JP3799465B2 - ナトリウム利尿ペプチドを有効成分とする涙液分泌促進または角結膜障害治療用点眼剤 - Google Patents
ナトリウム利尿ペプチドを有効成分とする涙液分泌促進または角結膜障害治療用点眼剤 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナトリウム利尿ペプチドを有効成分とする涙液分泌促進または角結膜障害治療用点眼剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体の湿潤性保持機構の一つである涙液は、角膜と結膜(角結膜)を覆い湿潤性を保持しこれらが乾燥するのを防ぐ。また涙液は瞬目による刺激から角結膜を守る潤滑剤となり、角膜表面の平滑性の保持に貢献している。涙液は静菌作用を有し細菌、真菌、ウイルスなどからの感染を防御し、角膜への酸素や種々の栄養の供給と炭酸ガスや代謝産物の除去も行う。また、角結膜に障害が加わった場合、涙液は障害性刺激の希釈と除去をする役割を担うと共に、創傷治癒に関与する上皮成長因子等の液性成分やフィブロネクチン等の血球成分を障害部に運搬する作用を有し、角結膜上皮細胞の保持のみならず創傷治癒の調節に関与している。このようにわずかな量しかない涙液が角結膜の生理的状態を整えることにより、角膜の透明性や恒常性が維持されていることが知られている(あたらしい眼科, 11, 1179-1185, (1994))。
【0003】
ドライアイ(乾性角結膜炎等)を始めとする角結膜障害の治療方法としては、人工涙液により涙液成分を外部から補給する方法や、角結膜表面に残存する涙液を粘弾性物質により保持し、角結膜の治療につなげる方法等が知られている。涙液には前述の様な角結膜障害を治癒する効果があるので、涙腺機能に直接的に働き、涙液分泌を促進する化合物を見出すことは、ドライアイを始めとし、角結膜上皮障害が認められる角膜上皮剥離および角膜潰瘍等に有用であることが期待される。
【0004】
ナトリウム利尿ペプチドに属するペプチドは、ほ乳類から鳥類、両生類、魚類まで広く分布しており、構造の面から3種類のグループ、即ち心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)およびC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)に分類される。心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)には、28個のアミノ酸よりなるα−ANP、α−ANPのアミノ酸4番から28番までのα−ANP[4−28]、α−ANPのアミノ酸5番から28番までのα−ANP[5−28]、α−ANPが逆平行二量体になった構造をしているβ−ANP、ANP前駆体からシグナルペプチドが切断された分子量13000の高分子型γ−ANP等が知られている。脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)には、26個のアミノ酸よりなるBNP−26、32個のアミノ酸よりなるBNP−32、45個のアミノ酸よりなるBNP−45、BNP前駆体からシグナルペプチドが切断された分子量約13000の高分子型γ−BNP等が知られている。C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)には、アミノ酸22個のCNP−22、そのN末端に延長したアミノ酸53個のCNP−53等が知られている。これらのナトリウム利尿ペプチドは腎臓、副腎、血管壁に作用して全身の体液電解質や血圧の調節に重要な働きをしている(循環調節ペプチドと関連疾患, 14-25頁, 羊土社, 1992)。
【0005】
α−ANPは血管拡張作用と利尿作用を有し、心不全等の心血管系疾患の治療剤として用いられている(薬理と治療, 23, 949-952, (1995))。
【0006】
眼科分野においては、α−ANPが眼圧下降作用を示すことが報告されている(Curr. Eye Res., 6, 1189-1196, (1987))が、その他の作用についてはほとんど研究されておらず、ナトリウム利尿ペプチドの点眼投与による涙腺に対する作用や角結膜障害に対する作用についての報告はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ナトリウム利尿ペプチドの眼科分野における応用研究は、眼圧下降作用以外ほとんどなされておらず、ナトリウム利尿ペプチドの眼科分野における新たな作用についての研究は非常に興味ある課題である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ナトリウム利尿ペプチドの眼科分野における新たな作用を見いだすべく鋭意研究を行った結果、ナトリウム利尿ペプチドが涙液分泌促進作用を有し、角結膜障害治療剤として有用であることを見いだした。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、ナトリウム利尿ペプチドを有効成分とする涙液分泌促進または角結膜障害治療用点眼剤に関する。
【0010】
本発明において、ナトリウム利尿ペプチドとは心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)およびC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)を示す。ANP、BNPおよびCNPには種々の構造を持つものが知られているが、本発明のナトリウム利尿ペプチドはそれらをすべて包含するものである。
【0011】
ナトリウム利尿ペプチドは心血管系疾患の治療剤として有用な薬物であるが、眼科分野においては眼圧下降作用以外ほとんど報告されていない。
【0012】
そこで、本発明者等は、ナトリウム利尿ペプチドを眼科分野に応用することを検討した結果、詳細は薬理試験の項で説明するが、ナトリウム利尿ペプチドをウサギに点眼投与したところ、優れた涙液分泌促進作用を有していることを見いだすに至った。涙液は従来技術の項で詳細に述べたように、角結膜の障害を治癒する効果があり、本薬物が角結膜障害治療剤として有用であることが期待される。角結膜障害の代表的な例として、ドライアイ、角膜上皮剥離および角膜潰瘍が挙げられる。
【0013】
本発明の点眼剤は汎用される点眼基剤にナトリウム利尿ペプチドを使用時に溶解し、調製することができる。また塩化ナトリウム、濃グリセリンなどの等張化剤、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの緩衝化剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ステアリン酸ポリオキシ40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの界面活性剤、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウムなどの安定化剤、塩化ベンザルコニウム、パラベンなどの防腐剤などを必要に応じて適量用い製剤化することができ、pHは眼科製剤に許容される範囲内にあればよいが、4〜8の範囲が好ましい。
【0014】
点眼剤中の有効成分の濃度としては、0.001〜1%(W/V)、好ましくは0.005〜0.5%(W/V)、より好ましくは0.05〜0.5%(W/V)が選択 される。投与は、点眼剤を1日1回または数回点眼することにより行う。
【0015】
以下、実施例として製剤例および薬理試験を示す。
【0016】
【実施例】
1.製剤例
代表的な処方例を以下に示す。
【0017】
処方1(0.1%点眼剤の調製)
ナトリウム利尿ペプチド(100mg)を生理食塩水(100ml)に溶解し、0.1%点眼剤を調製した。
【0018】
さらに、ナトリウム利尿ペプチドの添加量を変えることにより、濃度が0.001、0.005、0.01、0.05、0.5および1.0%(W/V)のナト リウム利尿ペプチド点眼剤も調製した。
【0019】
2.薬理試験
正常動物の薬物点眼時の涙液量の変化をとらえる方法の一つに、ヒトの涙液量測定に用いるシルマー試験紙法がある。そこで、本発明においては、シルマー試験紙法を用いてナトリウム利尿ペプチドを点眼したときの涙液量を測定し、涙液分泌量に及ぼすナトリウム利尿ペプチドの効果を検討した。
【0020】
(実験方法)
[実験動物] 実験には、体重1.8〜2.2kgの雄性日本白色ウサギを使用した。
【0021】
[被験薬物溶液の調製] ナトリウム利尿ペプチド(0.56mg)を滅菌精製水に溶解し、0.1%溶液を用時調製した。これを被験薬物溶液とする。
【0022】
[薬物投与方法] 被験薬物溶液(50μl)を左眼に1回点眼した。なお、基剤(精製水)の涙液分泌に及ぼす影響を調べるため、基剤のみ(50μl)を右眼に1回点眼した。
【0023】
[測定方法] 涙液量測定は、薬物投与開始前および点眼後所定時間に、シルマー試験紙を用いて薬物投与眼および非投与眼について行った。ウサギ下眼瞼耳側三分の一の部分に端を折り曲げたシルマー試験紙を挟み込み、1分後に試験紙の濡れた部分の長さ(シルマー値、mm)を折り目から測定した。
【0024】
なお、涙液量測定の3分前に、局所麻酔剤の0.4%塩酸オキシブプロカイン点眼液(10μl)を両眼に1回点眼した。
【0025】
(結果)
被験薬物溶液の点眼t時間後の涙液分泌量に対する作用を、下記式により求められる涙液増加量(mm)で示す。
【0026】
涙液増加量(mm)=[SM(D-t)−SM(D-0)]−[SM(V-t)−SM(V-0)]
SM(D-t):薬物投与t時間後の薬物投与眼(左眼)におけるシルマー値
SM(D-0):薬物投与開始前の薬物投与眼(左眼)におけるシルマー値
SM(V-t):基剤投与t時間後の基剤投与眼(右眼)におけるシルマー値
SM(V-0):基剤投与開始前の基剤投与眼(右眼)におけるシルマー値
【0027】
試験結果の一例として、被験薬物(ラットα−ANP、ラットBNP−32およびヒトCNP−22;いずれもペプチド研究所より購入)溶液点眼1時間後の涙液増加量(mm)を表1に示す。
【0028】
【表1】
表中の数値は各々1群6例の平均値を示す。
【0029】
表1から判るように、被験薬物(ラットα−ANP、ラットBNP−32およびヒトCNP−22)は優れた涙液分泌促進作用を有することが明らかとなった。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、優れた涙液分泌促進作用を有し、涙液分泌促進および角結膜障害治療剤として有用である、ナトリウム利尿ペプチド含有点眼剤を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナトリウム利尿ペプチドを有効成分とする涙液分泌促進または角結膜障害治療用点眼剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体の湿潤性保持機構の一つである涙液は、角膜と結膜(角結膜)を覆い湿潤性を保持しこれらが乾燥するのを防ぐ。また涙液は瞬目による刺激から角結膜を守る潤滑剤となり、角膜表面の平滑性の保持に貢献している。涙液は静菌作用を有し細菌、真菌、ウイルスなどからの感染を防御し、角膜への酸素や種々の栄養の供給と炭酸ガスや代謝産物の除去も行う。また、角結膜に障害が加わった場合、涙液は障害性刺激の希釈と除去をする役割を担うと共に、創傷治癒に関与する上皮成長因子等の液性成分やフィブロネクチン等の血球成分を障害部に運搬する作用を有し、角結膜上皮細胞の保持のみならず創傷治癒の調節に関与している。このようにわずかな量しかない涙液が角結膜の生理的状態を整えることにより、角膜の透明性や恒常性が維持されていることが知られている(あたらしい眼科, 11, 1179-1185, (1994))。
【0003】
ドライアイ(乾性角結膜炎等)を始めとする角結膜障害の治療方法としては、人工涙液により涙液成分を外部から補給する方法や、角結膜表面に残存する涙液を粘弾性物質により保持し、角結膜の治療につなげる方法等が知られている。涙液には前述の様な角結膜障害を治癒する効果があるので、涙腺機能に直接的に働き、涙液分泌を促進する化合物を見出すことは、ドライアイを始めとし、角結膜上皮障害が認められる角膜上皮剥離および角膜潰瘍等に有用であることが期待される。
【0004】
ナトリウム利尿ペプチドに属するペプチドは、ほ乳類から鳥類、両生類、魚類まで広く分布しており、構造の面から3種類のグループ、即ち心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)およびC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)に分類される。心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)には、28個のアミノ酸よりなるα−ANP、α−ANPのアミノ酸4番から28番までのα−ANP[4−28]、α−ANPのアミノ酸5番から28番までのα−ANP[5−28]、α−ANPが逆平行二量体になった構造をしているβ−ANP、ANP前駆体からシグナルペプチドが切断された分子量13000の高分子型γ−ANP等が知られている。脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)には、26個のアミノ酸よりなるBNP−26、32個のアミノ酸よりなるBNP−32、45個のアミノ酸よりなるBNP−45、BNP前駆体からシグナルペプチドが切断された分子量約13000の高分子型γ−BNP等が知られている。C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)には、アミノ酸22個のCNP−22、そのN末端に延長したアミノ酸53個のCNP−53等が知られている。これらのナトリウム利尿ペプチドは腎臓、副腎、血管壁に作用して全身の体液電解質や血圧の調節に重要な働きをしている(循環調節ペプチドと関連疾患, 14-25頁, 羊土社, 1992)。
【0005】
α−ANPは血管拡張作用と利尿作用を有し、心不全等の心血管系疾患の治療剤として用いられている(薬理と治療, 23, 949-952, (1995))。
【0006】
眼科分野においては、α−ANPが眼圧下降作用を示すことが報告されている(Curr. Eye Res., 6, 1189-1196, (1987))が、その他の作用についてはほとんど研究されておらず、ナトリウム利尿ペプチドの点眼投与による涙腺に対する作用や角結膜障害に対する作用についての報告はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ナトリウム利尿ペプチドの眼科分野における応用研究は、眼圧下降作用以外ほとんどなされておらず、ナトリウム利尿ペプチドの眼科分野における新たな作用についての研究は非常に興味ある課題である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ナトリウム利尿ペプチドの眼科分野における新たな作用を見いだすべく鋭意研究を行った結果、ナトリウム利尿ペプチドが涙液分泌促進作用を有し、角結膜障害治療剤として有用であることを見いだした。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、ナトリウム利尿ペプチドを有効成分とする涙液分泌促進または角結膜障害治療用点眼剤に関する。
【0010】
本発明において、ナトリウム利尿ペプチドとは心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)およびC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)を示す。ANP、BNPおよびCNPには種々の構造を持つものが知られているが、本発明のナトリウム利尿ペプチドはそれらをすべて包含するものである。
【0011】
ナトリウム利尿ペプチドは心血管系疾患の治療剤として有用な薬物であるが、眼科分野においては眼圧下降作用以外ほとんど報告されていない。
【0012】
そこで、本発明者等は、ナトリウム利尿ペプチドを眼科分野に応用することを検討した結果、詳細は薬理試験の項で説明するが、ナトリウム利尿ペプチドをウサギに点眼投与したところ、優れた涙液分泌促進作用を有していることを見いだすに至った。涙液は従来技術の項で詳細に述べたように、角結膜の障害を治癒する効果があり、本薬物が角結膜障害治療剤として有用であることが期待される。角結膜障害の代表的な例として、ドライアイ、角膜上皮剥離および角膜潰瘍が挙げられる。
【0013】
本発明の点眼剤は汎用される点眼基剤にナトリウム利尿ペプチドを使用時に溶解し、調製することができる。また塩化ナトリウム、濃グリセリンなどの等張化剤、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの緩衝化剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ステアリン酸ポリオキシ40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの界面活性剤、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウムなどの安定化剤、塩化ベンザルコニウム、パラベンなどの防腐剤などを必要に応じて適量用い製剤化することができ、pHは眼科製剤に許容される範囲内にあればよいが、4〜8の範囲が好ましい。
【0014】
点眼剤中の有効成分の濃度としては、0.001〜1%(W/V)、好ましくは0.005〜0.5%(W/V)、より好ましくは0.05〜0.5%(W/V)が選択 される。投与は、点眼剤を1日1回または数回点眼することにより行う。
【0015】
以下、実施例として製剤例および薬理試験を示す。
【0016】
【実施例】
1.製剤例
代表的な処方例を以下に示す。
【0017】
処方1(0.1%点眼剤の調製)
ナトリウム利尿ペプチド(100mg)を生理食塩水(100ml)に溶解し、0.1%点眼剤を調製した。
【0018】
さらに、ナトリウム利尿ペプチドの添加量を変えることにより、濃度が0.001、0.005、0.01、0.05、0.5および1.0%(W/V)のナト リウム利尿ペプチド点眼剤も調製した。
【0019】
2.薬理試験
正常動物の薬物点眼時の涙液量の変化をとらえる方法の一つに、ヒトの涙液量測定に用いるシルマー試験紙法がある。そこで、本発明においては、シルマー試験紙法を用いてナトリウム利尿ペプチドを点眼したときの涙液量を測定し、涙液分泌量に及ぼすナトリウム利尿ペプチドの効果を検討した。
【0020】
(実験方法)
[実験動物] 実験には、体重1.8〜2.2kgの雄性日本白色ウサギを使用した。
【0021】
[被験薬物溶液の調製] ナトリウム利尿ペプチド(0.56mg)を滅菌精製水に溶解し、0.1%溶液を用時調製した。これを被験薬物溶液とする。
【0022】
[薬物投与方法] 被験薬物溶液(50μl)を左眼に1回点眼した。なお、基剤(精製水)の涙液分泌に及ぼす影響を調べるため、基剤のみ(50μl)を右眼に1回点眼した。
【0023】
[測定方法] 涙液量測定は、薬物投与開始前および点眼後所定時間に、シルマー試験紙を用いて薬物投与眼および非投与眼について行った。ウサギ下眼瞼耳側三分の一の部分に端を折り曲げたシルマー試験紙を挟み込み、1分後に試験紙の濡れた部分の長さ(シルマー値、mm)を折り目から測定した。
【0024】
なお、涙液量測定の3分前に、局所麻酔剤の0.4%塩酸オキシブプロカイン点眼液(10μl)を両眼に1回点眼した。
【0025】
(結果)
被験薬物溶液の点眼t時間後の涙液分泌量に対する作用を、下記式により求められる涙液増加量(mm)で示す。
【0026】
涙液増加量(mm)=[SM(D-t)−SM(D-0)]−[SM(V-t)−SM(V-0)]
SM(D-t):薬物投与t時間後の薬物投与眼(左眼)におけるシルマー値
SM(D-0):薬物投与開始前の薬物投与眼(左眼)におけるシルマー値
SM(V-t):基剤投与t時間後の基剤投与眼(右眼)におけるシルマー値
SM(V-0):基剤投与開始前の基剤投与眼(右眼)におけるシルマー値
【0027】
試験結果の一例として、被験薬物(ラットα−ANP、ラットBNP−32およびヒトCNP−22;いずれもペプチド研究所より購入)溶液点眼1時間後の涙液増加量(mm)を表1に示す。
【0028】
【表1】
表中の数値は各々1群6例の平均値を示す。
【0029】
表1から判るように、被験薬物(ラットα−ANP、ラットBNP−32およびヒトCNP−22)は優れた涙液分泌促進作用を有することが明らかとなった。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、優れた涙液分泌促進作用を有し、涙液分泌促進および角結膜障害治療剤として有用である、ナトリウム利尿ペプチド含有点眼剤を提供することができる。
Claims (3)
- ナトリウム利尿ペプチドを有効成分とする涙液分泌促進用点眼剤。
- ナトリウム利尿ペプチドを有効成分とする角結膜障害治療用点眼剤。
- 角結膜障害がドライアイ、角膜上皮剥離および/または角膜潰瘍である請求項2記載の角結膜障害治療用点眼剤。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP10-273332 | 1998-09-28 | ||
JP27333298 | 1998-09-28 | ||
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2000169387A JP2000169387A (ja) | 2000-06-20 |
JP3799465B2 true JP3799465B2 (ja) | 2006-07-19 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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DK2457581T3 (da) | 2009-07-23 | 2014-03-31 | Igisu Co Ltd | Sammensætning omfattende CNP eller BNP for et udvendigt præparat til hud til behandling af dermatitis |
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1999
- 1999-09-22 JP JP26796999A patent/JP3799465B2/ja not_active Expired - Fee Related
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