JP4783936B2 - 破砕装置用電極および破砕装置 - Google Patents

破砕装置用電極および破砕装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、岩石などを破壊する破砕装置およびその破砕装置用電極に関し、より特定的には、効率よく岩石などを破壊することができると同時に、長寿命化を図ることが可能な破砕装置および破砕装置用電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
岩石などを破壊するための従来の破砕方法としては、たとえば特開平4−222794号公報に開示されているものがある。図25は、従来の破砕装置を示す模式図である。また、図26は、図25に示した破砕装置の基本的な構成を示す模式図であり、図27は、図26に示した電極の先端部を示す部分拡大模式図である。図25〜27を参照して、上記特開平4−222794号公報に開示された破砕方法を実施するための破砕装置の構造および動作について説明する。
【0003】
図25〜27を参照して、まず、従来の破砕装置の構造を簡単に説明する。パルスパワー源106は、コンデンサ108、スイッチ107などを含む回路からなっている。このパルスパワー源106には電源109が接続されている。パルスパワー源106の回路、この回路を含む筐体および破砕装置を搭載する車体は接地されている。
【0004】
岩石などを破壊するための破壊電極としての同軸電極101は、パルスパワー源106と同軸ケーブル105によって接続されている。同軸電極101の先端には、中心電極112と、この中心電極112の外周側に絶縁体113を介して位置する外周電極115とが配置されている。中心電極112と外周電極115との一方は接地され、他方にはパルスパワー源106のスイッチ107が閉じられたときにコンデンサ108に蓄えられた電荷が導かれる。
【0005】
次に従来の破砕方法を説明する。破壊対象となる岩石などに、ドリルなどを用いてあらかじめ下孔110を形成する。この下孔110の中に水111などの電解液を注入する。この下孔110に同軸電極101を挿入する。
【0006】
そして、電源109で電荷を発生させ、この電荷をコンデンサ108に蓄積する。ただし、コンデンサ108の片側の極は接地されている。
【0007】
コンデンサ108に十分に電荷が蓄積された後にスイッチ107を閉じることによって、同軸ケーブル105を介して同軸電極101に電荷が供給される。そして、同軸電極101の先端において、中心電極112と外周電極115との間に電位差が生じることにより放電が起こる。このとき、同軸電極101の先端付近の電解液が放電エネルギーによってプラズマ化することにより、圧力波が発生する。この圧力波により、同軸電極101の周囲の岩石などを破壊する。
【0008】
上記特開平4−222794号公報では、岩石などの破砕の際には、1マイクロ秒あたり少なくとも100MWの割合で、少なくとも3GWのピーク値のパワーが破砕すべき物質の閉じ込めた領域の電解液の中に浸漬された同軸電極101の2電極間(中心電極112と外周電極115との間)を横切って得られるまで、電気エネルギーを同軸電極101に供給するとしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の破砕装置においては、以下のような問題があった。すなわち、中心電極112と外周電極115との間の放電によりアークが形成される領域で電解液がプラズマ状態にあり、この領域の温度は同軸電極101に供給される電流値により大きく変化する。つまり、電流値が大きくなればアークが形成されている領域の温度はより高温となる。一方、アークが形成されている領域の温度が高温になるほど、放電抵抗は低下することが知られている。ここで、同軸電極101の放電により消費されるエネルギーは、(同軸電極101に供給される電流値の2乗)×(放電抵抗)に比例する。
【0010】
したがって、同軸電極101の放電により消費されるエネルギー(破砕に利用されるエネルギー)を大きくするために、同軸電極101に供給される電流値を大きくしても、電流値の増大に伴って放電抵抗が小さくなる。したがって、単純に上記電流値を大きくするだけでは、同軸電極101の放電により消費されるエネルギーを十分大きくすることは難しかった。このため、従来の破砕装置では破砕に利用されるエネルギーを大きくして効率よく破砕を行なうことが困難であった。
【0011】
また、上述のような破砕方法において用いられる同軸電極101は、岩石の破砕の際に大きな衝撃を受け、さらにくり返し使用に耐え得るような高い耐久性が要求される。しかし、従来の同軸電極101では、電極材料として銅、黄銅または鋼などが用いられていた。そして、発明者が検討した結果、上述した従来の同軸電極101では、たとえば正極の材料として銅や鋼など上述の材料を用いる場合、同軸電極101に大電流を投入して放電を発生させる際に、電極を構成する銅などがこの放電に伴って部分的に蒸発することにより、電極が損耗していた。
【0012】
このため、放電をある程度繰返すと、電極の損耗が激しくなるため、同軸電極を新しい電極と交換する必要があった。つまり、同軸電極の寿命が短くなっていた。このように同軸電極の寿命が短いと、頻繁に同軸電極を交換する必要があるため、破砕作業のランニングコストが上昇する。また、破砕作業自体も同軸電極の交換作業のため中断するので、破砕作業の作業能率も低下するという問題があった。
【0013】
また、放電により電極を構成する銅などが蒸発するということは、同軸電極101に投入される電力の一部が、電極を構成する銅などの蒸発や化学反応のために消費されることを意味する。この結果、同軸電極101への投入電力のうち、岩石などの破砕に有効に利用された電力量は相対的に小さくなる。つまり、破砕作業において同軸電極101へ投入される電力を、岩石などの破砕に有効に利用できないという問題があった。
【0014】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、長寿命化を図ることができると共に、破砕に利用されるエネルギーを大きくする事が可能な破砕装置用電極および破砕装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
発明者は、破砕装置用電極の構造について検討するとともに、電極を構成する材料として、さまざまな材料を用いて実験・研究を行ない、本発明を完成するに至った。すなわち、破砕装置用電極において複数の放電を発生させることにより、後述するように破砕に利用されるエネルギーを大きくできることを見出した。さらに、破砕装置用電極の電極の材料として、銅や鋼をはじめ、銀、金、イリジウムやパラジウムといった貴金属、銀タングステンといった合金などを用いて破砕実験を行ない、電極の損耗状況および破砕に有効に利用されている電力量を調査した。この結果、金、銀や銀合金のような貴金属およびその合金を電極の材料として用いた場合、電極の損耗が少なく、かつ、破砕に利用される電力量が大きくなることを見出した。これは、これら貴金属の標準電極電位が銅や鉄よりも高いことに起因していると考えられる。なお、標準電極電位は、金において1.5V、銀において0.8V、銅において0.3V、鉄において−0.4Vである。このように銅や鉄などより標準電極電位が高い金属としては、他に白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)が挙げられる。また、これらの金属はいずれも高価であるため、コストと効果とを考え合わせると、電極を構成する材料として銀を用いることが特に好ましいと考えられる。
【0016】
発明者のこのような知見に基づいて、この発明の1の局面における破砕装置用電極は、中心軸に沿って延在し、外周面を有する中心導電体と、中心導電体の外周面上に配置された絶縁部材と、絶縁部材を囲むように配置された外周導電体とを備える。外周導電体は、第1の導電体と、この第1の導電体とは中心軸の延びる方向において間隔を隔てて配置された第2の導電体とを含む。第1および第2の導電体はそれぞれ中心軸の延びる方向における両端部を含み、第1および第2の導電体の少なくともいずれか一方において、両端部の内の少なくともいずれか一方の端部が金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0017】
このようにすれば、破砕装置用電極に電流が供給され、中心電極としての中心導電体と外周電極としての外周導電体との間に当該電流が流れる場合、中心導電体において破砕装置用電極の端部に位置する部分と、この端部側に配置された第1および第2の導電体のいずれかとの間にいおて第1の放電が発生する。そして、第1の導電体と第2の導電体との間においても、第2の放電が発生する。つまり、従来の電極においては端部の1箇所においてのみ放電が起きていたのに対して、本発明による電極では少なくとも2箇所において放電が起きる。このように放電が起きる個所の数を増加させることにより、電流値を一定にした場合において、従来より放電抵抗を増加させることができる。この放電により消費されるエネルギー(破砕に利用されるエネルギー)は、(電極に供給される電流値の2乗)×(放電抵抗)に比例するので、破砕に利用されるエネルギーを従来より確実に大きくできる。したがって、破砕装置の能力(破砕能力)を増大させる事ができる。
【0018】
また、放電が発生する領域に対向する部分である第1および第2の導電体の端部を構成する材料として、上述のように銀などの材料を用いることにより、従来のように銅や鋼などの材料を用いる場合より、破砕装置用電極での第1および第2の導電体の端部における放電時の損耗を小さくすることができる。このため、破砕装置用電極の長寿命化を図ることができる。この結果、破砕作業のランニングコストを抑制することができると共に、破砕装置における電極の交換頻度を従来より少なくできるので、破砕作業の作業能率を向上させることができる。
【0019】
また、本発明によれば、破砕装置用電極に投入される電力のうち、岩石などの破砕に有効に利用される電力量を従来より大きくできる。したがって、破砕装置用電極に投入される電力を従来より有効に利用できる。
【0020】
上記1の局面における破砕装置用電極では、中心導電体は放電を発生させる端部を含み、第1の導電体は中心軸の延びる方向において端部側に配置され、中心軸の延びる方向における両端部と、この両端部に挟まれた領域とを含むことが好ましい。第1の導電体の両端部は、相対的に径の小さい部分を有することが好ましく、第1の導電体の両端部に挟まれた領域は、相対的に径の大きい部分を有することが好ましい。
【0021】
この場合、端部に位置する中心導電体と第1の導電体との間で第1の放電が発生し、かつ、第1の導電体と第2の導電体との間で第2の放電が発生することになる。つまり、第1の導電体を挟むようにして第1および第2の放電が発生する。そして、第1の導電体の両端部に挟まれた領域の径を相対的に大きくすることにより、第1の放電が発生する領域と第2の放電が発生する領域とを、この相対的に径の大きい部分により隔離することができる。この結果、第1の放電と第2の放電とが互いに干渉し合うことを防止できる。このため、第1および第2の放電によるアークが一体化することにより、放電部の数が減少することを防止できるので、放電抵抗の低下を防止できる。したがって、破砕装置の能力を確実に向上させることができる。
【0022】
上記1の局面における破砕装置用電極では、第1および第2の導電体の少なくともいずれか一方において突起部が形成されていることが好ましい。
【0023】
この場合、第1および第2の導電体において突起部を形成することにより、電極に電流を供給した際、この突起部に電荷を集中させる事ができる。このため、この突起部が形成された部分において優先的に放電を発生させることができる。したがって、突起部の位置を変更することにより、放電の発生する領域の位置を任意に変更できる。
【0024】
上記1の局面における破砕装置用電極では、突起部が、第1および第2の導電体のいずれか一方に形成された第1の突起部と、第1および第2の導電体の少なくともいずれか一方において、中心軸の周方向における第1の突起部の位置とは異なる位置に形成された第2の突起部とを含んでいてもよい。
【0025】
ここで、第1の放電と第2の放電とが、中心軸の周方向においてほぼ同じ位置に発生する場合、第1の放電におけるアークと第2の放電におけるアークとがつながってしまう(一体化する)という現象が起きることがある。このように第1および第2の放電のアークが一体化すると、結果的に破砕装置用電極において1つの放電しか発生していない状態と同様になり、破砕に利用されるエネルギーが小さくなってしまう。
【0026】
しかし、本発明による破砕装置用電極によれば、第1の突起部と第2の突起部とが中心軸の周方向において異なる位置に形成されているので、第1の突起部が形成された部分で発生する1つの放電と、第2の突起部が形成された部分で発生する他の放電とを、中心軸の周方向において異なる位置にて発生させることができる。したがって、たとえば、破砕装置用電極の端部側に位置する第1または第2の導電体において破砕装置用電極の端部側に面する領域に第1の突起部を形成し、第2の導電体において第1の導電体に面する領域に第2の突起部を形成すれば、破砕装置用電極の端部側で発生する第1の放電が上記1つの放電に対応し、第1の導電体と第2の導電体との間で発生する第2の放電が上記他の放電に対応する。この結果、中心軸の周方向において異なる位置において、第1の放電と第2の放電とをそれぞれ発生させることができる。この結果、第1の放電におけるアークと第2の放電におけるアークとがつながる(一体化する)ことを防止できる。したがって、第1および第2の放電におけるアークがつながることに起因して破砕に利用されるエネルギーが小さくなることを防止できる。
【0027】
また、発明者は、破砕装置用電極における放電現象について実験・研究を行ない、以下のような知見を得た。すなわち、本発明による破砕装置用電極では、1つの破砕装置用電極において複数の放電を発生させることにより、破砕に利用されるエネルギーを大きくしているため、複数の放電を独立して発生させることが必要である。そこで、発明者は、破砕装置用電極における放電現象を詳細に観察して、複数の放電を独立して安定的に発生させるための条件を検討した。発明者の実験によれば、破砕装置用電極においてたとえば第1および第2の導電体間にて放電を発生させると、放電開始直後は放電に伴って発生するアークは比較的小さいが、このアークの大きさは時間と共に中心軸方向にある程度成長する。そして、ある程度アークの大きさが大きくなると、その後はアークの大きさはほとんど変化しなくなった。このように大きさの安定したアークの端部は、中心軸に沿った方向において、第1および第2の導電体の端部から約10mm程度の長さだけ第1および第2の導電体上に侵入した位置にまで到達していた。この第1および第2の導電体の端部から第1および第2の導電体上にアークが伸びた長さ(アーク延伸長さ)は、第1および第2の導電体の中心軸方向の長さを充分大きくしておけば、破砕に用いる電源の電圧や、破砕装置用電極の形状・材質などを変更しても、ほとんど変化しなかった。
【0028】
一方、第1および第2の導電体の中心軸方向の長さを10mmより小さくした場合、アーク延伸長さは最大でも第1および第2の導電体の長さまでであり、アークは充分成長することができない。そして、このような状態では、放電により消費されるエネルギー(破砕に利用されるエネルギー)が、アークが充分成長した場合より小さくなっていた。
【0029】
また、このように第1および第2の導電体の中心軸方向の長さが10mmより小さいと、第1の放電によるアークと第2の放電によるアークとが、中心軸の周方向において近い位置に形成される場合、これらの2つのアークが容易につながってしまう。この結果、やはり破砕に利用されるエネルギーが小さくなるという問題があった。
【0030】
このような発明者の知見に基づいて、上記1の局面における破砕装置用電極では、中心軸が延びる方向において、第1および第2の導電体の少なくともいずれか一方の長さが10mm以上であることが好ましい。
【0031】
この場合、放電のアークは中心軸に沿った方向において充分大きくなることができるので、破砕に利用されるエネルギーを充分大きくできる。
【0032】
また、上記1の局面における破砕装置用電極では、中心軸が延びる方向において、第1および第2の導電体の少なくともいずれか一方の長さが20mm以上であることがより好ましい。
【0033】
この場合、たとえば第1の導電体の中心軸が延びる方向における長さを20mm以上とすれば、この第1の導電体の両端部で発生する2つのアークが中心軸の周方向において近い位置に形成されても、これらの2つのアークを独立した状態で十分成長させることができる。すなわち、第1および第2の放電のアークの一体化を確実に防止できると共に、アークを充分成長させることにより破砕に利用されるエネルギーを大きくできる。
【0034】
上記1の局面における破砕装置用電極では、外周導体が、第2の導電体とは中心軸の延びる方向において間隔を隔てて配置された1つ以上の他の導電体を含んでいてもよい。
【0035】
この場合、第2の導電体と他の導電体との間で第3の放電を発生させることができる。また、他の導電体が、間隔を隔てて形成された複数の導電体を含んでいれば、さらに第4、第5の放電を発生させることができる。この結果、放電抵抗をより高めることができるので、破砕に利用されるエネルギーをより大きくすることができる。
【0036】
上記1の局面における破砕装置用電極では、他の導電体が中心軸の延びる方向における両端部を含んでいてもよい。他の導電体において、両端部の内の少なくともいずれか一方の端部が金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0037】
この場合、放電が発生する領域に対向する部分である他の導電体の端部を構成する材料として、上述のように銀などの材料を用いることにより、破砕装置用電極での他の導電体の端部における放電時の損耗を従来より少なくすることができる。このため、破砕装置用電極の長寿命化を図ることができる。この結果、破砕作業のランニングコストを抑制することができると共に、破砕装置における電極の交換頻度を従来より少なくできるので、破砕作業の作業能率を向上させることができる。
【0038】
上記1の局面における破砕装置用電極では、第1の導電体、第2の導電体および他の導電体からなる群から選択される少なくとも1つにおいて突起部が形成されていてもよい。
【0039】
この場合、電極に電流を供給した際、この突起部に電荷を集中させる事ができる。このため、この突起部が形成された部分において優先的に放電を発生させることができる。したがって、突起部の位置を変更することにより、放電の発生する領域の位置を任意に変更できる。
【0040】
上記1の局面における破砕装置用電極では、突起部が、中心軸が延びる方向とほぼ平行な方向に突出していてもよい。
【0041】
この場合、第1および第2の導電体間での中心軸が延びる方向における距離、または中心導電体と第1および第2の導電体のいずれかとの間での中心軸が延びる方向における距離を、局所的に小さくすることができる。このため、この突起部が形成された部分において優先的に放電を発生させることができる。したがって、突起部の位置を変更することにより、放電の発生する領域の位置を任意に変更できる。
【0042】
上記1の局面における破砕装置用電極では、突起部が、中心軸の放射方向に突出していてもよい。
【0043】
この場合、中心軸の放射方向における第1または第2の導電体の形状を、突起部の形成により不均一なものとすることができるので、この突起部の位置を変更することにより放電の発生領域を任意に変更できる。
【0044】
上記1の局面における破砕装置用電極では、突起部が、第1の導電体、第2の導電体および他の導電体からなる群から選択される1つに形成された第1の突起部と、第1の導電体、第2の導電体および他の導電体からなる群から選択される少なくとも1つにおいて、中心軸の周方向における第1の突起部の位置とは異なる位置に形成された第2の突起部とを含んでいてもよい。
【0045】
この場合、第1の突起部と第2の突起部とが中心軸の周方向において異なる位置に形成されているので、第1の突起部が形成された部分で発生する1つの放電と、第2の突起部が形成された部分で発生する他の放電とを、中心軸の周方向において異なる位置にて発生させることができる。したがって、1つの放電におけるアークと他のの放電におけるアークとがつながる(一体化する)ことを防止できる。この結果、1つの放電におけるアークと他の放電におけるアークとがつながることに起因して破砕に利用されるエネルギーが小さくなることを防止できる。
【0046】
上記1の局面における破砕装置用電極では、突起部が、金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0047】
この場合、放電が発生する領域に対向する部分である突起部を構成する材料として、上述のように銀などの材料を用いることにより、この突起部における放電時の損耗を従来より少なくすることができる。このため、破砕装置用電極の長寿命化を図ることができる。
【0048】
上記1の局面における破砕装置用電極では、中心軸が延びる方向において、第1の導電体、第2の導電体および他の導電体からなる群から選択される少なくとも1つの長さが10mm以上であることが好ましい。
【0049】
この場合、長さが10mm以上とされた第1の導電体、第2の導電体および他の導電体のいずれかにおいて、放電のアークは中心軸に沿った方向において充分大きくなることができる。このため、破砕に利用されるエネルギーを充分大きくできる。
【0050】
また、上記1の局面における破砕装置用電極では、中心軸が延びる方向において、第1の導電体、第2の導電体および他の導電体からなる群から選択される少なくとも1つの長さが20mm以上であることがより好ましい。
【0051】
この場合、たとえば中心軸が延びる方向における第2の導電体の長さを20mm以上とすれば、この第2の導電体の両端部で発生する2つのアークが中心軸の周方向において近い位置に形成されても、第2の導電体においてこれらの2つのアークを独立した状態で十分成長させることができる。すなわち、第2の導電体などの両端に発生する2つのアークが一体化することを確実に防止できると共に、アークを充分成長させることにより破砕に利用されるエネルギーを大きくできる。
【0052】
上記1の局面における破砕装置用電極では、中心導電体が撚り線導体を含んでいてもよく、絶縁部材は可撓性の材料を含んでいてもよい。
【0053】
ここで、岩石などの破砕作業においては、電極に横方向からも衝撃が加えられる場合がある。このような場合、上記のような構成によりある程度の柔軟性を備えた破砕装置用電極であれば、横方向からの衝撃を電極の変形により吸収できるので、衝撃により電極が折損するといった事故の発生を防止できる。したがって、電極の長寿命化を図ることができる。
【0054】
この発明の別の局面における破砕装置は、上記1の局面における破砕装置用電極を備える。
【0055】
このようにすれば、破砕能力の高い破砕装置を容易に得ることができる。
【0056】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0057】
(実施の形態1)
図1は、本発明による破砕装置用電極およびその破砕装置用電極を用いた破砕装置の実施の形態1における装置構成を説明するための模式図である。図2は、図1に示した破砕装置用電極の先端部を示す部分拡大模式図である。図3は、図1に示した破砕装置用電極の先端部を示す斜視拡大模式図であり、図4は、図2に示した破砕装置用電極の断面模式図である。図1〜4を参照して、本発明による破砕装置用電極および破砕装置の実施の形態1を説明する。
【0058】
図1〜4を参照して、本発明による破砕装置は、同軸電極1とパルスパワー源6と電源9と同軸ケーブル5とを備える。パルスパワー源6はコンデンサ8、スイッチ7などを含む回路からなる。パルスパワー源6には電源9が接続されている。パルスパワー源6の回路は接地されている。破砕装置用電極である同軸電極1はパルスパワー源6と同軸ケーブル5により接続されている。同軸電極1は、中心軸にそって延在する中心導電体としての中心電極12と、この中心電極12の外周面上に配置された絶縁部材としての絶縁体13と、この絶縁体13の外周面上に配置された外周導電体としての外周電極15とを備える。中心電極12は、銅からなる中心ベース部32と、中心ベース部32の先端に設置され、銀からなる先端部31とを含む。
【0059】
同軸電極1は、岩石などの破砕対象物2に形成された下孔10の内部に挿入されている。下孔10の内部には電解液としての水11が配置されている。同軸電極1の先端部16では、中心電極12の端部が突出している。外周電極15は、先端部16側に位置する第1の導電体としての外周電極部分14aと、この外周電極部分14aと中心軸の延びる方向において間隔を隔てて配置された第2の導電体としての外周電極部分14bとを含む。
【0060】
外周電極部分14aは、銅からなるベース部30aと、銀からなる端部29aとからなる。なお、図1〜4に示したが異種電極部分14aでは、外周電極部分14bに対向する領域であるベース部30aの一方の端部29aのみが銀により構成されているが、ベース部30aの両端部を銀により構成してもよい。
【0061】
そして、パルスパワー源6のスイッチ7が閉じられたときにコンデンサ8に蓄えられた電荷が同軸電極1に導入されると、中心電極12の端部と外周電極部分14aとの間で第1の放電が発生し、アーク20が形成される。そして、外周電極部分14aと外周電極部分14bとの間においても放電が発生し、もう一つのアーク20が形成される。中心電極12を正極とした場合、同軸電極1の先端側に形成されたアーク20に対向する外周電極部分14aのベース部30aにおける一方端が負極となる一方、中心電極12の先端部31(図4参照)は正極になる。そして、もう一つのアーク20に対向する領域では、外周電極部分14aの端部29aが正極となり、外周電極部分14bにおいてアーク20に対向する端部が負極となる。
【0062】
このようにすれば、破砕装置用電極としての同軸電極1に電流が供給され、中心電極12と外周電極15との間に当該電流が流れる場合、上述のように2つのアーク20を形成できる。つまり、従来の同軸電極においては端部の1箇所においてのみ放電が起きていたのに対して、本発明による同軸電極1では少なくとも2箇所において放電が起きる。このように放電が起きる個所の数を増加させることにより、電流値を一定にした場合において、従来より放電抵抗を増加させることができる。すでに述べたように、放電により消費されるエネルギーは(同軸電極1に供給される電流値の2乗)×(放電抵抗)に比例するので、放電により消費されるエネルギー(つまり、破砕に利用されるエネルギー)を従来より確実に大きくできる。したがって、破砕能力を増大させることが可能な破砕装置用電極としての同軸電極1および破砕装置を実現できる。
【0063】
また、放電が発生する領域に対向する部分である端部29aを構成する材料として、上述のように銀を用いることにより、外周電極部分14aを構成する材料として銅や鋼などを用いる場合より、外周電極部分14aにおける放電時の損耗を小さくすることができる。このため、同軸電極1の長寿命化を図ることができる。この結果、破砕作業のランニングコストを抑制することができると共に、破砕装置における同軸電極1の交換頻度を従来より少なくできるので、破砕作業の作業能率を向上させることができる。
【0064】
また、図1〜4に示した破砕装置では、同軸電極1に投入される電力のうち、岩石などの破砕に有効に利用される電力量を従来より大きくできる。したがって、同軸電極1に投入される電力を従来より有効に利用できる。
【0065】
また、端部29aを構成する材料として、銀以外のいわゆる貴金属、たとえば金、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウムを用いてもよく、これら貴金属の合金を用いてもよい。この場合も、端部29aの材料として銀を用いた場合と同様の効果を得ることができる。ここで、たとえば貴金属の合金の例としての銀合金を端部29aの材料として用いる場合、この銀合金における銀以外の構成材料としては、銀のイオン化傾向と同等のイオン化傾向を有する材料、あるいは銀よりもイオン化傾向の高い材料(標準電極電位の高い材料)を用いることが好ましい。このような合金成分として、たとえば白金、金などが挙げられる。
【0066】
また、銀を合金中の主要成分として(銀の含有率を大きくして)、その他の材料の含有率を比較的小さくするような場合には、ニッケル、マグネシウム、銅などの銀よりイオン化傾向の低い材料を、銀合金の合金成分として用いてもよい。なお、合金成分中の主要成分を銀以外の貴金属(金、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウムなど)にした場合でも、その他の材料の含有率を比較的小さくするような場合には、ニッケルや銅などのイオン化傾向の低い材料をその他の材料(合金成分)として用いてもよい。
【0067】
また、ここで銀合金とは、銀を主成分とし、銀以外の合金成分として金属のみではなく、非金属元素をも含む材料を包含する。また、主要成分が貴金属の合金とは、貴金属を主成分として、貴金属以外の合金成分として金属のみではなく、非金属元素をも含むものを包含する。たとえば、銀または貴金属以外の合金成分として、酸化カドミウム、酸化スズなどを含む材料も本発明における合金に含まれる。
【0068】
図5は、図1〜4に示した破砕装置用電極の第1の変形例を示す部分拡大模式図である。図5を参照して、図1〜4に示した破砕装置用電極の第1の変形例を説明する。
【0069】
図5を参照して、破砕装置用電極である同軸電極1は、基本的には図1〜4に示した同軸電極と同様の構造を備える。ただし、図5に示した同軸電極では、外周電極15が3つの外周電極部分14a〜14cを含む。外周電極部分14a〜14cは、それぞれ間隔を隔てて配置されている。外周電極部分14bは、外周電極部分14aと同様の構造を備える。すなわち、外周電極部分14bは、銅からなるベース部30bと、銀からなる端部29bとからなる。
【0070】
この場合、図1〜4に示した同軸電極と同様の効果を得られると共に、中心電極12の端部と外周電極部分14aとの間、外周電極部分14aと外周電極部分14bとの間、外周電極部分14bと外周電極部分14cとの間という、3箇所で放電を発生させることができる。このため、放電抵抗をより高める事ができるので、放電により放出されるエネルギーをより大きくする事ができる。この結果、破砕装置の能力をさらに向上させることができる。
【0071】
また、外周電極部分14a、14bのそれぞれが、銅からなるベース部30a、30bと、銀からなる端部29a、29bとからなる。このため、放電が発生する領域に対向する部分である端部29a、29bにおいて、同軸電極1での放電発生時の損耗を従来より少なくすることができる。このため、同軸電極1の長寿命化を図ることができる。
【0072】
なお、外周電極部分の数をさらに増やして、放電の発生する個所の数を増加させてもよい。この場合、さらに破砕装置の能力が向上する。
【0073】
図6は、図1〜4に示した破砕装置用電極の第2の変形例を示す断面模式図である。図6を参照して、図1〜4に示した破砕装置用電極の第2の変形例を説明する。
【0074】
図6を参照して、破砕装置用電極である同軸電極1は、基本的には図1〜4に示した同軸電極と同様の構造を備える。ただし、中心電極としてフレキシブルな撚り線導体17を用いる。撚り線導体17は、撚り線部33と、この撚り線部33の先端部に設置された銀からなる先端部31とからなる。また、絶縁体としてゴム系の絶縁体やウレタンなどの、可撓性のある絶縁体18を用いている。
【0075】
ここで、岩石などの破砕作業において、本発明のように同軸電極1の中心軸方向の複数箇所において放電が発生すると、同軸電極1に横方向からも衝撃が加えられる場合がある。このような場合、上記のようにある程度の柔軟性を備える同軸電極1を用いれば、横方向からの衝撃を同軸電極1の変形により吸収できる。このため、この衝撃により同軸電極1が折損するといった事故の発生を防止できる。したがって、図6に示した同軸電極1では、図1〜4に示した同軸電極と同様の効果を得られると同時に、同軸電極1のさらなる長寿命化を図ることができる。
【0076】
(実施の形態2)
図7は、本発明による破砕装置用電極の実施の形態2を示す部分拡大模式図である。図7を参照して、本発明による破砕装置用電極の実施の形態2を説明する。
【0077】
図7を参照して、破砕装置用電極としての同軸電極1は、基本的には図1〜4に示した同軸電極と同様の構造を備えるが、外周電極部分14aの中央部において、外周方向に突出し、円周方向に延在する径方向凸部19が形成されている。
【0078】
この場合、すでに述べたように、同軸電極1の端部に位置する中心電極12の部分と第1の導電体としての外周電極部分14aとの間で第1の放電(アーク20)が発生し、かつ、外周電極部分14aと第2の導電体としての外周電極部分14bとの間で第2の放電(アーク20)が発生することになる。つまり、外周電極部分14aを挟むようにして2つのアーク20が発生する。そして、外周電極部分14aにおいて中心軸の延びる方向の両端部に挟まれた領域の径を相対的に大きくして径方向凸部19を形成することにより、第1の放電が発生する領域と第2の放電が発生する領域とをこの径方向凸部19により隔離することができる。この結果、第1および第2の放電によるアーク20が一体化することを防止できる。これにより、放電部の数が減少することを防止できるので、放電抵抗の低下を防止できる。したがって、図7に示した同軸電極1では、図1〜4に示した同軸電極と同様の効果を得られると共に、この同軸電極1を用いた破砕装置の能力を確実に向上させることができる。
【0079】
(実施の形態3)
図8は、本発明による破砕装置用電極の実施の形態3を示す部分拡大模式図である。図8を参照して、本発明による破砕装置用電極の実施の形態3を説明する。
【0080】
図8を参照して、破砕装置用電極としての同軸電極1は、基本的には図1〜4に示した同軸電極と同様の構造を備えるが、外周電極部分14bにおいて、中心電極12の中心軸が延びる方向とほぼ平行な方向に突出する突起部としての凸部21が形成されている。
【0081】
この場合、外周電極部分14bにおいて突起部としての凸部21を形成することにより、同軸電極1に電流を供給した際、外周電極部分14aと外周電極部分14bとの間の距離を局所的に小さくできるので、この凸部21に電荷を集中させる事ができる。このため、この凸部21が形成された部分において優先的に放電を発生させることができる。したがって、凸部21の位置を変更することにより、放電の発生する領域の位置を任意に変更できる。
【0082】
なお、凸部21は外周電極部分14aに形成してもよいし、外周電極部分14a、14bの両方に形成してもよい。さらに、凸部21は、円周方向の複数箇所に形成してもよい。また、凸部21の形状は、外周電極部分14a、14bの間の距離を局所的に小さくできるような形状であれば、図示したような三角形状以外の形状であってもよい。
【0083】
さらに、外周電極部分14aにおいて、同軸電極1の端部側(中心電極12が露出する側)に凸部を形成してもよい。この場合、この凸部の位置を変更することにより、中心電極12と外周電極部分14aとの間において放電の発生する位置を変更できる。さらに、凸部を中心電極12の端部に形成しても、同様の効果を得ることができる。
【0084】
(実施の形態4)
図9は、本発明による破砕装置用電極の実施の形態4を示す部分拡大模式図である。また、図10は、図9に示した破砕装置用電極の断面模式図である。図9および10を参照して、本発明による破砕装置用電極の実施の形態3を説明する。
【0085】
図9および10を参照して、破砕装置用電極としての同軸電極1は、基本的には図1〜4に示した同軸電極と同様の構造を備えるが、外周電極部分14aにおいて中心電極12の中心軸の放射方向に突出する突起部34aが設置され、14bにおいて中心電極12の中心軸の放射方向に突出する突起部22bが設置されている。突起部34aは銀からなる。
【0086】
導電体からなる突起部34a、22bには、図10に示すようにそれぞれねじ穴25a、25bが形成されている。また、外周電極部分14a、14bにおいて突起部34a、22bが設置される部分にはそれぞれねじ穴24a、24bが形成されている。ねじ穴25aに挿入されたねじ23aが外周電極部分14aのねじ穴24aに挿入・固定されることにより、突起部34aは外周電極部分14aに固定されている。また、ねじ穴25bに挿入されたねじ23bが外周電極部分14bのねじ穴24bに挿入・固定されることにより、突起部22bは外周電極部分14bに固定されている。
【0087】
この場合、中心軸の放射方向における外周電極部分14a、14bの形状を、突起部34a、22bを配置することにより非円形とすることができるので、この突起部34a、22bの位置を変更することにより放電の発生する領域(アークが形成される領域)の位置を任意に変更できる。
【0088】
また、突起部34aの材料として銀を用いることにより、この突起部34aにおける放電時の損耗を従来より少なくすることができる。
【0089】
ここで、突起部34の材料としては、銀を含む貴金属、たとえば金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、およびこれらの合金を用いてもよい。この場合、銀からなる突起部34aを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0090】
図11は、図9および10に示した破砕装置用電極の第1の変形例を示す断面模式図であり、図10に対応する。図11を参照して、図9および10に示した破砕装置用電極の第1の変形例を説明する。
【0091】
図11を参照して、破砕装置用電極としての同軸電極1は、基本的には図9および10に示した同軸電極1と同様の構造を備える。しかし、図11に示した同軸電極1では、外周電極部分14aに銀からなる端部29aが形成されていない。外周電極部分14aは銅により形成され、突起部34aのみが銀により構成される。この場合も、図9および10に示した同軸電極と同様の効果を得ることができる。
【0092】
図12は、図9および10に示した破砕装置用電極の第2の変形例を示す断面模式図であり、図10に対応する。図12を参照して、図9および10に示した破砕装置用電極の第2の変形例を説明する。
【0093】
図12を参照して、破砕装置用電極としての同軸電極1は、基本的には図9および10に示した同軸電極1と同様の構造を備える。しかし、外周電極部分14a、14bに設置された突起部34a、22bの端部26a、26bが、それぞれ外周電極部分14a、14bの側壁27a、27bより突出するように(つまり、外周電極部分14a、14bの側壁27a、27bの間の距離より、突起部34a、22bの端部26a、26bの側壁の間の距離の方が小さくなるように)設置されている。
【0094】
このようにすれば、図9および10に示した同軸電極による効果に加えて、図8に示した同軸電極による効果も同時に得ることができる。
【0095】
図13は、図9および10に示した破砕装置用電極の第3の変形例を示す断面模式図であり、図10に対応する。図13を参照して、図9および10に示した破砕装置用電極の第3の変形例を説明する。
【0096】
図13を参照して、破砕装置用電極としての同軸電極1は、基本的には図12に示した同軸電極1と同様の構造を備える。しかし、図13に示した同軸電極1では、外周電極部分14aに銀からなる端部29aが形成されていない。外周電極部分14aは銅により形成され、突起部34aのみが銀により構成される。この場合も、図12に示した同軸電極と同様の効果を得ることができる。
【0097】
図14は、図9および10に示した破砕装置用電極の第4の変形例を示す断面模式図であり、図10に対応する。図14を参照して、図9および10に示した破砕装置用電極の第4の変形例を説明する。
【0098】
図14を参照して、破砕装置用電極としての同軸電極1は、基本的には図9および10に示した同軸電極1と同様の構造を備える。ただし、突起部28aは、外周電極部分14aの銀からなる端部29aの一部が中心軸の放射方向に突出するように加工された部分である。また、突起部28bは外周電極部分14bの一部が中心軸の放射方向に突出するように加工された部分である。すなわち、突起部28a、28bは、それぞれ外周電極部分14a、14bと一体成形されている。この場合、図9および10に示した同軸電極と同様の効果を得ることができる。
【0099】
図15は、図9および10に示した破砕装置用電極の第5の変形例を示す部分拡大模式図であり、図9に対応する。図15を参照して、図9および10に示した破砕装置用電極の第5の変形例を説明する。
【0100】
図13を参照して、破砕装置用電極としての同軸電極1は、基本的には図9および10に示した同軸電極1と同様の構造を備える。ただし、図13に示した同軸電極1では、中心電極12の中心軸が延びる方向とほぼ平行な方向に突出するように、外周電極部分14aの両端部および外周電極部分14bの一方端部に凸部21a〜21cが形成されている。この凸部21a〜21cは、それぞれ外周電極部分14a、14bを構成する材料と同様の材料により構成されている。すなわち、凸部21aは、外周電極部分14aのベース部30aを構成する材料である銅により構成され、凸部21bは端部29aを構成する材料である銀により構成されている。なお、端部29aおよび凸部21bの材料としては、銀を含む貴金属、たとえば金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、およびこれらの合金を用いてもよい。そして、凸部21b、21cは、中心電極12の中心軸の周方向における凸部21aの位置とは異なる位置に形成されている。このため、同軸電極1に電流を供給した場合、中心電極12と外周電極部分14aとの間における放電(第1の放電)は、中心電極12と凸部21aとの間の領域において発生する。一方、外周電極部分14aと外周電極部分14bとの間の放電(第2の放電)は、凸部21b、21cの間の領域で発生する。したがって、第1の放電と第2の放電とは、中心軸の周方向において異なる領域にて発生することになる。
【0101】
このようにすれば、第1の放電におけるアークと第2の放電におけるアークとがつながることを防止できる。したがって、第1および第2の放電におけるアークがつながることに起因して破砕に利用されるエネルギーが小さくなることを防止できる。
【0102】
(実施の形態5)
図16は、本発明による破砕装置用電極の実施の形態5を示す斜視模式図である。図17は、図16に示した破砕装置用電極の断面模式図である。図16および17を参照して、本発明による破砕装置用電極の実施の形態5を説明する。
【0103】
図16および17を参照して、破砕装置用電極である同軸電極1は、基本的には図1〜4に示した同軸電極と同様の構造を備える。ただし、図16および17に示した同軸電極1では、外周電極15が4つの外周電極部分14a〜14dを含む。外周電極部分14a〜14cは、それぞれ銅からなるベース部30aと銀からなる端部29a〜29cとにより構成される。
【0104】
外周電極部分14a〜14dは、それぞれ間隔を隔てて配置されている。外周電極14a〜14cの中心軸方向での幅をそれぞれ幅L1〜L3とする。外周電極14a、14b間の間隔を距離W1、外周電極14b、14c間の間隔を距離W2、外周電極14c、14d間の間隔を距離W3とする。この場合、図1〜4に示した同軸電極と同様の効果を得られると共に、中心電極12の端部と外周電極部分14aとの間、外周電極部分14aと外周電極部分14bとの間、外周電極部分14bと外周電極部分14cとの間、外周電極部分14cと外周電極部分14dとの間という、4箇所で放電を発生させることができる。このため、放電抵抗をより高める事ができるので、放電により放出されるエネルギーをより大きくする事ができる。この結果、破砕装置の能力をさらに向上させることができる。
【0105】
図18は、図16および17に示した破砕装置用電極の実施の形態5の変形例を示す模式図である。図18を参照して、破砕装置用電極の実施の形態5の変形例を説明する。
【0106】
図18を参照して、破砕装置用電極としての同軸電極1は、基本的には図16および17に示した同軸電極1と同様の構造を備える。しかし、図18に示した同軸電極1では、外周電極部分14a〜14cのそれぞれに凸部21a〜21dが形成されている。凸部21b〜21dは、それぞれ端部29a〜29cを構成する材料である銀により構成される。なお、端部29a〜29cおよび凸部21b〜21dの材料としては、銀を含む貴金属、たとえば金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、およびこれらの合金を用いてもよい。また、凸部21aは、ベース部30aを構成する材料である銅により構成される。凸部21a〜21dは、中心電極12の中心軸が延びる方向とほぼ平行な方向に突出するように形成されている。凸部21a〜21dは、中心電極12の中心軸の周方向において互いに異なる位置に形成されている。
【0107】
中心電極12の先端部と外周電極部分14aとの間に発生する放電(第1の放電)は、凸部21aと中心電極12との間の領域に発生する。外周電極部分14aと外周電極部分14bとの間に発生する放電(第2の放電)は、凸部21bと外周電極14bとの間の領域にて発生する。外周電極部分14bと外周電極部分14cとの間に発生する放電(第3の放電)は、凸部21cと外周電極14cとの間の領域にて発生する。外周電極部分14cと外周電極部分14dとの間に発生する放電(第4の放電)は、凸部21dと外周電極14dとの間の領域にて発生する。
【0108】
このように、突起部としての凸部21a〜21dを形成することにより、この凸部21a〜21dに電荷を集中させることができるので、この凸部21a〜21dが形成された部分の近傍においてそれぞれ第1〜第4の放電を発生させることができる。このため、凸部21a〜21dの位置を変更することにより、第1〜第4の放電の発生位置を任意に変更できる。
【0109】
また、図18に示したように凸部21a〜21dを配置することにより、同軸電極において発生する第1〜第4の放電は、中心電極12の中心軸の周方向において異なる位置に形成されることになる。このため、隣り合う放電のアーク同士がつながることを確実に防止できる。
【0110】
なお、図18では、凸部21a〜21dは中心電極12の中心軸が延びる方向とほぼ平行な方向に突出するように形成されているが、図9〜14に示したように凸部21a〜21dを中心軸の放射方向に突出するように形成してもよい。この場合も、図18に示した同軸電極と同様の効果を得ることができる。
【0111】
(実施の形態6)
図19は、本発明による破砕装置用電極の実施の形態6を示す部分拡大模式図である。図20は、図19に示した破砕装置用電極の断面模式図である。図19および20を参照して、本発明による破砕装置用電極の実施の形態6を説明する。
【0112】
図19および20を参照して、破砕装置用電極である同軸電極1は、基本的には図1〜4に示した同軸電極と同様の構造を備えるが、外周電極部分35、14a〜14cの形状および構造が異なっている。すなわち、図19および20に示した同軸電極1では、外周電極部分35、14a、14bの長さL1〜L3がそれぞれ異なるように設定されている。このため、中心電極12の延びる方向において、中心電極12、外周電極部分35、14a、14bの間に形成されるギャップの位置が等間隔にはなっていない。
【0113】
このように、図19および20に示した同軸電極1では、図1〜4に示した同軸電極と同様の効果を得られると共に、外周電極部分35、14a、14bの長さL1〜L3を変更することによりギャップの位置を変更できる。また、ギャップの幅W1〜W3も、外周電極部分35、14a、14bの配置を変更することにより、任意に変更可能である。
【0114】
この場合、破砕に大きなエネルギーが必要な部分に対向する同軸電極の部分においては、短いピッチで複数のギャップを配置する一方、相対的に破砕に必要なエネルギーが小さい領域に対向する同軸電極1の部分においては、ギャップ間のピッチを広くして、ギャップの数を少なくするといったことが可能になる。同軸電極1に配置できるギャップの数には制限があることから、このようにすれば数に限りがあるギャップを有効に配置して、破砕対象物の条件に合わせて放電によるエネルギーの発生場所やエネルギー密度を変更することができる。
【0115】
たとえば、破砕対象物に形成した下孔の底部に近い領域に位置する同軸電極1の部分(同軸電極1の先端部)では、隣接するギャップの間の距離を50mmとする一方、下孔の上方に位置する同軸電極1の部分では、隣接するギャップの間の距離を100mm、200mmとだんだん広げるような構成とすることができる(同軸電極1の先端部ではギャップを密に配置し、同軸電極1の根元に向かうにしたがってギャップの密度を低くしていくような構成とすることができる)。
【0116】
また、中心電極12が正極となる場合外周電極部分35において外周電極部分14aと対向する端部、外周電極部部14a、14bの端部29a、29bそれぞれが、ギャップにおいて発生するアークからみると正極として作用する。このような正極として作用する部分を銀により構成することで、本発明の実施の形態1と同様に電極における放電発生時の損耗を小さくできる。また、外周電極部分14a、14bのように、正極としてアークに対向する端部29a、29bのみを銀により構成し、他の領域(ベース部30a、30b)を、比較的安価な銅などの導電体により構成することで、同軸電極1の製造コストを削減できる。
【0117】
また、外周電極部分35は全体が銀により構成される。これは、外周電極部分35の長さL1が比較的短いため、他の外周電極部分14a、14bのように銅など安価な材料を用いたベース部30a、30bと銀からなる端部29a、29bとを組合せた複雑な構造とするよりも、全体を銀で一体成形した方が製造コストを削減できるからである(ベース部と端部とを組合わせた構造の外周電極部分14a、14bでは、高価な銀の使用量を削減できるというメリットはあるものの、ベース部と端部との接合部の機械加工など、加工に伴う製造コストが発生するため、外周電極部分のサイズによっては、銀で一体成形した方が総コストが小さくなる場合がある)。
【0118】
図19および20に示したような同軸電極の具体的な寸法の例としては、たとえば、ギャップの幅W1〜W3を10mm、外周電極部分35の長さL1を20mm、外周電極部分14aの長さL2を40mm、外周電極部分14bの長さL3を100mmとし、銀からなる端部29a、29bの長さLR1、LR2を10mmとすることができる。発明者の実験によれば、外周電極部分14a、14bの端面から外周電極部分14a、14bの外周表面上にアークが伸びる長さは、最大でも10mm程度であることから、銀からなる端部29a、29bの長さLR1、LR2は10mm以上とすることが好ましい。
【0119】
なお、外周電極部分35、14a、14bを、銀の一体成形品とするか、銅などのベース部と銀からなる端部との2つの部材からなる複合品とするかは、材料コストと加工コストとを合わせた総コストを考慮して決定することが好ましいが、便宜的に、外周電極部分35、14a、14bの長さL1〜L3によりその構造を決定してもよい。たとえば、外周電極部分の長さL1〜L3が20mm以下である場合は、外周電極部分全体を銀により構成し、長さL1〜L3が20mmを越える場合は、ベース部と端部との複合品としてもよい。
【0120】
図21は、本発明による破砕装置用電極の実施の形態6の変形例を示す部分拡大模式図である。図22は、図21に示した破砕装置用電極の断面模式図である。図21および22を参照して、本発明による破砕装置用電極の実施の形態6の変形例を説明する。
【0121】
図21および22を参照して、破砕装置用電極である同軸電極1は、基本的には図19および20に示した同軸電極と同様の構造を備えるが、外周電極部分14a、14bの構造が異なる。すなわち、図21および22に示した同軸電極1では、外周電極部分14a、14bにおいて、ベース部30a、30bの両端に、銀からなる端部29a〜29dが配置されている。また、外周電極部分14cにおいて、ベース部30cの一方端に銀からなる端部29eが形成されている。
【0122】
この場合、図19および20に示した同軸電極と同様の効果を得られると同時に、外周電極部分14a〜14cにおいて、アークと対向する領域をすべて銀により構成される端部29a〜29eとすることができるので、放電に伴う外周電極部分14a〜14cの損耗をより少なくすることができる。
【0123】
また、本発明の実施の形態1〜6における外周電極14a〜14dの長さ(中心電極12の中心軸が延びる方向における長さ)は、10mm以上であることが好ましい。このようにすれば、外周電極14a〜14dの長さに制約されること無く、放電に伴って形成されるアークが充分な大きさにまで成長できる。したがって、破砕に利用されるエネルギーを大きくできる。
【0124】
また、本発明の実施の形態1〜6における外周電極部分14a〜14dの長さは20mm以上であってもよい。このようにすれば、中心電極12の中心軸の周方向において近い位置に2つの隣接する放電が発生した場合であっても、この2つの放電によるアークがつながることを確実に防止できる。
【0125】
また、本発明の実施の形態1〜6における外周電極部分14a〜14cを構成するベース部30a〜30cの材料としては、銅ではなく鉄などの導電体を用いてもよい。
【0126】
【実施例】
発明者は、本発明の効果を確認するため、本発明による破砕装置用電極を用いて放電実験を行なった。この実験について、図23および24を参照して説明する。
【0127】
図23は、実験に用いた破砕装置用電極を示す模式図である。また、図24は、実験において放電が発生した状態を示す模式図である。
【0128】
図23を参照して、発明者が準備した破砕装置用電極としての同軸電極1は、基本的に本発明の実施の形態5による破砕装置用電極と同様の構造を備える。すなわち、同軸電極1は、中心電極12と、この中心電極12の外周面上に配置された絶縁体13と、この絶縁体13の外周面上に配置された外周電極部分14a〜14dとを備える。外周電極部分14a〜14cは、銅からなるベース部30a〜30cと、銀からなる端部29a〜29cとから構成される。中心電極12は中心軸に沿って延在し、銅からなる中心ベース部32と、銀からなる先端部31とにより構成される。中心電極12の直径は20mmである。絶縁体13はFRP(Fiber Reinforced Plastics)からなり、その厚みは10mmである。外周電極15を構成する外周電極部分14a〜14dの厚みは5mmである。したがって、同軸電極1の外径は50mmとなる。外周電極部分14a〜14cの長さLは27mmであり、銀からなる端部29a〜29cの長さLRは10mmとした。また、外周電極14a〜14dの間の距離Wは10mmとした。そして、静電容量が2mFのコンデンサを15kVまで充電した後、回路インピーダンスが3μHであるケーブルを用いてこのコンデンサと上記同軸電極1とを接続することにより、同軸電極1において放電を発生させた。このとき、中心電極12を正極とした。
【0129】
図24に示すように、放電開始直後は、外周電極14a〜14dの間において比較的サイズの小さなアーク20aが発生する。そして、時間の経過と共にアークのサイズは大きくなり、最終的に比較的サイズの大きなアーク20bが形成される。充分大きくなった(成長した)アーク20bでは、中心電極12の中心軸に沿った方向におけるアーク20b端部が外周電極部分14a〜14dの端部から長さLAだけ内側にまで伸びていることが観察された。長さLAの値は約10mm程度であった。
【0130】
そして、コンデンサの充電電圧を6〜15kVの範囲で変化させた場合においても、アークの形成状況はほとんど変化せず、長さLAの値はほぼ10mmであった。また、外周電極14a〜14dの間の距離Wを変化させた場合であっても、この長さLAはほとんど変化しなかった。
【0131】
このことから、外周電極14a〜14dの幅Lが10mm以上であれば、放電の際に充分成長した大きなアーク20bを形成できることがわかる(一方、外周電極14a〜14dの幅Lを10mm未満とした場合、アークが充分成長することができないので、結果的に破砕に利用されるエネルギー量が小さくなると考えられる。また、隣接するアークの位置によっては、隣接するアーク同士(例えば、外周電極14a、14bの間に発生したアークと外周電極14b、14cの間に発生したアーク)がつながってしまうといった現象が起きる可能性もある。この場合も、やはり破砕に利用されるエネルギー量が小さくなると考えられる)。
【0132】
また、外周電極部分14a〜14d上においてアークが成長する長さLAが10mm程度であることから、銀からなる端部29aの長さLRを10mm以上としておけば、外周電極部分においてアークと対向する領域を確実に銀により構成することができる。また、中心電極12を正極としているので、アーク20bからみて外周電極部分14a〜14cの端部29a〜29cが正極となる。そして、正極を構成する材料として銀などの貴金属を用いた場合に、電極の損耗を抑制する効果が大きい。図23および24に示した同軸電極1では、複数回の放電実験を繰返しても、特に端部29a〜29cでの損耗は認められなかった。このように、図23および24に示した同軸電極1では、外周電極部分の損耗を抑制できることがわかる。また、端部29a〜29cを構成する材料として、銀に代えて金を用いても、同様の効果を得ることができた。
【0133】
なお、同軸電極1においては、図18に示したように中心電極12の中心軸の周方向において互いに異なる位置において、外周電極14a〜14dに凸部21a〜21dを形成してもよい。このようにすれば、中心電極12の中心軸の周方向において異なる位置にアークを発生させることができる。したがって、外周電極14a〜14cの幅Lが10mm程度である場合でも、隣接するアーク20b同士がつながることを確実に防止できる。
【0134】
また、実験で用いた同軸電極1のように、外周電極14a〜14dの長さLを20mm以上にしておけば、たとえ隣り合うアーク20bが中心電極12の中心軸の周方向において近い位置に形成されても、アーク20b同士がつながることを確実に防止できる。
【0135】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0136】
【発明の効果】
本発明によれば、一つの破砕装置用電極を用いて複数箇所にて放電を発生させることができるので、長寿命化を図ることができると共に、破砕に利用されるエネルギーを大きくする事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による破砕装置用電極およびその破砕装置用電極を用いた破砕装置の実施の形態1における装置構成を説明するための模式図である。
【図2】 図1に示した破砕装置用電極の先端部を示す部分拡大模式図である。
【図3】 図1に示した破砕装置用電極の先端部を示す斜視拡大模式図である。
【図4】 図2に示した破砕装置用電極の断面模式図である。
【図5】 図1〜4に示した破砕装置用電極の第1の変形例を示す部分拡大模式図である。
【図6】 図1〜4に示した破砕装置用電極の第2の変形例を示す断面模式図である。
【図7】 本発明による破砕装置用電極の実施の形態2を示す部分拡大模式図である。
【図8】 本発明による破砕装置用電極の実施の形態3を示す部分拡大模式図である。
【図9】 本発明による破砕装置用電極の実施の形態4を示す部分拡大模式図である。
【図10】 図9に示した破砕装置用電極の断面模式図である。
【図11】 図9および10に示した破砕装置用電極の第1の変形例を示す断面模式図である。
【図12】 図9および10に示した破砕装置用電極の第2の変形例を示す断面模式図である。
【図13】 図9および10に示した破砕装置用電極の第3の変形例を示す断面模式図である。
【図14】 図9および10に示した破砕装置用電極の第4の変形例を示す断面模式図である。
【図15】 図9および10に示した破砕装置用電極の第5の変形例を示す部分拡大模式図である。
【図16】 本発明による破砕装置用電極の実施の形態5を示す斜視模式図である。
【図17】 図16に示した破砕装置用電極の断面模式図である。
【図18】 図16および17に示した破砕装置用電極の実施の形態5の変形例を示す模式図である。
【図19】 本発明による破砕装置用電極の実施の形態6を示す部分拡大模式図である。
【図20】 図19に示した破砕装置用電極の断面模式図である。
【図21】 本発明による破砕装置用電極の実施の形態6の変形例を示す部分拡大模式図である。
【図22】 図21に示した破砕装置用電極の断面模式図である。
【図23】 実験に用いた破砕装置用電極を示す模式図である。
【図24】 実験において放電が発生した状態を示す模式図である。
【図25】 従来の破砕装置を示す模式図である。
【図26】 図25に示した破砕装置の基本的な構成を示す模式図である。
【図27】 図26に示した電極の先端部を示す部分拡大模式図である。
【符号の説明】
1 同軸電極、2 破砕対象物、5 同軸ケーブル、6 パルスパワー源、7スイッチ、8 コンデンサ、9 電源、10 下孔、11 水、12 中心電極、13 絶縁体、14a〜14d,35 外周電極部分、15 外周電極、16 先端部、18 可撓性のある絶縁体、19 径方向凸部、20,20a,20b アーク、21,21a〜21d 凸部、22a,22b,28a,28b,34 突起部、23a,23b ねじ、24a,24b,25a,25b ねじ穴、26a,26b 端部、27a,27b 側壁、29a〜29c 端部、30a〜30c ベース部、31 先端部、32 中心ベース部、33 撚り線部。

Claims (18)

  1. 中心軸に沿って延在し、外周面を有する中心導電体と、
    前記中心導電体の外周面上に配置された絶縁部材と、
    前記絶縁部材を囲むように配置された外周導電体とを備え、
    前記外周導電体は、
    第1の導電体と、
    前記第1の導電体とは前記中心軸の延びる方向において間隔を隔てて配置された第2の導電体とを含み、
    前記第1および第2の導電体はそれぞれ前記中心軸の延びる方向における両端部を含み、
    前記第1および第2の導電体の少なくともいずれか一方において、前記両端部の内の少なくともいずれか一方の端部が金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つを含む、破砕装置用電極。
  2. 前記中心導電体は放電を発生させる端部を含み、
    前記第1の導電体は前記中心軸の延びる方向において前記端部側に配置され、前記中心軸の延びる方向における両端部と、この両端部に挟まれた領域とを含み、
    前記第1の導電体の両端部は、相対的に径の小さい部分を有し、
    前記第1の導電体の前記両端部に挟まれた領域は、相対的に径の大きい部分を含む、請求項1に記載の破砕装置用電極。
  3. 前記第1および第2の導電体の少なくともいずれか一方において突起部が形成されている、請求項1に記載の破砕装置用電極。
  4. 前記突起部は、前記中心軸が延びる方向とほぼ平行な方向に突出する、請求項3に記載の破砕装置用電極。
  5. 前記突起部は、前記中心軸の放射方向に突出する、請求項3に記載の破砕装置用電極。
  6. 前記突起部は、
    前記第1および第2の導電体のいずれか一方に形成された第1の突起部と、
    前記第1および第2の導電体の少なくともいずれか一方において、前記中心軸の周方向における前記第1の突起部の位置とは異なる位置に形成された第2の突起部とを含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  7. 前記突起部は、金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項3〜6のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  8. 前記中心軸が延びる方向において、前記第1および第2の導電体の少なくともいずれか一方の長さが10mm以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  9. 前記外周導体は、前記第2の導電体とは前記中心軸の延びる方向において間隔を隔てて配置された1つ以上の他の導電体を含む、請求項1に記載の破砕装置用電極。
  10. 前記他の導電体は前記中心軸の延びる方向における両端部を含み、
    前記他の導電体において、前記両端部の内の少なくともいずれか一方の端部が金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項9に記載の破砕装置用電極。
  11. 前記第1の導電体、前記第2の導電体および前記他の導電体からなる群から選択される少なくとも1つにおいて突起部が形成されている、請求項9または10に記載の破砕装置用電極。
  12. 前記突起部は、前記中心軸が延びる方向とほぼ平行な方向に突出する、請求項11に記載の破砕装置用電極。
  13. 前記突起部は、前記中心軸の放射方向に突出する、請求項11に記載の破砕装置用電極。
  14. 前記突起部は、
    前記第1の導電体、第2の導電体および他の導電体からなる群から選択される1つに形成された第1の突起部と、
    前記第1の導電体、第2の導電体および他の導電体からなる群から選択される少なくとも1つにおいて、前記中心軸の周方向における前記第1の突起部の位置とは異なる位置に形成された第2の突起部とを含む、請求項11〜13のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  15. 前記突起部は、金、銀、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項11〜14のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  16. 前記中心軸が延びる方向において、前記第1の導電体、第2の導電体および他の導電体からなる群から選択される少なくとも1つの長さが10mm以上である、請求項9〜15のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  17. 前記中心導電体は撚り線導体を含み、
    前記絶縁部材は可撓性の材料を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の破砕装置用電極を備える破砕装置。
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