JP4772194B2 - ガソリンバリア性に優れた樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガソリンバリア性、機械強度および高温条件下での耐ガソリン性に優れた樹脂組成物および成形物に関する。また、本発明は、前記樹脂組成物からなる層を含む多層構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車用に代表される燃料容器において、軽量化、防錆性、易成形加工性、リサイクル性などの点から、金属製から熱可塑性樹脂製の燃料容器への実用化が積極的に進められている。
【0003】
しかしながら、熱可塑性樹脂製の燃料容器を用いた場合、燃料容器本体からのガソリン成分の透過・揮発が問題となる。そこで、高いガスバリア性を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記することがある)を含む多層燃料容器が開発されている(特開平9−29904号公報)。このように燃料容器にEVOHを含有させることにより、燃料容器本体からのガソリン成分の透過・揮発は大幅に改善されている。
【0004】
また、かかる燃料容器は、好適には自動車用燃料タンクとして用いられるため、走行中の振動等に耐え得るために、耐衝撃性が要求される。かかる耐衝撃性に優れた樹脂組成物として、EVOHおよびボロン酸基、ボリン酸基、水の存在下でボロン酸基、ボリン酸基に転化しうるホウ素含有基から選ばれる少なくとも一つの官能基を有するポリオレフィンからなる樹脂組成物が、EP616010に開示されている。また、耐衝撃性に優れた燃料容器として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(a)、ボロン酸基、ボリン酸基、水の存在下でボロン酸基、ボリン酸基に転化しうるホウ素含有基から選ばれる少なくとも一つの官能基を有するポリオレフィン(b)からなる樹脂組成物層を有する多層容器が特開平7−300123号公報に開示されている。
【0005】
他方で、燃料容器に付属する成形部品(例えば、燃料チューブ、給油口のガス抜きライン、圧抜き用バルブ、およびこれら容器本体とのコネクターなど)は、一般には、高密度ポリエチレン製のものが使用されている。このため、燃料が透過・揮発する。従って、燃料容器本体をガスバリア性の優れたものとしても、接続する成形部品から燃料が透過、揮発し、しかもその量は無視できない量となる。
【0006】
かかる成形部品からの燃料の透過・揮発を抑制するために、国際公開WO00/51907号公報には、バリア性樹脂および熱可塑性樹脂からなる多層成形部品を燃料容器本体に装着してなる燃料容器が開示されている。そして、前記バリア性樹脂として、エチレン−ビニルアルコール共重合体とボロン酸変性ポリオレフィンからなる組成物を用いても良い旨が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、省資源化の観点から自動車は大型化に歯止めが掛けられているが、その限られたサイズの中で、車内空間をなるべく大きく取ろうとする傾向が強い。このため、燃料タンクはしばしば狭い、限られた空間に、他の構成部品の隙間を縫うように配置されることが多く、複雑な形状を取ることが多い。例えば、四輪駆動車などの場合、後輪に駆動力を伝えるディファレンシャルギアなどを回り込むようにして、燃料タンクが配置されることがある。このような駆動系の部品は走行中に、摩擦により発熱する。
【0008】
このような駆動系部品と、燃料タンクが、今まで以上に近接して配置されることが多くなったため、燃料タンクおよび当該燃料タンクに装着されたコネクターなどの成形部品には、高温条件下でも優れた耐ガソリン性を有し、ガソリンバリア性および機械強度を維持できることが、より強く求められるようになりつつある。
【0009】
また、自動車はグローバルな商品であり、日本のような温暖な国に比べて、年間の平均気温が非常に高い国でも使用される。そのような場合、やはり、前述と同様、燃料タンクおよび当該燃料タンクに装着された成形部品は、高温条件下でも優れた耐ガソリン性を有することが望ましい。
【0010】
しかしながら、上述の文献に開示された技術は、かかる高温条件下での耐ガソリン性に関して、市場の要求を必ずしも完全に満足するものではなく、さらなる性能の改善が求められていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ガソリンバリア性樹脂(A)(以下、単にバリア性樹脂(A)ともいう。)、ボロン酸変性ポリオレフィン(B)、分子内にエステル基、リン酸エステル基およびヒンダードフェノール基を除くフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C1)、および、分子内にアミノ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C2)からなり、ガソリンバリア性樹脂(A)がポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミドおよび脂肪族ポリケトンからなる群から選択される少なくとも一種である樹脂組成物に関する。
【0012】
好適な実施態様では、前記樹脂組成物は、(A)1〜98重量%、(B)1〜98重量%、(C1)0.01〜5重量%および(C2)0.01〜5重量%からなる。また、より好適な実施態様では、前記樹脂組成物は、(A)60〜98重量%、(B)1〜39重量%、(C1)0.01〜5重量%および(C2)0.01〜5重量%からなる。
【0013】
好ましい実施態様では、前記バリア性樹脂(A)がエチレン含量5〜60モル%、ケン化度85%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体である。
【0014】
また、好適な実施態様では、前記バリア性樹脂(A)が無機フィラーを1〜50重量%含有する。より好適な実施態様では、前記無機フィラーが板状性フィラーである。さらに好ましい実施態様では、前記無機フィラーが、タルク、マイカおよびモンモリロナイトからなる群より選ばれる少なくとも一種である。
【0015】
また、本発明は、バリア性樹脂(A)、ボロン酸変性ポリオレフィン(B)、分子内にエステル基、リン酸エステル基およびヒンダードフェノール基を除くフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C1)、および、分子内にアミノ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C2)からなる樹脂組成物からなる層と、前記(A)以外の熱可塑性樹脂(D)層からなる多層構造体に関する。
【0016】
好適な実施態様では、前記熱可塑性樹脂(D)層がポリオレフィン系樹脂である。より好ましい実施態様では、前記熱可塑性樹脂(D)層が高密度ポリエチレンからなる。
【0017】
また、別の好適な実施態様では、前記熱可塑性樹脂(D)層が、エチレン含有量70〜99モル%、ケン化度40%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、カルボン酸変性ポリオレフィンおよびボロン酸変性ポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも一種である。さらに、好適な実施態様では、前記熱可塑性樹脂(D)層が、エチレン含有量70〜99モル%、ケン化度40%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、カルボン酸変性ポリオレフィンおよびボロン酸変性ポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種の相容化剤(E)1〜99重量%、および前記(E)以外の11以下の溶解性パラメーター(Fedorsの式から算出)を有する熱可塑性樹脂(F)1〜99重量%からなる樹脂組成物である。
【0018】
好適な実施態様では、前記熱可塑性樹脂(D)が無機フィラーを1〜50重量%含有している。より好適な実施態様では、前記無機フィラーが板状性フィラーである。さらに好ましい実施態様では、前記無機フィラーが、タルク、マイカおよびモンモリロナイトからなる群より選ばれる少なくとも一種である。
【0019】
好適な実施態様では、前記多層構造体は燃料容器として用いられる。より好適な実施態様では、前記燃料容器が、バリア性樹脂(A)、ボロン酸変性ポリオレフィン(B)、分子内にエステル基、リン酸エステル基およびヒンダードフェノール基を除くフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C1)、および、分子内にアミノ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C2)からなる樹脂組成物でなる中間層と、前記(A)以外の熱可塑性樹脂(D)からなる内外層を有する。さらに好適な実施態様では、前記熱可塑性樹脂(D)が高密度ポリエチレンである。
【0020】
好適な実施態様では、前記燃料容器が、前記樹脂組成物からなる中間層と、高密度ポリエチレンからなる内外層が、接着性樹脂層を介して積層されてなる多層構造体からなる。
【0021】
また、本発明は、バリア性樹脂(A)、ボロン酸変性ポリオレフィン(B)、分子内にエステル基、リン酸エステル基およびヒンダードフェノール基を除くフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C1)、および、分子内にアミノ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C2)からなる樹脂組成物でなる層と、前記(A)以外の熱可塑性樹脂(D)からなる層を有する成形部品が、燃料容器本体に装着されてなる燃料容器に関する。
【0022】
好適な実施態様では、前記成形部品が、多層射出成形機により成形されてなる。好適には、前記多層射出成形機が、二色成形機、共射出成形機またはインサート射出成形機である。
【0023】
好適な実施態様では、前記成形部品が熱可塑性樹脂(D)層を介して燃料容器本体に装着されてなる。また、好適な実施態様では、前記成形部品が熱融着によって燃料容器本体に装着されてなる。
【0024】
また、好適な実施態様では、前記成形部品が燃料容器用コネクター、燃料容器用キャップまたは燃料容器用バルブである。
【0025】
さらに、好適な実施態様では、前記成形部品が装着された燃料容器に、熱硬化性樹脂(G)からなる部品が該成形部品を介して装着されている。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明は、バリア性樹脂(A)、ボロン酸変性ポリオレフィン(B)、分子内にエステル基、リン酸エステル基およびヒンダードフェノール基を除くフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C1)、および、分子内にアミノ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C2)からなる樹脂組成物に関する。
【0027】
ここで、本発明の樹脂組成物が、前記ヒンダードフェノール系化合物(C1)および(C2)のいずれをも含有することが極めて重要であり、どちらか一方が欠けた場合にも、本発明の効果を奏することはできない。
【0028】
EVOHおよびボロン酸変性ポリオレフィンからなる樹脂組成物は、上述の先行技術に開示されているが、本発明で特定するヒンダードフェノール系化合物(C1)および(C2)を同時に配合する旨は記載されていない。例えば、EP616010および国際公開WO00/51907号公報には、EVOHおよびボロン酸変性ポリオレフィンからなる樹脂組成物が開示されているが、かかる樹脂組成物に配合可能な添加物として、熱安定化剤や酸化防止剤などを例示しているに過ぎず、本願発明で特定する2種のヒンダードフェノール系化合物(C1)および(C2)については全く記載されていない。
【0029】
また、特開平7−300123号公報には、EVOH(a)およびボロン酸変性ポリオレフィン(b)からなる樹脂組成物層を有する多層容器が開示されており、ゲル発生防止対策として、ハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪酸カルボン酸の金属塩の一種または二種以上を0.01〜1重量%添加することが好適である旨が記載されているが、本願発明で特定する2種のヒンダードフェノール系化合物(C1)および(C2)を同時に配合することに関しては、全く記載されていない。
【0030】
さらに、上述のいずれの先行技術にも、樹脂組成物の、高温条件下の耐ガソリン性については記載されていない。
【0031】
本発明者らは、高温条件下での耐ガソリン性に優れ、かつ、ガソリンバリア性および耐衝撃性などの機械強度に優れた樹脂組成物の探索について鋭意検討を行った。その結果、バリア性樹脂(A)、ボロン酸変性ポリオレフィン(B)、分子内にエステル基、リン酸エステル基およびヒンダードフェノール基を除くフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C1)、および、分子内にアミノ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C2)からなる樹脂組成物を見出し、本発明を完成させるに至った。本願発明の効果は、無作為に選択した二種のヒンダードフェノール系化合物を配合しただけでは奏することができない。本願発明の効果は、分子内にエステル基、リン酸エステル基およびヒンダードフェノール基を除くフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C1)、および、分子内にアミノ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C2)をそれぞれ選択した場合に初めて奏することのできるものである。
【0032】
後述の本願実施例および比較例に示すように、前記(C1)および前記(C2)のいずれかが欠けた場合は、樹脂組成物の高温条件下での耐ガソリン性は、僅かに改善されるに留まる。ところが、前記(A)、(B)、(C1)および(C2)からなる本願発明の樹脂組成物は、高温条件下でガソリンに浸漬させた場合においても、浸漬の前後で殆ど機械強度が変わらず、かつ、高いガソリンバリア性を示すという驚くべき結果を示した。
【0033】
かかる本願発明の樹脂組成物は、単層の成形物として用いられる他、本願発明の樹脂組成物からなる層と、前記(A)以外の熱可塑性樹脂(D)からなる多層構造体として用いることが好ましい。中でも、前記多層構造体は、燃料容器本体、および当該燃料容器本体に装着されてなる成形部品として用いることが特に好適である。
【0034】
本発明の燃料容器における「燃料」は、ガソリンのみならず、アルコール含有ガソリン(メタノールなどのアルコールを含有する)、MTBE(メチルターシャリーブチルエーテル)含有ガソリンなどの、いわゆる含酸素ガソリンも含む。
【0035】
(バリア性樹脂(A))
本発明に用いられるバリア性樹脂(A)は、本発明の燃料容器に充填される燃料に対して、バリア性を有する樹脂である。かかるバリア性樹脂(A)としては、ガソリン透過量が100g・20μm/m2・day(40℃−65%RHで測定した値)以下であることが好ましい。ガソリン透過量の上限はより好適には10g・20μm/m2・day以下であり、さらに好適には1g・20μm/m2・day以下であり、特に好適には0.5g・20μm/m2・day以下であり、最適には0.1g・20μm/m2・day以下である。ここでガソリン透過量の測定に用いられるガソリンは、Ref. fuel Cと呼ばれるトルエン/イソオクタン=1/1の体積分率で混合されるモデルガソリンである。
【0036】
本発明に用いられるバリア性樹脂(A)として、ポリビニルアルコール系樹脂(A1)、ポリアミド(A2)および脂肪族ポリケトン(A3)が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。これらの樹脂の中でも、ガソリンバリア性の観点から、本発明に用いられるバリア性樹脂(A)としてはポリビニルアルコール系樹脂(A1)およびポリアミド(A2)が好適であり、特にポリビニルアルコール系樹脂(A1)が好適である。
【0037】
本発明において「ポリビニルアルコール系樹脂」とは、ビニルエステル重合体、またはビニルエステルと他の単量体との共重合体を、アルカリ触媒等を用いてケン化して得られる樹脂をいう。
【0038】
本発明に用いられるポリビニルアルコール系樹脂(A1)のビニルエステル成分のケン化度は、好適には90%以上であり、より好適には95%以上であり、更に好適には99%以上である。ケン化度が90モル%未満では、高湿度下でのガスバリア性が低下する虞があり、かつガソリンバリア性が不充分になる虞がある。ポリビニルアルコール系樹脂(A1)は、ケン化度の異なる2種類以上のポリビニルアルコール系樹脂の配合物であってもよい。このような場合には、配合重量比から算出される平均値をケン化度とする。かかるポリビニルアルコール系樹脂(A1)のケン化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
【0039】
本発明に用いられるポリビニルアルコール系樹脂(A1)としては、溶融成形が可能で、高湿度下でのガスバリア性が良好であり、かつ優れたガソリンバリア性を有する観点から、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)が好適である。
【0040】
EVOHとしては、エチレン−ビニルエステル共重合体をけん化して得られるものが好ましい。その中でもエチレン含量5〜60モル%、ケン化度85%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。EVOHのエチレン含量の下限は5mol%、好ましくは15モル%以上であり、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは25モル%以上である。また、エチレン含量の上限は、好ましくは55モル%以下であり、より好ましくは50モル%以下である。エチレン含有量が5モル%未満では溶融成形性が悪くなる虞があり、耐水性、耐熱水性が低下する虞がある。一方、60モル%を超える場合は、バリア性が不足する虞がある。ビニルエステル成分のケン化度は85%以上が好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは99%以上である。けん化度が85%未満では、ガソリンバリア性、熱安定性が不充分となる虞がある。
【0041】
ポリビニルアルコール系樹脂(A1)の製造に用いるビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとしてあげられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。また、ポリビニルアルコール系樹脂(A1)は共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有することができる。ここで、ビニルシラン系化合物としては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランが挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。さらに、本発明の目的が阻害されない範囲で、他の共単量体、例えば、プロピレン、ブチレン、あるいは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチルもしくは(メタ)アクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸またはそのエステル、及び、N−ビニルピロリドンなどのビニルピロリドンを共重合することも出来る。
【0042】
さらに、本発明の目的を阻害しない範囲でポリビニルアルコール系樹脂(A1)にホウ素化合物をブレンドすることもできる。ここでホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物のうちでもオルトホウ酸(以下、単にホウ酸と表示する場合がある)が好ましい。
【0043】
ホウ素化合物をブレンドする場合、ホウ素化合物の含有量は好ましくはホウ素元素換算で20〜2000ppm、より好ましくは50〜1000ppmである。この範囲にあることで加熱溶融時のトルク変動が抑制されたポリビニルアルコール系樹脂(A1)を得ることができる。20ppm未満ではそのような効果が小さく、2000ppmを超えるとゲル化しやすく、成形性不良となる場合がある。
【0044】
また、本発明に用いられるポリビニルアルコール系樹脂(A1)に対し、アルカリ金属塩をアルカリ金属元素換算で5〜5000ppm含有させることも相容性の改善のために効果的であることから好ましい。
【0045】
アルカリ金属塩のより好適な含有量はアルカリ金属元素換算で20〜1000ppm、さらには30〜500ppmである。ここでアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどがあげられ、アルカリ金属塩としては、一価金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、金属錯体等が挙げられる。例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩等が挙げられる。中でも酢酸ナトリウム、酢酸カリウムが好適である。
【0046】
また、本発明に用いられるポリビニルアルコール系樹脂(A1)に対しリン化合物を、リン元素換算で2〜200ppm、より好適には3〜ポリビニルアルコール系樹脂(A1)、最適には5〜100ppm含有させることも好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂(A1)中のリン濃度が2ppmより少ない場合や200ppmより多い場合には、溶融成形性や熱安定性に問題を生じることがある。特に、長時間にわたる溶融成形を行なう際のゲル状ブツの発生や着色の問題が発生しやすくなる。
【0047】
ポリビニルアルコール系樹脂(A1)中に配合するリン化合物の種類は特に限定されるものではない。リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等を用いることができる。リン酸塩としては第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形で含まれていても良く、そのカチオン種も特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩であることが好ましい。中でもリン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウムの形でリン化合物を添加することが好ましく、特に好ましくはリン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2カリウムである。
【0048】
また本発明の目的を阻害しない範囲で紫外線吸収剤、着色剤、他の樹脂、グリセリンやグリセリンモノステアレートなどの可塑剤をポリビニルアルコール系樹脂(A1)にブレンドすることもできる。また、高級脂肪族カルボン酸の金属塩またはハイドロタルサイト化合物などを添加することは、ポリビニルアルコール系樹脂(A1)の熱による劣化を防ぐという観点から有効である。
【0049】
本発明に用いられるポリビニルアルコール系樹脂(A1)の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃−荷重2160g)は0.1〜50g/10分であり、より好適には0.3〜40g/10分、更に好適には0.5〜30g/10分である。但し、融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。これらのEVOH樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0050】
本発明のバリア性樹脂(A)として用いられるポリアミド(A2)は、アミド結合を有する重合体であって、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,12)の如き単独重合体、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸重合体(ナイロン−6/11)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸重合体(ナイロン−6,9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,12)、アジピン酸とメタキシリレンジアミンとの重合体、あるいはヘキサメチレンジアミンとm,p−フタル酸との重合体である芳香族系ナイロンなどが挙げられる。これらのポリアミドは、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。これらのポリアミドの中でも、ナイロン−6がガソリンバリア性の観点から好適である。
【0051】
本発明のバリア性樹脂(A)として用いられる脂肪族ポリケトン(A3)とは、一酸化炭素−エチレン系共重合体であり、一酸化炭素−エチレン共重合体としては、一酸化炭素とエチレンとを共重合して得たもの、または一酸化炭素とエチレンを主体とし、これにエチレン以外の不飽和化合物を共重合して得たものが挙げられる。ここで、エチレン以外の不飽和化合物としては、炭素数3以上のα−オレフィン、スチレン、ジエン、ビニルエステル、脂肪族不飽和カルボン酸エステルなどが挙げられる。共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体などが挙げられるが、結晶性が高くなる交互共重合体がバリア性の面で好ましい。
【0052】
交互共重合体のなかでは、一酸化炭素あるいはエチレン以外の第3成分による共重合が施されている方が、融点が低下するので、溶融安定性の観点から好ましい。共重合される単量体のうち好適なものとしてα−オレフィンがあげられ、プロピレン、ブテン−1、イソブテン、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、ドデセン−1などが挙げられるが、なかでも炭素数3〜8個のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレンが好適である。これらα−オレフィンの共重合量はポリケトンに対して0.5〜7重量%であることが、適当な結晶性と溶融安定性を確保できる観点から好ましい。
【0053】
また、共重合されるジエンとしては炭素数4〜12個のものが好ましく、ブタジエン、イソプレン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなどが挙げられる。ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、などが挙げられる。脂肪族不飽和カルボン酸、その塩およびそのエステルとしては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル(これらのエステルとしてはメチルエステル、エチルエステルなどのアルキルエステルなど)、アクリル酸塩、マレイン酸塩、イタコン酸塩(これらの塩としては1価または2価の金属塩など)が挙げられる。これらの共重合単量体は一種のみでなく、二種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0054】
脂肪族ポリケトン(A3)の製造方法としては、公知の方法、例えば、米国特許第2,495,286号および特開昭53−128690号、特開昭59−197427号、特開昭61−91226号、特開昭62−232434号、特開昭62−53332号、特開昭63−3025号、特開昭63−105031号、特開昭63−154737号、特開平1−149829号、特開平1−201333号、特開平2−67319号などに記載されている方法が挙げられるが、特にそれに制限されるものではない。
【0055】
本発明に用いられる脂肪族ポリケトンの好適なメルトフローレート(MFR)は、0.01〜50g/10分(230℃−荷重2160g)、最適には0.1〜10g/10分である。MFRが前記範囲にある場合、樹脂の流動性は優れ、さらに成形加工性も優れたものとなる。
【0056】
(ボロン酸変性ポリオレフィン(B))
本発明で用いられるボロン酸変性ポリオレフィンとは、ボロン酸基、ボリン酸基および水の存在下でボロン酸基またはボリン酸基に転化しうるホウ素含有基から選ばれる少なくとも一つの官能基を有するポリオレフィンである。
【0057】
本発明に使用するボロン酸基、ボリン酸基および水の存在下でボロン酸基またはボリン酸基に転化しうるホウ素含有基から選ばれる少なくとも一つの官能基を有するポリオレフィンとは、ボロン酸基、ボリン酸基あるいは水の存在下でボロン酸基またはボリン酸基に転化しうるホウ素含有基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基がホウ素−炭素結合により主鎖、側鎖または末端に結合したポリオレフィンである。このうち前記官能基が側鎖または末端に結合したポリオレフィンが好ましく、末端に結合したポリオレフィンが最適である。ここで末端とは片末端または両末端を意味する。またホウ素−炭素結合の炭素は後述するポリオレフィンのベースポリマーに由来するもの、あるいはベースポリマーに反応させるホウ素化合物に由来するものである。ホウ素−炭素結合の好適な例としては、ホウ素と主鎖あるいは末端あるいは側鎖のアルキレン基との結合が挙げられる。本発明においてはボロン酸基を有するポリオレフィンが好適であるので、以下この点について説明する。本発明において、ボロン酸基とは、下記式(I)で示されるものである。
【0058】
【化1】
【0059】
また水の存在下でボロン酸基に転化しうるホウ素含有基(以下単にホウ素含有基と略記する)としては、水の存在下で加水分解を受けて上記式(I)で示されるボロン酸基に転化しうるホウ素含有基であれば、どのようなものでもよいが、代表例として下記一般式(II)で示されるボロンエステル基、下記一般式(III)で示されるボロン酸無水物基、下記一般式(IV)で示されるボロン酸塩基が挙げられる。
【0060】
【化2】
【0061】
【化3】
【0062】
【化4】
【0063】
(式中、X,Yは水素原子、脂肪族炭化水素基(炭素数1〜20の直鎖状、または分岐状アルキル基、またはアルケニル基など)、脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基など)、芳香族炭化水素基(フェニル基、ビフェニル基など)を表し、X,Yは同じ基でもよいし、異なっていてもよい。またXとYは結合していてもよい。ただしX,Yがともに水素原子である場合除かれる。またR1,R2,R3は上記X,Yと同様に水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基を表し、R1,R2,R3は同じ基でもよいし、異なっていてもよい。またMはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表わす。また上記のX,Y, R1,R2,R3には他の基、たとえばカルボキシル基、ハロゲン原子などを有していてもよい。)
【0064】
一般式(II)〜(IV)で示されるボロン酸エステルの具体例としては、ボロン酸ジメチルエステル基、ボロン酸ジエチルエステル基、ボロン酸ジプロピルエステル基、ボロン酸ジイソプロピルエステル基、ボロン酸ジブチルエステル基、ボロン酸ジヘキシルエステル基、ボロン酸ジシクロヘキシル基、ボロン酸エチレングリコールエステル基、ボロン酸プロピレングリコールエステル基(ボロン酸1,2−プロパンジオールエステル基、ボロン酸1,3−プロパンジオールエステル基)、ボロン酸トリメチレングリコールエステル基、ボロン酸ネオペンチルグリコールエステル基、ボロン酸カテコールエステル基、ボロン酸グリセリンエステル基、ボロン酸トリメチロールエタンエステル基等のボロン酸エステル基;ボロン酸無水物基;ボロン酸のアルカリ金属塩基、ボロン酸のアルカリ土類金属塩基等が挙げられる。前記の官能基の中でもとくにボロン酸エチレングリコールエステル基などのボロン酸エステル基がEVOHとの相容性の点から好ましい。なお前記の水の存在下でボロン酸基またはボリン酸基に転化しうるホウ素含有基とは、ポリオレフィンを、水または水と有機溶媒(トルエン、キシレン、アセトンなど)との混合液体中で、反応時間10分〜2時間、反応温度25℃〜150℃の条件下に加水分解した場合に、ボロン酸基またはボリン酸基に転化しうる基を意味する。
【0065】
前記官能基の含有量は特に制限はないが、0.0001〜1meq/g(ミリ当量/g)が好ましく、特に、0.001〜0.1meq/gが好ましい。この程度の少量の官能基の存在により、樹脂組成物の相容性等が著しく改善されることは驚くべきことである。
【0066】
ホウ素含有基を有するポリオレフィンのベースポリマーとしてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、3−メチルペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類で代表されるオレフィン系単量体等が挙げられる。
【0067】
ベースポリマーはこれらの単量体の一種または二種あるいは三種以上からなる重合体として使用される。これらのベースポリマーのうち、特にエチレン系重合体{超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体の金属塩(Na,K,Zn系アイオノマー)、エチレン−プロピレン共重合体}、が好適なものとして挙げられる。
【0068】
次に本発明に用いるボロン酸基およびホウ素含有基を有するオレフィン系重合体の代表的製法について述べる。ボロン酸基あるいは水の存在によりボロン酸基に転化しうるホウ素含有基を有するオレフィン系重合体は、窒素雰囲気下で炭素−炭素二重結合を有するオレフィン系重合体にボラン錯体およびホウ酸トリアルキルエステルを反応させることによって、ボロン酸ジアルキルエステル基を有するオレフィン系重合体を得た後、水あるいはアルコール類を反応させることによって得られる。この製法において原料として末端に二重結合を有するオレフィン系重合体を使用すれば、末端にボロン酸基あるいは水の存在によりボロン酸基に転化しうるホウ素含有基を有するオレフィン系重合体が得られ、側鎖または主鎖に二重結合を有するオレフィン系重合体を原料として使用すれば、側鎖にボロン酸基あるいは水の存在によりボロン酸基に転化しうるホウ素含有基を有するオレフィン系重合体が得られる。
【0069】
原料の二重結合を有するオレフィン系重合体の代表的製法としては、1)通常のオレフィン系重合体の末端に微量に存在する二重結合を利用する方法;2)通常のオレフィン系重合体を無酸素条件下、熱分解し、末端に二重結合を有するオレフィン系重合体を得る製法;3)オレフィン系単量体とジエン系重合体の共重合によりオレフィン系単量体とジエン系単量体との共重合体を得る製法;が挙げられる。1)については、公知のオレフィン系重合体の製法を用いることができるが、特に、連鎖移動剤として水素を用いず、重合触媒としてメタロセン系重合触媒を用いる製法(例えば、DE4030399)が好ましい。2)については、公知の方法(例えば、USP2835659,USP3087922)によりオレフィン系重合体を窒素雰囲気下や真空条件下等の無酸素条件下で300℃〜500℃の温度で熱分解することによって得られる。3)については公知のチーグラー系触媒を用いたオレフィン−ジエン系重合体の製法(例えば、特開昭50−44281、DE3021273)を用いることができる。
【0070】
ボラン錯体としては、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体、ボラン−ピリジン錯体、ボラン−トリメチルアミン錯体、ボラン−トリエチルアミン等が好ましい。これらのなかで、ボラン−トリエチルアミン錯体およびボラン−トリメチルアミン錯体がより好ましい。ボラン錯体の仕込み量はオレフィン系重合体の二重結合に対し、1/3当量から10当量の範囲が好ましい。ホウ酸トリアルキルエステルとしては、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリプロピルボレート、トリブチルボレート等のホウ酸低級アルキルエステルが好ましい。ホウ酸トリアルキルエステルの仕込み量はオレフィン系重合体の二重結合に対し1から100当量の範囲が好ましい。溶媒は特に使用する必要はないが、使用する場合は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン等の飽和炭化水素系溶媒が好ましい。
【0071】
導入する反応は、反応温度25℃〜300℃、好ましくは100〜250℃、反応時間1分〜10時間、好ましくは5分〜5時間行うのがよい。
【0072】
水あるいはアルコール類を反応させる条件としては通常、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸エチル等の有機溶媒を反応溶媒として用い、水またはメタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1.3−プロパンジオール、ネオペンテルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコール類をボロン酸基に対し、1から100等量以上の大過剰量を用い、25℃〜150℃の温度で1分〜1日程度反応を行うことによって得られる。なお、前記の官能基の中でボロン酸基に転化しうるホウ素含有基とは、水または水と有機溶媒(トルエン、キシレン、アセトンなど)との混合溶媒中で、反応時間10分〜2時間、反応温度25℃〜150℃の条件下に加水分解した場合に、ボロン酸基に転化しうる基を意味する。
【0073】
(ヒンダードフェノール系化合物(C1))
本発明に用いられるヒンダードフェノール系化合物(C1)は、分子内にエステル基、リン酸エステル基およびヒンダードフェノール基を除くフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物である。
【0074】
本発明に用いられる分子内にエステル基を有するヒンダードフェノール系化合物は、好適には、下記式(V)で表される化合物である。
【0075】
【化5】
【0076】
(式中、Xは炭素原子、硫黄原子、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を表し、lおよびmは同一または異なりそれぞれ1〜10の自然数を表し、nは1〜4の自然数を表す。
【0077】
上記式の定義において、脂肪族炭化水素基としては炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基、およびアルケニル基などが例示され、脂環式炭化水素基としてはシクロアルキル基、シクロアルケニル基などが例示される。上記式において、Xが炭素原子の場合はn=4であるのが好適であり、また、Xが硫黄原子の場合はn=2であるのが好適である。
【0078】
上記式(V)で表される、分子内にエステル基を有するヒンダードフェノール系化合物は特に限定されない。例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、およびベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキルエステルなどが好適なものとして例示される。
【0079】
また、本発明に用いられる分子内にリン酸エステル基を有するヒンダードフェノール系化合物は、好適には、下記式(VI)で表される化合物である。
【0080】
【化6】
【0081】
(式中、R1およびR2は同一または異なりそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を表すか、またはR1とR2は一緒になって単結合を形成してもよく、また、mは1〜10の自然数を表す。)
【0082】
上記式の定義において、脂肪族炭化水素基としては炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基、およびアルケニル基などが例示され、脂環式炭化水素基としてはシクロアルキル基、シクロアルケニル基などが例示される。
【0083】
上記式(VI)で表される、分子内にリン酸エステル基を有するヒンダードフェノール系化合物は特に限定されない。例えば、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフェートなどが好適なものとして例示される。
【0084】
本発明に用いられる、分子内にヒンダードフェノール基を除くフェニル基を有するヒンダードフェノール系化合物は、好適には、下記式(VII)で表される化合物である。
【0085】
【化7】
【0086】
(式中、R1、R2およびR3は同一または異なりそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を表し、l、mおよびnはそれぞれ1〜10の自然数を表す。
【0087】
上記式の定義において、脂肪族炭化水素基としては炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基、およびアルケニル基などが例示され、脂環式炭化水素基としてはシクロアルキル基、シクロアルケニル基などが例示される。
【0088】
上記式(VII)で表される、分子内にフェニル基を有するヒンダードフェノール系化合物としては、特に限定されない。例えば、3,3',3'',5,5',5''−ヘキサ−tert−ブチル−a,a',a''−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾールなどが好適なものとして例示される。
【0089】
(ヒンダードフェノール系化合物(C2))
本発明に用いられるヒンダードフェノール系化合物(C2)は、分子内にアミノ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C2)である。分子内にアミノ基を有するヒンダードフェノール系化合物としては特に限定されないが、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1、3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールなどが好適なものとして例示される。
【0090】
また、本発明に用いられる、分子内にアミド基を有するヒンダードフェノール系化合物は、好適には、下記式(VIII)で表される化合物である。
【0091】
【化8】
【0092】
(式中、l、mおよびnは、それぞれ1〜10の自然数を表す。l、mおよびnは同じでも良いし、異なっていても良い。)
【0093】
上記式(VIII)で表される、分子内にアミド基を有するヒンダードフェノール系化合物としては特に限定されないが、N、N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]などが好適なものとして例示される。
【0094】
本発明の樹脂組成物は、バリア性樹脂(A)、ボロン酸変性ポリオレフィン(B)、分子内にエステル基、リン酸エステル基およびヒンダードフェノール基を除くフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C1)、および、分子内にアミノ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C2)からなる。好適な実施態様では、前記樹脂組成物が、(A)1〜98重量%、(B)1〜98重量%、(C1)0.01〜5重量%および(C2)0.01〜5重量%からなる。
【0095】
樹脂組成物のバリア性の観点からは、前記樹脂組成物が、(A)60〜98重量%、(B)1〜39重量%、(C1)0.01〜5重量%および(C2)0.01〜5重量%からなることが好ましく、(A)70〜98重量%、(B)1〜29重量%、(C1)0.01〜4重量%および(C2)0.01〜4重量%からなることがより好ましく、(A)80〜98重量%、(B)1〜19重量%、(C1)0.01〜3重量%および(C2)0.01〜3重量%からなることが特に好ましい。
【0096】
上述のように、樹脂組成物のバリア性の観点からは、(A)の配合量を大きくすることが好ましいが、前記(A)および前記(B)からなる樹脂組成物においては、(A)の含有量が大きくなるに従い、高温条件下でのガソリンとの接触による性能の低下が起こりやすくなる。しかしながら、特定のヒンダードフェノール系化合物(C1)および(C2)を配合してなる本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物中の(A)の含有量が60重量%以上になる場合でも、高温条件下でのガソリンとの接触による性能の低下を顕著に抑制することが可能である。このように、優れたガソリンバリア性と、耐衝撃性等の機械強度を維持したまま、高温条件下での耐ガソリン性を有する樹脂組成物が得られると言う観点からも、本願発明の意義は大きい。
【0097】
本発明に用いられる樹脂組成物中には、適切な添加剤(例えば、熱安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色剤など)が含まれてもよいが、これらの添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で使用される。また、高級脂肪族カルボン酸の金属塩またはハイドロタルサイト化合物などを添加することは、バリア性樹脂(A)がEVOHである場合に、EVOHの熱による劣化を防ぐという観点から有効である。
【0098】
ここで、ハイドロタルサイト化合物としては、特に、MxAly(OH)2x+3y-2z(A)z・aH2O(MはMg、CaまたはZn、AはCO3またはHPO4、x、y、z、aは正数)で示される複塩であるハイドロタルサイト化合物を挙げることができる。特に好適なものとして以下のハイドロタルサイト化合物が例示される。
【0099】
Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O
Mg8Al2(OH)20CO3・5H2O
Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O
Mg10Al2(OH)22(CO3)2・4H2O
Mg6Al2(OH)16HPO4・4H2O
Ca6Al2(OH)16CO3・4H2O
Zn6Al6(OH)16CO3・4H2O
Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O
【0100】
また、ハイドロタルサイト化合物として、特開平1−308439号(USP4954557)に記載されているハイドロタルサイト系固溶体である、[Mg0.75Zn0.25]0.67Al0.33(OH)2(CO3)0.167・0.45H2Oのようなものも用いることができる。
【0101】
高級脂肪族カルボン酸の金属塩とは、炭素数8〜22の高級脂肪酸の金属塩をいう。炭素数8〜22の高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などが挙げられる。金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウムなどがあげられる。このうちマグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属が好適である。
【0102】
これらの高級脂肪族カルボン酸の金属塩、またはハイドロタルサイト化合物の含有量は、樹脂組成物の合計重量に対して0.01〜3重量部が好ましく、より好適には0.05〜2.5重量部である。
【0103】
本発明の樹脂組成物は、単層の成形物として用いることももちろん可能であるが、本発明の樹脂組成物からなる層と、前記バリア性樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(D)とを積層した、多層構造体として用いることがより好ましい。特に、高温での耐ガソリン性に優れるという本願発明の効果をより顕著に奏するためには、前記多層構造体を、多層燃料容器、多層燃料容器用成形部品、および多層燃料パイプなどに用いることが好ましい。
【0104】
(無機フィラーの添加)
本発明の樹脂組成物層、熱可塑性樹脂(D)層のいずれかに、あるいは両方に、無機フィラーを添加しても良い。本発明の樹脂組成物層に無機フィラーを添加した場合、ガソリンバリア性が向上する観点で好適である。また、熱可塑性樹脂(D)層に無機フィラーを添加した場合、機械強度の向上や、ガソリンによる膨潤の低減に代表される耐有機溶剤性の向上などの改善効果を得ることができる。
【0105】
本発明で用いられる無機フィラーの好ましい例としては、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、モンモリロナイトおよびタルクなどが挙げられ、特に限定されるものではない。これらの無機フィラーは単独で用いることもできるし、また複数の混合物としても用いることが出来る。
【0106】
本発明における無機フィラーの含有量は1〜50重量%であることが好適であり、含有量の下限はより好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上であり、最適には15重量%以上である。また、含有量の上限はより好ましくは45重量%以下であり、更に好ましくは40重量%以下である。1重量%未満の場合、機械強度やガソリンバリア性の向上などの改善効果が不満足なものとなる虞がある。一方、50重量%を超える場合は成形時に流動異常が生じ易くなり、ヒケ、ウェルドライン等の原因となり、外観良好な成形品を得ることが出来ない虞がある。
【0107】
(熱可塑性樹脂(D))
本発明に用いられる、熱可塑性樹脂(D)としては、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。
【0108】
ポリオレフィン系樹脂としては、高密度、低密度もしくは超低密度ポリエチレン、カルボン酸変性ポリオレフィン、ボロン酸変性ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリブテン−1などのα−オレフィンの単独重合体、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1などから選ばれたα−オレフィン同士の共重合体などが例示される。また、α−オレフィンに以下の成分:ジオレフィン、塩化ビニル、酢酸ビニルなどのビニル化合物、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの不飽和カルボン酸エステルなど;を共重合したものも含まれる。また、スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(AS)、スチレン−イソブチレンとのブロック共重合体、スチレン−ブタジエンとの共重合体あるいはスチレン−イソプレンとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0109】
(燃料容器)
本発明の樹脂組成物からなる層および熱可塑性樹脂(D)層でなる多層構造体を、燃料容器として用いる場合、前記熱可塑性樹脂(D)が、高密度ポリエチレンであることが、剛性、耐衝撃性、耐ドローダウン性、耐ガソリン性などの観点から特に好ましい。
【0110】
本発明に用いられる高密度ポリエチレンとしては特に限定されないが、密度0.93g/cm3以上のポリエチレンを用いることが好ましい。前記多層構造体が燃料容器として用いられる場合は、高密度ポリエチレンの密度は0.95〜0.98g/cm3であることがより好ましく、0.96〜0.98g/cm3であることがさらに好ましい。
【0111】
また、前記多層構造体が燃料容器として用いられる場合は、高密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)が0.01〜0.5/10分(190℃、2160g荷重下)であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.1/10分(190℃、2160g荷重下)である。
【0112】
さらに、前記多層構造体が燃料容器として用いられる場合は、前記燃料容器は、本発明の樹脂組成物層からなる中間層と、高密度ポリエチレンからなる内外層とが、接着性樹脂層を介して積層されてなる多層構造体でなることが好ましい。また、特に好ましい実施態様では、前記燃料容器が、自動車用燃料タンクとして用いられる。
【0113】
(燃料容器用成形部品)
本発明の樹脂組成物は、燃料容器本体に装着されてなる燃料容器用成形部品として用いることが好ましい。前記成形部品は、単層成形部品であっても良いが、本発明の樹脂組成物からなる層と、熱可塑性樹脂(D)層とを積層してなる多層構造体でなる多層成形部品であることが特に好ましい。
【0114】
上記の多層成形部品は、本発明の樹脂組成物層と熱可塑性樹脂(D)層とを含んでいる。本発明の樹脂組成物層と熱可塑性樹脂(D)層との多層構成とすることで、熱可塑性樹脂(D)層が有する熱融着性や、耐衝撃性などの機械強度、および本発明の樹脂組成物層が有するガソリンバリア性および高温条件下での耐ガソリン性を併せ持つ多層成形部品を得ることが可能である。
【0115】
また、熱可塑性樹脂(D)層として相容化剤(E)および(E)以外の11以下の溶解性パラメータ(Fedorsの式から算出)を有する熱可塑性樹脂(F)からなる樹脂組成物を用いることにより、各層間の接着性を向上させることができる。
【0116】
上記多層成形部品に用いられる熱可塑性樹脂(D)としては、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂(D)は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0117】
一般に、熱可塑性樹脂からなる燃料容器本体の最外層には、十分な機械強度を得るために、ポリオレフィン系樹脂、好ましくは高密度ポリエチレンが用いられる。かかるポリオレフィン系樹脂の溶解性パラメーターは11以下であるため、本発明の多層成形部品を構成する、熱可塑性樹脂(D)の溶解性パラメーターが11を超える場合は、燃料容器本体と前記成形部品との熱融着性が不充分となり、本発明の燃料容器の性能が十分に発揮できないことがある。
【0118】
本発明の多層成形部品を構成する、熱可塑性樹脂(D)としては、ポリオレフィン系樹脂が成形部品の熱融着性や機械強度、経済性等の観点から、特に好適である。その中でも高密度ポリエチレン、エチレン含有量70〜99モル%かつケン化度40%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、カルボン酸変性ポリオレフィンおよびボロン酸変性ポリオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好適である。
【0119】
熱可塑性樹脂(D)として高密度ポリエチレンを用いた場合、本発明の樹脂組成物層との層間接着性が高くないため、本発明の燃料容器用多層成形部品は高度な機械強度は得られにくい。しかしながら、熱可塑性樹脂製の燃料容器本体の最外層は高密度ポリエチレンであることが多いため、かかる構成を採用することにより、特に熱融着性の改善効果が大きくなる。本発明に用いられる高密度ポリエチレンとしては特に限定されないが、密度0.93g/cm3以上のポリエチレンを用いることが好ましく、密度0.93〜0.98g/cm3のポリエチレンを用いることがより好ましい。
【0120】
熱可塑性樹脂(D)層として、カルボン酸変性ポリオレフィンまたはボロン酸変性ポリオレフィンを用いた場合、高密度ポリエチレンを用いた場合と比較して、燃料容器用多層成形部品と燃料容器本体との熱融着性がある程度低下するが、本発明の樹脂組成物層との高い層間接着性が得られるため、機械強度に優れた多層成形部品が得られる観点から好適である。
【0121】
本発明に用いられるエチレン含有率が70〜99モル%、酢酸ビニル成分のケン化度が40%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物は、相容性の改良の観点から、エチレン含有率は72〜96モル%であることがより好ましく、72〜94モル%のものが更に好ましい。また酢酸ビニル成分のケン化度は、45%以上が好ましい。ケン化度の上限は特になく、実質的に100%のケン化度のものも使用できる。
【0122】
上記のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物は、エチレン含有率が70〜99モル%、酢酸ビニル成分のケン化度が40%以上が好ましく、好適にはエチレン含有率が70〜98モル%、酢酸ビニル成分のけん化度は45%以上。さらに好適にはエチレン含有量70〜95モル%、酢酸ビニル成分のけん化度は48%以上である。酢酸ビニル成分のケン化度が40%未満、あるいはエチレン含有率が99モル%を超える場合では、本発明のバリア層を含んだ樹脂組成物との接着性が悪くなることがある。また、エチレン含有率が70モル%に満たない場合は、燃料容器用成形部品と燃料容器本体との熱融着性が不十分なものとなる。
【0123】
本発明に用いられるエチレン含有率が70〜99モル%、酢酸ビニル成分のケン化度が40%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のメルトフローレート(MFR)(210℃−荷重2160g)は0.1g/10分以上であることが好ましく、好適には0.5g/10分以上であり、100g/10分以下、より好適には50g/10分以下、最適には30g/10分以下であることが望ましい。
【0124】
本発明に用いられるカルボン酸変性ポリオレフィンとは、オレフィン、特にα−オレフィンと不飽和カルボン酸またはその無水物とからなる共重合体のことをいい、分子中にカルボキシル基を有するポリオレフィンおよびポリオレフィン中に含有されるカルボキシル基の全部あるいは一部が金属塩の形で存在しているものも含まれる。カルボン酸変性ポリオレフィンのベースとなるポリオレフィンとしては、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)など)、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の各種ポリオレフィンが挙げられる。
【0125】
不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタアクリル酸、エタアクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸などが例示され、特にアクリル酸あるいはメタアクリル酸が好ましい。不飽和カルボン酸の含有量は、好ましくは0.5〜20モル%、より好ましくは2〜15モル%、さらに好ましくは3〜12モル%である。不飽和カルボン酸無水物としては無水イタコン酸、無水マレイン酸等が例示され、特に無水マレイン酸が好適である。不飽和カルボン酸無水物の含有量としては、好ましくは0.0001〜5モル%、より好ましくは0.0005〜3モル%、更に好ましくは0.001〜1モル%である。また、共重合体に含有されても良い他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸イソブチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステル、一酸化炭素などが例示される。
【0126】
カルボン酸変性ポリオレフィンの金属塩における金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛などの遷移金属が例示され、特に亜鉛を用いた場合が相容性の点で好ましい。カルボン酸変性ポリオレフィンの金属塩における中和度は、100%以下、特に90%以下、さらに70%以下の範囲が望ましい。中和度の下限値については、通常5%以上、特に10%以上、さらには30%以上が望ましい。
【0127】
本発明に用いられるカルボン酸変性ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)(190℃−荷重2160g)は、好ましくは0.01〜50g/10分、より好ましくは0.05〜30g/10分、さらに好ましくは0.1〜10g/10分である。これらのカルボン酸変性ポリオレフィンは、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0128】
また、本発明の多層成形部品を構成する、熱可塑性樹脂(D)層として用いられるボロン酸変性ポリオレフィンとしては、上述のボロン酸変性ポリオレフィン(B)と同じものを用いることができる。
【0129】
熱可塑性樹脂(D)層として、得られる燃料容器用成形部品の機械強度の改善、燃料容器本体との熱融着性の改良などの観点から、相容化剤(E)と(D)以外の熱可塑性樹脂(F)とからなる樹脂組成物層が好適に用いられる。このような樹脂組成物を用いることにより、熱可塑性樹脂(D)層が相容化剤(E)単独からなる場合、あるいは熱可塑性樹脂(F)単独からなる場合と比較して、その中間的な性能を得ることが出来る。即ち、燃料容器本体との熱融着性という観点では、一般に熱可塑性樹脂(D)層が前記熱可塑性樹脂(F)単独からなる場合より下回るが、前記相容化剤(E)単独の場合よりも優れた成形品を得ることが出来る。一方、本発明の樹脂組成物層との層間接着性と言う観点では、一般に熱可塑性樹脂(D)層が相容化剤(E)単独からなる場合より下回るが、熱可塑性樹脂(F)単独の場合よりも優れた成形品を得ることが出来る。このように、燃料容器本体との熱融着性と、本発明の樹脂組成物層との層間接着性の、双方にバランス良く優れた成形品を得られる観点から、かかる相容化剤(E)と熱可塑性樹脂(F)とからなる樹脂組成物を熱可塑性樹脂(D)層として用いることが好適である。
【0130】
相容化剤(E)としては、エチレン含有量70〜99モル%かつケン化度40%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、カルボン酸変性ポリオレフィンおよびボロン酸変性ポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂が好ましく、中でも、カルボン酸変性ポリオレフィンまたはボロン酸変性ポリオレフィンが好ましい。
【0131】
熱可塑性樹脂(E)としては、燃料容器用多層成形部品の機械強度、燃料容器本体との熱融着性から、高密度ポリエチレンを用いることが特に好適である。
【0132】
好ましい樹脂組成物は、相容化剤(E)1〜99重量%と熱可塑性樹脂(E)99〜1重量%とからなる樹脂組成物であり、相容化剤(E)が1重量%未満の場合、本発明の樹脂組成物層と熱可塑性樹脂(E)層との層間接着性の改善効果が不足する虞があり、結果として得られる燃料容器用多層成形部品の機械強度が低下することがある。また、前記熱可塑性樹脂(E)が1重量%未満の場合は、燃料容器用多層成形部品の熱融着性の改善効果が不充分なものとなる虞がある。
【0133】
(多層成形部品の層構成)
本発明に用いられる多層成形部品の層構成は特に限定されないが、本発明の樹脂組成物層をbarrier、熱可塑性樹脂(D)層をDとした場合、(外)barrier/D(内)、(外)D/barrier(内)、(外)D/barrier/D(内)、(外)D/barrier/D/barrier/D(内)などが好適なものとして例示される。特に、本発明の燃料容器用多層成形部品が二色成形機で成形される場合は、成形のし易さの観点からbarrier/D構成が好適であり、特に当該成形部品のバリアー性の観点から、(外)D/barrier(内)構成が好適である。一方、共射出成形で成形される場合は、成形のし易さ、金型の設計のし易さ、コストメリットなどの観点から、(外)D/barrier/D(内)の構成を有することが好適である。なお、ここで(内)は内層側、すなわち直接燃料と接触する側の層を指す。また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、熱可塑性樹脂(D)層は複層構成であっても良く、接着性樹脂層とポリオレフィン系樹脂層を含む複層構成や、熱可塑性樹脂(D)と本発明の樹脂組成物をブレンドしてなる樹脂組成物層(回収層など)とポリオレフィン系樹脂層を含む複層構成であっても良い。
【0134】
本発明の樹脂組成物層の厚みは特に限定されるものではないが、各層の厚み、ガソリンバリア性および機械強度などの観点から、本発明の樹脂組成物層の厚みが、全層厚みの0.5〜50%であることが好ましい。好適には全層厚みに対して1〜40%であり、さらに好適には3〜30%である。
【0135】
(多層成形部品の製造)
熱可塑性樹脂(D)層が、相容化剤(E)と熱可塑性樹脂(F)が配合される場合、あるいは本発明の樹脂組成物層および熱可塑性樹脂(D)層が無機フィラーを含む樹脂組成物である場合、通常の溶融混練装置により各成分を溶融混練することにより、容易に目的とする樹脂組成物を得ることができる。各成分をブレンドする方法は特に限定されるものではないが、本発明の樹脂組成物、熱可塑性樹脂(D)、相容化剤(E)、熱可塑性樹脂(E)または無機フィラーを適宜組合せて、単軸または二軸スクリュー押出機などで溶融混錬し、ペレット化し乾燥する方法等が挙げられる。溶融配合操作においては、ブレンドが不均一になったり、ゲル、ブツが発生、混入したりする可能性があるので、ブレンドペレット化はなるべく混練度の高い押出機を使用し、ホッパー口を窒素ガスでシールし、低温で押出しすることが望ましい。
【0136】
本発明に用いられる多層成形部品を得る方法としては、例えば、一般のポリオレフィンの分野における適切な成形方法が用いられるが、コネクター、キャップ、バルブなどに例示される燃料容器用多層成形部品は一般に形状が複雑になるため、多層射出成形により成形することが特に好適である。多層射出成形としては二色成形、インサート射出成形、共射出成形などが挙げられ、目的とする成形品の形状等により適宜選ばれ、特に限定されるものではない。
【0137】
ここで、二色成形とは、例えば2組の射出機構を有する成形機を用い、単一の金型に溶融した本発明の樹脂組成物もしくは熱可塑性樹脂(D)を射出後、熱可塑性樹脂(D)もしくは本発明の樹脂組成物を射出するものである。二色成形は金型が反転する方式が従来から用いられているが、コアーバック方式なども適宜選ぶことが出来、特に限定されるものではない。金型反転方式の例としては、例えば、本発明の樹脂組成物層をbarrier、熱可塑性樹脂(D)層をDとした場合、(1)まず、熱可塑性樹脂(D)を射出後、金型を反転させ、続いて本発明の樹脂組成物を射出して、barrier/Dの2層構成を得る方法、(2)熱可塑性樹脂(D)を射出後、金型を反転させて本発明の樹脂組成物を射出、再度金型を反転させて熱可塑性樹脂(D)を射出して、D/barrier/Dの3層構成を得る方法などが挙げられるが特に限定はされない。
【0138】
インサート射出成形とは、例えば予め成形しておいた成形品を金型に装着後、射出成形を行うものである。例えば、予め本発明の樹脂組成物からなる成形品もしくは熱可塑性樹脂(D)からなる成形品を射出成形により得た後、これをインサート射出成形機に装着し、熱可塑性樹脂(D)および/または本発明の樹脂組成物を射出して得られる、barrier/Dの2層構成品、D/barrier/D層の3層構成品等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0139】
共射出成形とは、例えば2台の射出シリンダーを有する成形機を用い単一の金型に1回の型締め操作を行い、溶融した本発明の樹脂組成物および熱可塑性樹脂(D)をそれぞれの射出シリンダーより同心円状のノズル内にタイミングをずらして交互に射出すること、あるいは同心円状のノズル内に同時に射出することにより得られる。例えば、(1)先に内外層用の熱可塑性樹脂(D)層を射出し、次いで、中間層となる本発明の樹脂組成物を射出して、D/barrier/D層の3層構成の成形品を得る方法、あるいは(2)先に内外層用の熱可塑性樹脂(D)層を射出し、次いで本発明の樹脂組成物を射出して、それと同時にあるいはその後に熱可塑性樹脂(D)層を再度射出し、D/barrier/D/barrier/D層の5層構成の成形品を得る方法などが挙げられるが、特に限定されない。
【0140】
これらの中でも、構造が単純で生産性に優れる観点から、二色成形法により多層成形部品を得ることが好ましい。また、二色成形法でbarrier/Dの2層構成の成形部品を製造するした場合、他の成形方法に比べ、本発明の樹脂組成物層(barrier層)の厚みを厚くすることが容易であり、かつ、成形部品の機械強度の観点からも優れている。また、成形部品をbarrier/Dの2層構成とした場合、各層の配置は、(内)barrier/D(外)であることが好ましい。内層側、すなわち、燃料容器内の燃料と直接接触する側を、本発明の樹脂組成物層とすることにより、成形部品全体のガソリンバリア性に優れる他、当該部品の膨潤による変形および層間における界面剥離を最小限に抑制することができる。
【0141】
本発明に用いられる成形部品は、燃料容器本体に装着されて用いられる成形部品をいい、具体的には、燃料容器用コネクター、燃料容器用キャップ、燃料容器用バルブなどが挙げられるが、これに限定されない。好ましくは、燃料容器用コネクター、燃料容器用バルブである。
【0142】
成形部品を燃料容器本体に装着する方法は特に限定されず、ねじ込み式、填め込み式による装着、および熱融着による装着が例示されるが、熱融着による装着が組み付け工数の減少および装着部分からの燃料漏れの抑制という観点から、特に好ましい。熱融着には一般的な手法が用いられ、ヒーターなどにより燃料容器本体および/または燃料容器用成形部品の融着面を加熱した後、融着を行う方法、燃料容器本体と当該成形部品を高周波融着する方法、および燃料容器本体と当該成形部品を超音波融着する方法などが例示されるが、これらに限定されない。
【0143】
成形部品コネクターとしての成型部品の使用態様としては、燃料容器本体に装着された燃料容器用コネクターとして使用する態様、さらにフレキシブルな燃料輸送用のパイプが装着される態様などが挙げられるが、これらに限定されない。このコネクターを燃料容器本体に装着する方法としては、ねじ込み式、填め込み式、熱融着による接合などが例示されるが、組み付け工数の減少および接合部分からの燃料漏れの抑制という観点から、熱融着により装着されることが好ましい。そのため、このコネクターは燃料容器本体との熱融着性に優れていることが特に好ましい。また、燃料容器本体とこのコネクターの装着部分からの燃料漏れを抑制するために、コネクターはガソリンバリア性に優れていることが特に好適である。さらに、コネクターは耐ストレスクラック特性、耐有機溶剤性に優れていることが、燃料容器用成形部品の長期連続使用性、すなわち製品寿命の観点から好適である。
【0144】
また、燃料容器用コネクターとしての好適な実施態様としては、燃料容器本体に接合された燃料容器用コネクターに、さらにフレキシブルな燃料輸送用のパイプが接合される。このため、車両走行時や、燃料容器からエンジンへの燃料の供給時、あるいは燃料供給口から燃料容器への燃料の受け入れ時など、燃料容器そのものの振動あるいは輸送パイプの振動によるコネクターへの連続的負荷が発生する。これらの観点から、燃料容器用コネクターは、耐衝撃性、耐ストレスクラック性、耐有機溶剤性に優れていることが望ましい。
【0145】
燃料容器用キャップは、給油口の閉蓋具として用いられる。その接合方法は特に限定されないが、ねじ込み式、填め込み式などが例示され、好ましくはねじ込み式である。現在、多くの燃料容器用キャップは金属製であるが、軽量化、リサイクルなどの観点から熱可塑性樹脂製のキャップが近年注目を集めている。また、給油口は給油管、燃料容器用コネクターを経て燃料容器本体と繋がっているが、従来、金属製の燃料容器用キャップから発生する錆による金属酸化物の燃料容器への混入が問題となっている。かかる観点からも、熱可塑性樹脂からなるキャップの存在意義は大きい。かかる燃料容器用キャップはガソリンバリア性、耐有機溶剤性、耐ストレスクラック特性に優れていることが好ましく、開閉を繰り返すことから、耐摩耗性等の機械強度にも優れていることがさらに好ましい。
【0146】
また、熱硬化性樹脂(G)からなる部品が、成形部品が装着された燃料容器本体に、成形部品を介して装着されてなる燃料容器も、本発明の実施態様として好適である。上記構成の燃料容器は、熱硬化性樹脂(G)からなる部品が機械強度および優れたガソリンバリア性を有し、かつ熱硬化性樹脂(G)からなる部品と燃料容器本体との装着部分に本発明の樹脂組成物からなる成形部品を介在させることにより、高いガソリンバリア性を付与することが出来る点で好適である。
【0147】
熱硬化性樹脂(G)からなる部品が、成形部品を介して燃料容器に装着される方法は特に限定されない。まず、燃料容器本体に成形部品を装着し、次にこの成形部品に熱硬化性樹脂(G)からなる燃料容器用部品をねじ込み式あるいは填め込み式などの方法で装着する方法、または、まず、熱硬化性樹脂(G)からなる部品に上記成形部品を装着し、ついで、これを燃料容器本体に装着する方法などが例示されるが、特に限定されない。
【0148】
成形部品を燃料容器本体に装着する方法は特に限定されない。ねじ込み式、填め込み式による装着、および熱融着による装着が例示されるが、熱融着による装着が組み付け工数の減少および装着部分からの燃料漏れの抑制という観点から、特に好ましい。
【0149】
熱硬化性樹脂(G)からなる部品に、成形部品を装着する方法は特に限定されない。ねじ込み式、填め込み式による方法が好適である。また、熱硬化性樹脂(G)からなる部品と燃料容器との接合面を本発明に用いる樹脂組成物で被覆する方法も好適である。熱硬化性樹脂(G)と本発明で用いられる樹脂組成物は一般的に接着性が小さいことから、熱硬化性樹脂(G)からなる部品の表面を、成形部品の機能を阻害しない範囲内で出来るだけ本発明に用いる樹脂組成物で被覆することが特に好適である。かかる構成を採用することにより、熱硬化性樹脂(G)からなる成形部品本体と、本発明の樹脂組成物との界面の剥離を抑制することが可能である。
【0150】
また、成形部品本体を、本発明に用いる樹脂組成物で被覆する方法は特に限定されないが、先に射出成形法などで作成した熱硬化性樹脂(G)からなる部品本体を金型内に設置し、これに射出成形機にて本発明の樹脂組成物を射出して被覆する方法(インサートインジェクション法)、あるいは熱硬化性樹脂(G)および本発明に用いる樹脂組成物を共射出成形する方法などが好適なものとして挙げられるが、インサートインジェクション法が特に好適である。
【0151】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0152】
(本発明に使用する樹脂の合成)
(合成例1)
ボロン酸変性ポリエチレン(末端にボロン酸エチレングリコールエステル基を有する超低密度ポリエチレン)を、以下のように調製した。
【0153】
冷却器、撹拌機および滴下ロート付きセパラブルフラスコに超低密度ポリエチレン{MFR7g/10分(210℃−荷重2160g)密度0.89g/cm3、末端二重結合量0.048meq/g}1000g、デカリン2500gを仕込み、室温で減圧することにより脱気を行った後、窒素置換を行った。これにホウ酸トリメチル78g、ボラン−トリエチルアミン錯体5.8gを添加し、200℃で4時間反応後、蒸留器具を取り付けさらにメタノール100mlをゆっくり滴下した。メタノール滴下終了後、減圧蒸留により、メタノール、ホウ酸トリメチル、トリエチルアミン等の低沸点の不純物を留去した。さらにエチレングリコール31gを添加し、10分間撹拌後、アセトンに再沈し、乾燥することにより、ボロン酸エチレングリコールエステル基量0.027meq/g、MFR5g/10分(210℃−荷重2160g)のボロン酸変性超低密度ポリエチレンを得た。
【0154】
<バリア性樹脂(A)の燃料透過量の測定:ガソリンバリア性の評価>
(1)高密度ポリエチレン(HDPE)としてPaxon製BA46−055(密度0.970g/cm3、190℃−2160gにおけるMFR=0.03g/10分)を、接着性樹脂(Tie)として三井化学製ADMER GT−6A(190℃−2160gにおけるMFR=0.94g/10分)を用い、高密度ポリエチレン、バリア性樹脂(A)、接着性樹脂を別々の押出機に仕込み、高密度ポリエチレン/接着性樹脂/バリア性樹脂(A)/接着性樹脂/高密度ポリエチレン(膜厚み50μm/5μm/10μm/5μm/50μm)の構成を有する全層厚み120μmの共押出シートを成形装置により得た。押出成形は高密度ポリエチレンが直径65mm、L/D=24の一軸スクリューを備えた押出機を170〜210℃の温度とし、接着性樹脂は直径40mm、L/D=22mmの一軸スクリューを備えた押出機を160〜210℃の温度とし、バリア性樹脂(A)は直径40mm、L/D=22の一軸スクリューを備えた押出機を170〜210℃の温度とし、フィードブロック型ダイ(幅600mm)を210℃で運転し、共押出シート(a1)を得た。
(2)該共押出シート(a1)の片面をアルミテープ(エフピー化工株式会社製、商品名アルミシール:ガソリンバリア性=0g・20μm/m2・day)を用いて被覆した。
(3)該共押出シート(a1)およびアルミテープで被覆した共押出シート(b1)をそれぞれ210mm×300mmの大きさにカットした。
(4)カットしたそれぞれのシートを中央で折り曲げ、二辺を、富士インパルス製ヒートシーラーT−230を使用し、ダイヤル6にてシール幅10mmになるようにヒートシールし、パウチを作製した。
(5)それぞれのパウチにモデルガソリンとしてRef. fuel C(トルエン/イソオクタン=1/1(体積比))をシールされていない辺より200ml充填し、投入辺を上述した方法と同様にシール幅10mmとなるようにヒートシールした。
該燃料投入パウチを防爆型恒温恒湿槽(40℃−65%RH)に放置し、30日置きに12ヶ月間パウチの重量を測定した。かかる試験を、アルミ箔なしの共押出パウチ(a2)およびアルミテープで被覆した共押出パウチ(b2)それぞれ5個のパウチについて行い、放置前と各放置時間後の該パウチの重量変化を読みとり、放置時間とパウチの重量変化量の傾きから燃料透過量を算出した。
【0155】
アルミテープなしの共押出パウチ(a2)の燃料透過量はパウチ表面とヒートシール部の双方からの燃料透過量の和を示し、アルミテープで被覆した共押出パウチ(b2)の燃料透過量はヒートシール部分からの燃料透過量を示す。
【0156】
{(a2)からの透過量}−{(b2)からの透過量}をバリア性樹脂(A)の燃料透過量とし、バリア性樹脂(A)層20μmあたりの透過量に厚み換算をしてバリア性樹脂(A)の燃料透過量(mg・20μm/m2・day)を求めた。
【0157】
<樹脂組成物の燃料透過量の測定:高温でのガソリンバリア性の評価>
パウチを放置する防爆型高温高湿槽を、60℃−65%RHに設定した以外は、上記のバリア性樹脂(A)の燃料透過量の測定方法と同様にして、測定を行った。
【0158】
<樹脂組成物の耐ガソリン性の評価>
(1)東洋精機製ラボプラストミル(直径20mm、L/D=22)を使用し、300mm幅のコートハンガーダイを用い、170〜210℃の温度にて押し出し、100μmシートを作製した。該シートを幅15mm、長さ150mm(長さ方向がMD)にカットした。
(2)上記カットシートを、防爆型恒温恒湿槽(60℃−65%RH)において、ガソリン中に60℃、1000時間浸漬した。ここで、モデルガソリンとしてRef. fuel C(トルエン/イソオクタン=1/1(体積比))を用いた。
(3)Shimadzu製オートグラフAG−500Aを用い、ISO527に従い、破断時における伸度を測定した。なお、サンプルは未浸漬品とガソリン浸漬品で、各5個ずつ試験を実施した。
(4)浸漬後破断伸度(%)/浸漬前破断伸度(%)×100を算出し、樹脂組成物からなるシートの耐ガソリン性とした。
【0159】
実施例1
バリア性樹脂(A)として、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.5%、MFR1.6g/10分(190℃−荷重2160g)のEVOH(ガソリンバリア性:0.003g・20μm/m2・day(40℃−65%RH))を、ボロン酸変性ポリオレフィン(B)として、合成例1で合成したボロン酸変性高密度ポリエチレンを、ヒンダードフェノール系化合物(C1)として、エステル基含有ヒンダードフェノール系化合物(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製、「イルガノックス(登録商標)1010」)を、そしてヒンダードフェノール系化合物(C2)として、アミド基含有ヒンダードフェノール系化合物(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製、「イルガノックス(登録商標)1098」)を用いた。前記(A)90重量部、(B)10重量部、(C1)0.25重量部、および(C2)0.25重量部をタンブラーにてドライブレンドした後、二軸スクリュータイプのベント式押出機に入れ、窒素の存在下220℃で押出ペレット化を行い、樹脂組成物からなるペレットを得た。そして上記の方法に従い、該樹脂組成物のガソリンバリア性、および耐ガソリン性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0160】
比較例1
前記(C2)を添加しないこと以外は実施例1と同様にし、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガソリンバリア性、および耐ガソリン性の評価結果を表1に示す。
【0161】
比較例2
前記(C1)を添加しないこと以外は実施例1と同様にし、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガソリンバリア性、および耐ガソリン性の評価結果を表1に示す。
【0162】
比較例3
前記(C1)および(C2)のいずれをも添加しないこと以外は実施例1と同様にし、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガソリンバリア性、および耐ガソリン性の評価結果を表1に示す。
【0163】
【表1】
【0164】
実施例2
MFR0.3g/10分(190℃−荷重2160g)、密度0.954g/cm3の高密度ポリエチレン(三井化学製HZ3300F)70重量部および無水マレイン酸変性ポリエチレン(三菱化学製「モディックH541」)30重量部からなるブレンド物を以下の方法で得た。即ち、密度0.954g/cm3のポリエチレンおよび無水マレイン酸変性ポリエチレンを二軸スクリュータイプのベント式押出機に入れ、窒素の存在下220℃で押出しペレット化を行い樹脂組成物のペレットを得た。
【0165】
また、実施例1で作製した本発明の樹脂組成物からなるペレットと、上記で作製した、密度0.954g/cm3のポリエチレンおよび無水マレイン酸変性ポリエチレンでなる樹脂組成物からなるペレットを二色成形機にそれぞれ仕込み、図1に示す形状の、内径62mm、外径70mm、高さ40mmの2種2層の多層成形品を作製した。すなわち、本発明の樹脂組成物からなる層をbarrier層、密度0.954g/cm3のポリエチレンおよび無水マレイン酸変性ポリエチレンでなる樹脂組成物でなる層を熱可塑性樹脂(D)層とした場合、上記多層成形部品の層構成は、(外)熱可塑性樹脂(D)層/barrier層(内)であり、各部位において厚み比を(外)55/45%(内)となるようにした。このコネクター様成形品は、図2に示されるように、容器本体2に取り付けられ、コネクター様成形品1の口部にパイプ3が取り付けられる。
【0166】
一方、以下の方法で燃料タンク本体を作製した。高密度ポリエチレン(HDPE)としてPaxon製BA46−055(密度0.970g/cm3、190℃−2160gにおけるMFR=0.03g/10分)を、接着性樹脂(Tie)として三井化学製ADMER GT−6A(190℃−2160gにおけるMFR=0.94g/10分)を、EVOHとしてエチレン含量32モル%、ケン化度99.5モル%、190℃−2160gにおけるMFR=1.3g/10分のエチレン−ビニルアルコール共重合体(ガソリンバリア性=0.003g・20μm/m2・day(40℃−65%RH))を用い、鈴木製工所製ブロー成形機TB−ST−6Pにて210℃で(内)HDPE/Tie/EVOH/Tie/HDPE(外)3種5層パリソンを押し出し、15℃の金型内でブローし、20秒冷却して(外)HDPE/Tie/EVOH/Tie/HDPE(内)=2500/100/150/100/2500(μm)の、全層厚み5350μmの35Lタンクを成形した。
【0167】
上記方法で得られた多層タンクに、コネクター装着のため、直径65mmの孔を2ヶ所あけた後、その部分および上記作製した2種3層のコネクター様成形品の双方を250℃の鉄板で40秒融解させた後に圧着して熱融着させて、2個のコネクター付き多層燃料容器を得た。
【0168】
上記のようにして得られた2ヶ所の開口部を持つ多層燃料容器を3個準備し、それぞれに25リッターのモデルガソリン(トルエン:イソオクタン=50/50体積%)を充填した。次いで、本コネクター様成形品の片側に直径80mm、厚さ0.5mmのアルミ板をエポキシ系接着剤にて強固に接着させた後、防爆型恒温恒湿槽(60℃−65%RH)にて60日後静置した。
【0169】
60日間静置後、上記多層成形部品を、前記アルミ板を接着させた面の下方1cmのところで、切断面がアルミ板と平行になるように糸鋸を用いて切断した。上記成形部品の内層(=本発明の樹脂組成物層)の外観を目視にて観察したところ、6個の成形部品のいずれにおいても、本発明の樹脂組成物層には変色、膨潤および表面のひび割れなどは見られず、良好な外観を保っていた。
【0170】
比較例4
実施例1で作製した樹脂組成物の替わりに、比較例3で作製した樹脂組成物を使用した以外は実施例2と同様にして、コネクター様多層成形部品を作製し、2個のコネクターが装着された多層燃料容器を得た。得られた燃料容器に対し、実施例2と同様にしてガソリンを充填した後、コネクター様成形品の片側に直径80mm、厚さ0.5mmのアルミ板をエポキシ系接着剤にて強固に接着させ、防爆型恒温恒湿槽(60℃−65%RH)にて60日後静置した。
【0171】
静置後の成形部品を、実施例2と同様に切断して、上記成形部品の内層側の外観を目視にて観察したところ、EVOHおよびボロン酸変性ポリエチレンからなる樹脂組成物層の一部に変色が見られ、さらに、表面に細かなひび割れが生じていた。
【0172】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、ガソリンバリア性、機械強度および高温条件下での耐ガソリン性に優れており、単層または多層の成形物として用いることができる。特に、本発明の樹脂組成物からなる層を含む多層構造体を、燃料容器、燃料容器用成形部品または燃料パイプなどに用いることが好ましい。
【0173】
【図面の簡単な説明】
【図1】 多層射出成形機により成形された円筒状成形品(コネクター様成形品)を示す図である。
【図2】 コネクター用成形品の使用形態を示す図である。
【符号の説明】
1:コネクター様成形品
2:容器本体
3:パイプ
Claims (19)
- ガソリンバリア性樹脂(A)、ボロン酸変性ポリオレフィン(B)、分子内にエステル基、リン酸エステル基およびヒンダードフェノール基を除くフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C1)、および、分子内にアミノ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有するヒンダードフェノール系化合物(C2)からなり、ガソリンバリア性樹脂(A)がポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミドおよび脂肪族ポリケトンからなる群から選択される少なくとも一種である樹脂組成物。
- (A)1〜98重量%、(B)1〜98重量%、(C1)0.01〜5重量%および(C2)0.01〜5重量%からなる、請求項1に記載の樹脂組成物。
- (A)60〜98重量%、(B)1〜39重量%、(C1)0.01〜1重量%および(C2)0.01〜1重量%からなる、請求項1に記載の樹脂組成物。
- ガソリンバリア性樹脂(A)がエチレン含量5〜60モル%、ケン化度85%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体である請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記ガソリンバリア性樹脂(A)が無機フィラーを1〜50重量%含有している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる層と、前記(A)以外の熱可塑性樹脂(D)層からなる多層構造体。
- 前記熱可塑性樹脂(D)層がポリオレフィン系樹脂である、請求項6に記載の多層構造体。
- 前記熱可塑性樹脂(D)層が高密度ポリエチレンからなる、請求項6に記載の多層構造体。
- 前記熱可塑性樹脂(D)層が、エチレン含有量70〜99モル%、ケン化度40%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、カルボン酸変性ポリオレフィンおよびボロン酸変性ポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項6に記載の多層構造体。
- 前記熱可塑性樹脂(D)層が、エチレン含有量70〜99モル%、ケン化度40%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、カルボン酸変性ポリオレフィンおよびボロン酸変性ポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種の相容化剤(E)1〜99重量%、および前記(E)以外の11以下の溶解性パラメーター(Fedorsの式から算出)を有する熱可塑性樹脂(F)1〜99重量%からなる樹脂組成物である、請求項6に記載の多層構造体。
- 前記熱可塑性樹脂(D)が無機フィラーを1〜50重量%含有している、請求項6〜10のいずれか一項に記載の多層構造体。
- 請求項6〜11のいずれか一項に記載の多層構造体からなる燃料容器。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる中間層と、前記(A)以外の熱可塑性樹脂(D)からなる内外層を有し、かつ前記熱可塑性樹脂(D)が高密度ポリエチレンである燃料容器。
- 請求項6〜11のいずれか一項に記載の多層構造体からなる成形部品が、燃料容器本体に装着されてなる燃料容器。
- 前記成形部品が、二色成形機、共射出成形機またはインサート射出成形機により成形されている、請求項14に記載の燃料容器。
- 前記成形部品が熱可塑性樹脂(D)層を介して燃料容器本体に装着されてなる、請求項14または15に記載の燃料容器。
- 前記成形部品が燃料容器用コネクター、燃料容器用キャップまたは燃料容器用バルブである、請求項14〜16のいずれか一項に記載の燃料容器。
- 前記成形部品が熱融着によって燃料容器本体に装着されてなる、請求項14〜17のいずれか一項に記載の燃料容器。
- 請求項14〜18のいずれか一項に記載の成形部品が装着された燃料容器に、熱硬化性樹脂(G)からなる部品が該成形部品を介して装着されている燃料容器。
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