JP2011160636A - モータ、及び、これを用いた電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータのシャフト31の先端部31aに固定されるホルダ41の収容穴41cにマグネット42が収容される。マグネット42はシャフト31と共に回転する。回路基板801に備えられた磁気検出素子73がマグネット42の発生する磁気の変化を検出することで、モータの回転角を検出する。ここで、マグネット42の側面42bの頂面42a側の端となる保持限界位置42eは、ホルダ41の開口端部41fよりも収容穴41cの底側に配置される。これにより保持限界位置42eがホルダ41の外壁41eによって保護されるため、マグネット42の欠けや割れを防止でき、マグネット42の磁極のバランス不良や欠落した破片の混入に起因するモータの誤作動を防止することができる。
【選択図】 図3
Description
マグネットが保持部材に保持されている場合において、「角」が保持部材の縁よりも凸になっていると、(1)製造工程での搬送中に物が「角」に当たる、(2)マグネットの保持にがたつきがあり、振動によってマグネットと保持部材とが衝突する、(3)モータ内部に混入した異物、またはモータ内部で脱落した別部品が「角」に当たる、などの原因により、マグネットの「欠け」や「割れ」が生じるおそれがある。
マグネットの欠けや割れが生じると、磁極のバランスが崩れ検出誤差が生じることで、モータの誤作動を招くおそれがある。また、欠落した破片がモータ内部に異物として混入し、他の部品を損傷したり、モータの正常回転を妨げ誤作動を起こしたりするおそれがある。
ステータは、複数の巻線が巻回される。ロータは、ステータの径方向内側に回転可能に配置される。シャフトは、ロータと共に回転する。
ホルダは、シャフトの一端に設けられて共に回転し、シャフトと反対側に開口する有底の収容穴を有する。
マグネットは、シャフトと反対側に面する第一面と、シャフト側に面する第二面と、収容穴に嵌合する側面とを有する。また、側面の第一面側の端である保持限界位置がホルダの開口端部よりも収容穴の底側に配置されて前記ホルダに保持される。
磁気検出素子は、マグネットの第一面に対向して配置され、マグネットが発生する磁気を検出することでロータの回転角を検出する。
請求項3に記載のモータは、請求項1に記載のモータにおいて、マグネットの第一面と側面との境界に角丸め部が形成され、当該角丸め部の側面側の端が保持限界位置を構成する。
これにより、マグネットとホルダとの金属同士の接触が防止される。したがって、例えば、振動によってマグネットとホルダとが当たることによるマグネットの欠けや割れを防止できる。すなわち、接着剤がマグネットを保護する効果を有する。
この構成により、接着剤が保持限界位置を覆って保護するため、マグネットの角がさらに欠けや割れが生じにくくなる。よって、モータの誤作動をさらに確実に防止することができる。
ホルダの外壁がマグネット側、すなわち内側に曲げられることで、接着剤が収容部の外にまで漏出することを防ぐことができる。よって、接着剤の消耗を抑制するとともに、漏出した接着剤が他部品などに付着することによる弊害を防止することができる。
以下、本発明の第1実施形態によるモータを図1〜図4に基づいて説明する。
図2は、本発明を適用した電動パワーステアリング装置を備えたステアリングシステムの全体構成を示す。ステアリングシステム90に備えられる電動パワーステアリング装置1は、ハンドル91に接続されたステアリングシャフト92に操舵トルクを検出するためのトルクセンサ94を設置している。ステアリングシャフト92の先端にはピニオンギア96が設けられており、ピニオンギア96はラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が回転可能に連結されている。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換され、ラック軸97の直線運動変位に応じた角度について一対の車輪98が操舵される。
この構成により、電動パワーステアリング装置1は、ハンドル91の操舵を補助するための操舵アシストトルクを発生し、ステアリングシャフト92に伝達する。
ECU5は制御部70とパワー部50とから構成される。制御部70は、トルクセンサ94によるトルク検出値、図示しない車速センサによる車速検出値、及び、モータ部30からフィードバックされる回転角検出値から電流指令値を演算する。パワー部50は、制御部70からの電流指令値に基づき、直流電源の電力をインバータ60で交流電力に変換してモータ部30に供給する。
モータ部30は、3相ブラシレスモータ構造である。モータ部30は、パワー部50から電力を供給されて回転し、操舵アシストトルクを発生する。また、モータ部30の回転角が回転角センサ85によって検出され、制御部70にフィードバックされる。
以下、各部の構成を詳しく説明する。
チョークコイル52は、直流電源からの電源ラインに介在する。チョークコイル52は、コア521とコイル巻線522とを備える。コア521は、中心部に穴523を有する。チョークコイル52は、穴523にシャフト31が挿通した状態で、シャフト31の径方向外側に配置されている。
半導体モジュール501は略直方体形状であり、相対的に面積の大きな面の一方が放熱面となっている。半導体モジュール501は、2〜3個の半導体チップを一体に樹脂モールドしたものである。半導体チップは、スイッチング素子として用いられるMOSFETである。スイッチング素子のオン/オフによって、モータ部30のコイル線205に供給される電流が切り換えられる。
コンデンサ701は略円筒形状である。コンデンサ701は、半導体モジュール501の電源ラインとグランドとの間に並列に接続され、サージ電圧などのノイズ成分を抑制したり、スイッチング素子への電力供給を補助したりする。
ヒートシンク601の径方向外側を向く側壁面605は、シャフト31の中心軸を基点とする法線方向に対して垂直に配置されている。すなわち、ヒートシンク601の2つのブロックをあわせて6つの側壁面605が略六角形を描くように配置されている。
モータ部30は、モータケース103と、モータケース103の径方向内側に配置されるステータ201と、ステータ201の径方向内側に配置されるロータ301と、ロータ301と共に回転するシャフト31とを有している。
モータケース103は、ステータ201を固定する筒状の筒部1032と、筒部1032の一端部から径方向内側に延びる隔離壁1031とを備える。隔離壁1031は、モータ部30をパワー部50から隔離する。
シャフト31は、チョークコイル52を挿通して回路基板801側へ延びている。シャフト31の先端には、ホルダ42を介してマグネット42が取り付けられている。
マグネット42は、保持部41bの収容穴41cに側面42bが勘合して収容される。底面42dは、収容穴41cの底部41dに当接する。このとき、マグネット42の側面42bとホルダ41の外壁41eとの間には接着剤39が充填される。
また、側面42bの頂面42aに近い側の端を「保持限界位置42e」という。第1実施形態では、頂面42aと側面42bとが直接接しているため、頂面42aと側面42bとの稜線が保持限界位置42eを構成する。さらに、収容穴41cの深さがマグネット42の高さよりも深いため、保持限界位置42eは開口端部41fよりも収容穴41cの底側に配置される。
次に、モータ10の作用について説明する。
制御部70からの電流指令値に基づき、パワー部50がモータ部30に電力を供給すると、ステータ201のコイル線205に電流が流れ、電磁石を構成する。すると、永久磁石303の磁力によりロータ301が回転する。ロータ301が回転すると、シャフト31、ホルダ41、マグネット42が共に回転する。回転に伴い、マグネット42のN極、S極の磁極が入れ替わり、マグネット42が発生する磁気が変化する。この磁気の変化を磁気検出素子73が検出することで、回転角センサ85がロータの回転角を検出し、制御部70へフィードバックする。制御部70は、回転角検出値に応じて、ステータ201のコイル線205へ供給する電流を順次切り替えるようパワー部50に指令する。これにより、ロータ301は回転し続ける。
第1実施形態のモータ10では、マグネット42の保持限界位置42eが開口端部41fよりも収容穴41cの底側に配置されるため、マグネット42の角がホルダ41の外壁41cによって保護される。したがって、マグネット42の欠けや割れを防止でき、マグネット42の磁極のバランス不良や欠落した破片の混入に起因するモータ10の誤作動を防止することができる。
次に、本発明と比較するための比較例を図7に基づいて説明する。
比較例において、ホルダ41は、第1実施形態と同様である。マグネット49は、底面49dが収容穴41cの底部41dに当接するよう収容穴41cに収容される。ここで、収容穴41cの深さは、略直方体のマグネット49の高さよりも浅い。したがって、保持限界位置49eは開口端部41fを越えて磁気検出素子73寄りに配置され、マグネット49の角が開口端部41fよりも凸になっている。また、マグネット49の側面49bとホルダ41の外壁41eとの間には接着剤が充填されていない。
また、マグネット49の側面49bとホルダ41の外壁41eとの間に接着剤が充填されていないため、例えば、上記の原因(2)の場合、振動によってマグネット49とホルダ41とが金属同士直接当たり、欠けや割れが生じやすくなる。
第1実施形態の変形例を、図4(b)を参照して説明する。
本変形例では、図3のZ方向から視たホルダ43の平面形状は略円形である。すなわち、保持部43bは円筒形状をしている。またマグネット44の側面には円筒面44bの二箇所がカットされて略平行な平坦面44fが設けられている。マグネット44は、平坦面44fと平行な方向の一方側にN極、他方側にS極の磁極を備えている。
本発明の第2実施形態によるモータを図5(a)に基づいて説明する。第2実施形態は、マグネットを除く構成については第1実施形態と同様である。また、マグネット45の側面45bが収容穴41cに勘合して収容され、底面45dが収容穴41cの底部41dに当接する点も同様である。頂面45aは特許請求の範囲に記載の「第一面」を具現したものであり、底面45dは特許請求の範囲に記載の「第二面」を具現したものである。
保持限界位置45eは、開口端部41fよりも収容穴41cの底側に配置される。また、接着剤39は、保持限界位置45eよりも開口端部41f側にはみ出して、保持限界位置45eを覆うように充填されている。
頂面45aは、開口端部41fを越えて磁気検出素子73寄りに配置されている。
また、この構成により、マグネットの頂面45aは、開口端部41fの位置を越えて磁気検出素子73寄りに位置するため、マグネット45と磁気検出素子73との距離が近くなり、磁気検出素子73の検出精度が向上する。
本発明の第3実施形態によるモータを図5(b)に基づいて説明する。第3実施形態は、マグネットを除く構成については第1、第2実施形態と同様である。また、マグネット46の側面46bが収容穴41cに勘合して収容され、底面46dが収容穴41cの底部41dに当接する点も同様である。頂面46aは特許請求の範囲に記載の「第一面」を具現したものであり、底面46dは特許請求の範囲に記載の「第二面」を具現したものである。
保持限界位置46eは、開口端部41fよりも収容穴41cの底側に配置される。また、接着剤39は、保持限界位置46eよりも開口端部41f側にはみ出して、保持限界位置46eを覆うように充填されている。
頂面46aは、開口端部41fを越えて磁気検出素子73寄りに配置されている。
また、この構成により、マグネットの頂面46aは、開口端部41fの位置を越えて磁気検出素子73寄りに位置するため、マグネット46と磁気検出素子73との距離が近くなり、磁気検出素子73の検出精度が向上する。
本発明の第4実施形態によるモータを図6に基づいて説明する。第4実施形態は、ホルダ、接着剤を除く構成については第1実施形態と同様である。
第4実施形態では、ホルダ47の嵌合部47a、保持部47b、収容穴47c、底部47d、外壁47eの形状は第1実施形態と類似している。収容穴47cの深さはマグネット42の高さよりも深く、かつ、収容穴47cの深さとマグネット42の高さとの差は、第1実施形態における差よりも大きい。そして、保持限界位置42eよりも開口端部47f側に延びた外壁47eは、曲げ部47gにて収容穴47cの内側に曲げられている。
また、接着剤39は、マグネット42の側面42bから保持限界位置42eよりも開口端部47f側にはみ出して充填される。はみ出した接着剤39は、外壁47eが内側に曲げられることによって内側へ押し込まれ、保持限界位置42eを覆うような状態となる。
加えて、収容部47bの外壁47eが内側に曲げられることで、接着剤39が収容部47bの外にまで漏出することを防ぐことができる。よって、接着剤39の消耗を抑制するとともに、漏出した接着剤39が他部品などに付着することによる弊害を防止することができる。
(ア)上記の実施形態では、ホルダはシャフト31と別の部品として製作され、圧入により組み立てられた。しかし、ホルダとシャフトは一体に製作されてもかまわない。
(イ)第1実施形態の変形例として、平面形状が略円形であるホルダ43およびマグネット44の実施例を図4(b)に示した。第2〜弟4実施形態についても同様に、ホルダおよびマグネットの平面形状は略円形であってもよい。特に第4実施形態では、ホルダが略円形であることにより、内側への曲げが均一にできる。
例えば、自動車用のモータ以外にエアコン用送風機のモータなどにも使用することができる。
31:シャフト、31a:先端部、31b:先端面、39:接着剤
41、43、47:ホルダ、41a、47a:嵌合部、41b、43b、47b:保持部、41c、47c:収容穴、41d、47d:底部、41e、47e:外壁、41f、47f:開口端部、47g:曲げ部
42、44、45、46:マグネット、42a、45a、46a:頂面(第一面)、
42b、44b、45b、46b:側面、42d、45d、46d:底面(第二面)、
42e、45e、46e:保持限界位置、44f:平坦面、45c:面取り部、45f:面取り端、46c:角丸め部、46f:角丸め端
50:パワー部、501:半導体モジュール、52:チョークコイル、60:インバータ、601:ヒートシンク、70:制御部、701:コンデンサ、73:磁気検出素子、801:回路基板、85:回転角センサ、90:ステアリングシステム、
Claims (7)
- 複数の巻線が巻回されるステータと、
前記ステータの径方向内側に回転可能に配置されるロータと、
前記ロータと共に回転するシャフトと、
前記シャフトの一端に設けられて共に回転し、前記シャフトと反対側に開口する有底の収容穴を有するホルダと、
前記シャフトと反対側に面する第一面と、前記シャフト側に面する第二面と、前記収容穴に嵌合する側面とを有し、前記側面の第一面側の端である保持限界位置が前記ホルダの開口端部よりも前記収容穴の底側に配置されて前記ホルダに保持されるマグネットと、
前記マグネットの第一面に対向して配置され、前記マグネットが発生する磁気を検出することで前記ロータの回転角を検出する磁気検出素子と、
を備えるモータ。 - 前記マグネットの第一面と側面との境界に面取り部が形成され、当該面取り部の側面側の端が前記保持限界位置を構成することを特徴とする請求項1に記載のモータ。
- 前記マグネットの第一面と側面との境界に角丸め部が形成され、当該角丸め部の側面側の端が前記保持限界位置を構成することを特徴とする請求項1に記載のモータ。
- 前記マグネットの側面と前記ホルダの外壁との間に接着剤が充填されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ。
- 前記接着剤は前記保持限界位置よりも前記開口端部側にはみ出して充填され、前記保持限界位置を覆うことを特徴とする請求項4に記載のモータ。
- 前記保持限界位置よりも前記開口端部側にある前記ホルダの外壁が前記マグネット側に曲げられることにより、前記接着剤が前記保持限界位置を覆うことを特徴とする請求項5に記載のモータ。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のモータを用いた電動パワーステアリング装置。
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