JP3563367B2 - 破砕装置用電極、破砕装置および破砕方法 - Google Patents

破砕装置用電極、破砕装置および破砕方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、破砕装置用電極、破砕装置および破砕方法に関し、より特定的には、効率よく岩石などを破壊することが可能な破砕装置用電極、破砕装置および破砕方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
岩石などを破壊するための従来の破砕方法としては、たとえば特開平4−222794号公報に開示されているものがある。図18は、従来の破砕装置を示す模式図である。また、図19は、図18に示した破砕装置の基本的な構成を示す模式図であり、図20は、図19に示した電極の先端部を示す部分拡大模式図である。図18〜20を参照して、上記特開平4−222794号公報に開示された破砕方法を実施するための破砕装置の構造および動作について説明する。
【0003】
図18〜20を参照して、まず、従来の破砕装置の構造を簡単に説明する。パルスパワー源106は、コンデンサ108、スイッチ107などを含む回路からなっている。このパルスパワー源106には電源109が接続されている。パルスパワー源106の回路、この回路を含む筐体および破砕装置を搭載する車体は接地されている。
【0004】
岩石などを破壊するための破壊電極としての同軸電極101は、パルスパワー源106と同軸ケーブル105によって接続されている。同軸電極101の先端には、中心電極112と、この中心電極112の外周側に絶縁体113を介して位置する外周電極115とが配置されている。中心電極112と外周電極115との一方は接地され、他方にはパルスパワー源106のスイッチ107が閉じられたときにコンデンサ108に蓄えられた電荷が導かれる。
【0005】
次に従来の破砕方法を説明する。破壊対象となる岩石などに、ドリルなどを用いてあらかじめ下孔110を形成する。この下孔110の中に水111などの電解液を注入する。この下孔110に同軸電極101を挿入する。
【0006】
そして、電源109で電荷を発生させ、この電荷をコンデンサ108に蓄積する。ただし、コンデンサ108の片側の極は接地されている。
【0007】
コンデンサ108に十分に電荷が蓄積された後にスイッチ107を閉じることによって、同軸ケーブル105を介して同軸電極101に電荷が供給される。そして、同軸電極101の先端において、中心電極112と外周電極115との間に電位差が生じることにより放電が起こる。このとき、同軸電極101の先端付近の電解液が放電エネルギーによってプラズマ化することにより、圧力波が発生する。この圧力波により、同軸電極101の周囲の岩石などを破壊する。
【0008】
上記特開平4−222794号公報では、岩石などの破砕の際には、1マイクロ秒あたり少なくとも100MWの割合で、少なくとも3GWのピーク値のパワーが破砕すべき物質の閉じ込めた領域の電解液の中に浸漬された同軸電極101の2電極間(中心電極112と外周電極115との間)を横切って得られるまで、電気エネルギーを同軸電極101に供給するとしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の破砕装置においては、以下のような問題があった。すなわち、中心電極112と外周電極115との間の放電によりアークが形成される領域で電解液の一部がプラズマ状態になり、この領域の温度は同軸電極101に供給される電流値により大きく変化する。つまり、電流値が大きくなればアークが形成されている領域の温度はより高温となる。一方、アークが形成されている領域の温度が高温になるほど、放電抵抗は低下することが知られている。ここで、同軸電極101の放電により消費されるエネルギーは、同軸電極101に供給される電流値の2乗×放電抵抗に比例する。
【0010】
したがって、同軸電極101の放電により消費されるエネルギー(破砕に利用されるエネルギー)を大きくするために、同軸電極101に供給される電流値を大きくしても、電流値の増大に伴って放電抵抗が小さくなる。したがって、単純に上記電流値を大きくするだけでは、同軸電極101の放電により消費されるエネルギーを十分大きくすることは難しかった。このため、従来の破砕装置では破砕に利用されるエネルギーを大きくして効率よく破砕を行なうことが困難であった。
【0011】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、破砕に利用されるエネルギーを大きくする事が可能な破砕装置用電極、破砕装置およびそれらを用いた破砕方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記課題を解決するため、同軸電極であって、外周電極を分割した複数の外周電極部分を、中心電極の周囲に絶縁体を介して配置し、この複数の外周電極部分が互いに間隙を介して配置された破砕装置用電極を提案している。このような破砕装置用電極であれば、外周電極部分の間に位置する複数の間隙において、放電を発生させることができるので、放電が起きる個所の数を増加させることができる。この結果、放電抵抗を増加させることができるので、破砕に利用されるエネルギーを従来より大きくできる。
【0013】
しかし、発明者がさらに研究を進めた結果、上述のような同軸電極以外の形状の電極においても、複数の放電を発生させることができれば同様の効果を得られることがわかった。
【0014】
発明者の上記のような知見に基づいて、この発明の1の局面における破砕装置用電極は、ある方向に延在する一方線状導電体と、一方線状導電体の延びる方向と同じ方向に延在し、一方線状導電体と誘電体を介して対向する他方線状導電体とを備える。また、上記破砕装置用電極は、一方線状導電体を覆うように形成された一方被覆部材と、他方線状導電体を覆うように形成された他方被覆部材とを備える。他方線状導電体は、第1の導電体と、第1の導電体とは一方線状導電体の延びる方向において間隙を隔てて配置された第2の導電体とを含む。さらに、上記他方被覆部材は、第1の導電体を覆うように形成された第1の被覆部材と、第2の導電体を覆うように形成された第2の被覆部材とを含む。
【0015】
このようにすれば、破砕装置用電極に電流が供給され、一方線状導電体と他方線状導電体との間に当該電流が流れる場合、一方線状導電体において破砕装置用電極の端部に位置する部分と、この端部側に配置された第1および第2の導電体のいずれかとの間にいおて第1の放電が発生する。そして、第1の導電体と第2の導電体との間に位置する間隙において、第2の放電が発生する。つまり、従来の電極においては端部の1箇所においてのみ放電が起きていたのに対して、本発明による電極では少なくとも2箇所において放電が起きる。このように放電が起きる個所の数を増加させることにより、電流値を一定にした場合において、従来より放電抵抗を増加させることができる。この放電により消費されるエネルギー(破砕に利用されるエネルギー)は電極に供給される電流値の2乗×放電抵抗に比例するので、破砕に利用されるエネルギーを従来より確実に大きくできる。したがって、破砕装置の能力(破砕能力)を増大させる事ができる。
【0016】
また、上記第1および第2の導電体は、他方線状導電体を複数個所において切断・分割することにより、容易に作成できる。このため、たとえば同軸電極の外周電極を分割するような場合より、簡単な加工で本発明による破砕装置用電極を実現できる。したがって、破砕装置用電極の製造工程を単純化できることから、破砕装置用電極の製造コストが上昇することを防止できる。
【0017】
上記1の局面における破砕装置用電極において、第1および第2の被覆部材の少なくともいずれか一方では、間隙側の領域において第1の導電体または第2の導電体の表面を露出させる開口部が形成されていてもよい。この開口部の面積は60mm2未満であることが好ましい。
【0018】
この場合、第1または第2の導電体が間隙に対向する領域において露出する面積(露出面積)を60mm未満とすることができる。そして、破砕装置用電極に投入する電力エネルギーが一定の場合において、このように露出面積を比較的小さくすることにより、大きな破砕力を発生させることができる。なお、露出面積は60mm未満であれば、十分な破砕力を得ることができるが、露出面積は22mm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは、露出面積は14mm以下である。
【0019】
上記1の局面における破砕装置用電極では、他方線状導電体が第2の導電体とは一方線状導電体の延びる方向において間隙を隔てて配置された1つ以上の他の導電体を含むことが好ましい。
【0020】
この場合、第2の導電体と他の導電体との間で第3の放電を発生させることができる。また、他の導電体が、間隙を隔てて形成された複数の導電体を含んでいれば、さらに第4、第5の放電を発生させることができる。この結果、放電抵抗をより高めることができるので、破砕に利用されるエネルギーをより大きくすることができる。
【0021】
上記1の局面における破砕装置用電極では、他の導電体を覆うように形成された他の被覆部材を備えていてもよい。他の被覆部材では、間隙側の領域において他の導電体の表面を露出させる他の開口部が形成されていてもよく、他の開口部の面積は60mm未満であることが好ましい。
【0022】
この場合、他の導電体が間隙に対向する領域において露出する露出面積を60mm未満とすることができる。そして、破砕装置用電極に投入する電力エネルギーが一定の場合において、このように露出面積を比較的小さくすることにより、破砕装置用電極において大きな破砕力を発生させることができる。なお、露出面積は22mm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは、露出面積は14mm以下である。
【0023】
上記1の局面における破砕装置用電極では、一方線状導電体が、第3の導電体と、第3の導電体とは一方線状導電体の延びる方向において間隙を隔てて配置された第4の導電体とを含んでいてもよい。
【0024】
この場合、第3の導電体と第4の導電体との間の間隙において、さらに別の放電を発生させることができる。この結果、放電の発生する個所の数をさらに増やすことができる。したがって、放電抵抗をより高めることができるので、破砕に利用されるエネルギーをより大きくすることができる。
【0025】
上記1の局面における破砕装置用電極では、第3の導電体を覆うように形成された第3の被覆部材と、第4の導電体を覆うように形成された第4の被覆部材とを備えていてもよい。第3および第4の被覆部材の少なくともいずれか一方では、間隙側の領域において第3の導電体または第4の導電体の表面を露出させる開口部が形成されていてもよく、開口部の面積は60mm未満であることが好ましい。
【0026】
この場合、第3または第4の導電体が間隙に対向する領域において露出する露出面積を60mm未満とすることができる。そして、破砕装置用電極に投入する電力エネルギーが一定の場合において、このように露出面積を比較的小さくすることにより、大きな破砕力を発生させることができる。なお、露出面積は60mm未満であれば十分な破砕力を得ることができるが、露出面積は22mm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは、露出面積は14mm以下である。
【0027】
上記1の局面における破砕装置用電極では、一方線状導電体が第4の導電体とは一方線状導電体の延びる方向において間隙を隔てて配置された1つ以上の別の導電体を含むことが好ましい。
【0028】
この場合、第4の導電体と別の導電体との間でさらに別の放電を発生させることができる。また、上記別の導電体が、間隙を隔てて形成された複数の導電体を含んでいれば、さらに多くの放電を発生させることができる。この結果、放電抵抗をより高めることができるので、破砕に利用されるエネルギーをより大きくすることができる。
【0029】
上記1の局面における破砕装置用電極では、別の導電体を覆うように形成された別の被覆部材を備えていてもよい。別の被覆部材では、間隙側の領域において別の導電体の表面を露出させる別の開口部が形成されていてもよく、別の開口部の面積は60mm未満であることが好ましい。
【0030】
この場合、別の導電体が間隙に対向する領域において露出する露出面積を60mm未満とすることができる。そして、破砕装置用電極に投入する電力エネルギーが一定の場合において、このように露出面積を比較的小さくすることにより、大きな破砕力を発生させることができる。なお、露出面積は60mm未満であれば十分な破砕力を得ることができるが、露出面積を22mm以下とすることがより好ましく、さらに好ましくは、露出面積は14mm以下である。
【0031】
上記1の局面における破砕装置用電極では、一方線状導電体の延びる方向において、第1の導電体と第2の導電体との間の間隙の位置が第3の導電体と第4の導電体との間の間隙の位置と異なることが好ましい。
【0032】
ここで、一方線状導電体の延びる方向において、第1の導電体と第2の導電体との間の間隙の位置が第3の導電体と第4の導電体との間の間隙の位置とほぼ等しい場合、破砕装置用電極に電流を供給すると、上記間隙が位置する部分にて一方線状導電体と他方線状導電体とが短絡することがある。このような短絡が発生すると、破砕装置用電極の先端部にまで電流が流れないことになる。この結果、破砕装置用電極において、短絡が発生した間隙より先端側の領域では放電が発生しないので、放電の発生する個所の数が減少する。この結果、放電抵抗が小さくなるので破砕に利用されるエネルギーが小さくなってしまう。しかし、上述のように第1の導電体と第2の導電体との間の間隙の位置が第3の導電体と第4の導電体との間の間隙の位置と異なるようにしておけば、この間隙において一方線状導電体と他方線状導電体とが短絡することを防止できる。その結果、放電の発生個所の数が減少することを防止できるので、破砕に用いられるエネルギーを確実に大きくすることができる。
【0033】
上記1の局面における破砕装置用電極は、一方線状導電体と他方線状導電体とを接続する固定部材をさらに備えることが好ましい。
【0034】
ここで、破砕装置用電極に電流を供給すると、一方線状導電体と他方線状導電体とには、それぞれ逆方向に電流が流れる。この結果、一方線状導電体と他方線状導電体とには、互いに離れる方向の力が作用する。しかし、固定部材の強度を充分大きくしておけば、一方導電線と他方導電線との相対的な位置を固定できる。この結果、上記力により破砕装置用電極の構造が変化する(一方線状電極と他方線状電極とが、互いに離れることにより、破砕装置用電極が変形する)ことを防止できる。
【0035】
上記1の局面における破砕装置用電極では、破砕装置用電極において放電を発生させることにより破砕装置用電極の周囲に配置された破砕対象物を破砕する前後において、一方線状導電体と他方線状導電体とを固定部材により保持することが可能なように、固定部材の強度が決定されていてもよい。
【0036】
この場合、破砕工程の前後において確実に一方線状導電体と他方線状導電体とを固定部材により所定の位置に保持できる。このため、破砕装置用電極が破砕工程により変形することを防止できるので、破砕装置用電極を繰返して使用することが可能になる。
【0037】
上記1の局面における破砕装置用電極では、破砕装置用電極において放電を発生させることにより破砕装置用電極の周囲に配置された破砕対象物を破砕する工程を実施する前では前記一方線状導電体と前記他方線状導電体とを前記固定部材により保持することができるとともに、破砕対象物を破砕するように破砕装置用電極において放電を発生させることにより、一方線状導電体と他方線状導電体とを固定部材により保持することができなくなるように、固定部材の強度が決定されていてもよい。
【0038】
この場合、破砕工程を実施すると、一方線状導電体と他方線状導電体とに電流を流すことにより発生するの電磁力を受けることにより、一方線状導電体および他方線状導電体は互いに離れる方向に飛散する。このとき、一方線状導電体と他方線状導電体とを飛散させる力は、破砕装置用電極に供給される電力エネルギーの大きさにもよるが、条件によっては単位長さ当たり数十トンといったオーダーになる。このような大きな力で一方線状導電体と他方線状導電体とが飛散するので、この飛散した一方線状導電体および他方線状導電体が破砕対象物に衝突することによっても破砕対象物を破壊できる。したがって、同じ電力エネルギーを用いた場合、破砕対象物をより大規模に破砕することができる。
【0039】
上記1の局面における破砕装置用電極では、一方線状導電体と他方線状導電体とが撚り合わせられていてもよい。
【0040】
この場合、上述のような固定部材を特に設けなくても、一方線状導電体と他方線状導電体とを互いに固定することができる。したがって、破砕装置用電極の構造を簡略化できる。
【0041】
上記1の局面における破砕装置用電極では、他方線状導電体が第1および第2の他方線状導電体を含んでいてもよい。第1の他方線状導電体は、第5の導電体と、第5の導電体とは一方線状導電体の延びる方向において間隙を隔てて配置された第6の導電体とを含んでいてもよい。第2の他方線状導電体は、第7の導電体と、第7の導電体とは一方線状導電体の延びる方向において間隙を隔てて配置された第8の導電体とを含んでいてもよい。
【0042】
この場合、破砕装置用電極において、一方線状導電体から上記第1の他方線状導電体に電流が流れる第1の回路と、一方線状導電体から上記第2の他方線状導電体に電流が流れる第2の回路とを構成することができる。この結果、第1の他方線状導電体における間隙で放電を発生させることができると同時に、第2の他方線状導電体における間隙においても放電を発生させることができる。したがって、放電の発生する個所の数をより増やすことができるので、破砕に用いられるエネルギーをより大きくすることができる。
【0043】
上記1の局面における破砕装置用電極は、中心軸に沿って延在するとともに外周面を有する中心導電体と、中心導電体の外周面上に配置された誘電体と、誘電体を囲むように配置された外周導電体とを含む同軸ケーブルをさらに備えていてもよい。一方線状導電体は中心導電体と接続されていてもよく、他方線状導電体は外周導電体と接続されていてもよい。
【0044】
この場合、破砕を行なう位置まで、中心導電体、誘電体および外周導電体を含むいわゆる同軸ケーブルをつかって、電力を移送できる。同軸ケーブルはそのインダクタンスが通常の平行2線などより小さいため、電極に伝送する電力のロスを少なくできる。
【0045】
また、同軸ケーブルは単位長さあたりのインダクタンスが小さいため、電源と破砕装置用電極とを接続する接続ケーブルとしてこの同軸ケーブルを利用すれば、破砕装置の回路において許容できるインダクタンスの範囲内で、接続ケーブルの長さを十分長くする事ができる。このため、破砕作業の作業性を向上させることができる。
【0046】
この発明の別の局面における破砕装置は、上記1の局面における破砕装置用電極を備える。
【0047】
このようにすれば、破砕能力の高い破砕装置を容易に得ることができる。
上記別の局面における破砕装置は破砕装置用電極を複数備えることが好ましい。
【0048】
この場合、破砕対象物に複数の下孔を形成し、この複数の下孔に上記破砕装置用電極をそれぞれ挿入した状態で破砕装置用電極に電流を投入すれば、破砕対象物のより広い範囲を一度に破砕することができる。
【0049】
また、破砕対象物において、たとえば所定の切断線上に整列するように複数の下孔を配置する場合を考える。この下孔に破砕装置用電極を挿入して、上述のように放電を発生させることで、上記切断線に沿って破砕対象物を破断することができる。また、下孔の位置を変更することにより、破砕対象物を破断する切断線の位置を任意に変更できる。
【0050】
上記別の局面における破砕装置は、正極端子と負極端子とを有する電源と、電源の正極端子と負極端子とのいずれか一方に接続された一方端部と、電源の正極端子と負極端子とのいずれか他方に接続された他方端部とを有する導電線とを備えていてもよい。導電線には、上記破砕装置用電極が複数形成されていてもよい。
【0051】
この場合、たとえば導電線の一部を折り曲げ、この折り曲げ部の先端部を切断すれば本発明の破砕装置用電極における一方線状導電線と他方線状導電線とを容易に形成できる。また、この折り曲げ部に位置する導電線の所定の個所を切断することにより、間隙を隔てて配置される第1および第2の導電体を容易に形成できる。このため、上記導電線に対して比較的簡単な加工を行なうことにより、本発明による破砕装置用電極を実現できる。
【0052】
また、上記のような加工を、導電線の複数の個所にて行なうことにより、破砕装置用電極を複数備える破砕装置を簡単に実現できる。
【0053】
上記別の局面における破砕装置は、正極端子と負極端子とを有する電源と、電源に接続され、互いに平行に延びるように固定された一方導電線と他方導電線とを含む並行導電線とを備えていてもよい。電源の正極端子および負極端子のいずれか一方に一方導電線が接続され、電源の正極端子と負極端子とのいずれか他方に他方導電線が接続されていてもよい。並行導電線には、上記破砕装置用電極が複数形成されていてもよい。
【0054】
この場合、一方導電線と他方導電線とに電源から電流を供給すれば、この並行導電線の先端部において、一方導電線と他方導電線との間の間隙に放電が発生することにより、一方導電線と他方導電線とを電源から供給された電流が流れることになる。そして、他方導電線の所定の個所を切断・除去することにより、第1の導電体と、この第1の導電体と間隙を介して配置される第2の導電体を容易に実現できる。つまり、上記他方導電線に対して比較的簡単な加工を行なうことにより、本発明による破砕装置用電極を実現できる。
【0055】
また、上記のような加工を、他方導電線、あるいは一方導電線の複数の個所にて行なうことにより、破砕装置用電極を複数備える破砕装置を簡単に実現できる。
【0056】
この発明の他の局面における破砕方法は、上記別の局面における破砕装置を用いた破砕方法であって、破砕対象物に複数の下穴を形成する工程と、複数の下穴のそれぞれに破砕装置用電極を挿入する工程と、複数の破砕装置用電極にほぼ同時に電流を供給することにより、破砕装置用電極において同時に放電を発生させて破砕対象物を破砕する工程とを備える。
【0057】
この場合、破砕対象物のより広い範囲を一度に効率よく破砕することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0059】
(実施の形態1)
図1は、本発明による電極およびその電極を用いた破砕装置の実施の形態1を説明するための模式図である。図2は、図1に示した電極の先端部を示す模式図である。図3は、図1に示した電極の先端部を示す斜視模式図である。図4は、図1に示した電極の先端部を示す断面模式図である。図1〜4を参照して、本発明による電極および破砕装置の実施の形態1を説明する。
【0060】
図1〜4を参照して、本発明による破砕装置は、破砕装置用電極である電極1とパルスパワー源6と電源9とを備える。パルスパワー源6はコンデンサ8、スイッチ7などを含む回路からなる。パルスパワー源6には電源9が接続されている。パルスパワー源6の回路は接地されている。パルスパワー源6に接続された電極1を構成する一方ケーブル3、他方ケーブル4、ケーブル部分5a〜5cは、導電体14を絶縁体13で被覆した単芯絶縁電線を用いて構成される。絶縁体13としては、プラスチック、ゴム、ビニール、絶縁性の樹脂などの誘電体を用いることができる。また、導電体14としては、銅、銀、アルミニウム、鉄などの電気導電性を有する金属を用いることができる。
【0061】
電極1は、ある方向に延在する一方ケーブル3と、この一方線状導電体としての一方ケーブル3が延びる方向と同じ方向に延在する他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cと、この一方ケーブル3と他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cとを固定するための固定部材12a〜12hとを備える。固定部材12a〜12hを構成する材料としては、電極1において放電を発生させることにより破砕対象物2を破砕する工程の前後において、一方ケーブル3と他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cとを固定部材12a〜12hにより保持することが可能なように、充分大きな強度を有する材料が選択されている。固定部材12a〜12hの材料としては、たとえばガラスなどの繊維を用いた強化繊維テープ、フッ素樹脂などを用いた絶縁体を含む絶縁テープ、金属線や金属テープなどを用いることができる。なお、金属線や金属テープについては、絶縁体を被覆したものを用いることが好ましい。
【0062】
他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cが他方線状導電体に対応する。図1〜4からもわかるように、一方ケーブル3の端部では、一方ケーブル3の延びる方向と同じ方向に延びるように第1の導電体としてのケーブル部分5aが配置されている。一方ケーブル3の端部とケーブル部分5aの端部との間にはギャップ17aが形成される。また、ケーブル部分5a〜5cは、それぞれ互いにギャップ17b、17cを介して対向するように配置されている。ケーブル部分5bが第2の導電体に対応する。また、他の導電体としてのケーブル部分5cは、他方ケーブル4とギャップ17dを介して対向するように配置されている。
【0063】
一方ケーブル3の延びる方向に対して垂直な方向において、一方ケーブル3を構成する導電体14の断面積を60mm未満とすることが好ましい。また、他方ケーブル4の延びる方向に対して垂直な方向において、他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cを構成する導電体14の断面積を60mm未満とすることが好ましい。このようにすれば、ギャップ17a〜17dに対向する領域における導電体14の露出面積(放電面積)を60mm未満とすることができる。そして、この場合、電極1に投入した電力量に対して充分大きな破砕力を得ることができる。また、ギャップ17a〜17dに対向する領域における導電体14の露出面積を22mm以下とすることがより好ましい。また、ギャップ17a〜17dに対向する領域での導電体14の露出面積を14mm以下とすることがより好ましい。
【0064】
電極1は、図1に示すように岩石などの破砕対象物2に形成された下孔10の内部に挿入される。下孔10の内部には電解液としての水11が配置されている。
【0065】
そして、パルスパワー源6のスイッチ7が閉じられたときに、コンデンサ8に蓄えられた電荷が電極1に導入されると、一方ケーブル3の端部とケーブル部分5aとの間に位置するギャップ17aにおいて第1の放電が発生し、アーク18aが形成される。また、ケーブル部分5aとケーブル部分5bとの間に位置するギャップ17bにおいても第2の放電が発生し、アーク18bが形成される。また、同様にケーブル部分5bとケーブル部分5cとの間に位置するギャップ17cにおいても放電が発生し、アーク18cが形成される。さらに、ケーブル部分5cと他方ケーブル4との間に位置するギャップ17dにおいて放電が発生し、アーク18dが形成される。このようにアーク18a〜18dが形成された領域では、電解液としての水11が放電エネルギーによってプラズマ化することにより、圧力波が発生する。この圧力波により、電極1の周囲の破砕対象物2を破壊することができる。
【0066】
このように、従来の電極においては端部の1箇所においてのみ放電が起きていたのに対して、本発明による電極1では間隙としてのギャップ17a〜17dという複数の領域において放電が起きる。また、ケーブル部分5a〜5cと同様の構造を有する他のケーブル部分を、ケーブル部分5a〜5cとギャップを介して配置すれば、電極において放電が発生する領域の数をさらに増加させることができる。このように放電が起きる個所の数を増加させることにより、電流値を一定にした場合において、従来より放電抵抗を増加させることができる。この放電により消費されるエネルギー(破砕に利用されるエネルギー)は電極1に供給される電流値の2乗×放電抵抗に比例するので、破砕に利用されるエネルギーを従来より確実に大きくできる。したがって、破砕装置の能力(破砕能力)を増大させる事ができる。
【0067】
また、第1、第2の導電体および他の導電体としてのケーブル部分5a〜5cは、他方ケーブル4を複数個所において切断・分割することにより、容易に作成できる。このため、たとえば同軸電極の外周電極を分割するような場合より、簡単な加工で本発明による破砕装置用電極である電極1およびこの電極1を用いた破砕装置を実現できる。したがって、電極1の製造工程を単純化できることから、電極1の製造コストが上昇することを防止できる。
【0068】
また、電極1に電流を供給すると、一方線状導電体としての一方ケーブル3と他方線状導電体としての他方ケーブル4、ケーブル部分5a〜5cとには、それぞれ逆方向に電流が流れる。この結果、一方ケーブル3と他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cとには、互いに離れる方向の力が作用する。しかし、固定部材12a〜12hの強度を充分大きくしているので、一方ケーブル3と他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cとの相対的な位置を固定できる。この結果、破砕工程を実施した後において、上記力により電極1の構造が変化することを防止できる。したがって、電極1を繰返し使用することができる。
【0069】
(実施の形態2)
図5は、本発明による破砕装置の実施の形態2において用いられる電極を示す斜視模式図である。図5は図3に対応し、破砕装置に設置される電極を示している。また、図6は、図5の線分VI−VIにおける断面を示す断面模式図である。図5および6を参照して、本発明による破砕装置の実施の形態2を説明する。
【0070】
図5および6を参照して、本発明による破砕装置の実施の形態2は、基本的には本発明による破砕装置の実施の形態1と同様の構造を備えるが、電極1の構造が異なる。すなわち、本発明による破砕装置の実施の形態2においては、一方ケーブル3が延びる方向と同じ方向に延びるように、直列に配置され、第1の他方線状導電体としてのケーブル部分5a〜5cと、このケーブル部分5a〜5cが配置された領域とは異なる領域において、一方ケーブル3が延びる方向と同じ方向に延びるようにケーブル部分15a〜15cが配置されている。第2の他方線状導電体としてのケーブル部分15a〜15cは、ギャップ17f、17gを介して直列に配置されている。ケーブル部分5a〜5cとケーブル部分15a〜15cとは、一方ケーブル3を介して対向するように配置されている。すなわち、ケーブル部分5a〜5cとケーブル部分15a〜15cとは並列に配置されている。ケーブル部分15a〜15cは、ケーブル部分5a〜5cおよび一方ケーブル3と同様に導電体14の周囲を絶縁体13が囲むように配置された単芯絶縁電線により構成されている。一方ケーブル3と、ケーブル部分5a〜5c、15a〜15cとは固定部材12a〜12fにより互いに固定されている。また、一方ケーブル3と同じ方向に延びるように他方ケーブル4が配置され、この一方ケーブル3と他方ケーブル4とは固定部材12g、12hにより互いに固定されている。
【0071】
図5および6に示した電極1に電流を投入することにより、一方線状導電体としての一方ケーブル3からケーブル部分5a〜5cを介して他方ケーブル4に電流が流れる第1の回路と、一方ケーブル3からケーブル部分15a〜15cを介して他方ケーブル4に電流が流れる第2の回路とを構成することができる。この結果、第1の回路に存在する間隙としてのギャップ17a〜17dにおいて放電を発生させることができると同時に、第2の回路に存在する間隙としてのギャップ17e〜17hにおいても放電を発生させることができる。したがって、放電の発生する個所の数を図1〜4に示した電極1より増やすことができるので、図1〜4に示した破砕装置と同様の効果を得られるとともに、破砕に用いられるエネルギーをより大きくすることができる。
【0072】
また、一方ケーブル3の延びる方向に対して垂直な方向において、一方ケーブル3を構成する導電体14の断面積を60mm未満とすることが好ましい。一方ケーブル3の延びる方向に対して垂直な方向において、他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5c、15a〜15cを構成する導電体14の断面積を60mm未満とすることが好ましい。このようにすれば、ギャップ17a〜17hに対向する領域における導電体14の露出面積(放電面積)を60mm未満とすることができる。そして、この場合、電極1に投入した電力量に対して充分大きな破砕力を得ることができる。また、ギャップ17a〜17hに対向する領域における導電体14の露出面積を22mm以下とすることがより好ましい。また、ギャップ17a〜17hに対向する領域での導電体14の露出面積を14mm以下とすることがより好ましい。
【0073】
図7は、図5および6に示した破砕装置の実施の形態2の変形例を説明するための断面模式図である。図7は図6に対応する。図7を参照して、本発明による破砕装置の実施の形態2の変形例を説明する。
【0074】
図7を参照して、本発明による破砕装置の実施の形態2の変形例は、基本的には図5および6に示した破砕装置と同様の構造を備えるが、一方ケーブル3に対するケーブル部分5a〜5c、15a〜15cの配置が異なる。すなわち、図5および6に示した破砕装置の電極においては、一方ケーブル3の中心点16aと、ケーブル部分5a〜5cの中心点16bとケーブル部分15a〜15cの中心点16cとはほぼ直線状に配置された状態になっている。一方、図7に示した破砕装置の電極においては、一方ケーブル3の中心点16aから見た場合に、ケーブル部分5a〜5cの中心点16bとケーブル部分15a〜15cの中心点16cとが角度θをなすように配置されている。
【0075】
そして、角度θを変更することにより、電極1において一方ケーブル3の延びる方向に対して垂直な面内での、放電の発生する領域の位置を任意に変更できる。この結果、破砕対象物2において、下孔10から見て任意の方向に、破砕のエネルギーを集中させることが可能になる。
【0076】
(実施の形態3)
図8は、本発明による破砕装置の実施の形態3を説明するための斜視模式図である。図8は図3に対応し、破砕装置の電極1を示している。図8を参照して、本発明による破砕装置の実施の形態3を説明する。
【0077】
図8を参照して、本発明による破砕装置の実施の形態3は基本的には図1〜4に示した破砕装置と同様の構造を備えるが、電極1の構造が異なっている。すなわち、図8に示した破砕装置の電極1は、一方ケーブル3と、他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5dとが互いに撚り合わされた形状となっている。そして、一方ケーブル3と他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5dとは、固定部材12a〜12mにより互いにその配置が固定されている。
【0078】
電極1に電流を供給した場合、一方ケーブル3の端部とケーブル部分5aの端部との間のギャップ17aにおいて放電が発生し、アークが形成される。また、ケーブル部分5a〜5dおよび他方ケーブル4の間に形成されるギャップ17b〜17eにおいても、放電が発生することによりアークが形成される。このように、放電を発生させる個所の数を増加させることができるので、本発明の実施の形態1における破砕装置と同様の効果を得ることができる。
【0079】
また、図8に示した電極1には固定部材12a〜12mを設けているが、このような固定部材12a〜12mを特に設けなくてもよい。図8に示した電極1では、一方ケーブル3と他方線状導電体としての他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5dとを撚り合わせることにより互いに固定することができる。この場合、電極1の構造を簡略化できる。
【0080】
また、一方ケーブル3の延びる方向に対して垂直な方向において、一方ケーブル3を構成する導電体14の断面積を60mm未満とすることが好ましい。また、他方ケーブル4の延びる方向に対して垂直な方向において、他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5dを構成する導電体14の断面積を60mm未満とすることが好ましい。このようにすれば、ギャップ17a〜17eに対向する領域における導電体14の露出面積を60mm未満とすることができる。そして、この場合、電極1に投入した電力量に対して充分大きな破砕力を得ることができる。また、ギャップ17a〜17eに対向する領域における導電体14の露出面積を22mm以下とすることがより好ましい。また、ギャップ17a〜17eに対向する領域での導電体14の露出面積を14mm以下とすることがより好ましい。
【0081】
(実施の形態4)
図9は、本発明による破砕装置の実施の形態4を説明するための斜視模式図である。図9は図3に対応し、破砕装置の電極1を示している。図10は、図9に示した破砕装置の電極の先端部を示す断面模式図である。図10は図4に対応する。図9および10を参照して、本発明による破砕装置の実施の形態4を説明する。
【0082】
図9および10を参照して、本発明による破砕装置の実施の形態4は、基本的には図1〜4に示した破砕装置と同様の構造を備えるが、電極1の構造が異なる。すなわち、電極1においては、一方ケーブル3の複数箇所が切断されることにより、第1、第2の導電体および別の導電体としてのケーブル部分19a〜19cが形成されている。ケーブル部分19a〜19cの間にはギャップ17e、17fが形成される。ケーブル部分19cと一方ケーブル3との間にはギャップ17gが形成されている。そして、一方ケーブル3、ケーブル部分5a〜5c、19a〜19cおよび他方ケーブル4はそれぞれ互いに固定部材12a〜12hにより固定されている。
【0083】
図9および10に示した電極1に電流を供給する場合、ギャップ17a〜17dに加えてギャップ17e〜17gにおいても放電を発生させることによりアークを形成することができる。このように、放電を発生させる個所の数を増加させることができるので、本発明の実施の形態1における破砕装置よりさらに破砕に利用されるエネルギーを大きくすることができる。
【0084】
また、一方ケーブル3、ケーブル部分19a〜19cの間に形成されるギャップ17e〜17gの位置は、この一方ケーブル3が延びる方向において、他方ケーブル4、ケーブル部分5a〜5cの間に形成されるギャップ17b〜17dの位置とは異なっている。
【0085】
ここで、一方ケーブル3の延びる方向において、たとえばギャップ17cの位置がギャップ17fの位置とほぼ等しい場合を考える。この場合、電極1に電流を供給すると、ギャップ17cとギャップ17fとが近接していることからケーブル部分5cとケーブル部分19cとが短絡することがある。このような短絡が発生すると、電極1の先端部(つまり、ケーブル部分5a、5b、19a、19b)にまで電流が流れないことになる。この結果、電極1において、短絡が発生したギャップ17c、17fより先端側のギャップ17a、17b、17eでは放電が発生しないので、放電の発生する個所の数が減少する。この結果、放電抵抗が小さくなるので破砕に利用されるエネルギーが小さくなってしまう。しかし、上述のようにギャップ17b〜17dの位置がギャップ17e〜17gの位置と異なるようにしておけば、このギャップ17b〜17gにおいてケーブル部分5b、5c、19b、19cが短絡することを防止できる。その結果、放電の発生個所の数が減少することを防止できるので、破砕に用いられるエネルギーを確実に大きくすることができる。
【0086】
また、一方ケーブル3の延びる方向に対して垂直な方向において、一方ケーブル3およびケーブル部分19a〜19cを構成する導電体14の断面積を60mm未満とすることが好ましい。また、他方ケーブル4の延びる方向に対して垂直な方向において、他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cを構成する導電体14の断面積を60mm未満とすることが好ましい。このようにすれば、ギャップ17a〜17gに対向する領域における導電体14の露出面積を60mm未満とすることができる。この場合、電極1に投入した電力量に対して充分大きな破砕力を得ることができる。また、ギャップ17a〜17gに対向する領域における導電体14の露出面積を22mm以下とすることがより好ましい。また、ギャップ17a〜17gに対向する領域での導電体14の露出面積を14mm以下とすることがより好ましい。
【0087】
(実施の形態5)
図11は、本発明による破砕装置の実施の形態5を説明するための斜視模式図である。図11は図3に対応し、破砕装置の電極を示す。図11を参照して、本発明による破砕装置の実施の形態5を説明する。
【0088】
図11を参照して、本発明による破砕装置の実施の形態5は、基本的には図1〜4に示した破砕装置と同様の構成を備える。ただし、図11に示すように、電極1の構造が異なる。すなわち、本発明による破砕装置の実施の形態5においては、電極1を構成する一方ケーブル3と他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cを保持するため、図1〜4に示した破砕装置における固定部材よりも強度の低い保持部材20a〜20hを用いている。
【0089】
図11に示した破砕装置では、図1〜4に示した破砕装置と同様の効果を得ることができる。また、電極1にパルスパワー源6から電流を投入することにより、ギャップ17a〜17dにおいてアークが発生する際には、一方ケーブル3の導電体14中を流れる電流の方向と、他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cの導電体14中を流れる電流の方向とは逆方向になる。この結果、一方ケーブル3と、他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cとの間には互いに離れる方向の力が作用する。このとき、たとえば導電体14の直径が数mm、電極1に投入される電流の電流値が数百kAというレベルである場合を考えると、この一方ケーブル3および他方ケーブル4、ケーブル部分5a〜5cに対して作用する力はこの電極1の長さ1m当たり数10トンというレベルに達する。
【0090】
そこで、このような大きな力が作用したときに一方ケーブル3、他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cがこの力によって互いに離れる方向に飛散できるように、比較的弱い強度を有する材料により保持部材20a〜20hを構成する。この結果、電極1に電流を投入してギャップ17a〜17dにおいて放電を発生させた際には、この放電による圧力波によって破砕対象物を破砕することができるとともに、一方ケーブル3、他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cが飛散することになる。そして、飛散した一方ケーブル3、他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cが破砕対象物に衝突することにより、破砕対象物を破壊することができる。つまり、飛散した一方ケーブル3、他方ケーブル4およびケーブル部分5a〜5cが破砕対象物に衝突する衝撃力を、破砕対象物を破砕するための力として利用することができる。
【0091】
(実施の形態6)
図12は、本発明による破砕装置の実施の形態6を説明するための模式図である。図12を参照して、本発明による破砕装置の実施の形態6を説明する。
【0092】
図12を参照して、本発明による破砕装置の実施の形態6は、基本的には図1〜4に示した破砕装置と同様の構造を備える。ただし、図12に示した破砕装置では、図1〜4に示した電極を構成する単芯絶縁電線を用いて、電気的に直列に接続された電極1a〜1dを形成している。すなわち、パルスパワー源6(図1参照)に接続された単芯絶縁電線であるケーブル21が、破砕対象物2に形成された下孔10aの内部にまで延在するように配置されている。破砕対象物2には、複数の下孔10a〜10dが形成されている。そして、このケーブル21が延びる方向と同じ方向に延在するように、ケーブル部分22a〜22dがギャップ17b〜17dを介して配置されている。また、ケーブル21の先端部とケーブル部分22aとの間にもギャップ17aが形成されている。
【0093】
ケーブル21とケーブル部分22a〜22dとは、図示していないが図1〜4に示した破砕装置における電極1と同様に固定部材によって互いに固定されている。このケーブル21とケーブル部分22a〜22dとにより第1の電極1aが構成されている。ケーブル部分22a〜22dは、ケーブル21を折り曲げた後、の所定の位置(ギャップ17a〜17dが位置する領域)を切断することにより容易に形成できる。
【0094】
また、この第1の電極1aを構成するケーブル部分22dの終端24は、別の下孔10bの内部にまで延在するように配置されている。そして、下孔10bの内部において、ケーブル部分22dが延びる方向と同じ方向に延びるように、ケーブル部分22e〜22hがギャップ17e〜17hを介して配置されている。このケーブル部分22d〜22hによって第2の電極1bが構成される。
【0095】
そして、下孔10c、10dの内部に配置するように、第1および第2の電極1a、1bと同様の構造を備える第3および第4の電極1c、1dが配置されている。第3の電極1cは、ケーブル部分22h〜22mにより構成される。ケーブル部分22h〜22mは、ギャップ17i〜17k、17mを介して配置される。また、ケーブル部分22i〜22mは、ケーブル部分22hの延びる方向と同じ方向に延びるように直線状に配置されている。
【0096】
また、第4の電極1dは、ケーブル部分22m〜22rからなる。ケーブル部分22m〜22rは、ギャップ17n〜19qを介して互いに間隔を隔てて配置されている。また、ケーブル部分22m〜22rは、ケーブル部分22mが延びる方向と同じ方向に直線状に配置されている。
【0097】
このように複数の電極1a〜1dをそれぞれ下孔10a〜10dの内部に挿入するとともに、下孔10a〜10dの内部に媒体である電解液としての水11を配置する。そして、ケーブル21およびケーブル部分22rが接続されたパルスパワー源(図示せず)から、電極1a〜1dに電力を供給する。このようにすれば、ギャップ17a〜17k、17m〜17qにおいてほぼ同時に放電を発生させることができる。この放電に起因する圧力波により、破砕対象物2を破壊することができる。また、ケーブル21およびケーブル部分22a〜22rを構成する単芯絶縁電線を構成する導電線の断面積は、60mm未満とすることが好ましい。このようにすれば、ギャップ17a〜17k、17m〜17qに対向するケーブル21およびケーブル部分22a〜22rにおいて単芯絶縁電線を構成する導電線の露出面積を60mm未満とすることができる。また、ギャップ17a〜17k、17m〜17qに対向するケーブル21およびケーブル部分22a〜22rの上記導電線の露出面積を22mm以下とすることがより好ましく、さらに、上記導電線の露出面積を14mm以下とすることがより好ましい。
【0098】
このように、複数の電極1a〜1dを配置することにより、破砕対象物2のより広い範囲を一度に効率よく破砕することができる。
【0099】
また、電極1a〜1dでは、本発明の実施の形態1における破砕装置の電極と同様に、複数のギャップ17a〜17k、17m〜17qが形成されているので、破砕に利用されるエネルギーを従来より大きくすることができる。
【0100】
また、破砕対象物2において、所定の切断線(破壊しようとする領域)上に整列するように複数の下孔10a〜10dを配置する場合を考える。この下孔10a〜10dに電極1a〜1dをそれぞれ挿入して、上述のように放電を発生させることで、上記切断線に沿って破砕対象物2を破断することができる。また、下孔10a〜10dの位置を変更することにより、破砕対象物2を破断する切断線(破断面)の位置を任意に変更できる。
【0101】
(実施の形態7)
図13は、本発明による破砕装置の実施の形態7を説明するための模式図である。図13を参照して、本発明による破砕装置の実施の形態7を説明する。
【0102】
図13を参照して、破砕装置は基本的には図12に示した破砕装置と同様の構造を備えるが、電極1a〜1dの構造が図12に示した破砕装置と異なる。すなわち、図12に示した破砕装置では、単芯絶縁電線を用いて電極1a〜1cを構成したが、図13に示した破砕装置では、2本の導電線が互いに平行に延びるように絶縁体で固定された並行2軸導電線を用いて電極1a〜1dを構成する。
【0103】
電極1a〜1dは、以下のようにして形成することができる。すなわち、並行2軸導電線を構成する2本の導電線のうち、一方の導電線の所定の場所を切断、削除することにより、ギャップ17b〜17qを形成する。このようにすれば、2本の並行して延びる導電線のうちの一方を、ケーブル部分22a〜22k、22m〜22qに分割することができる。一方、2本の導電線のうちの他方の導電線であるケーブル21は、途中で切断されることなく先端部(ケーブル部分22aが位置する領域)にまで延在するように配置される。
【0104】
そして、この並行2軸導電線を下孔10a〜10dの内部に配置することが可能なように適宜折り曲げることにより、図13に示すように複数の電極1a〜1dを備える破砕装置を容易に実現できる。すなわち、ケーブル21の先端部とケーブル部分22a〜22dとが電極1aを構成する。ケーブル21の一部であるケーブル部分23cとケーブル部分22d〜22hとが電極1bを構成する。ケーブル21の一部であるケーブル部分23bとケーブル部分22h〜22k、22mが電極1cを構成する。ケーブル21の一部であるケーブル部分23aとケーブル部分22m〜22qが電極1dを構成する。このように、並行2軸導電線を用いることにより、比較的簡単な加工により本発明の電極1a〜1dおよび破砕装置を実現できる。また、並行2軸導電線の一方または他方の導電線において、任意の位置を切断・除去することにより、任意の位置に、また任意の数だけ電極を形成することができる。
【0105】
なお、並行2軸導電線を構成するケーブル21およびケーブル部分22a〜22qにおける導電線の断面積は、60mm未満とすることが好ましい。このようにすれば、ギャップ17a〜17k、17m〜17qに対向するケーブル21およびケーブル部分22a〜22qにおいて導電体としての上記導電線の露出面積を60mm未満とすることができる。また、ギャップ17a〜17k、17m〜17qに対向するケーブル21およびケーブル部分22a〜22qの上記導電線の露出面積を22mm以下とすることがより好ましく、さらに、上記導電線の露出面積を14mm以下とすることがより好ましい。
【0106】
そして、下孔10a〜10dの内部に水11を配置した後、本発明による破砕装置における破砕方法と同様にパルスパワー源からケーブル21およびケーブル部分22qを介して電極1a〜1dに電流を供給することにより、ギャップ17a〜17k、17m〜17qにおいて放電を発生させる。この結果、図12に示した破砕装置を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0107】
なお、上述した本発明による破砕装置の実施の形態6および7においては、本発明の実施の形態1による破砕装置における電極1と同じ構造の電極を用いているが、本発明による破砕装置の実施の形態2〜5に示した電極を適用してもよい。
【0108】
(実施の形態8)
図14は、本発明による破砕装置の実施の形態8を説明するための模式図である。図14は図1に対応する。図14を参照して、破砕装置を説明する。
【0109】
図14を参照して、破砕装置は図1に示した破砕装置と同様の構造を備えるが、電極1とパルスパワー源6との接続部が異なる。すなわち、図14に示した破砕装置では、電極1とパルスパワー源6との接続に同軸ケーブル29を用いている。同軸ケーブル29は、中心導電体26と、この中心導電体26の外周面上に配置された絶縁体27と、絶縁体上において、中心導電体26と絶縁体27とを囲むように配置された外周導電体28とを備える。同軸ケーブル29の一方端部では、中心導電体26に電極1の一方ケーブル3が接続され、外周導電体28に他方ケーブル4が接続されている。同軸ケーブル29の他方端部は、パルスパワー源6に接続されている。
【0110】
このようにすれば、パルスパワー源6から破砕地点までの大部分を同軸ケーブル29により電力を移送できる。同軸ケーブル29はインダクタンスが小さく、およそ1mあたり0.1μHである。したがって、電力の移送ロスを小さくできる。
【0111】
そして、破砕地点まで同軸ケーブル29により電力を移送した後は、本発明の実施の形態1〜7に示したような平行2線を用いた電極1と同軸ケーブル29とを接続して、この平行2線を用いた電極1により破砕を行なう。
【0112】
一方ケーブル3および他方ケーブル4などの平行2線を用いた電極では、ケーブルの一部を切断、除去するといった簡単な加工により複数のギャップを容易に形成することができる。しかし、このような平行2線は1mあたりのインダクタンスが約1μHであり、同軸ケーブル29と比べるとインダクタンスが大きい。したがって、パルスパワー源6から破砕地点までの長い距離に平行2線を敷設すると、破砕装置における全回路インダクタンスが大きくなってしまう。この結果、パルス波形がなまってしまい、電極1に速い立ち上りの電力を投入することが難しくなる。
【0113】
そこで、図14に示すように、破砕地点までは同軸ケーブル29にて電力を移送し、破砕地点近傍で平行2線からなる電極1にこの同軸ケーブル29を接続した破砕装置の構成を用いれば、破砕装置の全回路インダクタンスを小さくする事ができるとともに、容易に加工可能な電極1を備える破砕装置を実現できる。
【0114】
たとえば、破砕装置の全回路インダクタンスを2μHに設定する場合、パルスパワー源6から全経路を平行2線で構成すると、この平行2線の長さを2m以下にしなければならない。しかし、平行2線の部分を1mとし、この平行2線に同軸ケーブルを10m接続すれば、全回路インダクタンスを同じにしたまま、ケーブルの長さを5倍以上に延長することができる。この結果、ケーブルのとりまわしなど、破砕作業の作業性を向上させることができる。なお、平行2線で10mのケーブル長とした場合、インダクタンスは20μHとなる。
【0115】
図14に示した破砕装置の効果を確認するため、破砕装置の等価回路を図15に示すような回路と仮定して、ケーブルのインダクタンスに対応するインダクタンスの値を2μHおよび20μHと変更した状態で、それぞれ回路に流れる電流の波形をシミュレーションにより求めた。図15は、破砕装置の等価回路図である。シミュレーション結果を図16に示す。なお、シミュレーションには一般的なシミュレーションソフト(たとえばOrCAD,Inc(R)社製のPSpice(R)などのシミュレーションソフトウェア)を用いた。
【0116】
図16は、図15に示した回路での電流波形をシミュレーションした結果を示すグラフである。図16を参照して、回路のインダクタンスが20μHとなった場合は、回路のインダクタンスが2μHである場合と比較して、電流値のピーク値が約半分になり、また、電流値のピークに到達するまでの時間が約3倍程度となっている。すなわち、インダクタンスが20μHと大きくなると、電極に速い立ち上がりの電力投入をすることは困難である事がわかる。
【0117】
本発明のように、薬物の化学反応に依存せず放電に起因する圧力波を利用する破砕システムにおいては、電極に対して速い立ち上がりの電力投入を行なう事は必要不可欠である。したがって、本発明のような放電に起因する圧力波を利用する破砕装置において、図14に示したような装置構成は特に効果が大きい。
【0118】
なお、図14に示した、電極1とパルスパワー源6との接続に同軸ケーブル29を適用する構成を、本発明の実施の形態1〜7に適用する事もできる。この場合も、同様の効果を得ることができる。
【0119】
【実施例】
本願発明の効果を確認するため、200MPa級の岩石を産出する採石場において、流紋岩の転石を用いて破砕実験を行なった。図17を参照して、破砕実験について説明する。なお、図17は、破砕実験を説明するための模式図である。
【0120】
図17に示すように、実験では、まず破砕対象物2としての上記転石に下孔10を形成した。転石の体積は約1mである。下孔10の内径Dは75mmであり、深さは500mmである。そして、直径の異なる単芯被覆導電線を用いて、本発明の実施の形態1に示したような電極を形成した。電極1では、単芯被覆導電線の4箇所を切断・除去することにより、ギャップを4箇所形成した。なお、このようなギャップを形成することにより、電極1は単芯被覆導電線からなる一方ケーブル3と、他方ケーブル4とケーブル部分5a〜5cとから構成されることになる。なお、単芯被覆導電線は導電体14の外周を絶縁体13が覆った構造となっている。このような形状の電極を、直径の異なる単芯被覆導電線を用いて4種類作成した。
【0121】
そして、それぞれの電極の試料を下孔10に挿入した後、下孔10中に電解液としての水11を配置した。そして、電極1に所定の電流を供給することにより転石の破砕実験を行なった。実験では、電極1に全回路インダクタンスが2μH、回路抵抗が20mΩの伝送線路を経て、静電容量が2μFのコンデンサバンクを接続した。そして、コンデンサバンクへの充電電圧を変更した状態で、転石の破砕状態を比較した。実験結果を、表1に示す。
【0122】
【表1】
Figure 0003563367
【0123】
表1からわかるように、導電線の導電体部分の断面積が100mmである電極(端面25における導電体14の露出面積が100mmである電極)を用いた場合、電極での電気抵抗は小さいにも関わらず、また、コンデンサ8での充電電圧を16kVとし、電極に印加したエネルギーを256kJという比較的大きな値にしたにも関わらず、転石を完全に破壊することができず、クラックが少し発生する程度であった。これは、断面積が60mmの電極においても同様であった。
【0124】
一方、導電線の導電体部分の断面積が22mmである電極を用いた場合、コンデンサ8での充電電圧を13kVとし、電極に印加したエネルギーの値を169kJという比較的小さな値としても、転石をばらばらに破砕することができた。さらに、断面積14mmの電極を用いても同様の結果であった。なお、上記実験においては、転石ごとのばらつきの影響を無くすために、それぞれの電極ごとに3回破砕実験を行なったが、いずれの実験においても同様の結果を得た。
【0125】
このように、電極の導電体の断面積、つまりギャップにおける導電体の露出面積が小さい方が、より少ないエネルギーで大きな破砕力を得ることができる。つまり、電極に印可するエネルギーが等しい場合、ギャップでの導電体の露出面積が小さい方が、大きな破砕力を得ることができることがわかる。また、上記実験より、導電体の露出面積(放電面積)が22mm2以下であれば、十分な破砕力を得ることができることがわかる。
【0126】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0127】
【発明の効果】
このように、本発明によれば、導電線を部分的に切断・除去するというような簡単な加工により、破砕に利用されるエネルギーを大きくする事が可能な破砕装置用電極、この破砕装置用電極を用いた破砕装置およびそれらを用いた破砕方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電極およびその電極を用いた破砕装置の実施の形態1を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した電極の先端部を示す模式図である。
【図3】図1に示した電極の先端部を示す斜視模式図である。
【図4】図1に示した電極の先端部を示す断面模式図である。
【図5】本発明による破砕装置の実施の形態2において用いられる電極を示す斜視模式図である。
【図6】図5の線分VI−VIにおける断面を示す断面模式図である。
【図7】図5および6に示した破砕装置の実施の形態2の変形例を説明するための断面模式図である。
【図8】本発明による破砕装置の実施の形態3を説明するための斜視模式図である。
【図9】本発明による破砕装置の実施の形態4を説明するための斜視模式図である。
【図10】図9に示した破砕装置の電極の先端部を示す断面模式図である。
【図11】本発明による破砕装置の実施の形態5を説明するための斜視模式図である。
【図12】本発明による破砕装置の実施の形態6を説明するための模式図である。
【図13】本発明による破砕装置の実施の形態7を説明するための模式図である。
【図14】本発明による破砕装置の実施の形態8を説明するための模式図である。
【図15】破砕装置の等価回路図である。
【図16】図15に示した回路での電流波形をシミュレーションした結果を示すグラフである。
【図17】破砕実験を説明するための模式図である。
【図18】従来の破砕装置を示す模式図である。
【図19】図18に示した破砕装置の基本的な構成を示す模式図である。
【図20】図19に示した電極の先端部を示す部分拡大模式図である。
【符号の説明】
1,1a〜1d 電極、2 破砕対象物、3 一方ケーブル、4 他方ケーブル、5a〜5d,15a〜15c,19a〜19c,22a〜22k,22m〜22r,23a〜23c ケーブル部分、6 パルスパワー源、7 スイッチ、8 コンデンサ、9 電源、10,10a〜10d 下孔、11 水、12a〜12k 固定部材、13 絶縁体、14 導電体、16a〜16c 中心点、17a〜17k,17m〜17q ギャップ、18a〜18d アーク、20a〜20h 保持部材、21 ケーブル、24 終端、25 端面、26 中心導電体、27 絶縁体、28 外周導電体、29 同軸ケーブル。

Claims (20)

  1. ある方向に延在する一方線状導電体と、
    前記一方線状導電体の延びる方向と同じ方向に延在し、前記一方線状導電体と誘電体を介して対向する他方線状導電体と
    前記一方線状導電体を覆うように形成された一方被覆部材と、
    前記他方線状導電体を覆うように形成された他方被覆部材とを備え、
    前記他方線状導電体は、
    第1の導電体と、
    前記第1の導電体とは前記一方線状導電体の延びる方向において間隙を隔てて配置された第2の導電体とを含み、
    前記他方被覆部材は、
    前記第1の導電体を覆うように形成された第1の被覆部材と、
    前記第2の導電体を覆うように形成された第2の被覆部材とを含む、破砕装置用電極。
  2. 記第1および第2の被覆部材の少なくともいずれか一方では、前記間隙側の領域において前記第1の導電体または前記第2の導電体の表面を露出させる開口部が形成され、
    前記開口部の面積は60mm2未満である、請求項1に記載の破砕装置用電極。
  3. 前記他方線状導電体は、前記第2の導電体とは前記一方線状導電体の延びる方向において間隙を隔てて配置された1つ以上の他の導電体を含む、請求項1または2に記載の破砕装置用電極。
  4. 前記他の導電体を覆うように形成された他の被覆部材を備え、
    前記他の被覆部材では、前記間隙側の領域において前記他の導電体の表面を露出させる他の開口部が形成され、
    前記他の開口部の面積は60mm未満である、請求項3に記載の破砕装置用電極。
  5. 前記一方線状導電体は、
    第3の導電体と、
    前記第3の導電体とは前記一方線状導電体の延びる方向において間隙を隔てて配置された第4の導電体とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  6. 前記第3の導電体を覆うように形成された第3の被覆部材と、
    前記第4の導電体を覆うように形成された第4の被覆部材とを備え、
    前記第3および第4の被覆部材の少なくともいずれか一方では、前記間隙側の領域において前記第3の導電体または前記第4の導電体の表面を露出させる開口部が形成され、
    前記開口部の面積は60mm未満である、請求項5に記載の破砕装置用電極。
  7. 前記一方線状導電体は、前記第4の導電体とは前記一方線状導電体の延びる方向において間隙を隔てて配置された1つ以上の別の導電体を含む、請求項5または6に記載の破砕装置用電極。
  8. 前記別の導電体を覆うように形成された別の被覆部材を備え、
    前記別の被覆部材では、前記間隙側の領域において前記別の導電体の表面を露出させる別の開口部が形成され、
    前記別の開口部の面積は60mm未満である、請求項7に記載の破砕装置用電極。
  9. 前記一方線状導電体の延びる方向において、前記第1の導電体と前記第2の導電体との間の前記間隙の位置は、前記第3の導電体と前記第4の導電体との間の前記間隙の位置と異なる、請求項5〜8のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  10. 前記一方線状導電体と前記他方線状導電体とを接続する固定部材をさらに備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  11. 前記破砕装置用電極において放電を発生させることにより、前記破砕装置用電極の周囲に配置された破砕対象物を破砕した前後において、前記一方線状導電体と前記他方線状導電体とを前記固定部材により保持することが可能なように、前記固定部材の強度が決定されている、請求項10に記載の破砕装置用電極。
  12. 前記破砕装置用電極において放電を発生させることにより前記破砕装置用電極の周囲に配置された破砕対象物を破砕する工程を実施する前では前記一方線状導電体と前記他方線状導電体とを前記固定部材により保持することができるとともに、前記破砕対象物を破砕するように前記破砕装置用電極において放電を発生させることにより、前記一方線状導電体と前記他方線状導電体とを前記固定部材により保持することができなくなるように、前記固定部材の強度が決定されている、請求項10に記載の破砕装置用電極。
  13. 前記一方線状導電体と前記他方線状導電体とが撚り合わせられている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  14. 前記他方線状導電体は、第1および第2の他方線状導電体を含み、
    前記第1の他方線状導電体は、
    第5の導電体と、
    前記第5の導電体とは前記一方線状導電体の延びる方向において間隙を隔てて配置された第6の導電体とを含み、
    前記第2の他方線状導電体は、
    第7の導電体と、
    前記第7の導電体とは前記一方線状導電体の延びる方向において間隙を隔てて配置された第8の導電体とを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  15. 中心軸に沿って延在するとともに、外周面を有する中心導電体と、前記中心導電体の外周面上に配置された誘電体と、前記誘電体を囲むように配置された外周導電体とを含む同軸ケーブルをさらに備え、
    前記一方線状導電体は前記中心導電体と接続され、
    前記他方線状導電体は前記外周導電体と接続される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の破砕装置用電極。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の破砕装置用電極を備える破砕装置。
  17. 前記破砕装置用電極を複数備える、請求項16に記載の破砕装置。
  18. 正極端子と負極端子とを有する電源と、
    前記電源の正極端子と負極端子とのいずれか一方に接続された一方端部と、前記電源の正極端子と負極端子とのいずれか他方に接続された他方端部とを有する導電線とを備え、
    前記導電線には、前記破砕装置用電極が複数形成されている、請求項16に記載の破砕装置。
  19. 正極端子と負極端子とを有する電源と、
    前記電源に接続され、互いに平行に延びるように固定された一方導電線と他方導電線とを含む並行導電線とを備え、
    前記電源の正極端子および負極端子のいずれか一方に一方導電線が接続され、
    前記電源の正極端子と負極端子とのいずれか他方に他方導電線が接続され、
    前記並行導電線には、前記破砕装置用電極が複数形成されている、請求項16に記載の破砕装置。
  20. 請求項17〜19のいずれか1項に記載の破砕装置を用いた破砕方法であって、
    破砕対象物に複数の下穴を形成する工程と、
    前記複数の下穴のそれぞれに、前記破砕装置用電極を挿入する工程と、
    前記複数の破砕装置用電極にほぼ同時に電流を供給することにより、前記破砕装置用電極において同時に放電を発生させて破砕対象物を破砕する工程とを備える、破砕方法。
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