JP5539756B2 - 油性液状口唇化粧料 - Google Patents
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したがって、ツヤ感、化粧持続性、伸びの軽さ、そしてべたつきのなさを全て併せもつ油性液状口唇化粧料の開発が望まれていた。
成分(A)および成分(B)は共に付着性が高く、それに加えて成分(A)はツヤ感の高い化粧膜を、成分(B)はべたつきのない化粧膜を形成する特徴がある。本発明者らは、両者を組み合わせることで、強固でありながらツヤ感に優れ、べたつきのない化粧膜を作ると考え、成分(B)を相溶性の良い成分(D)に予め溶解させた後に他の成分と混合することにより、透明性とツヤを損なわずに安定配合できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に用いられる成分(A)のロジンの多価アルコールエステルは、本発明の油性液状口唇化粧料において化粧持続性を向上させる目的で配合されているものであるが、ツヤ感を付与する効果もある。
このようなロジンの多価アルコールエステルとしては、ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンの1種又は2種以上と、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコールとのエステル等が挙げられる。この中でも特に、ロジンの主成分であるアビエチン酸を水素添加して得られるジヒドロアビエチン酸やテトラヒドロアビエチン酸とグリセリンをエステル化して得られる水添ロジングリセリンエステルおよび/又は、不均化ロジンを水素添加反応してグリセリンとエステル化して得られる不均化ロジングリセリンエステルが、べたつきのなさと付着性および化粧持続性に優れる点で好ましい。市販品としてはパインクリスタルKE―311、KE―100、エステルガムH、スーパーエステルA−75、A−100(以上、荒川化学工業社製)等が挙げられる。
このような有機シリコーン樹脂は、通常化粧料に用いられるものであればいずれのものも使用することができるが、具体的には、トリメチルシロキシケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサン、アクリル−シリコーングラフト共重合体、長鎖アルキル変性アクリル−シリコーングラフト共重合体、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。トリメチルシロキシケイ酸は、市販品としてはSR1000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、シリコーン油で溶解した溶液としてはKF−7312K(60%低粘度メチルポリシロキサン溶液、信越化学工業社製)等が挙げられる。またポリメチルシルセスキオキサンは、R1SiO1.5単位とR2 3SiO0.5単位(式中、R1、R2は置換又は非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂であり、市販品としては、SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
このような高粘性油剤としては、通常化粧料に使用されるものであればいずれのものも使用することができ、例えば、重質流動イソパラフィン、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマーなどの高粘性炭化水素油、ノナイソステアリン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステルやジペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどの高粘度エステル油、高重合度のジメチルポリシロキサンやメチルフェニルポリシロキサンなどの高粘性シリコーン油などがあげられる。これらの中で特に好ましいものは重質流動イソパラフィンおよびポリブテンである。市販品としては、パールリーム18(30℃動粘度30,000mm2/s)、パールリーム24(30℃動粘度90,000mm2/s)、パールリーム46(30℃動粘度600,000mm2/s)、(以上、日本油脂社製)、ポリブテン2000H(30℃動粘度400,000mm2/s)、ポリブテン100R(30℃動粘度30,000mm2/s)(出光興産社製)、精製ポリブテンHV100F(SB)(30℃動粘度31,000mm2/s)(日本ナチュラルプロダクツ社製)等を例示することができる。これらの1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
本発明において、粘度値は「単一円筒型回転粘度計−ビスメトロン」(芝浦システム社製)を用いて測定した値である。
ここで成分(B)を溶解するとは、成分(D)に対して成分(B)が少なくとも0.5%溶解しており、さらに室温において透明な状態であることをいい、選ばれる成分(B)に応じて適宜、成分(D)を選ぶことができる。この際成分(D)は、30℃における動粘度が5000mm2/s以下のものが好ましい。
成分(D)の分子量250〜700のエステル油は、具体的には、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、イソノナン酸イソトリデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸ミリスチル、炭酸ジアルキル、トリメリト酸トリデシル等が挙げられ、分子量250〜700の炭化水素油は例えば、イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、スクワランなどが挙げられ、分子量600〜30,000の不揮発性シリコーン油は例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン等が挙げられる
またこれらの中で、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジメチルポリシロキサン、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマーが成分(B)との相溶性と伸びの軽さという点で好ましい。市販品としては、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルとしてはMYRITOL GTEH(コグニスジャパン社製)、TRIFAT S−308(日光ケミカルズ社製)、イソノナン酸イソトリデシルとしてはSUPER REFINED CRODAMOL TN−LQ−(JP)(クローダジャパン社製)、サラコス913(日清オイリオグループ社製)、2−エチルヘキサン酸セチルとしてはニッコールCIO(日光ケミカルズ社製)、サラコス816T(日清オイリオグループ社製)、リンゴ酸ジイソステアリルとしてはコスモール222(日清オイリオグループ社製)、ジメチルポリシロキサンとしてはKF−96A−6cs、KF−96A−10cs、KF−96A−20cs、KF−96A−30cs、KF−96A−50cs、KF−96A−100cs、KF−96A−1000cs(以上、信越化学工業社製)、流動パラフィンとしてはKLEAROL(SONNEBORN社製)、ハイコールK−230、ハイコールK−350(以上、カネダ社製)、α−オレフィンオリゴマーとしてはSILKFLO 364 NF(LIPO CHEMICALS社製)、ノムコートHP−30(日清オイリオグループ社製)が挙げられる。分子量は、例えばエステル油であれば構造から、ジメチルポリシロキサンであれば、粘度換算等から求めることができる。
また、成分(B)の有機シリコーン樹脂の配合量に応じて成分(D)の配合量を調整し、(B)と(D)の配合量の質量比率が1/20〜1/1の範囲であると、透明な均一相となり、高温での経時安定性の良いものが得られる。さらに成分(B)を成分(D)に予め溶解させた後、配合することが好ましい。
水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のもの、他にタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。
また、本発明の油性液状口唇化粧料はツヤ感の点から、揮発性油を含まないことが好ましいが、揮発性油を含む場合は5%未満が好ましい。ここで揮発性油とは、1気圧、25℃において揮発性のものをいい、具体的には、軽質流動イソパラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
下記表1及び表2に示す組成のリップグロスを下記製造方法により調製し、(イ)塗布時の伸びの軽さ、(ロ)ツヤ感、(ハ)べたつきのなさ、(ニ)経時での化粧持続性(ツヤ)、(ホ)経時での化粧持続性(色)、の各項目について、以下に示す評価方法により評価し、結果を併せて表1及び表2に示した。
*2:エステルガムHP(荒川化学工業社製)
*3:パールリーム18(日本油脂社製)
*4:精製ポリブテンHV−100F(SB)(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*5:SR1000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
*6:SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
*7:MYRITOL GTEH(コグニスジャパン社製)
*8:KF−96A(20cs)(信越化学工業社製)
*9:コスモール43V(日清オイリオグループ社製)
*10:レオパールKL2(千葉製粉社製)
*11:AEROSIL R976S(日本アエロジル社製)
*12:メタシャイン1080RC−R(日本板硝子社製)
A:成分(1)〜(4)を120℃で均一に混合溶解する。
B:成分(5)〜(8)を90℃で均一に混合溶解する。
C:AにBおよび(9)〜(15)を加え、均一に分散する。
D:Cを脱泡後、90℃にて塗布体付き容器に流し込み、冷却してリップグロス(油性液状)を得た。
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
各試料について専門パネル20名による使用テストを行い、下記(a)6段階絶対評価にて評価し、評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記(b)4段階判定基準により判定した。化粧持続性に関する(ニ)および(ホ)の項目については試料塗布後通常の生活をしてもらい5時間後に測定した。
(イ)塗布時の伸びの軽さ
(ロ)ツヤ感
(ハ)べたつきのなさ
(ニ)経時での化粧持続性(ツヤ)
(ホ)経時での化粧持続性(色)
(評点):(評価)
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
(b)4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:5点を超える
○:3点を超える5点以下
△:2点を超える3点以下
×:2点以下
これら実施例に対して、成分(A)の配合されていない比較例1では特にツヤ感と化粧持続性において満足できるものが得られなかった。また、成分(B)の配合されていない比較例2では化粧持続性とべたつきのなさにおいて満足できるものが得られなかった。また、成分(C)の配合されていない比較例3では化粧持続性において満足できるものが得られなかった。また成分(D)の配合されていない比較例4では、相溶性の悪い成分(B)が完全溶解せず白濁した状態となり、全ての官能評価項目において非常に劣るものであった。
(成分) (%)
1.水添アビエチン酸グリセリル*1 5
2.エチレン・プロピレンコポリマー*13 3
3.重質流動イソパラフィン*3 30
4.トリイソステアリン酸ジグリセリル*9 残量
5.トリメチルシロキシケイ酸*5 5
6.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル*7 40
7.無水ケイ酸*11 1
8.酸化チタン被覆ガラスフレーク*12 0.1
9.酸化チタン被覆合成金雲母*14 0.1
10.ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート
積層フィルム末*15 0.1
11.雲母チタン 0.3
12.炭酸カルシウム 0.5
13.赤色202号 0.2
14.フェノキシエタノール 0.5
15.ジブチルヒドロキシトルエン 0.01
*13:EP700(Baker Petrolite社製)
*14:プロミネンス SF(トピー工業社製)
*15:オーロラフレーク レッド 0.01(角八魚鱗箔社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(4)を120℃で均一に混合溶解する。
B:成分(5)、(6)を90℃で均一に混合溶解する。
C:AにBおよび(7)〜(15)を加え、均一に分散する。
D:Cを容器に充填し、口紅(油性液状)を得た。
実施例9の口紅は、塗布時の伸びが軽く、仕上がりのべたつき感もなく、ツヤ感と経時での化粧持続性(色持ちとツヤ持ち)に優れた口紅であった。
(成分) (%)
1.水添アビエチン酸グリセリル*1 3
2.パルミチン酸デキストリン*10 5
3.重質流動イソパラフィン*3 30
4.ワセリン 10
5.トリメチルシロキシケイ酸*5 3
6.流動パラフィン*16 残量
7.リンゴ酸ジイソステアリル*17 30
8.無水ケイ酸*11 2
9.パラオキシ安息香酸メチル 0.01
10.酢酸トコフェロール 0.02
*16:KLEAROL(SONNEBORN社製)
*17:コスモール222(日清オイリオグループ社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(4)を120℃で均一に混合溶解する。
B:成分(5)〜(7)を90℃で均一に混合溶解する。
C:AにBおよび(8)〜(10)を加え、均一に分散する。
D:Cを容器に充填し、リップクリームを得た。
実施例10のリップクリームは、塗布時の伸びが軽く、仕上がりのべたつき感もなく、ツヤ感と経時での化粧持続性(ツヤ持ち)に優れたリップクリームであった。
(成分) (%)
1.水添アビエチン酸グリセリル*1 3
2.パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸デキストリン*18 5
3.パルミチン酸デキストリン*10 5
4.重質流動イソパラフィン*19 20
5.ポリブテン*4 10
6.トリイソステアリン酸ジリグリセリル*9 残量
7.トリメリト酸トリトリデシル*20 5
8.メチルフェニルポリシロキサン*21 5
9.トリメチルシロキシケイ酸*5 3
10.リンゴ酸ジイソステアリル*15 10
11.メタクリル変性ジメチルポリシロキサンの
30%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液*22 3
12.無水ケイ酸*11 3
13.1,2−ペンタンジオール 0.5
14.ジブチルヒドロキシトルエン 0.01
*18:レオパールTT2(千葉製粉社製)
*19:パールリーム24(日本油脂社製)
*20:LIPONATE TDTM(LIPO CHEMICALS社製)
*21:KF−54(信越化学工業社製)
*22:KP−545(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(8)を120℃で均一に混合溶解する。
B:成分(9)、(10)を90℃で均一に混合溶解する。
C:AにBおよび(11)〜(14)を加え、均一に分散する。
D:Cを容器に充填し、口紅下地を得た。
実施例11の口紅下地は、塗布時の伸びが軽く、仕上がりのべたつき感もなく、ツヤは少し劣るものの、経時での化粧持続性(ツヤ持ち)に優れた口紅下地であった。
Claims (5)
- 次の成分(A)〜(D)、
(A)ロジンの多価アルコールエステル;
(B)トリメチルシロキシケイ酸およびポリメチルシルセスキオキサンからなる群から選ばれる有機シリコーン樹脂の1種または2種;
(C)30℃における動粘度が10,000mm2/s以上の液状油;
(D)分子量250〜700のエステル油、分子量250〜700の炭化水素油、分子量600〜30,000の不揮発性シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上の成分(B)を溶解する液状油;
を配合し、前記成分(C)の配合量が20〜80質量%であり、前記成分(B)と(D)の配合量の質量比率が1/20〜1/1であることを特徴とする油性液状口唇化粧料。 - 前記成分(B)を(D)に予め溶解させた後、他の成分と混合して得られるものである請求項1に記載の油性液状口唇化粧料。
- 前記成分(A)が、ロジンとグリセリンとのエステルであって、該ロジンが水添および/又は不均化されているロジンエステル化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の油性液状口唇化粧料。
- 前記成分(A)を0.5〜30質量%、(B)を0.5〜30質量%、(C)を20〜80質量%、(D)を0.5〜80質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油性液状口唇化粧料。
- 前記化粧料中の揮発性油が5質量%未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油性液状口唇化粧料。
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