JP4773529B2 - 軸に取り付けるための磁石構成ユニット - Google Patents

Description

本発明は、軸上への取り付のための磁石構成ユニットであって、軸に取り付けられるべきプラスチック製の磁石ホルダー及び磁石部材（マグネットエレメント）を備えている形式のものに関する。

欧州特許出願公開第１４９８９１１Ａ１号明細書には、電機子軸に取り付けられる環状磁石（リングマグネット）を記載してあり、環状磁石は電動モータ式の調節駆動部の構成部分である。環状磁石は電機子軸（回転子軸）に相対回動不能に取り付けられていて、すなわち固定されていて、センサーと一緒に位置検出装置の機能を生ぜしめるようになっており、このために電機子軸の回転に際して環状磁石によって生ぜしめられた磁場変化をセンサーによって検出して、センサーの検出信号から電機子軸の回転数を算出するようになっている。電機子軸への環状磁石の固定のために、環状磁石は中央に貫通孔を有していて、該貫通孔でもって軸に被せ嵌められるようになっている。環状磁石の貫通孔の内面に半径方向の突起部を一体成形してあり、該突起部は弾性的な締め付け部材を確保するようになっており、弾性的な締め付け部材（クランプエレメント）は軸上での環状磁石の相対移動不能な結合のために用いられている。

環状磁石はプラスチック射出成形法で成形されており、この場合にプラスチック樹脂内に均一に分配して磁化可能な添加粒子を混入してあり、添加粒子は射出成形の後に永久磁石を用いて所定のパターンで磁化される。

本発明の課題は、磁石構成ユニットを改善して、該磁石構成ユニットが軸への取り付けに適していて、簡単な手段で多様に形成できるようにすることである。

前記課題を解決するために本発明の構成では、磁石構成ユニットは磁石ホルダー及び磁石部材を含んでおり、磁石ホルダー（マグネットホルダー）と磁石部材（磁石エレメント）とは互いに個別の構成部分として形成されている。磁石ホルダーはプラスチック射出成形法で成形されており、少なくとも１つの磁石部材は磁石ホルダーのプラスチック内に射出成形されている。磁石ホルダーは軸の端部に配置されている。磁石ホルダーと磁石部材とは、互いに明確に画定された個別の構成部分であり、該両方の各構成部分はそれぞれ個別に所定の目的に適合されるものである。これによって、極めて柔軟な取り扱い若しくは処理及び適合を達成して、製造コストを減少させることができるようになっている。磁石ホルダーのためのプラスチック樹脂（プラスチック材料）に磁化可能な添加物を必要としないので有利であり、磁気特性は磁石部材（磁石要素）によって形成されており、磁石部材は独立の構成部分として磁石ホルダー内に設けられるものである。必要な磁気特性、例えば磁力若しくは磁石部材内の磁気パターンは、各設定条件に容易に適合される。

磁石部材は、有利にはプレート状若しくはディスク状に形成されていて、軸線方向で軸の端面の直前に支承され若しくは保持されていてよい。

磁石ホルダーは有利には円筒状に形成され、つまりスリーブとして形成されており、磁石ホルダー（スリーブ）の一方の端面は磁石部材によって画成されており、つまり、磁石ホルダーと磁石部材とから成るコップ状（小鉢状）の１つの磁石構成ユニットを形成している。磁石部材は、有利には半径方向で軸の直径を越えて延びており、つまり磁石部材の直径は軸の直径よりも大きくなっている。磁石ホルダーは、中央に円筒形の切欠き部を有していて、軸に被せ嵌められており、これによって磁石ホルダーの中央の切欠き部は円柱状若しくは円筒状の軸の外周面に面接触している。磁石ホルダーは円筒状に形成され、つまり中央に穴若しくは孔を有していてよい。

有利な実施態様では、磁石ホルダーの円筒形の切欠き部の内周面に１つのばね部材を配置してあり、該ばね部材（ばね要素若しくはばねエレメント）は軸の軸線方向に対して垂直方向（横方向）にばね力を生ぜしめて、磁石ホルダーを軸の外周面に対して支持するようになっている。ばね部材は、公差範囲内での補償機能を有していて、磁石ホルダーと軸との間の互いに異なる熱膨張を補償するようになっており、磁石ホルダーと軸とは、必要に応じて磁石ホルダーの切欠き部若しくは穴の内周面と軸の外周面との間の間隙を画定している。ばね部材は、特に補償リングとして形成されており、補償リングは、有利には装着溝（受容溝）内に装着されるようになっており、装着溝は磁石ホルダーの円筒形の切欠き部の内周面に成形されている。補償リング（ばね部材）は、軸を全周にわたって取り囲んでいる。

磁石構成ユニットは有利には、軸の角度位置（回転角度位置）の決定のための位置検出装置の構成部分（構成要素）である。位置検出装置（位置測定装置）は、磁石構成ユニットのほかに、有利には不動の１つの回転速度センサーを含んでおり、回転速度センサーは、磁石部材の回転に依存して生ぜしめられる磁場変化を検出するようになっている。位置検出装置は、さらに評価ユニット（評価装置）を含んでおり、評価ユニットは回転速度センサーに接続されていて、回転速度センサーによって形成された検出信号（センサー信号）を評価して、軸の角度位置に対応した角度値若しくは回転数を算出するようになっている。

位置検出装置の構成部分として用いられる磁石構成ユニットは、有利には電動モータの電機子軸若しくはロータ軸に装着されるようになっている。

次に本発明を図示の実施例に基づき詳細に説明する。図面において、
図１は、ステータ及びロータ軸を備えた電動モータの断面図であり、この場合にロータ軸の一方の端部に１つの磁石構成ユニットを配置（装着）してあり、該磁石構成ユニットはロータ軸の角度位置の決定のための位置検出装置の構成部分として用いられており、
図２は、ロータ軸の端部及び該端部に装着された磁石構成ユニットの断面図であり、磁石構成ユニットは磁石ホルダー及び磁石部材から成っており、磁石部材に対向してセンサーを配置してある。

図１に示してある電動モータ１は、ケーシング２、ケーシング２内に不動に配置されたステータ３、及びステータ３内で回転可能なロータ軸４を含んでおり、ロータ軸４は端面の領域に磁石構成ユニット５を支持している。磁石構成ユニット５は二部構造で形成され、つまり、ロータ軸４に相対回動不能に結合された磁石ホルダー８及び、磁石ホルダー８内に不動に受容された磁石部材９から成っている。磁石ホルダー８と磁石部材９とは互いに個別の構成部分として形成されている。磁石構成ユニット５は位置検出装置６の構成部分（構成部品）であり、位置検出装置６は磁石構成ユニット５に加えてセンサー７を含んでおり、センサー７は電動モータのケーシング２の外側に位置不動に、つまり定位置に配置されていて、磁石部材９と協働するようになっている。ロータ軸４の回転によって、磁石構成ユニット５及び磁石部材９も一緒に回転するようになっており、磁石部材９の磁場の、回転に依存する変化はセンサー７によって検出され、かつ検出信号として評価ユニット（図示省略）に送られて、該評価ユニットでロータ軸４の回転数として算出されるようになっている。ロータ軸４の端部に固定された磁石構成ユニット５は、電動モータ１のケーシング２から部分的に突出しており、磁石部材９はケーシング２の外側に位置していて、ロータ軸４の端面に直接に隣接した状態で、該端面の前に支承（保持）されている。磁石部材９をケーシング２の外側に配置（支承若しくは保持）してあるので、ケーシング２による磁場の減衰は生じなくなっている。

ロータ軸４に磁石ホルダー８を相対回動不能に固定するために、特に図２から見て取れるように、磁石ホルダー８の中央の切欠き部（穴）の内周面１１の領域に補償リング１０を配置してあり、補償リング１０はロータ軸４の外周面を完全に取り囲んでいる。補償リング１０はばね部材の機能を有していて、ロータ軸４に被せ嵌められた磁石ホルダー８とロータ軸４との間の半径方向の締め付け力を生ぜしめるようになっている。補償リング１０は、磁石ホルダー８の切欠き部の内周面１１に成形された環状の装着溝１２内にはめ込まれている。これによって補償リング１０は軸線方向及び半径方向で確保されている。補償リング１０を用いて、ロータ軸４と磁石ホルダー８との間の種々異なる大きさの熱膨張を補償するようになっている。

磁石ホルダー８は円筒状のスリーブとして形成されており、一方の端面に磁石部材９を配置してある。磁石部材９は磁石ホルダー８の端面をほぼ完全に被っていて、磁石ホルダー８の端壁を成しており、つまり、有利にはプレート状若しくはディスク状の磁石部材９の平面はロータ軸４の回転軸線に対して垂直に位置している。磁石ホルダー８は部分的にロータ軸４に被せ嵌められており、つまり、磁石ホルダー８は部分的にロータ軸４の軸線方向の端面１３を越えて突出している。磁石部材９は軸線方向で見て完全にロータ軸４の端面１３の前に位置している。磁石部材９の直径は、ロータ軸４の直径よりも大きくなっている。

別の実施例では、円くない形状、例えば方形若しくは多角形の磁石部材９を用いることも可能であり、或いは磁石部材に切欠きを設けること、つまりリング状（環状）の磁石部材を用いることも可能である。さらに、円弧状の単数若しくは複数の磁石部材をロータ軸の外周面に配置することも可能である。リング状の磁石部材を用いる場合には、該磁石部材は部分的に若しくは完全にロータ軸４上に被せ嵌められていてよい。

磁石ホルダー８は、金型を用いて射出成形法により成形されたプラスチック射出成形部材（射出成形部品）として形成されている。磁石部材９は磁石ホルダー８の射出成形行程の後に該磁石ホルダー内に射出成形され、これによって磁石部材９は融合に基づき磁石ホルダー８内に固く、つまり相対回動不能に受容されている。磁石部材９は特に磁性材料若しくは磁化可能な材料から、必要に応じて一緒にプラスチックを用いて形成されている。

磁石ホルダー８及び磁石部材９から成る複合体を射出成形工程によって成形した後に、補償リング１０は磁石ホルダー８の装着溝（挿入溝）１２内に装着され、装着溝１２は有利にはすでに磁石ホルダーの射出成形工程中に磁石ホルダーの切欠き部の内周面に成形されている。このようにして形成された磁石構成ユニット５は、ロータ軸４の軸線方向の端面１３の側からロータ軸４の外周面上に被せ嵌められる。磁石ホルダー８の装着溝（受容溝）１２内に装着されている補償リング１０は、磁石ホルダー８をロータ軸４に対して半径方向及び軸線方向で固定するための締め付け力を生ぜしめ、これによって磁石構成ユニット５はロータ軸４と半径方向及び周方向で固く相対回動不能に結合され、しかしながらロータ軸から再び抜き取られ得るようになっている。磁石構成ユニット５はロータ軸４上に図示の実施例では次のように被せ嵌められ、つまり磁石部材９はロータ軸４の端面１３に対して軸線方向の所定の距離（間隔）を有している。磁石部材９をロータ軸４の端面１３に直接に接触させることも可能である。

ステータ及びロータ軸を備えた電動モータの断面図 ロータ軸の端部及び該端部に装着された磁石構成ユニットの断面図

符号の説明

１ 電動モータ、 ２ ケーシング、 ３ ステータ、 ４ ロータ軸、 ５ 磁石構成ユニット、 ６ 位置検出装置、 ７ センサー、 ８ 磁石ホルダー、 ９ 磁石部材、 １０ 補償リング、 １１ 内周面、 １２ 装着溝、 １３ 端面

Claims (12)

1. 軸に取り付けるための磁石構成ユニットであって、軸（４）に取り付けるためのプラスチック製の磁石ホルダー（８）及び磁石部材（９）を備えている形式のものにおいて、磁石ホルダー（８）と磁石部材（９）とは互いに個別の構成部分として形成されており、磁石部材（９）は磁石ホルダー（８）のプラスチック内に射出成形されており、磁石ホルダー（８）は軸（４）に結合されており、磁石ホルダー（８）は円筒形の切欠き部を有していて、該円筒形の切欠き部でもって軸（４）上に被せ嵌められており、磁石ホルダー（８）の円筒形の切欠き部の内周面（１１）にばね部材（１０）を配置してあり、該ばね部材（１０）は軸（４）の軸線方向に対して垂直方向にばね力を生ぜしめるようになっていることを特徴とする、軸に取り付けるための磁石構成ユニット。
2. 磁石ホルダー（８）は軸（４）の端面（１３）の領域に配置されており、磁石部材（９）は、軸（４）の端面（３）の直前に保持されている請求項１に記載の磁石構成ユニット。
3. 磁石部材（９）はプレート状に形成されている請求項２に記載の磁石構成ユニット。
4. 磁石部材（９）は、半径方向で軸（４）の直径を越えて延びている請求項１から３のいずれか１項に記載の磁石構成ユニット。
5. 磁石ホルダー（８）は、金型を用いて射出成形法により成形されたプラスチック射出成形部材として形成されており、磁石部材（９）は磁石ホルダー（８）内に相対回動不能に受容されている請求項１から４のいずれか１項に記載の磁石構成ユニット。
6. 磁石ホルダー（８）は円筒状に形成されている請求項１に記載の磁石構成ユニット。
7. ばね部材は、互いに異なる熱膨張の補償のための補償リング（１０）として形成されている請求項１から６のいずれか１項に記載の磁石構成ユニット。
8. ばね部材（１０）は、磁石ホルダー（８）の円筒形の切欠き部の内周面（１１）の装着溝（１２）内に装着されている請求項１から７のいずれか１項に記載の磁石構成ユニット。
9. ロータ軸（４）の端部に固定された磁石構成ユニット（５）は、電動モータ（１）のケーシング（２）から部分的に突出しており、磁石部材（９）はケーシング（２）の外側に位置していて、ロータ軸（４）の端面に直接に隣接した状態で、該端面の前に保持されている請求項１から８のいずれか１項に記載の磁石構成ユニット。
10. 位置検出装置において、請求項１から９のいずれか１項に記載の磁石構成ユニットを備えていることを特徴とする位置検出装置。
11. 電動モータにおいて、請求項１から９のいずれか１項に記載の磁石構成ユニットを備えており、該磁石構成ユニットは、電動モータの軸に取り付けられていることを特徴とする電動モータ。
12. 請求項１から９のいずれか１項に記載の磁石構成ユニットを製造するための方法において、磁石構成ユニット（５）の磁石ホルダー（８）はプラスチック射出成形法によって成形されており、個別の構成部分として形成された磁石部材（９）は、前記磁石ホルダー（８）内に射出成形されることを特徴とする、磁石構成ユニットを製造するための方法。

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