JP4783937B2 - 破砕装置用電極の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、破砕装置用電極の製造方法に関し、より特定的には、破砕に利用できるエネルギーを大きくすることが可能な破砕装置用電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、岩石などを破壊するための破砕方法としては、たとえば特開平4−222794号公報に開示された方法が知られている。特開平4−222794号公報に開示された破砕方法では、破砕対象物となる岩石に、ドリルなどを用いてあらかじめ下孔を形成する。この下孔の中に水などの電解液を注入する。この下孔に破砕装置用電極である同軸電極を挿入する。同軸電極は中心電極と、この中心電極の外周側に絶縁体を介して位置する外周電極とを備える。
【0003】
そして、この同軸電極にパルスパワー源から電荷を供給する。すると、同軸電極の先端において、中心電極と外周電極との間に電位差が生じることにより放電が起こる。このとき、同軸電極の先端付近の電解液が放電エネルギーによってプラズマ化することにより、圧力波が発生する。この圧力波により、同軸電極の周囲の岩石などを破壊する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
同軸電極で放電により消費されるエネルギーは、(同軸電極に供給される電流値の2乗)×(放電抵抗)に比例することが知られている。そこで、発明者は、本発明に関連する出願である特願2000−374236号において、同軸電極の外周電極を分割して複数のギャップを形成し、1つの同軸電極において複数の放電を発生させて放電抵抗を大きくすることにより、放電により消費されるエネルギー(破砕に利用されるエネルギー)を大きくすることを提案している。
【0005】
しかし、発明者がさらに研究を進めた結果、同軸電極において放電抵抗を大きくするためにギャップの数を増やしすぎると、かえって破砕に利用されるエネルギーが小さくなる場合があることがわかった。すなわち、破砕に利用されるエネルギーを確実に大きくするためには、破砕装置用電極におけるギャップ数を最適化する必要がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、破砕に利用されるエネルギーを確実に大きくすることが可能な破砕装置用電極を実現することが可能な破砕装置用電極の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者は、破砕装置用電極(以下電極ともいう)で放電により消費されるエネルギー(破砕に利用されるエネルギー)と電極におけるギャップ数との関係について研究した結果、本発明を完成するに至った。以下、説明する。
【0008】
まず、破砕装置においてパルスパワー源から電極までを電気回路として考える。電極で発生するアーク部での抵抗(アーク抵抗)を負荷抵抗と考え、アーク部以外のケーブルなどの電気抵抗を電気回路におけるその他の抵抗と考える。アーク抵抗は、電極のギャップの数を増減することにより任意に変更することができる。ここで、テブナンの定理により、電気回路において、負荷抵抗とその他の抵抗との値が一致した場合、負荷抵抗での消費電力が最大になる(これは、いわゆるインビーダンスの整合として広く知られている)。つまり、ケーブルなどの電気抵抗である上記その他の抵抗が装置構成により決定されている場合、負荷抵抗であるアーク抵抗を適宜変更する(電極でのギャップの数を変更する)ことにより、アーク部での消費電力を極大化できることになる。
【0009】
破砕装置においては、操作性を向上させるために比較的長いケーブルが必要とされる。そのため、上記その他の抵抗は比較的大きくなる(負荷としてのアーク部以外のインピーダンスは比較的大きくなる)。このため、インピーダンスの整合の為にはアーク抵抗をある程度大きくする必要がある。
【0010】
なお、アークの電気的な特性としては、(1)アークに流れる電流値を大きくしてもアーク部での電圧はほぼ一定になること、(2)アークを発生させる場所でのギャップ(電極間の距離)を大きくしてもアーク部での電圧はほぼ一定になること、が知られている。上記特性(1)の理由としては、以下のようなものが推定される。すなわち、アークに流れる電流値を大きくするとアークプラズマの温度が上昇する。このためアークプラズマの導電率が増加するためにアーク部での電気抵抗が小さくなる。この結果、アーク部での電圧はあまり変化しないと考えられる。また、上記特性(2)の理由は明確ではないが、実験的に確認されている。このように、従来はアーク部での抵抗(アーク抵抗)を大きくすることは一般に困難であると考えられていた。そこで、発明者は、すでに述べたように電極において発生するアークの数を増やす(アークの発生するギャップの数を増やす)ことにより、電極での放電抵抗全体の値を大きくすることで、破砕に用いるエネルギーを大きくすることを提案している。
【0011】
そして、破砕に用いるエネルギー(アーク部で消費されるエネルギー)を極大化するためには、上述のように負荷抵抗であるアーク抵抗の値と、ケーブルなどの他の抵抗の値とをほぼ等しくすればよい。しかし、発明者の研究によれば、上記アーク抵抗の値を考える場合には、破砕を行なう際の電極におけるアークの発生状況を考慮する必要がある事がわかった。
【0012】
すなわち、破砕を行なうため電極に電流を供給し始めた時(通電開始時)には、電極において発生するアークプラズマの温度はまだ充分高くなっていない。このため、アークにおける抵抗の初期値は相対的に大きくなると考えられる。そして、電極に対して電流の供給を続けると、アークプラズマの温度は上昇するため、アーク抵抗は初期値より小さくなると考えられる。
【0013】
上記のようなアーク抵抗値の変化は通電開始後極めて短時間に発生し、また、破砕を行なう際の電圧の測定は難しいことから、上記アーク抵抗値の変化を実測することは困難である。そのため、アーク抵抗の値は破砕装置での全体通電波形から推定することになる。
【0014】
しかし、このような通電波形から推定されたアーク抵抗値は、破砕を行なう際の通電時間全体についての平均値となる。この平均値は、上記アークプラズマの温度が充分高くなった後の抵抗値をも含んだ状態に基づいて決定されている。このため、上記平均値は、アーク抵抗の初期値より小さな値となっていると考えられる。
【0015】
また、破砕対象物を破砕するエネルギーは、通電開始直後にその大部分が発生していると考えられる。つまり、実際に破砕に寄与するアークプラズマにおけるアーク抵抗は、上記平均値より大きくなっていると推定される。
【0016】
このため、アーク部で消費されるエネルギーを極大化するために、アーク抵抗の上記平均値を基礎データとして、負荷抵抗としてのアーク抵抗の値と他の部分の抵抗値とをほぼ一致するように電極でのギャップの数を設定すると、放電開始直後ではアーク抵抗の値と他の部分の抵抗値とが異なった状態となると考えられる。この場合、アーク部で消費されるエネルギー(破砕のためのエネルギー)を極大化できない。
【0017】
そこで、電極でのギャップの数を、上記アーク抵抗の平均値を基礎として決定したギャップ数より少なくしておけば、破砕に寄与するエネルギーの大部分が発生している通電開始直後において、アーク抵抗値を他の部分の抵抗値とほぼ等しくすることが可能である。この結果、通電開始直後において、破砕のためのエネルギーを極大化することができる。
【0018】
発明者の上記のような知見に基づいて、この発明による破砕装置用電極の製造方法は、複数の放電を発生させることにより破砕対象物を破砕する破砕装置用電極の製造方法であって、破砕装置用電極において発生する放電部での抵抗値と、破砕装置用電極において放電を発生させた際に放電部にて消費されるエネルギーとの関係を求める工程と、放電部での抵抗値と消費されるエネルギーとの関係に基づいて、消費されるエネルギーが最大となる放電部での抵抗値を暫定抵抗値とする工程と、暫定抵抗値を、1つの放電が発生した場合の放電部での抵抗値で割ることにより、暫定放電数を算出する工程と、暫定放電数より少ない数を、破砕装置用電極において形成されるべき放電部の数として決定する工程とを備える。
【0019】
このようにすれば、破砕装置用電極に通電を開始した直後において、放電部における抵抗値(負荷抵抗値)を、破砕装置における他の部分の抵抗値とほぼ等しくすることができる。この結果、通電を開始した直後において放電により消費されるエネルギー(すなわち破砕に用いられるエネルギー)を最大化できる。
【0020】
この発明による破砕装置用電極の製造方法では、破砕装置用電極が、中心軸に沿って延在し、外周面を有する中心導電体と、中心導電体の外周面上に配置された絶縁部材と、絶縁部材を囲むように配置された外周導電体とを備えていてもよい。外周導電体は、第1の導電体と、第1の導電体とは中心軸の延びる方向において間隙を隔てて配置された第2の導電体とを含んでいてもよく、破砕装置用電極において形成されるべき放電部は第1の導電体と第2の導電体との間に位置する間隙を含んでいてもよい。
【0021】
この場合、同軸電極タイプの破砕装置用電極において、破砕に用いられるエネルギーを極大化することができる。
【0022】
この発明による破砕装置用電極の製造方法では、破砕装置用電極が、ある方向に延在する一方線状導電体と、一方線状導電体の延びる方向と同じ方向に延在し、一方線状導電体と誘電体を介して対向する他方線状導電体とを備えていてもよい。他方線状導電体は、第1の導電体と、第1の導電体とは一方線状導電体の延びる方向において間隙を隔てて配置された第2の導電体とを含んでいてもよい。破砕装置用電極において形成されるべき放電部は第1の導電体と第2の導電体との間に位置する間隙を含んでいてもよい。
【0023】
この場合、線状導電体を用いた破砕装置用電極において、破砕に用いられるエネルギーを極大化することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0025】
図1は、本発明による破砕装置用電極およびその破砕装置用電極を用いた破砕装置の構成を説明するための模式図である。図2は、図1に示した破砕装置用電極の先端部を示す部分拡大模式図である。図1および2を参照して、本発明による破砕装置用電極および破砕装置を説明する。
【0026】
図1および2を参照して、本発明による破砕装置は、同軸電極1とパルスパワー源6と電極9と同軸ケーブル5とを備える。パルスパワー源6はコンデンサ8、スイッチ7などを含む回路からなる。パルスパワー源6には電源9が接続されている。パルスパワー源6の回路は接地されている。破砕装置用電極である同軸電極1はパルスパワー源6と同軸ケーブル5により接続されている。同軸電極1は、中心軸に沿って延在する中心導電体としての中心電極12と、この中心電極12の外周面上に配置された絶縁部材としての絶縁体13と、この絶縁体13の外周面上に配置された外周導電体としての外周電極15とを備える。
【0027】
同軸電極1は、岩石などの破砕対象物2に形成された下孔10の内部に挿入されている。下孔10の内部には電解液としての水11が配置されている。同軸電極1の先端部16では、中心電極12の端部が突出している。外周電極15は、先端部16側に位置する第1の導電体としての外周電極部分14aと、この外周電極部分14aと中心軸の延びる方向において間隔を隔てて配置された第2の導電体としての外周電極部分14bとを含む。
【0028】
そして、パルスパワー源6のスイッチ7が閉じられたときにコンデンサ8に蓄えられた電荷が同軸電極1に導入されると、中心電極12の端部と外周電極部分14aとの間のギャップ17aで第1の放電が発生し、アーク20が形成される。そして、外周電極部分14aと外周電極部分14bとの間のギャップ17bにおいても放電が発生し、もう1つのアーク20が形成される。
【0029】
このようにすれば、破砕装置用電極としての同軸電極1に電流が供給され、中心電極12と外周電極15との間に上記電流が流れる場合、上述のように2つのアーク20を形成できる。ここで、図1および2に示した同軸電極1は外周電極15が第1の導電体としての外周電極部分14aおよび第2の導電体としての外周電極部分14bという2つの導電体を含む場合を示しているが、外周電極15は、外周電極部分14a、14bと間隙を隔てて第3の外周電極部分(第3の導電体)、第4の外周電極部分(第4の導電体)、あるいはさらに多数の外周電極部分を含んでいてもよい。この結果、より多くの(複数の)アークを形成できる。つまり、図1および2に示した破砕装置においては、外周電極部分の数を増やすことで複数の放電を発生させることができる。このように放電が発生する箇所の数を複数とすることにより、同軸電極1に供給される電流値を一定にした場合において、放電抵抗を増加させることができる。既に述べたように、放電により消費されるエネルギーは(同軸電極1に供給される電流値の2乗)×(放電抵抗)に比例するので、放電により消費されるエネルギー(つまり、破砕に利用されるエネルギー)を、放電が1箇所のみで発生していた従来の電極を使用した場合より確実に大きくできる。なお、外周電極部分の数は必要な放電の発生個所の数に合わせて変更することができる。
【0030】
ここで、同軸電極1における放電の発生箇所(ギャップ17a、17b)の数は、以下のようにして決定することができる。
【0031】
図3は、同軸電極1の製造方法であって、同軸電極1におけるギャップ数を決定する方法を説明するためのフローチャートを示す図である。図3を参照して、同軸電極1におけるギャップ数を決定する工程を説明する。
【0032】
図3を参照して、まず図1および2に示した破砕装置において、電極のアーク部で消費されるエネルギーとアーク部での抵抗値との関係を求める工程(S10)を実施する。具体的には、図1に示した破砕装置を、図4に示すような等価回路として表現する。図4は、図1に示した破砕装置の等価回路を示す図である。
【0033】
図4を参照して、コンデンサC1は図1におけるコンデンサ8のキャパシタンスを表す。図4の抵抗R1は、図1のパルスパワー源6におけるコンデンサバンクの内部抵抗を表わす。図4のインダクタL2は、コンデンサバンクと同軸ケーブル5のインダクタンスを表わす。図4の抵抗R2は破砕装置におけるケーブルの電気抵抗を表わす。キャパシタC2は図1に示した破砕装置のケーブルのキャパシタンスを表わす。図4の抵抗R3は、同軸電極1の抵抗を表わす。図4のインダクタL1は同軸電極1のインダクタンスを表わす。図4の抵抗R4が負荷抵抗としてのアーク部における抵抗(アーク抵抗)を表わす。
【0034】
図4に示したような等価回路において、パルスパワー源6のコンデンサ8に対応するコンデンサC1に所定の電圧を印加して充電した状態から放電する状況をシミュレーションにより求める。この放電時に抵抗R4において消費される電力量(エネルギー量)を算出する。
【0035】
そして、抵抗R4における抵抗値を変化させた状態で上述の放電状況をシミュレートすることにより、アーク部での消費電力を求める。この結果、抵抗R4における抵抗値とこの抵抗R4(アーク部)において消費される電力量との関係を求めることができる。
【0036】
次に、図3に示すように、消費されるエネルギーが最大となるアーク部での最適抵抗値を求める工程(S20)を実施する。この最適抵抗値は、上述の工程(S10)で求めた、アーク部で消費されるエネルギーとアーク部での抵抗値との関係から容易に求めることができる。
【0037】
次に、1つのアークが発生した場合におけるアーク部の抵抗(単位抵抗)の値により、上述の最適抵抗値を割ることにより、計算上の最適アーク数を求める工程(S30)を実施する。この結果、見かけ上の最適アーク数(ギャップ数)を求めることができる。
【0038】
次に、電極でのギャップ数を決定する工程(S40)を実施する。このギャップ数を決定する工程(S40)においては、上述の最適アーク数よりも小さな値をギャップ数として決定する。
【0039】
このようにして求めた電極のギャップ数に基づいて同軸電極1におけるギャップを形成する。このようにすれば、同軸電極1に通電を開始した直後において、同軸電極1のアーク部において消費されるエネルギーを最大化することができる。なお、図1に示した同軸電極では2つのギャップが形成されている。
【0040】
【実施例】
上述のギャップ数を決定する方法を用いて、実際に電極における最適なギャップ数を求めた。なお、破砕装置を示す等価回路の抵抗R1〜R3、インダクタL1、L2およびコンデンサC1、C2のそれぞれの抵抗、インダクタンス、キャパシタンスの値としては、以下のような値を用いた。すなわち、抵抗R1の抵抗値として6mΩ、抵抗R2の抵抗値として14.2mΩ、抵抗R3の抵抗値として1.7mΩ、インダクタL1のインダクタンス値として1μH、インダクタL2のインダクタンス値として2μH、キャパシタC1のキャパシタンス値として2mF、キャパシタC2のキャパシタンス値として2.2nFという値を用いた。
【0041】
そして、アーク抵抗に対応する抵抗R4の抵抗値をさまざまな値に変化させた状態で、キャパシタC1を16kVという電圧で充電した状態からの放電状態をシミュレーションにより求めた。そして、この放電時に抵抗R4において消費される電力を算出した。その結果を図5に示す。このようにして、図3のアーク部で消費されるエネルギーとアーク部での抵抗値との関係を求める工程(S10)を実施する。
【0042】
図5は、電極でのアーク部にて消費されるエネルギー(ピークパワー)と、アーク部での抵抗値(負荷抵抗)との関係を表示するグラフを示す図である。図5においては、図4に示した回路の全回路インダクタンスが2μH、3μH、4μHという3つのケースについて、それぞれ負荷抵抗とピークパワーとの関係を示している。
【0043】
図5からもわかるように、全回路インダクタンスを2〜4μHと変化させても、負荷抵抗の値がおよそ40〜50mΩといった値のときに消費電力(ピークパワー)が最も大きくなっていることがわかる。図5により、消費されるエネルギーが最大となるアーク部での最適抵抗値をたとえば50mΩと決定する。このようにして消費されるエネルギーが最大となるアーク部での最適抵抗値を求める工程(S20)を実施する。なお、図5に示すように、負荷抵抗の値が40mΩを超えた領域においては、負荷抵抗の値が大きくなってもピークパワーの値が急激に減少するということはない。
【0044】
次に、計算上の最適アーク数を求める工程(S30)を実施する。具体的には、1つのギャップ当りの負荷抵抗値により最適抵抗値を割るという計算を行なう。ここで、1つのギャップ当りの負荷抵抗値は10mΩと推定される。このため、最適アーク数は50÷10=5となる。
【0045】
次に、電極でのギャップ数を決定する工程(S40)を実施する。すなわち、上述の計算により求めた最適アーク数よりも小さな数をギャップ数として決定する。ここでは、ギャップ数を最適アーク数より小さい4に決定する。
【0046】
このようにして、最適ギャップ数が4として決定された場合、破砕装置の電極としてたとえば図6に示すような電極の構造を採用することができる。図6は、最適ギャップ数が4の場合の本発明による破砕装置用電極を示す模式図である。
【0047】
図6を参照して、破砕装置用電極としての同軸電極1は、基本的には図1に示した同軸電極と同様の構造を備えるが、外周電極15の構造が異なる。すなわち、図6に示した同軸電極1において、外周電極15は、この同軸電極1の先端部側に位置する外周電極部分14aと、この外周電極部分14aと中心軸の延びる方向において間隙を隔てて配置された第2の導電体としての外周電極部分14bと、この外周電極部分14bと間隙を隔てて配置された外周電極部分14cと、この外周電極部分14cと間隙を隔てて配置された外周電極部分14dとを備える。この結果、同軸電極1の先端部に位置する中心電極12と外周電極部分14aとの間にギャップ17aが形成される。そして、外周電極部分14aと外周電極部分14bとの間にギャップ17bが形成される。また、外周電極部分17bと外周電極部分14cとの間にギャップ17cが形成される。さらに、外周電極部分14cと外周電極部分14dとの間にギャップ17dが形成される。この同軸電極1に電流を供給することにより、ギャップ17a〜17dにおいてそれぞれ放電が発生することによりアークが形成される。
【0048】
また、上述のようにギャップ数が4となる電極の他の形態としては、図7に示すような電極の構造を採用してもよい。図7は、最適ギャップ数が4である場合の本発明による破砕装置用電極の他の例を示す模式図である。図7を参照して、本発明による破砕装置用電極の他の例を説明する。
【0049】
図7を参照して、破砕装置用電極としての電極23は、ある方向に延在する一方ケーブル19と、この一方線上導電体としての一方ケーブル19が延びる方向と同じ方向に延在する他方ケーブル22およびケーブル部分21a〜21cと、この一方ケーブル19と他方ケーブル22およびケーブル部分21a〜21cとを固定するための固定部材18a〜18gとを備える。一方ケーブル19、他方ケーブル22およびケーブル部分21a〜21cは、導電体を絶縁体で被覆した単芯絶縁電線を用いて構成される。絶縁体としては、たとえばプラスチック、ゴム、ビニール、絶縁性の樹脂などの誘電体を用いることができる。また、単芯絶縁電線の導電体としては銅、銀、アルミニウムおよび鉄などの電気導電性を有する金属を用いることができる。
【0050】
また、固定部材18a〜18gを構成する材料としては、電極23において放電を発生させることにより破砕対象物2を破砕する工程の前後において、一方ケーブル19と他方ケーブル22およびケーブル部分21a〜21cを保持することが可能なように十分大きな強度を有する材料が選択される。固定部材18a〜18gの材料としては、たとえばガラスなどの繊維を用いた強化繊維テープ、フッ素樹脂などを用いた絶縁体を絶縁テープ、金属線や金属テープなどを用いることができる。なお金属線や金属テープについては、絶縁体を被覆したものを用いることが好ましい。
【0051】
図7に示した電極23においては、この電極23の先端部において一方ケーブル19の先端部とケーブル部分21aの一方端部との間にギャップ17aが形成される。そして、ケーブル部分21aの他方端部とケーブル部分21bの一方端部との間にギャップ17bが形成される。また、ケーブル部分21bの他方端部とケーブル部分21cの一方端部との間にギャップ17cが形成される。さらに、ケーブル部分21cの他方端部と他方ケーブル22の一方端部との間にギャップ17dが形成される。この電極23に電流を供給することにより、ギャップ17a〜17dのそれぞれにおいてアークが発生する。
【0052】
そして、図6および7に示した電極を用いれば、アーク部での抵抗値を最適化することにより、アーク部で消費されるエネルギー(破砕に用いられるエネルギー)を大きくすることができる。
【0053】
なお、電極でのアーク部の抵抗値は、電極に電流の供給を開始した直後から、アークプラズマの温度が上昇するにつれて徐々に小さくなる。そのため、図5に示したグラフを参照して、アークプラズマの温度が充分上昇した状態でのアーク部の抵抗(負荷抵抗)の値がたとえば40〜20mΩとなる一方、電極に電流の供給を開始した直後の負荷抵抗の値が50mΩ以上となるように、電極のギャップ数などの構成を設定することが好ましい。このようにすれば、アークプラズマの温度上昇に伴って負荷抵抗の値が徐々に小さくなる際、ピークパワーが最も大きくなる状態を作ることができる。
【0054】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0055】
【発明の効果】
このように、本発明によれば、破砕装置用電極におけるギャップ数を最適化できるので、破砕に用いるエネルギーを極大化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による破砕装置用電極およびその破砕装置用電極を用いた破砕装置の構成を説明するための模式図である。
【図2】 図1に示した破砕装置用電極の先端部を示す部分拡大模式図である。
【図3】 同軸電極の製造方法であって、同軸電極におけるギャップ数を決定する方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図4】 図1に示した破砕装置の等価回路を示す図である。
【図5】 電極でのアーク部にて消費されるエネルギー(ピークパワー)と、アーク部での抵抗値(負荷抵抗)との関係を表示するグラフを示す図である。
【図6】 最適ギャップ数が4の場合の本発明による破砕装置用電極を示す模式図である。
【図7】 最適ギャップ数が4である場合の本発明による破砕装置用電極の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 同軸電極、2 破砕対象物、5 同軸ケーブル、6 パルスパワー源、7スイッチ、8 コンデンサ、9 電源、10 下孔、11 水、12 中心電極、13 絶縁体、14a〜14d 外周電極部分、15 外周電極、16 先端部、17a〜17d ギャップ、18a〜18g 固定部材、19 一方ケーブル、20 アーク、21a〜21c ケーブル部分、22 他方ケーブル、23 電極。

Claims (3)

  1. 複数の放電を発生させることにより破砕対象物を破砕する破砕装置用電極の製造方法であって、
    破砕装置用電極において発生する放電部での抵抗値と、前記破砕装置用電極において放電を発生させた際に前記放電部にて消費されるエネルギーとの関係を求める工程と、
    前記放電部での抵抗値と前記消費されるエネルギーとの関係に基づいて、前記消費されるエネルギーが最大となる放電部での抵抗値を暫定抵抗値とする工程と、
    前記暫定抵抗値を、1つの放電が発生した場合の放電部での抵抗値で割ることにより、暫定放電数を算出する工程と、
    前記暫定放電数より少ない数を、破砕装置用電極において形成されるべき放電部の数として決定する工程とを備える、破砕装置用電極の製造方法。
  2. 前記破砕装置用電極は、
    中心軸に沿って延在し、外周面を有する中心導電体と、
    前記中心導電体の外周面上に配置された絶縁部材と、
    前記絶縁部材を囲むように配置された外周導電体とを備え、
    前記外周導電体は、
    第1の導電体と、
    前記第1の導電体とは前記中心軸の延びる方向において間隙を隔てて配置された第2の導電体とを含み、
    前記破砕装置用電極において形成されるべき放電部は前記第1の導電体と前記第2の導電体との間に位置する間隙を含む、請求項1に記載の破砕装置用電極の製造方法。
  3. 前記破砕装置用電極は、
    ある方向に延在する一方線状導電体と、
    前記一方線状導電体の延びる方向と同じ方向に延在し、前記一方線状導電体と誘電体を介して対向する他方線状導電体とを備え、
    前記他方線状導電体は、
    第1の導電体と、
    前記第1の導電体とは前記一方線状導電体の延びる方向において間隙を隔てて配置された第2の導電体とを含み、
    前記破砕装置用電極において形成されるべき放電部は前記第1の導電体と前記第2の導電体との間に位置する間隙を含む、請求項1に記載の破砕装置用電極の製造方法。
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