JP4776066B2 - 空気清浄フィルタを用いた空気処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気を透過させて空気中の塵埃・悪臭を取り除く空気清浄フィルタを用いた空気処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば図6に示したように、空気清浄フィルタ10を送風機20が吸い込んで排気する空気21の通路の一部、または全てに設置し、空気中の塵埃を除去すると共に、脱臭も行うようにした空気清浄化装置としての空気処理装置100がある。
【0003】
このような用途で使用される空気清浄フィルター10の空気通過部分は、例えば図7に示したように、平板状不織布11aと、波板状不織布11bとを積層して表面積の大きいハニカム状に形成するなどして作成されているハニカム集塵フィルタ10A(厚さ:約5〜10mm程度)が用いられる。
【0004】
したがって、送風機20が吸い込み排気する空気は、空気清浄フィルタ10の不織布11a、11bによって塵埃や油脂(蒸気)が濾し取られるが、脱臭効果は期待できない。
【0005】
また、空気清浄フィルタ10として、光触媒(酸化チタン、TiO2 )を用いた光再生型(天日再生型)脱臭フィルタが使用されているが、生活臭、ペット臭などの原因となるアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸などに対する脱臭性能が不十分な上、タバコ臭などの原因となる無極性分子や極性分子に対する脱臭効果がほとんど期待できないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、従来の問題を解決し、生活臭、ペット臭などの原因となるアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸などの極性分子に対しても、そしてタバコ臭などの原因となる無極性物質や極性分子に対しても優れた脱臭性能を発揮する上、脱臭性能が低下した際には水洗により脱臭性能を回復させて再使用可能な空気清浄フィルタを用いた空気処理装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決するための具体的手段として、本発明の請求項1記載の空気処理装置は、吸気口と排気口を繋ぐ空気通路に空気清浄フィルタが設置されており、吸気口より吸入した空気を透過させて空気中の塵埃・悪臭を取り除く処理を施し排気口より排出する空気処理装置であって、
前記空気清浄フィルタとして、悪臭成分イオンを吸・脱着する無機系脱臭剤を表面に堆積させた、外部に通じる微細孔が多数存在する活性炭粉末から構成される脱臭剤を、樹脂製多孔質基材に固着処理して担持した脱臭フィルタを備えた空気清浄フィルタを用いたことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2記載の空気処理装置は、前記空気清浄フィルタの風上側に集塵フィルタを積層して形成した空気清浄フィルタを設置したことを特徴とする
【0009】
(削除)
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる脱臭フィルタの一実施形態を図1および図2に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明で用いる脱臭フィルタの一実施形態を示す説明図であり、図2は、図1に示した脱臭フィルタの表面の一部断面を模式的に示し、脱臭メカニズムを説明する説明図である。
図1に示した脱臭フィルタ9は、樹脂製多孔質基材1に、悪臭成分イオンを吸・脱着する無機系脱臭剤2と活性炭粉末3から構成される脱臭剤4が固着処理して担持されている。
【0011】
樹脂製多孔質基材1は、例えば、樹脂フィラメントを複数本束ねた樹脂製マルチフィラメント5を用いてフィラメント相互を結合して作られた多孔質壁6によって囲まれた比較的に大きな貫通孔7(例えば、短径約1〜2mm、長径約4〜5mm)を多数備えた剛性のある三次元構造を有する基材である。
【0012】
そして、樹脂製多孔質基材1の表面に脱臭剤4が図示しないバインダーを用いて担持されている。
【0013】
図2に示すように、脱臭剤4の活性炭粉末3の表面には外部に通じる微細孔8が多数存在し、かつ無機系脱臭剤2(例えば、Si−Zn系脱臭剤)が例えば、イオンプレーテイングなどのイオン処理法により堆積されている(活性炭粉末と無機系脱臭剤の配合比を変化することにより脱臭対象臭気に合わせた性能設計が可能となる)。
アンモニア、トリメチルアミン(塩基性ガス)、硫化水素、メチルメルカプタン(酸性ガス)などに代表される悪臭分子の多くは+や−の電荷を持っており、電荷を持っているこれらの悪臭分子は無機系脱臭剤2にイオン吸着される。
そして、無機系脱臭剤2にイオン吸着されない無極性分子や極性分子は活性炭粉末3の微細孔8にファンデルワールス力により吸着される。
【0014】
このように無機系脱臭剤2と活性炭粉末3を組み合わせて(ハイブリッド化して)構成される脱臭剤4を樹脂製多孔質基材1に固着処理して担持した脱臭フィルタ9を用いると、無機系脱臭剤2と活性炭粉末3の相乗作用により、生活臭、ペット臭などの原因となるアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸などの極性物質に対しても、無機系脱臭剤2にイオン吸着されないタバコ臭などの原因となる無極性物質や極性物質に対しても優れた脱臭性能を発揮する。
【0015】
そして、脱臭フィルタ9の脱臭性能が低下した際には、水洗することにより、無機系脱臭剤2にイオン吸着された悪臭成分を水に溶かして脱着して、無機系脱臭剤2の吸着点を復活させて、再使用できる。
【0016】
本発明で用いる空気清浄フィルタの第1の実施形態〕
図3は、本発明で用いる空気清浄フィルタの第1の実施形態を示す説明図である。
本発明で用いる第1の実施形態の空気清浄フィルタ10は、前記脱臭フィルタ9の前面に、前記図7に示した構成のハニカム集塵フィルタ10A[例えば、帯電繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂製帯電繊維)からなる平板状不織布11aと同帯電繊維からなる波板状不織布11bとを積層してハニカム状に形成されたハニカム集塵フィルタ]を積層して形成されている。なお脱臭フィルタ9は通常3〜10mm程度の厚さに、ハニカム集塵フィルタ10Aは5〜10mm程度の厚さに形成される。
【0017】
本発明で用いる空気清浄フィルタの第2の実施形態〕
ハニカム集塵フィルタ10Aを図4に示したように脱臭フィルタ9の後方に配置してもよい。
【0018】
本発明で用いる空気清浄フィルタの第3の実施形態〕
また、図5に示したように脱臭フィルタ9をハニカム集塵フィルタ10Aでサンドイッチ積層してもよい。
【0019】
図6に示す空気処理装置100などの空気の通路に、前記第1の実施形態の空気清浄フィルタ10が設置されると、送風機20によって吸い込み排気される空気21は、先ずハニカム集塵フィルタ10Aを通過し、空気21に含まれている塵埃と油脂(蒸気)の内の比較的大きな物がここで取り除かれるとともに、平板状不織布11aおよび波板状不織布11bは帯電繊維から作られているので、帯電し易い微細な塵埃はクーロン力によってハニカム集塵フィルタ10Aに引き付けられ、確実に取り除かれる。
【0020】
塵埃と油脂が取り除かれた空気21は脱臭フィルタ9を通過する際、生活臭、ペット臭などの原因となるアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸などの極性物質やタバコ臭などの原因となる無極性物質や極性物質が取り除かれ消臭される。
【0021】
そして、脱臭フィルタ9の脱臭性能が低下した際には、空気清浄フィルタ10を水洗することにより、再生させて、再使用できる。
【0022】
前記第2の実施形態の空気清浄フィルタ10では、空気21が最初に通過する部分に、脱臭フィルタ9が配置されているので、この部分で空気の消臭が図られる。消臭された空気はハニカム集塵フィルタ10Aを通過し、空気21に含まれている塵埃などが取り除かれる。
【0023】
また、前記第3の実施形態の空気清浄フィルタ10では、脱臭フィルタ9の前面と背後にハニカム集塵フィルタ10Aを配置してサンドイッチ積層してあるので、空気は前面のハニカム集塵フィルタ10Aを通過して塵埃などが取り除かれ、脱臭フィルタ9で空気の消臭が図られ、背後のハニカム集塵フィルタ10Aを通過して塵埃などが確実に取り除かれるといった利点がある。
【0024】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0025】
例えば本発明の空気処理装置としては、前記構成の空気清浄フィルタが吸気口と排気口とを繋ぐ空気通路に設置されたエアコンや温風ヒータなどであっても良い。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の空気処理装置は、吸気口と排気口を繋ぐ空気通路に設置される空気清浄フィルタとして、悪臭成分イオンを吸・脱着する無機系脱臭剤と活性炭粉末から構成される脱臭剤を、樹脂製多孔質基材に固着処理して担持した脱臭フィルタを備えた空気清浄フィルタを用いたので、生活臭、ペット臭などの原因となるアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸などの極性物質やタバコ臭などの原因となる無極性物質や極性物質を取り除いて消臭することができ、そして脱臭フィルタの脱臭性能が低下した際には、水洗することにより、再生させて、再使用できるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で用いる脱臭フィルタの一実施形態を示す説明図である。
【図2】 図1に示した脱臭フィルタの表面の一部断面を模式的に示し、脱臭メカニズムを説明する説明図である。
【図3】 本発明で用いる空気清浄フィルタの第1の実施形態を断面で示す説明図である。
【図4】 本発明で用いる空気清浄フィルタの第2の実施形態を示す説明図である。
【図5】 本発明で用いる空気清浄フィルタの第3の実施形態を示す説明図である。
【図6】 空気処理装置の構成を示す説明図である。
【図7】 従来技術の空気清浄フィルタの要部を示す説明図である。
【符号の説明】
1 樹脂製多孔質基材
2 無機系脱臭剤
3 活性炭粉末
4 脱臭剤
5 マルチフィラメント
6 多孔質壁
7 貫通孔
8 微細孔
9 脱臭フィルタ
10 空気清浄フィルタ
10A ハニカム集塵フィルタ
20 送風機
21 空気
100 空気処理装置

Claims (2)

  1. 吸気口と排気口を繋ぐ空気通路に空気清浄フィルタが設置されており、吸気口より吸入した空気を透過させて空気中の塵埃・悪臭を取り除く処理を施し排気口より排出する空気処理装置であって、
    前記空気清浄フィルタとして、悪臭成分イオンを吸・脱着する無機系脱臭剤を表面に堆積させた、外部に通じる微細孔が多数存在する活性炭粉末から構成される脱臭剤を、樹脂製多孔質基材に固着処理して担持した脱臭フィルタを備えた空気清浄フィルタを設置したことを特徴とする空気処理装置
  2. 前記空気清浄フィルタの風上側に集塵フィルタを積層して形成した空気清浄フィルタを設置したことを特徴とする請求項1記載の空気処理装置。
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