JP4772157B1 - 唇用化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)グリセリンの付加モル数が4〜10であり、イソステアリン酸残基の数が1〜4個であるイソステアリン酸ポリグリセリル 5〜20質量%と、(b)メチルフェニルシリコーン 20〜60質量%と、(c)ペンタエリスリトールエステル 5〜45質量%を含み、(b)と(c)の合計配合量を30〜70質量%とする。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1では、揮発性炭化水素系溶媒、揮発性炭化水素系溶媒に溶解または分散可能な非揮発性シリコーン化合物、及び揮発性溶媒に溶解し、非揮発性シリコーン化合物と非融和性の非揮発性炭化水素系油を含有し、該非揮発性炭化水素系油が、ある溶解パラメーターを有する耐移り性化粧品組成物が開示されている。
しかしながらこの耐移り性化粧品組成物は、安定性の点で改善の余地があり、ワックス量が多いためリキッド状の使用感が得られず、またつやも不十分である。
特許文献2には、非融和性であるペルフルオロポリエーテル型の非揮発性油と揮発性油を含有する耐移り性を有する口紅組成物が記載されている。この特許文献2では支持体への適用中に油分が分離し、第一組成物の上に油分が移動するようになっている。
しかしながら、第一組成物は、かなりのワックスを配合しており、固形状となるため、つややうるおい感が充分に得られない。また、この系では非融和性の油相を良好に分散させることが難しく、発汗などの安定性の問題を生じる。
特許文献3には、揮発性油分と組み合わせてシリコーン界面活性剤を配合し、顔料を良好に分散させた耐移り性を有するスティック化粧品が開示されている。
しかしながら、このスティック化粧品は揮発性油分の組成物における割合が大きいためマットな仕上がりとなり、唇に乾燥感を生じやすいという欠点がある。
特許文献4には、揮発性油分とシリコーン樹脂を配合した一相型の口紅用組成物が開示されている。
しかしながら、この口紅用組成物は、耐移り性は改善されるものの、揮発性油が蒸発した後に時間が経つと乾燥感が生じやすく、また樹脂の皮膜が唇上に残り、皮膜感や突っ張り感を生じると共に、得られた付着物はマットであるという欠点がある。
特許文献5には、シリコーン系皮膜剤と揮発性シリコーン系油分と非揮発性シリコーン系液状油分と乳化剤とを含む連続相油分と、エステル油分と色材とを含む分散相油分とからなり、分散相油分/(分散相油分+連続相油分)の配合量比が0.05〜0.5である油中油型乳化組成物が記載されている。
しかしながら、この油中油型乳化組成物は色材が分散相に存在するため色むらが生じやすく、更には、この系では経時安定性を保つことが困難な場合がある。
(a)グリセリンの付加モル数が4〜10であり、イソステアリン酸残基の数が1〜4個であるイソステアリン酸ポリグリセリル 5〜20質量%
(b)メチルフェニルシリコーン 20〜60質量%
(c)ペンタエリスリトールエステル 5〜45質量%
この際、分散相は密着性が高いため、塗布すると同時にシリコーン油とエステル油は表層に分離し、ただちに二次付着レス効果を発揮する。
以下、各構成成分について詳細に説明する。
本発明で用いられる成分(a)のイソステアリン酸ポリグリセリルは界面活性剤であり、平均付加モル数が4〜10のポリグリセリンにイソステアリン酸が場所を特定せずに付加したものである。イソステアリン酸は一分子中に、1〜4個、特に2〜4個付加したものが好ましい。また平均付加モル数が5のポリグリセリンが好ましい。
本発明において(a)成分は塗布時には色材を抱え込んで密着油分となり、すみやかに染み出し油分である(b)成分、(c)成分と分離する。
かかるイソステアリン酸ポリグリセリルは、例えば特許第3487881号や特開2006−111539号公報(水酸基価が1200以下であり、全ての水酸基のうち1級水酸基が50%以上であるポリグリセリンと脂肪酸とがエステル化されたポリグリセリン脂肪酸エステル)に記載の方法によって製造することができる。
このうち特に好ましいのは、重合度5のイソステアリン酸ポリグリセリルが(a)成分全量中、40質量%以上であるようなイソステアリン酸ポリグリセリル−5である。
このイソステアリン酸ポリグリセリル−5は種々の公知の合成法により提供され得る。本発明においては、低重合度のポリグリセリンが少なく、かつ重合度の分布が狭いポリグリセリン−5とイソステアリン酸を原料にして得られるイソステアリン酸ポリグリセリル−5が好ましく、特に、グリセリンの重合度が5であるイソステアリン酸ポリグリセリル−5が(a)成分全量中、40質量%以上であるものが好ましい。
また、イソステアリン酸残基は2〜4、特に3のトリイソステアリン酸ポリグリセリル−5が好ましい。
製造方法を例示すると第一工程として、ジグリセリン1モルとして、水酸化ナトリウム1モルを加えて加熱脱水してジグリセリンモノアルコラートを生成し、第二工程として得られたジグリセリンモノアルコラート2モルにジクロロヒドリン1モルを添加して加熱すると重合度5の分布が狭いポリグリセリン1モルを得ることができる。
狭分布のポリグリセリンの製法の詳細については、例えば特許第3487881号に記載されている。
本発明において、成分(b)は、塗布後に成分(a)と分離して表層を形成して二次付着レス効果を発揮すると共に、つやをよくさせるものである。
(b)メチルフェニルシリコーンは、130℃で(a)と混合した時に分離せず、25℃で(a)と混合した時に分離するものが二次付着レス効果のためには好ましく、メチルフェニルシリコーンは一種であっても、二種以上の混合物であっても良い。
(測定条件)
(a)と(b)を、(a):(b)=1:3(質量比)で用いて130℃において攪拌混合した場合と、この混合物を静置し、室温(25℃)になった場合において、境界が均一に2層に分離しているものを「分離する」とし、境界が不均一で白濁もしくは半透明な状態、又は、境界がなく透明な相溶した状態を「分離せず」とした。
そして、これらをメチルフェニルシリコーン全体として上記条件になるような割合で配合したものであることが好ましい。
本発明において、(c)成分であるペンタエリスリトールエステルは(b)成分と同様に、塗布後に(a)成分と分離して表層を形成して二次付着レス効果を発揮すると共に、つやをよくさせるものである。
本発明にかかるペンタエリスリトールエステルとしては、テトラ(安息香酸/2−エチルヘキサン酸)ペンタエリスリット、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/2−エチルヘキサン酸)ペンタエリスリット、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、ヘキサ(12−ヒドロキシステアリン酸)ジペンタエリスリットから選ばれる一種又は二種以上が好ましい。
本発明においては、(d)グリセリンをさらに配合することが好ましい。(d)成分を配合することにより二次付着レス効果は向上する。
(a)イソステアリン酸ポリグリセリルの一部、例えば(a)成分の20〜40質量%をグリセリンに変更して用いることで会合構造を形成し、密着油分の粘度は(a)成分のみを用いた場合よりも高くなる。
(d)グリセリンは、イソステアリン酸ポリグリセリルの製造において原料として用いられるものであるため、イソステアリン酸ポリグリセリルの不純物として含まれる場合があり、別途加える必要がない場合もある。
用いられるワックスとしては、通常化粧料に配合されるものであれば、特に限定されず、例えば、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ビースワックス、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、固形パラフィン、モクロウ、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
本発明で用いられる色材は通常唇用化粧料で用いられるものを配合することができる。
かかる色材としては、口紅に通常用いられる色材であれば良く、粉末状でもレーキ状(油を練り込んだ状態)でもよい。無機顔料であっても、有機顔料であっても、パール剤であってもよい。色材は、化粧料塗布時には(a)イソステアリン酸ポリグリセリルに抱え込まれ、シリコーン油の内側に存在するようになるため、二次付着し難くなる。
色材の配合量は1〜13質量%であり、好ましくは3〜8質量%である。
皮膜剤としては、例えば(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー等が例示される。具体的には、シリコーンKP545(信越化学社製)として、それぞれ商業的に入手可能である。
実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験方法について説明する。
10名の専門パネルによる実使用性試験を行った。評価は、二次付着レス効果について下記の評価点基準に基づいて5段階官能評価(スコア)した。そのスコア平均値により、下記評価基準で判定した。
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
◎◎:評価値(平均値)4.7点以上5.0点以下
◎:評価値(平均値)4.5点以上4.7点未満
○:評価値(平均値)4点以上4.5点未満
○△:評価値(平均値)3.5点以上4点未満
△:評価値(平均値)2.5点以上3.5点未満
×:評価値(平均値)1.0点以上2.5点未満
なお、「−」と表中に記載した例は、安定性が悪く、二次付着レスの効果が測定できないものである。
スティック状にした試料の切断面における色の均一性について、以下の方法で評価した。
○:均一
○△:均一だが、発色が乏しい
△:やや不均一
×:不均一
10名の専門パネルによる実使用性試験を行った。評価は、つやについて下記の評価点基準に基づいて5段階官能評価(スコア)した。そのスコア平均値により、下記評価基準で判定した。
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
◎◎:評価値(平均値)4.7点以上5.0点以下
◎:評価値(平均値)4.5点以上4.7点未満
○:評価値(平均値)4点以上4.5点未満
○△:評価値(平均値)3.5点以上4点未満
△:評価値(平均値)2.5点以上3.5点未満
×:評価値(平均値)1.0点以上2.5点未満
(a)と(b)を混合し、以下の条件で測定した時に、130℃では分離せず、25℃では分離するものを「○」、それ以外のものを「×」とした。
(a)と(b)を、(a):(b)=1:3(質量比)で用いて130℃において攪拌混合した場合と、この混合物を静置し、室温(25℃)になった場合において、境界が均一に2層に分離しているものを「分離する」とし、境界が不均一で白濁もしくは半透明な状態、又は、境界がなく透明な相溶した状態を「分離せず」とした。
5リットルの四ツ口フラスコにジグリセリン3300gと50%水酸化ナトリウム水溶液800gを入れ、窒素気流下で水を除去しながら140℃まで加熱した。水の留出が終わった後ジクロロヒドリン640gを2時間かけて滴下した。滴下後120℃で2時間攪拌する。これを分子蒸留にて過量のジクリセリンを除去後水に希釈して活性炭,イオン交換樹脂で脱色,脱塩し、水を除いてポリグリセリンを得た。本品をTMS化し、GC法により分析を行ったところ、重合度5の成分が60%であった。
得られたポリグリセリン−5をイソステアリン酸と常法により反応させて、イソステアリン酸の付加モル数を変化させたイソステアリン酸ポリグリセリル−5を得た。
次の表1〜3に示す処方で常法により口紅を調製し、二次付着レス効果、安定性および分離状態について、上記した基準で評価した。その結果を併せて表1〜3に示す。イソステアリン酸ポリグリセリル−5は、上記製造例1で得られたものである。
※2:シリコーンKF56(信越化学社製)
※3:メチルフェニルシリコーンFZ3156(東レ・ダウコーニング社製)
※4:シリコーンKF54(信越化学社製)
※5:安息香酸/2−エチルヘキサン酸=2.5モル/1.5モル
※7:(ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン)/(ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン以外の(b)成分)の値(質量比)
※8:ベヘン酸/安息香酸/2−エチルヘキサン酸=1モル/2モル/1モル
※9:パラミックス91(日興リカ社製)
表中、「疎水化処理パール剤」は、チミロンMP−115(メルク社製)を疎水化処理したものである。
Claims (6)
- 次の(a)〜(c)を含み、(b)と(c)の合計配合量が30〜70質量%であり、
前記(b)成分はトリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ジフェニルジメチコンおよびジフェニルシロキシフェニルトリメチコンから選ばれる一種又は二種以上を含み、かつ(b)成分全体として、130℃で(a)と混合した時に分離せず、25℃で(a)と混合した時に分離する一種又は二種以上からなることを特徴とする唇用化粧料。
(a)グリセリンの付加モル数が4〜10であり、イソステアリン酸残基の数が1〜4個であるイソステアリン酸ポリグリセリル 5〜20質量%
(b)メチルフェニルシリコーン 20〜60質量%
(c)ペンタエリスリトールエステル 5〜45質量% - (b)成分中にジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを含むことを特徴とする請求項1に記載の唇用化粧料。
- (b)成分中のジフェニルシロキシフェニルトリメチコンの配合量が、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン/{ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン以外の(b)成分}=0.5〜3.5(質量比)であることを特徴とする請求項2に記載の唇用化粧料。
- さらに(d)グリセリンを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の唇用化粧料。
- (a)成分は、重合度5のイソステアリン酸ポリグリセリルが(a)成分全量中、40質量%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の唇用化粧料。
- (a)成分は、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−5であることを特徴とする請求項5に記載の唇用化粧料。
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