JP2000248129A - プルリング付き注ぎ口 - Google Patents

プルリング付き注ぎ口

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JP2000248129A
JP2000248129A JP11056543A JP5654399A JP2000248129A JP 2000248129 A JP2000248129 A JP 2000248129A JP 11056543 A JP11056543 A JP 11056543A JP 5654399 A JP5654399 A JP 5654399A JP 2000248129 A JP2000248129 A JP 2000248129A
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JP
Japan
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spout
pull ring
carboxylic acid
weight
unsaturated carboxylic
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JP11056543A
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English (en)
Inventor
Yasuhiko Haneda
泰彦 羽田
Hiroyuki Shimo
浩幸 下
Hitoshi Tateno
均 舘野
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリア性に優れ、かつ、キャップ強度、
易開封性、リング強度、ヒンジ強度に優れるプルリング
付き注ぎ口を提供すること。 【解決手段】 エチレン含有量20〜60モル%、ケン
化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体
(A)5〜60重量%、ポリアミド樹脂(B)1〜30
%、オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体(C)5〜
89重量%およびポリオレフィン(D)5〜89重量%
からなる樹脂組成物をプルリング付き注ぎ口の形状に成
形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリア性の良
好なプルリング付き注ぎ口に関する。
【0002】
【従来の技術】ソース、ケチャップなどの食品、医薬
品、工業用品などを包装するボトルなどの容器本体部分
は、多くの場合、内容物の酸化劣化からの保護、あるい
は内容物の有効成分揮発防止のために、容器本体をガス
バリア性樹脂あるいはアルミニウム箔などのガスバリア
材を含む多層構成とされている。しかし、これらの容器
の注ぎ口部分については、内容物の触れる表面積が小さ
いこともあり、バリア性の付与が行われていない場合が
多い。
【0003】しかし、近年、容器に要求されるバリア性
がより厳しくなってきており、バリア性の低い容器口部
からのガス透過が容器全体のバリア性を低下させている
ことから、口部へのバリア性付与の要求が高まってい
る。特に、使用時まで容器を密封できるよう開栓用のプ
ルリングが付いたキャップは、易開栓性発現のため部分
的に薄肉化されており、この部分からの酸素透過が無視
できないレベルとなっている。
【0004】このプルリング付き注ぎ口に酸素バリア性
を与える方法として、たとえばアルミニウムなどのバリ
ア材を接着性樹脂などと積層して容器内部に貼り付ける
方法が挙げられる(実開昭62−19755号)が、こ
のようなバリア材は前もって作成した多層シートを打ち
抜いて作られるので、生産性が低下するほか、アルミ箔
を用いた場合には、打ち抜き時に発生するバリが金属を
含むため、リサイクル処理が困難である。さらに、工程
の増加に伴うコストの増大、腐食の危険性などの問題点
がある。
【0005】これに対し、エチレン−ビニルアルコール
共重合体などのガスバリア材単体を口部そのものとして
用いることは、強度、成形性に問題点が残されており、
実用的ではない。また射出成形法で成形した場合、形状
の問題からどうしてもライナー由来のバリが生じる。こ
のバリは時には使用樹脂の半分以上に達するため、リサ
イクル性は不可欠である。
【0006】また、ヒンジ部を有するキャップ付き注ぎ
口については、従来技術としてガスバリア層を中間層と
した、少なくとも三層以上で構成されること特徴とする
ヒンジ蓋付きガスバリア性キャップがある(実開平7−
28852号)が、単層成形体と比較した場合、成形性
およびリサイクル性が低下するという問題がある。しか
しガスバリア材単体ではヒンジの強度が不十分である。
このように、単層のガスバリア性樹脂を用いて、ガスバ
リア性に優れ、かつ十分な機械強度を有するプルリング
付き注ぎ口は、未だ得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、機械強度、
易開封性、リサイクル性およびガスバリア性に優れたプ
ルリング付き注ぎ口を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
を重ねた結果、特定の組成の樹脂組成物を用いることに
より、機械強度、易開封性、リサイクル性およびガスバ
リア性に優れたプルリング付き注ぎ口が提供できること
を見出して、本発明を完成させた。
【0009】すなわち、本発明は、エチレン含有量20
〜60モル%、ケン化度90%以上のエチレン−ビニル
アルコール共重合体(A)5〜60重量%、ポリアミド
樹脂(B)1〜30重量%、オレフィン−不飽和カルボ
ン酸共重合体(C)5〜89重量%およびポリオレフィ
ン(D)5〜89重量%からなる樹脂組成物を成形して
なるプルリング付き注ぎ口に関する。
【0010】好ましい実施態様によれば、前記樹脂組成
物中のオレフィン−不飽和カルボン酸共重合体(C)及
び/又はポリオレフィン(D)が連続相を形成し、エチ
レン−ビニルアルコール共重合体(A)が分散相を形成
している。
【0011】好ましい実施態様によれば、前記樹脂組成
物中のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が連
続相を形成し、オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体
(C)及び/又はポリオレフィン(D)が分散相を形成
している。
【0012】また、好ましい実施態様によれば、前記プ
ルリング付き注ぎ口が、射出成形によって成形されてい
る。
【0013】また、好ましい態様によれば、本発明のプ
ルリング付き注ぎ口はヒンジ部で結合されたキャップ部
と一体として成形されている。
【0014】また、好ましい実施態様によれば、プルリ
ング付き注ぎ口を構成する樹脂成分のオレフィン−不飽
和カルボン酸共重合体(C)がエチレン−不飽和カルボ
ン酸共重合体の金属塩である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明のプルリング付き注
ぎ口について説明する。本発明に用いられるエチレン−
ビニルアルコール共重合体(A)(以下、EVOHと記
す。)は、エチレンとビニルエステルからなる共重合体
を、アルカリ触媒等を用いてケン化して得られる。ビニ
ルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとして挙
げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオ
ン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。ま
た、EVOHは共重合成分としてビニルシラン化合物
0.0002〜0.2モル%を含有することができる。
ここで、ビニルシラン系化合物としては、たとえば、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メ
タクリルオキシプロピルメトキシシランが挙げられる。
なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエト
キシシランが好適に用いられる。さらに、本発明の目的
が阻害されない範囲で、他の共単量体、例えば、プロピ
レン、ブチレン、あるいは、(メタ)アクリル酸、(メ
タ)アクリル酸メチルもしくは(メタ)アクリル酸エチ
ルなどの不飽和カルボン酸またはそのエステル、及び、
N−ビニルピロリドンなどのビニルピロリドンを共重合
することも出来る。
【0016】本発明に用いられるEVOHのエチレン含
量は20〜60モル%であり、好適には25〜55モル
%、より好適には25〜50モル%である。エチレン含
量が20モル%未満では、高湿度下でのガスバリア性が
低下し溶融成形性も悪化する。また、60モル%を超え
ると十分なガスバリア性が得られない。
【0017】また、本発明に用いられるEVOHのビニ
ルエステル成分のケン化度は90%以上であり、好適に
は95%以上、より好適には98%以上である。ケン化
度が90%未満では、高湿度時のガスバリア性が低下す
るだけでなく、EVOHの熱安定性が悪化し、成形物に
ゲルが発生しやすくなる。
【0018】本発明に用いられるEVOHの好適なメル
トフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重
下)は0.1〜50g/10min.、最適には0.5
〜30g/10min.である。但し、融点が190℃
付近あるいは190℃を超えるものは2160g荷重
下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶
対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロット
し、190℃に外挿した値で表す。これらのEVOH樹
脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上
を混合して用いることもできる。
【0019】本発明に用いられるポリアミド樹脂(B)
は、アミド結合を有する重合体であって、例えば、ポリ
カプロアミド(ナイロン−6)、ポリウンデカンアミド
(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン
−12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−
6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−
6,12)の如き単独重合体、カプロラクタム/ラウリ
ルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラ
クタム/アミノウンデカン酸重合体(ナイロン−6/1
1)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸重合体(ナ
イロン−6,9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジ
アンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,
6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウム
アジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート
共重合体(ナイロン−6/6,6/6,12)、アジピ
ン酸とメタキシリレンジアミンとの重合体、あるいはヘ
キサメチレンジアミンとm,p−フタル酸との重合体で
ある芳香族系ナイロンなどが挙げられる。これらのポリ
アミド樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、
2種以上を混合して用いることもできる。
【0020】EVOHとの相容性の点から、これらのポ
リアミド樹脂(B)のうち、ナイロン6成分を含むポリ
アミド(例えば、ナイロン−6、ナイロン−6,12、
ナイロン−6/12、ナイロン−6/6,6等)が好ま
しい。EVOHとポリアミド樹脂は高温での溶融過程で
反応してゲル化するため、ブレンド組成物の熱劣化を抑
制する点から、ポリアミド樹脂の融点は240℃以下、
好ましくは230℃以下のものを用いるのが好ましい。
【0021】本発明に用いられるポリアミド樹脂(B)
の好適なメルトフローレート(MFR)(210℃、2
160g荷重下)は0.1〜50g/10min.、最
適には0.5〜30g/10min.である。但し、融
点が210℃付近あるいは210℃を超えるものは21
60g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数
グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸に
プロットし、210℃に外挿した値で表す。
【0022】本発明に用いられるオレフィン−不飽和カ
ルボン酸共重合体とは、オレフィン、特にα−オレフィ
ンと不飽和カルボン酸とからなる共重合体のことをい
い、分子中にカルボキシル基を有するポリオレフィンお
よびポリオレフィン中に含有されるカルボキシル基の全
部あるいは一部が金属塩の形で存在しているもの(以
下、オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体の金属塩と
いう)も含まれる。オレフィン−不飽和カルボン酸共重
合体(C)のベースとなるポリオレフィンとしては、ポ
リエチレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDP
E)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低
密度ポリエチレン(VLDPE)など)、ポリプロピレ
ン、共重合ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
等の各種ポリオレフィンが挙げられる。
【0023】オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体
(C)としては、エチレンと不飽和カルボン酸またはそ
の無水物がランダムに共重合していることが好ましく、
ポリエチレンに不飽和カルボン酸またはその無水物をグ
ラフトさせた共重合体を用いた場合と比較して、本発明
の効果を大幅に向上させることが可能である。ランダム
共重合体またはその金属塩がグラフト化合物よりも優れ
ている理由は、グラフト化合物では、相容性を発揮する
のに必要な高い酸含有量を得ることが難しいためであ
る。さらに、不飽和カルボン酸、例えば無水マレイン酸
のグラフト化合物の場合は、EVOH中の水酸基とグラ
フト共重合体中のカルボキシル基が反応して、ゲル・フ
ィッシュアイの原因となるため、好ましくない場合があ
る。
【0024】また、オレフィン−不飽和カルボン酸ラン
ダム共重合体より、その金属塩を用いる方が好ましい。
その理由は明確でないが、金属塩の方が極性が高くなる
ために、ポリアミド樹脂に対する相容性が増すためと考
えられる。
【0025】不飽和カルボン酸またはその無水物の含有
量は、好ましくは2〜15モル%、さらに好ましくは3
〜12モル%である。不飽和カルボン酸またはその無水
物としては、アクリル酸、メタアクリル酸、エタアクリ
ル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸
モノエチル、イタコン酸、無水イタコン酸、無水マレイ
ン酸などが例示され、特にアクリル酸あるいはメタアク
リル酸が好ましい。また、共重合体に含有されても良い
他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル
のようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブ
チル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘ
キシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸イソブ
チル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エ
ステル、一酸化炭素などが例示される。
【0026】オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体の
金属塩おける金属イオンとしては、リチウム、ナトリウ
ム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カル
シウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛などの遷移金属が
例示され、特に亜鉛を用いた場合がポリアミド樹脂
(B)に対する相容性の点で好ましい。オレフィン−不
飽和カルボン酸共重合体の金属塩における中和度は、1
00%以下、特に90%以下、さらに70%以下の範囲
が望ましい。中和度の下限値については、通常5%以
上、特に10%以上、さらには30%以上が望ましい。
【0027】本発明に用いられるオレフィン−不飽和カ
ルボン酸共重合体(C)のメルトフローレート(MF
R)(190℃、2160g荷重下)は、好ましくは
0.05〜50g/10min.、さらに好ましくは
0.5〜30g/10min.である。これらのオレフ
ィン−不飽和カルボン酸共重合体(C)は、それぞれ単
独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いる
こともできる。
【0028】本発明に用いられるポリオレフィン(D)
は、特に限定されるものではないが、高密度もしくは低
密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1な
どのα−オレフィンの単独重合体、エチレン、プロピレ
ン、ブテン−1、ヘキセン−1などから選ばれたα−オ
レフィン同士の共重合体などが例示される。また、α−
オレフィンに以下の成分:ジオレフィン、塩化ビニル、
酢酸ビニルなどのビニル化合物、アクリル酸エステル、
メタクリル酸エステルなどの不飽和カルボン酸エステル
など;を共重合したものも含まれる。本発明においては
ポリエチレン、ポリプロピレンを用いることが、ヒンジ
部やプルトップ部などの機械強度の観点から、好まし
く、直鎖状低密度ポリエチレンを用いることがさらに好
ましい。
【0029】本発明に用いられるポリオレフィン(D)
のメルトフローレート(MFR)(190℃、2160
g荷重下)は、好ましくは0.05〜100g/10m
in.、さらに好ましくは0.05〜50g/10mi
n.、最適には0.5〜30g/10min.である。
但し、融点が190℃付近あるいは190℃を超えるも
のは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定
し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対
数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
【0030】本発明の目的を達成するためには、エチレ
ン含有量20〜60モル%、ケン化度90%以上のエチ
レン−ビニルアルコール共重合体(A)5〜60重量
%、ポリアミド樹脂(B)1〜30重量%、オレフィン
−不飽和カルボン酸共重合体(C)5〜89重量%およ
びポリオレフィン(D)5〜89重量%からなる樹脂組
成物を用いる必要がある。樹脂組成物中のEVOH
(A)の含有量は、好適には10〜50重量%、さらに
好適には15〜40重量%である。樹脂組成物中のEV
OH(A)の含有量 が5重量%未満の場合には組成物
のガスバリア性が不足し、 EVOH(A)の含有量 が
60重量%を超える場合には組成物の強度や接着性の改
善効果が不充分である。
【0031】樹脂組成物中のポリアミド樹脂(B)の含
有量は1〜30重量%、好適には1.5〜20重量%、
さらに好適には2〜10%重量である。樹脂組成物中の
ポリアミド樹脂(B)の重量比が30重量%を超える場
合には、EVOH(A)に対するポリアミド樹脂(B)
の比率が上昇するため、両者の反応によるゲルが生じ易
くなる。また1重量%を下回る場合には、EVOH
(A)とオレフィン−不飽和カルボン酸共重合体(C)
との相容性が低下し、組成物の強度や接着性の改善効果
が不充分となる。
【0032】樹脂組成物中のオレフィン−不飽和カルボ
ン酸共重合体(C)の含有量は、5〜89重量%、好適
には7〜70重量%、さらに好適には10〜50重量%
である。樹脂組成物中のオレフィン−不飽和カルボン酸
共重合体(C)の含有量が5重量%未満の場合には組成
物の強度や接着性の改善効果が不充分であり、オレフィ
ン−不飽和カルボン酸共重合体(C)の含有量が89重
量%を超える場合には、組成物のガスバリア性が不足す
る。
【0033】ポリアミド樹脂(B)とオレフィン−不飽
和カルボン酸共重合体(C)の合計量に対するポリアミ
ド樹脂(B)含有量は、両樹脂の合計量全体に対して5
〜40重量%であることが好ましい。両樹脂の合計量全
体に対するポリアミド樹脂(B)含有量がこのような範
囲にあることで、樹脂組成物の溶融安定性が改善され、
長時間におよぶ溶融成形においても良好な外観の成形物
を得ることができ、生産性が向上する。この理由は明ら
かではないが、EVOH(A)とポリアミド樹脂(B)
の反応が溶融安定性に悪影響を与えているものと考えら
れる。
【0034】樹脂組成物中のポリオレフィン(D)の含
有量は5〜89重量%であり、20〜85重量%が好ま
しく、40〜75重量%がより好ましい。樹脂組成物中
のポリオレフィン(D)の含有量が5重量%未満の場合
には組成物の強度や接着性の改善効果が不充分であり、
ポリオレフィン(D)の含有量が89重量%を超える場
合には、組成物のガスバリア性が不足する。
【0035】各成分間の相容性の低下は、樹脂組成物自
身の機械強度の低下あるいはバリア性、リサイクル性の
低下につながる。
【0036】本発明においては、オレフィン−不飽和カ
ルボン酸共重合体(C)及び/又はポリオレフィン
(D)が連続相、EVOH(A)が分散相となる樹脂組
成物が、全体としてポリオレフィンの特長を保有してい
ながら、EVOHを配合することによって、EVOHの
特性を付与することができる点で有用である。すなわち
熱接着性および機械強度を保持しながらバリア性を改善
できる。このような分散形態は、 EVOH(A)の溶
融粘度をポリオレフィン(D)の溶融粘度より大きくす
ること、あるいは樹脂組成物中のEVOH(A)とポリ
オレフィン(D)の合計の重量に対する、EVOH
(A)の重量の値を小さくすることにより得ることがで
きる。すなわち、樹脂組成物中のEVOH(A)の重量
をW(A)とし、EVOH(A)とポリオレフィン
(D)の合計の重量をW(A+D)とした場合に、W
(A)/W(A+D)は0.65以下であることが好ま
しく、0.6以下であることがより好ましい。 W
(A)/W(A+D)の値が0.65を超える場合に
は、ポリオレフィン(C)が連続相を形成しにくくな
る。
【0037】本発明においては、EVOH(A)が連続
相、ポリオレフィン(C)が分散相となる樹脂組成物か
らなる樹脂組成物もまた、有用である。この樹脂組成物
は、全体としてEVOHの特長を保有しながら、ポリオ
レフィン(C)を配合することによって、ポリオレフィ
ンの特性を付与することができる点で有用である。すな
わち、バリア性を保持しながら熱接着性および機械強度
を改善できる。このような分散形態は、EVOH(A)
の溶融粘度をポリオレフィン(C)の溶融粘度より小さ
くすること、あるいは樹脂組成物中のEVOH(A)と
ポリオレフィン(C) の合計の重量に対する、EVO
H(A)の重量の値を大きくすることにより得ることが
できる。
【0038】EVOH(A)とポリアミド樹脂(B)が
反応することによるEVOHの熱劣化を防ぐ観点から、
本発明に用いる樹脂組成物には、高級脂肪族カルボン酸
の金属塩およびハイドロタルサイト化合物の少なくとも
1種を含有させることが好ましい。
【0039】ハイドロタルサイト化合物としては、特
に、MAl(OH)2x+3y− 2z(A)・a
O(MはMg、CaまたはZn、AはCOまたは
HPO 、x、y、z、aは正数)で示される複塩であ
るハイドロタルサイト化合物を挙げることができる。特
に好適なものとして以下のハイドロタルサイト化合物が
例示される。
【0040】 MgAl(OH)16CO・4HO MgAl(OH)20CO・5HO MgAl(OH)14CO・4HO Mg10Al(OH)22(CO・4HO MgAl(OH)16HPO・4HO CaAl(OH)16CO・4HO ZnAl(OH)16CO・4HO Mg4.5Al(OH)13CO・3.5H
【0041】また、ハイドロタルサイト化合物として、
特開平1−308439号(USP4954557)に
記載されているハイドロタルサイト系固溶体である、
[Mg 0.75Zn0.250.67Al
0.33(OH)(CO0.167・0.45H
Oのようなものも用いることができる。
【0042】高級脂肪族カルボン酸の金属塩とは炭素数
8〜22の高級脂肪酸の金属塩であり、炭素数8〜22
の高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ステアリン酸、ミ
リスチン酸などがあげられ、また金属としては、ナトリ
ウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バ
リウム、アルミニウムなどがあげられる。このうちマグ
ネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属
が好適である。
【0043】これらの高級脂肪族カルボン酸の金属塩、
またはハイドロタルサイト化合物の含有量は、樹脂組成
物の合計重量に対して0.01〜3重量部が好ましく、
より好適には0.05〜2.5重量部である。
【0044】また、本発明に用いられる樹脂組成物に
は、上記の樹脂成分の他に適切な添加剤(例えば、熱安
定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フ
ィラー、他の樹脂など)を本発明の目的が阻害されない
範囲で使用することは自由である。
【0045】プルリング付き注ぎ口とは、消費者が開栓
するまで密封性を保ち、なおかつ易開栓性を与えるため
の注ぎ口である。好ましくは、開栓後の保存時にもバリ
ア性を発現することが出来るように、キャップと注ぎ口
とがヒンジでつながった、いわゆる一体式のプルリング
付き注ぎ口が用いられる。このような、一体式のプルリ
ング付き注ぎ口は、例えば、図1に示される。図1にお
いて、一体式のプルリング付き注ぎ口1は、開栓時に指
を挿入するためのリング2、リング2と栓部8とをつな
ぐ部分3、易開栓性を付与するための薄肉部4を備え、
開栓後の簡易密封性を維持するためのキャップ5と、キ
ャップ5と注ぎ口6とをつなぐヒンジ7とを有してい
る。
【0046】かかるプルリング付き注ぎ口の作成方法と
しては、射出成形の他、圧縮成形法、あらかじめ作成し
たシートを熱成形する方法などが挙げられる。本発明の
プルリング付き注ぎ口の形状は、一般的に複雑であるこ
とから、あらかじめ溶融混練した組成物を射出成型する
方法がもっとも好適である。
【0047】本発明のプルリング付き注ぎ口を作成する
ための樹脂組成物は、適切な溶融混練装置で各成分を溶
融混練することにより容易に得ることができる。溶融混
練する方法に関しては、特に限定されるものではない
が、EVOH(A)、ポリアミド樹脂(B)、オレフィ
ン−不飽和カルボン酸共重合体(C)およびポリオレフ
ィン(D)を同時にあるいは適当な順序で単軸または二
軸スクリュー押出機などでペレット化し乾燥する方法が
挙げられる。
【0048】なかでも、後述する実施例で示されている
ように、まず最初に、ポリアミド樹脂(B)とオレフィ
ン−不飽和カルボン酸共重合体(C)とを溶融混合し、
造粒・乾燥してから、 EVOH(A)とポリオレフィ
ン(D)とにドライブレンドし、単軸または二軸スクリ
ュー押出機などで造粒し、乾燥する方法が好ましい。こ
の理由として、各成分を同時に溶融混練する場合は、相
容性の良い成分同士(例えば、EVOH(A)とポリア
ミド樹脂(B))の混合が優先して進む場合があるため
に、4成分からなる樹脂組成物のモルフォロジーを安定
に制御することが難しいことがある。しかしながら、ポ
リアミド樹脂(B)とオレフィン−不飽和カルボン酸共
重合体(C)とのブレンド物を予め作製しておくことに
より、溶融混合時の条件にあまり影響を受けずに、安定
したEVOH(A)とポリオレフィン(D)の相容化効
果が得られる。
【0049】なお、溶融配合操作においては、ブレンド
が不均一になったり、ゲル、ブツが発生、混入したりす
る可能性があるので、ブレンドペレット化はなるべく混
練度の高い押出機を使用し、ホッパー口を窒素ガスでシ
ールし、低温で押出しすることが望ましい。
【0050】得られた熔融混練ペレットを、所望の金型
を有する、例えば、射出成形機に供給し、射出成形法で
ヒンジ付きキャップのついたプルリング付き注ぎ口が作
成される。
【0051】得られたプルリング付き注ぎ口は、つい
で、容器本体に装着される。プルリング付き注ぎ口を装
着する容器本体の形態は特に限定されない。ガラス瓶、
PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルなどの容
器、アルミ箔やエチレン‐ビニルアルコール共重合体な
どのガスバリア材とポリオレフィンあるいはPETとを
接着層を介して積層した積層包装材を用いて作成した容
器が用いられる。
【0052】プルリング付き注ぎ口を容器本体に装着す
る方法は特に限定されない。例えばスクリューを用いて
締め付ける方法、双方に凹凸を設けて嵌め込む方法、熱
接着法や超音波接着法にて接着する方法などが挙げられ
る。しかし、いずれの場合にも容器のガスバリア性を保
持するために、接合部分は互いに密着させる必要があ
る。
【0053】このようにして得られた包装容器はガスバ
リア性に優れているほか、口部の強度、プルリングの強
度、プルリングの易開封性、リサイクル性に優れるた
め、食品、とくに液状食品(たとえばワイン、酒などの
アルコール類、しょう油等)の容器材料として好適であ
る。
【0054】本発明プルリング付き注ぎ口の製造に用い
られる組成物は、相容性および熱安定性に優れるため、
リサイクル性も良好である。
【0055】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明する
が、これにより何ら限定されるものではない。本実施例
および比較例に使用した樹脂(A)、(B)、(C)お
よび(D)を、それぞれ下記の表1〜表4に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】実施例1〜6、比較例1〜5 表1〜4に記載の樹脂を、表5に記載の配合比率で配合
し、以下の方法で実施例1〜6および比較例1〜5のプ
ルリング付き注ぎ口を作製した。各樹脂をタンブラーで
予備混合後、ニーディングディスクを有する30mmφ
の2軸押出機(日本製鋼所製TEX30:L/D=3
0)を用いてシリンダー温度を、フィード下部を190
℃、混練部及びノズル付近を210℃に設定し、押出機
のローターの回転数は610rpm、フィーダーのモー
ター回転数250rpmで、溶融混練しペレットを得
た。
【0061】次に、図1に示すような成形品を作成する
ための金型を備えた射出成形機に上記ペレットを供給
し、射出成形法によりヒンジ付きキャップのついたプル
リング付き注ぎ口を作成した。このとき射出成形機のシ
リンダー温度は230℃、ノズル温度は220℃とし
た。
【0062】このようにして成形したプルリング付き注
ぎ口の一部を切断し、小片を得た。小片の切断面のEV
OH(A)をヨウ素で染色し、小片の切断面を光学顕微
鏡で観察することにより、EVOH(A)が連続相であ
るか、分散相であるかを判別した。
【0063】成形したプルリング付き注ぎ口の評価は以
下のように行った。 (1)バリア性(酸素透過係数) 樹脂組成物をTダイにより240℃にて溶融押出して厚
み100μmのフィルムを作成した後、絶乾状態とし、
モダン・コントロール社(米国)製Ox−Tran10
/50型酸素透過率測定装置を用いて温度20℃、0%
RHの条件でJISK7126に準じて酸素透過係数
(cc・20μ/m・Day・atm)を求めた。
【0064】(2)キャップ強度 成形したプルリング付き注ぎ口部を−20℃にて12時
間保持して十分に冷却した後、5mの高さから落下させ
て損傷をチェックし、以下の基準で判定した。 判 定: 基 準 ◎ (合 格):変化なし × (不合格):ひび割れ、もしくは破損
【0065】(3)易開封性 100個のプルリング付き注ぎ口について、プルリング
を指で引っ張り開封した。開封時にかかった力による薄
膜部分の切れ方について、以下の基準で判定した。 判 定: 基 準 ◎ (合 格):薄膜部が切れ、容易に開封できる。 (合 格):比較的容易に開封できる。 × (不合格):開封困難、薄膜部からは切れない。
【0066】(4)プルリング強度 100個のプルリング付き注ぎ口について、プルリング
を指で引っ張り開封した。開封時にリングが切れずに、
容易に開封できるかどうかを評価し、以下の基準で判定
した。 判 定: 基 準 ◎ (合 格):指で引っ張っても切れない。 (合 格):かなり強く引っ張ると切れる。 × (不合格):簡単に切れる。
【0067】(5)ヒンジ強度 プルリング付き注ぎ口を5℃にて一日以上放置し、キャ
ップの開閉を200回繰り返し、ヒンジ部の状態をルー
ペにて観察し、以下の基準で判定した。 判 定: 基 準 ◎ (合 格):変化なし。 (合 格):開閉のみでは切れないが、強く捻じると切れる。 × (不合格):開閉により切断。
【0068】(6)リサイクル性 プルリング付き注ぎ口の射出成形時に生じたライナー部
分などのバリを粉砕後、再度射出成形機に仕込み、同条
件でプルリング付き注ぎ口を再度成形した。成形品につ
いて、バリア性の評価を除き、上記の項目を評価した。
【0069】結果を表5に示す。
【0070】
【表5】
【0071】実施例1〜6で得られた本発明のプルリン
グ付き注ぎ口は、バリア性に優れており、落下試験によ
る損傷も見られずキャップ強度も十分であった。さら
に、易開封性、リング強度およびヒンジ強度という機械
強度に優れていた。EVOH(A)が5重量%未満の比
較例1、およびポリオレフィン(D)のみの比較例2
は、ガスバリア性が極端に悪かった。EVOH(A)の
みからなる比較例3および相溶剤であるポリアミド樹脂
(B)とオレフィン−不飽和カルボン酸共重合体(C)
とを使用しない比較例4は、機械強度が不合格であり、
リサイクル性も悪かった。比較例5は、EVOH(A−
2)のエチレン含有量が60モル%を超えているので、
機械的強度は満足するものの、ガスバリア性に劣った。
【0072】
【発明の効果】本発明の、エチレン含有量20〜60モ
ル%、ケン化度90%以上のエチレン−ビニルアルコー
ル共重合体(A)5〜60重量%、ポリアミド樹脂
(B)1〜30重量%、オレフィン−不飽和カルボン酸
共重合体(C)5〜89重量%、およびポリオレフィン
(D)5〜89重量%からなる樹脂組成物をプルリング
付き注ぎ口の形状に成形することにより、機械強度、易
開封性、リサイクル性およびガスバリア性に優れたプル
リング付き注ぎ口が提供される。得られたプルリング付
き注ぎ口は、種々の包装容器に用いられ、上記効果を発
揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒンジ付きキャップのついたプルリング付き注
ぎ口の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 プルリング付き注ぎ口 2 リング 3 リングと栓部のつなぎ 4 易開栓性を付与するための薄肉部 5 キャップ 6 注ぎ口 7 ヒンジ 8 栓部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E084 AB06 BA03 CA01 CB01 CB02 CB04 CC03 CC08 DA01 DB11 DC03 DC08 FA03 FA09 GA06 GB06 GB08 GB17 KB01 LA03 LA18 4J002 BB03W BB03Y BB03Z BB05Z BB07Y BB07Z BB08Y BB08Z BB12Z BB17Z BB22W BB23Y CL00X CL01X CL02X CL03X CL05X GG01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含有量20〜60モル%、ケン
    化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体
    (A)5〜60重量%、ポリアミド樹脂(B)1〜30
    重量%、オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体(C)
    5〜89重量%およびポリオレフィン(D)5〜89重
    量%からなる樹脂組成物を成形してなるプルリング付き
    注ぎ口。
  2. 【請求項2】 前記樹脂組成物中のオレフィン−不飽和
    カルボン酸共重合体(C)及び/又はポリオレフィン
    (D)が連続相を形成し、エチレン−ビニルアルコール
    共重合体(A)が分散相を形成している、請求項1に記
    載のプルリング付き注ぎ口。
  3. 【請求項3】 前記樹脂組成物中のエチレン−ビニルア
    ルコール共重合体(A)が連続相を形成し、オレフィン
    −不飽和カルボン酸共重合体(C)及び/又はポリオレ
    フィン(D)が分散相を形成している、請求項1に記載
    のプルリング付き注ぎ口。
  4. 【請求項4】 前記プルリング付き注ぎ口が、射出成形
    によって成形された注ぎ口である、請求項1ないし3い
    ずれかの項に記載のプルリング付き注ぎ口。
  5. 【請求項5】 前記プルリング付き注ぎ口とヒンジ部で
    結合されたキャップ部とが一体として成形されている請
    求項1ないし4いずれかの項に記載のプルリング付き注
    ぎ口。
  6. 【請求項6】 前記オレフィン−不飽和カルボン酸共重
    合体(C)が、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の
    金属塩である、請求項1ないし5いずれかの項に記載の
    プルリング付き注ぎ口。
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