JP4787386B2 - 粘土鉱物入りシート状化粧料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用勝手、感触、冷却効果、密着性、皮膚に対する有効性に優れたシート状化粧料と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、粘土鉱物を配合した各種化粧料が、エステティックや、粘土鉱物が皮膚老廃物に吸着するイメージにより人気を集めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、粘土鉱物は基本的に泥であり、使用時に手や洋服が汚れたり、浴室や洗面台を汚してしまう問題や皮膚に塗布した化粧料を洗い流さなければならないなどの不便性があった。
すなわち、本発明は、使用勝手、感触、冷却効果、密着性、皮膚に対する有効性に優れたシート状化粧料と、その製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明人らは、これらの問題点に対して鋭意検討を行った結果、粘土鉱物をゲル状シートに取り込むことで、使用時に手や洋服が汚れず、かつ浴室や洗面台を汚染せずに、手軽に泥パックが可能となることを見いだした。さらに、シート状化粧料の構造を、不織布などの支持体を使用せずに、ゲル状シートのみの単層構造としたことで、顔や胸など凹凸やカーブが激しく、個人差も大きい部位に対してもよりしっかりとフィットできることを見いだした。
【0005】
すなわち、第1の本発明は、粘土鉱物と粘剤と湿潤剤と生理活性成分及び水とを含有するゲル体が単層構造のシート状に形成されていることを特徴とする粘土鉱物入りシート状化粧料に関する。ここでの単層構造とは、ゲル体の一部が不織布等のシート基材中に含浸したり、ゲル体とシート基材とが接着され、皮膚に使用時の構造が二層構造を形成するものは本発明に含まれないことを言い、ゲル体、ゲル体とゲル体の組み合わせの単層構造を形成しているものを言う。
【0006】
第2の本発明は、粘剤が、アクリルアミドと架橋性単量体との共重合体、エポキシ架橋剤により架橋されたポリアクリルアミド、カラギーナン、ヒアルロン酸およびその塩、デオキシリボ核酸およびその塩からなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする上記の粘土鉱物入りシート状化粧料に関する。
【0007】
第3の本発明は、湿潤剤が、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マルビットからなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする上記の粘土鉱物入りシート状化粧料に関する。
【0008】
第4の本発明は、シート部材に形成された深さ0.1〜3mmの凹部に、粘土鉱物、粘剤の原料、湿潤剤、生理活性成分、水からなる液状物を充填したのち、熱をかけて冷却することにより、または加熱して重合するか、もしくは光を照射して重合することにより、この凹部内の充填物をシート状のゲル体に固化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の粘土鉱物入りシート状化粧料の製造方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる粘土鉱物とは、レーザー回折・散乱式粒度分布計を用いて湿式で調べた時の平均一次粒子径が0.1〜100μmの範囲にある粘土鉱物を指す。粘土鉱物の種類としては、カオリン、タルク、マイカ、セリサイト、合成マイカ等から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。また、天然物として産出する、死海やカスピ海、インド洋産等の海泥等も利用可能である。本発明で用いる粘土鉱物は表面処理が行われていても構わないが、より好ましくは未処理もしくは親水性処理が挙げられる。親水性処理の例としては、アクリル酸処理、アクリルアミド処理、多価アルコール処理、デオキシリボ核酸処理、粘剤処理等が挙げられる。また、粘土鉱物の一部として、雲母チタンなどの無機酸化物処理物を用いることも可能である。雲母チタンを少量配合した場合、シート状化粧料の外観に好ましい特徴を与えることができる。
【0010】
本発明で用いる粘土鉱物の配合量は製品の総量に対して0.1〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。この範囲であれば、外観上の特徴と有用性を得ることができる。
【0011】
本発明で用いる粘剤としては、特に水との親和性がより高く、増粘する性質を有するものであり、従来から食品や化粧品で使用されてきた粘剤類、特に高分子系粘剤類を用いることができる。例えば、アクリルアミドと架橋性単量体との共重合体、エポキシ架橋剤により架橋されたポリアクリルアミド、カラギーナン、ヒアルロン酸およびその塩、デオキシリボ核酸およびその塩、カルボキシビニルポリマーおよびその変性体、ポリアクリル酸およびその塩、ジェランガム、寒天などが挙げられる。この内、アクリルアミドと架橋性単量体との共重合体、エポキシ架橋剤により架橋されたポリアクリルアミド、カラギーナン、ヒアルロン酸およびその塩、デオキシリボ核酸およびその塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の粘剤が、製品の透明性、感触などが優れている点から好ましい。
【0012】
上記の架橋性単量体の例としては、N,N’ーメチレンビスアクリルアミド、N,N’ーメチレンビスメタクリルアミド、N,N’ーエチレンビスアクリルアミド、N,N’ーエチレンビスメタクリルアミド、1,2ージアクリルアミドエチレングリコール等が挙げられる。
【0013】
上記のエポキシ架橋剤の例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジル2ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0014】
また、カラギーナンとしては、市販されているイオタ型、カッパ型、ラムダ型及びそれらの混合タイプなどから選ぶことができる。
【0015】
本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料において、粘剤としてアクリルアミド等の合成高分子を用いる場合、粘剤の配合量は製品の総量に対して5〜40重量%が好ましく、より好ましくは10〜25重量%である。配合量が5重量%未満ではゲル体の腰強度が弱すぎ、ゲル体の構造中に封じ込めた湿潤剤や水等を安定な状態に保つことが困難となり、また40重量%を超えるとゲル強度は強くなるが、ゲル体中の高分子構造が密になりすぎ保持できる湿潤剤や水等の量が少なくなりすぎる傾向がある。
【0016】
本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料において、粘剤として合成高分子を用いる時の重合時に架橋性単量体を添加する場合、架橋性単量体の添加量は上記ゲル体の総量に対し0.5重量%以下であることが好ましい。これより多くなるとゲル体の脆さが増大し、引っ張りや圧縮による切断や破壊が生じやすくなる。
【0017】
本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料において、粘剤として合成高分子を用いる時の重合時にエポキシ架橋剤を添加する場合、エポキシ架橋剤の添加量は、求める粘着性能、柔軟さと、ゲルの高分子骨格やその構成比に応じて適宜決めればよいが、上記ゲル体の総量に対して3重量%以下であることが好ましい。3重量%を超えると粘着性能が低下し、ゲル体の脆さが増大し、引っ張りや圧縮による切断や破壊が生じやすくなる問題がある。
【0018】
本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料において、粘剤としてカラギーナン等の天然高分子を用いる場合、粘剤の配合量は製品の総量に対して0.5〜20重量%が好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。配合量が0.5重量%未満では得られるゲル体の強度が不足して実用的ではなく、20重量%を超えると非常に硬く粘着性の全くないゲルとなり使用に適さない場合がある。また、カラギーナンを用いる場合、K、Ca、Mg等の金属の塩を添加することでゲルの強度を調整することが可能である。これら塩の添加量は製品の総量に対して0.01〜1重量%の範囲が好ましい。
【0019】
本発明で用いる湿潤剤としては、多価アルコールなど、従来化粧品に使用されてきたものが使用できる。湿潤剤の例としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール等の多価アルコール類、ソルビトール、マルビット等の糖類、糖アルコール類等が挙げられる。この内、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マルビットが湿潤作用と粘剤との親和性に優れる点から好ましい。
【0020】
本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料で用いる湿潤剤の配合量としては、製品の総量に対して0.1〜80重量%が好ましい。配合量が0.1重量%未満では必要な水分を十分に保持することが困難になり、また80重量%を超えると、湿潤剤がシートから分離してべたつきの原因となる場合がある。
【0021】
本発明で用いる生理活性成分とは、小じわの改善効果、ターンオーバー改善効果、スリミング効果、マッサージ効果、保湿効果、くまの改善効果等の相乗作用が得られる、皮膚に何らかの有効な作用が認められる成分であり、例えば、セラミド類、セレブロシド類、ビタミン剤、メントール、プロポリス、ヒアルロン酸及びその塩、デオキシリポ核酸及びその塩、アミノ酸、ヒドロキシ酸等の有機酸類、ラクトフェリン等の糖蛋白質、酵素、血行促進剤、収斂剤、痩身剤、、抗炎症剤等であり、それ以外には植物由来、海藻由来などの成分がある。例えば、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。これら生理活性成分の中で、植物や海藻(紅藻、褐藻など)由来の成分、ヒアルロン酸及びその塩は、皮膚に対するイメージ、効果の点からも好ましい。
【0022】
これら生理活性成分の配合量は、その素材により有効成分量が異なるため一概には規定できないが、例えば製品の総量に対して0.001〜80重量%が好ましく、特に好ましくは0.05〜10重量%である。特に植物や海藻等のエキスを配合する場合は、エキスの乾燥残分換算で、0.001〜5重量%が好ましい。
【0023】
本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料で用いる水の配合量としては、製品の総量に対して10〜95重量%が好ましい。配合量が10重量%未満では皮膚の表面に十分な潤いを与えることができず、95重量%を超えるとゲル体がシート状を保持するのが困難になる場合がある。
【0024】
本発明の特に好ましい成分の組み合わせの例を以下に示す。
(A)粘土鉱物 0.5〜5重量%
(B)カラギーナン(粘剤) 3〜10重量%
(C)多価アルコール、糖類、糖アルコール類の1種以上(湿潤剤) 1〜30重量%
(D)ヒアルロン酸および/またはその塩(生理活性成分) 0.05〜1重量%
(E)精製水 残量
この様な組み合わせを用いると、感触、密着性、冷却効果、皮膚に対する有効性等が得られやすい。
【0025】
また、本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料のゲル体は色素などで着色していても構わない。
【0026】
本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料のシートの厚さとしては、全体が均一であっても、部分的に厚さが異なっていても良いが、密着性と強度を確保するため、0.1〜3mmの厚さが好ましい。0.1mm未満ではシートの強度が弱く、また3mmを超えると、シートの自重が重すぎて密着性に欠ける場合がある。尚、シート全体が厚くない場合には、シートを部分的に6mmまでの厚さに厚くすることは可能である。
【0027】
本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料では、必要に応じて、粘着性付与剤の他、通常化粧料に使用可能な粉体(色素、樹脂等)、油剤、フッ素化合物、樹脂、界面活性剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、塩類、溶媒、キレート剤、中和剤、pH調整剤等の成分を同時に配合することができる。
【0028】
本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料の製造方法としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニール等のシート部材を用い、熱成形等によって所定の形状に形成された深さ0.1〜3mmの凹部に、粘剤の原料、湿潤剤、生理活性成分、水等からなる液状物を充填したのち、熱をかけて後冷却するか、または加熱して重合するか、もしくは光を照射し重合することにより、この凹部内の充填物を固化する方法が挙げられる。この方法により、シート状化粧料を貼着する皮膚部位にフィットする形状に予め成形されたゲル状のシートを、短時間のうちに多量に生産可能であり、ゲルを打ち抜き成形する必要がなくなるため、廃棄するゲルの発生が抑えられ、またゲルと抜き刃が接触しないため衛生面でも有利となる特徴がある。
【0029】
ここで、単量体を重合して粘剤とする場合に於いて、前述の原料を配合した単量体溶液に、熱重合する場合は、アゾビスシアノ吉草酸やアゾビスアミノプロパン2塩酸塩等のアゾ系重合開始剤や、硫酸第一鉄や亜二チオン酸、ピロ亜硫酸塩等の還元剤と過酸化水素やペルオキソ二硫酸塩等の過酸化物とからなるレドックス系重合開始剤を添加して重合することができる。また、光重合する場合は、アセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、リン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、アゾ系等の光ラジカル重合開始剤、ジアゾニウム塩、ジアリルヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等の光カチオン重合開始剤などを添加して重合することができる。
【0030】
また、カラギーナン等を用いる場合は、前述の原料と粉末のカラギーナンを配合し十分に混合した配合液を約80〜100℃に加熱したのち冷却して所定形状の粘土鉱物入りシート状化粧料を得ることができる。
【0031】
本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料の形状としては、楕円形、円形、ハート形、半円形、半楕円形、正方形、長方形、台形等が挙げられるが特に制限はないが、シート状化粧料の中心部や周辺部に位置合わせ等の目的で凸部や凹部を設けたり、また印刷などの方法で、中心部や上下、前後の使用方向を明示して、取扱い性を向上させることが好適である。さらに、使用部位によりそれぞれ形状を変化させたり、厚さや組成や接着力を変化させることもできる。
【0032】
本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料の適用部位としては、顔(唇、頬部、目元部、口元部、目の上下部)、腕部、脚部、胸部、腹部、首部等が挙げられる。貼り付け面積が大きい部位では、シート状化粧料の粘着力を上昇させるか、厚さを薄目にすることが好ましい。
【0033】
本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料は高い密着性と、粘土鉱物による皮膚表面の過酸化脂質などの吸着効果、ジェル状シートの利点である冷却効果を基本的に有しているが、他にもシートの密閉効果と経皮吸収促進効果により生理活性成分の有効性を向上させる効果がある。例えば、小じわの改善効果、皮膚のターンオーバーの改善、マッサージ効果、保湿効果、血行促進、くまの改善効果、スリミング効果が期待できる。
【0034】
本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料の使用方法としては、シートを適用部位に密着させてから0.1〜60分間放置することが好ましく、特に好ましくは1〜30分間放置してからシートを剥すことが好ましい。また、使用頻度は、一日1回〜週3回程度が好ましい。但し、一日2回以上では肌に負担をかける場合がある。
【0035】
本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料は、適用部位に貼着し剥離した後に、油脂類、炭化水素、高級脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類等の油分を製剤中に1重量%以上配合した乳液、クリームなどの化粧料を該部位に使用することが好ましく、特にこれらの化粧料を用いてマッサージを行うことが好ましい。この化粧方法を継続することで、皮膚のターンオーバーや肌の状態をより改善することができる。油分が1重量%未満の化粧料では、マッサージ効果による上記効果が得にくい。
【0036】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。
尚、本発明で用いた官能特性評価方法は以下の通りである。
【0037】
専門パネラー20名を用いて、試作品の官能特性を冬場に1ケ月間の連用試験で評価した。評価項目としては、適用部位に対応した効果が認められたか否かをアンケート形式で評価した。効果が認められない場合を0点とし、効果が認められた場合を5点とし、その間を計4段階で評価し、全員の点数の合計を以て評価結果とした。従って、点数が高いほど、評価が高いことを示す。
【0038】
実施例1
下記の組成および製造方法により、腹部用スリミングゲルシートを作製した。尚、粘土鉱物としてはジョージアカオリンを使用した。
【0039】
【表1】
【0040】
上記配合液を均一になるよう撹拌した後、95℃に加熱して溶解させた。この液を一片が12cmの正方形であって深さが2mmの凹部を有するシリコーン処理したポリエチレン製皿(a)に流し込み、上部に70μm厚のシリコーン処理したポリエチレンフィルムの離型紙(b)を置いた後、(a)と(b)の周囲を熱圧着して密閉し、ついで冷却固化させて粘土鉱物入りゲル状シートの製品を得た。
【0041】
尚、製品使用時には、(b)の離型紙を(a)のポリエチレン製皿からはがしてゲル状シートを取り出した後、腹部に貼り付けて使用した。使用時間は15分間で設定した。
【0042】
実施例2
下記の組成および製造方法により、くま改善用ゲルシートを作製した。尚、粘土鉱物としてはセリサイトおよび雲母チタンを使用した。
【0043】
【表2】
【0044】
4℃に調節した単量体等の配合液(よく撹拌したもの)に重合開始剤のN,N’−メチレンビスアクリルアミドを加えてよく撹拌した後、300μm厚のポリプロピレンシートを熱成形して作った長径30mm、短径10mm、凹部の深さ0.7mmの半円形の皿に流し込み、上部に30μm厚の透明なポリウレタンフィルムを置いた後、50ミリワット/cm2 の強度の紫外線を60秒間照射して重合反応させた。得られたゲル状シートは上部のフィルムと下部の皿ごと、ゲル部分の周囲に巾2mmの縁が残るように一回り大きい半円形に打ち抜き、製品を得た。
【0045】
尚、製品使用時には、ゲル状シートを取り出し、目の下のくまができやすい部位に貼り付けて使用した。使用時間は15分間で設定した。
【0046】
実施例3
下記の組成および製造方法により、脚部用ゲルシートを作製した。尚、粘土鉱物としては死海産の泥とカオリンおよび雲母チタンを使用した。
【0047】
【表3】
【0048】
上記配合液を均一になるよう撹拌した後、95℃に加熱して溶解させた。この液を長径が20cm、短径が10cmの長方型であって深さが2mmの凹部を有するシリコーン処理したポリエチレン製皿(a)に流し込み、上部に70μm厚のシリコーン処理したポリエチレンフィルムの離型紙(b)を置いた後、(a)と(b)の周囲を熱圧着して密閉し、ついで冷却固化させて製品を得た。
【0049】
尚、製品使用時には、(b)のフィルムを(a)からはがして透明なゲル状シートを取り出して、脚部に貼り付けて使用した。使用時間は15分間で設定した。
【0050】
比較例1
市販のクリーム状どろパックを腹部に塗布して良くマッサージした。
【0051】
比較例2
市販のクリーム状顔用どろパックを目の下のくまの部分に塗布してよくマッサージした。
【0052】
比較例3
市販の起毛型不透明不織布に膏体(ポリビニルアルコールと多価アルコールとの系で、粘土鉱物を含まない)を塗布したタイプ(本発明で言う単層構造ではなく二層構造のものである)の脚部冷却シートを以て比較例とし、実施例3と同様にして使用した。
【0053】
比較例4
実施例1において、ジョージアカオリンを配合しない以外は実施例1と同様にして腹部用スリミングシートを作成した。
【0054】
表4〜7に実施例および比較例の評価結果を示す。
表4では、各実施例と比較例の密着性を評価した。
【0055】
【表4】
【0056】
表4の結果より、本発明の各実施例は密着性に優れていることが判る。また、長時間貼り付けたままでいると、徐々に剥離してくる場合があることが判ったが、いずれも規定の時間よりも長く使用した場合にのみ発生していた。一方、不織布を使用した比較例3では、密着性にやや劣り、外観上の特徴に乏しかった。
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
表5〜7の結果より、本発明の各実施例の粘土鉱物入りシート状化粧料は使用勝手がよく、いずれの評価項目に対しても優れた効果を示していることが判った。表5は腹部用スリミングゲルシートに関する評価結果であるが、実施例1は、比較例1の市販のクリーム状どろパックを使用した場合と比べて、より強い効果が実感できた。また、実施例1は製剤を使用した後にさっぱり感があり、使用感にも優れていた他、使用後の取扱いも比較例1のどろパックが浴室の洗浄等を必要としたのに比べて簡単であった。さらに、実施例1は粘土鉱物を入れていない比較例4に比べてさっぱり感が優れていた。表6はくま改善用ゲルシートに関するものであるが、実施例2はくまの改善効果に優れていることが判る。また、外観上、使用上も実施例2が優れていた。表7は脚部用ゲルシートに関するものであるが、実施例3は脚部のスリミング効果、感触に優れていた。一方、比較例3は実施例3に比べて冷却効果などの性能では類似していたが、フィット性などの使用勝手、外観の印象などで実施例3に劣っていた。
【0061】
【発明の効果】
以上の結果より、本発明の粘土鉱物入りシート状化粧料は、使用勝手、感触、外観、冷却効果、密着性に優れ、さらに小じわの改善効果、皮膚のターンオーバーの改善、スリミング効果、マッサージ効果、保湿効果、くまの改善効果等に優れていることは明らかである。
Claims (3)
- 粘土鉱物と粘剤と湿潤剤と生理活性成分及び水とを含有するゲル体が単層構造のシート状に形成されており、且つ粘剤が、アクリルアミドと架橋性単量体との共重合体、エポキシ架橋剤により架橋されたポリアクリルアミド、カラギーナン、ヒアルロン酸およびその塩、デオキシリボ核酸およびその塩からなる群より選択され、その配合量が、アクリルアミドと架橋性単量体との共重合体、エポキシ架橋剤により架橋されたポリアクリルアミドである場合、製品の総量に対して5〜40重量%であり、カラギーナン、ヒアルロン酸およびその塩、デオキシリボ核酸およびその塩である場合、製品の総量に対して0.5〜20重量%であることを特徴とする粘土鉱物入りシート状化粧料。
- 湿潤剤が、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マルビットからなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1記載の粘土鉱物入りシート状化粧料。
- シート部材に形成された深さ0.1〜3mmの凹部に、粘土鉱物、粘剤の原料、湿潤剤、生理活性成分、水からなる液状物を充填したのち、熱をかけて冷却することにより、または加熱して重合するか、もしくは光を照射して重合することにより、この凹部内の充填物をシート状のゲル体に固化させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の粘土鉱物入りシート状化粧料の製造方法。
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