JP2013204085A - 金属成型品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製品硬度のばらつきが少なく、少ない工程数でありながら割れや変形を防止できて熱処理由来の歪みが少なく、しかも、高硬度で高強度の鍛造製品を製造可能な金属成型品の製造方法を提供する。
【解決手段】金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させ、この剪断変形により固溶された溶質元素が、冷却中に析出しないように急冷する剪断変形微細化処理工程と、前記剪断変形微細化処理工程を経た金属体を、同金属体の時効温度帯にて温間恒温鍛造に供して成型する成型工程と、成型された前記金属体を前記時効温度帯にて所定時間時効処理に供し金属成型品とする成型品生成工程と、を有することとした。
【選択図】図3

Description

本発明は、金属成型品の製造方法に関するものである。
従来、金属組織中に溶質元素を固溶させることにより、強度向上を図った金属材料が知られている。
例えば、調質型アルミニウム合金は、母材であるアルミニウムに溶質元素としてのマグネシウム及びシリコンを添加して合金とし、この合金に塑性加工を施すことにより、母材に溶質元素を固溶させて、母材である調質型アルミニウム合金よりも強度を高めている(例えば、特許文献1参照。)。
また、このように調質された金属体を用いて、強度の高い金属成型品の製造が行われている。金属体を成型する際には、同金属体を高温として鍛造する熱間鍛造が広く行われている。
特開2004−359993号公報
しかしながら、上記従来の熱間鍛造する方法では、塑性加工時に瞬間的に溶質元素が母材原子と置換したり、母材原子間に侵入することで固溶状態となるものの、直ちに元の状態に戻ってしまうため、溶質元素が均一に分散された状態の固溶体を得るのは困難であった。
また従来、高強度の金属成型品を作成するにあたっては、金属体を熱間鍛造に供した後に、高温で溶体化処理を行い、次いで溶体化処理の高温によって生じた歪みを矯正する熱処理を行い、さらに時効処理に供していたため、工程が煩雑となるという問題があった。
特に、溶体化処理によって成型された金属体に生じた歪みは、歪み矯正処理を行っても十分に除去されない場合もあり、成型品の割れや変形が発生する原因となるおそれもあった。
さらに、成型品の硬度のばらつきが大きいという問題も有していた。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、製品硬度のばらつきが少なく、少ない工程数でありながら割れや変形を防止できて熱処理由来の歪みが少なく、しかも、高硬度で高強度の鍛造製品を製造可能な金属成型品の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明では、金属成型品の製造方法において、金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させ、この剪断変形により固溶された溶質元素が、冷却中に析出しないように急冷する剪断変形微細化処理工程と、前記剪断変形微細化処理工程を経た金属体を、同金属体の時効温度帯にて温間恒温鍛造に供して成型する成型工程と、成型された前記金属体を前記時効温度帯にて所定時間時効処理に供し金属成型品とする成型品生成工程と、を有することとした。
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に記載の金属成型品の製造方法において、前記成型品生成工程における時効処理の温度は、前記成型工程における鍛造時の温度以下であることに特徴を有する。
また、請求項3に係る本発明では、請求項1又は請求項2に記載の金属成型品の製造方法において、前記剪断変形微細化処理工程にて前記溶質元素を通常の熱処理に対してマトリクス中に過飽和に固溶させたことに特徴を有する。
また、請求項4に係る本発明では、請求項1〜3いずれか1項に記載の金属成型品の製造方法において、前記金属体に予め再結晶抑制元素が添加されていることに特徴を有する。
請求項1に係る発明によれば、金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させ、この剪断変形により固溶された溶質元素が、冷却中に析出しないように急冷する剪断変形微細化処理工程と、前記剪断変形微細化処理工程を経た金属体を、同金属体の時効温度帯にて温間恒温鍛造に供して成型する成型工程と、成型された前記金属体を前記時効温度帯にて所定時間時効処理に供し金属成型品とする成型品生成工程と、を有することとしたため、製品硬度のばらつきが少なく、少ない工程数でありながら割れや変形を防止できて熱処理由来の歪みが少なく、しかも、高硬度で高強度の鍛造製品を製造可能な金属成型品の製造方法を提供することができる。
また、請求項2に係る発明によれば、前記成型品生成工程における時効処理の温度は、前記成型工程における鍛造時の温度以下であることとしたため、より高硬度で高強度の鍛造製品を製造可能とすることができる。
また、請求項3に係る発明によれば、前記剪断変形微細化処理工程にて前記溶質元素を通常の熱処理に対してマトリクス中に過飽和に固溶させたため、金属体の結晶内部や結晶界面に溶質元素を析出させることができ、金属体を飛躍的に強化することができる。
また、請求項4に係る発明によれば、前記金属体に予め再結晶抑制元素が添加されていることとしたため、微細化した結晶構造が再び粗大化するのを防ぐことができる。
低抵抗領域に加える剪断変形の説明図である。 結晶微細化プロセス装置の一例の概略説明図である。 剪断変形微細化処理前後の金属組織を示した説明図である。 実施例2における引張試験結果を示した説明図である。 実施例2における引張試験結果を示した説明図である。 実施例2における電子顕微鏡像を示した説明図である。 実施例2における硬度測定試験結果を示した説明図である。 硬度試験結果に基づく引張強さの推定値を示した説明図である。 実施例3における剪断変形微細化処理後の各サンプルの外観を示した説明図である。 実施例3における硬度測定試験結果を示した説明図である。 実施例3における硬度測定試験結果を示した説明図である。 硬度試験結果に基づく引張強さの推定値を示した説明図である。 従来の工程と本実施形態に係る金属成型品の製造方法とを比較した説明図である。
本発明は、金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させ、この剪断変形により固溶された溶質元素が、冷却中に析出しないように急冷する剪断変形微細化処理工程と、前記剪断変形微細化処理工程を経た金属体を、同金属体の時効温度帯にて温間恒温鍛造に供して成型する成型工程と、成型された前記金属体を前記時効温度帯にて所定時間時効処理に供し金属成型品とする成型品生成工程と、を有する金属成型品の製造方法を提供するものである。
このように、剪断変形微細化処理工程と、成型工程と、成型品生成工程とを経ることにより、製品硬度のばらつきが少なく、少ない工程数でありながら割れや変形を防止できて熱処理由来の歪みが少なく、しかも、高硬度で高強度の鍛造製品を製造することが可能となる。
特に、剪断変形微細化処理では、金属組織中に溶質原子に由来する微細な析出物を均一かつ多量に析出させて金属体を高強度化する技術を中心としている。
具体的には、金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域の一部分を剪断変形させ、この剪断変形により固溶された溶質元素が、冷却中に析出しないように、又は冷却中に粗大な状態で析出しないように急冷して形成している。以下の説明において、この低変形抵抗領域を剪断変形し急冷する処理を「剪断変形微細化処理」という。
この剪断変形微細化処理を行うことにより、金属を構成する結晶粒の微細化による強度向上に加え、金属体の内部に析出させた微細な析出物によって、さらなる強度向上を図ることができ、極めて強度の高い金属材料を提供することができる。
付言すれば、本発明に係る金属材料中には、溶質元素由来の析出物が、あたかも繊維強化プラスチックにおける繊維質のように均一且つ多量に析出することとなり、金属体の強度を飛躍的に向上できるのである。
本発明を実施するにあたり、金属体は、二種類以上の金属元素からなる合金で構成してもよいし、金属元素と非金属元素とからなる金属間化合物で構成してもよい。
また、金属体の形態は、剪断変形微細化処理によって金属組織、すなわち結晶粒が微細化するのであれば、特に限定されるものではない。例えば、金属体は、断面が矩形状となった矩形体や、断面が円形状となった丸棒体に限定するものではなく、平板体や中空部を有する筒状体となっていてもよいし、これら以外でもたとえばH形鋼体、山形鋼体、溝形鋼体、T形鋼体、リップル溝鋼体等であってもよい。
剪断変形微細化処理は、金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域の一部分を剪断変形させることによって前記金属体の金属組織を微細化するとともに、金属体に含有させた溶質元素を均一に分散させ、また、母材のマトリクスを構成する原子間を効率よく広げて、溶質原子の固溶を促進する金属加工処理である。
金属体に形成する低変形抵抗領域とは、例えば金属体を加熱することなどによって変形抵抗が低下した領域であり、低変形抵抗領域以外の領域と比較して外力の作用にともなって変形を生じやすくなっている領域のことである。なお、説明の便宜上、低変形抵抗領域以外の領域を非低変形抵抗領域と呼ぶ。加熱によって低変形抵抗領域を形成する場合、本実施形態に係る金属成型品の製造方法では、例えば、アルミニウム合金を金属体として使用する場合には、その加熱温度を450〜580℃とすることができる。換言すれば、低変形抵抗領域を形成する際の温度帯は、使用する金属体が溶体化する温度帯とするのが好ましい。
低変形抵抗領域の剪断変形は、例えば、同低変形抵抗領域に振動を付与したり、捻ることで生起させることができる。
例えば、丸棒状の金属体を捻ることで低変形抵抗領域に剪断変形を加える場合を例に挙げると、図1に示すように、第2非低変形抵抗領域32'を第1非低変形抵抗領域31'に対して、金属体の伸延方向と略平行とした回転軸周りに捻回することによって低変形抵抗領域30'を剪断変形させることができる。このとき、第2非低変形抵抗領域32'は、第1非低変形抵抗領域31'に対して常に一定の角速度で回転させてもよいし、正回転と逆回転とを交互に繰り返してもよい。
第1非低変形抵抗領域31'に対する第2非低変形抵抗領域32'の相対的な振動運動あるいは捻回運動の運動量は、低変形抵抗領域30'に剪断変形を生じさせて金属組織の微細化が可能な程度の運動量であればよい。
なお、低変形抵抗領域30'を剪断変形させる場合には、低変形抵抗領域30'に金属体の伸延方向に沿って圧縮応力を作用させることにより、低変形抵抗領域30'に大きな形状変形が生起されたり、低変形抵抗領域30'部分において破断が生じたりすることを抑制できる。
このような、捻りによる低変形抵抗領域の剪断変形は、例えば、次に説明する結晶微細化プロセス装置によって行うことができる。
図2は、金属体に形成した低変形抵抗領域を捻回することにより剪断変形させる装置である。本発明者らは、このように低変形抵抗領域を捻回することによって剪断変形させて金属組織を微細化させることを結晶微細化プロセス法と称しており、図2は結晶微細化プロセス装置の一例の概略説明図である。
結晶微細化プロセス装置は、金属体Mの伸延方向に沿って基台60上面に固定部61と、剪断変形部62と、回転部63とを設けて構成している。
固定部61は、基台60上面に立設した第1固定壁61a及び第2固定壁61bに、それぞれ金属体Mを挿通させる挿通孔を設け、同挿通孔にそれぞれ金属体Mを挿通させ、第1固定壁61a及び第2固定壁61bの上端に螺着した固定用ネジ61c,61dの先端部を挿通孔に挿通させた金属体M周面に当接させて、金属体Mを固定する。
回転部63は、基台60上面に立設した第1規制壁63aと、第2規制壁63bとを備え、第1規制壁63a及び第2規制壁63bにはそれぞれ金属体Mを挿通させる挿通孔を設け、同挿通孔にそれぞれ金属体Mを挿通させている。
回転部63側の金属体Mの端部には、回転用モータ(図示せず)が連動連結されており、この回転用モータにより金属体Mの回転部63側の非低変形抵抗領域を軸回り方向へ回転可能に構成している。
剪断変形部62は、金属体Mを非接触にて所定温度に加熱する加熱装置64と、この加熱装置64による加熱によって金属体Mに形成した低変形抵抗領域30'を所定の幅寸法とするために金属体Mを冷却する冷却装置65とで構成している。
加熱装置64には高周波加熱コイルを用いており、この高周波加熱コイルの内部に金属体Mを非接触状態で挿通させ、金属体Mを所定温度に誘導加熱することによって変形抵抗を低減させて低変形抵抗領域30'を形成している。
冷却装置65は、給水配管65aから供給された水を吐出する第1吐水口65bと第2吐水口65cで構成しており、第1吐水口65b及び第2吐水口65cから吐出した水によって金属体Mを冷却している。なお、図3中、符号66は第1吐水口65b及び第2吐水口65cから吐出された水を受ける受水容器であり、符号67は同受水容器66に接続した排水管である。
結晶微細化プロセス装置は上記のように構成しており、金属体Mに形成した低変形抵抗領域30'を捻回することによって金属組織を微細化する場合には、結晶微細化プロセス装置に金属体Mを装着し、冷却装置65によって低変形抵抗領域30'の両側を冷却しながら加熱装置64によって低変形抵抗領域30'を加熱するとともに、回転用モータを所定の回転数で回転させて低変形抵抗領域30'を捻回することにより、剪断変形微細化処理を行うことができる。
また、このように低変形抵抗領域を、金属体の所定部位に局部的に形成していることによって、金属組織を微細化するために加えた剪断変形による剪断応力が低変形抵抗領域に集中して作用するので、効率よく金属組織を微細化することができる。
また、高周波加熱コイルによって非接触状態で金属体を誘導加熱する構成としているため、金属体を効率的に加熱しながらも、急速な冷却を行うことが可能である。
この構成は、特に、金属体中に存在させた溶質元素を均一に分散固溶させる上で、極めて大きな役割を果たす。
すなわち、捻回により原子間距離が広がったマトリクス中に、熱運動する溶質元素を多量に取り込ませつつ、溶質元素がマトリクスから離脱するいとまを与えずに冷却して、従来にない高濃度の溶質元素をマトリクス中に固溶できるためである。
従って、母材金属に対して、溶質元素を飽和状態とすることができるのは勿論のこと、溶質元素を固溶限を越えて過飽和状態として、溶質元素の析出をさらに促進させることができる。付言すれば、溶質元素を通常の熱処理に比してマトリクス中に過飽和に固溶させるようにしても良い。なお、通常の熱処理とは、金属体に剪断変形を起こさせることなく固溶させる熱処理のことである。
マトリクス中に溶質元素を固溶させた金属材料は、次工程である成型工程において鍛造中に再加熱しながら溶質元素を析出させることで、析出物が金属組織中に微細かつ均一に出現し、鍛造と析出との両者により金属体をより高強度化させることができる。なお、ここで均一とは、金属体全体における析出物の分散状態を表現したものであり、必ずしも金属体内に一様に析出物が存在することをいうものではない。金属体全体としては析出物が均一に分布しているが、更にミクロ的な視点で見た場合、金属体内の転位や結晶粒界に析出物が偏在している状態も含んでいる。
成型工程では、剪断変形微細化処理工程に供した金属体の時効温度帯にて温間恒温鍛造しつつ成型する。
一般に、鍛造を行うに際しては、例えばアプセット鍛造の場合、成型荷重を軽減するために、金属体を比較的高温、少なくとも同金属体の時効温度帯よりは高い温度に加熱する。
しかしながら、このような温度(例えば、400〜450℃)に金属体を昇温すると、前述した剪断変形微細化処理の効果が消失してしまうため好ましくない。
そこで、本実施形態に係る金属成型品の製造方法では、剪断変形微細化処理によって向上した硬度や強度を更に向上させるべく、金属体の時効温度帯にて温間恒温鍛造を行うこととしている。
また、本発明者らの鋭意研究により、時効温度帯の中でも、比較的低い温度帯の方が硬度や強度が向上する傾向が分かってきている。例えば、時効温度帯の範囲内で、時効温度帯の中点温度以下の温度、すなわち、時効温度帯下限温度から時効温度帯の中点温度の範囲内とすることで、より硬度や強度に優れた金属成型品の製造を行うことができる。
また、さらに付言するならば、時効温度帯以下の温度帯、すなわち、常温から時効温度帯中点温度の範囲内や、常温から時効温度帯加減温度の範囲内で成形工程を行うようにしても良い。このような温度にて成形工程を行うことで、より硬度や強度に優れた金属成型品の製造を行うことができる。
このような温度帯にて処理を行うことにより、剪断変形微細化処理の効果の減衰を抑制しつつ、割れや変形を防止し、しかも、製品における硬度のばらつきが少ない金属成型品の製造方法とすることができる。
なお、ここで時効温度帯とは、本実施形態に係る金属成型品の製造方法に供される金属体において時効硬化が生起される温度帯のことである。時効温度帯は、金属体の組成によりそれぞれ異なるものであり、例えば、アルミニウム合金のように融点が低い金属体の場合は、常温においても自然時効と称される時効硬化が生起されるため、時効温度帯は、常温から、剪断変形微細化処理の硬化を損なうことなく焼き戻し時効を行うことが可能な上限温度までの範囲であると解釈することができる。
このように、時効温度帯は温度幅を有する概念であるが、本実施形態に係る金属成型品の製造方法では、時効温度帯の範囲内の中で、成型品生成工程における時効処理の温度は、前記成型工程における鍛造時の温度以下としても良い。
このような温度とすることにより、より高硬度で高強度の鍛造製品を製造可能とすることができる。
なお、本発明に関連する金属処理について付言すれば、剪断変形微細化処理工程を経た金属体は、必ずしも鍛造処理に限定されない再加熱を行って、析出物を金属組織中に微細かつ均一に出現させても良い。
この再加熱は、比較的低めの温度(第1の温度)で加熱して、小さい析出物を多量に析出させ、その後、第1の温度よりも高い第2の温度で加熱して、第1の温度にて析出させた析出物を核として、析出物をさらに成長させるといった二段階の加熱処理を行うのが好ましい。
高い温度で一段階の加熱処理を行うと、高い温度による熱エネルギーが溶質元素の熱運動を亢進させ、マトリクス中に固溶している溶質元素の移動距離が大きくなってしまい、析出物が粗大化する傾向がある。析出物が粗大化すると、金属体の強度の向上が困難となる。
一方、再加熱を前述の二段階で行うことにより、適切な大きさの析出物を、均一かつ多量に析出させることができるため、金属体の強度を飛躍的に向上させることができる。
なお、この再加熱を行うに際し、金属体には予め再結晶抑制元素を添加しておくと良い。この再結晶抑制元素は、結晶微細化プロセス装置で微細化した結晶粒が、金属体の再加熱に伴って粗大化するのを防止する役割を有する。
従って、溶質元素を析出させる際に行った加熱によって、再結晶により金属体の強度が低下するのを防止することができ、金属体をより高強度なものとすることができる。
換言すれば、再結晶抑制元素の添加により、微細な結晶粒による強度向上と、溶質元素の微細かつ均一な析出による強度向上との両者をともに実現して、飛躍的に強度の高い金属材料とすることができる。なお、再結晶抑制元素は、金属体のマトリクスを形成する元素組成により、適宜選択する必要がある。一例を挙げると、金属体を鉄鋼材料とした場合には、再結晶抑制元素は、ニオブやバナジウム、チタンが好適である。
また、金属体が複相組織を有するものである場合には、単相もしくは所定の第1相の比率が80%以上になる温度域で低変形抵抗領域を形成した部位を剪断変形させると共に剪断変形領域を急冷し、単相もしくは第1相内に大小多くの転位・結晶粒界を析出サイトとして形成し、再加熱を行うようにしても良い。このような金属材料は、再加熱によって微細な第2相が析出することとなり、金属体の高強度化を図ることができる。
また、再加熱は、温度、加熱速度、加熱時間、冷却速度等を調整することにより、析出物の大きさや位置、形状、量を制御することができる。これにより、所望の強度で所望の性状を有する金属材料とすることが可能となる。
また、金属体のマトリクス内の溶質元素の固溶量を調整するようにしても良い。前述の再加熱の調整に加えて、固溶量の調整を行うことにより、所望の強度や、延性・靱性のバランスを備えた金属材料とすることができる。
なお、析出物の大きさや位置、形状、量の制御は、再加熱の前後少なくともいずれか一方で塑性加工を加えることによっても行うことができる。この塑性加工としては、例えば、圧延、鍛造、押出を挙げることができる。
剪断変形は、例えば前述の結晶微細化プロセス装置を用いて金属体に捻回ひずみを与えるようにしても良い。またこのとき、剪断変形の大きさ(捻回力の大きさや角速度)、加熱温度、冷却速度等を調整することにより、析出物の大きさや位置、形状等を制御して、所望の強度や性状を有する金属材料としても良い。
また、予め金属体に添加した再結晶抑制元素は、再加熱時に金属体中の転位や結晶粒界に析出させることにより、結晶粒が微細化された金属体の浸炭・窒化等のために行う再々加熱時に生じる結晶粒の粗大化を抑制させることもできる。
本発明に係る金属成型品の製造方法では、上述の構成を備えることにより、従来にない高硬度・高強度の金属成型品を製造することが可能となる。
以下、本実施形態に係る金属材料及び金属加工方法について、実施例を挙げて説明する。
〔実施例1〕
本実施例1では、金属体として直径50mmの棒状のアルミニウム合金M1を用い、前述の結晶微細化プロセス装置を用いて以下の条件により結晶微細化プロセス法による剪断変形微細化処理を行うことにより、処理片M1'を得た。なお、アルミニウム合金M1には、予め、溶質元素として0.6%のシリコンと1.0%のマグネシウムが含まれている。
・加熱装置64によるアルミニウム合金M1の加熱温度:515〜590℃
・捻回回転数:20〜200rpm
・横移動速度:450mm/min
次に、電子顕微鏡により、得られた処理片M1'の結晶構造の観察を行った。なお、処理片M1'との比較を行うために、剪断変形微細化処理前のアルミニウム合金M1を比較対象サンプルとして同様に観察に供した。その結果を図3に示す。
図3に示すように、剪断変形微細化処理を行った後の結晶構造(図3(b)参照)は、処理を行う前の結晶構造(図3(a)参照)と比較して、結晶粒が微細化されていることが分かる。
次に、引っ張り試験法により、得られた処理片M1'の強度測定試験を行った。なお、処理片M1'との強度比較を行うために、剪断変形微細化処理前のアルミニウム合金M1を比較対象サンプルとして同様に測定に供した。
その結果、比較対象サンプルの強度は320N/mm2 であったのに対し、処理片M1'の強度は410N/mm2となり、処理片M1'は、比較対象サンプルに比して28%の強度向上が確認された。
〔実施例2〕
本実施例2では、金属体としてA6061熱処理型アルミ合金を用いた金属成型品の製造試験について言及する。
従来、微細化アルミ合金を熱処理すると、金属組織が粗大化して微細化に由来していた効果が失われてしまうという問題があった。そこで、製品硬度のばらつきが少なく、少ない工程数でありながら割れや変形を防止できて熱処理由来の歪みが少なく、しかも、高硬度で高強度の鍛造製品の製造を試みた。製造に使用した金属体の詳細を表1に示す。
本発明者らは、本製造試験を行うにあたり、上記材料(金属体)を本実施形態に係る金属成型品の製造方法の剪断変形微細化処理工程に供することで、結晶粒微細化とマトリクスへの固溶が促進されて強度が向上するものと予想した。
また、剪断変形微細化処理により、多くの歪みが材料中に導入されることによって、固溶の均一性が大幅に向上され、後の時効処理によって微細均一かつ高密度の析出物を得ることが可能となり、高強度で高靱性のアルミ合金や金属成型品を得ることができるものと予想した。
剪断変形微細化処理では、上記金属体に対して5種の異なる処理を行い、5つのサンプルを作成した。各サンプルの具体的な処理は表2の通りである。なお、表2において剪断変形微細化処理では、低変形抵抗領域形成の為の加熱温度と捻転速度を示し、時効処理では時効処理温度と時効処理時間を示している。
このように処理を行った各サンプルに対し引張試験を行った結果、図4に示すように、サンプルA1〜A4はいずれも、素材サンプルに比して破断強度が向上することが示された。また、図5に示すように、サンプルA1〜A4は強度が向上したにも拘わらず、伸びについても素材サンプルと略同程度の伸びを有することが示された。
ここで、素材サンプルに比して著しい強度向上が確認されたサンプルA3と、素材サンプルとの電顕像を図6に示す。図6(a)はサンプルA3の電顕像であり、図6(b)は素材サンプルの電顕像である。
図6からも分かるように、本実施形態に係る金属成型品の製造方法の剪断変形微細化処理が行われた金属体は、時効処理を経ることにより、素材サンプルに比して金属組織中にMg2Siが微細かつ均一に析出していることが示された。
また、先に示した引張試験結果も含めて検討すると、本実施形態に係る金属成型品の製造方法の剪断変形微細化処理が行われた金属体は、時効処理を経ることにより、十分な伸びを有しながらも著しい強度向上を図ることが可能であることが示された。
また、図示は省略するが、サンプルA1〜A4の電顕像ではいずれも、剪断変形微細化処理によって大傾角粒界の結晶粒界は10μmのレベルまで微細化されていた。しかしながら、これらサンプルA1〜A4間の組織差は顕著でないにも拘わらず強度に差異が生じたことから、強度向上の要因は、結晶粒内へのMg2Siの微細分散析出であると推定された。
次に、本実施形態に係る金属成型品の製造方法、すなわち、剪断変形微細化処理工程と、成型工程と、成型品生成工程とを経る金属成型品の製造について試験を行った。
具体的には、剪断変形微細化処理では、金属体を300mm/minの速度で伸延方向に送りつつ、570℃に加熱して低変形抵抗領域を形成し処理を行った。また、捻転速度を100rpmとした。
成形工程では、アプセット鍛造で成形を行った。またアプセット鍛造装置は、金型の温度を調整できるものを使用し、後の成型品生成工程にて行う時効処理温度と同じ温度(本実施例2では160℃)に設定した。
また、成型工程に供する金属体は、予め高周波加熱によって所定の温度に加熱した。本実施例2では、A6061の時効温度帯内である200℃又は550℃とした。
成型品生成工程では、何れのサンプルに対しても、160℃にて16時間時効処理を行って金属成型品を生成した。表3に各サンプルに対して行った処理の一覧を示す。なお表3中における成型工程での荷重は、各サンプルの成形に要した荷重である。
このようにして形成した金属成型品について、硬度の測定を行った結果を図7に示す。図7からも分かるように、本実施形態に係る金属成型品の製造方法にて製造したサンプルB1及びサンプルB2は、比較サンプルB3に比して硬度が向上していることが示された。また、比較サンプルB3では、硬度のばらつきが大きいのに比べ、サンプルB1及びサンプルB2は、硬度のばらつきが小さく均一な硬度分布となっていることが分かった。
特に、サンプルB1とサンプルB2とを比較すると、成型工程での金属体温度が時効温度帯の中でも低い領域の温度(本実施例2では200℃)としたサンプルB1の方が、硬度のばらつきがより少なく、しかも、極めて高い硬度を有することが分かる。
図8に、試験結果から得られた硬度より引張強さを推定した結果を示す。各T6材の引張強さ及び硬度をプロットした点を通る近似曲線(指数近似曲線)から検討すると、本実施形態に係る金属成型品の製造方法により製造された金属成型品は、標準硬度の約1.5倍に相当する約450MPaの引張強さが期待できることが分かる。
このように、本実施形態に係る金属成型品の製造方法を行うことにより、製品硬度のばらつきが少なく、高硬度で高強度の鍛造製品を製造することができることが示された。
〔実施例3〕
本実施例3では、一般に超々ジュラルミンと称されるA7075熱処理型アルミ合金を金属体として用いた金属成型品の製造試験について言及する。
従来、超々ジュラルミンと呼ばれる高強度アルミニウム合金は、航空部品用合金として知られており、析出強化によってアルミニウム合金の中でも最高強度を示す材料である。この超々ジュラルミンの主な用途としては、例えば、航空機部品や、洋弓・パラグライダー等のスポーツ用品、金型や機械部品、宇宙関連部品等を挙げることができる。
しかしながら、この超々ジュラルミンは、耐食性が低いことから、航空機に使用される場合にはクラッド材として耐食性を改善しているという背景がある。超々ジュラルミンは、特に応力腐食割れ感受性が高く、本実施形態に係る金属成型品の製造方法によって結晶粒の微細化を施すことにより、改善が期待され、また、更なる強度向上が望めるものと考えられる。
そこで、高硬度で高強度の鍛造製品の製造を試みた。製造に使用した金属体の詳細を表4に示す。
剪断変形微細化処理では、上記金属体に対して2種の異なる処理を行い、2つのサンプルを作成した。各サンプルの具体的な処理は表5の通りである。
このように剪断変形微細化処理を行った各サンプルの処理後の外観を図9に示し、また、各サンプルの硬度測定結果を図10に示す。
図9に示す外観からも分かるように、いずれの条件においても破断や亀裂等を生じることなく、剪断変形微細化処理を行うことが可能であった。
また、図10に示す結果から、いずれのサンプルも、剪断変形微細化処理を施すことにより、A7075の標準硬度である157.6[Hv]を上回る硬度となることが示された。これら各サンプルの外観や諸条件等を勘案し、以降に説明する本実施例3の試験では、剪断変形微細化処理は、サンプルC1と同様の条件にて行うこととした。
次に、本実施形態に係る金属成型品の製造方法、すなわち、剪断変形微細化処理工程と、成型工程と、成型品生成工程とを経る金属成型品の製造について試験を行った。
具体的には、剪断変形微細化処理では、金属体を300mm/minの速度で伸延方向に送りつつ、480℃に加熱して低変形抵抗領域を形成し処理を行った。また、捻転速度を15rpmとした。
成形工程では、アプセット鍛造で成形を行った。またアプセット鍛造装置は、金型の温度を調整できるものを使用し、後の成型品生成工程にて行う時効処理温度と同じ温度(本実施例2では120℃)と、それよりもやや高い温度(本実施例では160℃)との2種の温度に設定することとした。
また、成型工程に供する金属体は、予め高周波加熱によって所定の温度に加熱した。本実施例2では、A7075の時効温度帯内である120℃と200℃の2種類とした。
成型品生成工程では、何れのサンプルに対しても、120℃にて24時間時効処理を行って金属成型品を生成した。表6に各サンプルに対して行った処理の一覧を示す。
このようにして形成した金属成型品について、硬度の測定を行った結果を図11に示す。図11からも分かるように、本実施形態に係る金属成型品の製造方法にて製造したサンプルD1〜D4は、グラフ中にて破線で示すA7075の標準硬度に比して、いずれも(サンプルD4は若干であるものの)硬度が向上していることが示された。また、いずれのサンプルのおいても、硬度のばらつきが小さく均一な硬度分布となっていることが分かった。
特に、これらのサンプル間を比較すると、成型工程での金属体温度が時効温度帯の中でも低い領域の温度(本実施例2では120℃)とし、金型温度もそれに合わせた温度としたサンプルD1のが、極めて高い硬度を有することが分かる。
図12に、特に良好であったサンプルD1の試験結果から得られた硬度より引張強さを推定した結果を示す。各T6材の引張強さ及び硬度をプロットした点を通る近似曲線(指数近似曲線)から検討すると、本実施形態に係る金属成型品の製造方法によれば、A7075を金属体として使用した場合でも、金属成型品は標準硬度に比して極めて高い引張強さが期待できることが分かる。
このように、本実施形態に係る金属成型品の製造方法を行うことにより、製品硬度のばらつきが少なく、高硬度で高強度の鍛造製品を製造することができることが示された。
上述してきた結果を踏まえると、図13に示すように、本実施形態に係る金属成型品の製造方法によれば、製品硬度のばらつきが少なく、少ない工程数でありながら割れや変形を防止できて熱処理由来の歪みが少なく、しかも、高硬度で高強度の鍛造製品を製造することができる。
すなわち従来は、例えば棒材を加工する場合、図13の下部に示す如く、熱間鍛造を行い、溶体化処理を経た後に、溶体化処理によって生じた歪みを除去する熱処理を施し、さらに時効処理を行う工程を経ていたが、本実施形態に係る金属成型品の製造方法によれば、図13の上部側に示したように工程が簡略化され、これにより製造コストの低減を行うことも可能となる。
〔本実施形態に係る金属成型品の製造方法の応用例〕
次に、本実施形態に係る金属成型品の製造方法の応用例について列挙する。
(1.自動車関連)
本実施形態に係る金属成型品の製造方法は、例えば自動車関連分野において、エンジン、足回り、ブレーキ、トランスミッション、デファレンシャルギア、ステアリング、安全装置、エアコン等に応用することができる。これらに応用した場合、高強度化・疲労強度・衝撃値向上および軽量化、さらに鍛造加工性・切削性向上を期待することができる。
具体的には、エンジンの場合、クランクシャフト(鉄鋼)、コンロッド(アルミニウムが主体)、ピストン(アルミニウムが主体)、吸排気バルブ(耐熱合金が主体)、カムおよびカムシャフト(鉄鋼)、タイミングギア(鉄鋼が主体)、過給機(シャフトは鉄鋼)、燃料噴射装置(鉄鋼およびアルミニウム)、冷却系(ラジエター等;アルミニウム主体)、コモンレール(鉄鋼、アルミニウム)、モーターシャフト(鉄鋼)モーターケース(アルミニウム主体)等に応用することができる。
また、足回りの場合、サスペンションアーム(アルミニウムが主体)、ショックアブソーバー(鉄鋼が主体)、ジョイント部(鉄鋼が主体)、トーションバー(鉄鋼が主体)、スプリング(鉄鋼)、タイヤホイール(アルミニウムが主体)、サブフレーム継手(アルミニウム主体)等に応用することができる。
また、ブレーキの場合、キャリパー(鉄鋼が主体)、ピストン(鉄鋼が主体)、ディスク(鉄鋼が主体)等に応用することができる。
また、トランスミッションの場合、クラッチ(鉄鋼が主体)、ギア(鉄鋼が主体)、シャフト(ドライブシャフト等;鉄鋼が主体)、CVTシーブ(鉄鋼)等に応用することができる。特にクラッチは、DSG等のコンピュータ制御クラッチ型のトランスミッションを採用する自動車において好適である。
また、デファレンシャルギアの場合、ギア(鉄鋼)、シャフト(鉄鋼)等に応用することができる。
また、ステアリングの場合、シャフト(鉄鋼が主体)、ユニバーサルジョイント(鉄鋼)、タイロッド(鉄鋼)、ステアリングコラム(鉄鋼が主体)、ギア類(鉄鋼)、パワーステアリングケース(アルミニウムが主体,鉄鋼もあり)、パワーステアリングギア・シャフト(鉄鋼)等に応用することができる。
また、安全装置の場合、エアバッグケース(アルミニウム、マグネシウム)、シートベルトギア(鉄鋼)等に応用することができる。
また、エアコンの場合、コンプレッサー(アルミニウムが主体)、配管継ぎ手(アルミニウムが主体)等に応用することができる。
(2.二輪車関連)
また、本実施形態に係る金属成型品の製造方法は、例えば二輪関連分野において、エンジン、足回り、ブレーキ、トランスミッション、ステアリング、安全装置等に応用することができる。これらに応用した場合、高強度化・疲労強度・衝撃値向上および軽量化、さらに鍛造加工性・切削性向上を期待することができる。
具体的には、エンジンの場合、クランクシャフト(鉄鋼)、コンロッド(アルミニウムが主体)、ピストン(アルミニウムが主体)、吸排気バルブ(耐熱合金が主体)、カムおよびカムシャフト(鉄鋼)、タイミングギア(鉄鋼が主体)、過給機(シャフトは鉄鋼)、燃料噴射装置(鉄鋼およびアルミニウム)、冷却系(ラジエター等;アルミニウム主体)、コモンレール(鉄鋼、アルミニウム)、モーターシャフト(鉄鋼)、モーターケース(アルミニウム主体)等に応用することができる。
また、足回りの場合、サスペンションアーム(アルミニウムが主体)、ショックアブソーバー(鉄鋼が主体)、ジョイント部(鉄鋼が主体)、トーションバー(鉄鋼が主体)、スプリング(鉄鋼)、タイヤホイール(アルミニウムが主体)等に応用することができる。
また、ブレーキの場合、キャリパー(鉄鋼が主体)、ピストン(鉄鋼が主体)、ディスク(鉄鋼が主体)等に応用することができる。
また、トランスミッションの場合、クラッチ(鉄鋼が主体)、ギア(鉄鋼が主体)、シャフト(ドライブシャフト等;鉄鋼が主体)、CVTシーブ・プーリー(鉄鋼)等に応用することができる。特にクラッチは、DSG等のコンピュータ制御クラッチ型のトランスミッションを採用する二輪車において好適である。
また、ステアリングの場合、シャフト(鉄鋼が主体)、ステアリングコラム(鉄鋼が主体)、ギア類(鉄鋼)等に応用することができる。
また、安全装置の場合、エアバッグケース(アルミニウム、マグネシウム)、シートベルトギア(鉄鋼)等に応用することができる。
(3.自転車関連)
また、本実施形態に係る金属成型品の製造方法は、例えば自転車関連分野において、モーターアシスト、足回り、ブレーキ、トランスミッション、車体等に応用することができる。これらに応用した場合、高強度化・疲労強度・衝撃値向上および軽量化、さらに鍛造加工性・切削性向上を期待することができる。
具体的には、モーターアシストの場合、モーターシャフト(鉄鋼)、モーターケース(アルミニウム主体)等に応用することができる。
また、足回りの場合、クランク(アルミニウムが主体)、ショックアブソーバー(鉄鋼が主体)、ジョイント部(鉄鋼が主体)等に応用することができる。
また、ブレーキの場合、キャリパー(鉄鋼が主体)、ピストン(鉄鋼が主体)、ディスク(鉄鋼が主体)等に応用することができる。
また、トランスミッションの場合、ギア(鉄鋼が主体)、シャフト(ドライブシャフト等;鉄鋼が主体)等に応用することができる。
また、車体の場合、フレーム(鉄鋼、アルミニウム、チタンが主体)等に応用することができる。
(4.建設機械・農業機械関連)
また、本実施形態に係る金属成型品の製造方法は、例えば建設機械や農業機械関連分野において、エンジン、足回り、ブレーキ、トランスミッション、デファレンシャルギア、操作系、ステアリング、安全装置、エアコン等に応用することができる。これらに応用した場合、高強度化・疲労強度・衝撃値向上および軽量化、さらに鍛造加工性・切削性向上を期待することができる。
具体的には、エンジンの場合、クランクシャフト(鉄鋼)、コンロッド(アルミニウムが主体)、ピストン(アルミニウムが主体)、吸排気バルブ(耐熱合金が主体)、カムおよびカムシャフト(鉄鋼)、タイミングギア(鉄鋼が主体)、過給機(シャフトは鉄鋼)、燃料噴射装置(鉄鋼およびアルミニウム)、冷却系(ラジエター等;アルミニウム主体)、コモンレール(鉄鋼、アルミニウム)、モーターシャフト(鉄鋼)、モーターケース(アルミニウム主体)等に応用することができる。
また、足回りの場合、サスペンションアーム(アルミニウムが主体)、ショックアブソーバー(鉄鋼が主体)、ジョイント部(鉄鋼が主体)、スプリング(鉄鋼)、タイヤホイール(アルミニウムが主体)、下転輪(鉄鋼が主体)、下転輪シャフト(鉄鋼が主体)、履帯(鉄鋼が主体)等に応用することができる。
また、ブレーキの場合、キャリパー(鉄鋼が主体)、ピストン(鉄鋼が主体)、ディスク(鉄鋼が主体)等に応用することができる。
また、トランスミッションの場合、クラッチ(鉄鋼が主体)、ギア(鉄鋼が主体)、シャフト(ドライブシャフト等;鉄鋼が主体)、CVTシーブ(鉄鋼)等に応用することができる。特にクラッチは、DSG等のコンピュータ制御クラッチ型のトランスミッションを採用する建設機械や農業機械において好適である。
また、デファレンシャルギアの場合、ギア(鉄鋼)、シャフト(鉄鋼)等に応用することができる。
また、操作系の場合、リングギア(鉄鋼が主体)、油圧シリンダー(鉄鋼が主体)等に応用することができる。
また、ステアリングの場合、シャフト(鉄鋼が主体)、ユニバーサルジョイント(鉄鋼)、タイロッド(鉄鋼)、ステアリングコラム(鉄鋼が主体)、ギア類(鉄鋼)、パワーステアリングケース(アルミニウムが主体,鉄鋼もあり)、パワーステアリングギア・シャフト(鉄鋼)等に応用することができる。
また、安全装置の場合、エアバッグケース(アルミニウム、マグネシウム)、シートベルトギア(鉄鋼)等に応用することができる。
また、エアコンの場合、コンプレッサー(アルミニウムが主体)、配管継ぎ手(アルミニウムが主体)等に応用することができる。
(5.産業機械関連)
また、本実施形態に係る金属成型品の製造方法は、例えば産業機械関連分野において、工作機械、FA機器、モーター等に応用することができる。これらに応用した場合、高強度化・疲労強度・衝撃値向上および軽量化、さらに鍛造加工性・切削性向上を期待することができる。
具体的には、工作機械の場合、回転工具の軽量化や、ヘッド部等に応用することができる。
また、FA機器に応用した場合、駆動部の軽量化等を図ることができる。
また、モーターの場合、モーターシャフト(鉄鋼)、モーターケース(アルミニウム主体)等に応用することで、小型軽量化を図ることができる。
(6.スポーツ用品関連)
また、本実施形態に係る金属成型品の製造方法は、例えばスポーツ用品関連分野において応用することができる。これらに応用した場合、高強度化・疲労強度・衝撃値向上および軽量化、さらに鍛造加工性・切削性向上を期待することができる。
具体的には、ゴルフの分野において、アイアンヘッド(鉄鋼、チタニウム主体)、ドライバーヘッド(鉄鋼、チタニウム主体)、パター(鉄鋼、アルミニウム、チタニウム、銅合金など)等に応用することができる。
また、釣り具の分野において、ケース(アルミニウム、マグネシウムが主体)等に応用することで、軽量化や高強度化を図ることができる。
(7.航空機関連)
また、本実施形態に係る金属成型品の製造方法は、例えば航空機関連分野において、エンジン、機体、ランディングギア等に応用することができる。これらに応用した場合、高強度化・疲労強度・衝撃値向上および軽量化、さらに鍛造加工性・切削性向上を期待することができる。
具体的には、エンジンの場合、タービンブレード(チタン、Ni基合金など)、シャフト類(鉄鋼が主体)、ギア類(チタニウム、鉄鋼が主体)等に応用することができる。
また、機体の場合、スティフナー等(アルミニウムが主体)、ラバトリー吊り下げシャフト(ステンレスが主体)、翼操作系ギアおよびシャフト(鉄鋼が主体)等に応用することができる。
また、ランディングギアの場合、ギア類(鉄鋼が主体)、シャフト(鉄鋼が主体)等に応用することができる。
上述してきたように、本実施形態に係る金属成型品の製造方法によれば、金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させ、この剪断変形により固溶された溶質元素が、冷却中に析出しないように急冷する剪断変形微細化処理工程と、前記剪断変形微細化処理工程を経た金属体を、同金属体の時効温度帯にて温間恒温鍛造に供して成型する成型工程と、成型された前記金属体を前記時効温度帯にて所定時間時効処理に供し金属成型品とする成型品生成工程と、を有することとしたため、製品硬度のばらつきが少なく、少ない工程数でありながら割れや変形を防止できて熱処理由来の歪みが少なく、しかも、高硬度で高強度の鍛造製品を製造可能な金属成型品を製造することができる。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
30 低変形抵抗領域
31 第1非低変形抵抗領域
32 第2非低変形抵抗領域
60 基台
61 固定部
62 剪断変形部
63 回転部
64 加熱装置
65 冷却装置
M1 チタン合金

Claims (5)

  1. 金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させ、この剪断変形により固溶された溶質元素が、冷却中に析出しないように急冷する剪断変形微細化処理工程と、
    前記剪断変形微細化処理工程を経た金属体を、同金属体の時効温度帯にて温間恒温鍛造に供して成型する成型工程と、
    成型された前記金属体を前記時効温度帯にて所定時間時効処理に供し金属成型品とする成型品生成工程と、を有する金属成型品の製造方法。
  2. 前記成型品生成工程における時効処理の温度は、前記成型工程における鍛造時の温度以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属成型品の製造方法。
  3. 前記剪断変形微細化処理工程にて前記溶質元素をマトリクス中に過飽和に固溶させたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属成型品の製造方法。
  4. 前記金属体に予め再結晶抑制元素が添加されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の金属成型品の製造方法。
  5. 金属体に変形抵抗を局部的に低下させた低変形抵抗領域を形成し、この低変形抵抗領域を剪断変形させ、この剪断変形により固溶された溶質元素が、冷却中に析出しないように急冷する剪断変形微細化処理工程と、
    前記剪断変形微細化処理工程を経た金属体を、同金属体の時効温度帯以下の温度で鍛造に供して成型する成型工程と、
    成型された前記金属体を前記時効温度帯にて所定時間時効処理に供し金属成型品とする成型品生成工程と、を有する金属成型品の製造方法。
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