JP2012152754A - 集塵フィルタ、集塵フィルタの製造方法、及び空気清浄機 - Google Patents

集塵フィルタ、集塵フィルタの製造方法、及び空気清浄機 Download PDF

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Abstract

【課題】通風性、脱臭性、及び集塵性の悪化を抑制することができる集塵フィルタ、集塵フィルタの製造方法、及び空気清浄機を提供する。
【解決手段】送風機が作動することによって吸い込まれた空気は、プレフィルタ2に濾過されて粗い塵埃が捕集され、脱臭フィルタ3で脱臭され、集塵フィルタ4が備える保形シートを通過することによって保形シートに添着されている活性炭及び水溶性の脱臭剤によって脱臭され、更に捕集シートに濾過されて細かい塵埃が捕集されてから吹き出される。脱臭フィルタ3のみならず集塵フィルタ4も脱臭性を有するため、脱臭能力が向上されている。また、捕集シートが保形シートに保形されているため、無用な変形による集塵性及び脱臭性の悪化が防止されている。更に、活性炭及び水溶性の脱臭材が自重で下降し偏りを生じることがないため、通気性及び脱臭性の悪化が抑制されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気に含まれる塵埃を捕集する集塵フィルタ、集塵フィルタの製造方法、及び空気清浄機に関する。
室内の空気は、塵、埃、花粉、タバコの煙、呼吸と共に排出される二酸化炭素等、人体に不快又は有害とされる様々な物質で汚染され易い。特に近年では住宅が高気密化されているため、汚染物質が室内に滞りがちである。また、従来は部屋の窓を適宜解放して自然換気を行なっていたが、大気汚染、花粉症等の理由で屋外の空気を取り込むことが困難な場合がある。このような事情から、最近では室内の空気を浄化する空気浄化機能を有する空気清浄機が普及してきている。
一般に空気清浄機は、筐体の正面、背面等に吸込口が形成され、筐体の上面に吹出口が形成され、筐体の内部には吸込口と吹出口との間に通風路が形成されており、通風路の中途に送風機が配されている。吸込口には、空気を濾過して大きい塵埃を捕集するプレフィルタが配され、通風路には、空気の臭いを除去する脱臭フィルタと、小さい塵埃を捕集する集塵フィルタとが配されている。このような空気清浄機は、送風機が作動することによって、空気清浄機外部の空気である室内の空気を吸込口から吸い込んで通風路を通過させ、吹出口から室内へ吹き出させる。空気清浄機に吸い込まれた空気に含まれる汚染物質は、プレフィルタと脱臭フィルタ及び集塵フィルタとによって捕集され、吸着され、又は分解されて取り除かれるため、空気清浄機からは、濾過され浄化された空気が吹き出す。
このような空気清浄機の脱臭フィルタとしては、例えば矩形板状に形成された合成樹脂製のハニカムコアの内部に粒状活性炭が収納されているもの(特許文献1参照)、活性炭が封入されている紙製のハニカムコアに、消臭剤を含浸させた不織布を一体的に取り付けたもの等がある(特許文献2参照)。また、他の構成の脱臭フィルタとしては、活性炭が充填されている不織布製の袋体を合成樹脂製の枠体に収納したもの(特許文献3参照)、紙製又は不織布製の2枚のシートの間にゼオライト、活性炭、シリカゲル等の粒子が注入されたもの(特許文献4参照)等がある。
特開平11−114333号公報 特開2002−58729号公報 実登3044054号公報 実開平4−122624号公報
しかしながら、特許文献1,2に開示されている脱臭フィルタは、ハニカムコア内部に形成されている各小室に活性炭が収納されているため、活性炭が自重によって小室の下部に集中し、上部に空間が生じることがある。この結果、小室の下部では活性炭の密度が高くて空気抵抗が増大するため通風性が悪化し、小室の上部では活性炭の密度が低くて空気と活性炭との接触面積が減少するため脱臭性が悪化するという問題がある。
同様に、特許文献3,4に開示されている脱臭フィルタは、活性炭が袋、シート等の柔軟な部材に保持されているため、活性炭が自重によって袋、シート等の下部に集中し易く、活性炭の偏りによる通風性及び脱臭性の悪化を招き易い。
更に、特許文献3,4に開示されている脱臭フィルタは、袋、シート等の柔軟な部材を保形するために、例えば合成樹脂製の枠体を別途準備して、この枠体によって袋、シート等を保形する必要がある。
更にまた、特許文献1には、集塵用のシートと粉末活性炭を不織布に含浸させた脱臭用のシートとを重ねてプリーツ加工し、集塵用のシートを風上側に向けて配する集塵・脱臭両用のフィルタが開示されている。しかしながら、不織布のように柔らかいシート状の部材は容易に変形するため、プリーツの密度が高い部分と低い部分とが生じることがある。この場合、プリーツの密度が高い部分では通風性が悪化し、プリーツの密度が低い部分では脱臭性、集塵性が悪化するという問題がある。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、塵埃を捕集する捕集シートと、捕集シートを保形する保形シートとを重ねてプリーツ加工してなり、保形シートに、粉末状の活性炭と水溶性の脱臭剤とを、これらを含む溶剤に浸漬し乾燥させることによって添着させる構成とすることにより、保形性を高め、且つ、活性炭が自重で下降することを抑制することができる集塵フィルタ、集塵フィルタの製造方法、及び空気清浄機を提供することにある。
本発明に係る集塵フィルタは、空気を濾過して塵埃を捕集する集塵フィルタにおいて、何れも通気性を有し、塵埃を捕集する捕集シートと、該捕集シートを保形する保形シートとを重ねてプリーツ加工してなり、該保形シートは、空気の臭いを除去する脱臭機能を有し、該脱臭機能は、少なくとも、前記保形シートを、粉末状の活性炭及び水溶性の脱臭剤を含む溶剤に浸漬する工程と、該工程の後で、前記保形シートを乾燥させる工程とを経ることによって前記保形シートに与えられていることを特徴とする。
本発明に係る集塵フィルタは、前記捕集シート及び保形シートは、何れも不織布を用いてなることを特徴とする。
本発明に係る集塵フィルタの製造方法は、何れも通気性を有し、塵埃を捕集する捕集シートと、該捕集シートを保形し、空気の臭いを除去する脱臭機能を有する保形シートとを重ねてプリーツ加工してなり、空気を濾過して塵埃を捕集する集塵フィルタの製造方法であって、前記保形シートに前記脱臭機能を与えるべく、前記保形シートを、粉末状の活性炭及び水溶性の脱臭剤を含む溶剤に浸漬し、浸漬後、前記保形シートを乾燥させることを特徴とする。
本発明に係る空気清浄機は、空気の吸込口と、空気の吹出口と、前記吸込口及び吹出口を結ぶ通風路と、該通風路の中途に配されており、前記吸込口から空気を吸い込んで前記吹出口から吹き出させるための送風機と、前記吸込口及び送風機の間に配される請求項1又は2に記載の集塵フィルタとを備えることを特徴とする。
本発明に係る空気清浄機は、前記集塵フィルタは、前記保形シートを風上側に向け、前記捕集シートを風下側に向けて配されることを特徴とする。
本発明に係る空気清浄機は、前記集塵フィルタよりも風上に、空気を濾過して粗い塵埃を捕集する集塵用のフィルタを更に備え、前記集塵フィルタは、前記集塵用のフィルタによって濾過された空気を更に濾過して細かい塵埃を捕集するようにしてあることを特徴とする。
本発明にあっては、空気清浄機は、吸込口、吹出口、通風路、送風機、及び本発明に係る集塵フィルタを備える。集塵フィルタは、捕集シートと、脱臭機能を有する保形シートとを重ねてプリーツ加工してなる。脱臭機能は、少なくとも、保形シートを、粉末状の活性炭及び水溶性の脱臭剤を含む溶剤に浸漬し、その後、保形シートを乾燥させることによって、保形シートに付加される。
このようにして脱臭機能が付加された保形シートにおいては、活性炭の自重による下降、延いては、活性炭の偏りが抑制される。この結果、通風性及び脱臭性の悪化が抑制される。また、保形シートによって保形された捕集シートは容易には変形しないため、変形によってプリーツの密度が高い部分と低い部分とが生じる、という不都合が抑制される。以上の結果、通風性及び集塵性の悪化が抑制される。
本発明にあっては、捕集シート及び保形シートは、何れも不織布を用いてなる。不織布を用いてなる保形シートに添着されている活性炭が、自重によって下降することはない。この結果、活性炭の配置が偏ることによる通風性及び脱臭性の悪化が防止される。
本発明にあっては、捕集シートの風上側に、脱臭機能を有する保形シートが配されている。このため、空気の臭いは、捕集シートを通過する前に、脱臭機能を有する保形シートによって除去され、捕集シートには移り難い。
また、保形シートに添着されている活性炭の微粒子が保形シートから脱離したとしても、保形シートの風下側に配されている捕集シートが活性炭の微粒子を捕集するため、活性炭の微粒子が吹出口から吹き出されることが抑制される。
本発明にあっては、空気清浄機は、集塵フィルタよりも風上に配された集塵用のフィルタ(以下、プレフィルタという)を更に備えている。
プレフィルタは、送風機によって吸込口から吸い込まれる空気を濾過してこの空気に含まれる粗い塵埃を捕集し、集塵フィルタは、プレフィルタに濾過された空気を更に濾過する。このとき、プレフィルタに濾過された空気に含まれている塵埃は捕集シートによって捕集され、プレフィルタに濾過された空気に含まれている臭いは、脱臭機能を有する保形シートによって除去される。
送風機によって吸込口から吸い込まれた空気が臭い及び/又は塵埃を含んでいたとしても、このような空気は集塵フィルタの脱臭機能を有する保形シートによって臭いが除去され、また、プレフィルタと集塵フィルタの捕集シートとによって塵埃が捕集されることによって清浄な空気となり、吹出口から吹き出される。
本発明の集塵フィルタ、集塵フィルタの製造方法、及び空気清浄機による場合、集塵フィルタの各シートはプリーツ加工してあるため、例えば平面状のシートを配して集塵フィルタを形成する場合と比べて、各シートと集塵フィルタを通過する空気との接触面積が大きい。このため、捕集シートによる捕集効果及び脱臭機能を有する保形シートによる脱臭効果を夫々向上させることができる。
また、脱臭機能を有する保形シートは、少なくとも保形シートに活性炭及び水溶性の脱臭剤を添着させてなるため、活性炭が自重によって下降することがない。このため、活性炭の配置が上下方向に偏ることによる通風性及び脱臭性の悪化を防止することができる。
更に集塵フィルタは、捕集シートが保形シートによって保形されているため、プリーツ加工された捕集シート及び保形シートの形状(具体的にはプリーツ間のピッチ)が一定に保たれ易い。従って、集塵フィルタの無用な変形による通風性、脱臭性及び集塵性の悪化を抑制することができる。仮に、集塵フィルタの無用な変形によってプリーツの密度が高い部分と低い部分とが生じると、プリーツの密度が高い部分では通風性が悪化し、プリーツの密度が低い部分では脱臭性及び集塵性が悪化する。また、変形して規則性を失ったプリーツが美観を損ねることもある。
本発明の実施の形態に係る空気清浄機の内部構成を略示する側断面図である。 本発明の実施の形態に係る空気清浄機が備える各フィルタの上端部近傍及び下端部近傍を略示する側断面図である。 本発明の実施の形態に係る空気清浄機が備える脱臭フィルタの構成を示す正面図である。 図3におけるIV−IV線の拡大断面図である。 本発明の実施の形態に係る空気清浄機が備える集塵フィルタの構成を示す正面図である。 図5におけるVI−VI線の拡大断面図である。
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の実施の形態に係る空気清浄機の内部構成を略示する側断面図であり、図2は、本発明の実施の形態に係る空気清浄機が備える各フィルタの上端部近傍及び下端部近傍を略示する側断面図である。
図中1は空気清浄機であり、空気清浄機1は、図1及び図2に示すように、床面に立設又は壁面に係止される縦型の直方体状の筐体10を備える。
筐体10は合成樹脂製であって、筐体10の背面には吸込口11が開口しており、筐体10の天面は正面側から背面側へ下降する傾斜面状であって、ここには吹出口12が開口している。更に、筐体10の内部には、吸込口11と吹出口12とを結ぶ通風路13が設けられている。通風路13の中途には、吸込口11から空気を吸い込んで吹出口12から吹き出させるための送風機7が配されており、図中Aの矢符は、吸込口11から吸い込まれて通風路13を通り吹出口12から吹き出される空気の通風方向Aを示している。通風方向Aは、吸込口11から送風機7までは筐体10の背面側から正面側へ向かう方向であり、送風機7から吹出口12までは、筐体10の底面側から天面側へ向かう方向である。
更に詳細には送風機7は、回転することで空気を送風するファン71と、ファン71を回転させる電動のモータ72とを備え、筐体10底部の正面近傍に設置されている。
吸込口11には、吸込口11を閉塞する正面視矩形平板状の後部パネル20が着脱可能に取り付けられている。後部パネル20は合成樹脂製であり、上部に、弾性を有する係止摘み201を有し、下部に、下方へ突出する爪202を有する。係止摘み201は側面視が横転J字状であり、J字の終端部が後部パネル20の内面側に一体に設けられ、J字の始端側が後部パネル20の内面側から外面側へ突出するようにしてある。また、係止摘み201の上部には、筐体10の吸込口11上縁部に形成されている係止穴101に係止する係止突起204が形成されている。
吸込口11に後部パネル20を取り付ける場合、使用者は、後部パネル20を保持して、後部パネル20下部の爪202を、筐体10の吸込口11下縁部に形成されている図示しない係止穴に上から下へ挿入する。次いで使用者は、爪202を支点として後部パネル20を吸込口11に嵌め合わせる。最後に使用者は、係止摘み201のJ字の始端側を摘んで撓ませ、係止摘み201のJ字の湾曲部分を吸込口11から筐体10内部へ挿入し、手を離す。
使用者によって加えられていた外力が失われると、撓んでいた係止摘み201が弾性によって元の形状に復元し、このとき、係止摘み201の係止突起204が係止穴101に挿入されて互いに係止する。この結果、後部パネル20が筐体10に固定される。
吸込口11から後部パネル20を取り外す場合、使用者は、係止摘み201を摘んで撓ませて係止突起204と係止穴101との係止を解除し、爪202を支点として後部パネル20を後方へ倒し、最後に爪202を筐体10の係止穴から抜き取る。
このような後部パネル20には、マトリクス配置された複数の矩形状の通風孔203,203,…が形成されている。ただし、通風孔203,203,…夫々の縦横の寸法は、上側の通風孔203よりも下側の通風孔203の方が大きくなるようにしてある。
更に、通風孔203,203,…を閉塞して、プレフィルタ(第1の集塵フィルタ)2が後部パネル20に設けられている。プレフィルタ2はポリプロピレン製の矩形状の網を用いてなり、後部パネル20の内面側に溶着されている。通風孔203,203,…を通過することによって吸込口11から吸い込まれる空気は、プレフィルタ2によって濾過される。プレフィルタ2は、この空気に含まれる粗い(つまりサイズが大きい)塵埃を捕集する。プレフィルタ2で捕集された塵埃は、例えば掃除機で吸引することによって容易に除去される。
筐体10底部の後部パネル20と送風機7との間には、脱臭フィルタ3、集塵フィルタ(第2の集塵フィルタ)4、保護板5、及び加湿ユニット6がこの順に風上側から風下側へ配されている。吸込口11から保護板5までの間には、脱臭フィルタ3及び集塵フィルタ4を収納するための空間としてフィルタ収納室14が設けられており、プレフィルタ2、脱臭フィルタ3、集塵フィルタ4、保護板5及び加湿ユニット6の後述する加湿フィルタ61は、夫々通風方向に対して交差する方向(具体的には略直交する方向)に配されている。
加湿ユニット6は、吸水性及び通気性を有する円盤状の加湿フィルタ61と、加湿フィルタ61を回転させるための電動モータを含む回転機構62と、水を貯留する貯水トレイ63とを備える。加湿フィルタ61は縦姿勢に配されて、外周部の下部が貯水トレイ63にて浸水可能にしてある。回転機構62が作動して加湿フィルタ61が回転すると、貯水トレイ63に貯留されている水が加湿フィルタ61周方向全体に吸い上げられ、更に加湿フィルタ61全体に行き渡り、含水している加湿フィルタ61を通過した空気は、水の蒸散によって加湿される。
また、加湿フィルタ61の周方向の一部には浸水不可能な部分が設けてあり、加湿を行なわない場合はこの部分を貯水トレイ63に向けた状態で加湿フィルタ61の回転を停め、加湿フィルタ61が吸水しないようにする。乾燥した加湿フィルタ61を空気が通過しても、加湿されることはない。
図3は、本発明の実施の形態に係る空気清浄機が備える脱臭フィルタの構成を示す正面図であり、後述するプリーツ加工された不織布30を展開した状態(換言すればプリーツ加工されていない状態)の拡大正面図を含んでいる。また、図4は、図3におけるIV−IV線の拡大断面図である。
脱臭フィルタ3は、不織布製の枠材31,31,32,32を用いてなる矩形枠の内側に、プリーツ加工された不織布30が配されてなり、更に線状の架橋部33,33,…を有する。
また、脱臭フィルタ3は、脱臭フィルタ3を通過する空気の臭いを除去するよう構成されている。このために脱臭フィルタ3には、臭いを吸着する活性炭が添着されている。
不織布30はポリエステル製の矩形シートを用いてなり、不織布30には、不織布30を通過する空気の通風効率を向上すべく、千鳥配置された複数の微小な通風孔30a,30a,…が形成されている。通風孔30a,30a,…は、不織布30を形成する際に同時的に形成してもよく、不織布30となすべきシートを形成した後で穿孔してもよい。
本実施の形態においては、通風孔30a,30a,…による開口率は約80%である。
また、不織布30は、不織布30の両面に活性炭を添着すべく、粉末状の活性炭を含む溶剤に不織布30が浸漬されるディッピング工程、及び、不織布30に浸入した溶剤を蒸発させるための乾燥工程を経てから、プリーツ間のピッチが一定になるようプリーツ加工される。ただし、不織布30は、不織布30のプリーツ並設方向が、脱臭フィルタ3の長手方向に沿うようにプリーツ加工される。
各枠材31,32は、ポリエステル及びレーヨンを用いて矩形平板状に形成された不織布に熱可塑性樹脂製の接着剤を含ませてなり、プリーツ加工された不織布30の短手方向に沿う2辺部に、枠材31,31が熱圧着され、長手方向に沿う2辺部に、枠材32,32が熱圧着される。
プリーツ加工された不織布30の周縁に枠材31,31,32,32が接着されることによって、プリーツ加工された不織布30、延いては脱臭フィルタ3が矩形平板状に保形され、更に、一方の枠材31を底面として水平面上に直立することが可能とされる。つまり、脱臭フィルタ3は自立するため、脱臭フィルタ3を保形するための枠体を別途用いる必要がない。
架橋部33,33,…は、脱臭フィルタ3の裏面及び表面夫々に4本ずつ、脱臭フィルタ3の短手方向に互いに適長離隔し、脱臭フィルタ3の長手方向に沿って線状に形成されている。各架橋部33は、プリーツ加工された不織布30に、熱可塑性の合成樹脂を溶着させるリボン加工を施すことによって形成され、この結果、プリーツ加工された不織布30のプリーツ頂部間が、硬化した合成樹脂によって線状に架橋される。従って、隣り合うプリーツ同士が接近又は離隔する方向に外力(例えば重力)が加えられたとしても、プリーツ頂部間に架橋されている合成樹脂がスペーサとして機能するため、プリーツ間のピッチが一定に保たれる。
活性炭は、空気中に含まれている臭い成分であるアセトアルデヒド、アンモニア、酢酸等を吸着することによって空気から臭いを除去する。臭い成分の吸着によって活性炭の脱臭性は徐々に悪化していくが、一般に臭い成分は水溶性であるため、不織布30に添着されている活性炭については、脱臭フィルタ3を洗浄(例えば水洗い)することによって、脱臭性が容易に回復する。従って、脱臭フィルタ3の脱臭性能が低下しても、頻繁に新たな脱臭フィルタ3に取り替える必要はない。
また、不織布30に添着されている活性炭は、脱臭フィルタ3の使用中に、例えば重力によって下方へ移動して不織布30の一部に偏在することがない。つまり、不織布30には活性炭が遍在しているため、不織布30の一部の脱臭性が向上して通風性が悪化(又は通風性が向上して脱臭性が悪化)するようなことはない。
ところで、脱臭フィルタ3を通過する際に、空気に含まれる塵埃が脱臭フィルタ3によって捕集されることもある。脱臭フィルタ3が捕集した塵埃は、脱臭フィルタ3を洗浄することで容易に除去される。
図5は、本発明の実施の形態に係る空気清浄機が備える集塵フィルタの構成を示す正面図である。また、図6は、図5におけるVI−VI線の拡大断面図である。
集塵フィルタ4は、不織布製の枠材41,41,42,42を用いてなる矩形枠の内側に、プリーツ加工されたフィルタ本体46が配されてなり、更に架橋部43,43,…と、集塵フィルタ4の風上側を被覆する抗菌シート45とを有する。
また、集塵フィルタ4は、脱臭フィルタ3より厚く設けてあり、空気を濾過して、この空気に含まれる細かい(つまりサイズが小さい)塵埃を捕集し、且つ、この空気の臭いを除去するよう構成されている。つまり集塵フィルタ4は、塵埃の捕集機能のみならず、脱臭機能も有しており、このために集塵フィルタ4の風上側の面(具体的には後述する保形シート44)には、空気の臭いを除去する脱臭部が形成されている。
フィルタ本体46は何れも通気性を有する捕集シート40と保形シート44とを密着して重ねてプリーツ加工してなる。ここで、集塵フィルタ4は、保形シート44を風上側に向け、捕集シート40を風下側に向けてフィルタ収納室14に収納される。このため、集塵フィルタ4の上面(つまり枠材41の外面)には、使用者に対して集塵フィルタ4の向きを報知するメッセージが記されている。
捕集シート40は、ポリエステル製のメルトブロー不織布に電石加工(静電加工)を施してなる濾材(いわゆるHEPA(High Efficiency Particulate Air )フィルタ)であり、静電気によって塵埃を吸着する。仮に、捕集シート40を洗浄すると塵埃の吸着力が低下する。このため、集塵フィルタ4の側面(即ち枠材42の外面)には、使用者に対して集塵フィルタ4の洗浄を禁止するメッセージが記されている。
保形シート44は、ビニロン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル酸エステルスチレン、及びウレタンを含む不織布を用いてなる骨材であり、捕集シート40と共にプリーツ加工されて、捕集シート40の形状を保つ。なお、保形シート44を通過する空気の通風効率を向上すべく、保形シート44に、通風孔30a,30a,…のような通風孔を形成してもよい。
また、保形シート44は、粉末状の活性炭及び水溶性の脱臭剤を含む溶剤に浸漬され、次いで乾燥されることによって、保形シート44に浸潤した溶剤が蒸発して、保形シート44の両面に活性炭が添着され、また、脱臭剤が添着される。このようにして保形シート44に形成された脱臭部において、活性炭は臭い成分を吸着し、脱臭剤は臭い成分を化学的に分解することで、空気の臭いを除去する。
臭い成分の吸着及び分解によって脱臭部の脱臭性は徐々に悪化していくが、集塵フィルタ4の風上側には、洗浄によって脱臭性が容易に回復する(即ち高い脱臭能力が維持されている)脱臭フィルタ3が配されるため、保形シート44を通過する空気に臭い成分はあまり含まれていない。つまり、保形シート44に形成された脱臭部は、脱臭フィルタ3で除去し切れなかった僅かな臭いを除去するものであるため、脱臭性が悪化し難い。
更に、脱臭フィルタ3と保形シート44に形成された脱臭部との二段構えで臭いが除去されるため、捕集シート40を通過する空気に臭い成分はほとんど含まれていない。このため、捕集シート40には空気に含まれた臭いが移り難い。
以上のことから、集塵フィルタ4の脱臭性の悪化や集塵フィルタ4に臭いが付着したことを理由に、頻繁に新たな集塵フィルタ4に取り替える必要はない。
ところで、保形シート44に添着されている活性炭は、集塵フィルタ4の使用中に、例えば重力によって下方へ移動して保形シート44の一部に偏在することがない。つまり、保形シート44には活性炭が遍在しているため、保形シート44の一部の脱臭性が向上して通風性が悪化(又は通風性が向上して脱臭性が悪化)するようなことはない。
また、保形シート44に添着されている活性炭の粉末が保形シート44から脱離しても、保形シート44の風下側に配されている捕集シート40によって捕集されるため、捕集シート40よりも更に風下側(即ち集塵フィルタ4よりも風下側)へ流出することが抑制され、更にはこの活性炭が吹出口12から空気清浄機1外部へ吹き出されることが抑制される。
このような捕集シート40と保形シート44とが密着して重ねられてフィルタ本体46となされ、フィルタ本体46は、プリーツ間のピッチが一定になるようプリーツ加工される。ただしフィルタ本体46は、フィルタ本体46のプリーツ並設方向が、集塵フィルタ4の長手方向に沿うように形成される。
抗菌シート45は、ハイドロキシアパタイト加工された不織布を用いてなり、プリーツ加工されたフィルタ本体46の保形シート44側に熱圧着される。抗菌シート45を通過する空気に含まれる細菌は抗菌シート45に付着するが、抗菌シート45によって、抗菌シート45での繁殖が抑制される。
各枠材41,42は、矩形平板状に形成された不織布に熱可塑性の合成樹脂を用いてなる接着剤を含ませてなり、プリーツ加工されたフィルタ本体46の短手方向に沿う2辺部に枠材41,41が熱圧着され、長手方向に沿う2辺部に枠材42,42が熱圧着される。
プリーツ加工されたフィルタ本体46の周縁に枠材41,41,42,42が接着されることによって、プリーツ加工されたフィルタ本体46及びフィルタ本体46に熱圧着されている抗菌シート45、延いては集塵フィルタ4が矩形平板状に保形され、更に、一方の枠材41を底面として水平面上に直立することが可能とされる。つまり、集塵フィルタ4は自立するため、集塵フィルタ4を保形するための枠体を別途用いる必要がない。
架橋部43,43,…は、集塵フィルタ4の裏面及び表面夫々に5本ずつ、集塵フィルタ4の短手方向に互いに適長離隔し、集塵フィルタ4の長手方向に沿って形成されている。各架橋部43は、プリーツ加工された捕集シート40に、熱可塑性の合成樹脂を溶着させるビート加工を施すことによって形成され、この結果、プリーツ加工された捕集シート40のプリーツ間が、硬化した合成樹脂によって架橋される。従って、隣り合うプリーツ同士が接近又は離隔する方向に外力(例えば重力)が加えられたとしても、プリーツ間に架橋されている合成樹脂がスペーサとして機能するため、プリーツ間のピッチが一定に保たれる。
なお、捕集シート40に活性炭は添着されない(即ち捕集シート40に脱臭部は形成されない)が、捕集シート40にも脱臭部を形成する場合、例えば追加の捕集シートで集塵フィルタ4の風下側を被覆してもよい。
ところで本実施の形態においては、脱臭フィルタ3の架橋部33はリボン加工によって形成され、集塵フィルタ4の架橋部43はビート加工によって形成される。何故ならば、リボン加工は工程が簡易であるが、プリーツ間の浅い位置(即ちプリーツ頂部間)を架橋し、プリーツ間の深い位置を架橋することができないからである。このため、リボン加工はプリーツの谷が浅い不織布30の架橋に好適である。一方、ビート工程はリボン加工に比べて工程が煩雑であるが、深い位置の架橋が可能であるため、プリーツの谷が深いフィルタ本体46の架橋に好適である。プリーツ加工されたフィルタ本体46をリボン加工で架橋しても、架橋されている部分がプリーツの谷の深さに比べて浅すぎるため、プリーツ間のピッチを維持し難い。
以上のような脱臭フィルタ3及び集塵フィルタ4を収納するフィルタ収納室14は、図1及び図2に示すように、フィルタ収納室14の風上側の開口である吸込口11を、プレフィルタ2を有する後部パネル20によって閉塞され、フィルタ収納室14の風下側の開口14aを、保護板5によって閉塞されている。
保護板5は合成樹脂製の正面視矩形平板状であり、縦長さ及び横幅は、脱臭フィルタ3又は集塵フィルタ4の縦長さ及び横幅よりも短い。また、保護板5は、開口14aの周縁部に、前傾姿勢で固定されている。更に、保護板5には、マトリクス配置された複数の通風孔が形成されている。
フィルタ収納室14の風下側には加湿ユニット6が隣接配置されており、保護板5は、フィルタ収納室14に収納される脱臭フィルタ3及び集塵フィルタ4や使用者の手が、回転部分を有する加湿ユニット6に接触することを防止する。このために、保護板5の各通風孔は、例えば使用者の指が挿入不能であり、しかも通風性を大幅に悪化させることのない適切な寸法を有する。
フィルタ収納室14の底部には、吸込口11側から開口14a側へ下り勾配の傾斜底面14bが形成してあり、前傾姿勢で固定されている保護板5と傾斜底面14bとの角度は約90度である。
脱臭フィルタ3及び集塵フィルタ4夫々は傾斜底面14b上に単純に載置され、ビス、接着剤等による固定はされないため、着脱が容易である。空気清浄機1に対して脱臭フィルタ3及び集塵フィルタ4を着脱する場合、使用者は、まず後部パネル20を取り外し、次に、脱臭フィルタ3をフィルタ収納室14から取り出し、次いで、集塵フィルタ4をフィルタ収納室14から取り出す。脱臭フィルタ3の洗浄、集塵フィルタ4の取替え等が終了したら、使用者は、捕集シート40を保護板5に向けた状態で集塵フィルタ4を傾斜底面14bに載置し、次いで、脱臭フィルタ3を傾斜底面14bに載置し、最後に、後部パネル20を取り付ける。
傾斜底面14b上に載置された脱臭フィルタ3及び集塵フィルタ4夫々は、自然と前傾姿勢に(即ち保護板5と平行に)なる。また、後部パネル20は、吸込口11に取り付けられると、係止摘み201のJ字の湾曲部分の頂部20aが脱臭フィルタ3の上部に当接するようにしてある。
前傾姿勢で配されている脱臭フィルタ3及び集塵フィルタ4は、例えば直立姿勢や後傾姿勢で配されている場合と比べて、吸込口11側へ(即ち後方へ)倒れ難い。つまり使用者による取付けが容易である。しかも係止摘み201によって背後から押圧されるため、後方へ倒れることが抑制される。つまり、吸込口11を閉塞する後部パネル20は、フィルタ収納室14から脱臭フィルタ3及び集塵フィルタ4が後方へ倒れることによって、各フィルタを通過せずに空気が保護板5を通過してしまう無用な迂回路が形成されることを防止する機能も有する。
前傾姿勢でフィルタ収納室14に収納される脱臭フィルタ3及び集塵フィルタ4夫々は、直立姿勢で収納されるフィルタに比べて、通風可能な面積が大きい。従って、各フィルタの脱臭性及び集塵性も向上される。更に、フィルタの脱臭性及び集塵性を向上させるべくフィルタの厚みを増大させたフィルタに比べて、面積を増大させたフィルタは、通風性が向上されている。
また、脱臭フィルタ3及び集塵フィルタ4夫々はフィルタ収納室14に並置してあるだけなので構造が簡単である。しかも、各フィルタを斜めに配置することで通風方向Aに沿う寸法はやや長くなるが、フィルタを通風方向Aに沿って配置する構成ではないため、大型化が抑制される。
ところで、後部パネル20の通風孔203,203,…は上側に形成されているものほど小さく、下側に形成されているものほど大きい。何故ならば後部パネル20と脱臭フィルタ3との間の空隙が、上側が広く下側が狭いため、下側の方が上側に比べて空気が吸入され難いからである。つまり、空気が吸入され難い下側の通風孔203,203,…の開口量を大きくし、空気が吸入され易い上側の通風孔203,203,…の開口量を小さくすることによって、上下方向の通風性の分布を均一にしている。この結果、脱臭フィルタ3の全面に均一に空気が接触して、脱臭フィルタ3全体で空気が脱臭される。
一方、保護板5は集塵フィルタ4と平行であるため、保護板5の通風孔は、例えば互いに等しい大きさであってもよい。なお、保護板5が直立姿勢で固定されている場合、集塵フィルタ4と保護板5との間の空隙が、上側が狭く下側が広いため、保護板5の通風孔夫々の縦横の寸法は、上側の通風孔よりも下側の通風孔の方が小さくなるようにすることが好ましい。
以上のような空気清浄機1が設置されている室内の空気は、送風機7が作動することによって吸込口11(更に詳細には吸込口11に取り付けられている後部パネル20の通風孔203,203,…)から吸い込まれ、まずプレフィルタ2によって濾過されて粗い塵埃が捕集され、次に脱臭フィルタ3を通過して活性炭によって大半の臭いが除去される。脱臭フィルタ3を通過した空気は、更に集塵フィルタ4の抗菌シート45を通過して細菌が除去され、次いで保形シート44を通過して脱臭部の活性炭及び脱臭剤によって残りの臭いが除去され、最後に捕集シート40によって濾過されて細かい塵埃が捕集される。集塵フィルタ4を通過した空気は、保護板5の通風孔を通って加湿フィルタ61を通過し、更に送風機7を通って、吹出口12から室内へ吹き出される。
空気清浄機1は脱臭性を有する部分が通風方向Aに2層に設けられているため、コンパクトな構成でありながら、脱臭能力が向上されている。
なお、空気清浄機1の構成は、本実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、加湿フィルタ61の上流側で空気を加熱しておくことで加湿フィルタ61における更なる蒸散を促進してもよく、また、送風機7の下流側にイオン発生素子を配して、発生させたプラスイオン及び/又はマイナスイオンを、吹出口12から吹き出される空気に付加してもよい。
また、集塵フィルタ4の捕集シート40が、保形性が良好な(いわゆる腰が強い)材質である場合、保形シート44を用いる必要はない。この場合、脱臭部は捕集シート40の少なくとも風上側の面に形成すればよい。
1 空気清浄機
11 吸込口
12 吹出口
2 プレフィルタ(第1の集塵フィルタ)
3 脱臭フィルタ
31,32 枠材
4 集塵フィルタ(第2の集塵フィルタ)
40 捕集シート
44 保形シート(脱臭部)
7 送風機

Claims (6)

  1. 空気を濾過して塵埃を捕集する集塵フィルタにおいて、
    何れも通気性を有し、塵埃を捕集する捕集シートと、該捕集シートを保形する保形シートとを重ねてプリーツ加工してなり、
    該保形シートは、空気の臭いを除去する脱臭機能を有し、
    該脱臭機能は、少なくとも、
    前記保形シートを、粉末状の活性炭及び水溶性の脱臭剤を含む溶剤に浸漬する工程と、
    該工程の後で、前記保形シートを乾燥させる工程と
    を経ることによって前記保形シートに与えられていることを特徴とする集塵フィルタ。
  2. 前記捕集シート及び保形シートは、何れも不織布を用いてなることを特徴とする請求項1に記載の集塵フィルタ。
  3. 何れも通気性を有し、塵埃を捕集する捕集シートと、該捕集シートを保形し、空気の臭いを除去する脱臭機能を有する保形シートとを重ねてプリーツ加工してなり、空気を濾過して塵埃を捕集する集塵フィルタの製造方法であって、
    前記保形シートに前記脱臭機能を与えるべく、
    前記保形シートを、粉末状の活性炭及び水溶性の脱臭剤を含む溶剤に浸漬し、
    浸漬後、前記保形シートを乾燥させることを特徴とする集塵フィルタの製造方法。
  4. 空気の吸込口と、
    空気の吹出口と、
    前記吸込口及び吹出口を結ぶ通風路と、
    該通風路の中途に配されており、前記吸込口から空気を吸い込んで前記吹出口から吹き出させるための送風機と、
    前記吸込口及び送風機の間に配される請求項1又は2に記載の集塵フィルタと
    を備えることを特徴とする空気清浄機。
  5. 前記集塵フィルタは、前記保形シートを風上側に向け、前記捕集シートを風下側に向けて配されることを特徴とする請求項4に記載の空気清浄機。
  6. 前記集塵フィルタよりも風上に、空気を濾過して粗い塵埃を捕集する集塵用のフィルタを更に備え、
    前記集塵フィルタは、前記集塵用のフィルタによって濾過された空気を更に濾過して細かい塵埃を捕集するようにしてあることを特徴とする請求項4又は5に記載の空気清浄機。
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