JP2016190810A - 油性口唇化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】乾燥後の負担感や違和感を感じず、二次付着レス性を有し、塗布後のつやが持続を有する油性口唇化粧料の提供。【解決手段】(a)エチルセルロース、(b)総炭素数16〜24の1価の液状アルコール、(c)フェニル変性シリコーン及び(d)揮発性炭化水素油を含有する油性口唇化粧料。【選択図】なし

Description

本発明は油性口唇化粧料に関し、特に二次付着レス効果、塗布膜の負担感のなさ、色持ち、ツヤ持ちに優れた油性口唇化粧料に関するものである。
近年、口紅等の油性口唇化粧料においては、経時による色もち及びツヤもちのよさに加え、口唇に塗布した口紅が衣服やカップに色移りしにくい二次付着レス効果も重要な品質として求められている。これまでにも、経時による色もちやツヤもちのよさや二次付着レス効果を具現化する様々な検討がなされている。例えば、オルガノシロキサン樹脂、特定粘度の流体ジオルガノポリシロキサンポリマー、揮発性油剤とを組み合わせたリップに塗布され、転写抵抗性(二次付着レス)を有する技術(特許文献1)や、モノイソステアリン酸グリセリン、特定のメチルフェニルシリコーン、水又はグリセリン及びワックスとを組み合わせて二次付着レス性を有し、塗布後のつやが持続する唇用化粧料の技術(特許文献2)等があった。
特表2000−501075号公報 国際公開WO2010/113956号公報
しかしながら、特許文献1の技術は、二次付着レス効果には優れるものの、シリコーン樹脂によるフィルムを形成するものであり、乾燥後の負担感を強く感じるものであり、特許文献2の技術は、二次付着レス性を有し、塗布後のつやが持続を有するものの、口唇上での違和感や、負担感を感じることがあった。
本発明は高い二次付着レス効果、塗布膜の負担感のなさ、色持ち、ツヤ持ちに優れた油性口唇化粧料の提供を目的とする。
上記実情を鑑み、本発明者らは、エチルセルロースが柔軟な被膜を形成することに着目し、鋭意検討した結果、エチルセルロースに総炭素数16〜24の1価の液状アルコール、フェニル変性シリコーン、及び揮発性炭化水素油とを組み合わせた油性口唇化粧料が、揮発性炭化水素油の揮発に伴い、塗布後直ちにフェニル変性シリコーンが化粧膜の表層に相分離し、エチルセルロースと炭素数16〜24の1価の液状アルコールが柔軟で均一性の高い層を形成する等により、優れた二次付着レス効果、色持ち、ツヤ持ちに優れ、更には塗布膜に負担感を感じない持続性が高いツヤを発揮することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、次の成分(a)〜(d)、
(a)エチルセルロース
(b)総炭素数16〜24の1価の液状アルコール
(c)フェニル変性シリコーン
(d)揮発性炭化水素油
を含有する油性口唇化粧料である。
本発明は油性口唇化粧料に関し、更に詳しくは、二次付着レス効果、色持ち、ツヤ持ち効果が高く、塗布膜の負担感のない油性化粧料に関するものである。
本発明における成分(a)エチルセルロースは、β−グルコースが縮合重合したセルロースのグルコース単位のヒドロキシル基の一部又は全部をエチルエーテルに置換したものである。本発明において成分(a)は二次付着レス効果に優れながらも、負担感のない膜を形成等することができる。これらの市販品としては、平均置換度が2.46〜2.58のAQUALON EC N−14、50、100(以上、ASHLAND SPECIALTY INGREDIENTS社製)等がある。
成分(a)は重合度により性状が異なるが、本発明における成分(a)は、エチルセルロース:オクチルドデカノール:イソドデカン=5:80:15(質量比)で混合した溶液の25℃における粘度が、10000〜50000mPa・sであるものが好ましく、より好ましくは20000〜40000mPa・sのものであり、更に好ましくは27000〜37000mPa・sのものである。この範囲であると、二次付着レス効果、負担感のなさの点においてより好ましい。また、本発明において成分(a)は、グルコース単位のエチルエーテル置換度が2以上のものであると、均一な膜が得られやすく好ましい。
本発明において、上記成分(a)の粘度は、単一円筒型回転粘度計ビスメトロン(芝浦システム社製)等のブルックフィールド型粘度計を使用して測定された値である。具体的に粘度値は次のようにして測定される。まず、測定試料を外径45mm、内径38mm、高さ82mmのガラス製ビンにエアスペースが生じないように充填し、ふたをして25℃恒温槽にて一昼夜放置する。翌日、単一円筒型回転粘度計ビスメトロン(登録商標)(芝浦システム社製)にて、付属の1号ローターまたは2号ローターを用い、0.3〜30rpmで1分後の測定値を読み取り、各々の乗数を乗したものが粘度値となる。
本発明における成分(a)の含有量は1〜10質量%(以下、%と表す)が好ましく、更に好ましくは4〜8%である。この範囲であると、二次付着レス効果がより好ましい。
本発明における成分(b)は総炭素数16〜24の1価のアルコールであり、25℃で液状のものである。成分(b)は、特に限定されずに用いることができ、本発明において成分(a)を溶解し、二次付着レス効果に優れた、負担感のない膜を形成等することができる。具体的には、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール等があげられ、市販品としては、イソステアリルアルコールEX、リソノール16SP、リソノール18SP、リソノール20SP、リソノール24SP(以上、高級アルコール工業社製)、NOFABLE AO−85S(日油社製)、リカコール90B(新日本理化社製)等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明において成分(b)は、成分(a)を均一に溶解することができる点において、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノールであるが好ましい。
本発明における成分(b)の含有量は、15〜55%が好ましく、更に好ましくは20〜50%である。この範囲であると、二次付着レス、色持ち、ツヤ持ちがより好ましい。
本発明の油性口唇化粧料における、成分(a)と(b)は、質量比(a):(b)=1:3〜1:10で含有すると、二次付着レス効果の点においてより好ましい。
本発明における成分(c)フェニル変性シリコーンは、ポリシロキサンの一部にフェニル基を有するものである。成分(c)は、通常化粧料に用いられるものであれば、特に限定されずに用いることができる。具体的には、フェニルメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン等が挙げられ、市販品としてはKF−50−100cs/1000cs、KF−53、KF−54、KF−56A、KF−54HV、(以上、信越化学工業社製)、SH−556 Fluid、PH−1555 HRI Cosmetic Fluid、FZ−3156(以上東レ・ダウコ−ニング社製)、PDM20、PDM100(以上、旭化成ワッカーシリコーン社製)等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明における成分(c)の含有量は20〜50%が好ましく、更に好ましくは25〜40%である。この範囲であると、二次付着レス効果の点においてより好ましい。
本発明における成分(d)揮発性炭化水素油は、常圧における沸点が260℃以下の炭化水素油であり、特に限定されずに用いることができ、具体的には、軽質イソパラフィン、イソヘキサデカン、イソドデカン等が挙げられ、市販品としてはIPソルベント 1620MU(出光興産社製)、マルカゾールR(丸善石油社製)、PERMETHYL 99A(PRESPERSE社製)等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。成分(a)(b)と、成分(c)を相分離を発現させ、本発明の効果を奏することができる。
本発明における成分(d)の含有量は2〜15%が好ましく、更に好ましくは3〜10%である。この範囲であると、二次付着効果の点においてより好ましい。
本発明の油性口唇化粧料には、更に成分(e)として、デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルを含有することができる。
成分(e)のデキストリンへの脂肪酸の置換度は、グルコース単位当たり1.0〜3.0でるが、好ましくは1.2〜2.8である。この置換度が1.0未満であると液状油等への溶解温度が100℃以上と高くなり、着色や特異な臭いが生じ、好ましくない。
本発明の成分(e)のデキストリン脂肪酸エステルは、次の特性を有する。
(1)液状油に混合したときに液状油がゲル化しない。
「液状油がゲル化しない」とは、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mPa・sである流動パラフィンを液状油とする場合、デキストリン脂肪酸エステルを5質量%含有する該流動パラフィンを100℃で溶解し、24時間後25℃で粘度を測定したとき、粘度が、Yamco DIGITAL VISCOMATE粘度計VM−100A(振動式)(山一電機社製)の検出限界以下であることを意味する。なお、ゲル化する場合には、粘度が検出されることで確認できる。
(2)成分(e)のデキストリン脂肪酸エステルが形成する皮膜が特定範囲のタック性を有する。
「タック性」を、支持体に該デキストリン脂肪酸エステルを塗布し、もうひとつの支持体を相互に離れた状態から面接触させた後に、後退させて別離させ、後退を開始してから完全に別離するまでの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)で表す場合、該デキストリン脂肪酸エステルを40質量%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザー、たとえば、テクスチャーアナライザーTA.XTplus(Stable Micro Systems社製)を用いて、プローブとして直径12.5mm円柱状のポリアセタール樹脂(Delrin(登録商標)デュポン社製)製プローブを使用し、100gの荷重をかけ10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの荷重変化、すなわちタック性が30〜1,000gである。
成分(e)のデキストリン脂肪酸エステルに用いられるデキストリンは、グルコース平均重合度3〜150、特に10〜100のデキストリンが好ましい。グルコース平均重合度が2以下では、得られたデキストリン脂肪酸エステルがワックス様となって油剤への溶解性が低下する。また、グルコース平均重合度が150を超えると、デキストリン脂肪酸エステルの油剤への溶解温度が高くなる、又は溶解性が悪くなる等の問題を生ずることがある。デキストリンの糖鎖は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
成分(e)のデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸は、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を必須とし、さらに炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸、及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、これら炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸以外の脂肪酸をまとめて表すときは「その他の脂肪酸」という)を含有してもよいものである。
脂肪酸の組成割合は、全脂肪酸に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上が50mol%より多く100mol%以下、好ましくは55mol%以上100mol%以下であり、その他の脂肪酸は、0mol%以上50mol%未満、好ましくは、0mol%以上45mol%以下である。
炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸としては、例えば、イソ酪酸、イソ吉草酸、2−エチル酪酸、エチルメチル酢酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、イソヘキサコサン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜選択又は組み合わせて使用することができる。これらのうち、炭素数12〜22のものが好ましく、特にイソステアリン酸が好ましく、構造の違い等の限定は特にない。
本発明において、イソステアリン酸とは、分岐したステアリン酸の1種、又は2種以上の混合物を意味する。例えば5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−オクタン酸は、イソブチレン2量体のオキソ反応により炭素数9の分岐アルデヒドとし、次いでこのアルデヒドのアルドール縮合により炭素数18の分岐不飽和アルデヒドとし、次いで水素添加、酸化することにより製造することができ(以下、「アルドール縮合型」と略す)、これは例えば日産化学工業社より市販されている。2−ヘプチルウンデカン酸はノニルアルコールをガーベット反応(Guerbet反応、ゲルベ反応ともいう)により二量化し、酸化することにより製造することができ、これは例えば三菱化学社より市販されており、分岐位置の若干異なる類似混合物として、日産化学工業社より市販され、さらに出発アルコールが直鎖飽和ではない2箇所メチル分岐したタイプも同様に日産化学社より市販されている(以下総じて「ガーベット反応型」と略す)。また、メチル分岐イソステアリン酸は、例えばオレイン酸のダイマー製造時の副産物として得られるもので〔例えばJ.Amer.Oil Chem.Soc.,51,522(1974)に記載〕、例えば米国エメリー社などから市販されていたものがあげられる(以下「エメリー型」と略す)。エメリー型イソステアリン酸の出発物質であるダイマー酸のさらに出発物質は、オレイン酸だけでなく、リノール酸、リノレン酸等も含まれる場合がある。本発明においては特にこのエメリー型がより好ましい。
また、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、酢酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜、選択又は組み合わせて使用することができる。これらの中でも、炭素数8〜22のものが好ましく、特に炭素数12〜22のものが好ましい。
炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸としては、例えば、モノエン不飽和脂肪酸としては、シス−4−デセン(オブツシル)酸、9−デセン(カプロレイン)酸、シス−4−ドデセン(リンデル)酸、シス−4−テトラデセン(ツズ)酸、シス−5−テトラデセン(フィセテリン)酸、シス−9−テトラデセン(ミリストレイン)酸、シス−6−ヘキサデセン酸、シス−9−ヘキサデセン(パルミトレイン)酸、シス−9−オクタデセン(オレイン)酸、トランス−9−オクタデセン酸(エライジン酸)、シス−11−オクタデセン(アスクレピン)酸、シス−11−エイコセン(ゴンドレイン)酸、シス−17−ヘキサコセン(キシメン)酸、シス−21−トリアコンテン(ルメクエン)酸等が挙げられ、ポリエン不飽和脂肪酸としては、ソルビン酸、リノール酸、ヒラゴ酸、プニカ酸、リノレン酸、γ−リノレン酸、モロクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、EPA、イワシ酸、DHA、ニシン酸、ステアロール酸、クレペニン酸、キシメニン酸等が挙げられる。
炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸は、環状構造を基本骨格の少なくとも一部に有する炭素数6〜30の飽和又は不飽和脂肪酸を意味し、例えば9,10−メチレン−9−オクタデセン酸;アレプリル酸、アレプリン酸、ゴルリン酸、α−シクロペンチル酸、α−シクロヘキシル酸、α−シクロペンチルエチル酸、α−シクロヘキシルメチル酸、ω−シクロヘキシル酸、5(6)−カルボキシ−4−ヘキシル−2−シクロヘキセン−1−オクタン酸、マルバリン酸、ステルクリン酸、ヒドノカルピン酸、ショールムーグリン酸などが挙げられる。
次に、成分(e)のデキストリン脂肪酸エステルの製造方法について説明する。
製造方法としては、特に限定されず、公知の製法を採用することができるが、たとえば以下のようにして製造することができる。
(1)グルコースの平均重合度が3〜150であるデキストリンと、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を全脂肪酸誘導体に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、これらの脂肪酸誘導体をまとめて表すときは「その他の脂肪酸誘導体」という)を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満を含有する脂肪酸誘導体とを反応させる。
(2)グルコースの平均重合度が3〜150であるデキストリンと、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上とを反応させ、次いで、その生成物とその他の脂肪酸誘導体とを反応させる。その場合、全脂肪酸誘導体に対して炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、その他の脂肪酸誘導体を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満使用する。
上記デキストリンとのエステル化反応に使用される脂肪酸誘導体としては、例えば、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等が用いられる。
(1)及び(2)のいずれの場合も、まず、デキストリンを反応溶媒に分散し、必要に応じて触媒を添加する。これに、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等を添加して反応させる。(1)の製造法の場合は、これらの酸を混合して同時に添加反応させ、(2)の製造法の場合は、まず反応性の低い分岐飽和脂肪酸誘導体を反応させた後、次いでその他の脂肪酸誘導体を添加反応させる。
成分(e)の製造にあたり、これらのうちの好ましい方法を採用することができる。反応溶媒にはジメチルホルムアミド、ホルムアミド等のホルムアミド系;アセトアミド系;ケトン系;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物系;ジオキサン等の溶剤を適宜使用することができる。反応触媒としてはピリジン、ピコリン等の3級アミノ化合物などを用いることができる。反応温度は原料脂肪酸等により適宜選択されるが、0℃〜100℃の温度が好ましい。このような成分(e)の市販品としては、分岐脂肪酸としてイソステアリン酸を50mol%より多く含むユニフィルマHVY(千葉製粉社製)等が挙げられる。本発明において、成分(e)の含有量は、1〜10%が好ましく、更に好ましくは3〜7%である。この範囲であると、色持ちの点において好ましい。
参考製造例1:成分(e)のデキストリン脂肪酸エステル
以下に本発明に用いる成分(e)の参考製造例を示す。また、下記方法で置換度、構成脂肪酸のmol%を求めた。
(置換度、構成脂肪酸のmol%の測定方法)
参考製造例1のデキストリン脂肪酸エステルのIRスペクトルを測定し、アルカリ分解後の脂肪酸量とガスクロマトグラフィーから、置換度と、構成脂肪酸のmol%を求めた。
平均グルコース重合度30のデキストリン21.41g(0.132mol)をジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62g(0.666mol)とからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)120g(0.396mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質107gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
尚、エメリー型の出発原料はコグニス社製のEMARSOL873を用いた。本原料の脂肪酸組成は分岐飽和脂肪酸が60mol%、その他の脂肪酸が40mol%(パルミチン酸10mol%を含む)のものを用いた。(以下同様)
得られた参考製造例1のデキストリン脂肪酸エステルは、置換度は2.2、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)であった。
本発明の油性口唇化粧料は、本発明の効果を妨げない範囲であれば、上記成分(a)〜(e)の他に、通常化粧料に配合される成分として、油性成分、多価アルコール、水溶性高分子、保湿剤等の水性成分、粉体、界面活性剤、美容成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、香料等を含有することができる。
油性成分としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、ワセリン、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、オゾケライトワックス等の非液状の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ゲイロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス等のロウ類、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル等の非液状のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、アルキル変性ポリシロキサンポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール類のラノリン誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸デキストリン、12−ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができる。
水性成分としては、水および水に可溶な通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、水の他に、例えば、エチルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のもの、他にタンパク質、ムコ多糖類、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができる。
粉体としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、酸化チタン、黒色酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、合成金雲母、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス等の無機粉体類や、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸アルキル、オルガノポリシロキサンエラストマー、ポリメチルセスキオキサン、架橋型シリコーン・網状シリコーンブロック共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレン、ウレタン、ウール、シルク、結晶セルロース、N−アシルリジン等の有機粉体類や、有機タール系顔料、有機色素等のレーキ顔料等の色素粉体類や、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有無水ケイ酸、酸化亜鉛含有無水ケイ酸、酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン被覆合成金雲母、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン等の複合粉体類や、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末などの積層フィルム末類等が挙げられる。また、これらの粉体をフッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、アミノ酸、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種または2種以上を用いて表面処理を施してあってもよい。
活性剤としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、グリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、レシチン等を挙げることができ、これらを1種または2種以上用いることができる。
酸化防止剤としては、例えば、α−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、ペンタンジオール等、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン、トリアジン系、オキシベンゾン等を挙げることができ、これらを1種または2種以上用いることができる。
本発明の油性口唇化粧料は、油性成分を主成分としたものであり、水性成分を含有しないか、1%未満含有するものである。液状、ペースト状、固形状等のいずれの形状にも限定されないが、25℃で流動性を有する液状であることが好ましい。また、口紅、リップグロス、リップクリーム、リップエッセンス等に用いることができ、二次付着レス効果や、色持ち、ツヤ持ち効果に優れることから口紅、リップグロス等のメークアップ化粧料に好適に用いることができる。
実施例1〜10及び比較例1〜6:口紅(液状)
表1及び2に示す組成の口紅を下記の製造方法により調製し、各試料を、(イ)二次付着レス効果、(ロ)負担感のなさ、(ハ)ツヤ持ち、(ニ)色持ちについて下記評価方法にて評価し、その結果も併せて表1及び2に示した。
※1 AQUALON EC−N14(ASHLAND社製)
※2 AQUALON EC−N50(ASHLAND社製)
※3 AQUALON EC−N100(ASHLAND社製)
※4 参考製造例1
※5 リソノール 20SP(高級アルコール工業社製)
※6 リソノール 24SP(高級アルコール工業社製)
※7 リソカスタIOHS(高級アルコール工業社製)
※8 サラコス913(日清オイリオグループ社製)
(製造方法)
A.成分(1)〜(9)を120℃にて加熱溶解後、成分(10)〜(18)を加えて均一に混合する。
B.Aに成分(19)及び(20)を加えて均一に混合する。
C.Bを脱泡後、塗布体付容器に流し込み充填し、冷却する。
(評価方法)
(イ)二次付着レス効果
各試料を、唇に塗布し、陶器のカップ(白色)で水を飲み、カップについた跡を目視にて評価し、下記判定基準により判定した。
<判定基準>
(評価) :(判定)
カップに全く色が付かない: ◎
カップに僅かに色が付く : ○
カップに明らか色が付く : ×
(ロ)負担感のなさ、(ハ)ツヤ持ち、(ニ)色持ち
専門パネル10名が各試料を使用し、(ロ)は唇に負担感を感じないかどうか、使用後3時間後の化粧膜の状態について(ハ)ツヤがなくなっていないかどうか、(ニ)は色落ちしていないかどうかについて下記絶対評価基準にて評価し評点をつけ、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記判定基準により判定した。
<評価基準>
(評点):(評価)
6点 :非常に良好
5点 :良好
4点 :やや良好
3点 :普通
2点 :やや不良
1点 :不良
<判定基準>
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える
○ :3.5点を超え、5点以下
△ :2点を超え、3.5点以下
× :2点以下
表1及び2の結果から明らかな如く、実施例1〜10の口紅は、二次付着レス効果、負担感のなさ、ツヤ持ち効果、色持ち効果全てにおいて良好なものであった。一方、(d)を含有しない比較例1と成分(d)の代わりに揮発性シリコーンを含有する比較例6は、成分(a)が十分に溶解されずに相が柔らかく、成分(c)の相分離が十分ではなく二次付着レス効果に劣るものであった。成分(a)の代わりに、トリメチルシロキシケイ酸を含有する比較例2は、相分離が起きず、また成分(b)を含有しない比較例3、4は、成分(a)が溶解されずに、すべての項目に劣るものであった。成分(c)の代わりにジメチルポリシロキサンを含有する比較例5は、化粧膜の均一性に欠け、ツヤにも欠けるもであった。
実施例11:リップグロス(液状)
成分名 (%)
1.エチルセルロース ※2 6
2.オクチルドデカノール ※5 30
3.トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
4.ジフェニルジメチコン(400mPa・s) 20
5.トリメチルシロキフェニルジメチコン(1000mPa・s)※9 10
6.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 5
7.イソドデカン 10
8.ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物 ※10 3
9.成分(e)のデキストリン脂肪酸エステル ※11 3
10.ホホバ油 5
11.赤202号 1
12.黄色4号 1
13.酸化チタン 2
14.酸化防止剤(BHT) 0.01
15.防腐剤(フェノキシエタノール) 0.3
16.ガラス末 ※12 1
17.(PET/ポリメタクリル酸メチル)ラミネート ※13 1

※9 BELSIL PDM 1000(旭化成ワッカーシリコーン社製)
※10 LUSPLAN DD−DHR(日本精化社製)
※11 ユニフィルマ HVY(千葉製粉社製)
※12 マイクログラスメタシャインMT1080RY(日本板硝子社製)
※13 オーロラフレークレッド 0.05(角八魚鱗箔社製)
(製造方法)
A.成分(1)〜(4)を110℃〜120℃にて加熱溶解後、成分(5)〜(15)を加えて均一に混合する。
B.Aに成分(16)及び(17)を加えて均一に混合する。
C.Bを脱泡後、チューブ容器に流し込み充填し、冷却して成型する。
得られたリップグロスは、二次付着レス効果、負担感のなさ、ツヤ持ち効果、色持ち効果に満足のいくものであった。

Claims (5)

  1. 次の成分(a)〜(d);
    (a)エチルセルロース
    (b)総炭素数16〜24の1価の液状アルコール
    (c)フェニル変性シリコーン
    (d)揮発性炭化水素油
    を含有する油性口唇化粧料。
  2. 前記成分(a)を1〜10質量%、成分(b)を15〜55質量%含有する請求項1記載の油性口唇化粧料。
  3. 前記成分(a)と(b)を質量比(a):(b)=1:3〜1:10で含有する請求項1又は2記載の油性口唇化粧料。
  4. さらに成分(e)として、デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の油性口唇化粧料。
  5. 前記油性口唇化粧料が液状である請求項1〜4のいずれかに記載の油性口唇化粧料。
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