JP5661304B2 - 口唇用化粧料 - Google Patents
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また、シワなどの形態トラブルを効果的に隠して唇のシワを目立たなくするために、特定の性質を有する板状複合粉末と球状複合粉末を組み合わせて配合する技術が検討されている(例えば特許文献2)。
一方、化粧料にショ糖エステルを配合する技術が検討され、いくつかその例が挙げられる。例えば、ショ糖の分岐脂肪酸エステルを配合して化粧もちを改善した粉体含有化粧料の技術(例えば特許文献3)や、HLB12以下のショ糖脂肪酸エステルを粉体含有油性固形化粧料に配合することにより、溶融充填性が良好でマットな質感が得られる技術(例えば特許文献4)などが挙げられる。
従来の技術のうち、高粘性油剤や高屈折率油剤を配合する技術は、唇にツヤやうるおい感を付与することは可能であるが、その効果は健常な唇で表面の平滑性がある程度備わっている唇に対して発現するもので、唇のシワの凹凸が目立つ場合や、荒れてささくれだった場合などの不均一な唇表面に適用した場合の効果は、満足のいくものではなかった。シワなどの形態トラブルを効果的に隠して唇のシワを目立たなくするために、特定の性質を有する板状複合粉末と球状複合粉末を組み合わせて配合する技術は、ツヤやうるおい感とその効果の持続性があるものではなかった。
さらに、ショ糖脂肪酸エステルを化粧料に配合する技術で得られる効果は、化粧持ちやパウダリーな使用感であり、いずれの技術も本発明の高いツヤ感やうるおい感とは異なるものであった。
本発明に用いられる成分(a)のエステル置換度が3〜6である12−ヒドロキシステアリン酸ショ糖エステルは、ショ糖の6個の水酸基のうち3〜6個が12−ヒドロキシステアリン酸とのエステルを形成したものである。12−ヒドロキシステアリン酸のエステル置換度が3より少ないものであると、成分(b)および成分(c)との相溶性が悪くなり本発明には適さない。本発明に用いられる成分(a)の12−ヒドロキシステアリン酸ショ糖エステルは、本発明の口唇用化粧料において、唇の凹凸や荒れてささくれ立った唇表面を覆うに十分な厚みのある塗布膜を形成して唇のシワなどの凹凸を目立たなくする効果や、塗布後に油剤が浮き出てくるようなツヤ感に優れ、さらに水分閉塞効果を高めることによるうるおい感を付与する効果を有する。市販品としては、CRODESTA 5−HS、CRODESTA 4−HS(以上、クローダジャパン社製)等が挙げられる。
成分(c)のうち、ジグリセリンとイソステアリン酸のエステルは、エステル置換度が2以上であるジグリセリン脂肪酸エステルであり、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリルが挙げられる。市販品としては、コスモール42V、コスモール43V、コスモール44V(以上、日清オイリオグループ社製)等が例示でき、これらを使用することができる。
成分(c)のうち、グリセリン重合度が7〜11で、脂肪酸が炭素数16〜20の分岐脂肪酸であり、エステル化率が65%以上の室温で液状のポリグリセリン脂肪酸エステルは、重合して環を形成していても良いが、好ましくは、鎖状にグリセリンが重合したものである。さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、上記のように炭素数16〜20の分岐脂肪酸であるが、この中でも植物より抽出して得られる炭素数18のイソステアリン酸がより好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率は、上記のように65%以上であり、75%以上が好ましく、グリセリンの重合度は、10のもの(デカグリセリン)が好ましい。市販品としては、NIKKOL Decaglyn 10−IS(日光ケミカルズ社製)、S−フェイス IS−1009P(阪本薬品工業社製)等が例示でき、これらを使用することができる。
なお本発明において、エステル化率とは、ポリグリセリンのエステル化可能な全水酸基のうち、脂肪酸とエステル化している水酸基の比率をいう。
成分(c)のうちリンゴ酸ジイソステアリルは、リンゴ酸とイソステアリルアルコールのジエステルであり、市販品としては、コスモール222(日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。
水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のもの、他にタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。
表1に示す組成の口紅を下記の製造方法により調製し、各試料について、塗布膜の平滑性と高いツヤ感、唇のシワの目立ちにくさ、ツヤの持続性、うるおい感の項目の評価を行い、その結果も併せて表1に示した。
※2:CRODESTA 4−HS(クローダ社製)
※3:シュガーワックスS−10E(第一工業製薬社製)
※4:EP−700(Baker Petrolite社製)
※5:CIREBELLE108(CIREBELLE社製)
※6:精製キャンデリラワックスSR−3(日本ナチュラルプロダクツ社製)
※7:コスモール43V(以上、日清オイリオグループ社製)
※8:コスモール222(日光ケミカルズ社製)
※9:PARACERA256(PARAMELT社製)
※10:AEROSIL 300(日本アエロジル社製)
(製造方法)
A:成分1〜15を100℃に加温して均一に溶解する。
B:Aに成分16〜24を加え均一に混合分散する。
C:Bを脱泡後、100℃にて口紅容器に充填し冷却する。
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価方法1:官能評価)
各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。唇のシワの目立ちにくさ等の本発明品の効果を評価しやすいように、パネルは唇の荒れを自覚している20名を選定した。パネル各人がイは塗布膜の平滑性と高いツヤ感、ロは唇のシワの目立ちにくさを試料塗布時に観察し、ハのツヤの持続とニのうるおい感については塗布後3時間経過した時の状態を観察し、下記絶対評価基準にて6段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
イ.塗布膜の平滑性と高いツヤ感
ロ.唇のシワの目立ちにくさ
ハ.ツヤの持続性
ニ.うるおい感
(評点):(評価)
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:5点を超える
○:3点を超える5点以下
△:2点を超える3点以下
×:2点以下
(評価方法2:物性評価)
さらに、ロの唇のシワの目立ちにくさ、およびハのツヤの持続に関しては、光沢計を用いた物性による評価も併せて行った。
精密研磨紙(3Mラッピングフィルムシート 住友スリーエム社製)粒度15ミクロンと30ミクロンのシート上にそれぞれ、スティック状のサンプルを約100gの荷重で5往復で均一に塗布し、塗布直後と塗布後に40℃の恒温槽中で3時間放置したものの光沢度を測定した。光沢度は光沢計(VG7000 日本電色工業社製)を用い、入射角45℃、測定角45℃のときの読み値とした。
ロの唇のシワの目立ちにくさは、15ミクロンと30ミクロンの粒度の異なる2種のシート上での塗布膜の光沢度の差の絶対値を評価することで代用物性とした。様々な深さや幅をもつ唇のシワや荒れてささくれ立った状態を2種の粒度のシートに見立て、浅いシワの上でも深いシワの上でも同様に均一で平滑な塗布膜を形成して唇のシワを目立たなくする効果があれば、光沢度の差は小さくなると考えられる。一方、ハのツヤの持続は、粒度30ミクロンのシートのサンプル塗布直後と40℃の恒温槽中で3時間放置したものの光沢度の差で評価した。凹凸の大きいシート上でも、高温条件下で塗布膜の平滑性を保つことができれば、ツヤの持続性に優れるということができる。
ロ.唇のシワの目立ちにくさ
粒度15ミクロンと30ミクロンのシートのサンプル塗布直後の光沢度計読み値の差の絶対値を判定した。
(差の絶対値):(評価) :(判定)
0以上2未満:光沢度が凹凸の大小に影響されずシワの目立たなさに優れる : ◎
2以上5未満:光沢度が凹凸の大小にほとんど影響されずシワが目立ちにくい: ○
5以上8未満:光沢度が凹凸の大小にやや影響されシワがやや目立つ : △
8以上 :光沢度が凹凸の大小に影響されシワが目立つ : ×
(物性評価項目)
ハ.ツヤの持続性
粒度30ミクロンのシートのサンプル塗布直後の光沢度計読み値から40℃の恒温槽中で3時間放置後の光沢度計読み値を引いた値を光沢度の差として判定した。
判定基準
(差) :(評価) :(判定)
−3以上 :ツヤが十分持続する : ◎
−3未満〜−7以上 :ツヤがほぼ持続する : ○
−7未満〜−11以上:ツヤが減少している : △
−11未満 :ツヤが大幅に減少している: ×
一方、成分(a)のヒドロキシステアリン酸ショ糖エステルを配合していない比較例1は、塗布膜の平滑性と高いツヤ感、唇のシワの目立ちにくさ、ツヤの持続性およびうるおい感のいずれの項目においても効果が得られなかった。また、成分(a)の代わりに分岐脂肪酸ショ糖エステルを配合した比較例2では、ツヤと唇のシワを目立たなくする効果、成分(a)の代わりに高屈折率油剤であるフェニルトリメチコンを配合した比較例3では、唇のシワの目立ちにくさ、ツヤの持続性およびうるおい感が得られず、さらに乳化剤や油ゲル化剤として用いられるポリステアリン酸ショ糖エステルを配合した比較例4では、塗布膜の平滑性と高いツヤ感、唇のシワの目立ちにくさ、ツヤの持続性が得られなかった。成分(b)の配合がない比較例5では、塗布膜の平滑性、ツヤ、うるおい感が特に得られず、成分(c)の配合がない比較例6では、ツヤ感以外の項目で効果が見られなかった。
(成分) (%)
1.ペンタヒドロキシステアリン酸ショ糖エステル※1 10
2.ポリエチレン※11 1
3.トリイソステアリン酸ジグリセリル※7 20
4.水添ポリイソブテン※12 40
5.テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル 10
6.流動パラフィン※13 残量
7.酸化チタン被覆ガラスフレーク※14 2
8.酸化チタン被覆合成金雲母※15 1
9.無水ケイ酸※10 3
10.赤色202号 0.2
11.黄色4号 0.2
12.酸化チタン 0.1
13.黒酸化鉄 0.01
14.フェノキシエタノール 0.2
15.香料 適量
※11:PERFORMALENE500(ニューフェーズテクノロジー社製)
※12:パールリーム18(日油社製)
※13:KLEAROL(SONNEBORN社製)
※14:メタシャイン1080RC−S(日本板硝子社製)
※15:プロミネンスSF(トピー工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜6を100℃に加温して溶解し混合する。
B:Aに成分7〜14を加え均一に分散する。
C:Bを脱泡して100℃に加熱溶解して塗布体付き容器に流し込み充填する。
実施例7は、唇のシワの凹凸や荒れてささくれだった不均一な唇表面に塗っても、平滑な塗布膜が得られるため高いツヤ感を有し、唇のシワなどの凹凸を目立たなくする効果に優れ、かつツヤが長時間持続し、さらにうるおい感にも優れるものであった。
(成分) (%)
1.パルミチン酸デキストリン 0.1
2.テトラヒドロキシステアリン酸ショ糖エステル※2 2
3.エチレン・プロピレンコポリマー※3 1
4.ポリエチレン※11 10
5.ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10※16 20
6.デカイソステアリン酸ポリグリセリル−10※17 10
7.ポリブテン※18 5
8.流動パラフィン※13 残量
9.ワセリン 10
10.ラウロイルグルタミン酸(オクチルドデシル/フィトステリル/
ベヘニル) 8
11.無水ケイ酸※10 0.1
12.(PET/ポリメタクリル酸メチル)積層末※19 0.2
13.フェノキシエタノール 0.1
14.トコフェロール 0.1
※16:S−フェイス IS−1009P(阪本薬品工業社製)
※17:NIKKOL Decaglyn 10−IS(日光ケミカルズ社製)
※18:ポリブテン2000H(出光興産社製)
※19:オーロラフレーク ブルー0.01(角八魚燐箔社製)
(製造方法)
A:成分1〜10を90℃に加温して溶解し混合する。
B:Aに成分11〜14を加え均一に分散する。
C:Bを90℃にてジャー容器に流し込み冷却させる。
実施例8のリップバームは、唇のシワの凹凸や荒れてささくれだった不均一な唇表面に塗っても、平滑な塗布膜が得られるため高いツヤ感を有し、唇のシワなどの凹凸を目立たなくする効果に優れ、かつツヤが長時間持続し、さらにうるおい感にも優れるものであった。
(成分) (%)
1.パルミチン酸デキストリン 5
2.テトラヒドロキシステアリン酸ショ糖エステル※2 10
3.フィッシャートロプシュワックス※5 1
4.ポリエチレン※11 5
5.ジイソステアリン酸ジグリセリル※20 10
6.テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル※21 5
7.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
8.ワセリン 10
9.ラウロイルグルタミン酸(フィトステリル/オクチルドデシル) 10
10.ジメチルシリル化無水ケイ酸※22 1
11.シリコーン2%処理ベンガラ 0.1
12.1,2−ペンタンジオール 0.1
13.トコフェロール 0.1
14.精製水 10
15.1,3−ブチレングリコール 3
16.グリセリン 2
※20:コスモール42V(日清オイリオグループ社製)
※21:エステロールPT−ISHV(ナショナル美松社製)
※22:AEROSIL R972(日本アエロジル社製)
(製造方法)
A:成分1〜9を90℃に加温して溶解し混合する。
B:Aに成分10〜13を加え均一に分散する。
C:成分14〜16を均一に混合溶解する。
D:Bを90℃に加熱し、Cを攪拌しながら注入して乳化する。
E:Dを脱泡してアプリケーター付き容器に充填する。
実施例9のリップエッセンスは、唇のシワの凹凸や荒れてささくれだった不均一な唇表面に塗っても、平滑な塗布膜が得られるため高いツヤ感を有し、唇のシワなどの凹凸を目立たなくする効果に優れ、かつツヤが長時間持続し、さらにうるおい感にも優れるものであった。
Claims (3)
- 次の成分(a)〜(c);
成分(a)エステル置換度が3〜6である12−ヒドロキシステアリン酸ショ糖エステル;
成分(b)エチレン・プロピレンコポリマー、エチレンホモポリマー、フィッシャートロプシュワックスから選ばれる炭化水素ワックスの一種または二種以上;
成分(c)ジグリセリンとイソステアリン酸のエステルでありエステル置換度が2以上であるジグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン重合度が7〜11で脂肪酸が炭素数16〜20の分岐脂肪酸でありエステル化率が65%以上の室温で液状のポリグリセリン脂肪酸エステル、リンゴ酸ジイソステアリルから選ばれる一種または二種以上のエステル油剤;
を配合し、
前記成分(a)の配合量が0.5〜30質量%、成分(b)の配合量が1〜20質量%、成分(c)の配合量が10〜98.5質量%である口唇用化粧料。 - 前記成分(c)が、ジグリセリンとイソステアリン酸のエステルであり、エステル置換度が2以上であるジグリセリン脂肪酸エステル、及び/またはグリセリン重合度が7〜11で、脂肪酸が炭素数16〜20の分岐脂肪酸であり、エステル化率が65%以上の室温で液状のポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる一種または二種以上のエステル油剤である請求項1に記載の口唇用化粧料。
- 前記成分(a)の12−ヒドロキシステアリン酸のエステル置換度が4〜5である12−ヒドロキシステアリン酸ショ糖エステルである請求項1又は2に記載の口唇用化粧料。
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