JP4566357B2 - バリア性および耐衝撃性に優れた燃料容器 - Google Patents

バリア性および耐衝撃性に優れた燃料容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はバリア性が良好であり、落下衝撃強度に優れかつひずみの少ない共押出ブロー成形燃料容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素類、例えばガソリンを保存するための容器として、プラスチック製の共押出ブロー成形容器が近年好適に用いられており、その一例として自動車用ガソリンタンクが挙げられる。また、プラスチックとしてはポリエチレン(特に超高密度ポリエチレン)が経済性、成形加工性、機械的強度等の点で期待されている。しかし、ポリエチレン製燃料タンクは、保存されるガソリンの気体または液体が容器のポリエチレンの壁を通して大気中に飛散しやすいという欠点を有することが知られている。
【0003】
そこで、かかる欠点を解消するため、ポリエチレン製容器にハロゲンガス(フッ素、塩素、臭素)あるいは三酸化硫黄(SO3)などを容器に吹き込み、容器内面をハロゲン化あるいはスルホン化する方法が開示されている。また、ポリアミド樹脂とポリエチレン樹脂とを多層化する方法が開示されている(特開平6−134947号公報、USP5441781)。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂とポリエチレン樹脂とを多層化する方法も知られている(USP5849376、EP759359)。また、ガソリンバリア性を向上させるために、バリア層を内層寄りにした多層燃料タンクも知られている(特開平9−29904号公報、EP742096)。
【0004】
しかしながら上記の方法で製造した燃料容器においてもガソリン透過量の抑制は完全なものとは言えず、近年ガソリンの消費量節約、地球環境保護のために、より透過量を低減する方法が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このため、ピンチオフ部においてバリア性が失われたり、あるいは充分な密着強度が得られないために落下衝撃強度が不足することのない、バリア性および耐衝撃性に優れた共押出ブロー成形燃料容器が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、バリア性樹脂(A)からなるバリア層、およびバリア性樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(B)からなる内層および外層を有する共押出ブロー成形燃料容器であって、該容器のピンチオフ部におけるバリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が1/10000以上1/10以下であり、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が3/10以上7/10以下である、燃料容器によって解決される。
【0007】
すなわち、本発明は、バリア性樹脂(A)からなるバリア層、およびバリア性樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(B)からなる内層および外層を有する共押出ブロー成形燃料容器であって;バリア性樹脂(A)がエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂であり、熱可塑性樹脂(B)が高密度ポリエチレンであり;該容器のピンチオフ部におけるバリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が1/10000以上1/10以下であり、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が3/10以上7/10以下であり;バリア層樹脂のMFR(MFRbarrier)と、最内層樹脂のMFR(MFRinside)が、下記式(1)を満足する燃料容器に関する。
8≦MFRbarrier/MFRinside≦100 (1)
【0008】
好ましい実施態様では、本発明の燃料容器は、ピンチオフ部高さHとピンチオフ部幅Lの比H/Lが0.1〜3である。
【0012】
好ましい実施態様では、本発明の燃料容器は、バリア層に対して熱可塑性樹脂からなる内外層を接着性樹脂層を介して積層してなる。
【0013】
好ましい実施態様では、本発明の燃料容器は、回収層を少なくとも一層有する。
【0014】
好ましい実施態様では、本発明の燃料容器は回収層がバリア層の外側に積層されてなる。
【0015】
また、好ましい実施態様では、本発明の燃料容器は回収層がバリア層の両側に積層されてなる。
【0016】
さらに、好適な実施態様では本発明の燃料容器は自動車用ガソリンタンクである。
【0017】
【発明の実施の形態】
上述したように、本発明者はバリア性が良好であり、落下衝撃強度に優れかつひずみの少ない共押出ブロー成形燃料容器についての検討を行った。
その結果、燃料容器からの燃料の透過は、該容器の成形時に生じるピンチオフ部分において特に顕著であることを見出した。本発明者が初めて見出したこのような知見をもとに研究を重ねた結果、極めて高い燃料バリア性を有する容器を得ることに成功し、本発明を完成させるに至った。
【0018】
本発明を完成するに至ったピンチオフ部分における燃料の透過について、順次説明する。
プラスチック製の燃料容器は、通常、ブロー成形によって成形される。一般にブロー成形によるプラスチック容器の製造法においては、溶融押出によりパリソンを形成し、このパリソンを一対のブロー成形用金型で挟持し、パリソンの喰切を行うと共に対向する喰切部を融着させる。ついで喰切が行われたパリソンを前記金型内で膨張させることにより容器の形に成形する。ただし、自動車用燃料タンクなど、容器の大きさが大きくなる場合は金型によりパリソンを挟持し、圧着を行うが、金型で喰切は行わず、容器表面からからはみ出た部分を任意の高さでカッターなどで切断することが多い。
【0019】
上記の融着させて結合された部分がピンチオフ部であり、ピンチオフ部は容器壁の厚さ方向に突出した先細り状の突条を形成する。一般に、通常の単一層からなる溶融樹脂のパリソンは前述した喰切においても、充分に相互に融着する。従って接合部であるピンチオフ部において剥離したりあるいは接合不良を生じたりする傾向は少なく、実用上充分な密着強度を有する容器が得られる。しかしながら、ポリエチレン層などの単一層では燃料バリア性に乏しい容器となり、EVOHなどのバリア層の単一層で容器を構成した場合は、コスト的なデメリットを有する他、耐衝撃性や成形性が不充分なものになる虞がある。
【0020】
そのため、このような燃料容器は通常、バリア層を含む複数種の樹脂を用いて溶融押出により多層構造体として成形される。かかるバリア層を含む複数種の樹脂を用いた燃料容器は、従来のポリエチレンのみからなる燃料容器と比較した場合、ガソリンバリア性は大幅に改善された。しかしながら、近年、プラスチック製の燃料容器のガソリンバリア性に対する要求は一層厳しくなり、さらなる改良が求められていた。
【0021】
そこで、本発明者が詳細な検討を行った結果、プラスチック製の燃料容器からの燃料の透過は、以下に述べるように、該容器の成形時に生じるピンチオフ部において特に顕著であることが初めて明らかとなった。
【0022】
上述の通り、複数種の樹脂を溶融押出することにより得た多層パリソンは、ピンチオフ部に切断面(金型で喰い切られた切断面またはカッターなどで切断された切断面)を有する。当該切断面は、バリア性樹脂で被覆されていないため、切断面からの気体の透過が起こり得る。
【0023】
しかし、ブロー成形容器のピンチオフ部からの気体の透過は、これまであまり問題とされていなかった。ポリオレフィンとEVOHを比較した場合、その気体透過量、例えば酸素透過量の差は数千倍程度であり、さらに、容器全体の表面積に比較して、ピンチオフ部の面積が小さいためである。
【0024】
ところが、本発明者の検討の結果、ポリオレフィンとEVOHのガソリン透過量の差は約百万倍程度であり、このために、酸素の透過では問題にならなかった、ブロー成形容器のピンチオフ部からの燃料の透過が、無視できない程度に大きいことが初めて明らかとなった。
【0025】
ピンチオフ部からの気体の透過に着目した先行技術としては、特開昭50−100165号公報が挙げられる。しかし、これは酸素の透過量に着目したものであり、この公報には、ポリオレフィンとEVOHのガソリン透過量の差が極めて大きいことは全く開示も示唆もされていない。したがって、ブロー成形容器のピンチオフ部からの燃料の透過が無視できない量であることはこの公報からは全く示唆されない。
上記の公報には、ピンチオフ部におけるバリア性を改良するために、ピンチオフ部において多層構造体のバリア層が実質的に連続していることを特徴とするプラスチック製多層容器が開示されている。しかしながら、このような多層容器ではピンチオフ部における密着強度が充分に得られず、耐衝撃性が不満足となる(本明細書比較例3および図2参照)。
【0026】
このように、本発明者は、従来誰も考慮することがなかったピンチオフ部分からの燃料の透過が重要な問題であることを初めて見出した。そして、このような知見をもとにさらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0027】
本発明の燃料容器は、バリア性樹脂(A)からなるバリア層、およびバリア性樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(B)からなる内層および外層を有する共押出ブロー成形燃料容器であって、該容器のピンチオフ部におけるバリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が1/10000以上1/10以下であり、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が3/10以上7/10以下である、燃料容器である。
【0028】
本発明の燃料容器に用いられるバリア性樹脂(A)とは、本発明の燃料容器に充填される燃料に対して、バリア性(液体および気体バリア性)を有する樹脂である。内層および外層とする(A)以外の熱可塑性樹脂(B)と共に成形されるため、バリア性樹脂(A)は熱可塑性樹脂であることが好ましい。上記のバリア性樹脂(A)の種類は特に限定されないが、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミドおよび脂肪族ポリケトンなどが好適なものとして例示される。
【0029】
本発明におけるポリビニルアルコール系樹脂とは、ビニルエステルの単独重合体、またはビニルエステルと他の単量体との共重合体をアルカリ触媒等を用いてケン化して得られる。
ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的な化合物として挙げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。
【0030】
また、本発明に用いられるポリビニルアルコール系樹脂のビニルエステル成分のケン化度は好適には90%以上であり、より好適には95%以上であり、更に好適には97%以上であり、最適には99%以上である。ケン化度が90モル%未満では、高湿度下でのガスバリア性が低下する。また、エチレンとの共重合体(EVOH)の場合には熱安定性が悪化し、成形物にゲル・ブツが発生しやすくなる。
なおここで、ポリビニルアルコール系樹脂がケン化度の異なる2種類以上のポリビニルアルコール系樹脂の配合物からなる場合には、配合重量比から算出される平均値をケン化度とする。かかるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
【0031】
本発明のポリビニルアルコール系樹脂としては、溶融成形が可能で、高湿度下でのガスバリア性が良好な点から、エチレンとの共重合体(EVOH)が好適である。
EVOHのエチレン含有量は5〜60モル%であるのが好ましい。エチレン含有量が5モル%未満では、高湿度下でのガスバリア性が低下し溶融成形性も悪化する。EVOHのエチレン含有量の下限は好適には10モル%以上であり、より好適には15モル%以上、最適には20モル%以上である。またエチレン含有量が60モル%を超えると充分なガスバリア性が得られない。エチレン含有量の上限は好適には55モル%以下であり、より好適には50モル%以下である。かかるEVOHのエチレン含有量は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
【0032】
なおここで、EVOHがエチレン含有量あるいはケン化度の異なる2種類以上のEVOHの配合物からなる場合には、配合重量比から算出される平均値をエチレン含有量あるいはケン化度とする。
ただし、2種類のEVOHを配合する際には、両者のエチレン含有量の差が15モル%以下であり、かつケン化度の差が10%以下であることが好ましい。これらの条件から外れる場合には樹脂組成物層の透明性が損なわれてしまう虞がある。良好な透明性を得る観点からはエチレン含有量の差はより好適には10モル%以下であり、さらに好適には5モル%以下である。また、同様に良好な透明性を得る観点からケン化度の差はより好適には7%以下であり、さらに好適には5%以下である。
【0033】
また、ポリビニルアルコール系樹脂、特にEVOHには、本発明の目的が阻害されない範囲で他の単量体を少量共重合することもできる。共重合できる単量体の例としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその塩;ビニルピロリドン類などが挙げられる。
【0034】
なかでも、EVOHに共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する場合は、共押出成形する際の熱可塑性樹脂(B)との溶融粘性の整合性が改善され、均質な成形体の製造が可能である。ここで、ビニルシラン系化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
【0035】
さらに、EVOHがホウ素化合物を含有する場合にも、EVOHの溶融粘性、熱安定性およびロングラン性が改善され、均質な共押出成形体を安定して得られる点で有効である。ここでホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、ホウ酸、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物の中でもホウ酸が好ましい。
ホウ素化合物の含有量はホウ素元素換算で20〜2000ppm、望ましくは50〜1000ppmである。この範囲にあることで加熱溶融時のトルク変動が抑制されたEVOHを得ることができる。20ppm未満ではそのような効果が小さく、2000ppmを超えるとゲル化しやすく、成形性不良となる場合がある。
【0036】
また、本発明のEVOHに対し、アルカリ金属塩をアルカリ金属元素換算で5〜5000ppm含有させることも層間接着性や相容性の改善のために効果的であることから好ましい。
アルカリ金属塩のより好適な含有量はアルカリ金属元素換算で20〜1000ppm、さらには30〜750ppmである。ここでアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどがあげられ、アルカリ金属塩としては、一価金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、燐酸塩、金属錯体等が挙げられる。例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、燐酸ナトリウム、燐酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩等が挙げられる。中でも酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、燐酸ナトリウムが好適である。
【0037】
また、本発明のEVOHに対し、リン酸化合物をリン酸根換算で10〜500ppm含有させることが好ましく、リン酸化合物を適切な範囲で添加することにより、成形物の着色およびゲル・ブツの発生を抑制することが可能である。リン酸化合物の添加による上記の改善効果はEVOHからなる樹脂組成物ペレットを用いたロングラン成形時および成形物の回収時に特に顕著である。リン酸化合物としては、リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等が例示されるが、これらに限定されない。リン酸塩としては第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形で含まれていても良く、そのカチオン種も特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩であることが好ましい。中でもリン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウムの形でリン酸化合物を添加することが好ましい。
【0038】
リン酸化合物の含有量の下限は5はリン酸根換算で0ppm以上が好ましく、より好ましくは70ppm以上であり、上限は300ppm以下が好ましく、200ppm以下がより好ましい。かかる範囲のリン酸化合物を含有することで、より着色が少なく、ゲル化しにくいEVOHからなる樹脂組成物ペレットを得ることができる。リン酸化合物の含有量が10ppm未満の場合は、溶融成形時の着色が激しくなる虞がある。特に、熱履歴を重ねるときにその傾向が顕著であるために、該樹脂組成物ペレットを成形して得られた成形物が、回収性に乏しいものとなる虞がある。また、リン酸化合物の含有量が500ppmを超える場合は成形物のゲル・ブツの発生しやすくなる虞がある。
【0039】
また、本発明に用いるEVOHの好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下、JIS K7210に基づく)は0.01〜100g/10分.、より好適には0.05〜50g/10分.、さらに好適には0.1〜10g/10分.である。
【0040】
また、本発明の目的を阻外しない範囲で熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、他の樹脂(ポリアミド、ポリオレフィンなど)をEVOH樹脂にブレンドすることもできる。
【0041】
本発明に用いられるポリアミドは、アミド結合を有する重合体であって、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,12)の如き単独重合体、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸重合体(ナイロン−6/11)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸重合体(ナイロン−6,9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,12)、アジピン酸とメタキシリレンジアミンとの重合体、あるいはヘキサメチレンジアミンとm,p−フタル酸との重合体である芳香族系ナイロンなどが挙げられる。これらのポリアミドは、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0042】
これらのポリアミドの中でも、ナイロン−6がバリア性の観点から好適である。
【0043】
本発明に用いる脂肪族ポリケトンとは、一酸化炭素−エチレン系共重合体であり、一酸化炭素−エチレン共重合体としては、一酸化炭素とエチレンとを共重合して得たもの、または一酸化炭素とエチレンを主体とし、これにエチレン以外の不飽和化合物を共重合して得たものが挙げられる。ここで、エチレン以外の不飽和化合物としては、炭素数3以上のα−オレフィン、スチレン、ジエン、ビニルエステル、脂肪族不飽和カルボン酸エステルなどが挙げられる。共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体などが挙げられるが、結晶性が高くなる交互共重合体がバリア性の面で好ましい。
【0044】
交互共重合体のなかでは、一酸化炭素あるいはエチレン以外の第3成分による共重合が施されている方が、融点が低下するので、溶融安定性の観点から好ましい。共重合される単量体のうち好適なものとしてα−オレフィンがあげられ、プロピレン、ブテン−1、イソブテン、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、ドデセン−1などが挙げられるが、なかでも炭素数3〜8個のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレンが好適である。これらα−オレフィンの共重合量はポリケトンに対して0.5〜7重量%であることが、適当な結晶性と溶融安定性を確保できる観点から好ましい。
【0045】
また、共重合されるジエンとしては炭素数4〜12個のものが好ましく、ブタジエン、イソプレン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなどが挙げられる。ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、などが挙げられる。脂肪族不飽和カルボン酸、その塩およびそのエステルとしては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル(これらのエステルとしてはメチルエステル、エチルエステルなどのアルキルエステルなど)、アクリル酸塩、マレイン酸塩、イタコン酸塩(これらの塩としては1価または2価の金属塩など)が挙げられる。これらの共重合単量体は一種のみでなく、二種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0046】
ポリケトンの製造方法としては、公知の方法、例えば、米国特許第2,495,286号および特開昭53−128690号、特開昭59−197427号、特開昭61−91226号、特開昭62−232434号、特開昭62−53332号、特開昭63−3025号、特開昭63−105031号、特開昭63−154737号、特開平1−149829号、特開平1−201333号、特開平2−67319号などに記載されている方法が挙げられるが、特にそれに制限されるものではない。
【0047】
本発明に用いるポリケトンの好適なメルトフローレート(MFR)は、0.01〜50g/10分(230℃、2160g荷重下)、最適には0.1〜10g/10分である。MFRが前記範囲にある場合、樹脂の流動性は優れ、さらに成形加工性も優れたものとなる。
【0048】
また本発明において内外層として用いられる、前記(A)以外の熱可塑性樹脂(B)としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体(炭素数4〜20のα−オレフィン)、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独またはその共重合体、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリスチレンが好ましく用いられる。
【0049】
中でも、本発明の燃料容器が自動車用ガソリンタンクである場合は、熱可塑性樹脂(B)として高密度ポリエチレンを用いることが好ましい。高密度ポリエチレンは通常市販品の中から適宜選択して使用することができるが、中でも剛性、耐衝撃性、成形性、耐ドローダウン性、耐ガソリン性等の観点から、高密度ポリエチレンの密度は0.95〜0.98g/cm3であることが好ましく、さらに好ましくは0.96〜0.98g/cm3である。また、高密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)が0.01〜0.5g/10分(190℃、2160g荷重下)であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.1g/10分(190℃、2160g荷重下)である。
【0050】
また、本発明の燃料容器は、バリア性樹脂(A)からなるバリア層に対して熱可塑性樹脂(B)からなる内外層を、接着性樹脂層を介して積層してなることが好適である。かかる接着性樹脂層としては、カルボン酸変性ポリオレフィンが好適なものとして用いられる。かかる接着性樹脂層としては、カルボン酸変性ポリオレフィンが好適なものとして用いられる。
【0051】
本発明に用いられるカルボン酸変性ポリオレフィンとは、オレフィン、特にα−オレフィンと不飽和カルボン酸またはその無水物とからなる共重合体のことをいい、分子中にカルボキシル基を有するポリオレフィンおよびポリオレフィン中に含有されるカルボキシル基の全部あるいは一部が金属塩の形で存在しているものも含まれる。カルボン酸変性ポリオレフィンのベースとなるポリオレフィンとしては、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)など)、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の各種ポリオレフィンが挙げられるが、このうち直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニルの含有量5〜55重量%)、エチレン−アクリル酸エチルエステル共重合体(アクリル酸エチルエステルの含有量8〜35重量%)が好適であり、直鎖状低密度ポリエチレンおよびエチレン−酢酸ビニル共重合体が特に好適である。
【0052】
不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタアクリル酸、エタアクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸などが例示され、特にアクリル酸あるいはメタアクリル酸が好ましい。不飽和カルボン酸の含有量は、好ましくは0.5〜20モル%、より好ましくは2〜15モル%、さらに好ましくは3〜12モル%である。不飽和カルボン酸無水物としては無水イタコン酸、無水マレイン酸等が例示され、特に無水マレイン酸が好適である。
不飽和カルボン酸無水物の含有量としては、好ましくは0.0001〜5モル%、より好ましくは0.0005〜3モル%、更に好ましくは0.001〜1モル%である。また、共重合体に含有されても良い他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸イソブチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステル、一酸化炭素などが例示される。
【0053】
カルボン酸変性ポリオレフィンの金属塩における金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛などの遷移金属が例示される。カルボン酸変性ポリオレフィンの金属塩における中和度は、100%未満、特に90%以下、さらに70%以下の範囲が望ましい。中和度の下限値については、通常5%以上、特に10%以上、さらには30%以上が望ましい。
【0054】
本発明に用いられるカルボン酸変性ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下)は、好ましくは0.01〜50g/10分、より好ましくは0.05〜30g/10分、さらに好ましくは0.1〜10g/10分である。これらのカルボン酸変性ポリオレフィンは、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0055】
本発明においては、共押出ブロー成形燃料容器のピンチオフ部におけるバリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が1/10000以上1/10以下であり、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が3/10以上7/10以下であることが最大の特徴である。かかる構成を採用することにより、バリア性が良好であり、落下衝撃強度に優れかつひずみの少ない共押出ブロー成形燃料容器を得ることが可能である。
【0056】
なお、本発明における、ピンチオフ部接合面におけるバリア層間距離(X)とは、図1に示すようにピンチオフ部を容器厚み方向に切断したときの断面において、対向するバリア層が最も近接している部分の距離を示す。また、容器胴部平均厚み(Y)とは図1に示されるような本発明の共押出ブロー成形燃料容器の容器胴部における平均厚みである。容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)とは図1に示すような、容器胴部を容器厚み方向に切断した断面での、バリア層より内側に存在する層の厚みである。
【0057】
バリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)の下限は1/10000以上であり、好適には1/5000以上、より好適には1/1000以上である。該比率が1/10000を下回ると、ピンチオフ部分の強度が不充分となり、該ピンチオフを有する共押出ブロー成形燃料容器の耐衝撃性が不充分となる。
【0058】
バリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)の上限は1/10以下であり、好適には1/20以下、より好適には1/40以下、さらに好適には1/100以下である。該比率(X/Y)が1/10を超えると、内容物のピンチオフ部からの透過量の抑制効果が不充分なものとなる。また、該比率(X/Y)が1/10を超える場合、成形後の共押出ブロー成形燃料容器にひずみが発生しやすくなる(本願比較例1および比較例2参照)。
【0059】
ピンチオフ部が、上記に示したような好適な(X/Y)の値を持つための方法は特に限定されないが、適切な金型を用い、適切な金型型締め圧力で成形を行うことが好ましい。
【0060】
(X/Y)の値が好適な範囲のピンチオフを得るための金型の設計は任意であるが、図4、図7に示したようなピンチオフ部分形成部を有する金型が好適な一例として挙げられる。
【0061】
また、(X/Y)の値を制御するためには、バリア層樹脂のMFR(MFRbarrier)と、最内層樹脂のMFR(MFRinside)が、下記式(1)を満足することが好適である。本発明の燃料容器は下記式(1)を満足する。
8≦MFRbarrier/MFRinside≦100 (1)
;MFRbarrier、MFRinsideはいずれも190℃、2160g荷重下で測定した値を示す。ただし融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは、2160荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
【0062】
MFRbarrier/MFRinsideの下限は10以上であることがより好適であり、15以上であることがさらに好適である。 MFRbarrier/MFRinsideが8未満の場合は、最内層樹脂の成形時の流動により、(X/Y)が1/10000未満になりやすくなる虞がある。
【0063】
MFRbarrier/MFRinsideの上限は80以下であることがより好適であり、70以下であることがさらに好適である。 MFRbarrier/MFRinsideが100を超える場合は、バリア層樹脂と最内層樹脂の粘度マッチングが不良になる虞があり、共押出ブロー成形燃料容器の成形性が不満足なものになる虞がある。
【0064】
また、ピンチオフ部の幅(L;図1参照)と高さ(H;図1参照)の比(H/L)はは0.1〜3であることが好適である。該比(H/L)の下限はより好適には0.2であり、さらに好適には0.3である。また、該比(H/L)の上限はより好適には2.5であり、さらに好適には2である。該比(H/L)がかかる範囲にあることが、バリア性と耐衝撃性を両立させる観点から好適である。H/Lが0.1未満の場合ピンチオフ部からの内容物の透過量抑制の改善効果が不充分になる虞があり、 H/Lが3を上回るとピンチオフ部の耐衝撃性が不足する虞がある。
【0065】
該比H/Lをかかる好適な範囲とする方法は特に限定されない。燃料容器が小さなものであれば、金型によりピンチオフ部分の喰切を行うことが多いため、用いる金型を適切に設定することが好適である。また、燃料容器が自動車用ガソリンタンクのように大きなものの場合は、金型によりパリソンを挟持し、圧着を行うが、金型で喰切は行わず、容器表面からからはみ出た部分を任意の高さでカッターなどで切断することが多い。このため、H/Lを上記に示す好適な範囲にするためには、カッターなどによる切断位置を適切に設定することが好ましい。
【0066】
本発明の共押出ブロー容器のピンチオフ部分の容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)の下限は3/10であり、より好ましくは32/100以上であり、さらに好適には35/100以上である。また、該比(Y1/Y)の上限は7/10であり、より好ましくは65/100以下であり、さらに好適には60/100以下である。該比(Y1/Y)が3/10を下回ると、ピンチオフ部における耐衝撃性が不満足なものとなり、7/10を超えるとバリア性が不満足なものとなる。
【0067】
本発明の燃料容器の、容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)は、3/10以上7/10以下であることが必須である。燃料タンクのガスバリア性を向上させるために、バリア層を内層側寄りに配置する技術が開示されており(特開平9−29904号公報)、該公報の実施例6には、バリア層の内側にある各層の厚みの合計をIとし、バリア層の外側にある各層の厚みの合計をOとしたときの厚み比(I/O)=4/96の共押出ブローボトルが記載されている。かかるボトルは、パリソンの喰切時に金型や成形条件などに特段の工夫を施さなくとも、ほとんどの場合にピンチオフ部接合面におけるバリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が1/10000以上1/10以下となり、高いバリア性が得られる。しかしながら、該共押出ブローボトルのピンチオフ部分に着目した場合、かかる構成のブロー成形容器は、ピンチオフ部分の容器内層側における、バリア層よりも内側に存在する層の合計厚みが不足する(図3参照)。ピンチオフ部分の強度は、バリア層よりも内側に存在する層同士が融着により、主として維持される。したがって、この部分の層厚みが不充分な上記構成では、ピンチオフ部分の耐衝撃性が不満足となる(本願比較例4)。
【0068】
以上のように、ピンチオフ部分のバリア性と耐衝撃性の両立は困難であったが、本発明のピンチオフ部におけるバリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が1/10000以上1/10以下であり、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が3/10以上7/10以下であることを特徴とするバリア層と熱可塑性樹脂(B)からなる内外層を有する共押出ブロー成形燃料容器を用いることにより、上記問題点は解決される。かかる観点からも本発明の意義は大きい。
【0069】
また、本発明の燃料容器を成形する際の金型温度は、5〜30℃であることが好適であり、10〜30℃であることがより好ましく、10〜20℃であることがさらに好ましい。金型温度が5℃未満の場合は、金型表面が結露しやすくなり、成形後の製品の外観が不良となる虞がある。また、金型温度が30℃を超える場合は、樹脂の冷却時間が長くなるために生産性が低下する虞があり、樹脂が充分に冷却できない場合は、成形後の共押出ブロー成形の形状にひずみが発生する虞がある。
【0070】
本発明の燃料容器の層構成に関しては、特に限定されるものではないが、成形性およびコスト等を考慮した場合、熱可塑性樹脂層/バリア層/熱可塑性樹脂層、 熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/ バリア層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層などが代表的なものとして挙げられる。両外層に熱可塑性樹脂層を設ける場合は、異なる樹脂を使用してもよいし、同じ樹脂を使用してもよい。
【0071】
なかでも、本発明の燃料容器を自動車用ガソリンタンクとして用いる場合は、剛性、耐衝撃性、成形性、耐ドローダウン性、耐ガソリン性等の観点から、高密度ポリエチレン/接着性樹脂層/バリア層/接着性樹脂層/高密度ポリエチレンの層構成を採用することが特に好ましい。
【0072】
共押出ブロー成形容器を成形する際には、バリの発生が不可避である。かかるバリや、成形時の不合格品を再溶融し、回収層として用いることも可能であり、上記のような回収層を用いることによって、該容器作成時の使用樹脂のロスを低減し、リサイクル性を向上させることが可能である。回収層は熱可塑性樹脂(B)、バリア性樹脂(A)からなるバリア層(および実施態様によっては接着性樹脂層)からなる多層構造体を再溶融後成形してなり、一般的には単一の熱可塑性樹脂(B)からなる層よりも機械強度が弱くなることが多い。該容器が外部から衝撃を受けた場合には、衝撃に対する応力が容器内層側で働き、容器にひずみを生じさせ、場合によっては破損が起こることから、強度的に弱い回収層はバリア層よりも外層側に配置することが特に好適である。また、バリの発生が多い時など、多量の樹脂をリサイクル必要がある場合は、バリア層の両側に回収層を配置することが特に好適である。
【0073】
以上のようにして得られた燃料容器は、ピンチオフ部においてバリア性が失われたり、あるいは充分な密着強度が得られないために落下衝撃強度が不足することがなく、バリア性および耐衝撃性に優れているため、燃料、特に含酸素ガソリンのバリア性が求められる燃料用タンクとして、特に、自動車用ガソリンタンクとして有用である。
【0074】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、これにより何ら限定されるものでない。なお、各実施例におけるピンチオフ部燃料透過量、落下衝撃強度およびタンクひずみは以下の方式により測定した。
【0075】
(1)ピンチオフ部燃料透過量
成形した500mlタンクを、ピンチオフ部を除き、ポリエチレン60μm/アルミ箔12μm/ポリエチレン60μm構成のフィルムを温度170℃のアイロンで熱ラミネートし、ピンチオフ部以外からのガソリンの透過を防止する処置を行った。該タンクにモデルガソリンとしてRef.fuel C(トルエン/イソオクタン=1/1)を400ml充填し、開口部をポリエチレン60μm/アルミ箔12μm/ポリエチレン60μm構成のフィルムでシールし蓋をした。
その後40℃−65%RHに放置し、3ヶ月間保存した。かかる試験を5個の500mlタンクについて行い、放置前と放置後の該タンクの重量変化の平均値からピンチオフ部からの透過量を求めた。
【0076】
(2)耐衝撃性
成形した500mlタンクに不凍液を400ml充填し、−40℃に3日間放置タンクを1mの高さからピンチオフ部を下にして鉄板上に落下させた(n=5)。この時のピンチオフ部の様子を4段階で判定し、5個のタンクの内、ピンチオフの状態が二番目に悪いもののピンチオフ部の状態を評価結果とした。
A:全く変形なし。
B:少しの変形あるも割れなし。
C:ピンチオフ部割れあり(小)
D:ピンチオフ部が大きく割れる。
【0077】
(3)タンクひずみ
成形後のタンクのひずみの有無を目視で判定した。
【0078】
実施例1
高密度ポリエチレン(HDPE)としてPaxon製BA46−055(密度0.970g/cm3、190℃−2160gにおけるMFR=0.03g/10分)を、接着性樹脂(Tie)として三井化学製ADMER GT−6A(190℃−2160gにおけるMFR=0.94g/10分)を、バリア層( Barrier )としてエチレン含量32mol%、けん化度99.5mol%、190℃−2160gにおけるMFR=1.3g/10分のエチレン−ビニルアルコール共重合体を用い、鈴木鉄工所製ブロー成形機TB−ST−6Pにて210℃で(内側)HDPE/Tie/Barrier/Tie/HDPE(外側)3種5層パリソンを押し出し、ピンチオフ部分形成部の金型形状が図4に示す喰切部を持つ金型にて、金型締圧力を3tonとして成形を行い、バリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が3/1000、H/Lが0.5、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が48/100になるように15℃の金型内でブローし、20秒冷却して全層厚み1000μm((内側)HDPE/Tie/Barrier/Tie/HDPE(外側)=460/20/30/20/470μm)の500mlタンクを成形した( MFRbarrier/MFRinside= 43)。該タンクのピンチオフ部分の燃料透過量は0.02g/3months、耐衝撃性はA判定であり、タンクのひずみは見られなかった。
【0079】
実施例2および比較例1〜2
型締め圧力を調整しながらピンチオフ部分形成部の金型形状が図4〜7のいずれかに示す喰切部を持つ金型を用いること以外は実施例1と同様に500mlタンクを成形し、評価を行った。各実施例および比較例で用いたピンチオフ部分形成部の金型形状、バリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)、H/L、容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)、型締め圧力、およびピンチオフ部分の燃料透過量、耐衝撃性およびタンクひずみの評価結果を表1に示す。
【0080】
比較例3
高密度ポリエチレン(HDPE)としてJPO製J−REX(密度0.970g/cm3、190℃−2160gにおけるMFR=0.3g/10分)を、接着性樹脂(Tie)として三井化学製ADMER GT−6A(190℃−2160gにおけるMFR=0.94g/10分)を、バリア層( Barrier )としてエチレン含量32mol%、けん化度99.5mol%、190℃−2160gにおけるMFR=1.3g/10分のエチレン−ビニルアルコール共重合体を用い、鈴木鉄工所製ブロー成形機TB−ST−6Pにて210℃で(内側)HDPE/Tie/Barrier/Tie/HDPE(外側)3種5層パリソンを押し出し、ピンチオフ部分形成部の金型形状が図4に示す喰切部を持つ金型にて、金型締圧力を4tonとして成形を行い、バリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が1/20000、H/Lが0.5、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が45/100になるように15℃の金型内でブローし、20秒冷却して全層厚み1000μm((内側)HDPE/Tie/Barrier/Tie/HDPE(外側)=430/20/30/20/500μm)の500mlタンクを成形した( MFRbarrier/MFRinside= 4.3)。該タンクのピンチオフ部分の燃料透過量は0.01g/3months、耐衝撃性はD判定であり、タンクのひずみは見られなかった。
【0081】
比較例4
高密度ポリエチレン(HDPE)としてPaxon製BA46−055(密度0.970g/cm3、190℃−2160gにおけるMFR=0.03g/10分)を、接着性樹脂(Tie)として三井化学製ADMER GT−6A(190℃−2160gにおけるMFR=0.94g/10分)を、バリア層( Barrier )としてエチレン含量32mol%、けん化度99.5mol%、190℃−2160gにおけるMFR=1.3g/10分のエチレン−ビニルアルコール共重合体を用い、鈴木鉄工所製ブロー成形機TB−ST−6Pにて210℃で(内側)HDPE/Tie/Barrier/Tie/HDPE(外側)3種5層パリソンを押し出し、ピンチオフ部分形成部の金型形状が図7に示す喰切部を持つ金型にて、金型締圧力を3tonとして成形を行い、バリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が3/1000、H/Lが0.5、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が20/100になるように15℃の金型内でブローし、20秒冷却して全層厚み1000μm((内側)HDPE/Tie/Barrier/Tie/HDPE(外側)=180/20/30/20/750μm)の500mlタンクを成形した( MFRbarrier/MFRinside= 43)。該タンクのピンチオフ部分の燃料透過量は0.02g/3months、耐衝撃性はC判定であり、タンクのひずみは見られなかった。
【0082】
実施例3
高密度ポリエチレン(HDPE)としてPaxon製BA46−055(密度0.970g/cm3、190℃−2160gにおけるMFR=0.03g/10分)を、接着性樹脂(Tie)として三井化学製ADMER GT−6A(190℃−2160gにおけるMFR=0.94g/10分)を、バリア層( Barrier )としてエチレン含量32mol%、けん化度99.5mol%、190℃−2160gにおけるMFR=1.3g/10分のエチレン−ビニルアルコール共重合体を、そして回収層として実施例1で作製したタンクを粉砕したものを用い、鈴木鉄工所製ブロー成形機TB−ST−6Pにて210℃で(内側)HDPE/Tie/Barrier/Tie/回収層/HDPE(外側)4種6層パリソンを押し出し、ピンチオフ部分形成部の金型形状が図4に示す喰切部を持つ金型にて金型締圧力を3tonとして成形を行い、バリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が4/1000、H/Lが0.5、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が49/100になるように15℃の金型内でブローし、20秒冷却して全層厚み1000μm((内側)HDPE/Tie/Barrier/Tie/回収層/HDPE(外側)=470/20/30/20/200/260μm)の500mlタンクを成形した( MFRbarrier/MFRinside= 43)。該タンクのピンチオフ部分の燃料透過量は0.02g/3months、耐衝撃性はA判定であり、タンクのひずみは見られなかった。
【0083】
実施例4および比較例5〜6
型締め圧力を調整しながらピンチオフ部分形成部の金型形状が図4〜7のいずれかに示す喰切部を持つ金型を用いること以外は実施例3と同様に500mlタンクを成形し、評価を行った。各実施例および比較例で用いたピンチオフ部分形成部の金型形状、バリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)、H/L、容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)、型締め圧力およびピンチオフ部分の燃料透過量、耐衝撃性およびタンクひずみの評価結果を表2に示す。
【0084】
比較例7
高密度ポリエチレン(HDPE)としてJPO製J−REX(密度0.970g/cm3、190℃−2160gにおけるMFR=0.3g/10分)を、接着性樹脂(Tie)として三井化学製ADMER GT−6A(190℃−2160gにおけるMFR=0.94g/10分)を、バリア層( Barrier )としてエチレン含量32mol%、けん化度99.5mol%、190℃−2160gにおけるMFR=1.3g/10分のエチレン−ビニルアルコール共重合体を、そして回収層として実施例1で作製したタンクを粉砕したものを用い、鈴木鉄工所製ブロー成形機TB−ST−6Pにて210℃で(内側)HDPE/Tie/Barrier/Tie/回収層/HDPE(外側)4種6層パリソンを押し出し、ピンチオフ部分形成部の金型形状が図4に示す喰切部を持つ金型にて、金型締圧力を4tonとして成形を行い、バリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が1/30000、H/Lが0.5、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が45/100になるように15℃の金型内でブローし、20秒冷却して全層厚み1000μm((内側)HDPE/Tie/Barrier/Tie/回収層/HDPE(外側)=430/20/30/20/200/280μm)の500mlタンクを成形した( MFRbarrier/MFRinside= 4.3)。該タンクのピンチオフ部分の燃料透過量は0.01g/3months、耐衝撃性はD判定であり、タンクのひずみは見られなかった。
【0085】
比較例8
高密度ポリエチレン(HDPE)としてPaxon製BA46−055(密度0.970g/cm3、190℃−2160gにおけるMFR=0.03g/10分)を、接着性樹脂(Tie)として三井化学製ADMER GT−6A(190℃−2160gにおけるMFR=0.94g/10分)を、バリア層( Barrier )としてエチレン含量32mol%、けん化度99.5mol%、190℃−2160gにおけるMFR=1.3g/10分のエチレン−ビニルアルコール共重合体を用い、鈴木鉄工所製ブロー成形機TB−ST−6Pにて210℃で(内側)HDPE/Tie/Barrier/Tie/HDPE(外側)3種5層パリソンを押し出し、ピンチオフ部分形成部の金型形状が図7に示す喰切部を持つ金型にて、金型締圧力を3tonとして成形を行い、バリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が3/1000、H/Lが0.5、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が21/100になるように15℃の金型内でブローし、20秒冷却して全層厚み1000μm((内側)HDPE/Tie/Barrier/Tie/回収層/HDPE (外側)=190/20/30/20/210/530μm)の500mlタンクを成形した(MFRbarrier/MFRinside= 43)。該タンクのピンチオフ部分の燃料透過量は0.02g/3months、耐衝撃性はD判定であり、タンクのひずみは見られなかった。
【0086】
実施例5
高密度ポリエチレン(HDPE)としてPaxon製BA46−055(密度0.970g/cm3、190℃−2160gにおけるMFR=0.03g/10分)を、接着性樹脂(Tie)として三井化学製ADMER GT−6A(190℃−2160gにおけるMFR=0.94g/10分)を、バリア層( Barrier )としてエチレン含量32mol%、けん化度99.5mol%、190℃−2160gにおけるMFR=1.3g/10分のエチレン−ビニルアルコール共重合体を、そして回収層として実施例1で作製したタンクを粉砕したものを用い、鈴木鉄工所製ブロー成形機TB−ST−6Pにて210℃で(内側)HDPE/回収層/Tie/Barrier/Tie/回収層/HDPE(外側)4種7層パリソンを押し出し、ピンチオフ部分形成部の金型形状が図4に示す喰切部を持つ金型にて金型締圧力を3tonとして成形を行い、バリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が3/1000、H/Lが0.5、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が47/100になるように15℃の金型内でブローし、20秒冷却して全層厚み1000μm((内側)HDPE/回収層/Tie/Barrier/Tie/回収層/HDPE(外側)=260/190/20/30/20/200/280μm)の500mlタンクを成形した( MFRbarrier/MFRinside= 43)。該タンクのピンチオフ部分の燃料透過量は0.02g/3months、耐衝撃性はB判定であり、タンクのひずみは見られなかった。
【0087】
実施例6および比較例9〜10
型締め圧力を調整しながらピンチオフ部分形成部の金型形状が図4〜7のいずれかに示す喰切部を持つ金型を用いること以外は実施例5と同様に500mlタンクを成形し、評価を行った。各実施例および比較例で用いた金型の種類、バリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)、H/L、容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)、型締め圧力およびピンチオフ部分の燃料透過量、耐衝撃性およびタンクひずみの評価結果を表3に示す。
【0088】
比較例11
高密度ポリエチレン(HDPE)としてJPO製J−REX(密度0.970g/cm3、190℃−2160gにおけるMFR=0.3g/10分)を、接着性樹脂(Tie)として三井化学製ADMER GT−6A(190℃−2160gにおけるMFR=0.94g/10分)を、バリア層( Barrier )としてエチレン含量32mol%、けん化度99.5mol%、190℃−2160gにおけるMFR=1.3g/10分のエチレン−ビニルアルコール共重合体を、そして回収層として実施例1で作製したタンクを粉砕したものを用い、鈴木鉄工所製ブロー成形機TB−ST−6Pにて210℃で(内側)HDPE/回収層/Tie/Barrier/Tie/回収層/HDPE(外側)4種7層パリソンを押し出し、ピンチオフ部分形成部の金型形状が図4に示す喰切部を持つ金型にて、金型締圧力を4tonとして成形を行い、バリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が1/30000、H/Lが0.5、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が44/100になるように15℃の金型内でブローし、20秒冷却して全層厚み1000μm((内側)HDPE/回収層/Tie/Barrier/Tie/回収層/HDPE(外側)=230/190/20/30/20/220/290μm)の500mlタンクを成形した( MFRbarrier/MFRinside= 4.3)。該タンクのピンチオフ部分の燃料透過量は0.01g/3months、耐衝撃性はD判定であり、タンクのひずみは見られなかった。
【0089】
比較例12
高密度ポリエチレン(HDPE)としてPaxon製BA46−055(密度0.970g/cm3、190℃−2160gにおけるMFR=0.03g/10分)を、接着性樹脂(Tie)として三井化学製ADMER GT−6A(190℃−2160gにおけるMFR=0.94g/10分)を、バリア層( Barrier )としてエチレン含量32mol%、けん化度99.5mol%、190℃−2160gにおけるMFR=1.3g/10分のエチレン−ビニルアルコール共重合体を、そして回収層として実施例1で作製したタンクを粉砕したものを用い、鈴木鉄工所製ブロー成形機TB−ST−6Pにて210℃で(内側)HDPE/回収層/Tie/Barrier/Tie/回収層/HDPE(外側)4種7層パリソンを押し出し、ピンチオフ部分形成部の金型形状が図7に示す喰切部を持つ金型にて金型締圧力を3tonとして成形を行い、バリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が3/1000、H/Lが0.5、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が19/100になるように15℃の金型内でブローし、20秒冷却して全層厚み1000μm((内側)HDPE/回収層/Tie/Barrier/Tie/回収層/HDPE(外側)=100/70/20/30/20/270/490μm)の500mlタンクを成形した( MFRbarrier/MFRinside= 43)。該タンクのピンチオフ部分の燃料透過量は0.02g/3months、耐衝撃性はD判定であり、タンクのひずみは見られなかった。
【0090】
【表1】
Figure 0004566357
【0091】
【表2】
Figure 0004566357
【0092】
【表3】
Figure 0004566357
【0093】
実施例1〜6で得られた本発明の構成を有するピンチオフ部を持つ共押出ブロー成形燃料容器は、バリア性が良好であり、落下衝撃強度に優れかつひずみの少ないものであった。これに対して、ピンチオフ部におけるバリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が1/10を超える比較例1および2ではバリア性が不満足なものであり、ピンチオフ部分の耐衝撃性も低下し、成形したタンクにはひずみが見られた。また、該比(X/Y)が1/10000に満たない比較例3では、ピンチオフ部分の耐衝撃性が顕著に低下した。さらに、容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が3/10に満たない比較例4では、ピンチオフ部分の耐衝撃性が不満足なものだった。
【0094】
本発明は、共押出ブロー成形燃料容器を構成する層に回収層が含まれている場合においても有効であり、特に、バリア層の両側に回収層を配置するような場合においても、本発明の構成を有する実施例5および6においてはバリア性に優れ、タンクひずみも生じず、ピンチオフ部分の耐衝撃性をある程度維持した共押出ブロー成形燃料容器が得られた。これに対して、バリア層の両側に回収層を配置し、かつ本発明の構成を有さない比較例9〜12においては何れの場合も、耐衝撃性が顕著に劣った。
【0095】
【発明の効果】
バリア性が良好であり、落下衝撃強度に優れかつひずみの少ない共押出ブロー成形燃料容器を提供することができる。かかる燃料容器は、自動車用に代表される燃料タンク用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の構成を有する共押出ブロー成形燃料容器のピンチオフ部分を示す図である。
【図2】 本発明の構成を有さない共押出ブロー成形燃料容器のピンチオフ部分を示す図である。
【図3】 本発明の構成を有さない共押出ブロー成形燃料容器のピンチオフ部分を示す図である。
【図4】 本発明の実施例で用いられる金型のピンチオフ部分形成部の形状および該金型により得られる共押出ブロー成形燃料容器のピンチオフ部の形状を示す図である。
【図5】 本発明の実施例で用いられる金型のピンチオフ部分形成部の形状および該金型により得られる共押出ブロー成形燃料容器のピンチオフ部の形状を示す図である。
【図6】 本発明の実施例で用いられる金型のピンチオフ部分形成部の形状および該金型により得られる共押出ブロー成形燃料容器のピンチオフ部の形状を示す図である。
【図7】 本発明の実施例で用いられる金型のピンチオフ部分形成部の形状および該金型により得られる共押出ブロー成形燃料容器のピンチオフ部の形状を示す図である。
【符号の説明】
X ピンチオフ部におけるバリア層間距離
Y 容器胴部平均厚み
Y1 容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み
H ピンチオフ部高さ
L ピンチオフ部幅

Claims (7)

  1. バリア性樹脂(A)からなるバリア層、およびバリア性樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(B)からなる内層および外層を有する共押出ブロー成形燃料容器であって
    バリア性樹脂(A)がエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂であり、熱可塑性樹脂(B)が高密度ポリエチレンであり;
    該容器のピンチオフ部におけるバリア層間距離(X)と容器胴部平均厚み(Y)の比率(X/Y)が1/10000以上1/10以下であり、かつ容器胴部におけるバリア層よりも内側に存在する層の合計厚み(Y1)と容器胴部平均厚み(Y)との比(Y1/Y)が3/10以上7/10以下であり;
    バリア層樹脂のMFR(MFRbarrier)と、最内層樹脂のMFR(MFRinside)が、下記式(1)を満足する燃料容器。
    8≦MFRbarrier/MFRinside≦100 (1)
    ;MFRbarrier、MFRinsideはいずれも190℃、2160g荷重下で測定した値を示す。ただし融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは、2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
  2. ピンチオフ部高さHとピンチオフ部幅Lの比H/Lが0.1〜3である請求項1記載の燃料容器。
  3. バリア層に対して熱可塑性樹脂からなる内外層を接着性樹脂層を介して積層してなる請求項1または2に記載の燃料容器。
  4. 回収層を少なくとも一層有する請求項1〜のいずれかに記載の燃料容器。
  5. 回収層がバリア層の外側に積層されてなる請求項記載の燃料容器。
  6. 回収層がバリア層の両側に積層されてなる請求項記載の燃料容器。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の燃料容器からなる自動車用ガソリンタンク。
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