JP2002309882A - 破砕装置用電極および破砕装置 - Google Patents

破砕装置用電極および破砕装置

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JP2002309882A
JP2002309882A JP2001118050A JP2001118050A JP2002309882A JP 2002309882 A JP2002309882 A JP 2002309882A JP 2001118050 A JP2001118050 A JP 2001118050A JP 2001118050 A JP2001118050 A JP 2001118050A JP 2002309882 A JP2002309882 A JP 2002309882A
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Japan
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electrode
crushing device
silver
coaxial
crushing
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JP2001118050A
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English (en)
Inventor
Toru Okazaki
徹 岡崎
Ryosuke Hata
良輔 畑
Kohei Furukawa
晃平 古川
Yoshikatsu Takegaki
喜勝 竹垣
Noriaki Yoshihara
則秋 吉原
Youichi Sakuhara
陽一 作原
Kunihei Hayashi
国平 林
Kazuhiro Fujiwara
一博 藤原
Yukio Kakiuchi
幸雄 垣内
Shigeo Kitahara
成郎 北原
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Kumagai Gumi Co Ltd
Okumura Engineering Corp
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Kumagai Gumi Co Ltd
Okumura Engineering Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長寿命化を図ることができると共に、投入さ
れる電力を有効に利用することが可能な破砕装置用電極
および破砕装置を提供する。 【解決手段】 破砕装置用電極は、放電を発生させ、正
極12と負極14とを備える破砕装置用電極であって、
正極12と負極14との少なくともいずれか一方が金、
銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジ
ウム、およびこれらの合金からなる群から選択される少
なくとも1つからなる電極部材を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、破砕装置用電極
および破砕装置に関し、より特定的には、電極に投入さ
れるエネルギーを有効に利用できるとともに、電極の長
寿命化を図ることが可能な破砕装置用電極および破砕装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】岩石などを破壊するための従来の破砕方
法としては、たとえば以下の様な方法が知られている。
まず、破砕対象物である岩石に下孔を形成して、この下
孔に水などの電解液を注入する。さらにこの下孔に同軸
電極を挿入して、この同軸電極にパルスパワー源から大
電流を投入することにより、下孔の内部で放電を起こ
す。このとき、同軸電極の先端付近の電解液が放電エネ
ルギーによってプラズマ化することにより、圧力波が発
生する。この圧力波により、同軸電極の周囲の岩石など
を破壊する。
【0003】このような破砕方法において用いられる同
軸電極は、岩石の破砕の際に大きな衝撃を受け、さらに
くり返し使用に耐え得るような高い耐久性が要求され
る。このような高い耐久性を備える同軸電極として、た
とえば、特表平11−500799号公報では、破砕の
際の同軸電極に対する衝撃を減衰・吸収するためのコイ
ルなどを用いた緩衝手段を備える同軸電極を含むプロー
ブ装置が開示されている。この特表平11−50079
9号公報において開示されている同軸電極では、電極材
料として銅、黄銅または鋼などを用いることが開示され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、発明者が検討
した結果、上述した特表平11−500799号公報に
開示された同軸電極には、以下に示すような問題があっ
た。
【0005】すなわち、上述した従来の同軸電極では、
たとえば正極の材料として銅や鋼など上述の材料を用い
る場合、同軸電極に大電流を投入して放電を発生させる
際に、電極を構成する銅などがこの放電に伴って部分的
に蒸発することにより、電極が損耗していた。このた
め、放電をある程度繰返すと、電極の損耗が激しくなる
ため、同軸電極を新しい電極と交換する必要があった。
つまり、同軸電極の寿命が短くなっていた。このように
同軸電極の寿命が短いと、頻繁に同軸電極を交換する必
要があるため、破砕作業のランニングコストが上昇す
る。また、破砕作業自体も同軸電極の交換作業のため中
断するので、破砕作業の作業能率も低下するという問題
があった。
【0006】また、放電により電極を構成する銅などが
蒸発するということは、同軸電極に投入される電力の一
部が、電極を構成する銅などの蒸発や化学反応のために
消費されることを意味する。この結果、同軸電極への投
入電力のうち、岩石などの破砕に有効に利用された電力
量は相対的に小さくなる。つまり、破砕作業において同
軸電極へ投入される電力を、岩石などの破砕に有効に利
用できないという問題があった。
【0007】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたものであり、この発明の目的は、長寿命
化を図ることができると共に、投入される電力を有効に
利用することが可能な破砕装置用電極および破砕装置を
提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者は、破砕装置用の
電極を構成する材料として、さまざまな材料を用いて実
験・研究を行ない、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、破砕装置用電極の電極の材料として、銅や鋼をはじ
め、銀、金、イリジウムやパラジウムといった貴金属、
銀タングステンといった合金などを用いて破砕実験を行
ない、電極の損耗状況および破砕に有効に利用されてい
る電力量を調査した。この結果、金、銀や銀合金のよう
な貴金属およびその合金からなる電極を用いた場合、電
極の損耗が少なく、かつ、破砕に利用される電力量が大
きくなることを見出した。これは、これら貴金属の標準
電極電位が銅や鉄よりも高いことに起因していると考え
られる。なお、標準電極電位は、金において1.5V、
銀において0.8V、銅において0.3V、鉄において
−0.4Vである。このように銅や鉄などより標準電極
電位が高い金属としては、他に白金(Pt)、イリジウ
ム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、
パラジウム(Pd)が挙げられる。また、これらの金属
はいずれも高価であるため、コストと効果とを考え合わ
せると、銀からなる電極を用いた場合が特に良好と考え
られる。
【0009】発明者のこのような知見に基づいて、この
発明の1の局面における破砕装置用電極は、放電を発生
させ、正極と負極とを備える破砕装置用電極であって、
正極と負極との少なくともいずれか一方が金(Au)、
銀(Ag)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ロジ
ウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(P
d)、およびこれらの合金からなる群から選択される少
なくとも1つからなる電極部材を含む。
【0010】このようにすれば、従来の銅や鋼からなる
電極を破砕装置用電極の正極または負極に用いる場合よ
り、破砕装置用電極の放電時の損耗を小さくすることが
できる。このため、破砕装置用電極の長寿命化を図るこ
とができる。この結果、破砕作業のランニングコストを
抑制することができると共に、破砕装置における電極の
交換頻度を従来より少なくできるので、破砕作業の作業
能率を向上させることができる。
【0011】また、本発明によれば、破砕装置用電極に
投入される電力のうち、岩石などの破砕に有効に利用さ
れる電力量を従来より大きくできる。したがって、破砕
装置用電極に投入される電力を従来より有効に利用でき
る。
【0012】上記1の局面における破砕装置用電極で
は、正極と負極との少なくともいずれか一方が、破砕装
置用電極において放電を発生させる一方端部に位置する
電極部材と、電極部材に連結された基材とを含むことが
好ましい。
【0013】この場合、放電を発生させる一方端部に
金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パ
ラジウム、およびこれらの合金からなる群から選択され
る少なくとも1つからなる電極部材を配置することによ
り、放電の際の電極の損耗を抑制できるとともに、放電
が発生する領域と直接対向しない電極の部分について
は、金や銀などのいわゆる貴金属とは異なる材料からな
る基材を用いることで、高価な金や銀などの貴金属の使
用量を低減できる。この結果、破砕装置用電極の製造コ
ストを低減できる。
【0014】上記1の局面における破砕装置用電極で
は、電極部材が基材に着脱可能に取付けられていること
が好ましい。
【0015】この場合、電極部材が放電やその他の衝撃
により損耗あるいは欠損したような際、損傷を受けた電
極部材を基材から取外し、新しい電極部材を基材に取付
けることができる(電極部材のみを交換できる)。した
がって、電極全体を交換する場合より、破砕装置用電極
の保守作業を容易かつ迅速に行なうことができる。
【0016】上記1の局面における破砕装置用電極で
は、正極が中心軸に沿って延在するとともに外周面を有
していてもよい。さらに、上記1の局面における破砕装
置用電極は上記正極の外周面上に正極を囲むように配置
された誘電体を備えていてもよい。負極は誘電体を囲む
ように配置されていてもよい。
【0017】この場合、本発明による破砕装置用電極を
いわゆる同軸電極とすることができる。このような同軸
電極は、従来の破砕装置に用いられているので、本発明
による破砕装置用電極を、従来の破砕装置に組込むこと
が可能になる。この結果、従来の破砕装置に本発明によ
る破砕装置用電極を適用することにより、容易に本発明
による破砕装置を実現できる。
【0018】上記1の局面における破砕装置用電極で
は、電極部材の外周面上に位置する保護部材を含んでい
てもよい。
【0019】ここで、金や銀などの貴金属の強度は従来
電極として用いられていた鋼などの強度より相対的に低
い。このため、本発明による破砕装置用電極を組込んだ
破砕装置の使用中に、金、銀、白金、イリジウム、ロジ
ウム、ルテニウム、パラジウム、およびこれらの合金か
らなる群から選択される少なくとも1つからなる電極部
材が破砕対象物である岩石などに接触して変形する、あ
るいは折損するといった事故が起きる可能性がある。し
かし、上述のように電極部材の外周面上に保護部材を配
置すれば、破砕装置用電極と岩石などとが接触する場
合、電極部材より先に保護部材が岩石などと接触するこ
とになる。したがって、岩石などと電極部材とが直接接
触することを防止できる。この結果、電極部材が岩石な
どと接触して変形するといった事故の発生を防止でき
る。
【0020】この発明の別の局面における破砕装置用電
極は、放電を発生させ、正極と負極とを備える破砕装置
用電極であって、正極と負極との少なくともいずれか一
方が金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウ
ム、パラジウム、およびこれらの合金からなる群から選
択される少なくとも1つを含む。さらに、上記別の局面
における破砕装置用電極は、破砕装置用電極の放電を発
生させる一方端部に配置された保護部材を備える。
【0021】このようにすれば、従来の銅や鋼からなる
電極を破砕装置用電極の正極または負極に用いる場合よ
り、電極として金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、
ルテニウム、パラジウム、およびこれらの合金からなる
群から選択される少なくとも1つを含む材料を用いるこ
とにより破砕装置用電極の放電時の損耗を小さくするこ
とができる。このため、破砕装置用電極の長寿命化を図
ることができる。この結果、破砕作業のランニングコス
トを抑制することができると共に、破砕装置における電
極の交換頻度を従来より少なくできるので、破砕作業の
作業能率を向上させることができる。なお、正極または
負極の材料として銀または銀合金を用いることが特に好
ましい。
【0022】また、本発明によれば、破砕装置用電極に
投入される電力のうち、岩石などの破砕に有効に利用さ
れる電力量を従来より大きくできる。したがって、破砕
装置用電極に投入される電力を従来より有効に利用でき
る。
【0023】また、正極又は負極を構成する金、銀、白
金などの貴金属およびそれらの合金を含む材料の強度
は、従来電極として用いられていた鋼などの強度より相
対的に低い。このため、本発明による破砕装置用電極を
組込んだ破砕装置の使用中に、金や銀などの貴金属また
はこれらの合金を含む正極又は負極が破砕対象物である
岩石などに接触して変形するといった事故が起きる可能
性がある。しかし、上述のように破砕装置用電極の一方
端部に保護部材を配置すれば、放電を発生させる領域に
おいて破砕装置用電極と岩石などとが接触する場合、正
極又は負極より先に保護部材が岩石などと接触すること
になる。したがって、岩石などと正極又は負極とが直接
接触することを防止できる。この結果、破砕装置用電極
が岩石などと接触して変形するといった事故の発生を防
止できる。
【0024】上記別の局面における破砕装置用電極で
は、正極と負極との少なくともいずれか一方が、破砕装
置用電極において放電を発生させる一方端部に位置し、
金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パ
ラジウム、およびこれらの合金からなる群から選択され
る少なくとも1つを含む電極部材と、電極部材に連結さ
れた基材とを含むことが好ましい。
【0025】この場合、放電を発生させる一方端部に金
や銀などの貴金属またはこれらの合金を含む電極部材を
配置することにより、放電の際の電極(正極又は負極)
の損耗を抑制できる。同時に、放電が発生する領域と直
接対向しない正極又は負極の部分については、金や銀な
どの貴金属およびこれらの合金とは異なる材料からなる
基材を用いることで、高価な金や銀などの貴金属の使用
量を低減できる。この結果、破砕装置用電極の製造コス
トを低減できる。
【0026】上記別の局面における破砕装置用電極で
は、電極部材が金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、
ルテニウム、パラジウム、およびこれらの合金からなる
群から選択される少なくとも1つからなることが好まし
い。さらに、上記1の局面または別の局面における破砕
装置用電極では、電極部材が銀および銀合金からなる群
から選択される1つからなることが好ましい。また、上
記1の局面または別の局面における破砕装置用電極で
は、より好ましくは電極部材が銀からなる。
【0027】この場合、放電に対する耐久性という点で
は銀からなる電極がもっとも優れていることから、破砕
装置用電極をより長寿命化できる。また、破砕装置用電
極に投入される電力のうち、電極を構成する材料の蒸発
により消費される電力量をより少なくできる。したがっ
て、破砕装置用電極に投入される電力をより有効に利用
できる。
【0028】上記別の局面における破砕装置用電極で
は、電極部材が基材に着脱可能に取付けられていてもよ
い。
【0029】この場合、電極部材が放電やその他の衝撃
により損耗あるいは欠損したような際、損傷を受けた電
極部材を基材から取外し、新しい電極部材を基材に取付
けることができる。したがって、電極全体を交換する場
合より、破砕装置用電極の保守作業を容易かつ迅速に行
なうことができる。
【0030】上記別の局面における破砕装置用電極で
は、正極が中心軸に沿って延在するとともに外周面を有
していてもよい。さらに、上記別の局面における破砕装
置用電極は、上記正極の外周面上に正極を囲むように配
置された誘電体を備えていてもよい。負極は誘電体を囲
むように配置されていてもよい。保護部材は、破砕装置
用電極の一方端部において負極の外周面上に配置されて
いてもよい。
【0031】この場合、本発明による破砕装置用電極を
いわゆる同軸電極とすることができる。このような同軸
電極は、従来の破砕装置に容易に設置することができ
る。この結果、従来の破砕装置に本発明による破砕装置
用電極を適用することにより、容易に本発明による破砕
装置を実現できる。
【0032】この発明の他の局面における破砕装置は、
上記1の局面または別の局面における破砕装置用電極を
備える。
【0033】このように、長寿命化された本発明による
破砕装置用電極を用いることにより、破砕装置を運用す
る際の電極の交換作業に要する時間を削減できる。ま
た、本発明による破砕装置用電極は投入電力の利用効率
が高いことから、同じ投入電力でもより大規模な破砕を
行なうことが可能となる。したがって、作業効率を向上
させることが可能な破砕装置を実現できる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一ま
たは相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明
は繰返さない。
【0035】(実施の形態1)図1は、本発明による同
軸電極およびその同軸電極を用いた破砕装置の実施の形
態1を説明するための模式図である。図2は、図1に示
した同軸電極の先端部を示す部分拡大斜視模式図であ
る。図3は、図1に示した同軸電極の先端部を示す断面
模式図である。図1〜3を参照して、本発明による同軸
電極および破砕装置の実施の形態1を説明する。
【0036】図1〜3を参照して、本発明による破砕装
置は、破砕装置用電極である同軸電極1とパルスパワー
源6と電源9と同軸ケーブル5とを備える。パルスパワ
ー源6はコンデンサ8、スイッチ7などを含む回路から
なる。パルスパワー源6には電源9が接続されている。
パルスパワー源6の回路は接地されている。同軸電極1
はパルスパワー源6と同軸ケーブル5により接続されて
いる。
【0037】同軸電極1は、中心軸に沿って延在する中
心電極12と、この中心電極12の外周面上に配置され
た絶縁体13と、この絶縁体13の外周面上に配置され
た外周電極14とを備える。同軸電極1において、中心
電極12は正極であって、金、銀、白金、イリジウム、
ロジウム、ルテニウム、パラジウム、およびこれらの合
金からなる群から選択される少なくとも1つを含む材料
からなる。また、外周電極14の材料としては、金や銀
などの貴金属を用いてもよいが他の導電体、たとえば鉄
や銅などの金属を用いてもよい。
【0038】このように、正極の材料として金、銀、白
金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、
およびこれらの合金からなる群から選択される少なくと
も1つを用いれば、従来の銅や鋼からなる電極を破砕装
置用電極としての同軸電極1の正極に用いる場合より、
同軸電極1の放電時の損耗を小さくすることができる。
このため、同軸電極1の長寿命化を図ることができる。
この結果、破砕作業のランニングコストを抑制すること
ができると共に、破砕装置における同軸電極1の交換頻
度を従来より少なくできるので、破砕作業の作業能率を
向上させることができる。
【0039】また、本発明によれば、同軸電極1に投入
される電力のうち、岩石などの破砕に有効に利用される
電力量を従来より大きくできる。したがって、同軸電極
1に投入される電力を従来より有効に利用できる。この
ため、同じ投入電力でもより大規模な破砕を行なうこと
ができるので、破砕作業の効率を向上させることができ
る。
【0040】また、図1〜3に示した本発明による破砕
装置用電極としての同軸電極1は、従来の破砕装置に容
易に組込むことができる。この結果、従来の破砕装置に
本発明による同軸電極1を適用することにより、容易に
本発明による破砕装置を実現できる。
【0041】図1〜3に示した破砕装置を用いた破砕方
法を簡単に説明する。岩石などを破砕する際、同軸電極
1は、岩石などの破砕対象物に形成された下孔10の内
部に挿入される。下孔10の内部には電解液としての水
11が配置される。パルスパワー源6のコンデンサ8に
電源9を接続することにより、コンデンサ8に電荷を蓄
積しておく。そして、パルスパワー源6のスイッチ7が
閉じられたときにコンデンサ8に蓄えられた電荷が同軸
電極1に導入されると、同軸電極1の先端部において、
中心電極12の端部と外周電極14の端部との間で放電
が発生し、アークが形成される。この結果、同軸電極1
の先端付近の水11が放電エネルギーによってプラズマ
化することにより、圧力波が発生する。この圧力波によ
り、同軸電極1の周囲の破砕対象物2を破壊できる。
【0042】図4は、図1〜3に示した同軸電極の変形
例を説明するための断面模式図である。図4は図3に対
応している。また、図5は、図4に示した本発明による
同軸電極の実施の形態1の変形例を説明するための部分
拡大斜視模式図である。図5は図2に対応している。図
4および5を参照して、本発明による同軸電極の実施の
形態1の変形例を説明する。
【0043】図4および5を参照して、同軸電極1は基
本的に図1〜3に示した破砕装置における同軸電極1と
同様の構造を備える。ただし、図4および5に示した同
軸電極1では、中心部に位置する正極が、中心導体15
と、この中心導体15の先端部に取付けられた中心電極
12とにより構成されている。中心電極12は金、銀、
白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウ
ム、およびこれらの合金からなる群から選択される少な
くとも1つからなり、同軸電極1において放電を発生さ
せる一方端部にて絶縁体13および外周電極14の端部
から突出するように配置されている。正極を構成する中
心電極12は、中心導体15の先端部に着脱可能に接続
されている。中心導体15の材料としては、上記した金
や銀などの貴金属またはこれらの合金を用いてもよい
が、貴金属以外の導電体を用いてもよい。たとえば、中
心導体15の材料として銅や鋼を用いてもよい。中心電
極12と中心導体15との接続方法としては、中心電極
12にネジ部を設け、中心導体15にネジ穴を設けて、
中心電極12のネジ部を中心導体15のネジ穴に挿入・
固定するといった方法を用いることができる。
【0044】そして、絶縁体13は、中心導体15およ
び中心電極12の外周面上に、この中心導体15と中心
電極12とを囲むように配置されている。外周電極14
は絶縁体13の外周面上に配置されている。外周電極1
4の外周面上においては、中心電極12が破砕対象物な
どと接触して損傷することを防止するための保護部材1
6が設置されている。この保護部材16を構成する材料
としては、絶縁体を用いることができる。保護部材16
の先端部と外周電極14の端面との間の距離は、中心電
極12の先端部と外周電極の端部との間の距離より大き
くなるように、保護部材16のサイズおよび形状は決定
されている(つまり、保護部材16の先端部は中心電極
12よりも突出した状態になっている)。このようにし
ても、図1〜3に示した破砕装置および同軸電極と同様
の効果を得ることができる。
【0045】また、正極である中心電極12を構成する
金や銀などの貴金属またはこれらの合金の強度は従来電
極として用いられていた鋼などの強度より相対的に低
い。このため、電極部材としての中心電極12の外周面
上に位置する領域に保護部材16を配置すれば、岩石な
どの破砕を行なう際、同軸電極1の先端部が岩石と接触
する場合、中心電極12より先に保護部材16が岩石な
どと接触することになる。したがって、岩石と中心電極
12とが直接接触することを防止できる。この結果、金
や銀などの貴金属またはこれらの合金からなる中心電極
12が岩石などと接触して変形するといった事故の発生
を防止できる。
【0046】また、同軸電極1の放電を発生させる一方
端部に金や銀などの貴金属またはその合金からなる中心
電極12を配置することにより、放電の際の電極の損耗
を抑制できるとともに、放電が発生する領域と直接対向
しない電極の部分については、貴金属とは異なる材料、
たとえば銅などからなる基材としての中心導体15を用
いることで、高価な貴金属の使用量を低減できる。この
結果、破砕装置および同軸電極の製造コストを低減でき
る。
【0047】また、中心電極12は中心導体15に着脱
可能に取付けられているので、中心電極12が放電やそ
の他の衝撃により損耗あるいは欠損したような際、損傷
を受けた中心電極12を基材としての中心導体15から
取外し、新しい中心電極12を中心導体15に取付ける
ことができる(すなわち、中心電極12のみを交換でき
る)。したがって、同軸電極1全体を交換する場合よ
り、破砕装置の保守作業を容易かつ迅速に行なうことが
できる。
【0048】(実施の形態2)図6は、本発明による同
軸電極の実施の形態2を説明するための部分断面模式図
である。また、図7は、図6に示した同軸電極の部分斜
視模式図である。図8は、図7の矢印19に示した方向
から見た同軸電極の側面模式図である。図6は図4に対
応し、図7は図5に対応する。図6〜8を参照して、本
発明による同軸電極の実施の形態2を説明する。
【0049】図6〜8を参照して、同軸電極である同軸
電極1は中心電極12と、この中心電極12の外周面上
に配置された絶縁体13と、絶縁体13の外周面上に配
置された外周導体17および外周電極18と、外周導体
17および外周電極18の外周面上に配置された保護部
材16a〜16dとを備える。中心電極12は導電体か
らなる。中心電極12の材料としては、金や銀などの貴
金属またはこれらの合金、銅や鉄といった金属を用いる
ことができる。また、外周電極18の材料としては金、
銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジ
ウム、およびこれらの合金からなる群から選択される少
なくとも1つを含む材料を用いる。外周導体17の材料
としては鉄や銅などの金属を用いることができる。外周
電極18は外周導体17に着脱可能に取付けられてい
る。保護部材16a〜16dの材料としては絶縁体を用
いることができる。保護部材16a〜16dは、同軸電
極1の外周面上においてほぼ等間隔となる位置に配置さ
れている。外周電極18および外周導体17は正極とし
て作用する。そして、中心電極12は負極として作用す
る。
【0050】このように、正極としての外周電極18に
金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パ
ラジウム、およびこれらの合金からなる群から選択され
る少なくとも1つを用いることにより、本発明の実施の
形態1による同軸電極と同様の効果を得ることができ
る。
【0051】また、図6および7に示した同軸電極1で
は、外周電極18の外周側に保護部材16a〜16dが
配置されているので、この外周電極18と破砕対象物で
ある岩石などが接触することをこの保護部材16a〜1
6dにより防止できる。このため、鋼などより相対的に
強度の低い金や銀などの貴金属またはこれらの合金によ
り構成される外周電極18が、岩石などと接触して変
形、破損するといった事故を確実に防止できる。
【0052】なお、本発明による同軸電極の実施の形態
1および2においては、正極を構成する中心電極12
(図1〜5参照)、あるいは正極を構成する外周電極1
8(図6および7参照)の材料として金や銀などの貴金
属またはこれらの合金を用いるが、好ましくは中心電極
12および外周電極18の材料として銀または銀合金を
用いる。このような銀合金としては、銀を主成分とする
合金であって、たとえば銀とパラジウムとの合金などを
用いてもよい。
【0053】この場合、銀合金における銀以外の構成材
料としては、銀のイオン化傾向と同等のイオン化傾向を
有する材料、あるいは銀よりもイオン化傾向の高い材料
(標準電極電位の高い材料)を用いることが好ましい。
このような合金成分として、たとえば白金、金などが挙
げられる。
【0054】また、銀を合金中の主要成分として(銀の
含有率を大きくして)、その他の材料の含有率を比較的
小さくするような場合には、ニッケル、マグネシウム、
銅などの銀よりイオン化傾向の低い材料を、銀合金の合
金成分として用いてもよい。なお、合金成分中の主要成
分を銀以外の貴金属(金、白金、イリジウム、ロジウ
ム、ルテニウム、パラジウムなど)にした場合でも、そ
の他の材料の含有率を比較的小さくするような場合に
は、ニッケルや銅などのイオン化傾向の低い材料をその
他の材料(合金成分)として用いてもよい。
【0055】なお、ここで銀合金とは、銀を主成分と
し、銀以外の合金成分として金属のみではなく、非金属
元素をも含む材料を包含する。また、主要成分が貴金属
の合金とは、貴金属を主成分として、貴金属以外の合金
成分として金属のみではなく、非金属元素をも含むもの
を包含する。たとえば、銀または貴金属以外の合金成分
として、酸化カドミウム、酸化スズなどを含む材料も本
発明における合金に含まれる。
【0056】また、図6〜8に示した同軸電極1におい
ては、保護部材16a〜16dを同軸電極の外周面にお
いてほぼ等間隔となる位置に配置しているが、外周電極
18を保護することができれば保護部材16a〜16d
を図6〜8に示した位置以外の位置に配置してもよい。
また、保護部材16a〜16dの設置数は、図6〜8に
示したように4以外の数でもよい。たとえば保護部材1
6a、16cという2つのみ、あるいは同軸電極1の使
用状況によっては保護部材16a、16bのみというよ
うに保護部材の数および配置を変更してもよい。
【0057】また、上記実施の形態1および2において
は、本発明による破砕装置用電極として同軸電極形状の
電極を示したが、電極の形状としては同軸電極以外の形
状であってもよい。たとえば、板状の正極と、絶縁体を
介して対向する位置に配置された板状の負極とからなる
電極において、正極を構成する材料として金、銀、白
金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、
およびこれらの合金からなる群から選択される少なくと
も1つを用いてもよい。
【0058】
【実施例】発明者は、本発明による破砕装置用電極およ
び破砕装置の効果を確認するため、以下に示すような実
験を行なった。
【0059】(実施例1)発明者は、さまざまな金属材
料を電極材料として用いた破砕実験を行なった。図9
は、実験において用いた破砕装置を示す模式図である。
図10は、図9に示した破砕装置における同軸電極1の
先端部を示す斜視模式図である。図11は、図10に示
した同軸電極の先端部の部分断面模式図である。図9〜
11を参照して、実験に用いた破砕装置を説明する。
【0060】図9〜11を参照して、実験に用いた破砕
装置は、同軸電極1にスイッチ7を介してコンデンサ8
を接続したものである。コンデンサ8の容量は2mFで
ある。コンデンサ8には、電源を含む充電回路(図示せ
ず)が接続されており、この充電回路によりコンデンサ
8に電荷を供給することができる。同軸電極1では、中
心導体15aの先端部に中心電極12aが接続されてい
る。中心導体15aの先端部には、穴21が形成されて
いる。そして、中心電極12aにはネジ部20が形成さ
れている。中心電極12aのネジ部20を中心導体15
aの穴21の内部へと挿入固定することにより、中心導
体15aの先端部に中心電極12aを固定している。中
心電極12aは中心導体15aから着脱可能となってい
る。中心電極12aおよび中心導体15aが正極を構成
する。そして、中心導体15aと中心電極12aとの外
周面上には絶縁体13aが配置されている。絶縁体13
aの外周面上には外周電極14aが配置されている。外
周電極14aは鉄からなり、負極として作用する。な
お、絶縁体13aの材料としてはFRP(FiberR
einforced Plastics)を用いた。
【0061】中心電極12aの直径D1は20mmとし
た。また、絶縁体13aの厚みT1は10mmとした。
また、外周電極14aの厚みT2は5mmとした。この
結果、同軸電極1の径D2は50mmとなる。実験に用
いた破砕対象物2としては、高さH0、幅W0および奥
行きのそれぞれが300mmという立方体形状のコンク
リートブロックを用いた。そして、破砕対象物2の中央
部には径D0が80mm、深さH1が200mmという
下孔10を形成した。この下孔10の内部に電解液とし
ての水11を充填した。
【0062】実験においては、図9に示すように同軸電
極1をこの下孔10の内部へと距離Lだけ挿入した。同
軸電極1を下孔10の内部に挿入する距離Lは150m
mとした。そして、充電回路によりコンデンサ8を7k
Vまで充電した。その後、スイッチ7を閉じることによ
り、コンデンサ8から電流を同軸電極1へと供給する。
このようにして、下孔10の内部における同軸電極1の
先端部(一方端部)にて放電を発生させた。そして、こ
の放電により発生する圧力波により破砕対象物2を破壊
した。この放電によってコンクリートブロックからなる
破砕対象物2は破壊され飛散する。そして、飛散した破
砕対象物2の破片の移動距離およびそのそれぞれの破片
の質量から破砕対象物2の破砕に用いられたエネルギー
を算出した。
【0063】実験では、同軸電極1における中心電極1
2aを構成する材料が、それぞれ金、銀、銀とタングス
テンとの合金、銅および鉄からなる中心電極の試料を準
備した。そして、これらの試料を中心電極12aとして
装着した同軸電極1を用いて、上述したような破砕実験
を行なった。なお、上述した破片の移動距離および破片
の質量から算出されたエネルギーは破砕対象物2が破砕
された破片を飛ばすために用いられたエネルギーに相当
し、厳密には破砕に用いられたエネルギーではない。し
かし、経験的にこの破砕対象物2の破片を飛ばすために
用いられたエネルギーと破砕に用いられたエネルギーと
の間には相関関係があることがわかっている。したがっ
て、ここでは破砕のエネルギーを評価する指標として、
上述のような破砕対象物2の破片を飛ばすために用いら
れたエネルギーを利用した。
【0064】上述した4種類の中心電極の試料について
は、破片を飛ばすために用いられたエネルギーは実験の
結果以下のような値となった。
【0065】
【表1】
【0066】なお、同軸電極1に投入されたエネルギー
は49kJである。表1からもわかるように、中心電極
12aとして金を用いた金電極(試料1)および銀を用
いた銀電極(試料2)を中心電極12aとして用いた場
合が、最も破片を飛ばすエネルギーが大きい、すなわち
破砕エネルギーが大きいことがわかる。
【0067】金電極および銀電極の次に大きな破砕エネ
ルギーを示したのは、銀とタングステンとの合金からな
る銀タングステン電極(試料3)を中心電極12aとし
て用いた場合であった。
【0068】また、同軸電極1に投入するエネルギーを
200kJ以上と比較的大きなエネルギーとして、中心
電極12aとして銅電極(試料4)を用いる場合、放電
を数回繰返すと銅からなる中心電極12aが目に見えて
損耗した。また、銅電極を中心電極12aとして用いて
破砕を行なった後には、下孔10の内部に保持していた
水11に多量の銅粉末が混入していた。
【0069】一方、中心電極12aとして銀電極(試料
1)を用いて、同様の条件(同軸電極1に投入するエネ
ルギーを200kJ以上とする条件)で複数回の破砕実
験を行なった場合、銀電極においては特に損耗は見られ
なかった。また、水11に銀の粉末が混入するといった
現象も認められなかった。このように、銅電極の場合よ
りも銀電極の方が中心電極12aの損耗が少なく、複数
回の使用に耐え、より長寿命であることがわかる。
【0070】すなわち、銀電極(試料2)を用いれば、
破砕エネルギーを大きくできるとともに、電極を長寿命
化できる(高い耐久性を得られる)ことがわかる。
【0071】なお、銀タングステン電極を用いて破砕実
験を繰返した場合、初期の数回の破砕実験においては破
砕対象物2の破片を飛ばすエネルギーは比較的大きな値
を示すが、破砕実験を繰返していくと徐々に破片を飛ば
すエネルギーが小さくなった。これは、以下のような理
由によるものと考えられる。すなわち、実験に用いた銀
タングステン合金は粉末合金であり、網目状のタングス
テン焼結体の間に銀が配置しているような構造となって
いると考えられる。このため、放電を繰返すうちに中心
電極12aの表面において銀が溶解あるいは損耗する
と、実質的にタングステン電極を用いた場合と同様の状
態となると考えられる。なお、ここで用いた銀タングス
テン合金の組成はAg35−W65(銀が35%、タン
グステンが65%)である。
【0072】(実施例2)外周電極14aの材料として
銅を用いた同軸電極1を準備した。なお、この同軸電極
1では、外周電極14aとして銅を用いているため、同
軸電極1の機械的な強度を高めるために外周電極14a
の外周面上に補強のための鉄パイプを配置した。この場
合、鉄パイプより銅からなる外周電極14aの方が低抵
抗であることから、同軸電極1に供給される電流はほと
んど外周電極14aに集中的に流れる。したがって、こ
の鉄パイプは単に補強のための部材とみなすことができ
るので、電気的にはこの同軸電極1は最外周面に鉄パイ
プが存在しない同軸電極と同等であると考えることがで
きる。そして、上述のような同軸電極に、中心電極12
aとして実施例1の試料1〜5を設置して実施例1と同
様に破砕実験を行なった。
【0073】この結果、試料1〜5のいずれを適用した
場合においても、基本的に実施例1と同様の結果を得
た。また、銅からなる外周電極14aにおいては、破砕
実験後も顕著な損耗などは認められなかった。また、中
心電極12aとして銅以外の材料からなる電極(試料1
〜3、5)を用いた場合には、破砕実験後に水11にお
いて銅粉の混入なども発生しなかった。
【0074】また、外周電極14aの材料として鉄を用
い、同様に破砕実験を行なっても、基本的に実施例1と
同様の結果を得た。つまり、負極である外周電極14a
を構成する材料の種類は、破砕のエネルギーに大きな影
響を与えないことがわかる。
【0075】このように、負極を構成する材料を変更し
ても破砕エネルギーの値は大きく変化せず、また負極に
おける電極の損耗があまり見られない理由は、以下のよ
うに考えられる。
【0076】すなわち、本発明による破砕装置では、正
極である中心電極12aと負極である外周電極14aと
が水11に接した状態となっている。また、同軸電極1
の先端部において放電が発生するまでは、同軸電極1の
先端部の状態は水の電気分解を行なっている場合と同じ
状況となっていると考えられる。そして、負極である外
周電極14aからはマイナスイオンが、また、正極であ
る中心電極12aからはプラスイオンが水11の内部へ
と溶出する。ここで、鉄や銅などの金属はプラスイオン
となりやすいため、正極である中心電極12aからは金
属イオンが溶出しやすい傾向であると考えられる。
【0077】そして、同軸電極1の先端部において放電
が発生し、高温高圧状態となった場合、正極である中心
電極12aおよび負極である外周電極14aの両方か
ら、電極を構成する金属材料が蒸発してプラズマ化する
場合を考える。この場合、金属原子は正に帯電してい
る。したがって、負極である外周電極14aには正に帯
電した金属原子が再び戻ることが考えられる。この結
果、負極を構成する金属材料は破砕のための放電を繰返
した場合にも大きく損耗せず、また放電のエネルギーに
対して大きな影響を与えないものと考えられる。
【0078】今回開示された実施の形態および実施例は
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態
および実施例ではなくて特許請求の範囲によって示さ
れ、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべ
ての変更が含まれることが意図される。
【0079】
【発明の効果】このように、本発明によれば、破砕装置
用電極の電極材料として金や銀などの貴金属またはこれ
らの合金を用いることにより、破砕工程における破砕装
置用電極の耐久性を高めることができるので、破砕装置
用電極の長寿命化を図ることができる。また、破砕装置
用電極に投入される電力のうち、破砕に利用される電力
量を大きくできるので、破砕作業の効率を向上させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による同軸電極およびその同軸電極を
用いた破砕装置の実施の形態1を説明するための模式図
である。
【図2】 図1に示した同軸電極の先端部を示す部分拡
大斜視模式図である。
【図3】 図1に示した同軸電極の先端部を示す断面模
式図である。
【図4】 図1〜3に示した同軸電極の変形例を説明す
るための断面模式図である。
【図5】 図4に示した本発明による同軸電極の実施の
形態1の変形例を説明するための部分拡大斜視模式図で
ある。
【図6】 本発明による同軸電極の実施の形態2を説明
するための部分断面模式図である。
【図7】 図6に示した同軸電極の部分斜視模式図であ
る。
【図8】 図7の矢印19に示した方向から見た同軸電
極の側面模式図である。
【図9】 実験において用いた破砕装置を示す模式図で
ある。
【図10】 図9に示した破砕装置における同軸電極1
の先端部を示す斜視模式図である。
【図11】 図11は、図10に示した同軸電極の先端
部の部分断面模式図である。
【符号の説明】
1 同軸電極、2 破砕対象物、5 同軸ケーブル、6
パルスパワー源、7スイッチ、8 コンデンサ、9
電源、10 下孔、11 水、12,12a中心電極、
13,13a 絶縁体、14,14a,18 外周電
極、15,15a 中心導体、16,16a〜16d
保護部材、17 外周導体、19 矢印、20 ネジ
部、21 穴。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡崎 徹 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 畑 良輔 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 古川 晃平 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 竹垣 喜勝 大阪市港区市岡3丁目9番2号 奥村組土 木興業株式会社内 (72)発明者 吉原 則秋 大阪市港区市岡3丁目9番2号 奥村組土 木興業株式会社内 (72)発明者 作原 陽一 大阪市港区市岡3丁目9番2号 奥村組土 木興業株式会社内 (72)発明者 林 国平 大阪市港区市岡3丁目9番2号 奥村組土 木興業株式会社内 (72)発明者 藤原 一博 大阪市港区市岡3丁目9番2号 奥村組土 木興業株式会社内 (72)発明者 垣内 幸雄 東京都新宿区津久戸町2番1号 株式会社 熊谷組東京本社内 (72)発明者 北原 成郎 東京都新宿区津久戸町2番1号 株式会社 熊谷組東京本社内 Fターム(参考) 2D065 EA26 4D067 CG01 GA02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放電を発生させ、正極と負極とを備える
    破砕装置用電極であって、 前記正極と前記負極との少なくともいずれか一方が金、
    銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジ
    ウム、およびこれらの合金からなる群から選択される少
    なくとも1つからなる電極部材を含む、破砕装置用電
    極。
  2. 【請求項2】 前記正極と負極との少なくともいずれか
    一方は、 前記破砕装置用電極において放電を発生させる一方端部
    に位置する電極部材と、 前記電極部材に連結された基材とを含む、請求項1に記
    載の破砕装置用電極。
  3. 【請求項3】 前記電極部材は、前記基材に着脱可能に
    取付けられている、請求項2に記載の破砕装置用電極。
  4. 【請求項4】 前記正極は中心軸に沿って延在するとと
    もに外周面を有し、さらに、 前記外周面上に前記正極を囲むように配置された誘電体
    を備え、 前記負極は前記誘電体を囲むように配置されている、請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  5. 【請求項5】 前記電極部材の外周面上に位置する保護
    部材を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の破砕
    装置用電極。
  6. 【請求項6】 放電を発生させ、正極と負極とを備える
    破砕装置用電極であって、 前記正極と前記負極との少なくともいずれか一方が金、
    銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジ
    ウム、およびこれらの合金からなる群から選択される少
    なくとも1つを含み、さらに、 前記破砕装置用電極の放電を発生させる一方端部に配置
    された保護部材を備える、破砕装置用電極。
  7. 【請求項7】 前記正極と負極との少なくともいずれか
    一方は、 前記破砕装置用電極において放電を発生させる一方端部
    に位置し、金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテ
    ニウム、パラジウム、およびこれらの合金からなる群か
    ら選択される少なくとも1つを含む電極部材と、 前記電極部材に連結された基材とを含む、請求項6に記
    載の破砕装置用電極。
  8. 【請求項8】 前記電極部材は銀からなる、請求項7に
    記載の破砕装置用電極。
  9. 【請求項9】 前記電極部材は前記基材に着脱可能に取
    付けられている、請求項7または8に記載の破砕装置用
    電極。
  10. 【請求項10】 前記正極は中心軸に沿って延在すると
    ともに外周面を有し、さらに、 前記外周面上に前記正極を囲むように配置された誘電体
    を備え、 前記負極は前記誘電体を囲むように配置され、 前記保護部材は、前記破砕装置用電極の一方端部におい
    て前記負極の外周面上に配置されている、請求項6〜9
    のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の破砕装置用電極を備える破砕装置。
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