JP2013505366A - 軟質化処理の省略が可能な高炭素軟質線材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

重量%で、C:0.7−1.5%、Si:0.005−2.0%、Mn:0.2−1.5%、Al:0.03%以下、P:0.02%以下、S:0.02%以下、残部Fe及びその他の不可避な不純物を含むビレットをA3超過の温度でオーステナイト化する段階と、A1〜A1+80℃の温度でビレットを仕上げ圧延する段階と、上記圧延したビレットを0.03℃/s以下の冷却速度でA1−50℃〜A1−100℃の温度範囲まで冷却する段階と、を含む、軟質化処理を必要としない高炭素軟質線材の製造方法、及びこれによって製造された線材を提供する。

Description

本発明は、温間及び冷間鍛造またはその他の加工をするための軟質化処理を省略または短縮するため、線材の製造段階において線材の微細組織を球状化した高炭素軟質線材及びその製造方法に関する。
線材を軟質化するためには、一般的に球状化熱処理を行う。球状化熱処理は、冷間成形の際に冷間加工性を向上させるために、セメンタイトを球状化し、均質な粒子分布を誘導する。また、球状化熱処理は、加工ダイスの寿命を向上させるために、加工される素材の硬度をできるだけ下げることができる。上記2つの目的を達成するため、球状化熱処理は素材の軟質化概念として使用されており、付加的に切削加工が必要な場合、一般のフェライト+パーライト鋼より切削性を向上させることができる。
このような球状化熱処理は、2つに分類される。一つは共析温度未満で長時間加熱する方法で、主に熱延製品の球状化処理に利用されている(sub−critical annealing)。もう一つは、共析温度及びオーステナイト化温度の間で加熱後、極徐冷して球状化組織を得る方法である(inter−critical annealing)。
初期組織がパーライトで構成される場合、球状化熱処理の温度で球状化が行われる過程は、高い温度における拡散によって引き起こる、ラメラセメンタイトの欠陥または端部と平らな界面との曲率差異による炭素濃度の勾配が発生して、ラメラセメンタイトが分節され、以後、界面のエネルギーを減らすために球状化されるものと知られている。
このように形成された球状粒子は、オストワルド熟成と類似した過程を経て成長するようになり球状化組織を形成する。このような球状化過程は、オーステナイト変態温度直下で主に観察される。素材のマトリックス組織はフェライト及びパーライトからフェライトに球状セメンタイトが存在する形態に変化する。即ち、初期組織にパーライトとして存在する部分がフェライト及び球状セメンタイトに変化するようになり、全体の微細組織がフェライト及び球状セメンタイトから構成される。
このような球状化が行われる機構については、多くの研究が発表されてきたが、大部分が板状のセメンタイトがその形態を失い球状のセメンタイトに形成される過程に対する多様な理論であり、その後の成長挙動は大部分の報告書においてオストワルド熟成の形態に成長するものと知られている。
球状のセメンタイトが形成される過程では、熱処理初期段階で多角形化が発生するフェライトの回復または再結晶の過程において多くの亜結晶粒界または結晶粒界が形成される。これにより、熱的に不安定な板状のセメンタイトは、バンドまたはリボンの形態に分節され、分節されたセメンタイトは、表面エネルギーの減少のために球状のセメンタイトに変化した後、オストワルド熟成機構によって成長する。
このような球状化機構を説明するモデルは、3つ程度存在する。まず、摂動理論は、ロッドの形態が毛細管現象により導入された摂動によって不安定になる現象を示すもので、摂動の波長とロッドの形態、即ち、その長さとの関係で球状化が行われる現象を説明したものである。
また、粒界溝モデルは、変形または変態によって導入された亜結晶粒界の界面に粒界溝が形成されるもので、このような粒界溝は、界面に曲率を形成し、この曲率は電位の差異を示す。このような電位の差異は、原子の移動を引き起こして溝を引き続き成長させるようになり、これにより、セメンタイトは分節された形態に発展する。しかしながら、球状化処理が長時間に及ぶと、亜結晶粒界が減少するため、このモデルは球状化熱処理の初期段階のみに適用可能である。
最後に、欠陥転移理論は、ラメラ構造にはラメラの端部が存在し、この部分は曲面の形態を有するため、他の部位に比べてエネルギー的に不安定であることから、この部位で球状化が始まるものである。このようなラメラの端部は、ラメラの成長完了の際に生成される端部及びラメラの成長の際に発生する欠陥部位を示す。
二相領域における加熱による球状化は、共析温度未満における球状化方法とは球状化機構及び反応速度論の全ての面で基本的に異なる。初期組織がパーライト及びフェライトで構成された場合、球状化が行われる過程において、パーライトの部位及びフェライトの一部部位が二相領域の温度まで加熱されると、オーステナイトに変態する。その際、パーライトが存在していた部位に生成されるオーステナイト領域にセメンタイト粒子が完全に溶解されず、一部残存してオーステナイト+残留セメンタイトの形態を維持する。その後、徐冷の際、残存セメンタイトが核に作用して、オーステナイトからフェライト及びパーライトの変態ではなく、フェライト及び残存セメンタイト粒子の成長の形態によって変態が行われる。変態後の徐冷の際には、既に形成された球状粒子がオストワルド熟成と類似した過程を経て成長するようになり、球状化組織を形成する。
上述した方法による球状化微細組織の形成機構を考察する。一般的な微細組織であるフェライト及びパーライトで構成された素材を二相領域の温度まで加熱して徐冷によって球状化組織を形成すると、上述したように、フェライト及びパーライトが共存する状態において、パーライトは、全部オーステナイトに変態し、フェライトの一部もオーステナイトに変態するため、加熱温度で存在する相は、フェライト及びオーステナイトになる。
また、この際に生成されるオーステナイトの部位は、パーライトが存在する領域のみならず、フェライトが存在する領域の一部を含むため、この加熱温度におけるフェライトの分率は、初期組織の場合より小さくなり、パーライトからオーステナイトに変態した部位では、全部の共析セメンタイトが完全に溶解されてオーステナイトに溶融状態で存在するのではなく、一部の共析セメンタイトが球状のセメンタイトとして残留するようになる。従って、この際、生成されたオーステナイトは通常のパーライトにおける炭素濃度より低い濃度の炭素を有する。
このような微細組織がA1温度に加熱されると、オーステナイトが再び室温組織に変態するが、ここで注目すべき点は、オーステナイトが再びフェライト及びパーライトに変態するのではなく、全部、フェライトに変態するようになって、オーステナイトに溶融されていた炭素が、パーライトのセメンタイトとして析出されるよりも、残存していたセメンタイト粒子と結合して、セメンタイト粒子サイズの成長に寄与するようになる。従って、この場合に観察される微細組織は、フェライト及び球状化されたセメンタイト粒子から構成される。
次の段階は、徐冷して室温まで冷却する段階で、相対的にサイズが小さいセメンタイト粒子は消滅し、サイズが大きい粒子のみ引き続き成長するオストワルド熟成による球状化粒子の成長が行われる。
このような球状化機構を加熱段階に従って検討すると、以下の通りである。まず、二相領域の温度まで加熱する過程において、一般的に炭素鋼の室温微細組織は、主にパーライトまたはパーライト+フェライトで構成されている。このような場合、オーステナイトが生成される高い温度まで炭素鋼が加熱されると、加熱速度が二相領域の温度に到達する場合に現れる微細組織に影響を及ぼす。
本発明の一側面は、線材の製造工程の際に制御圧延及び極徐冷を適用して、線材の微細組織内に球状セメンタイトを含ませた、軟質化処理を必要としない高炭素軟質線材及びその製造方法を提供する。
本発明は、一側面として、重量%で、C:約0.7−1.5%、Si:約0.005−2.0%、Mn:約0.2−1.5%、Al:約0.03%以下、P:約0.02%以下、S:約0.02%以下、残部Fe及びその他の不可避な不純物を含み、微細構造は、球状セメンタイトを含有するフェライトと、パーライトと、を含む高炭素軟質線材を提供する。
上記線材は、Cr:約1.5%以下、Mo:約0.5%以下、Ni:約1.0%以下及びV:約0.5%以下のうち1種以上をさらに含むことができる。
上記線材の微細構造は、球状セメンタイトを含有するフェライトの面積分率が約30%以上であることができる。
上記球状セメンタイトは、アスペクト比が約1〜2.5の球状セメンタイトを約50%以上含むことができる。
上記線材は、硬度が約250Hv以下であることができる。
上記線材は、引張強度が約75kg/mm以下であることができる。
本発明は、他の一側面として、球状化熱処理を省略または短縮した高強度高炭素軟質線材の製造方法であって、重量%で、C:約0.7−1.5%、Si:約0.005−2.0%、Mn:約0.2−1.5%、Al:約0.03%以下、P:約0.02%以下、S:約0.02%以下、残部Fe及びその他の不可避な不純物を含むビレットをA3超過の温度でオーステナイト化する段階と、約A1〜A1+80℃の温度範囲でビレットを仕上げ圧延する段階と、上記圧延したビレットを約0.03℃/s以下の冷却速度で約A1−50℃〜A1−150℃の温度範囲で冷却する段階と、を含む高炭素軟質線材の製造方法を提供する。
上記線材は、Cr:約1.5%以下、Mo:約0.5%以下、Ni:約1.0%以下及びV:約0.5%以下のうち1種以上をさらに含むことができる。
上記冷却段階の後に約5〜20℃/sの冷却速度で室温まで冷却する段階をさらに含むことができる。
本発明は、線材の伸線及び加工のための軟質化工程を省略または短縮するため、線材の製造段階においてセメンタイトを球状化する工程を含む製造方法を提供することができる。これにより、現在、一般的に25時間以上かかる球状化工程を数時間以内に短縮することで、工程を単純化し、熱処理によるエネルギーを低減することができる。
図1は、典型的な球状化処理工程を示すグラフである。 図2は、発明例1及び2、比較例1から4の微細組織を示す顕微鏡写真である。 図3は、冷却速度、圧延温度及び硬度の相関関係を示すグラフである。
本発明は、線材の製造段階において制御圧延及び極徐冷工程を通じて、線材の微細組織内に球状セメンタイトを確保して軟質線材を提供することができ、これは、典型的な球状化工程に投入された時間を最小化することができ、典型的な球状化工程を行った線材と類似したり、より優れた機械的物性を有する線材を提供することができる。
以下、本発明の成分系について説明する。
C(炭素):0.7−1.5重量%
C含量が高くなるほど線材の強度は増加するが、冷間鍛造性が低下して加工が困難になるという短所がある。C含量が0.7重量%未満の場合には、本発明が目的としているセメンタイトの直接球状化プロセスの作用が低下することがあり、一般の軟化熱処理のみで軟質化が可能である。それに対し、C含量が1.5重量%を超過する場合には、セメンタイトの球状化が困難になり、冷間鍛造性が顕著に低下して、冷間鍛造を行った後にも亀裂等が発生することがある。従って、上記C含量は、0.7−1.5重量%に限定することが好ましい。
Si(シリコン):0.005−2.0重量%
Si含量が2.0重量%を超過する場合には、鋼の偏析が増加して線材の内部と外部の間に差異が生じ、マルテンサイトが生成されるおそれがあり、鋼の高温強度が増加して線材工程の中で線材圧延を行う際にロールに負荷が多くかかるようになる。また、Si含量の増加は、炭素の活性を増加させて表面脱炭を助長するが、これは線材の徐冷工程のうち表面脱炭の原因になり得る。Si含量の下限値は、特別な限定理由を有するものではないが、線材の強度のために0.005重量%以上を含有することが好ましい。
Mn(マンガン):0.2−1.5重量%
Mnはマトリックス組織内に置換型固溶体を形成して固溶強化する元素で、高強度の冷間圧造特性(CHQ)の線材の焼入性向上に非常に有用な元素である。但し、Mn含量が1.5重量%を超過する場合には、固溶強化の効果よりはマンガン偏析による組織の不均質によって線材特性にさらなる有害な影響を及ぼす。また、鋼の凝固の際に偏析機構によってマクロ偏析及びミクロ偏析が起こりやすいが、マンガン偏析は他の元素より相対的に低い拡散係数によって偏析帯を助長し、これによる硬化能の向上は中心部のマルテンサイトを生成する主原因となることがある。
また、上記Mn含量が0.2重量%未満の場合には、マンガン偏析による偏析帯への影響は殆どないが、固溶強化による応力緩和の改善効果は、期待することが困難であり、MnS介在物が減少することがある。従って、上記Mn含量は0.2−1.5重量%に限定することが好ましい。
Al(アルミニウム):0.03重量%以下
Alは鋼中の窒素と反応してAlNを生成する。鋼中の微細なAlNは、オーステナイトの粒界成長を妨害する役割をして圧延によるシードの生成に有利に働く。しかしながら、Al含量が0.03重量%を超過する場合、過度にAl203を形成させて疲労破壊の原因を提供するおそれがある。
P(リン):0.02重量%以下
Pは製造の際に不可避に含有される元素で、リンは結晶粒界に偏析されて靭性を低下させ、遅延破壊抵抗性を減少させる主要原因であるため、できるだけ低く制御することが好ましく、理論上はP含量を0%に制限することが可能であるが、製造工程上、Pの含有を避けざるを得ない。従って、P含量の上限を管理することが重要であり、上記P含量の上限は0.02重量%に限定することが好ましい。経済性を考慮して、その上限を0.015重量%に限定することがより好ましい。
S:0.02重量%以下
Sは製造の際に不可避に含有される元素で、低融点元素として粒界偏析され靭性を低下させることがあり、硫化物を形成させて遅延破壊抵抗性及び応力緩和の特性に有害な影響を及ぼすため、その含量を最大限に制御することが好ましい。理論上はS含量を0%に制限することが可能であるが、製造工程上、Sの含有を避けざるを得ない。従って、S含量の上限を管理することが重要であり、上記S含量の上限は0.02重量%に限定することが好ましい。
その他に含有される元素は、特に限定されないが、鋼の特性によって含有させることができる。本発明は、一実施形態として、Cr、Mo、Ni及びVのうち1種以上をさらに含むことができる。
Cr(クロム):1.5重量%以下
Crはセメンタイトの形成を助長し、パーライトのラメラ間隔を小さくする特性があるため、セメンタイトの球状化を促進させて鍛造性を向上させることができる。しかしながら、Cr含量が1.5重量%を超過する場合、機械的特性に悪影響を及ぼすおそれがあるため、上記Cr含量の上限は1.5重量%に限定することが好ましい。
Mo(モリブデン):0.5重量%以下
Moはテンパリングの際に2次強化効果を有するため、鋼の軟化抵抗性の向上に優れた元素である。しかしながら、Mo含量が0.5重量%を超過する場合には、強度が過度に上昇し、鍛造性に悪影響を及ぼすことがある。従って、上記Mo含量の上限は0.5重量%に限定することが好ましい。
Ni(ニッケル):1.0重量%以下
Niは焼入性を増加させ、靭性を向上させるのに有用な元素であるため、適正量が含有されることが好ましいが、1.0重量%を超過する場合には、過度に強度が向上してむしろ鍛造性が低下するおそれがある。従って、上記Ni含量の上限は1.0重量%に限定することが好ましい。
V(バナジウム):0.5重量%以下
Vは軟化抵抗性の改善元素で、その含量が0.5重量%以下の場合には、バナジウムによって非拡散性水素トラップサイトとしての役割をすることができ、遅延破壊抵抗性の改善効果を期待することができ、析出強化を通じた軟化抵抗性に対する改善効果を期待することができる。しかしながら、その含量が0.5重量%を超過する場合には、析出物による遅延破壊抵抗性及び軟化抵抗性に対する改善効果が飽和し、オーステナイト熱処理の際、マトリックスに溶解されない粗大な合金炭化物が増加して非金属介在物のような作用をするため、疲労特性の低下をもたらす問題点がある。
上記した成分系を満たす軟質線材を製造する方法について説明する。
本発明は、共析鋼の伸線及び加工のための素材の軟質化を目的に行われる球状化工程を線材の製造段階で実施することで、パーライト内のセメンタイトの一部または全体を球状化させ、以後の軟化熱処理工程を省略または短縮することができる。
上記成分系を満たすビレットをA3超過の温度に加熱してその微細組織をオーステナイト化する。但し、上記微細組織には一部のフェライトがさらに含まれてもよい。上記オーステナイト化段階における温度上限は、限定されないが、工程設備を考慮して限定されてもよい。
オーステナイトは、一般的にA1温度未満に冷却されると、フェライト及びセメンタイトの複合構造からなるパーライトに変わる。しかしながら、本発明では、一般的な共析変態とは区別される分離共析変態(DET:Divorced Eutectoid Transformation)の現象が起こる。これは、オーステナイト内にセメンタイトシードが存在する場合、制限された条件でパーライトの代わりに球状セメンタイトが成長してセメンタイトの球状化を誘導することができる。
本発明は、上記オーステナイト化段階を経たビレットをA1〜A1+80℃の温度範囲で圧延した後、A1−50℃〜A1−100℃まで0.03℃/s以下の冷却速度で極徐冷する。
上記オーステナイト化段階の後、ビレットをA1〜A1+80℃の温度範囲で制御圧延して微細なセメンタイトシードを組織内に分布させることができる。二相領域で微細なセメンタイトシードの生成が誘導され、圧延温度がA1温度に近接するほどセメンタイトシードの生成が円滑になる。
上記圧延した線材を0.03℃/s以下の冷却速度でA1−50℃〜A1−100℃の温度範囲で冷却するが、極徐冷により、オーステナイト内に存在したセメンタイトシードは成長して球状セメンタイトになる。反応速度論的立場から見ると、セメンタイトが存在していてもオーステナイト粒界からパーライトが生成されることが安定的である。しかし、冷却速度を遅らせると、オーステナイト内部に生成されたセメンタイトシードが成長できる条件になり、パーライトの成長が抑制される。これは、遅い冷却速度によって棒型セメンタイトの成長よりは球状セメンタイトの成長が起こり得る環境が助成されるためである。
本発明は、上記冷却段階の後、室温まで最終冷却する段階を含むことができる。上記最終冷却段階の冷却速度は5〜20℃/sの範囲であることが好ましい。
上記した製造方法によって製造された線材の微細組織は、球状セメンタイトを含有するフェライトと、パーライトと、を含む。ここで、球状セメンタイトを含有するフェライトの面積分率は、全体の微細組織のうち30%以上であることが好ましく、上記球状セメンタイトのうちアスペクト比(Aspect ratio)が1〜2.5の球状セメンタイトが50%以上であることが好ましい。
また、上記した微細組織を有する線材の硬度は250Hv以下で、引張強度は75kg/mm以下である。本発明は、球状化時間を画期的に短縮することができ、上記機械的物性を有する軟質線材を提供することができる。
以下、実施例を通じて本発明を説明する。
(実施例)
(従来例)
重量%で、C:1.0%、Mn:0.3%、Si:0.2%、Cr:1.4%、Al:0.03%以下、P:0.02%以下、Si:0.02%以下、残部Fe及びその他の不可避な不純物を含む線材を、図1に示された製造条件によってオーステナイト化した後、3段階冷却を通じて球状化処理を行った。全体の熱処理時間は、約22〜30時間かかった。
(発明例1から4及び比較例1から6)
上記した成分系を満たす線材を、A3+100℃超過の温度でオーステナイト化した後、線材を下記表1のように、760、780、800、820及び840℃で仕上げ圧延を行った。0.01及び0.05℃/sの速度で線材を冷却してからその硬度を測定して図3に示した。また、球状セメンタイトの分率及びアスペクト比を測定して下記表1に示した。なお、図2に比較例1(A)、比較例2(D)、比較例3(E)、比較例4(F)、発明例1(B)及び発明例2(C)の微細組織の写真を示す。
比較例1及び比較例2は、圧延温度がA1温度未満で、球状セメンタイトの分率が10%未満と低く測定され、これは、図2(A、D)を通じて確認することができる。比較例3から6は、圧延温度がA1温度超過ではあるが、冷却速度が0.05℃/sと非常に速く、球状セメンタイトの分率が20〜30%と測定された。アスペクト比及び硬度も高く測定された。比較例3及び比較例4の微細組織は、図2(E、F)を通じて確認することができる。
それに対し、発明例1から4は、球状セメンタイトの分率が50%以上で、硬度は250Hv以下、アスペクト比1〜2.5の範囲内だった。このうち発明例1及び2の微細組織は、図2(B、C)を通じて確認することができる。
また、発明例1から4、比較例1から6に対し、冷却速度、圧延温度及び硬度の相関関係グラフを図3に示す。
本発明を例示的な実施形態を通じて表示し説明してきたが、当業者であれば明らかなように、特許請求の範囲に定義される発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明を修正及び変更することができる。

Claims (9)

  1. 重量%で、C:約0.7−1.5%、Si:約0.005−2.0%、Mn:約0.2−1.5%、Al:約0.03%以下、P:約0.02%以下、S:約0.02%以下、残部Fe及びその他の不可避な不純物を含み、微細組織は、球状セメンタイトを含有するフェライトと、パーライトと、を含む、高炭素軟質線材。
  2. 前記線材は、重量%で、Cr:約1.5%以下、Mo:約0.5%以下、Ni:約1.0%以下及びV:約0.5%以下のうち1種以上をさらに含む、請求項1に記載の高炭素軟質線材。
  3. 前記線材の微細組織は、球状セメンタイトを含有するフェライトの面積分率が約30%以上である、請求項1に記載の高炭素軟質線材。
  4. 前記球状セメンタイトは、アスペクト比が約1〜2.5の球状セメンタイトを約50%以上含む、請求項1に記載の高炭素軟質線材。
  5. 前記線材は、硬度が約250Hv以下である、請求項1に記載の高炭素軟質線材。
  6. 前記線材は、引張強度が約75kg/mm以下である、請求項1に記載の高炭素軟質線材。
  7. 軟質化処理の省略が可能な高炭素軟質線材の製造方法であって、重量%で、C:約0.7−1.5%、Si:約0.005−2.0%、Mn:約0.2−1.5%、Al:約0.03%以下、P:約0.02%以下、S:約0.02%以下、残部Fe及びその他の不可避な不純物を含むビレットをA3超過の温度でオーステナイト化する段階と、
    約A1〜A1+80℃の温度で前記ビレットを仕上げ圧延する段階と、
    前記圧延したビレットを約0.03℃/s以下の冷却速度で約A1−50℃〜A1−150℃の温度範囲で冷却する段階と、を含む、高炭素軟質線材の製造方法。
  8. 前記線材は、重量%で、Cr:約1.5%以下、Mo:約0.5%以下、Ni:約1.0%以下及びV:約0.5%以下のうち1種以上をさらに含む、請求項7に記載の高炭素軟質線材の製造方法。
  9. 前記冷却段階の後、約5〜20℃/sの冷却速度で室温まで冷却する段階をさらに含む、請求項7に記載の高炭素軟質線材の製造方法。
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