JP4777775B2 - 金属体の加工方法及び金属体の加工装置 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、金属組織を有する金属体等の物体の金属組織を微細化することにより高強度化あるいは高延性化、あるいは均質化を図る金属体の加工方法、及び金属体の加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属体のように金属組織を有している材料では、ECAP(Equal−Channel Angular Pressing)法によって金属組織を微細化することにより、その材料の強度の向上あるいは延性の向上が可能であることが知られている。
【0003】
ECAP法では、図33に示すように、ダイ100に中途部で所要の角度に屈曲させた挿通路200を設けておき、この挿通路200に所要の金属体300を押圧しながら挿通させることによって金属体300を挿通路200に沿って屈曲させ、屈曲にともなって金属体300に剪断応力を生起し、この剪断応力によって金属組織を微細化しているものである。図33中、400は金属体を押圧するプランジャである。
【0004】
このようなECAP法では、挿通路200に沿って金属体300を屈曲させやすくするために、ダイ100を所定温度に加熱することにより金属体300全体を加熱して変形抵抗を低下させているが、金属体300の変形抵抗を大きく低下させた場合には、プランジャ400による押圧の際に金属体300に座屈等の余計な変形を生じさせるおそれがあるので、金属体300の加熱は必要最小限に抑制する必要があった。
【0005】
このように金属体300の加熱を抑制すると、金属体300はプランジャ400によって比較的大きな力で押圧しなければならないために加工性が悪いという問題があった。そこで、特開2001−321825号の金属材料の加工方法及びその装置では、金属体に剪断応力が作用する挿通路の剪断変形領域を局部的に加熱して、この加熱によって金属体の剪断変形部分の変形抵抗を低減させることによりプランジャで金属体を押圧する力を小さくし、加工性を向上させることが提案されている。
【0006】
しかしながら、通常、金属製のダイにおいてその一部を局部的に加熱した場合には、熱拡散の影響によってダイ全体が所定温度に加熱されることとなり、局部的な加熱領域を形成することが困難であった。
【0007】
そのため、挿通路を挿通されている間、金属体は所定温度に加熱され続けることによって、剪断応力により微細化した金属組織に粗大化が生じるおそれがあった。しかも、ECAP法では消耗品であるダイを用いなければならないことによって、ダイの耐久条件に基づく交換が必要であるために、製造コストが高騰するという問題も有していた。
【0008】
このような状況において、昨今では、特に自動車業界において燃費の向上あるいは走行性能の向上を目的として車体等の軽量化が望まれており、高級自動車だけでなく一般車でも金属組織を微細化することにより高強度化を図った金属体を利用して軽量化することに対する大きな要求があり、低価格の高強度化あるいは高延性化された金属体に対する大きな潜在的需要が存在していた。
【0009】
本発明者らは、このような現状に鑑み、金属組織を微細化することにより高強度化あるいは高延性化を図った各種の金属体を低コストで製造可能とすべく研究開発を行って、本発明を成すに至ったものである。
【発明の開示】
【0010】
請求項1記載の発明では、金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させることにより金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域において低下している変形抵抗を増大させて非低変形抵抗領域を形成する非低変形抵抗領域形成手段により、低変形抵抗領域に沿って非低変形抵抗領域を形成することとした。これにより、局部的に形成した低変形抵抗領域部分の金属組織を効率よく微細化することができる。
【0011】
請求項2記載の発明では、一方向に伸延した金属体の変形抵抗を局部的に低下させて金属体を横断する低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させることにより金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域において低下している変形抵抗を増大させて非低変形抵抗領域を形成する非低変形抵抗領域形成手段により、低変形抵抗領域の少なくともいずれか一方の側縁に沿って非低変形抵抗領域を形成することとした。これにより、局部的に形成した低変形抵抗領域部分の金属組織を効率よく微細化することができる。
【0012】
請求項3記載の発明では、請求項2記載の金属体の加工方法であって、金属体は伸延方向に沿って移動させるとともに、移動方向の下流側における低変形抵抗領域の側縁に沿って非低変形抵抗領域形成手段により非低変形抵抗領域を形成することとした。これにより、金属組識が微細化された金属体を極めて効率よく連続的に生成することができる。
【0013】
請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属体の加工方法であって、非低変形抵抗領域形成手段を金属体を冷却する冷却手段とした。これにより、非低変形抵抗領域を極めて容易かつ確実に生成することができるので、低コストで確実に金属組織を微細化した金属体を生成できる。
【0014】
請求項5記載の発明では、請求項1〜4いずれか1項に記載の金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域を真空中で形成することとした。これにより、剪断変形された低変形抵抗領域の表面に気体成分との反応膜が形成されることを防止でき、後工程における処理を軽減することができる。特に、低変形抵抗領域を形成する際に金属体を加熱した場合には、金属体の自己冷却作用によって冷却手段を用いることなく金属体を冷却することができ、低変形抵抗領域の形成効率を向上させることができる。
【0015】
請求項6記載の発明では、請求項1〜4いずれか1項に記載の金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域を高圧雰囲気中で形成することとした。これにより、高圧の圧力による低変形抵抗領域への作用によって金属組織の微細化効率を向上させることができる。
【0016】
請求項7記載の発明では、請求項1〜4いずれか1項に記載の金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域を活性ガス雰囲気中で形成することとした。これにより、金属体の金属組織を微細化するとともに低変形抵抗領域の表面に活性ガスとの反応領域を形成することができるので、より高機能化した金属体を形成できる。
【0017】
請求項8記載の発明では、請求項7記載の金属体の加工方法であって、活性ガスは窒素ガスとした。これにより、金属体の金属組織を微細化するとともに低変形抵抗領域を窒化させることができるので、より高機能化した金属体を形成できる。
【0018】
請求項9記載の発明では、請求項7記載の金属体の加工方法であって、活性ガスはメタンガス及び/または一酸化炭素ガスとした。これにより、金属体の金属組織を微細化するとともに低変形抵抗領域を浸炭処理することができるので、より高機能化した金属体を形成できる。
【0019】
請求項10記載の発明では、金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させることにより金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域に粉体を吹き付けることとした。これにより、金属体の金属組織を微細化するとともに低変形抵抗領域に粉体を機械的に混入させることができ、より高機能化した金属体を形成できる。特に、従来の鋳造では形成困難な組成の金属体も容易に形成できるとともに、金属以外の粉体を低変形抵抗領域に吹き付けた場合には、新規な材料を製造することもできる。
【0020】
請求項11記載の発明では、金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させることにより金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域にイオンドーピングを行うこととした。これにより、金属体の金属組織を微細化するとともに低変形抵抗領域にイオン化した粒子を混入させることができ、より高機能化した金属体を形成できる。特に、従来の鋳造では形成困難な組成の金属体も容易に形成できる。
【0021】
請求項12記載の発明では、請求項10又は請求項11に記載の金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域は、金属体に第1の加熱を所定時間行った後に第2の加熱を行って形成することとした。これにより、加熱による低変形抵抗領域の形成において低変形抵抗領域の加熱状態を均質化することができ、均質な微細化を行うことができる。
【0022】
請求項13記載の発明では、請求項1〜11のいずれか1項に記載の金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域は、金属体に第1の加熱を所定時間行った後に第2の加熱を行って形成することとした。これにより、加熱による低変形抵抗領域の形成において低変形抵抗領域の加熱状態を均質化することができ、金属組織の均質な微細化を行うことができる。
【0023】
請求項14記載の発明では、金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させることにより金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法であって、高温とした前記金属体に拘束手段を当接させて拘束することにより非低変形抵抗領域を形成するとともに、前記金属体の前記拘束手段と当接していない非拘束領域に低変形抵抗領域を形成することとした。これにより、金属体の製造工程中において加熱状態となっている金属体の金属組織を微細化することができ、製造工程を増やすことなく金属組織を微細化した金属体を製造できる。
【0024】
請求項15記載の発明では、請求項1〜11のいずれか1項に記載の金属体の加工方法であって、高温とした前記金属体に拘束手段を当接させて拘束することにより非低変形抵抗領域を形成するとともに、前記金属体の前記拘束手段と当接していない非拘束領域に低変形抵抗領域を形成することとした。これにより、金属体の製造工程中において加熱状態となっている金属体の金属組織を微細化することができ、製造工程を増やすことなく金属組織を微細化した金属体を製造できる。
【0025】
請求項16記載の発明では、請求項5〜14のいずれか1項に記載の金属体の加工方法であって、剪断変形の後に金属体を急冷することとした。これにより、加熱状態が持続することによる金属組織の肥大化を抑制できるとともに、金属体に焼入れを行うことができるので、より高機能化した金属体を形成できる。
【0027】
請求項17記載の発明では、請求項5〜11のいずれか1項に記載の金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域は金属体を加熱して形成するとともに、低変形抵抗領域を剪断変形した後に金属体を急冷することとした。これにより、加熱状態が持続することによる金属組織の肥大化を抑制できるとともに、金属体に焼入れを行うことができるので、より高機能化した金属体を形成できる。
【0028】
請求項18記載の発明では、金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させることにより金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域を液体中に没入した金属体に形成することとした。これにより、低変形抵抗領域の形成条件のバラツキを抑制することができ、金属組織を均質に微細化することができる。
【0029】
請求項19記載の発明では、請求項18記載の金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域を金属体を液体中で加熱して形成することとした。これにより、加熱して形成した低変形抵抗領域の冷却を速やかに行うことができ、特に、剪断変形が終了した部分に対しては焼入れを連続して行うことができるので、より高機能化した金属体を形成できる。
【0030】
請求項20記載の発明では、請求項19記載の金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域を形成する際に、低変形抵抗領域の周囲の熱伝導率を低減させることとした。これにより、液体中の金属体の加熱を効率よく行うことができる。
【0031】
請求項21記載の発明では、請求項19記載の金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域を形成する際に、低変形抵抗領域の周囲に気泡を生起することとした。これにより、液体中の金属体の加熱を効率よく行うことができる。
【0032】
請求項22記載の発明では、請求項6〜21のいずれか1項に記載の金属体の加工方法であって、金属体を中空部を有する筒状体として、中空部を減圧状態とすることとした。これにより、低変形抵抗領域において中空部に向けて金属体を収縮変形させながら剪断変形を行うことができ、金属組織をより微細化することができる。
【0033】
請求項23記載の発明では、請求項1〜21のいずれか1項に記載の金属体の加工方法であって、金属体を中空部を有する筒状体として、中空部を高圧状態とすることとした。これにより、低変形抵抗領域において金属体を膨張変形させながら剪断変形を行うことができ、金属組織をより微細化することができる。
【0034】
請求項24記載の発明では、請求項1〜9、14のいずれか1項に記載の金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域は金属体を横断し、この低変形抵抗領域を挟む金属体の一方の非低変形抵抗領域を、他方の非低変形抵抗領域に対して相対的に位置を変動させることにより低変形抵抗領域を剪断変形させることとした。これにより、局部的に形成した低変形抵抗領域部分の金属組織を微細化することができ、高強度化あるいは高延性化した金属体を容易に形成できる。
【0035】
請求項25記載の発明では、請求項2又は請求項3記載の金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域は前記金属体を横断し、この低変形抵抗領域を挟む金属体の一方の非低変形抵抗領域を、他方の非低変形抵抗領域に対して相対的に位置を変動させることにより低変形抵抗領域を剪断変形させ、位置の変動は、金属体の伸延方向と略直交する方向に、一方の非低変形抵抗領域を他方の非低変形抵抗領域に対して相対的に振動運動させる振動運動成分を有する振動運動とした。これにより、低変形抵抗領域には極めて容易に剪断変形を生起することができる。
【0036】
請求項26記載の発明では、請求項2又は請求項3記載の金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域は前記金属体を横断し、この低変形抵抗領域を挟む金属体の一方の非低変形抵抗領域を、他方の非低変形抵抗領域に対して相対的に位置を変動させることにより低変形抵抗領域を剪断変形させ、位置の変動は、金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りに、一方の非低変形抵抗領域を他方の非低変形抵抗領域に対して相対的に回転させる回転運動とした。これにより、低変形抵抗領域には極めて容易に剪断変形を生起することができる。
【0037】
請求項27記載の発明では、請求項2又は請求項3記載の金属体の加工方法であって、低変形抵抗領域は前記金属体を横断し、この低変形抵抗領域を挟む金属体の一方の非低変形抵抗領域を、他方の非低変形抵抗領域に対して相対的に位置を変動させることにより低変形抵抗領域を剪断変形させ、位置の変動は、金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りに、一方の非低変形抵抗領域を他方の非低変形抵抗領域に対して相対的に回動させる回動運動とした。これにより、低変形抵抗領域には極めて容易に剪断変形を生起することができる。
【0039】
請求項28記載の発明では、請求項16に記載の金属体の加工方法であって、溶体化処理するための温度まで加熱した金属体を冷却手段によって急冷して溶体化処理を行う際に、急冷部分の金属体を剪断変形させることにより金属組織を微細化するとともに溶体化処理を行うこととした。これにより、金属組織が微細化されたまま溶体化処理された金属体を製造できるので、より高強度化または高延性化した金属体を製造できる。
【0040】
請求項29記載の発明では、請求項28記載の金属体の加工方法であって、一方向に伸延した金属体の伸延方向と略直交する方向に振動運動させる振動運動成分を有する振動運動を金属体に印加することによって金属体を剪断変形させることとした。これにより、金属体を極めて容易に剪断変形させることができる。
【0041】
請求項30記載の発明では、請求項28記載の金属体の加工方法であって、一方向に伸延した金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りに回転させる回転運動を金属体に印加することによって金属体を剪断変形させることとした。これにより、金属体を極めて容易に剪断変形させることができる。
【0042】
請求項31記載の発明では、請求項28記載の金属体の加工方法であって、一方向に伸延した金属体の伸延方向と略平行とした回動軸周りに回動させる回動運動を金属体に印加することによって金属体を剪断変形させることとした。これにより、金属体を極めて容易に剪断変形させることができる。
【0043】
請求項32記載の発明では、請求項28〜31のいずれか1項に記載の金属体の加工方法であって、金属組織が微細化された金属体を、金属組織を粗大化させない条件下で塑性加工して所定形状とすることとした。これにより、金属組織が微細化していることにより高強度化あるいは高延性化された金属体であって、所要の形状とした金属体を提供できる。
【0044】
請求項33記載の発明では、一方向に伸延した金属体の変形抵抗を局部的に低下させて金属体を横断する第1の低変形抵抗領域と第2の低変形抵抗領域とを所定の間隔だけ離隔して形成するとともに、この第1の低変形抵抗領域と第2の低変形抵抗領域との間に、第1の低変形抵抗領域及び第2の低変形抵抗領域における変形抵抗よりも変形抵抗を増大させた非低変形抵抗領域を非低変形抵抗領域形成手段により形成し、この非低変形抵抗領域に金属体の伸延方向と交差する方向の振動運動成分からなる振動運動を加えて第1の低変形抵抗領域及び第2の低変形抵抗領域を剪断変形させることにより金属体の金属組織を微細化することとした。これにより、非低変形抵抗領域に振動運動を容易に印加することができるとともに、この振動運動の印加領域を局所的として、一般的な金属体の製造工程において本発明の金属体の加工方法を容易に導入することができる。
【0045】
請求項34記載の発明では、一方向に伸延した金属体の変形抵抗を局部的に低下させて金属体を横断する第1の低変形抵抗領域と第2の低変形抵抗領域とを所定の間隔だけ離隔して形成するとともに、この第1の低変形抵抗領域と第2の低変形抵抗領域との間に、第1の低変形抵抗領域及び第2の低変形抵抗領域における変形抵抗よりも変形抵抗を増大させた非低変形抵抗領域を非低変形抵抗領域形成手段により形成し、この非低変形抵抗領域に金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りの回転運動を加えて第1の低変形抵抗領域及び第2の低変形抵抗領域を剪断変形させることにより金属体の金属組織を微細化することとした。これにより、非低変形抵抗領域に回転運動を容易に印加することができるとともに、この回転運動の印加領域を局所的として、一般的な金属体の製造工程において本発明の金属体の加工方法を容易に導入することができる。
【0046】
請求項35記載の発明では、一方向に伸延した金属体の変形抵抗を局部的に低下させて金属体を横断する第1の低変形抵抗領域と第2の低変形抵抗領域とを所定の間隔だけ離隔して形成するとともに、この第1の低変形抵抗領域と第2の低変形抵抗領域との間に、第1の低変形抵抗領域及び第2の低変形抵抗領域における変形抵抗よりも変形抵抗を増大させた非低変形抵抗領域を非低変形抵抗領域形成手段により形成し、この非低変形抵抗領域に金属体の伸延方向と略平行とした回動軸周りの回動運動を加えて第1の低変形抵抗領域及び第2の低変形抵抗領域を剪断変形させることにより金属体の金属組織を微細化することとした。これにより、非低変形抵抗領域に回動運動を容易に印加することができるとともに、この回動運動の印加領域を局所的として、一般的な金属体の製造工程において本発明の金属体の加工方法を容易に導入することができる。
【0047】
請求項36記載の発明では、請求項33〜35のいずれか1項に記載の金属体の加工方法であって、金属体を伸延方向に沿って移動させることとした。これにより、高強度化あるいは高延性化された金属体の生産性を向上させることができる。
【0048】
請求項37記載の発明では、一方向に伸延した金属体の変形抵抗を局部的に低下させることにより金属体を横断する低変形抵抗領域を形成する低変形抵抗領域形成手段と、低変形抵抗領域において低下している変形抵抗を増大させて非低変形抵抗領域を形成する非低変形抵抗領域形成手段と、低変形抵抗領域を挟む一方の金属体を、他方の金属体に対して相対的に変位させる変位印加手段とを有し、この変位印加手段によって印加した変位にともなって低変形抵抗領域を剪断変形させることにより金属体の金属組織を微細化する金属体の加工装置とした。これにより、金属組織を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体を製造可能な加工装置を提供できる。
【0049】
請求項38記載の発明では、請求項37記載の金属体の加工装置であって、変位印加手段は、金属体の伸延方向と交差する方向の振動運動成分からなる振動運動を金属体に印加することとした。これにより、金属組織を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体を製造可能な加工装置を提供できる。
【0050】
請求項39記載の発明では、請求項37記載の金属体の加工装置であって、変位印加手段は、金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りの回転運動を金属体に印加することとした。これにより、金属組織を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体を製造可能な加工装置を提供できる。
【0051】
請求項40記載の発明では、請求項37記載の金属体の加工装置であって、変位印加手段は、金属体の伸延方向と略平行とした回動軸周りの回動運動を金属体に印加することとした。これにより、金属組織を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体を製造可能な加工装置を提供できる。
【0052】
請求項41記載の発明では、請求項37〜40のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、低変形抵抗領域形成手段は、金属体を所定温度以上に加熱する加熱手段とした。これにより、金属組織を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体を製造可能な加工装置を低コストで提供できる。
【0053】
請求項42記載の発明では、請求項37〜41のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、非低変形抵抗領域形成手段は、金属体を冷却する冷却手段とした。これにより、金属組織を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体を製造可能な加工装置を低コストで提供できる。
【0054】
請求項43記載の発明では、請求項37〜42のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、金属体を伸延方向に沿って送給する送給手段を有することとした。これにより、金属組織を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体を連続的に製造可能な加工装置を提供できる。
【0055】
請求項44記載の発明では、請求項43記載の金属体の加工装置であって、低変形抵抗領域形成手段は、金属体を第1の加熱温度に加熱して所定時間維持した後に、第2の加熱温度に加熱する予備加熱手段を有することとした。これにより、加熱による低変形抵抗領域の形成において低変形抵抗領域の加熱状態を均質化することができ、金属組織の均質な微細化を可能とした加工装置を提供できる。
【0056】
請求項45記載の発明では、請求項44記載の金属体の加工装置であって、第1の加熱温度は、金属体の溶体化処理に必要な温度とした。これにより、金属体に溶体化処理を行いながら金属組織を微細化することができ、高強度化または高延性化されるとともに溶体化処理された金属体を製造可能な加工装置を提供できる。
【0057】
請求項46記載の発明では、請求項43〜45のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、金属組織が微細化された金属体を、金属組織を粗大化させない温度に維持して時効処理する時効処理手段を有することとした。これにより、高強度化あるいは高延性化した金属体の強度をさらに向上させた金属体を製造可能な加工装置を提供できる。
【0058】
請求項47記載の発明では、請求項43〜46のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、低変形抵抗領域に金属体を所定形状に成形する成形用ガイド体を当接させることとした。これにより、成形用ガイド体で所要形状に金属体を形状変形させることができるので、高強度化あるいは高延性化された金属体であって、所要の形状とした金属体を製造可能な加工装置を提供できる。
【0059】
請求項48記載の発明では、請求項47記載の金属体の加工装置であって、成形ガイド体を金属体を加熱する加熱手段とした。これにより、成形ガイド体と当接した金属体の当接部分を局部加熱することができ、低変形抵抗領域の形成を容易とした加工装置を提供できる。
【0060】
請求項49記載の発明では、請求項47記載の金属体の加工装置であって、成形ガイド体を金属体を冷却する冷却手段とした。これにより、成形ガイド体と当接した金属体の当接部分を局部冷却することができ、剪断変形後の低変形抵抗領域を効率よく冷却して、製造効率を向上させた加工装置を提供できる。
【0061】
請求項50記載の発明では、請求項43〜46のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、金属体は中空部を有する筒状体とし、金属組織が微細化された金属体を伸延方向に沿って切開することにより平板状金属体を形成する平板化手段を有することとした。これにより、金属組織が微細化された平板状金属体の製造が可能な加工装置を提供できる。
【0062】
請求項51記載の発明では、請求項37〜43のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、低変形抵抗領域形成手段は真空中で低変形抵抗領域を形成することとした。これにより、剪断変形された低変形抵抗領域の表面に気体成分との反応膜が形成されることを防止可能とした加工装置を提供できる。
【0063】
請求項52記載の発明では、請求項37〜43のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、低変形抵抗領域形成手段は高圧雰囲気中で低変形抵抗領域を形成することとした。これにより、高圧の圧力による低変形抵抗領域への作用によって金属組織の微細化効率を向上させた加工装置を提供できる。
【0064】
請求項53記載の発明では、請求項37〜43のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、低変形抵抗領域形成手段は活性ガス雰囲気中で低変形抵抗領域を形成することとした。これにより、金属体の金属組織を微細化するとともに低変形抵抗領域の表面に活性ガスとの反応領域を形成することができるので、より高機能化した金属体を形成可能な加工装置を提供できる。
【0065】
請求項54記載の発明では、請求項53記載の金属体の加工装置であって、活性ガスを窒素ガスとした。これにより、金属体の金属組織を微細化するとともに低変形抵抗領域を窒化させることができるので、より高機能化した金属体を形成可能な加工装置を提供できる。
【0066】
請求項55記載の発明では、請求項53記載の金属体の加工装置であって、活性ガスをメタンガス及び/または一酸化炭素ガスとした。これにより、金属体の金属組織を微細化するとともに低変形抵抗領域を浸炭処理することができるので、より高機能化した金属体を形成可能な加工装置を提供できる。
【0067】
請求項56記載の発明では、請求項37〜43のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、低変形抵抗領域形成手段が低変形抵抗領域に粉体を吹き付ける粉体吹付手段を有することとした。これにより、金属体の金属組織を微細化するとともに低変形抵抗領域に粉体を機械的に混入させることができ、より高機能化した金属体を形成可能な加工装置を提供できる。
【0068】
請求項57記載の発明では、請求項37〜43のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、低変形抵抗領域形成手段が低変形抵抗領域にイオンドーピングを行うイオンドーピング手段を有することとした。これにより、金属体の金属組織を微細化するとともに低変形抵抗領域にイオン化した粒子を混入させることができ、より高機能化した金属体を形成可能な加工装置を提供できる。
【0069】
請求項58記載の発明では、請求項37〜43のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、低変形抵抗領域形成手段が、液体中に没入した金属体を所定温度以上に加熱して低変形抵抗領域を形成することとした。これにより、低変形抵抗領域の形成条件のバラツキを抑制することができ、金属組織を均質に微細化することができる加工装置を提供できる。
【0070】
請求項59記載の発明では、請求項58記載の金属体の加工装置であって、低変形抵抗領域を形成する際に、低変形抵抗領域の周囲の熱伝導率を低減させることとした。これにより、液体中の金属体の加熱を効率よく行うことができる加工装置を提供できる。
【0071】
請求項60記載の発明では、請求項58記載の金属体の加工装置であって、低変形抵抗領域を形成する際に、低変形抵抗領域の周囲に気泡を生じさせることとした。これにより、液体中の金属体の加熱を効率よく行うことができる加工装置を提供できる。
【0076】
請求項61記載の発明では、一方向に伸延した加熱状態の金属体を伸延方向に沿って移動させる移動手段と、金属体を冷却することにより変形抵抗を増大させて非低変形抵抗領域を形成する冷却手段と、この非低変形抵抗領域に振動運動を印加する振動運動印加手段とを有し、この振動運動印加手段によって印加した振動運動により、冷却手段に送通される前の金属体における金属組織を剪断変形させる金属体の加工装置とした。これにより、金属組織を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体を製造可能な加工装置を提供できる。
【0077】
請求項62記載の発明では、一方向に伸延した金属体の変形抵抗を局部的に低下させることにより金属体を横断する第1の低変形抵抗領域を形成する第1低変形抵抗領域形成手段と、この第1の低変形抵抗領域から所定間隔だけ離隔した位置に、金属体の変形抵抗を局部的に低下させることにより金属体を横断する第2の低変形抵抗領域を形成する第2低変形抵抗領域形成手段と、第1の低変形抵抗領域と第2の低変形抵抗領域との間に、第1の低変形抵抗領域及び第2の低変形抵抗領域において低下している変形抵抗を増大させて非低変形抵抗領域を形成する非低変形抵抗領域形成手段と、この非低変形抵抗領域に、第1の低変形抵抗領域及び第2の低変形抵抗領域を剪断変形させるための変位を印加する変位印加手段とを有し、第1の低変形抵抗領域及び第2の低変形抵抗領域における金属体の金属組織を微細化する金属体の加工装置とした。これにより、金属組識を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体を製造可能な加工装置を提供できる。
【0078】
請求項63記載の発明では、請求項62記載の金属体の加工装置であって、変位印加手段は、非低変形抵抗領域に、金属体の伸延方向と交差する方向の振動運動成分からなる振動運動を印加することとした。これにより、金属組織を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体を製造可能な加工装置を提供できる。
【0079】
請求項64記載の発明では、請求項62記載の金属体の加工装置であって、変位印加手段は、非低変形抵抗領域に、金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りの回転運動を印加することとした。これにより、金属組織を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体を製造可能な加工装置を提供できる。
【0080】
請求項65記載の発明では、請求項62記載の金属体の加工装置であって、変位印加手段は、非低変形抵抗領域に、金属体の伸延方向と略平行とした回動軸周りの回動運動を印加することとした。これにより、金属組織を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体を製造可能な加工装置を提供できる。
【0081】
請求項66記載の発明では、請求項62〜65のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、第1低変形抵抗領域形成手段及び第2低変形抵抗領域形成手段は、それぞれ金属体を所定温度以上に加熱する加熱手段とした。これにより、金属組織を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体を製造可能な加工装置を低コストで提供できる。
【0082】
請求項67記載の発明では、請求項62〜66のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、非低変形抵抗領域形成手段は金属体を冷却する冷却手段とした。これにより、金属組織を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体を製造可能な加工装置を低コストで提供できる。
【0083】
請求項68記載の発明では、請求項62〜67のいずれか1項に記載の金属体の加工装置であって、金属体を伸延方向に沿って送給する送給手段を有することとした。これにより、連続的に金属組織を容易に微細化することができ、高強度化または高延性化した金属体の高い生産性を有する加工装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1は、金属体の断面模式図である。
図2は、金属体の断面模式図である。
図3は、金属体の断面模式図である。
図4は、金属体の断面模式図である。
図5は、低変形抵抗領域に加える剪断変形の説明図である。
図6は、低変形抵抗領域に加える剪断変形の説明図である。
図7は、低変形抵抗領域に加える剪断変形の説明図である。
図8は、低変形抵抗領域に加える剪断変形の説明図である。
図9は、低変形抵抗領域に加える剪断変形の説明図である。
図10は、低変形抵抗領域に加える剪断変形の説明図である。
図11は、低変形抵抗領域のための加熱プロファイルの説明図である。
図12は、低変形抵抗領域のための加熱プロファイルの説明図である。
図13は、第1実施形態のSTSP装置の概略説明図である。
図14は、金属体の冷却方法における他の実施形態の説明図である。
図15は、STSP装置による処理前の金属組織の電子顕微鏡写真である。
図16は、STSP装置による処理後の金属組織の電子顕微鏡写真である。
図17は、S45Cにおいて金属組織を微細化した場合の物性変化を示すグラフである。
図18は、JIS−A5056において金属組織を微細化した場合の物性変化を示すグラフである。
図19は、STSP装置における変容例の概略説明図である。
図20は、STSP装置における変容例の概略説明図である。
図21は、STSP装置における変容例の概略説明図である。
図22は、第2実施形態のSTSP装置の概略説明図である。
図23は、図2の一部切欠拡大図である。
図24は、第1回転支持体に設けたガイドローラの配設形態の説明図である。
図25は、第3実施形態のSTSP装置の概略説明図である。
図26は、図25の要部拡大図である。
図27は、図26の要部部分の側面図である。
図28は、SVSP装置の概略説明図である。
図29は、SVSP装置における変容例の概略説明図である。
図30は、金属体の断面模式図である。
図31は、ボディーフレームソケットの説明図である。
図32は、ボディーフレームソケットの説明図である。
図33は、ECAP法を説明するための参考図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0085】
本発明の金属体の加工方法及び金属体の加工装置では、高強度化あるいは高延性化を図った金属体を生成可能としているものであり、特に、含有している金属組織を微細化することによって金属体の高強度化あるいは高延性化を図っているものである。
【0086】
特に、金属組織を微細化するために、本発明では、金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させることにより強歪みを加えて金属組織を微細化しているものである。
【0087】
しかも、低変形抵抗領域を局部的に形成していることによって、金属組織を微細化するために加えた剪断変形による剪断応力が低変形抵抗領域に集中して作用し、効率よく強歪み生成して金属組織を微細化することができるようにしている。
【0088】
合わせて、マグネシウム合金等の金属体においては、結晶方位を調整可能とすることが期待できる。
【0089】
特に、局部的な低変形抵抗領域を形成するために、低変形抵抗領域に沿って変形抵抗を増大させた非低変形抵抗領域を形成するようにしている。この非低変形抵抗領域を形成する非低変形抵抗領域生成手段を低変形抵抗領域に沿って設けておくことにより、低変形抵抗領域に加えた剪断変形が低変形抵抗領域以外に拡散することを抑制でき、低変形抵抗領域に効率よく剪断応力を生じさせることができる。
【0090】
非低変形抵抗領域生成手段は、具体的には、金属体を冷却する冷却手段であればよく、金属体の変形抵抗の調整を容易に行うことができる。
【0091】
例えば、金属体の熱間圧延工程において、加熱状態である金属体を冷却装置に送通することにより冷却し、冷却にともなって変形抵抗を増大させた非低変形抵抗領域を形成して、冷却装置送通後の領域であるこの非低変形抵抗領域を振動運動させることにより、冷却装置送通前の領域を剪断変形させて金属組織を容易に微細化し、高強度化あるいは高延性化した金属体を生成することができる。
【0092】
ここで、上記した低変形抵抗領域とは、金属体を加熱することによって変形抵抗が低下した領域であり、低変形抵抗領域以外の領域と比較して外力の作用にともなって変形を生じやすくなっている領域のことである。
【0093】
一方、非低変形抵抗領域は低変形抵抗領域よりも変形抵抗が大きくなっている領域であり、低変形抵抗領域以外の領域が基本的には非低変形抵抗領域である。
【0094】
低変形抵抗領域は加熱によって形成するだけでなく、たとえば、所要の温度に加熱した金属体の周囲に金属体を拘束する拘束体を装着することにより非低変形抵抗領域を形成し、拘束体を装着していない非拘束領域を低変形抵抗領域とすることもできる。
【0095】
具体的には、鋳造された金属体等の熱間圧延工程における高温状態の金属体の周囲に拘束体を当接させている場合等である。
【0096】
あるいは、液体状態となった金属体を凝固させながら拘束体で所定形状に成形している際に、部分的に非拘束領域を形成してこの非拘束領域を低変形抵抗領域として剪断変形を加えるようにすることもできる。
【0097】
このように、所定温度以上に加熱されていることにより全体的に低変形抵抗状態となっている金属体に拘束体を当接させて拘束することによって非低変形抵抗領域を形成するとともに、拘束体と当接していない非拘束領域を低変形抵抗領域とすることにより、鋳造等による金属体の製造工程中において加熱状態となっている金属体の金属組織を微細化することができ、製造工程を増やすことなく金属組織を微細化した金属体を製造できる。
【0098】
本発明での「金属体」の語は、一種類の金属元素からなる単一金属で構成する場合だけでなく、二種類以上の金属元素からなる合金で構成したものを含むだけでなく、一種または複数種の金属元素と一種または複数種の非金属元素とからなる金属間化合物で構成してもよい。さらに、特別に言及しない限りは、金属体は金属を含有したセラミックス体等の金属間化合物も含んでいるものとする。
【0099】
なお、金属体は一様の組成となっている必要はなく、図1に金属体の断面模式図として示すように、第1金属層11に第2金属層12さらには第3金属層13を積層した積層体10であってもよい。このとき、第1金属層11、第2金属層12、第3金属層13はそれぞれ所要の金属、合金、若しくは金属間化合物であればよい。第1金属層11と、第2金属層12と、第3金属層13とは単に重合することにより積層体10としてもよいし、めっき処理、蒸着処理あるいは圧着処理等によって積層してもよい。ここで、積層体10は3層に限定するものではなく、適宜の数だけ重合して積層体10を構成してよい。
【0100】
あるいは、金属体は、図2に金属体の断面模式図として示すように、第1金属粉体14と第2金属粉体15とを混合した混合体を所定形状に仮焼成形した仮焼体16であってもよい。このとき、第1金属粉体14と第2金属粉体15の2種類の粉体で仮焼体16を構成するだけでなく、さらに多種の粉体を混合して仮焼体16を形成してもよく、金属の粉体だけでなく非金属の粉体を混合して仮焼体16を形成してもよい。
【0101】
あるいは、金属体は、図3に金属体の断面模式図として示すように、所定形状とした多孔質体17の孔部に金属粉体18を充填して形成した充填体19であってもよい。なお、多孔質体17には、金属粉体18を充填する場合だけでなく非金属粉体を充填してもよい。
【0102】
あるいは、金属体は、図4に金属体の断面模式図として示すように、複数本の第1金属線材21と複数本の第2金属線材22とを束ねて形成した金属線束23であってもよい。このとき、第1金属線材21と第2金属線材22の2種類の金属線材で金属線束23を構成するだけでなく、さらに多種の金属線材を束ねて金属線束23を形成してもよい。
【0103】
このように、金属体は様々な形態が可能であって、後述するように剪断変形によって金属組織が微細化するのであれば、金属体はどのような形態であってもよい。
【0104】
図1〜3では、金属体は断面を矩形状とし、図4では金属体の断面は円形状としているが、金属体は断面が矩形状となった矩形体や、断面が円形状となった丸棒体に限定するものではなく、平板体や中空部を有する筒状体となっていてもよいし、これら以外でもたとえばH形鋼体、山形鋼体、溝形鋼体、T形鋼体、リップル溝鋼体等であってもよい。
【0105】
さらに、金属体にはあらかじめ浸炭処理や窒化処理等の所要の処理を施していてもよい。特に、金属体に浸炭処理を施していた場合には、後述するように金属体に形成した低変形抵抗領域の剪断変形にともなって脱炭処理を行うことができ、脱炭処理を行いながら金属組織を微細化することができるので、より高機能化した金属体を形成できる。
【0106】
なお、浸炭処理された金属体だけでなく、通常の炭素鋼や高炭素鋼の場合でも、金属体に形成した低変形抵抗領域の剪断変形にともなって脱炭処理を行うことができ、より高機能化した金属体を形成できる。
【0107】
金属体は一方向に伸延した形態とし、図5に示すように、金属体を横断するように低変形抵抗領域30を形成することによって、金属体には低変形抵抗領域30によって区切られた第1非低変形抵抗領域31と第2非低変形抵抗領域32とを形成している。
【0108】
このように一方向に伸延した金属体を横断させて低変形抵抗領域30を形成していることによって、金属体の伸延方向に沿って低変形抵抗領域30を移動させながら低変形抵抗領域30を剪断変形させることにより、金属組織の微細化処理を連続的に行うことができる。
【0109】
しかも、必要に応じて低変形抵抗領域30に生起する剪断変形の変形形態を調整することによって、低変形抵抗領域30の部分に加わる強歪みのモードを異ならせることができるので、金属体には金属組織の微細化の程度が異なる領域を形成することができ、金属体の多機能化を図ることができる。
【0110】
低変形抵抗領域30の剪断変形は、図5(a)に示すように、第2非低変形抵抗領域32を第1非低変形抵抗領域31に対して金属体の厚み方向に振動させる振動運動を加えることによって、第2非低変形抵抗領域32を第1非低変形抵抗領域31に対して相対的に位置を変動させることにより行っている。
【0111】
あるいは、振動運動は、振動方向を金属体の厚み方向ではなく、図5(b)に示すように、金属体の厚み方向と直交する金属体の幅方向としてもよく、さらには、図5(c)に示すように金属体の厚み方向の振動と、幅方向の振動との両方を複合した複合振動としてもよい。このように複合振動とした場合には、低変形抵抗領域に大きな剪断応力を作用させることができる。
【0112】
ここで、振動運動は必ずしもマクロ的な変位をともなう振動運動である必要はなく、金属体に歪みを生じさせることができる共振等のような振動運動であってもよい。
【0113】
また、金属体が丸棒体や中空部を有する円筒体である場合には、図6に示すように、第2非低変形抵抗領域32’を第1非低変形抵抗領域31’に対して、金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りに回転させることによって、第2非低変形抵抗領域32’を第1非低変形抵抗領域31’に対して相対的に位置を変動させて、低変形抵抗領域30’を剪断変形させることもできる。
【0114】
このとき、第2非低変形抵抗領域32’は、第1非低変形抵抗領域31’に対して常に一定の角速度で回転させてもよいし、正回転と逆回転とを交互に繰り返えすように回動させてもよい。
【0115】
さらに、このような回転軸周りの回動による低変形抵抗領域の剪断変形は、金属体が丸棒体や中空部を有する円筒体である場合に限定するものではなく、図7に示すように、平板体からなる金属体に横断状態に低変形抵抗領域30″を形成し、この低変形抵抗領域30″を挟む第1非低変形抵抗領域31″と第2非低変形抵抗領域32″において、第2非低変形抵抗領域32’を第1非低変形抵抗領域31’に対して金属体の略中心を通って伸延方向と略平行とした回転軸周り正回転と逆回転とを交互に繰り返すように回動させてもよい。
【0116】
第1非低変形抵抗領域31,31’,31″に対する第2非低変形抵抗領域32,32’,32″の相対的な振動運動、回転運動あるいは回動運動の運動量は、低変形抵抗領域30,30’,30″に剪断変形を生じさせて金属組織の微細化が可能な程度の運動量であればよい。
【0117】
低変形抵抗領域30,30’,30″を剪断変形させる場合には、低変形抵抗領域30,30’,30″に金属体の伸延方向に沿って圧縮応力を作用させるように圧縮することにより、低変形抵抗領域30,30’,30″に大きな形状変形が生起されたり、低変形抵抗領域30,30’,30″部分において破断が生じたりすることを抑制できる。
【0118】
特に、低変形抵抗領域30,30’,30″に金属体の伸延方向に沿って圧縮応力を作用させることによって、低変形抵抗領域30,30’,30″には、剪断による歪みだけでなく、圧縮による歪みを加えることができるので、金属組織をより微細化することができる。
【0119】
逆に、低変形抵抗領域30,30’,30″を剪断変形させる場合に、低変形抵抗領域30,30’,30″に金属体の伸延方向に沿って引張応力を作用させるように伸延させることにより、低変形抵抗領域30,30’,30″には、剪断による歪みだけでなく、伸延による歪みを加えることができるので、金属組織をより微細化することができる。
【0120】
このように低変形抵抗領域を剪断変形させることによって、低変形抵抗領域における金属組織を微細化することができるだけでなく、図1〜4に示した金属体では互いの金属組織が結合することにより新たな合金あるいはセラミックスを生成することも可能であり、特に従来の溶融法では生成できなかった組成の合金を機械的に生成することができる。
【0121】
上記したように低変形抵抗領域を剪断変形させる場合には、図8に示すように、一方向に伸延した金属体に、この金属体を横断する第1低変形抵抗領域30aと第2低変形抵抗領域30bとを所定間隔だけ離隔して形成するとともに、第1低変形抵抗領域30aと第2低変形抵抗領域30bとに挟まれた領域を中間非低変形抵抗領域33として、中間非低変形抵抗領域33を振動運動させることにより、第1低変形抵抗領域30a及び第2低変形抵抗領域30bを容易に剪断変形させることができる。
【0122】
ここで、図8では、金属体は平板体としており、図8(a)では、中間非低変形抵抗領域33を金属体の厚み方向に振動させているものであり、図8(b)では、中間非低変形抵抗領域33を金属体の厚み方向と直交する金属体の幅方向に振動させているものであり、図8(c)では、中間非低変形抵抗領域33を、金属体の厚み方向の振動と、幅方向の振動との両方を複合した複合振動によって振動させているものである。
【0123】
さらに、図9に示すように、第1低変形抵抗領域30aと第2低変形抵抗領域30bとに挟まれた領域を中間非低変形抵抗領域33の第1低変形抵抗領域30a近傍には、金属体を挟持するとともに金属体の伸延方向に沿って金属体を送給する第1上側送給ローラ36aと第1下側送給ローラ36bとからなる第1送給装置36を設け、中間非低変形抵抗領域33の第2低変形抵抗領域30b近傍には、金属体を挟持するとともに金属体の伸延方向に沿って金属体を送給する第2上側送給ローラ37aと第2下側送給ローラ37bとからなる第2送給装置37を設け、第1送給装置36と第2送給装置37とを互いに逆位相で上下動させることにより、第1低変形抵抗領域30a及び第2低変形抵抗領域30bを剪断変形させてもよい。
【0124】
この場合に第1低変形抵抗領域30a及び第2低変形抵抗領域30bに生じる剪断変形は、上記した図8(a)での振動モードによる剪断変形とミクロ的には同じである。
【0125】
金属体が丸棒体や中空部を有する円筒体である場合には、図10に示すように、所定間隔だけ離隔して設けた第1低変形抵抗領域30a’と第2低変形抵抗領域30b’との間の中間非低変形抵抗領域33’を、金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りに回転させることによって第1低変形抵抗領域30a及び第2低変形抵抗領域30bを容易に剪断変形させることができる。図10中、34は中間非低変形抵抗領域33’を回転させている回転ローラである。
【0126】
さらに、図8〜10において、金属体を伸延方向に沿って移動させることにより、金属体における第1低変形抵抗領域30a’及び第2低変形抵抗領域30b’の位置を移動させることができる。
【0127】
したがって、通常、連続的に製造されている金属体の製造工程中において、金属体に第1低変形抵抗領域30a,30a’と第2低変形抵抗領域30b,30b’とを形成して中間非低変形抵抗領域33,33’を振動あるいは回転若しくは回動させることにより、金属体を容易に剪断変形させることができるので、金属組織が微細化されることにより高強度化あるいは高延性化された金属体を低コストで製造することができる。
【0128】
なお、上記した中間非低変形抵抗領域33,33’の振動、回転若しくは回動においては、他の運動モードとして、金属体の伸延方向に沿って伸縮する伸縮運動モードと、例えば図8における中間非低変形抵抗領域33において、平板状とした金属体の平面における法線方向を回動軸とした回動運動モードが考えられ、全部で6自由度分の運動を考えることができる。
【0129】
しかしながら、図8〜10に示すように第1低変形抵抗領域30a,30a’と第2低変形抵抗領域30b,30b’を有する場合には、伸縮運動モードでは第1低変形抵抗領域30a,30a’と第2低変形抵抗領域30b,30b’に十分な剪断応力を加えることは困難であり、同様に回動運動モードでも十分な剪断応力を第1低変形抵抗領域30a,30a’と第2低変形抵抗領域30b,30b’に加えることは困難であり、実質的には4自由度の運動を利用して剪断変形を生じさせることが望ましい。
【0130】
ただし、図5〜7に示すように、金属体に1カ所だけ低変形抵抗領域30,30’を形成する場合には、伸縮運動モードや回動運動モードによって上記したように金属体の伸延方向に圧縮応力や引張応力を作用させるようにすることもできる。
【0131】
第1低変形抵抗領域30a,30a’及び第2低変形抵抗領域30b,30b’は、通常、それぞれ金属体を加熱することにより形成しているが、第1低変形抵抗領域30a,30a’と第2低変形抵抗領域30b,30b’の加熱温度をそれぞれ異ならせておくことにより、第1低変形抵抗領域30a,30a’及び第2低変形抵抗領域30b,30b’に作用する剪断応力をそれぞれ異ならせることができ、金属組織には二段階でそれぞれ異なる剪断応力を作用させることができるので、金属組織をより微細化することができる。
【0132】
しかも、一度剪断変形されて金属組織が微細化された部分をさらに剪断変形させる場合には、金属体の延性が向上していることによって金属体の加熱温度を低くすることができ、金属組織をより微細化することができる。
【0133】
具体的には、金属体を伸延方向に沿って移動させることにより、第1低変形抵抗領域30a,30a’を形成するための第1低変形抵抗領域形成域と、第2低変形抵抗領域30b,30b’を形成するための第2低変形抵抗領域形成域を横断させる場合に、金属体がマグネシウム合金等のような難変形合金あるいは難変形の金属間化合物等であれば、図11に示すように、第1低変形抵抗領域形成域を高温とし、第2低変形抵抗領域形成域を第1低変形抵抗領域形成域と比較して低温としている。
【0134】
このとき、第1低変形抵抗領域形成域の加熱温度は、第1低変形抵抗領域30a,30a’の金属体が十分に軟化する温度であって、剪断変形が可能となっている温度であればよい。そのような加熱温度において第1低変形抵抗領域30a,30a’に剪断応力を作用させることによって、第1低変形抵抗領域30a,30a’を容易に剪断変形させて金属組織を均一とするとともに、中程度の微細粒、例えば10〜50μm程度の粒径として、金属体の変形抵抗を小さくすることができる。
【0135】
そして、第2低変形抵抗領域形成域の加熱温度は、金属組織の再結晶が生じる程度までの温度として、第2低変形抵抗領域30b,30b’部分の金属組織が肥大化することを抑制しながら剪断変形させて金属組織をより微細化している。
【0136】
このように、第1低変形抵抗領域形成域では、第2低変形抵抗領域形成域において再結晶が生じる低温度域までで金属体を剪断変形させることができるように結晶粒調整が可能な程度に金属体を加熱することによって、難変形合金あるいは難変形の金属間化合物等でも金属組織を容易に微細化して高延性化を図ることができる。
【0137】
また、金属体が熱処理型合金の場合には、第1低変形抵抗領域形成域において加熱後に急冷却されることを利用して、第1低変形抵抗領域形成域における金属体の加熱温度を金属体の溶体化処理条件となる温度とし、その状態で第1低変形抵抗領域30a,30a’に剪断応力を作用させることによって、第1低変形抵抗領域30a,30a’において状態図における組成よりも多くの添加元素を固溶させることができる。
【0138】
しかも、金属体は、溶体化処理されながら金属組織が微細化されることにより、溶体化処理されていながら金属組織が小さくなっている金属体を形成することができる。このような溶体化処理されていながら金属組織が小さくなっている金属体は、従来の製造方法では溶体化処理時の加熱による金属組織の肥大化によって製造することができなかったが、本発明の加工方法及び加工装置を用いることによって製造可能とすることができる。
【0139】
第2低変形抵抗領域形成域の加熱温度は、金属組織の再結晶が生じる程度までの温度として、第2低変形抵抗領域30b,30b’部分の金属組織が肥大化することを抑制しながら剪断変形させて金属組織をより微細化している。
【0140】
このように、第1低変形抵抗領域形成域において金属体の溶体化処理を行うことにより、均質かつ金属組織が微細化された金属体を形成することができる。
【0141】
上記したように、本発明では、第1低変形抵抗領域30a,30a’や第2低変形抵抗領域30b,30b’等の低変形抵抗領域を剪断変形させて金属体の金属組織を微細化しているのであるが、金属組織を微細化する作用としては、加熱等により変形しやすくなった金属体中の結晶粒が剪断変形によって剪断されることにより微細化されているものと考えられる。
【0142】
特に、低変形抵抗領域の両端部分では、後述するように冷却等によって金属体の結晶粒に変形が生じにくいことにより変形抵抗が高くなっており、剪断変形にともなう剪断応力は、この変形抵抗が高い高変形抵抗領域と低変形抵抗領域との境界部分において大きく作用することによって、高変形抵抗領域と低変形抵抗領域との境界部分において金属組織の微細化が特に促進されているものと考えられる。
【0143】
したがって、金属体を伸延方向に沿って移動させて第1低変形抵抗領域形成域及び第2低変形抵抗領域形成域を通過させる場合には、それぞれにおいて金属体が高変形抵抗領域から低変形抵抗領域になる場合よりも、低変形抵抗領域から高変形抵抗領域になる場合における温度制御が重要となる。
【0144】
すなわち、金属体が高変形抵抗領域から低変形抵抗領域になる場合では温度制御の自由度が高く、図12に示すように、金属体を加熱して低変形抵抗領域を形成する場合に、予備加熱領域を設けて金属体を予備加熱しておき、その後、本加熱によって金属体を所定の温度に加熱するようにしてもよい。
【0145】
特に、図12に示すように、第1低変形抵抗領域形成域の前に予備加熱領域を設けて金属体を予備加熱しておくことにより、比較的高温状態に加熱される第1低変形抵抗領域30a,30a’を短時間で、比較的略均一に加熱することができる。したがって、略均一に加熱された第1低変形抵抗領域30a,30a’を剪断変形させることにより、第1低変形抵抗領域30a,30a’の金属組織を均質に微細化することができる。
【0146】
また、第1低変形抵抗領域形成域での加熱条件を溶体化温度とした場合には、予備加熱領域での予備加熱の温度を溶体化温度としておくことにより、溶体化処理に必要十分な処理時間の加熱を行うことができるので、確実に溶体化処理された金属体を第2低変形抵抗領域形成域で剪断変形させることができる。
【0147】
特に、金属体に複数の溶体化温度がある場合や、複数の変態温度がある場合には、それぞれの所定温度に所定時間維持した後に本加熱を行って低変形抵抗領域を剪断変形させてもよい。
【0148】
さらに、金属体を冷却する場合にも金属体を段階的に冷却して、各冷却状態で低変形抵抗領域に所要の剪断応力が作用するようにしてもよい。
【0149】
金属体には、上記したように剪断変形を二段階に分けて加えるだけでなく、金属体の伸延方向に沿って中間非低変形抵抗領域33,33’を複数設けることにより、さらに多段に分けて加えてもよい。特に、金属体が金属含有セラミックス体等の場合には、剪断変形を加えるたびに異なる条件の剪断変形とすることによりさらに均質化を図ることができる。
【0150】
以下において、第1実施形態の加工装置を説明する。
【0151】
図13は、金属体に形成した低変形抵抗領域を回転運動または回動運動によって捻回させることによって剪断変形させる装置である。本発明者らは、このように低変形抵抗領域を捻回することによって剪断変形させて金属組織を微細化させることをSTSP(Severe Torsion Straining Process)法と称しており、図13はSTSP装置の一例の概略説明図である。ここでは、説明の便宜上、金属体M2は一方向に伸延させた丸棒体としているが、中空部を有する円筒状体であってもよい。
【0152】
STSP装置は、金属体M2の伸延方向に沿って基台60上面に固定部61と、剪断変形部62と、回転部63とを設けて構成している。
【0153】
固定部61は、基台60上面に立設した第1固定壁61aと、第2固定壁61bとで構成している。第1固定壁61a及び第2固定壁61bは、それぞれ所定の厚みを有する板体で構成しており、第1固定壁61aと第2固定壁61bとは互いに略平行としている。
【0154】
また、第1固定壁61a及び第2固定壁61bにはそれぞれ金属体M2を挿通させる挿通孔を設け、同挿通孔にそれぞれ金属体M2を挿通させ、第1固定壁61a及び第2固定壁61bの上端に螺着した固定用ネジ61c,61dの先端部を挿通孔に挿通させた金属体M2周面に当接させて、金属体M2を固定している。
【0155】
なお、固定部61は、第1固定壁61aと第2固定壁61bとで構成するものに限定するものではなく、金属体M2を固定可能であればどのように構成してもよい。ここで、金属体M2を固定するとは、丸棒状となった金属体M2の中心軸を回転軸とする金属体M2の回転に対する固定である。
【0156】
回転部63は、基台60上面に立設した第1規制壁63aと、第2規制壁63bと、第1規制壁63aと第2規制壁63bとの間に介装する進退規制体63cと、図示していない回転装置とによって構成している。
【0157】
第1規制壁63a及び第2規制壁63bは、それぞれ所定の厚みを有する板体で構成しており、第1規制壁63aと、第2規制壁63bとは互いに略平行としている。そして、第1規制壁63a及び第2規制壁63bにはそれぞれ金属体M2を挿通させる挿通孔を設け、同挿通孔にそれぞれ金属体M2を挿通させている。
【0158】
進退規制体63cは、第1規制壁63aと第2規制壁63bとの間隔寸法と略同一の長さを有し、かつ、金属体M2に環装可能とした円筒体で構成している。この進退規制体63cは、第1規制壁63aと第2規制壁63bとの間において金属体M2に環装し、さらに、進退規制体63cの周面に螺着した固定用ネジ63d,63dの先端部を、進退規制体63cを貫通した金属体M2周面に当接させて、金属体M2に対して進退規制体63cを固定している。
【0159】
したがって、後述するように金属体M2の非低変形抵抗領域を回転させた場合には、進退規制体63cが第1規制壁63aと第2規制壁63bに規制されることにより、金属体M2に伸延方向のズレが生じることを防止できる。
【0160】
金属体M2の非低変形抵抗領域を回転させる回転装置には様々な装置を用いることができ、回転部63側の金属体M2に所定のトルクを加えながら回転または回動させることができればどのような装置であってもよい。本実施形態では、回転部63側の金属体M2の端部に回転用モータ(図示せず)を連動連結し、この回転用モータを回転装置としている。
【0161】
剪断変形部62は、金属体M2を所定温度に加熱する加熱装置64と、この加熱装置64による加熱によって金属体M2に形成した低変形抵抗領域30’を所定の幅寸法とするために金属体M2を冷却する冷却装置65とで構成している。
【0162】
本実施形態では、加熱装置64には高周波加熱コイルを用いており、この高周波加熱コイルを金属体M2に所定回数巻回し、金属体M1を所定温度に加熱することによって変形抵抗を低減させて低変形抵抗領域30’を形成している。なお、加熱装置64は高周波加熱コイルに限定するものではなく、電子ビーム、プラズマ、レーザー、電磁誘導等を用いた加熱や、ガスバーナーによる加熱、電気的短絡を利用した加熱であってもよい。特に、加熱装置64として電子ビームを用いた場合には、金属体M2の伸延方向における低変形抵抗領域30’の幅を極めて小さくすることができ、低変形抵抗領域30’により大きな剪断応力を作用させることができるので、金属組織のさらなる微細化を可能とすることができる。
【0163】
冷却装置65は、給水配管65aから供給された水を吐出する第1吐水口65bと第2吐水口65cで構成しており、第1吐水口65b及び第2吐水口65cから吐出した水によって金属体M2を冷却している。図10中、66は第1吐水口65b及び第2吐水口65cから吐出された水を受ける受水容器であり、67は同受水容器66に接続した排水管である。
【0164】
本実施形態では、第1吐水口65b及び第2吐水口65cは、金属体M1の上方から下方に向けて水を噴射するようにしているが、例えば、図14に示すように、吐水口68を金属体M1の周囲に略等間隔に複数設けて、複数の吐水口68から金属体M1に向けて水を噴射してもよい。
【0165】
この場合、各吐水口68は、金属体M1の表面の法線方向に対して所要の入射角θとして水を噴射することによりさらに冷却効率を向上させることができる。したがって、低変形抵抗領域30’の両端において金属体M1の温度勾配を大きくすることができ、これにより大きな剪断応力を作用させることができるので、金属組織の微細化効率を向上させることが期待できる。
【0166】
特に、冷却にともなって被冷却面に発生する気泡を効率よく飛散させることができ、気泡発生にともなう冷却効率の低下を抑制して、冷却効率を向上させることができる。
【0167】
また、冷却装置65では、第1吐水口65bと第2吐水口65cとの間に設けた加熱装置64によって形成された低変形抵抗領域30’の両側を、第1吐水口65b及び第2吐水口65cから吐出した水によって冷却しており、特に、第1吐水口65bと第2吐水口65cとの配設位置を調整することによって、低変形抵抗領域30’を、金属体M2の伸延方向の長さと比較して極めて微少な領域としている。
【0168】
このように、低変形抵抗領域30’を、金属体M2の伸延方向に沿った微小幅とすることにより、低変形抵抗領域30’の部分に極めて大きな剪断変形を生起しやすく、金属組織の微細化効率を向上させることができる。しかも、回転装置によって低変形抵抗領域30’を捻回した場合に低変形抵抗領域30’において捻回のムラが生じることを防止できる。さらに、捻回によって低変形抵抗領域30’に生起した剪断変形の残留歪み、あるいは残留変形を小さくすることができる。
【0169】
また、加熱装置64で加熱した低変形抵抗領域30’を冷却装置65によって急冷することによって焼き入れを行っていることとなり、金属組織が微細化された金属体M2の硬度の向上を図ることもできる。
【0170】
しかも、低変形抵抗領域30’を急冷することによって加熱状態が持続されることを防止でき、微細化した金属組織が肥大化することを抑制できる。低変形抵抗領域30’の幅は、金属体M2の伸延方向と直交する面による断面での断面幅寸法の約3倍以内が望ましい。低変形抵抗領域30’をこのような条件とすることによって、捻回にともなう低変形抵抗領域30’の変形を必要最小限に抑制しながら大きな剪断変形を生起することができ、金属体M2の金属組織の微細化効率を向上させることができる。
【0171】
上記の冷却装置65は水冷装置としているが、水冷装置に限定するものではなく、加熱装置64による加熱領域を局部的な領域とすることができるように冷却可能な装置であれば空冷であってもよく、あるいは励磁冷却であってもよく、適宜の冷却装置を用いてよい。
【0172】
特に、受水容器66部分を適宜の真空室として、この真空室の内部空間を約500hPa以下の真空状態として、真空中において低変形抵抗領域30’を形成した場合には、低変形抵抗領域30’の表面に気体成分との反応膜が形成されることを防止できる。したがって、後工程における処理を軽減することができる。
【0173】
しかも、このような真空中で金属体M2を加熱する場合には、加熱装置64として電子ビーム加熱を用いることができ、しかもこの電子ビーム加熱に対する金属体M2の冷却には、金属体M2の自己冷却作用を利用することができるので、低変形抵抗領域30’を極めて微小な幅寸法とすることができ、低変形抵抗領域30’部分に極めて大きな剪断変形を生起することができる。
【0174】
さらに、真空中において低変形抵抗領域30’を形成したことを利用して、低変形抵抗領域30’の部分に所要の元素からなる粒子をイオンドーピングしてもよい。
【0175】
このように、低変形抵抗領域30’にイオンドーピングを行うことにより、低変形抵抗領域30’は金属組織が微細化されるとともに、イオン化した粒子が注入されることにより、より高機能化した金属体を形成できる。特に、金属組織を微細化しながら粒子を注入することにより、通常のイオンドーピングよりも深く粒子を注入できるとともに、注入された粒子を金属体M2に十分混合することができる。しかも、粒子の注入にともなって金属体M2に生じる金属組織のダメージを解消することもできる。
【0176】
また、所要の粒子をイオンドーピングするのではなく、低変形抵抗領域30’に所要の組成の粉体を吹き付けるようにしてもよい。
【0177】
低変形抵抗領域30’に粉体を吹き付けることによって、金属体M2の金属組織を微細化するとともに低変形抵抗領域30’に粉体を機械的に混入させることができ、より高機能化した金属体を形成できる。特に、従来の鋳造では形成困難な組成の金属体も容易に形成できるとともに、金属以外の組成の粉体を低変形抵抗領域30’に吹き付けた場合には、新規な材料を製造することもできる。
【0178】
なお、低変形抵抗領域30’に所要の組成の粉体を吹き付ける場合には、必ずしも真空中である必要はなく、常圧状態であってもよい。
【0179】
上記したように、減圧状態の真空中で低変形抵抗領域30’を形成するのではなく、受水容器66部分に加圧室を形成して、加圧室内を高圧状態として低変形抵抗領域30’を形成してもよい。
【0180】
このように高圧状態として低変形抵抗領域30’を形成した場合には、高圧の圧力による低変形抵抗領域30’への加圧作用によって金属組織の微細化効率を向上させることが期待できる。
【0181】
特に、加圧室内には不活性ガスを送気して加圧する場合だけでなく、活性ガスを送気して加圧してもよい。
【0182】
活性ガス雰囲気中で低変形抵抗領域30’を形成することにより、金属体M2の金属組織を微細化するとともに低変形抵抗領域30’の表面に活性ガスとの反応領域を形成することができ、表面改質を行って所要の表面コーティングを行うことができるだけでなく、活性ガスとの反応にともなう強歪みを生起することができる場合や、表面コーティングを行うことができる場合があるので、より高機能化した金属体を形成できる。
【0183】
特に、活性ガスとして窒素ガスを用いた場合には、金属体M2の金属組織を微細化するとともに低変形抵抗領域30’を窒化させることができるので、金属組織の微細化にともなって高強度及び高延性であって窒化処理された高機能な金属体M2を低コストで提供できる。
【0184】
また、活性ガスとしてメタンガス及び/または一酸化炭素ガス等の炭素含有ガスを用いた場合には、金属体M2の金属組織を微細化するとともに低変形抵抗領域30’を浸炭処理することができるので、金属組織の微細化にともなって高強度及び高延性であって浸炭処理された高機能な金属体M2を低コストで提供できる。
【0185】
なお、加圧室内に活性ガスを送気する場合には、必ずしも高圧状態になっている必要はなく、加圧室内が活性ガス雰囲気となっているだけでもよい。
【0185】
また、低変形抵抗領域30’に不活性ガスや活性ガスを接触させるのでなく、不活性液体や活性液体を接触させるようにしてもよい。
【0186】
すなわち、上記したSTSP装置をそのまま不活性液体や活性液体の中に没入させて、低変形抵抗領域30’を形成するようにしてもよい。
【0187】
このように不活性液体中や活性液体中で低変形抵抗領域30’を形成することにより、低変形抵抗領域30’の形成条件を安定化させることができ、金属組織を均質に微細化することができる。
【0188】
特に、低変形抵抗領域30’は、金属体M2を不活性液体中や活性液体中で加熱して形成することによって、不活性液体や活性液体を冷却剤として利用することができ、冷却効率を向上させることができる。
【0189】
しかも、剪断変形が終了した部分に対しては、不活性液体や活性液体での冷却による焼入れを連続して行うことができるので、より高機能化した金属体を形成できる。
【0190】
なお、不活性液体中や活性液体中で金属体M2を加熱して低変形抵抗領域30’を形成する場合には、低変形抵抗領域30’部分の加熱効率が低下するおそれがある。
【0191】
そこで、低変形抵抗領域30’を形成する場合には、金属体M2における低変形抵抗領域30’の形成領域の周囲において熱伝導率を低減させて、低変形抵抗領域30’に加えた熱が不活性液体または活性液体を介して拡散することを抑制するようにしている。したがって、液体中における金属体M2の加熱を効率よく行うことができる。
【0192】
具体的には、加熱する低変形抵抗領域30’の近傍にエアノズル(図示せず)を位置させ、このエアノズルから気泡状に気体を送気することによって低変形抵抗領域30’の周囲に気泡域を生起して気泡による断熱層を形成することにより、熱伝導率を低減させることができる。したがって、極めて容易に熱伝導率を低減させて、液体中における金属体M2の加熱を効率よく行うことができる。
【0193】
特に、エアノズルから気泡状に送気される気体を窒素ガス、あるいはメタンガス及び/または一酸化炭素ガス等の炭素含有ガスとした場合には、低変形抵抗領域30’の窒化処理、あるいは浸炭処理を行うことができる。
【0194】
また、金属体M2が中空部を有する中空円筒体である場合には、中空部を減圧状態とすることによって、低変形抵抗領域において中空部に向けて金属体を収縮変形させながら剪断変形を行うことができ、金属組織をより微細化することができる。
【0195】
あるいは、逆に中空部を高圧状態とすることによって、低変形抵抗領域において金属体を膨張変形させながら剪断変形を行うことができ、金属組織をより微細化することができる。
【0196】
このように、中空部を減圧状態または高圧状態とする場合にも、中空部内に不活性ガスまたは活性ガス、若しくは不活性液体あるいは活性液体を所定圧力で供給するようにしてもよい。特に、中空部を減圧状態とする場合には、金属体の外部を加圧状態としておくことにより、相対的に減圧状態となっていてもよい。
【0197】
STSP装置は上記のように構成しており、金属体M2に形成した低変形抵抗領域30’を捻回することによって金属組織を微細化する場合には、STSP装置に金属体M2を装着し、冷却装置65によって低変形抵抗領域30’の両側を冷却しながら加熱装置64によって低変形抵抗領域30’を加熱する。
【0198】
ここで、加熱装置64による加熱は、低変形抵抗領域30’の温度が金属体M2に生じた歪みの回復軟化温度または再結晶温度以上となるまで行い、回復・再結晶温度以上となったところで回転装置によって非低変形抵抗領域を金属体M2の中心軸を回転軸として回転軸周りに回転させることにより、低変形抵抗領域30’を捻回する。
【0199】
回転装置による非低変形抵抗領域の回転は1〜20rpmとしている。回転回数は2分の1回転以上としており、回転回数が多いほど大きな剪断変形を生起することができ、金属組織の微細化効率を向上させることができる。
【0200】
なお、加熱装置64による金属体M2の加熱温度は、回復・再結晶温度以上ではあるが、金属結晶粒の粗大化の影響が生じ始める温度以下に制御することが望ましい。
【0201】
本実施形態では、低変形抵抗領域30’を形成した金属体M2の一方端を固定して、他方端を回転させるように構成しているが、低変形抵抗領域30’を挟む両側をそれぞれに逆方向に回転させてもよい。
【0202】
このようにして低変形抵抗領域30’を捻回した後、低変形抵抗領域30’を冷却している。上記した実施形態では、金属体M2を伸延方向に沿って移動させることはできないが、金属体M2を伸延方向に沿って移動可能に構成することにより、金属体M2における低変形抵抗領域30’の位置を変位させることができ、金属体M2に対して捻回による剪断処理を連続的に行って、広範囲の領域にわたって金属組織を微細化した金属体M2とすることができる。
【0203】
また、金属体M2を伸延方向に沿って移動可能に構成するのではなく、加熱装置64と冷却装置65とからなる剪断変形部62を金属体M2の伸延方向に沿って移動可能に構成してもよい。
【0204】
さらに、金属体M2の伸延方向の移動、または剪断変形部62の金属体M2の伸延方向に沿った移動を往復移動とすることによって、金属体M2の所定幅の領域に繰り返し剪断処理を行って、金属組織をより微細化してもよい。
【0205】
しかも、場合によっては、金属体M2の所要の位置に形成した低変形抵抗領域30’ごとに、回転装置による金属体M2の回転速度、あるいは加熱条件若しくは冷却条件を調整することにより金属組織の微細化の程度を調整して、金属体M2の強度あるいは延性を調整することができ、部分的に強度を向上させたり、延性を向上させたりした金属体M2を生成できる。
【0206】
図15は、上記したSTSP装置による処理前のアルミニウム合金であるAl5056の電子顕微鏡写真であり、図16は、STSP装置で処理したAl5056の電子顕微鏡写真である。金属体M2を剪断変形させることによって、60〜70μmであった金属組織の結晶粒を5μm以下にまで微細化できることがわかる。
【0207】
しかも、この結晶粒の微細化は、加熱、冷却の条件を工夫して設定することにより、たとえば、電子ビームできわめて狭い領域のみをしかも深淵部まで加熱し、その領域外では自己冷却により低温のままとすれば、低変形抵抗領域と非低変形抵抗領域の境界部を幅狭として低変形抵抗領域に強歪みを集中できるので、結晶粒径を数十ナノから十ナノのレベルにまで、微細化することができる。
【0208】
また、図17は鉄系材料であるS45Cを、上記したSTSP装置によって処理した金属体と、STSP装置における処理と同様の熱履歴による焼き鈍し処理を行った金属体との耐力、引張り強度、均一延びを比較した結果を示しており、STSP装置で処理することによって均一延びを増加させることなく耐力及び引張り強度を向上させることができることがわかる。
【0209】
さらに、図18はアルミニウム系材料であるAl5056を、上記したSTSP装置によって処理した金属体と、STSP装置における処理と同様の熱履歴による焼き鈍し処理を行った金属体との耐力、引張り強度、均一延びを比較した結果を示しており、STSP装置で処理することによって、S45Cの場合と同様に、均一延びを増加させることなく耐力及び引張り強度を向上させることができることがわかる。
【0210】
なお、上記したSTSP装置では、その構造から明らかなように、回転装置によって非低変形抵抗領域を回転させた場合の低変形抵抗領域30’の回転軸部分には十分な剪断変形が生じないことによって金属組織の微細化が不十分な領域があらわれるおそれがある。
【0211】
そこで、本実施形態のSTSP装置では、加熱装置64によって金属体M2を加熱することにより低変形抵抗領域30’を形成する際には、加熱装置64は回転軸の領域を非中心とする加熱分布として加熱している。
【0212】
すなわち、本実施形態のように加熱装置64を高周波加熱コイルで構成した場合には、高周波加熱コイルの中心軸を回転部63による金属体M2の回転軸から偏倚させている。これによって低変形抵抗領域30’では回転軸の領域を非中心とする加熱分布とすることがで、回転軸の領域に微細化されない領域ができることを抑止して、STSP装置においても金属組織を均一に微細化することができる。
【0213】
このように、加熱装置64の配置を調整することにより加熱分布を回転軸の領域を非中心とした状態とすることができ、回転軸の領域の金属組織も確実に微細化することができる。
【0214】
STSP装置における金属組織の微細化の不均一を防止する方法としては、低変形抵抗領域30’を挟む一方の非低変形抵抗領域を、他方の非低変形抵抗領域に対して、金属体M1の伸延方向と略直交する方向に移動させて、この移動によって低変形抵抗領域30’の回転軸の領域に剪断変形を生じさせることにより、金属組織の微細化の不均一を防止してもよい。
【0215】
すなわち、STSP装置に後述するSVSP装置の振動印加体47を組み込んで、低変形抵抗領域30’を捻回するとともに振動させてもよい。
【0216】
あるいは、回転軸自体を丸棒状となった金属体M2の幾何学的な中心から偏倚させることにより、低変形抵抗領域30’の回転軸の領域に剪断変形を生じさせて、金属組織の微細化の不均一を防止してもよい。
【0217】
または、金属体M2を所定形状に成形する適宜の成型用ガイド体を低変形抵抗領域30’に当接させて、この成型用ガイド体によって低変形抵抗領域30’に加えられる変形応力を生起して金属組織の微細化の不均一を防止することもできる。
【0218】
特に、低変形抵抗領域30’では変形抵抗が低下していることにより所定形状への成形を容易に行うことができ、所定形状への変形と金属組織の微細化の不均一解消とを同時に行うことができる。
【0219】
具体的には、図19に示すように、低変形抵抗領域30’に成形用ガイド体として例えば伸線用ダイス69を当接させることによって、低変形抵抗領域30’において剪断変形により金属組織を微細化させながら、伸線用ダイス69で金属体M2の伸線処理を行うこともできる。
【0220】
特に、図19においては、伸線用ダイス69は図示しないヒータと接続して所要温度となるようにして、伸線用ダイス69を加熱用装置として使用するようにしている。したがって、伸線用ダイス69と当接した金属体M2の当接部分を局部加熱することができ、低変形抵抗領域30’を容易に形成できる。
【0221】
あるいは、伸線用ダイス69には、内部に冷却水を通水させる水路(図示せず)等を設けて低変形抵抗領域30’を冷却する冷却装置としてもよい。
【0222】
伸線用ダイス69を冷却装置とした場合には、図20に示すように、伸線用ダイス69と当接した金属体の当接部分を局部冷却することができ、剪断変形後の低変形抵抗領域30’を効率よく冷却して、製造効率を向上させることができる。
【0223】
また、低変形抵抗領域30’が所定の温度、特に成形加工を行う温度にまで冷却された後に成形用ガイド体によって金属体M2に所要の成形加工を行ってもよい。
【0224】
なお、説明の便宜上、図19では冷却装置を省略しており、図20では加熱装置を省略している。
【0225】
成形用ガイド体としては伸線用ダイス69に限定するものではなく、雄ねじ形成用ダイスやバイト等を適宜用いることにより、ネジ加工やギヤ転造を行うようにしてもよい。
【0226】
図21は、上記したSTSP装置の変容例の概略説明図である。このSTSP装置には、金属体M2’を供給する供給部70と、剪断変形された金属体M2’を収容する収容部71とを設けている。
【0227】
供給部70には所要のリールに巻回した金属体M2’を供給し、図示しない引延具によって金属体M2’を直線状に引き延ばしながら送給するようにしている。
【0228】
収容部71では、剪断変形された金属体M2’を、図示しない巻付具によってリールに巻回させて収容するようにしている。
【0229】
そして、STSP装置では、供給部70と収容部71との間に、金属体M2’の伸延方向に沿って複数の剪断変形部62’をそれぞれ所定間隔だけ離隔して設け、しかも、隣り合った剪断変形部62’,62’の間に回転部63’を設けて、この回転部63’によって金属体M2’の伸延方向と略平行とした回転軸周りに金属体M2’を回転させて、剪断変形部62’部分の金属体M2’を剪断変形させている。
【0230】
剪断変形部62’には、金属体M2’を加熱する高周波加熱コイル64’と、金属体M2’を冷却するための冷却水を吐出する第1吐水口65b’と第2吐水口65c’とを設け、しかも、第1吐水口65b’と第2吐水口65c’との間に高周波加熱コイル64’を位置させて、高周波加熱コイル64’による金属体M2’の加熱領域を微小範囲としている。
【0231】
本実施形態では、回転部63’には金属体M2’に当接させた回転ローラを設け、この回転ローラによって金属体M2’を回転させている。しかも、隣り合った回転部63’では、それぞれ回転ローラの回転方向を逆方向としている。
【0232】
このように構成したSTSP装置において、供給部70と収容部71とを金属体M2’の搬送手段として金属体M2’を送給することによって、金属体M2’に複数回の剪断変形を施すことができる。
【0233】
あるいは、たとえば、剪断変形部62’を金属体M2’の伸延方向に沿って所定間隔TでNカ所設けている場合に、供給部70と収容部71とを金属体M2’の搬送手段として金属体M2’を所定間隔Tと等距離だけ送給すると、T×Nの長さの領域において一度に剪断変形を行うことができるので、剪断変形を停止して金属体M2’をT×Nだけ送給し、その後、剪断変形を再開して金属体M2’を所定間隔Tと等距離だけ送給することを繰り返すようにすることもできる。これによって、製造効率を向上させることができる。
【0234】
なお、この場合には、Nは偶数であって、図21のように、剪断変形部62’と剪断変形部62’との間に全て回転部63’を設けるのではなく、一つおきに回転部63’を設けてもよい。
【0235】
以下において、上記した第1実施形態のSTSP装置を改良した第2実施形態のSTSP装置について説明する。第2実施形態のSTSP装置では、金属体を加熱して形成する低変形抵抗領域を金属体の伸延方向に沿って移動させるようにしているものである。
【0236】
図22は、第2実施形態のSTSP装置の概略説明図、図23は図22の一部切欠の概略説明図である。
【0237】
第2実施形態のSTSP装置は、被処理物である棒状の金属体M3を支持するとともに回転させる回転手段となる回転処理部102と、この回転処理部102で支持された金属体M3の一部を加熱して低変形抵抗領域を形成する低変形抵抗領域形成手段となる加熱処理部103とで構成している。ここで、本実施形態では、金属体M3は丸棒体としているが、金属体M3は必ずしも丸棒体に限定するものではなく、例えば金属体M3の伸延方向に沿って伸延させた中空部を有する円筒体、あるいは、場合によっては単なる角棒体であってもよい。
【0238】
回転処理部102は、基台104上面に左右方向に伸延させて設けたスライドレール105と、同スライドレール105に摺動自在に装着してスライドレール105に沿って左右に摺動する摺動テーブル106と、摺動テーブル106の一端に設けた捻回用モータ107と、摺動テーブル106の他端に設けて捻回用モータ107によって回転される金属体M3の一端を固定支持する固定支持体108とで構成している。
【0239】
さらに、摺動テーブル106の一端の下面には、雄ネジ状とした進退操作軸109と螺合する第1突片110を突設し、進退操作軸109の一端に連動連結した進退操作用モータ111によって進退操作軸109を回転させることにより、スライドレール105に沿って摺動テーブル106を左右方向に摺動操作するように構成している。
【0240】
スライドレール105は、本実施例では円柱状の棒状体であって、基台104上面に所要の間隔を隔てて立設した第1支持壁112と第2支持壁113との間に架設している。特に本実施例では、スライドレール105は、水平面内に所定間隔を隔てて平行に2本設けている。図22及び図23中、114はスライドレール105を補助的に支持する第1補助支持体であり、115もスライドレール105を補助的に支持する第2補助支持体である。特に、第2補助支持体115では、進退操作軸109の一端を回転自在に支持している。
【0241】
摺動テーブル106は所要の大きさとした板体で構成しており、下面側の一端には下方に向けて第1突片110を突設するとともに、他端には下方に向けて第2突片116を突設している。そして、第1突片110及び第2突片116には、それぞれスライドレール105が挿通される挿通孔を設けており、同挿通孔にスライドレール105を挿通させて摺動テーブル106をスライドレール105に装着し、摺動テーブル106をスライドレール105に沿って摺動自在としている。
【0242】
捻回用モータ107は摺動テーブル106の一端に固定装着しており、捻回用モータ107の出力軸には金属体M3を装着するための装着金具117を取着している。装着金具117には、金属体M3の一端が挿入される挿入孔を設けている。
【0243】
固定支持体108は捻回用モータ107に対向させて摺動テーブル106の他端に立設しており、特に、固定支持体108は、支持フレーム108aと、同支持フレームに装着したクラッチ機構部108bとで構成している。
【0244】
クラッチ機構部108bには金属体M3を挿通させる挿通孔108cを形成し、同挿通孔108cに挿通した金属体M3をクラッチ機構部108bの回転板に固定装着して、クラッチ機構部108bを接続状態と切断状態の切替操作を行うことにより、金属体M3の非回転状態と可回転状態とを切替可能としている。
【0245】
摺動テーブル106の上面には、所要の位置に金属体M3を回転自在に支持する第1回転支持体118と、第2回転支持体119とを設けている。第1回転支持体118は捻回用モータ107寄りに設け、第2回転支持体119は固定支持体108寄りに設けている。
【0246】
第1回転支持体118及び第2回転支持体119の上部には、4つのガイドローラ118a,119aをそれぞれ金属体M3と略平行に伸延させながら回転自在に枢着しており、図24に示すようにガイドローラ18aを金属体M3の周囲に略等間隔で配置して、金属体M3を支持するように構成している。
【0247】
加熱処理部103は、第1回転支持体118と第2回転支持体119との間に設けており、特に、金属体M3の一部を加熱して変形抵抗を低下させる加熱部120と、同加熱部120における加熱によって形成された低変形抵抗領域を極小領域とするために加熱部120の両側に設けた第1冷却部121と、第2冷却部122とで構成している。第1冷却部121及び第2冷却部122は、加熱によって変形抵抗が低下している低変形抵抗領域の両側をそれぞれ冷却することによって変形抵抗を増大させており、非低変形抵抗領域を生成している非低変形抵抗領域生成手段となっている。
【0248】
加熱部120は、本実施例では、図23に示すように、金属体M3に巻回した高周波加熱コイル123によって構成している。なお、加熱部120は、高周波加熱コイル123に限定するものではなく、プラズマ、レーザー、電磁誘導等を用いた加熱や、ガスバーナーによる加熱であってもよい。
【0249】
第1冷却部121及び第2冷却部122は、それぞれ噴霧ノズル121a,122aで構成しており、同噴霧ノズル121a,122aに水と空気とを送給して、金属体M3に水を噴霧することにより金属体M3を冷却するように構成している。第1冷却部121は捻回用モータ107寄りに設け、第2冷却部122は固定支持体108寄りに設けている。
【0250】
第1冷却部121と第2冷却部122とによって金属体M3の冷却を行い、加熱部120における加熱によって形成された低変形抵抗領域を極小領域とすることによって、後述するように金属体M3に生じる捻回の領域を微小幅領域として、大きい剪断応力を生起することができるようにしている。
【0251】
第1冷却部121及び第2冷却部122において水の噴霧を行うために、加熱処理部103はケーシング124内に収容している。125はケーシング124を載置する載置台126を支持するために基台104に立設した支持柱である。ケーシング124及び載置台126には、第1冷却部121及び第2冷却部によってケーシング124内に噴霧された水を排水する排水路127を設けており、ケーシング124の下部に溜まった水を排水路127から排出するように構成している。排水路127から排出された水は、摺動テーブル106の上面に設けた排水槽128で受け止めてさらに排出するように構成している。
【0252】
また、ケーシング124の内部には、第1冷却部121及び第2冷却部122から噴霧された水が加熱部120にかかることを防止するために、加熱部120を囲繞する防水ケース129を設けている。
【0253】
防水ケース129には、高周波加熱コイル123によって加熱された金属体M3の温度を計測するための温度計測センサ130を取着している。特に、同温度計測センサ130による計測を精度良く行うために、防水ケース129内には送気管131を連通連結して乾燥空気を送気している。防水ケース129内に乾燥空気を送気することによって、第1冷却部121及び第2冷却部122において噴霧された水が加熱部120内に浸入することも防止できる。
【0254】
上記のように構成したSTSP装置を用いて、次のようにして金属体M3を捻回し、剪断応力を作用させている。
【0255】
まず、所要の金属体M3を、固定支持体108のクラッチ機構部108bに設けた挿通孔108c、第2回転支持体119、ケーシング124内の高周波加熱コイル123、第1回転支持体118に順次挿通させて装着金具117の挿入孔に挿入し、装着金具117の外側面に設けた固定ネジ32を締めることにより金属体M3を固定装着し、さらに、クラッチ機構部108bの回転板に、図示しない固定ネジを用いて金属体M3を固定装着する。
【0256】
その後、捻回用モータ107を作動させることにより金属体M3を所要の回転数で回転させる。このとき、クラッチ機構部108bでは切断状態とすることにより金属体M3を可回転状態として、金属体M3全体を回転させている。金属体M3の回転速度は、1〜100rpm程度であればよい。なお、場合によってはさらに高速で回転させてもよい。
【0257】
また、金属体M3の回転開始にともなって、高周波加熱コイル123による金属体M3の加熱を開始する。金属体M3を回転させながら加熱することにより金属体M3の均一な加熱を行うことができる。
【0258】
金属体M3が所定の冷却開始温度に達したところで第1冷却部121及び第2冷却部122の噴霧ノズル121a,122aから水の噴霧を開始して、金属体M3に形成した低変形抵抗領域の両側の冷却を行う。
【0259】
そして、高周波加熱コイル123により金属体M3をさらに加熱して、金属体M3が冷却開始温度よりも高い捻回開始温度に達したところで、クラッチ機構部108bを接続状態として金属体M3の一側を非回転状態とする。
【0260】
したがって、金属体M3の一側は非回転状態となる一方で、金属体M3の他側は捻回用モータ107によって回転状態となっているので、金属体M3の低変形抵抗領域に捻回を生じさせることができる。ここで、捻回開始温度は、金属体M3の金属の回復・再結晶温度以上ではあるが、金属結晶粒の粗大化の影響が生じ始める温度以下に制御することが望ましい。
【0261】
さらに、クラッチ機構部108bを接続状態としたのと同時に、進退操作用モータ111を作動させることにより摺動テーブル106をスライドレール105に沿って摺動させて、金属体M3における低変形抵抗領域の形成位置を移動させている。
【0262】
したがって、金属体M3の伸延方向に沿って連続的に金属体M3に剪断応力を加えることができる。摺動テーブル106の移動速度は1〜200cm/min程度であればよく、捻回用モータ107の回転速度との兼ね合いから、金属体M3に適する速度とすることが望ましい。
【0263】
摺動テーブル106が所定の距離だけ移動したところで高周波加熱コイル123による加熱を停止し、進退操作用モータ111を逆回転させて摺動テーブル106を初期位置に復帰させている。
【0264】
そして、金属体M3の温度が所定の温度にまで降下したところで第1冷却部121及び第2冷却部122の噴霧ノズル121a,122aから水の噴霧を停止して、STSP装置から金属体M3を取出している。
【0265】
上記した実施形態では、進退操作用モータ111によって往復する摺動テーブル106の往路においてのみ金属体M3の捻回を行って剪断応力を作用させているが、復路においてもそのまま金属体M3の捻回を行ってもよく、しかも、その場合には、捻回用モータ107の回転方向を逆転させてもよい。さらには、摺動テーブル106を複数回往復させて、金属体M3に繰り返し剪断応力を作用させるようにしてもよい。
【0266】
上記したSTSP装置では、加熱部120の高周波加熱コイル123は金属体M3からの距離が略均一となるように巻回してもよいが、金属体M3からの距離を不略均一となるように巻回した場合には、高周波加熱コイル123による金属体M3の加熱中心、すなわち、最高加熱部位を、捻回用モータ107による金属体M3の回転軸、すなわち、低変形抵抗領域の捻回の回転軸から偏倚させることができ、回転軸部分の金属にも十分な剪断応力を作用させることができるので、金属体M3の金属組織を均質に微細化することができる。
【0267】
また、第1回転支持体118と第2回転支持体119の少なくともいずれか一方に、金属体M3を同金属体M3の伸延方向と略直交する方向に振動させる振動手段を設けることにより、捻回の回転軸部分の金属にも十分な剪断応力を作用させることができ、金属体M3の金属組織を均質に微細化することができる。振動手段としては、第1回転支持体118あるいは第2回転支持体119に振動子を装着するだけでもよい。
【0268】
さらに、ケーシング124の内部には、窒素ガス、あるいはメタンガス及び/または一酸化炭素ガス等の活性ガスを送気して、非変形抵抗領域の表面に所要の反応膜を形成するようにしてもよい。
【0269】
特に、活性ガス等によってケーシング124の内部を高圧雰囲気としておくことにより、高圧の圧力による低変形抵抗領域への作用によって金属組織の微細化効率を向上させることが期待できる。
【0270】
あるいは、ケーシング124の内部には液体を注入し、非変形抵抗領域を液体中で形成するようにしてもよい。この場合、噴霧ノズル21a,22aからの水の噴霧を不要とすることができるとともに、金属体M3の冷却効率を向上させることができる。この場合にも、上記した防水ケース129を設けるとともにこの防水ケース129の内部に所要の気体を送気することにより、高周波加熱コイル123で金属体M3を確実に加熱することができるようにすることが望ましい。
【0271】
特に、防水ケース129の内部に送気する気体を窒素ガス、あるいはメタンガス及び/または一酸化炭素ガス等の活性ガスとすることにより、非変形抵抗領域の表面に所要の反応膜を形成することができる。
【0272】
さらに、ケーシング124の内部には液体を注入している場合には焼き入れを行っていることともなり、ケーシング124の内部に注入した液体の温度を調整しておくことにより、所要の焼き入れ処理あるいは冷却を行うことができる。
【0273】
また、金属体M3の被加熱部分には成型用ガイド体を当接させて、金属組織を微細化するとともに所要の形状に成形可能としてもよい。
【0274】
上記した回転処理部102と、この回転処理部102を載設した摺動テーブル106と、この摺動テーブル106を摺動させている摺動機構を電子線照射装置におけるチャンバー内に収容可能な形態としてチャンバー内に設けた場合には、金属体の加熱に電子線を用いることができるとともに、金属体の自己冷却作用によって冷却手段を用いることなく金属体を冷却することができ、低変形抵抗領域の形成効率を向上させることができる。
【0275】
以下において、上記した第2施形態のSTSP装置を改良した第3実施形態のSTSP装置について説明する。第3実施形態のSTSP装置では、一方向に長く伸延した金属体を連続的に処理可能としているものである。
【0276】
図25は、第3実施形態のSTSP装置の概略説明図、図26は図25の要部拡大図であり、図27は同要部部分の側面図である。
【0277】
第3実施形態のSTSP装置は、一方向に長く伸延した金属体M4の搬送工程中に介設可能としており、金属体M4の搬送工程における上流側から第1低変形抵抗領域形成部210と、変位印加部220と、第2低変形抵抗領域形成部230とを設けて構成している。図25中、240及び250はそれぞれ搬送ガイド部であり、所定間隔でガイドローラ201を設けたガイドフレーム202を、支持支柱203で所要の高さに位置させて構成している。
【0278】
第1低変形抵抗領域形成部210は、金属体M4の送給を行う第1送給ローラ対211と、後段の変位印加部220によって金属体M4に加えられた変位の伝搬を抑制する第1伝搬抑制ローラ対212と、金属体M4を加熱して第1低変形抵抗領域を形成する第1ヒータ213と、この第1ヒータ213で形成された第1低変形抵抗領域の側縁を冷却して金属体M4の変形抵抗を増大させている第1冷却器214とを、金属体M4の送給方向に沿って配置して構成している。図25〜27中、215は、金属体M4の第1送給ガイドであり、216は第1低変形抵抗領域形成部210と変位印加部220と第2低変形抵抗領域形成部230を制御している制御部である。
【0279】
また、第2低変形抵抗領域形成部230は、金属体M4の第2送給ガイド235と、金属体M4を加熱して第2低変形抵抗領域を形成する第2ヒータ233と、この第2ヒータ233で形成された第2低変形抵抗領域の側縁を冷却して金属体M4の変形抵抗を増大させている第2冷却器234と、金属体M4の送給を行う第2送給ローラ対231と、前段の変位印加部220によって金属体M4に加えられた変位の伝搬を抑制する第2伝搬抑制ローラ対232とを、金属体M4の送給方向に沿って配置して構成している。
【0280】
特に、第2低変形抵抗領域形成部230では、第2ヒータ233で形成した第2低変形抵抗領域を所定幅とするために、送給ガイド235と第2ヒータ233との間に第3冷却器237を設けている。
【0281】
第1低変形抵抗領域形成部210と第2低変形抵抗領域形成部230とにおいて、第1送給ローラ対211と第2送給ローラ対231とは同一構成としており、第1伝搬抑制ローラ対212と第2伝搬抑制ローラ対232も同一構成としており、第1ヒータ213と第2ヒータ233も同一構成としており、第1冷却器214と第2冷却器234も同一構成としており、第1送給ガイド215と第2送給ガイド235も同一構成としており、第1低変形抵抗領域形成部210と第2低変形抵抗領域形成部230とでは、それぞれの配列を異ならせているだけである。
【0282】
以下において、図26及び図27を用いて第1低変形抵抗領域形成部210について説明する。
【0283】
第1低変形抵抗領域形成部210は、矩形枠状とした基台フレーム218上に金属体M4の送給方向に沿って第1送給ローラ対211と、第1伝搬抑制ローラ対212と、第1ヒータ213と、第1冷却器214と、第1送給ガイド215とを順に配設して構成している。
【0284】
第1送給ローラ対211は、金属体M4の上方側に配置した上部送給ローラ211aと、金属体M4の下方側に配置した下部送給ローラ211bとによって金属体M4を挟持するようにしており、図27に示すように、下部送給ローラ211bに連動連結した駆動モータ211cによって下部送給ローラ211bを回転させることにより、上部送給ローラ211aと下部送給ローラ211bとで挟持した金属体M4を送給可能としている。
【0285】
特に、上部送給ローラ211aは、この上部送給ローラ211aを装着した上部送給ローラ支持体211dを第1付勢バネ211eによって下方に向けて付勢することにより、所定の圧力で上部送給ローラ211aと下部送給ローラ211bとにより金属体M4を挟持している。図26中、211fは下部送給ローラ211bを装着した下部送給ローラ支持体、211gは、上部送給ローラ支持体211dを下部送給ローラ支持体211fの上方位置に支持している第1支持柱である。
【0286】
なお、本実施形態では、金属体M4は一方向に伸延した丸棒体としており、上部送給ローラ211a及び下部送給ローラ211bの金属体M4との当接面は円弧状に凹設している。
【0287】
第1伝搬抑制ローラ対212は、金属体M4の上方側に配置した上部抑制ローラ212aと、金属体M4の下方側に配置した下部抑制ローラ212bとによって金属体M4を挟持するようにしている。
【0288】
特に、上部抑制ローラ212aは、この上部抑制ローラ212aを装着した上部抑制ローラ支持体212dを第2付勢バネ212eによって下方に向けて付勢することにより、所定の圧力で上部抑制ローラ212aと下部抑制ローラ212bとにより金属体M4を挟持している。図26中、212fは下部抑制ローラ212bを装着した下部抑制ローラ支持体、212gは、上部抑制ローラ支持体212dを下部抑制ローラ支持体212fの上方位置に支持している第2支持柱である。
【0289】
第1伝搬抑制ローラ対212では、第2付勢バネ212eの上部に当接させた昇降板212hを昇降操作ハンドル212jで操作することにより昇降可能としており、昇降板212hの堅さを調整することにより、上部抑制ローラ212aと下部抑制ローラ212bとによる金属体M4の挟持力を調整可能としている。
【0290】
上部抑制ローラ212a及び下部抑制ローラ212bの金属体M4との当接面も、上部送給ローラ211a及び下部送給ローラ211bの金属体M4との当接面と同様に円弧状に凹設しており、特に、上部抑制ローラ212a及び下部抑制ローラ212bでは、金属体M4との当接面に、周面に沿った係止溝212kを複数設けて、後述するように変位印加部220で金属体M4に加えた金属体M4の伸延方向と略平行とした回転軸周りの金属体M4の回転にともなって第1伝搬抑制ローラ対212部分の金属体M4が回転することを防止している。
【0291】
なお、第1伝搬抑制ローラ対212は必要に応じて複数並設して、第1伝搬抑制ローラ対212部分の金属体M4が回転することを確実に防止するようにしてもよい。
【0292】
第1ヒータ213は、金属体M4に巻回した高周波加熱コイル213aによって構成している。なお、第1ヒータ213は、高周波加熱コイル213aに限定するものではなく、プラズマ、レーザー、電磁誘導等を用いた加熱や、ガスバーナーによる加熱であってもよい。
【0293】
第1冷却器214は、内面に複数の噴水口を設けた筒状の噴水管214aと、この噴水管214aに水を供給する給水管214bとで構成している。図26中、214cは噴水管214aから噴射した水の飛散を防止するケーシングである。
【0294】
第1送給ガイド215は、回転支持体215aの上部に4つのガイドローラ215bをそれぞれ金属体M4と略平行に伸延させながら回転自在に枢着しており、図24に示した第1回転支持体118と同様の構成としている。
【0295】
第1低変形抵抗領域形成部210は上記したように構成しており、必要に応じて第1伝搬抑制ローラ対212と第1ヒータ213との間に第1冷却器214と同様の冷却器を設けて金属体M4を冷却し、第1ヒータ213によって金属体M4を加熱した熱が第1伝搬抑制ローラ対212部分に伝搬することを防止するようにしてもよい。
【0296】
第2低変形抵抗領域形成部230は、上記したように第1低変形抵抗領域形成部210における第1送給ローラ対211と、第1伝搬抑制ローラ対212と、第1ヒータ213と、第1冷却器214と、第1送給ガイド215の配置が異なるだけであるので、説明は省略する。なお、第2低変形抵抗領域形成部230の第3冷却器237は、第1冷却器214のように噴水管214aを用いることなく、給水管から供給された水を金属体M4に直接噴射するようにしている。図25中、237aは第3冷却器237における水の飛散防止のためのケーシングである。
【0297】
変位印加部220は、本実施形態では、金属体M4をその伸延方向と略平行とした回転軸周りに回転させる回転器としており、金属体M4を挟んで対向させて配置した第1回転ローラ220aと第2回転ローラ220bで金属体M4を挟持して、金属体M4を回転させるようにしている。
【0298】
特に、第1回転ローラ220a及び第2回転ローラ220bは、それぞれの回転軸を金属体M4の伸延方向に対して所要の角度で交差させることにより、金属体M4を回転させるとともに、金属体M4を伸延方向に沿って送給可能としている。
【0299】
上記のSTSP装置では、金属体M4を伸延方向に沿って送給しながら第1低変形抵抗領域形成部210の第1ヒータ213及び第2低変形抵抗領域形成部230の第2ヒータ233で金属体M4をそれぞれ加熱することにより第1低変形抵抗領域と第2低変形抵抗領域とを形成し、第1低変形抵抗領域と第2低変形抵抗領域とで挟まれた非低変形抵抗領域部分の金属体M4を変位印加部220で回転させることにより、第1低変形抵抗領域部分及び第2低変形抵抗領域部分をそれぞれ剪断変形させている。
【0300】
本実施形態では、変位印加部220において金属体M4を回転させるようにしているが、金属体M4に適宜の超音波振動装置等を当接させて振動させるようにしてもよい。
【0301】
このように、一方向に伸延した金属体M4に第1低変形抵抗領域と第2低変形抵抗領域とを所定間隔だけ隔てて設けるとともに、第1低変形抵抗領域と第2低変形抵抗領域との間の非低変形抵抗領域部分に所要の変位運動を加えるようにすることによって、金属体M4の搬送工程中において金属組識の微細化を行うことができる。
【0302】
また、第2低変形抵抗領域形成部230の後段には時効処理用の加熱装置を設け、金属体M4を所要の時効温度に加熱することによって時効処理を行うようにしてもよい。あるいは、第2低変形抵抗領域形成部230の後段には適宜の加工装置、例えば圧延装置や伸線装置等を設けて金属体M4を塑性加工してもよい。
【0303】
特に、金属体M4を中空の筒状体で構成している場合には、第2低変形抵抗領域形成部230の後段において金属体M4を伸延方向に沿って切開することにより平板状金属体とするようにしてもよい。このようにすることによって、金属組織が微細化された平板状金属体を極めて容易に製造することができる。
【0304】
図28は、金属体に形成した低変形抵抗領域を振動によって剪断変形させる装置である。本発明者らは、このように低変形抵抗領域を振動によって剪断変形させて金属組織を微細化させることをSVSP(Severe Vibration Straining Process)法と称しており、図28はSVSP装置の一例の概略説明図である。ここでは、説明の便宜上、金属体M1は一方向に伸延させた角棒体としているが、他の形状であってもよい。
【0305】
SVSP装置には、金属体M1の伸延方向に沿って基台40上に固定部41と、剪断変形部42と、振動部43とを設けている。
【0306】
固定部41には、金属体M1の伸延方向に沿って第1規制体44と、第2規制体45とを設けている。第1規制体44では、伸延方向に沿って送給される金属体M1の幅方向の動きを規制しており、第2規制体45では、伸延方向に沿って送給される金属体M1の厚み方向の動きを規制して、金属体M1を進退自在に固定している。
【0307】
すなわち、第1規制体44では、それぞれ支持体によって回転自在に支持された第1当接ローラ44aと第2当接ローラ44bで金属体M1を挟持固定している。
【0308】
また、第2規制体45では、金属体M1を挟んで立設した第1支持体45aと第2支持体45bに、金属体M1の下方側に位置させる下側ローラ45cと、金属体M1の上方側に位置させる上側ローラ45dとを回転自在に架設して、下側ローラ45cと上側ローラ45dとで金属体M1を挟持固定している。
【0309】
なお、下側ローラ45cと上側ローラ45d、さらには、第1規制体44の第1当接ローラ44aと第2当接ローラ44bをそれぞれ適宜の駆動装置を用いて回転させて、金属体M1を送給する送給機構としてもよい。図28中、46は金属体M1の送給を補助するガイドローラである。
【0310】
振動部43には、金属体M1の伸延方向に沿って振動印加体47と、振動伝搬抑制体48とを設けている。振動印加体47では金属体M1に所定の振動を印加し、振動伝搬抑制体48では振動印加体47において金属体M1に印加した振動が金属体M1に沿って伝搬することを抑制している。
【0311】
振動印加体47は、金属体M1の下方に位置させた超音波振動体49と、この超音波振動体49の出力軸49aに装着した伝播体50とで構成している。伝播体50は、金属体M1の下方側に位置させた下側ローラ50aと、金属体M1の上方側に位置させた上側ローラ50bとを、U字状とした支持フレーム50cに回転自在に架設して構成しており、下側ローラ50aと上側ローラ50bとで金属体M1を挟持している。
【0312】
そして、伝播体50は、超音波振動体49を作動させることによって、所定の振幅で、勝所定の周波数で上下方向に振動し、金属体M1を上下方向に振動させている。本実施形態では、超音波振動体49によって振動運動を生起しているが、超音波振動体49以外の装置、たとえばリニアモータあるいは圧電素子等、あるいは簡単にはカム機構によって振動運動を生起してもよい。
【0313】
例えば、カム機構からなる振動装置としては、図29に示すように、後述するように金属体M1に形成した低変形抵抗領域30の近傍において、金属体M1の一方の側面側に楕円状カム55を設けるとともに、他方の側面側にスプリング等で構成した従動用弾性体56を設け、楕円状カム55と従動用弾性体56とで金属体M1を挟持するとともに、楕円状カム55の回転運動によって金属体M1を振動運動させるように構成している。図23中、57は従動用弾性体56の固定体であり、58は金属体M1と直接的に当接して金属体M1を安定的に振動させるための支持板である。なお、カムは楕円状カム55に限定するものではなく、多角形状カム等の適宜のカム形状としてよい。
【0314】
超音波振動体49によって金属体M1に加えた振動の振幅は、後述するように金属体M1に形成した低変形抵抗領域30部分における金属組織を剪断変形によって微細化できる程度であればよく、基本的には、金属体M1を構成している金属の金属組織の粒径と、低変形抵抗領域30の金属体M1の伸延方向における幅寸法とから必要最小限の振幅が決定される。
【0315】
超音波振動体49による振動の振幅は、大きければ大きいほど金属組織を微細化できるが、振動の振幅が大きい場合には低変形抵抗領域30において復元が困難となる変形が発生するおそれがあり、そのため、低変形抵抗領域30に復元が困難となる変形が生じない最大の振幅で金属体M1を振動させることが望ましい。
【0316】
ここで、復元が困難とならない変形とは、半周期による振動において、低変形抵抗領域30が振動前の形状に復元する変形であり、復元が困難となる変形とは、半周期による振動において、低変形抵抗領域30が振動前の形状に復元しない変形である。
【0317】
超音波振動体49によって金属体M1に加えた振動の周波数は、振動によって低変形抵抗領域30に生起した変位による歪みを、金属体M1の歪みの解消作用によって解消したり、金属組織の再結晶化作用によって解消したりするよりも前に、先に加えた変位と異なる変位、すなわち、逆方向あるいは異なる方向への変位による歪みを与えることができる周波数である必要があり、この周波数はできる限り大きく設定する方が望ましい。なお、金属体M1に加える振動は、必ずしも高周波の振動を印加する場合だけでなく、たとえば低変形抵抗領域30に半周期分の振動だけを印加するような、低周波の振動を短時間だけ印加するように構成してもよい。
【0318】
ここでいう低周波とは、低変形抵抗領域30に生起した変位による歪みに対して、上記した金属体M1の歪みの解消作用、あるいは金属組織の再結晶化作用が作用を開始するまでの間に、低周波の振動が次の変位による歪みを生起することができるもっとも長い時間を4分の1周期とした振動の周波数である。
【0319】
なお、より効率よく低変形抵抗領域30を剪断変形させるためには、第1規制体44で金属体M1を固定するだけでなく、金属体M1自体の慣性を利用して固定することが望ましく、SVSP装置によって処理される金属体M1に応じた条件で振動を印可することにより、慣性による固定が可能となる振動の印加条件を選択することが望ましい。
【0320】
振動伝搬抑制体48は、上記した第2規制体45と同一構成であって、金属体M1を挟んで立設した第1支持体48aと第2支持体48bに、金属体M1の下方側に位置させる下側ローラ48cと、金属体M1の上方側に位置させる上側ローラ48dとを回転自在に架設して、下側ローラ48cと上側ローラ48dとで金属体M1を挟持固定し、振動印加体47で金属体M1に加えた振動が金属体M1に沿って伝搬することを抑制している。
【0321】
剪断変形部42は、金属体M1を所定温度に加熱する加熱装置51と、この加熱装置51による加熱によって金属体M1に形成した低変形抵抗領域30を所定の幅内に抑制するために金属体M1を冷却する冷却装置52とで構成している。
【0322】
本実施形態では、加熱装置51には高周波加熱コイルを用いており、この高周波加熱コイルを金属体M1に所定回数巻回し、金属体M1を所定温度に加熱することによって変形抵抗を低減させて低変形抵抗領域30を形成している。なお、加熱装置51としては高周波加熱コイルに限定するものではなく、電子ビーム、プラズマ、レーザー、電磁誘導等を用いた加熱や、ガスバーナーによる加熱、電気的短絡を利用した加熱であってもよい。特に、加熱装置51として電子ビームを用いた場合には、金属体M1の伸延方向における低変形抵抗領域30の幅を極めて小さくすることができ、低変形抵抗領域30により大きな剪断応力を作用させることができるので、金属組織のさらなる微細化を可能とすることができる。
【0323】
冷却装置52は、給水配管52aから供給された水を吐出する第1吐水口52bと第2吐水口52cで構成しており、第1吐水口52b及び第2吐水口52cから吐出した水によって金属体M1を冷却している。図28中、53は第1吐水口52b及び第2吐水口52cから吐出された水を受ける受水容器であり、54は同受水容器53に接続した排水管である。
【0324】
冷却装置52では、第1吐水口52bと第2吐水口52cとの間に設けた加熱装置51によって形成された低変形抵抗領域30の両側を、第1吐水口52b及び第2吐水口52cから吐出した水によって冷却しており、特に、第1吐水口52b及び第2吐水口52cの配設位置を調整することによって、低変形抵抗領域30を、金属体M1の伸延方向の長さと比較して極めて微少な領域としている。
【0325】
このように、低変形抵抗領域30を、金属体M1の伸延方向に沿った微小幅とすることにより、低変形抵抗領域30の部分に極めて大きな剪断変形を生起しやすく、金属組織の微細化効率を向上させることができる。しかも、振動運動による剪断変形の残留歪み、あるいは残留変形を小さくすることができる。
【0326】
また、加熱装置51で加熱した低変形抵抗領域30を冷却装置52によって急冷することによって焼き入れを行っていることとなり、金属組織が微細化された金属体M1の硬度の向上を図ることもできる。
【0327】
金属体M1の冷却は水冷に限定するものではなく、空冷であってもよい、励磁冷却であってもよく、金属体M1の変形抵抗を向上させることができればどのような方法であってもよい。
【0328】
加熱装置51及び冷却装置52には、上記したSTSP装置の加熱装置64及び冷却装置65と同様に様々な加熱手段及び冷却手段を用いることができる。
【0329】
本実施形態では、第2規制体45と高周波加熱コイルからなる加熱装置51との間に冷却装置52を設け、また、加熱装置51と振動印加体47との間に冷却装置52を設けているが、第2規制体45及び振動印加体47は冷却装置52よりも加熱装置51に近接させて設け、第2規制体45と振動印加体47との間隔をできるだけ短くしてもよい。
【0330】
このように、第2規制体45と振動印加体47との間隔をできるだけ短くすることによって、振動印加体47によって金属体M1に印加した振動のエネルギーが低変形抵抗領域30以外の部分に散逸することを防止でき、振動のエネルギーによる低変形抵抗領域30の剪断変形を効率よく生起することができる。
【0331】
さらに、金属体M1を挟持した第2規制体45の下側ローラ45cと上側ローラ45d、及び振動印加体47の伝播体50における下側ローラ50aと上側ローラ50bに冷却機能を付加し、これらのローラ45c,45d,50a,50bによって金属体M1を挟持するとともに冷却してもよい。
【0332】
上記のように構成したSVSP装置において、振動運動によって金属組織を微細化する場合には、金属体M1を固定部41、剪断変形部42、振動部43に順次送通し、剪断変形部42の冷却装置52によって低変形抵抗領域30の両側を冷却しながら加熱装置51によって金属体M1を加熱して、低変形抵抗領域30を形成する。
【0333】
ここで、加熱装置51による加熱は、低変形抵抗領域30の温度が金属体M1に生じた歪みの回復軟化温度または金属組織の再結晶温度以上となるまで行い、回復・再結晶温度以上となったところで振動印加体47によって金属体M1の非低変形抵抗領域を振動させて、低変形抵抗領域30に剪断変形を生起する。なお、加熱装置51による金属体M1の加熱温度は、回復・再結晶温度以上ではあるが、金属結晶粒の粗大化の影響が生じ始める温度以下に制御することが望ましい。
【0334】
このように、低変形抵抗領域30を剪断変形させることによって、金属体M1には外形形状の変化をほとんど生起することなく金属組織を微細化することができる。
【0335】
なお、本実施形態では、振動印加体47は金属体M1の非低変形抵抗領域を金属体M1の厚み方向である上下方向に振動させているが、上記したように金属体M1の幅方向である左右方向に振動させてもよいし、上下方向の振動と左右方向の振動とを複合させた複合振動によって振動させてもよく、そのために振動印加体47を適宜の構成としてよい。
【0336】
ここで、金属体M1に印加する振動は、金属体M1の伸延方向と略直交する上下方向あるいは左右方向の振動だけに限定しているものではなく、振動の成分中に少なくとも金属体M1の伸延方向と略直交する上下方向あるいは左右方向の振動が含まれていればよい。
【0337】
本実施形態のSVSP装置では、上記したように振動部43での振動運動の印加により低変形抵抗領域30において剪断変形を生起するとともに、同時に金属体M1を伸延方向に送給することによって、金属体M1における低変形抵抗領域30の位置を変位させることができ、金属体M1に対して振動運動による剪断処理を連続的に行って広範囲にわたって金属組識を微細化することができる。
【0338】
特に、低変形抵抗領域30が一方向に伸延した金属体M1を完全に横断していることによって、低変形抵抗領域30の移動にともなって金属体M1には一様に剪断処理を施すことができ、略均一に金属組織が微細化された金属体M1を形成することができる。
【0339】
さらに、場合によっては、金属体M1の所要の位置で剪断変形によって生起する剪断応力の大きさを調整することにより金属組織の微細化の程度を調整して、金属体M1の強度あるいは延性を調整することができ、部分的に強度を向上させたり、延性を向上させたりした金属体M1を生成できる。
【0340】
本実施形態では、低変形抵抗領域30を形成した金属体M12の一方端を固定して、他方端を振動させるように構成しているが、低変形抵抗領域30を挟む両側をそれぞれ逆位相で振動させてもよい。
【0341】
また、SVSP装置を、金属体M1に対して熱間圧延や冷間圧延、あるいは押出成形等を行う所定の成形装置の後行程部分に設けた場合には、圧延処理あるいは押出処理等によって伸延方向に引き延ばされた金属体M1の金属組織を剪断変形させることができ、金属組織をさらに微細化させやすくすることができる。
【0342】
このように、上記したSVSP装置及びSTSP装置によって金属体に局部的に低変形抵抗領域30,30’を形成するとともに、この低変形抵抗領域30,30’を剪断変形させることによって強歪みを加えることにより金属組織を微細化することができ、金属体の強度あるいは延性を向上させることができる。
【0343】
しかも、図1に示したように、金属体を複数の金属層を重合させた積層体10としている場合には、各金属層を形成している金属が隣接した金属層の金属と互いに微細化しながら接合することにより、一体化した金属体を生成できるとともに、金属層の積層方向に金属組成が変化する金属体を提供することができる。
【0344】
あるいは、図30に金属体の断面模式図として示すように、一部を切欠した切欠丸棒状の第1金属棒24の切欠部分に第2金属材25を挿入して一体化した複合金属棒26をSTSP装置で処理することによって、第1金属棒24の金属と第2金属材25の金属とを機械的に混合して、新規な合金を生成できる。
【0345】
また、図2に示したように、金属体を複数種類の金属粉体を混合した混合体の仮焼体16としている場合には、各金属粉体の金属組織を互いに微細化しながら接合することにより緊密に一体化した金属体を生成できる。特に、溶融法では生成できない組み合わせの金属もSVSP装置及びSTSP装置によって機械的に接合することができ、新規な合金を生成できる。
【0346】
また、図3に示したように、金属体を多孔質体17の孔部に金属粉体18を充填して形成した充填体19としている場合にも、各金属の金属組織を互いに微細化しながら接合することにより一体化した金属体を生成できる。特に、溶融法では生成できない組み合わせの金属もSVSP装置及びSTSP装置によって機械的に接合することができ、新規な合金を生成できる。
【0347】
また、図4に示したように、金属体を複数種類の金属線材を束ねて形成した金属線束23としている場合には、各金属線材の金属組織を互いに微細化しながら接合することにより一体化した金属体を生成できる。特に、溶融法では生成できない組み合わせの金属もSTSP装置によって機械的に接合することができ、新規な合金を生成できる。
【0348】
特に、金属体は、SVSP装置あるいはSTSP装置によって金属組織を微細化するまでは中空筒状としておき、SVSP装置あるいはSTSP装置によって金属組織を微細化した後に、筒状となっている金属体の周面を切開して板状体とすることにより、極めて容易に板状の金属材料であって、しかも金属組織が微細化されている金属材料を提供できる。
【0349】
上記したSVSP装置及びSTSP装置では、加熱装置によって形成した低変形抵抗領域の金属体の伸延方向における長さと、低変形抵抗領域に加える剪断変形を調整することによって、低変形抵抗領域の全域において剪断変形を行うこともできるし、低変形抵抗領域の一部分、たとえば、低変形抵抗領域の中央領域や、低変形抵抗領域の両端部または一方の端部において剪断変形を行うこともできる。
【0350】
また、SVSP装置及びSTSP装置で低変形抵抗領域の結晶組織を微細化した金属体は、必要であれば塩浴中への焼き入れを行ってもよい。この場合、SVSP装置及びSTSP装置から塩浴焼き入れ装置に連続的に送通させることにより、効率よく機能を向上させた金属体を生成できる。
【0351】
さらに、SVSP装置及びSTSP装置で低変形抵抗領域の結晶組織を微細化した金属体は、金属組織を粗大化させずに塑性加工することによって、金属組織が微細化していることにより高強度化あるいは高延性化された金属体であって、所要の形状とした金属体とすることができる。
【0352】
なお、低変形抵抗領域の結晶組織を微細化する場合には、上記したように微細化した結晶粒の肥大化が生じないような比較的低温としているため、塑性加工において必要となる下降温度よりも低いことが多い。
【0353】
そこで、塑性加工を行う場合には、金属体を所定の加工温度に急加熱して、金属組織を粗大化させない短時間の加熱状態において塑性加工を行うことにより、塑性加工時に金属組織が肥大化して高強度化あるいは高延性化が阻害されることを抑止している。
【0354】
さらに、塑性加工後には常温まで急冷するのではなく、金属体の金属組織を粗大化させない温度に維持して時効処理するようにしている。このように時効処理することによって、高強度化あるいは高延性化した金属体の強度をさらに向上させることができる。
【0355】
上記したように、金属組織を微細化した金属体では、その金属体の再結晶化温度よりも高い温度状態とした場合には、微細化されている金属組織の肥大化が生じて微細化の効果が消失されるので、SVSP装置及びSTSP装置で金属組織を微細化する場合には、SVSP装置及びSTSP装置での処理後に、金属組織の肥大化が生じる温度以上での長時間の処理がないようにしておくことが望ましい。
【0356】
上記のようにして金属組織を微細化した金属体は、高強度であるために自動車部品として用いた場合には軽量化を図ることができ、自動車を軽量化して燃費の向上を図ることができる。
【0357】
このように自動車部品に用いる金属体は、次のようにして製造している。
【0358】
まず、所望の組成とした板状の金属板に対して前処理を行う。この前処理では、金属板を一旦加熱して冷却することによって金属板の単一相化、及び金属板を構成している金属の粒子分散、さらには金属板の残留応力の調整等を行っている。
【0359】
次いで、前処理が終了した金属板をSVSP装置で処理することによって、金属板の金属組織を一様に微細化して、高強度化及び高延性化した金属板を形成している。
【0360】
特に、金属板をアルミニウム合金とした場合には、高強度化及び高延性化された大判のアルミニウム合金板を形成することができ、複雑な形状のボンネットやカウル等を鍛造で形成可能とすることができ、製造コストを大きく低減することができる。
【0361】
特に、このようなボンネットやカウル等を鍛造で形成する場合に、他部材との接続に用いるフランジや嵌合構造を一体成形することができるので、複数部品の一体成形を行うことによって低コスト化を図ることができるとともに、構造的な強度の向上を図ることができる。
【0362】
上記したように、金属板をSVSP装置によって所望の金属体を形成するだけでなく、所望の組成とした丸棒状の金属体に対して、上記した前処理を行った後にSTSP装置で処理することによって、金属板の金属組織を一様に微細化して、高強度化及び高延性化した金属体を形成することもできる。
【0363】
このようにして形成した金属体は、高延性となっているので、所要の容積ごとに分離した後に複数のシリンダを有する鍛造金型で鍛造加工を行うことによって、たとえば、図31に示すように、複雑な形状を有するボディーフレームソケット80を形成することもできる。
【0364】
本実施形態のボディーフレームソケット80は、図32に示すように自動車のボディーフレーム90における各フレームの接続部分に使用するものであり、通常は、各フレームを接続部で溶接することにより接続していたが、図31に示すボディーフレームソケット80を用いることによって、溶接作業を不要として製造コストを低減することができるとともに、溶接よりも構造的な強度を向上させることができ、信頼性を向上させることができる。
【0365】
図31のボディーフレームソケット80では、それぞれ異なる方向に伸延している第1フレーム81と、第2フレーム82と、第3フレーム83と、第4フレーム84の4本のフレーム81,82,83,84がそれぞれ挿入される第1嵌合部85と、第2嵌合部86と、第3嵌合部87と、第4嵌合部88とを所定方向に伸延させて突設している。
【0366】
そして、各嵌合部85,86,87,88には、鍛造加工の際にシリンダを挿入することによって形成した挿入孔85h,86h,87h,88hを設け、この挿入孔85h,86h,87h,88hに各フレーム81,82,83,84の先端部をそれぞれ挿入して接続するようにしている。
【0367】
他の使用形態として、たとえば、ステアリングシャフトのような棒状体の部材に対してSVSP法あるいはSTSP法による金属組織の微細化を行うことにより、高強度の棒状体を提供可能とすることができる。しかも、棒状体の全金属組識を一様に微細化するのではなく、一部分だけを微細化したり、あるいは一部分だけを微細化しなかったりすることにより強度に意図的なバラツキをもたせることもできる。
【0368】
このように、強度に意図的なバラツキをもたせた棒状体からなるステアリングシャフトとした場合には、事故の発生時に衝撃でステアリングシャフトを意図的に破断させることによって衝撃吸収性を付与することができる。
【0369】
あるいは、ネジを形成する場合には、棒状体の部材に対してSVSP法による金属組織の微細化を行った後に、SVSP法による金属体の回転を利用してネジ転造を行うことにより、高強度化したネジを容易に形成することができる。
【0370】
同様に、ミッションギヤを形成する場合には、捧状体の部材に対してSVSP法による金属組織の微細化を行った後に、SVSP法による金属体の回転を利用して、所要のダイスによりギヤ歯の成型を行うことにより、高強度化したミッションギヤを容易に形成することができる。
【0371】
上記のようにして金属組織を微細化した金属体は、自動車部品に対する利用だけでなく、半導体製造工程において使用するスパッタ装置のスパッタリング用ターゲット材として利用した場合にも極めて有用である。
【0372】
特に、所要の組成となった金属体を生成可能であり、しかも生成した金属体は均質な組成とすることができるとともに金属組織が微細であるので半導体基板上面に均質な金属膜を生成可能とすることができる。そして、このようなスパッタリング用ターゲット材をECAP法よりも安価に生成することができる。
【0373】
このスパッタリング用ターゲット材は、次のようにして製造している。
【0374】
まず、所望の組成とした金属板に対して、前処理を行う。この前処理では、金属板を一旦加熱して冷却することによって金属板の単一相化、及び金属板を構成している金属の粒子分散、さらには金属板の残留応力の調整等を行っている。
【0375】
次いで、前処理が終了した金属板をSVSP装置で処理することによって、金属板の金属組織を一様に微細化している。
【0376】
SVSP装置による金属組織の微細化後、金属板を常温圧延、あるいは冷間鍛造または温間鍛造、あるいはスエージング等によって微細化した結晶組織の結晶方位を調整するとともに、ターゲット形状への成形を行っている。
【0377】
このように、微細化した結晶組織の結晶方位を調整することによって、半導体基板上面に均質な金属膜を生成可能とするスパッタリング用ターゲットを提供できる。
【0378】
さらに、金属板をターゲット形状に成形する場合には、金属体を略円盤状に成形すると同時に裏面に冷却用凹状溝を形成している。このように冷却用凹状溝を同時成形することにより、スパッタリング用ターゲットの製造工程を短縮化することができ、安価なスパッタリング用ターゲットを提供できる。
【0379】
特に、SVSP装置によって金属組織が微細化されていることにより金属板の成形性が向上しているので、冷却用凹状溝を冷間鍛造または温間鍛造によって精度よく生成することができる。
【0380】
なお、SVSP装置によって金属板の金属組織を一様に微細化した後に、微細化した金属検証の粗大化を抑制可能な温度に金属板を加熱して、金属板の残留応力の調整等を行ってもよい。
【0381】
他の製造方法として次のようにすることもできる。この製造方法では、ターゲット材となる金属体は所望の組成とした丸棒状の金属棒としている。
【0382】
まず、金属棒に対して、上記した金属板の場合と同様に前処理を行って、金属棒の単一相化、及び金属棒を構成している金属の粒子分散、さらには金属棒の残留応力の調整等を行っている。
【0383】
次いで、前処理が終了した金属棒をSTSP装置で処理することによって、金属棒の金属組織を一様に微細化している。
【0384】
STSP装置による金属組織の微細化後、金属棒を所定長さごとに切断し、冷間鍛造または温間鍛造によって金属板を形成している。
【0385】
このように成形した金属板を上記したようにSVSP装置で処理することによって、金属板の金属組織をさらに微細化している。その後、上記した金属板の場合と同様に、金属板を常温圧延、あるいは冷間鍛造または温間鍛造、あるいはスエージング等によって微細化した結晶組織の結晶方位を調整するとともに、ターゲット形状への成形を行っている。
【0386】
STSP法とSVSP法とを組み合わせてスパッタリング用ターゲットとなる金属体を生成することによって、金属組織が極めて微細化された金属体とすることができ、半導体基板上面に均質な金属膜を生成可能とするスパッタリング用ターゲットを提供できる。
【0387】
特に、STSP法で金属棒を処理したことによって金属棒の組成の均質化を図ることができ、より均質化された金属体からスパッタリング用ターゲットを生成することによって、半導体基板上面に均質な金属膜を生成可能とするスパッタリング用ターゲットを提供できる。
【0388】
上記したSVSP法あるいはSTSP法は、自動車部品やスパッタリング用ターゲットの製造だけでなく、以下のような素材に対して用いることにより特性を向上させた材料あるいは部品の提供を可能とすることができる。
【0389】
金属体が磁性体であった場合には、この金属体の金属組織をSVSP法あるいはSTSP法によって微細化することにより加工性を向上させて、細線化等の微細な加工を可能とすることができる。また、場合によっては、磁化率を向上が期待できる。
【0390】
金属体が形状記憶合金であった場合には、この金属体の金属組織をSVSP法あるいはSTSP法によって微細化することにより加工性を向上させて、より微細な形状への加工を可能とすることができる。特に、この形状記憶合金を用いて電子機器の組み立てに用いるネジを形成した場合には、その電子機器の廃棄時に形状記憶によってネジのネジ山を消失させることにより、容易に分解することができる。
【0391】
金属体が水素吸蔵合金であった場合には、この金属体の金属組織をSVSP法あるいはSTSP法によって微細化することにより水素の吸蔵能力の向上が期待できる。さらには、加工性が向上することによって様々な形状とすることができ、水素吸蔵機能を有する構造物を形成することができる。
【0392】
金属体が制振合金であった場合には、この金属体の金属組織をSVSP法あるいはSTSP法によって微細化することにより加工性を向上させて、より微細な形状への加工を可能とすることができる。特に、スピーカ等の音響機器の構成部材に対するこの制振合金の適用を広めることによって、音質の向上を図ることができる。
【0393】
金属体が電熱材料であった場合には、この金属体の金属組織をSVSP法あるいはSTSP法によって微細化することにより加工性を向上させて、より微細な形状への加工を可能とすることができる。
【0394】
金属体が生体材料であった場合には、この金属体の金属組織をSVSP法あるいはSTSP法によって微細化することにより加工性を向上させて、より微細な形状への加工を可能とすることができる。
【0395】
特に、従来、生体材料としてはチタンが使用されているものの、チタンは高硬度であるために加工性が非常に悪く、成形コストがかさむという問題があったが、SVSP法あるいはSTSP法によって金属組織を微細化することによりチタンを鍛造で成形可能とすることができ、低コストで所定形状としたチタン部品を形成することができる。
【0396】
しかも、SVSP法あるいはSTSP法によって金属組織が微細化されたチタンは、低ヤング率で高強度の材料とすることができ、生体親和性を向上させることもできる。
【0397】
このように、SVSP法あるいはSTSP法によって処理された金属体は、延性が向上していることによって加工性が向上しているだけでなく、高強度化されているので同一強度の部材をより軽量に形成することができ、船舶や航空機、あるいは自動車等の輸送機器、または高層ビルや橋梁等の建築構造物の軽量化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0398】
以上のように、本発明の金属体の加工方法及び金属体の加工装置では、高強度及び高延性の金属体を極めて容易に製造することができるので、低コストの高強度及び高延性の金属体を提供可能とすることができる。

Claims (68)

  1. 金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させることにより前記金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法であって、
    前記低変形抵抗領域において低下している変形抵抗を増大させて非低変形抵抗領域を形成する非低変形抵抗領域形成手段により、前記低変形抵抗領域に沿って前記非低変形抵抗領域を形成していることを特徴とする金属体の加工方法。
  2. 一方向に伸延した金属体の変形抵抗を局部的に低下させて前記金属体を横断する低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させることにより前記金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法であって、
    前記低変形抵抗領域において低下している変形抵抗を増大させて非低変形抵抗領域を形成する非低変形抵抗領域形成手段により、前記低変形抵抗領域の少なくともいずれか一方の側縁に沿って前記非低変形抵抗領域を形成していることを特徴とする金属体の加工方法。
  3. 前記金属体は伸延方向に沿って移動させるとともに、移動方向の下流側における前記低変形抵抗領域の側縁に沿って前記非低変形抵抗領域形成手段により前記非低変形抵抗領域を形成していることを特徴とする請求項2記載の金属体の加工方法。
  4. 前記非低変形抵抗領域形成手段は、前記金属体を冷却する冷却手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属体の加工方法。
  5. 記低変形抵抗領域を真空中で形成することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の金属体の加工方法。
  6. 記低変形抵抗領域を高圧雰囲気中で形成することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の金属体の金属体の加工方法。
  7. 記低変形抵抗領域を活性ガス雰囲気中で形成することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の金属体の加工方法。
  8. 前記活性ガスは窒素ガスであることを特徴とする請求項7記載の金属体の加工方法。
  9. 前記活性ガスはメタンガス及び/または一酸化炭素ガスであることを特徴とする請求項7記載の金属体の加工方法。
  10. 金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させることにより前記金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法であって、
    前記低変形抵抗領域に粉体を吹き付けることを特徴とする金属体の加工方法。
  11. 金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させることにより前記金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法であって、
    前記低変形抵抗領域にイオンドーピングを行うことを特徴とする金属体の加工方法。
  12. 記低変形抵抗領域は、前記金属体に第1の加熱を所定時間行った後に第2の加熱を行って形成することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の金属体の加工方法。
  13. 前記低変形抵抗領域は、前記金属体に第1の加熱を所定時間行った後に第2の加熱を行って形成することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の金属体の加工方法。
  14. 金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させることにより前記金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法であって、
    高温とした前記金属体に拘束手段を当接させて拘束することにより非低変形抵抗領域を形成するとともに、前記金属体の前記拘束手段と当接していない非拘束領域に低変形抵抗領域を形成することを特徴とする金属体の加工方法。
  15. 高温とした前記金属体に拘束手段を当接させて拘束することにより非低変形抵抗領域を形成するとともに、前記金属体の前記拘束手段と当接していない非拘束領域に低変形抵抗領域を形成することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の金属体の加工方法。
  16. 前記剪断変形の後に、前記金属体を急冷することを特徴とする請求項5〜14のいずれか1項に記載の金属体の加工方法。
  17. 前記低変形抵抗領域は前記金属体を加熱して形成するとともに、前記低変形抵抗領域を剪断変形した後に、前記金属体を急冷することを特徴とする請求項5〜11のいずれか1項に記載の金属体の加工方法。
  18. 金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させることにより前記金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法であって、
    前記低変形抵抗領域は、液体中に没入した前記金属体に形成することを特徴とする金属体の加工方法。
  19. 前記低変形抵抗領域は、前記金属体を液体中で加熱して形成することを特徴とする請求項18記載の金属体の加工方法。
  20. 前記低変形抵抗領域を形成する際に、前記低変形抵抗領域の周囲の熱伝導率を低減させていることを特徴とする請求項19記載の金属体の加工方法。
  21. 前記低変形抵抗領域を形成する際に、前記低変形抵抗領域の周囲に気泡を生起していることを特徴とする請求項19記載の金属体の加工方法。
  22. 前記金属体は中空部を有する筒状体として、前記中空部を減圧状態としていることを特徴とする請求項6〜21のいずれか1項に記載の金属体の加工方法。
  23. 前記金属体は中空部を有する筒状体として、前記中空部を高圧状態としていることを特徴とする請求項1〜21のいずれか1項に記載の金属体の加工方法。
  24. 前記低変形抵抗領域は前記金属体を横断し、この低変形抵抗領域を挟む前記金属体の一方の非低変形抵抗領域を、他方の非低変形抵抗領域に対して相対的に位置を変動させることにより前記低変形抵抗領域を剪断変形させることを特徴とする請求項1〜9、14のいずれか1項に記載の金属体加工方法。
  25. 前記低変形抵抗領域は前記金属体を横断し、この低変形抵抗領域を挟む前記金属体の一方の非低変形抵抗領域を、他方の非低変形抵抗領域に対して相対的に位置を変動させることにより前記低変形抵抗領域を剪断変形させ、
    前記の位置の変動は、前記金属体の伸延方向と略直交する方向に、前記一方の非低変形抵抗領域を前記他方の非低変形抵抗領域に対して相対的に振動運動させる振動運動成分を有する振動運動であることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の金属体の加工方法。
  26. 前記低変形抵抗領域は前記金属体を横断し、この低変形抵抗領域を挟む前記金属体の一方の非低変形抵抗領域を、他方の非低変形抵抗領域に対して相対的に位置を変動させることにより前記低変形抵抗領域を剪断変形させ、
    前記の位置の変動は、前記金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りに、前記一方の非低変形抵抗領域を前記他方の非低変形抵抗領域に対して相対的に回転させる回転運動であることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の金属体の加工方法。
  27. 前記低変形抵抗領域は前記金属体を横断し、この低変形抵抗領域を挟む前記金属体の一方の非低変形抵抗領域を、他方の非低変形抵抗領域に対して相対的に位置を変動させることにより前記低変形抵抗領域を剪断変形させ、
    前記の位置の変動は、前記金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りに、前記一方の非低変形抵抗領域を前記他方の非低変形抵抗領域に対して相対的に回動させる回動運動であることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の金属体の加工方法。
  28. 溶体化処理するための温度まで加熱した金属体を冷却手段によって急冷して溶体化処理を行う際に、急冷部分の前記金属体を剪断変形させることにより金属組織を微細化するとともに溶体化処理を行う請求項16に記載の金属体の加工方法。
  29. 前記剪断変形は、一方向に伸延した前記金属体の伸延方向と略直交する方向に振動運動させる振動運動成分を有する振動運動を前記金属体に印加することによって行うことを特徴とする請求項28記載の金属体の加工方法。
  30. 前記剪断変形は、一方向に伸延した前記金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りに回転させる回転運動を前記金属体に印加することによって行うことを特徴とする請求項28記載の金属体の加工方法。
  31. 前記剪断変形は、一方向に伸延した前記金属体の伸延方向と略平行とした回動軸周りに回動させる回動運動を前記金属体に印加することによって行うことを特徴とする請求項28記載の金属体の加工方法。
  32. 金属組織が微細化された前記金属体を、金属組織を粗大化させない条件下で塑性加工して所定形状とすることを特徴とする請求項28〜31のいずれか1項に記載の金属体の加工方法。
  33. 一方向に伸延した金属体の変形抵抗を局部的に低下させて前記金属体を横断する第1の低変形抵抗領域と第2の低変形抵抗領域とを所定の間隔だけ離隔して形成するとともに、この第1の低変形抵抗領域と第2の低変形抵抗領域との間に、前記第1の低変形抵抗領域及び前記第2の低変形抵抗領域における変形抵抗よりも変形抵抗を増大させた非低変形抵抗領域を非低変形抵抗領域形成手段により形成し、この非低変形抵抗領域に前記金属体の伸延方向と交差する方向の振動運動成分からなる振動運動を加えて前記第1の低変形抵抗領域及び前記第2の低変形抵抗領域を剪断変形させることにより前記金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法。
  34. 一方向に伸延した金属体の変形抵抗を局部的に低下させて前記金属体を横断する第1の低変形抵抗領域と第2の低変形抵抗領域とを所定の間隔だけ離隔して形成するとともに、この第1の低変形抵抗領域と第2の低変形抵抗領域との間に、前記第1の低変形抵抗領域及び前記第2の低変形抵抗領域における変形抵抗よりも変形抵抗を増大させた非低変形抵抗領域を非低変形抵抗領域形成手段により形成し、この非低変形抵抗領域に前記金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りの回転運動を加えて前記第1の低変形抵抗領域及び前記第2の低変形抵抗領域を剪断変形させることにより前記金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法。
  35. 一方向に伸延した金属体の変形抵抗を局部的に低下させて前記金属体を横断する第1の低変形抵抗領域と第2の低変形抵抗領域とを所定の間隔だけ離隔して形成するとともに、この第1の低変形抵抗領域と第2の低変形抵抗領域との間に、前記第1の低変形抵抗領域及び前記第2の低変形抵抗領域における変形抵抗よりも変形抵抗を増大させた非低変形抵抗領域を非低変形抵抗領域形成手段により形成し、この非低変形抵抗領域に前記金属体の伸延方向と略平行とした回動軸周りの回動運動を加えて前記第1の低変形抵抗領域及び前記第2の低変形抵抗領域を剪断変形させることにより前記金属体の金属組織を微細化する金属体の加工方法。
  36. 前記金属体を伸延方向に沿って移動させることを特徴とする請求項33〜35のいずれか1項に記載の金属体の加工方法。
  37. 一方向に伸延した金属体の変形抵抗を局部的に低下させることにより前記金属体を横断する低変形抵抗領域を形成する低変形抵抗領域形成手段と、
    前記低変形抵抗領域において低下している変形抵抗を増大させて非低変形抵抗領域を形成する非低変形抵抗領域形成手段と、
    前記低変形抵抗領域を挟む一方の前記金属体を、他方の金属体に対して相対的に変位させる変位印加手段とを有し、
    この変位印加手段によって印加した変位にともなって前記低変形抵抗領域を剪断変形させることにより前記金属体の金属組織を微細化する金属体の加工装置。
  38. 前記変位印加手段は、前記金属体の伸延方向と交差する方向の振動運動成分からなる振動運動を印加することを特徴とする請求項37記載の金属体の加工装置。
  39. 前記変位印加手段は、前記金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りの回転運動を印加することを特徴とする請求項37記載の金属体の加工装置。
  40. 前記変位印加手段は、前記金属体の伸延方向と略平行とした回動軸周りの回動運動を印加することを特徴とする請求項37記載の金属体の加工装置。
  41. 前記低変形抵抗領域形成手段は、前記金属体を所定温度以上に加熱する加熱手段であることを特徴とする請求項37〜40のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
  42. 前記非低変形抵抗領域形成手段は、前記金属体を冷却する冷却手段であることを特徴とする請求項37〜41のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
  43. 前記金属体を伸延方向に沿って送給する送給手段を有することを特徴とする請求項37〜42のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
  44. 前記低変形抵抗領域形成手段は、前記金属体を第1の加熱温度に加熱して所定時間維持した後に、第2の加熱温度に加熱する予備加熱手段を有することを特徴とする請求項43記載の金属体の加工装置。
  45. 前記第1の加熱温度は、前記金属体の溶体化処理に必要な温度であることを特徴とする請求項44記載の金属体の加工装置。
  46. 金属組織が微細化された前記金属体を、金属組織を粗大化させない温度に維持して時効処理する時効処理手段を有することを特徴とする請求項43〜45のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
  47. 前記低変形抵抗領域に前記金属体を所定形状に成形する成形用ガイド体を当接させていることを特徴とする請求項43〜46のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
  48. 前記成形ガイド体を、前記金属体を加熱する加熱手段としていることを特徴とする請求項47記載の金属体の加工装置。
  49. 前記成形ガイド体を、前記金属体を冷却する冷却手段としていることを特徴とする請求項47記載の金属体の加工装置。
  50. 前記金属体は中空部を有する筒状体であって、金属組織が微細化された前記金属体を伸延方向に沿って切開することにより平板状金属体を形成する平板化手段を有することを特徴とする請求項43〜46のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
  51. 前記低変形抵抗領域形成手段は、真空中で前記低変形抵抗領域を形成することを特徴とする請求項37〜43のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
  52. 前記低変形抵抗領域形成手段は、高圧雰囲気中で前記低変形抵抗領域を形成することを特徴とする請求項37〜43のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
  53. 前記低変形抵抗領域形成手段は、活性ガス雰囲気中で前記低変形抵抗領域を形成することを特徴とする請求項37〜43のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
  54. 前記活性ガスは窒素ガスであることを特徴とする請求項53記載の金属体の加工装置。
  55. 前記活性ガスはメタンガス及び/または一酸化炭素ガスであることを特徴とする請求項53記載の金属体の加工装置。
  56. 前記低変形抵抗領域形成手段は、前記低変形抵抗領域に粉体を吹き付ける粉体吹付手段を有することを特徴とする請求項37〜43のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
  57. 前記低変形抵抗領域形成手段は、前記低変形抵抗領域にイオンドーピングを行うイオンドーピング手段を有することを特徴とする請求項37〜43のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
  58. 前記低変形抵抗領域形成手段は、液体中に没入した前記金属体を所定温度以上に加熱して前記低変形抵抗領域を形成していることを特徴とする請求項37〜43のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
  59. 前記低変形抵抗領域を形成する際に、前記低変形抵抗領域の周囲の熱伝導率を低減させていることを特徴とする請求項58記載の金属体の加工装置。
  60. 前記低変形抵抗領域を形成する際に、前記低変形抵抗領域の周囲に気泡を生じさせていることを特徴とする請求項58記載の金属体の加工装置。
  61. 一方向に伸延した加熱状態の金属体を伸延方向に沿って移動させる移動手段と、
    前記金属体を冷却することにより変形抵抗を増大させて非低変形抵抗領域を形成する冷却手段と、
    この非低変形抵抗領域に振動運動を印加する振動運動印加手段とを有し、
    この振動運動印加手段によって印加した振動運動により、前記冷却手段に送通される前の前記金属体における金属組織を剪断変形させて微細化する金属体の加工装置。
  62. 一方向に伸延した金属体の変形抵抗を局部的に低下させることにより前記金属体を横断する第1の低変形抵抗領域を形成する第1低変形抵抗領域形成手段と、
    この第1の低変形抵抗領域から所定間隔だけ離隔した位置に、前記金属体の変形抵抗を局部的に低下させることにより前記金属体を横断する第2の低変形抵抗領域を形成する第2低変形抵抗領域形成手段と、
    前記第1の低変形抵抗領域と前記第2の低変形抵抗領域との間に、前記第1の低変形抵抗領域及び前記第2の低変形抵抗領域において低下している変形抵抗を増大させて非低変形抵抗領域を形成する非低変形抵抗領域形成手段と、
    この非低変形抵抗領域に、前記第1の低変形抵抗領域及び前記第2の低変形抵抗領域を剪断変形させるための変位を印加する変位印加手段とを有し、
    前記第1の低変形抵抗領域及び前記第2の低変形抵抗領域における前記金属体の金属組織を微細化する金属体の加工装置。
  63. 前記変位印加手段は、前記非低変形抵抗領域に、前記金属体の伸延方向と交差する方向の振動運動成分からなる振動運動を印加することを特徴とする請求項62記載の金属体の加工装置。
  64. 前記変位印加手段は、前記非低変形抵抗領域に、前記金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りの回転運動を印加することを特徴とする請求項62記載の金属体の加工装置。
  65. 前記変位印加手段は、前記非低変形抵抗領域に、前記金属体の伸延方向と略平行とした回動軸周りの回動運動を印加することを特徴とする請求項62記載の金属体の加工装置。
  66. 前記第1低変形抵抗領域形成手段及び前記第2低変形抵抗領域形成手段は、それぞれ前記金属体を所定温度以上に加熱する加熱手段であることを特徴とする請求項62〜65のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
  67. 前記非低変形抵抗領域形成手段は、前記金属体を冷却する冷却手段であることを特徴とする請求項62〜66のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
  68. 前記金属体を伸延方向に沿って送給する送給手段を有することを特徴とする請求項62〜67のいずれか1項に記載の金属体の加工装置。
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