位で開始し、382位で終了する。転写物はまた、表11に列記するような以下のSNPを有する(列記される代替核酸と共にヌクレオチド配列上のそれらの位置に従って提供される;最後の欄は、SNPが知られているのかどうかを示す;変異体タンパク質HUMNATPEP_PEA_1_P7配列における公知のSNPの存在は、本発明に係る変異体タンパク質の演繹された配列の支持を提供する)。
表11.核酸のSNP
Figure 2007525213
上で言及したように、HUMNATPEPは、上記表2に列記された7種の断片を特徴とし、その配列は本出願の最後に提供されている。これらの断片は、特別に関心があるので、本明細書で別々に記載される核酸配列の一部である。本発明に係る各断片の説明が提供される。
本発明に係る断片クラスターHUMNATPEP_PEA_1_ノード_0は、21個のライブラリに支えられる。ライブラリの数は以前記載されたように決定した。この断片は以下の転写物:HUMNATPEP_PEA_1_T1、HUMNATPEP_PEA_1_T2、HUMNATPEP_PEA_1_T3及びHUMNATPEP_PEA_1_T4で見い出すことができる。以下の表12は、各転写物におけるこの断片の開始と終了の位置を記載する。
表12.転写物における断片の位置
Figure 2007525213
本発明に係る断片クラスターHUMNATPEP_PEA_1_ノード_1は、24個のライブラリに支えられる。ライブラリの数は以前記載されたように決定した。この断片は以下の転写物:HUMNATPEP_PEA_1_T1、HUMNATPEP_PEA_1_T2、及びHUMNATPEP_PEA_1_T3で見い出すことができる。以下の表13は、各転写物におけるこの断片の開始と終了の位置を記載する。
表13.転写物における断片の位置
Figure 2007525213
本発明に係る断片クラスターHUMNATPEP_PEA_1_ノード_2は、6個のライブラリに支えられる。ライブラリの数は以前記載されたように決定した。この断片は以下の転写物:HUMNATPEP_PEA_1_T2、及びHUMNATPEP_PEA_1_T3で見い出すことができる。以下の表14は、各転写物におけるこの断片の開始と終了の位置を記載する。
表14.転写物における断片の位置
Figure 2007525213
本発明に係る断片クラスターHUMNATPEP_PEA_1_ノード_3は、25個のライブラリに支えられる。ライブラリの数は以前記載されたように決定した。この断片は以下の転写物:HUMNATPEP_PEA_1_T1、HUMNATPEP_PEA_1_T2、及びHUMNATPEP_PEA_1_T3で見い出すことができる。以下の表15は、各転写物におけるこの断片の開始と終了の位置を記載する。
表15.転写物における断片の位置
Figure 2007525213
本発明に係る断片クラスターHUMNATPEP_PEA_1_ノード_4は、24個のライブラリに支えられる。ライブラリの数は以前記載されたように決定した。この断片は以下の転写物:HUMNATPEP_PEA_1_T1、HUMNATPEP_PEA_1_T2、HUMNATPEP_PEA_1_T3及びHUMNATPEP_PEA_1_T4で見い出すことができる。以下の表16は、各転写物におけるこの断片の開始と終了の位置を記載する。
表16.転写物における断片の位置
Figure 2007525213
本発明に係る断片クラスターHUMNATPEP_PEA_1_ノード_5は、4個のライブラリに支えられる。ライブラリの数は以前記載されたように決定した。この断片は以下の転写物:HUMNATPEP_PEA_1_T1、及びHUMNATPEP_PEA_1_T3で見い出すことができる。以下の表17は、各転写物におけるこの断片の開始と終了の位置を記載する。
表17.転写物における断片の位置
Figure 2007525213
本発明に係る断片クラスターHUMNATPEP_PEA_1_ノード_6は、20個のライブラリに支えられる。ライブラリの数は以前記載されたように決定した。この断片は以下の転写物:HUMNATPEP_PEA_1_T1、HUMNATPEP_PEA_1_T2、HUMNATPEP_PEA_1_T3及びHUMNATPEP_PEA_1_T4で見い出すことができる。以下の表18は、各転写物におけるこの断片の開始と終了の位置を記載する。
表18.転写物における断片の位置
Figure 2007525213
以前から知られるタンパク質に対する変異体タンパク質の配列比較
配列名: /tmp/DbNfNQqOrT/fgacU726zu:ANFB_HUMAN

配列の資料:

HUMNATPEP_PEA_1_P2 x ANFB_HUMANの配列比較

配列比較断片 1/1:

質: 1257.00 Eスコア: 0
一致する長さ: 129 全長: 129
一致する比率の類似性: 100.00 一致する比率の同一性: 100.00
類似性の全比率: 100.00 同一性の全比率: 100.00
ギャップ: 0

配列比較
. . . . .
1 MDPQTAPSRALLLLLFLHLAFLGGRSHPLGSPGSASDLETSGLQEQRNHL 50
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1 MDPQTAPSRALLLLLFLHLAFLGGRSHPLGSPGSASDLETSGLQEQRNHL 50
. . . . .
51 QGKLSELQVEQTSLEPLQESPRPTGVWKSREVATEGIRGHRKMVLYTLRA 100
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
51 QGKLSELQVEQTSLEPLQESPRPTGVWKSREVATEGIRGHRKMVLYTLRA 100
. .
101 PRSPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCK 129
|||||||||||||||||||||||||||||
101 PRSPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCK 129


配列名: /tmp/IeoAjU0IUc/7tSYchNtfd:ANFB_HUMAN

配列の資料:

HUMNATPEP_PEA_1_P3 x ANFB_HUMAN の配列比較

配列比較断片 1/1:

質: 417.00 Eスコア: 0
一致する長さ: 44 全長: 44
一致する比率の類似性: 100.00 一致する比率の同一性: 100.00
類似性の全比率: 100.00 同一性の全比率: 100.00
ギャップ: 0

配列比較:
. . . .
1 MDPQTAPSRALLLLLFLHLAFLGGRSHPLGSPGSASDLETSGLQ 44
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1 MDPQTAPSRALLLLLFLHLAFLGGRSHPLGSPGSASDLETSGLQ 44


配列名: /tmp/moJ5LwI4XU/p1T8doImXI:ANFB_HUMAN

配列の資料:

HUMNATPEP_PEA_1_P7 x ANFB_HUMAN の配列比較

配列比較断片 1/1:

質: 415.00 Eスコア: 0
一致する長さ: 42 全長: 42
一致する比率の類似性: 100.00 一致する比率の同一性: 100.00
類似性の全比率: 100.00 同一性の全比率: 100.00
ギャップ: 0

配列比較:
. . . .
1 MVLYTLRAPRSPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH 42
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
93 MVLYTLRAPRSPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH 134
配列番号17:HUMNATPEP_PEA_1_P2_ペプチド
SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKGKHPLPPRPPSPIPVCDTVRVTLGFVVSGNHTL
配列番号18:HUMNATPEP_PEA_1_P7_ペプチド
SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH
心臓組織で特異的に配列名HUMNATPEPseg5で表されるアンプリコンによって検出可能であるANFB_HUMANナトリウム利尿ペプチドHUMNATPEP転写物の発現
seg5ノード、HUMNATPEPseg5アンプリコン及びHUMNATPEPseg5、HUMNATPEPseg5プライマーによって、又はそれに従って検出可能であるANFB_HUMANナトリウム利尿ペプチドの発現をリアルタイムPCRによって測定した。並行して、4つのハウスキーピング遺伝子、RPL19(ジェンバンク受入番号NM_000981;RPL19アンプリコン)、TATAボックス(ジェンバンク受入番号NM_003194;TATAアンプリコン)、ユビキチン(ジェンバンク受入番号NM_000449;アンプリコン−ユビキチンアンプリコン)及びSDHA(ジェンバンク受入番号NM_004168;アンプリコン−SDHAアンプリコン)の発現も同様に測定した。各RT試料について、ハウスキーピング遺伝子の量の幾何平均値に対して上記アンプリコンの発現を標準化した。次いで、各RT試料の標準化した量を、心臓試料(上記表1の試料番号44〜46、試験パネル中の組織試料)の量の中央値で割って心臓試料の中央値に対する各試料の発現の値を得た。
図4は、その他の組織と対照的な心臓組織における上で示したANFB_HUMANナトリウム利尿ペプチド転写物の相対的な発現を示すヒストグラムである。
図4から明らかなように、心臓試料における上記アンプリコンによって検出可能なANFB_HUMANナトリウム利尿ペプチド転写物の発現は、他のほとんどの試料(表1の試料番号1〜9、11〜22、24〜26、28〜43、47〜74、上記「試験パネル中の組織試料」)よりも有意に高かった。心臓試料の1つ、試料番号45における上記アンプリコンの発現が、他の2つの心臓試料(試料44及び46)に比べて高いことに注意のこと。試料番号45は線維化した心臓に由来し、試料44及び46は正常な心臓の試料である。
たとえば、上記実験のためにプライマー対が適宜及び好ましくは本発明の範囲内に包含され、以下のプライマー対:HUMNATPEPseg5正方向プライマー及びHUMNATPEPseg5逆方向プライマーを好適なプライマー対の単なる非限定的説明例として用いた。
本発明はまた好ましくは、たとえば、上記実験に好適なプライマー対の使用を介して得られるいずれのアンプリコンも包含し、好適なアンプリコンの単なる非限定的説明例として以下のアンプリコンを得た。
HUMNATPEPseg5
HUMNATPEPseg5正方向プライマー(配列番号18)
CTTCCCCCATTCCAGTGTGT
HUMNATPEPseg5逆方向プライマー(配列番号19)
GAGGAAGCGATGTCCAGGTG
HUMNATPEPseg5アンプリコン(配列番号20)
CTTCCCCCATTCCAGTGTGTGACACTGTTAGAGTCACTTTGGGGTTTGTTGTCTCTGGGAACCACACTCTTTGAGAAAAGGTCACCTGGACATCGCTTCCTC
心臓組織で特異的に配列名HUMNATPEPseg2で表されるアンプリコンによって検出可能であるANFB_HUMANナトリウム利尿ペプチドHUMNATPEP転写物の発現
seg2ノード、HUMNATPEPseg2アンプリコン及びHUMNATPEPseg2F2、HUMNATPEPseg2R2プライマーによって、又はそれに従って検出可能であるANFB_HUMANナトリウム利尿ペプチドの発現をリアルタイムPCRによって測定した。並行して、4つのハウスキーピング遺伝子、RPL19(ジェンバンク受入番号NM_000981;RPL19アンプリコン)、TATAボックス(ジェンバンク受入番号NM_003194;TATAアンプリコン)、ユビキチン(ジェンバンク受入番号NM_000449;アンプリコン−ユビキチンアンプリコン)及びSDHA(ジェンバンク受入番号NM_004168;アンプリコン−SDHAアンプリコン)の発現も同様に測定した。各RT試料について、ハウスキーピング遺伝子の量の幾何平均値に対して上記アンプリコンの発現を標準化した。次いで、各RT試料の標準化した量を、心臓試料(上記表1の試料番号44〜46、試験パネル中の組織試料)の量の中央値で割って心臓試料の中央値に対する各試料の発現の値を得た。
図5は、その他の組織と対照的な心臓組織における上で示したANFB_HUMANナトリウム利尿ペプチド転写物の相対的な発現を示すヒストグラムである。
図5から明らかなように、心臓試料における上記アンプリコンによって検出可能なANFB_HUMANナトリウム利尿ペプチド転写物の発現は、他のほとんどの試料(表1の試料番号1〜26、28〜43、47〜74)よりも高かった。心臓試料の1つ、試料番号45における上記アンプリコンの発現が、他の2つの心臓試料(試料44及び46)に比べて高いことに注意のこと。試料番号45は線維化した心臓に由来し、試料44及び46は正常な心臓の試料である。
たとえば、上記実験のためにプライマー対が適宜及び好ましくは本発明の範囲内に包含され、以下のプライマー対:HUMNATPEPseg2正方向プライマー及びHUMNATPEPseg2逆方向プライマーを好適なプライマー対の単なる非限定的説明例として用いた。
本発明はまた好ましくは、たとえば、上記実験に好適なプライマー対の使用を介して得られるいずれのアンプリコンも包含し、好適なアンプリコンの単なる非限定的説明例として以下のアンプリコンを得た。
HUMNATPEPseg2
正方向プライマーHUMNATPEPseg2F2(配列番号21)
GCAGCAATGAAAGGGTCCTC
逆方向プライマーHUMNATPEPseg2F2(配列番号22)
CATGGCACCCAAGTGAACC
アンプリコンHUMNATPEPseg2(配列番号23)
GCAGCAATGAAAGGGTCCTCACCTGCTGTCCCAAGAGGCCCTCATCTTTCCTTTGGAATTAGTGATAAAGGAATCAGAAAATGGAGAGACTGGGTGCCCTGACCCTGTACCCAAGGCAGTCGGTTCACTTGGGTGCCATG
心臓組織で特異的に配列名HUMNATPEPseg3−4WTで表されるアンプリコンによって検出可能であるヒトのナトリウム利尿ペプチド前駆体B(NPPB)HUMNATPEP転写物の発現
seg3−4ノード、HUMNATPEPseg3−4WTアンプリコン並びにプライマーHUMNATPEPseg3−4WT−F及びHUMNATPEPseg3−4WT−Rによって、又はそれに従って検出可能であるヒトのヒトのナトリウム利尿ペプチド前駆体B(NPPB)転写物の発現をリアルタイムPCRで測定した(この転写物は、公知のタンパク質又は「WT」タンパク質に関する)。並行して、4つのハウスキーピング遺伝子、RPL19(ジェンバンク受入番号NM_000981;RPL19アンプリコン)、TATAボックス(ジェンバンク受入番号NM_003194;TATAアンプリコン)、ユビキチン(ジェンバンク受入番号NM_000449;アンプリコン−ユビキチンアンプリコン)及びSDHA(ジェンバンク受入番号NM_004168;アンプリコン−SDHAアンプリコン)の発現も同様に測定した。各RT試料について、ハウスキーピング遺伝子の量の幾何平均値に対して上記アンプリコンの発現を標準化した。次いで、各RT試料の標準化した量を、心臓試料(上記表1の試料番号44〜46、試験パネル中の組織試料)の量の中央値で割って心臓試料の中央値に対する各試料の発現の値を得た。
図6は、その他の組織と対照的な心臓組織における上で示したヒトのナトリウム利尿ペプチド前駆体B(NPPB)公知タンパク質の転写物の相対的な発現を示すヒストグラムである。
図6から明らかなように、心臓試料における上記アンプリコンによって検出可能なヒトナトリウム利尿ペプチド前駆体B(NPPB)転写物の発現は、他のほとんどの試料よりも高かった(上記表1の試料番号44〜46)。心臓試料の1つ、試料番号45における上記アンプリコンの発現が、他の2つの心臓試料(試料44及び46)に比べて高いことに注意のこと。試料番号45は線維化した心臓に由来し、試料44及び46は正常な心臓の試料である。
たとえば、上記実験のためにプライマー対が適宜及び好ましくは本発明の範囲内に包含され、以下のプライマー対:HUMNATPEPseg3−4WT−F正方向プライマー及びHUMNATPEPseg3−4WT−R逆方向プライマーを好適なプライマー対の単なる非限定的説明例として用いた。
本発明はまた好ましくは、たとえば、上記実験に好適なプライマー対の使用を介して得られるいずれのアンプリコンも包含し、好適なアンプリコンの単なる非限定的説明例として以下のアンプリコンを得た。
HUMNATPEPseg3−4WT
正方向プライマー、HUMNATPEPseg3−4WT−F(配列番号24):GTCCGGGTTACAGGAGCAGC
逆方向プライマー、HUMNATPEPseg3−4WT−R(配列番号25):CCGCCTCAGCACTTTGCAG
アンプリコン、HUMNATPEPseg3−4WT(配列番号26):GTCCGGGTTACAGGAGCAGCGCAACCATTTGCAGGGCAAACTGTCGGAGCTGCAGGTGGAGCAGACATCCCTGGAGCCCCTCCAGGAGAGCCCCCGTCCCACAGGTGTCTGGAAGTCCCGGGAGGTAGCCACCGAGGGCATCCGTGGGCACCGCAAAATGGTCCTCTACACCCTGCGGGCACCACGAAGCCCCAAGATGGTGCAAGGGTCTGGCTGCTTTGGGAGGAAGATGGACCGGATCAGCTCCTCCAGTGGCCTGGGCTGCAAAGTGCTGAGGCGG
HUMNATPEP_PEA_1_P2をコードする転写物の発現の検証
6つの異なったRNA試料のRT−PCR増幅を行うことにより上記BNPスプライス変異体の転写物の発現の検証を行った。2種の解剖体の膵臓組織、3種の正常な解剖体の心臓組織及び1種の線維化病巣の病態を呈する心臓組織を用いた(以下の表9)。
表9
Figure 2007525213
標準的な製造元の仕様書を用いて、ランダムヘキサマー(インビトロゲン、カタログ番号48190−0011)を用いたRT反応を行った。RT−PCRのプライマーは以下のとおりである:
(a)正方向プライマー:GTTCAGCCTCGGACTTGGAA(プライマーA”配列番号27)
(b)逆方向プライマー:GTGACTCTAACAGTGTCACACACTGG(プライマーB”配列番号28)
(c)逆方向プライマー(対照):CCTTGTGGAATCAGAAGCAGG(プライマーC”配列番号29)
プライマーA及びBを用いてBNP変異体を同定したが、長さ355bpのアンプリコンを生じるはずである。プライマーC及びDを対照として用いたが、2種のアンプリコン、長さ352bpの第1の野生型及び長さ893bpの第2のスプライス変異体のアンプリコンを生じるはずである。
プライマーのアニーリング温度は以下のとおりであった(AT/GC含量によって計算した)。
正方向−A:62℃
逆方向−B1:78℃
逆方向2−C:64℃
RT−PCRの条件は、TaqaraホットスタートエンザイムCat#R006A、Lot#N1401を用いた、94℃で30秒間の変性、続いて60℃で30秒間のアニーリング及び72℃で60秒間の伸長を35サイクル含めた。
図7で示された結果は、BNP野生型の産物はRT−PCRによって膵臓及び正常な心臓で検出されたが、BNP_T2スプライス変異体の発現は、線維化病巣を呈する心臓試料でのみ検出されたことを明らかにしている。
図7から判るように、BNPの公知の転写物遺伝子の産物は、RT−PCRによって膵臓、正常な心臓及び線維化病巣心臓の試料で検出された。産物のサイズは予想どおり約253bp(プライマーA+C)だった。プライマーA及びBを用いて、HUMNATPEP_PEA_1_P2スプライス変異体の転写物を検出するように設計されたRT−PCR反応を行った。予想されたサイズ(355bp)の産物は、線維化病巣の心臓試料でのみ検出された。
従って、単一の仮説によって限定されることは望まないで、新しいBNPスプライス変異体は、心臓の線維化組織で示差的に発現されていると思われるので、心不全疾患、特に心臓線維症の検出及び/又は定量に使用することができる。
実施例4−治療上の使用
HUMNATPEP_PEA_1_P2スプライス変異体は、C末端の33アミノ酸の固有の配列の追加と共に、公知のBNPのほぼ完全な配列を含有する(133アミノ酸のうち129)。構造−機能解析によって、その受容体への結合及び生物学的機能に重要な中央環状構造が同定された。HUMNATPEP_PEA_1_P2スプライス変異体は、環状構造を保存してもよいので、さらに長いサイズによる長い半減期という利点と共に、BNPの生物活性を保持する。
本発明の変異体は、利尿、ナトリウム利尿、血管平滑筋の弛緩及び血管拡張作用、及び血液容量及び血圧の低下作用を含むが、これらに限定されない治療用途に、適宜、追加的に又は代替的に使用してもよい。これらの変異体は心不全の治療上の処置に適宜使用してもよい。好ましくは、変異体は、本明細書で記載されるHUMNATPEP_PEA_1_P2又はその断片を含む。
以下の転写物のコーディング領域は太字で示す。
配列番号1
HUMNATPEP_PEA_1_T1
AGGCGCGGAGGGGCTCATTCCCGGGCCCTGATCTCAGAGGCCCGGAATGTGGCTGATAAATCAGAGATAACCCTGCATGGCAGGGCAGGCCCGACACTCAGCTCCAGGATAAAAGGCCACGGTGTCCCGAGGAGCCAGGAGGAGCACCCCGCAGGCTGAGGGCAGGTGGGAAGCAAACCCGGACGCATCGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGAAGCAGCAGCAGCAGCCTCCGCAGTCCCTCCAGAGACATGGATCCCCAGACAGCACCTTCCCGGGCGCTCCTGCTCCTGCTCTTCTTGCATCTGGCTTTCCTGGGAGGTCGTTCCCACCCGCTGGGCAGCCCCGGTTCAGCCTCGGACTTGGAAACGTCCGGGTTACAGGAGCAGCGCAACCATTTGCAGGGCAAACTGTCGGAGCTGCAGGTGGAGCAGACATCCCTGGAGCCCCTCCAGGAGAGCCCCCGTCCCACAGGTGTCTGGAAGTCCCGGGAGGTAGCCACCGAGGGCATCCGTGGGCACCGCAAAATGGTCCTCTACACCCTGCGGGCACCACGAAGCCCCAAGATGGTGCAAGGGTCTGGCTGCTTTGGGAGGAAGATGGACCGGATCAGCTCCTCCAGTGGCCTGGGCTGCAAAGGTAAGCACCCCCTGCCACCCCGGCCGCCTTCCCCCATTCCAGTGTGTGACACTGTTAGAGTCACTTTGGGGTTTGTTGTCTCTGGGAACCACACTCTTTGAGAAAAGGTCACCTGGACATCGCTTCCTCTTGTTAACAGCCTTCAGGGCCAAGGGGTGCCTTTGTGGAATTAGTAAATGTGGGCTTATTTCATTACCATGCCCACAATACCTTCTCCCCACCTCCTACTTCTTATCAAAGGGGCAGAATCTCCTTTGGGGGTCTGTTTATCATTTGGCAGCCCCCCAGTGGTGCAGAAAGAGAACCAAACATTTCCTCCTGGTTTCCTCTAAACTGTCTATAGTCTCAAAGGCAGAGAGCAGGATCACCAGAGCAATGATAATCCCCAATTTACAGATGAGGAAACTGAGGCTCAGAGAGTTGCATTAAGCCTCAAACGTCTGATGACTAACAGGGTGGTGGGTGGCACACGATGAGGTAAGCTCAGCCCCTGCCTCCATCTCCCACCCTAACCATCATCACCCTCTCTCTTTCCCTGACAGTGCTGAGGCGGCATTAAGAGGAAGTCCTGGCTGCAGACACCTGCTTCTGATTCCACAAGGGGCTTTTTCCTCAACCCTGTGGCCGCCTTTGAAGTGACTCATTTTTTTAATGTATTTATGTATTTATTTGATTGTTTTATATAAGATGGTTTCTTACCTTTGAGCACAAAATTTCCACGGTGAAATAAAGTCAACATTATAAGCTTTATCTTTTGAAA
配列番号2
HUMNATPEP_PEA_1_T2
AGGCGCGGAGGGGCTCATTCCCGGGCCCTGATCTCAGAGGCCCGGAATGTGGCTGATAAATCAGAGATAACCCTGCATGGCAGGGCAGGCCCGACACTCAGCTCCAGGATAAAAGGCCACGGTGTCCCGAGGAGCCAGGAGGAGCACCCCGCAGGCTGAGGGCAGGTGGGAAGCAAACCCGGACGCATCGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGAAGCAGCAGCAGCAGCCTCCGCAGTCCCTCCAGAGACATGGATCCCCAGACAGCACCTTCCCGGGCGCTCCTGCTCCTGCTCTTCTTGCATCTGGCTTTCCTGGGAGGTCGTTCCCACCCGCTGGGCAGCCCCGGTTCAGCCTCGGACTTGGAAACGTCCGGGTTACAGGTGAGAGCGGAGGGCAGCTCAGGGGGATTGGACAGCAGCAATGAAAGGGTCCTCACCTGCTGTCCCAAGAGGCCCTCATCTTTCCTTTGGAATTAGTGATAAAGGAATCAGAAAATGGAGAGACTGGGTGCCCTGACCCTGTACCCAAGGCAGTCGGTTCACTTGGGTGCCATGAAGGGCTGGTGAGCCCAGGGGTGGGTCCCTGAGGCTTGGACGCCCCCATTCATTGCAGGAGCAGCGCAACCATTTGCAGGGCAAACTGTCGGAGCTGCAGGTGGAGCAGACATCCCTGGAGCCCCTCCAGGAGAGCCCCCGTCCCACAGGTGTCTGGAAGTCCCGGGAGGTAGCCACCGAGGGCATCCGTGGGCACCGCAAAATGGTCCTCTACACCCTGCGGGCACCACGAAGCCCCAAGATGGTGCAAGGGTCTGGCTGCTTTGGGAGGAAGATGGACCGGATCAGCTCCTCCAGTGGCCTGGGCTGCAAAGTGCTGAGGCGGCATTAAGAGGAAGTCCTGGCTGCAGACACCTGCTTCTGATTCCACAAGGGGCTTTTTCCTCAACCCTGTGGCCGCCTTTGAAGTGACTCATTTTTTTAATGTATTTATGTATTTATTTGATTGTTTTATATAAGATGGTTTCTTACCTTTGAGCACAAAATTTCCACGGTGAAATAAAGTCAACATTATAAGCTTTATCTTTTGAAA
配列番号3
HUMNATPEP_PEA_1_T3
AGGCGCGGAGGGGCTCATTCCCGGGCCCTGATCTCAGAGGCCCGGAATGTGGCTGATAAATCAGAGATAACCCTGCATGGCAGGGCAGGCCCGACACTCAGCTCCAGGATAAAAGGCCACGGTGTCCCGAGGAGCCAGGAGGAGCACCCCGCAGGCTGAGGGCAGGTGGGAAGCAAACCCGGACGCATCGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGAAGCAGCAGCAGCAGCCTCCGCAGTCCCTCCAGAGACATGGATCCCCAGACAGCACCTTCCCGGGCGCTCCTGCTCCTGCTCTTCTTGCATCTGGCTTTCCTGGGAGGTCGTTCCCACCCGCTGGGCAGCCCCGGTTCAGCCTCGGACTTGGAAACGTCCGGGTTACAGGTGAGAGCGGAGGGCAGCTCAGGGGGATTGGACAGCAGCAATGAAAGGGTCCTCACCTGCTGTCCCAAGAGGCCCTCATCTTTCCTTTGGAATTAGTGATAAAGGAATCAGAAAATGGAGAGACTGGGTGCCCTGACCCTGTACCCAAGGCAGTCGGTTCACTTGGGTGCCATGAAGGGCTGGTGAGCCCAGGGGTGGGTCCCTGAGGCTTGGACGCCCCCATTCATTGCAGGAGCAGCGCAACCATTTGCAGGGCAAACTGTCGGAGCTGCAGGTGGAGCAGACATCCCTGGAGCCCCTCCAGGAGAGCCCCCGTCCCACAGGTGTCTGGAAGTCCCGGGAGGTAGCCACCGAGGGCATCCGTGGGCACCGCAAAATGGTCCTCTACACCCTGCGGGCACCACGAAGCCCCAAGATGGTGCAAGGGTCTGGCTGCTTTGGGAGGAAGATGGACCGGATCAGCTCCTCCAGTGGCCTGGGCTGCAAAGGTAAGCACCCCCTGCCACCCCGGCCGCCTTCCCCCATTCCAGTGTGTGACACTGTTAGAGTCACTTTGGGGTTTGTTGTCTCTGGGAACCACACTCTTTGAGAAAAGGTCACCTGGACATCGCTTCCTCTTGTTAACAGCCTTCAGGGCCAAGGGGTGCCTTTGTGGAATTAGTAAATGTGGGCTTATTTCATTACCATGCCCACAATACCTTCTCCCCACCTCCTACTTCTTATCAAAGGGGCAGAATCTCCTTTGGGGGTCTGTTTATCATTTGGCAGCCCCCCAGTGGTGCAGAAAGAGAACCAAACATTTCCTCCTGGTTTCCTCTAAACTGTCTATAGTCTCAAAGGCAGAGAGCAGGATCACCAGAGCAATGATAATCCCCAATTTACAGATGAGGAAACTGAGGCTCAGAGAGTTGCATTAAGCCTCAAACGTCTGATGACTAACAGGGTGGTGGGTGGCACACGATGAGGTAAGCTCAGCCCCTGCCTCCATCTCCCACCCTAACCATCATCACCCTCTCTCTTTCCCTGACAGTGCTGAGGCGGCATTAAGAGGAAGTCCTGGCTGCAGACACCTGCTTCTGATTCCACAAGGGGCTTTTTCCTCAACCCTGTGGCCGCCTTTGAAGTGACTCATTTTTTTAATGTATTTATGTATTTATTTGATTGTTTTATATAAGATGGTTTCTTACCTTTGAGCACAAAATTTCCACGGTGAAATAAAGTCAACATTATAAGCTTTATCTTTTGAAA
配列番号4
HUMNATPEP_PEA_1_T4
AGGCGCGGAGGGGCTCATTCCCGGGCCCTGATCTCAGAGGCCCGGAATGTGGCTGATAAATCAGAGATAACCCTGCATGGCAGGGCAGGCCCGACACTCAGCTCCAGGATAAAAGGCCACGGTGTCCCGAGGAGCCAGGAGGAGCACCCCGCAGGCTGAGGGCAGGTGGGAAGCAAACCCGGACGCATCGCAGCAGCAGCAGCAGCAGCAGAAGCAGCAGCAGCAGCCTCCGCAGTCCCTCCGTGGGCACCGCAAAATGGTCCTCTACACCCTGCGGGCACCACGAAGCCCCAAGATGGTGCAAGGGTCTGGCTGCTTTGGGAGGAAGATGGACCGGATCAGCTCCTCCAGTGGCCTGGGCTGCAAAGTGCTGAGGCGGCATTAAGAGGAAGTCCTGGCTGCAGACACCTGCTTCTGATTCCACAAGGGGCTTTTTCCTCAACCCTGTGGCCGCCTTTGAAGTGACTCATTTTTTTAATGTATTTATGTATTTATTTGATTGTTTTATATAAGATGGTTTCTTACCTTTGAGCACAAAATTTCCACGGTGAAATAAAGTCAACATTATAAGCTTTATCTTTTGAA
明瞭さのために別の実施態様の背景で記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施態様と組み合わせて提供されてもよいことが十分に理解される。逆に、明瞭さのために単一の実施態様の背景で記載される本発明の種々の特徴は、別々に、又は好適な小さな組み合わせで提供されてもよい。
本発明をその特定の実施態様と併せて記載してきたが、多数の変更、修正及び変異が当業者に明白であることは明らかである。従って、添付のクレームの精神及び広い範囲の中にあるそのような変更、修正及び変異をすべて受け入れることが意図される。本明細書で言及された出版物、特許及び特許出願は、各個々の出版物、特許又は特許出願が具体的に及び個々に参照によって本明細書に組み込まれるように示されるが如くと同程度に、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。さらに、本出願における参考文献の引用又は確認は、そのような参考文献が本発明に対する従来技術として利用可能であるという承認として解釈されてはならない。
本発明は、添付の図面を参照し、例示の目的のみで本明細書に記載される。特に詳細に図面を参照して、示される明細は、例示の目的及び本発明の好ましい実施態様の説明的議論の目的のみであり、最も有用であり、又、本発明の原理及び概念的側面の記載を最も容易に理解されると考えられるものを提供するために提示されることが強調される。この点で、本発明の基本的理解に必要とされるよりさらに詳細には、本発明の構造的詳細を明らかにすることは試みず、図面を伴った記載によって本発明の幾つかの形態が実践でどのように具現化されてもよいかを当業者に明らかにする。
図1は、リアルタイム定量PCR解析の模式的要約を示す。 図2は。「百万分の1」としての各カテゴリーにおけるESTの発現を示す。 図3Aは、変異体の転写物HUMNATPEP_PEA_1_T1及び公知の又は「WT」の転写物のゲノム構造の比較を示す。 図3Bは、公知の又は「WT」のタンパク質の構造との比較における変異体タンパク質HUMNATPEP_PEA_1_P2の構造の比較を示す。 図4は、他の組織と対照的な心臓組織試料における、HUMNATPEPseg5アンプリコンによって検出可能なANFB_HUMANナトリウム利尿ペプチド転写物の発現を示す。 図5は、他の組織と対照的な心臓組織試料における、HUMNATPEPseg2転写物の特異的発現を示すヒストグラムである。 図6は、他の組織と対照的な心臓組織試料における、上で示されたヒトナトリウム利尿ペプチド前駆体B (NPPB)公知のタンパク質転写物の相対的発現を示すヒストグラムである。 図7は、公知のBNP転写物及びHUMNATPEP_PEA_1_T1スプライス変異体のRT-PCRの結果を提示する。公知のBNP転写物の発現は正常な心臓組織で生じることが認められたが、この組織パネルでは、HUMNATPEP_PEA_1_T1変異体の発現は検出されなかった。HUMNATPEP_PEA_1_T1変異体の特異的発現は、心臓の線維症病巣の組織で明らかにされた。「N」は正常の心臓組織を意味し、「F」は線維症の心臓組織を意味し、「Neg」は逆転写酵素なしの陰性対照を意味する。

Claims (40)

  1. HUMNATPEP_PEA_1_T1、HUMNATPEP_PEA_1_T2、HUMNATPEP_PEA_1_T3又はHUMNATPEP_PEA_1_T4から成る群より選択された核酸配列を具えることを特徴とする単離されたポリヌクレオチド。
  2. HUMNATPEP_PEA_1_ノード_0、HUMNATPEP_PEA_1_ノード_1、HUMNATPEP_PEA_1_ノード_2、HUMNATPEP_PEA_1_ノード_3、HUMNATPEP_PEA_1_ノード_4、HUMNATPEP_PEA_1_ノード_5、又はHUMNATPEP_PEA_1_ノード_6から成る群より選択された核酸配列を具えることを特徴とする単離されたポリヌクレオチド断片。
  3. HUMNATPEP_PEA_1_P2、HUMNATPEP_PEA_1_P3又はHUMNATPEP_PEA_1_P7から成る群より選択されたアミノ酸配列を具えることを特徴とする単離されたポリペプチド。
  4. HUMNATPEP_PEA_1_P2のアミノ酸1〜129にも相当するANFB_HUMANのアミノ酸1〜129に相当するMDPQTAPSRALLLLLFLHLAFLGGRSHPLGSPGSASDLETSGLQEQRNHLQGKLSELQVEQTSLEPLQESPRPTGVWKSREVATEGIRGHRKMVLYTLRAPRSPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKに少なくとも90%相同である第1のアミノ酸配列、及びHUMNATPEP_PEA_1_P2のアミノ酸130〜162に相当する配列GKHPLPPRPPSPIPVCDTVRVTLGFVVSGNHTLを有するポリペプチドに少なくとも70%、適宜少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%相同である第2のアミノ酸配列を具え、その際、前記第1及び第2のアミノ酸配列は、隣接して順に並ぶHUMNATPEP_PEA_1_P2をコードすることを特徴とする単離されたキメラポリペプチド。
  5. HUMNATPEP_PEA_1_P2の配列GKHPLPPRPPSPIPVCDTVRVTLGFVVSGNに少なくとも70%、適宜少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%相同であるポリペプチドを具えるHUMNATPEP_PEA_1_P2の尾部をコードすることを特徴とする単離されたポリペプチド。
  6. HUMNATPEP_PEA_1_P3のアミノ酸1〜44にも相当するANFB_HUMANのアミノ酸1〜44に相当するMDPQTAPSRALLLLLFLHLAFLGGRSHPLGSPGSASDLETSGLQ に少なくとも90%相同である第1のアミノ酸配列、及びHUMNATPEP_PEA_1_P3のアミノ酸45〜75に相当する配列VRAEGSSGGLDSSNERVLTCCPKRPSSFLWNを有するポリペプチドに少なくとも70%、適宜少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%相同である第2のアミノ酸配列を具え、その際、前記第1及び第2のアミノ酸配列は、隣接して順に並ぶHUMNATPEP_PEA_1_P3をコードすることを特徴とする単離されたキメラポリペプチド。
  7. HUMNATPEP_PEA_1_P3における配列VRAEGSSGGLDSSNERVLTCCPKRPSSFLWNに少なくとも70%、適宜少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%相同であるポリペプチドを具える、HUMNATPEP_PEA_1_P3の尾部をコードすることを特徴とする単離されたポリペプチド。
  8. HUMNATPEP_PEA_1_P7のアミノ酸1〜42にも相当するANFB_HUMANのアミノ酸93〜134に相当するMVLYTLRAPRSPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRHに少なくとも90%相同である第1のアミノ酸配列を具えるHUMNATPEP_PEA_1_P7をコードすることを特徴とする単離されたキメラポリペプチド。
  9. 請求項3〜8のいずれかのアミノ酸配列のエピトープに特異的に結合することが可能であることを特徴とする抗体。
  10. 前記アミノ酸配列が、請求項5又は7の尾部に相当することを特徴とする請求項9記載の抗体。
  11. 前記抗体が、前記エピトープを有するスプライス変異体と相当する既知のタンパク質を識別することが可能であることを特徴とする請求項9または10記載の抗体。
  12. 上記請求項のいずれかに記載のスプライス変異体の過剰発現を検出するキットを具えることを特徴とする心臓障害を検出するキット。
  13. 前記キットが、NATに基づく技術を具えることを特徴とする請求項12記載のキット。
  14. 前記キットが、上記請求項のいずれかに記載の核酸配列と選択的にハイブリッド形成することが可能である少なくとも1対のプライマーをさらに具えることを特徴とする請求項13記載のキット。
  15. 前記キットが、上記請求項のいずれかに記載の核酸配列と選択的にハイブリッド形成することが可能である少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをさらに具えることを特徴とする請求項14記載のキット。
  16. 前記キットが、上記請求項のいずれかに記載の抗体を具えることを特徴とする請求項12記載のキット。
  17. 前記キットが、ELISA又はウエスタンブロットを行うための少なくとも1つの試薬をさらに具えることを特徴とする請求項16記載のキット。
  18. 上記請求項のいずれかに記載のスプライス変異体の過剰発現を検出することを具えることを特徴とする心臓障害を検出する方法。
  19. 前記過剰発現の検出が、NATに基づく技術で行われることを特徴とする請求項18記載の方法。
  20. 前記過剰発現の検出が、免疫アッセイで行われることを特徴とする請求項18記載の方法。
  21. 前記免疫アッセイが、上記のいずれかに記載の抗体を具えることを特徴とする請求項20記載の方法。
  22. BNP変異体で検出可能な疾患を検出することが可能な生体マーカーであって、上記核酸配列又はその断片のいずれか、或いは上記アミノ酸配列又はその断片のいずれかを具えることを特徴とする生体マーカー。
  23. 変異体で検出可能な疾患をスクリーニングする方法であって、上記請求項のいずれかに記載の生体マーカー又は抗体又は方法又はアッセイによって、BNP変異体で検出可能な疾患に冒された細胞を検出することを具えることを特徴とする方法。
  24. BNP変異体で検出可能な疾患を診断する方法であって、上記請求項のいずれかに記載の生体マーカー又は抗体又は方法又はアッセイによって、BNP変異体で検出可能な疾患に冒された細胞を検出することを具えることを特徴とする方法。
  25. BNP変異体で検出可能な疾患の進行及び治療の有効性及び急性若しくは慢性の悪化の検出、又はそれらのうちの1若しくは2以上の組み合せをモニターする方法であって、上記請求項のいずれかに記載の生体マーカー又は抗体又は方法又はアッセイによって、BNP変異体で検出可能な疾患に冒された細胞を検出することを具えることを特徴とする方法。
  26. BNP変異体で検出可能な疾患の治療法を選択する方法であって、上記請求項のいずれかに記載の生体マーカー又は抗体又は方法又はアッセイによって、BNP変異体で検出可能な疾患に冒された細胞を検出すること及び前記検出に従って治療法を選択することを具えることを特徴とする方法。
  27. 上記請求項のいずれかに記載の方法において、BNP変異体で検出可能な疾患が、心不全及び/又は左心室機能不全を具えることを特徴とする方法。
  28. ANFB_HUMANに相当する野生型BNPのアミノ酸1〜129に少なくとも90%相同である第1のアミノ酸配列、及び配列GKHPLPPRPPSPIPVCDTVRVTLGFVVSGNHTLを有するポリペプチドにに少なくとも70%、適宜少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%相同である第2のアミノ酸配列を具え、その際、前記第1及び第2のアミノ酸配列は、隣接して順に並ぶ脳性ナトリウム利尿ペプチドT2(配列番号1)をコードすることを特徴とする単離されたポリペプチド。
  29. 請求項1の単離されたポリヌクレオチドを具えることを特徴とする核酸構築物。
  30. 単離されたポリヌクレオチドの転写をセンス方向又はアンチセンス方向で調節するプロモータをさらに具えることを特徴とする請求項29記載の核酸構築物。
  31. 相同組換え事象について選択するための陽性及び陰性の選択マーカーをさらに具えることを特徴とする請求項30記載の核酸構築物。
  32. 請求項31の核酸構築物を具えることを特徴とする宿主細胞。
  33. 初期設定パラメータ又はそのアクティブ部分を用いたEMBnetスイス(http://www.ch.embnet.org/index.html)のLALIGNソフトウエアを用いて決定したとき、請求項3記載のポリペプチドに少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を具えることを特徴とする単離されたポリペプチド。
  34. 請求項33記載のポリペプチドをコードする核酸配列に特異的にハイブリッド形成可能であるオリゴヌクレオチド。
  35. 治療上有効量の請求項33記載のポリペプチド及び薬学上許容可能なキャリア又は希釈剤を具えることを特徴とする医薬組成物。
  36. 対象においてBNP関連の疾患を治療する方法であって、対象において請求項33記載のポリペプチドの発現を上方調節し、それによって対象においてBNP関連の疾患を治療することを具えることを特徴とする方法。
  37. (i)前記ポリペプチドを対象に投与すること、及び/又は
    (ii)前記ポリペプチドをコードする発現可能なポリヌクレオチドを対象に投与することによって、前記ポリペプチドの発現の前記上方調節を達成することを特徴とする請求項36記載の方法。
  38. 配列番号20、23、又は26から成る群より選択されたアンプリコンを具えることを特徴とする単離されたオリゴヌクレオチド。
  39. 請求項38記載の前記アンプリコン又は請求項2記載の断片を増幅することが可能である単離されたオリゴヌクレオチドの対を具えることを特徴とするプライマー対。
  40. 配列番号18と19、21と22、24と25又は27と28から成る群より選択された単離されたオリゴヌクレオチドの対を具えることを特徴とする請求項39記載のプライマー対。
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