JP6209052B2 - 口唇化粧料 - Google Patents
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Description
例えば、トリメリト酸トリデシルも高粘度で屈折率の高い油剤であり、他の油剤と組み合わせて、高いツヤを得る技術が検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし、ポリブテン、水添ポリイソブテンやトリメリト酸トリデシルは常温で液状の油剤であり、口唇に塗布した際は垂れ落ちてしまうため、これらを口唇に密着させるには、特許文献に記載のように特定のゲル化剤やワックスが必要となる。
また、前記特許文献1には、化粧品のにじみおよび色の消失の防止として、フィルム形成剤を用い、PVP/ヘキサデセンコポリマーやPVP/エイコセンコポリマー等の液体や固体のフィルム形成剤を配合しても良いことが記載されている。
このように、フィルム形成剤として配合されているビニルピロリドンとC10−C40アルケンとのコポリマーは、高い光沢ツヤを有する化粧料に配合されているが、一方でマット感(艶消)を付与するために使用されることが知られていた。(例えば、特許文献3参照)
また、化粧品のにじみおよび色の消失を防止するフィルム形成剤であるビニルピロリドンとC10−C40アルケンとのコポリマーは、ツヤをなくすものであると認識されていた。
そのため、化粧膜のツヤ感に優れ、密着感があり、伸び広がりが軽い使用感の全てを満足する口唇化粧料の開発が望まれていた。
また、形状保持が可能な強度が得られるが、硬さやベタツキがなく、伸び広がりの軽い使用感が得られることが可能となった。そこで、伸び広がりの軽い使用感と密着感とを両立し、塗布時に口唇の凹凸を埋めて油性化粧料の均一な膜が形成され、ツヤ感に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
次の成分(a)〜(c);
(a)(ヘキサデセン/ビニルピロリドン)コポリマー3〜30質量%
(b)トリメリト酸エステル3〜70質量%
(c)炭化水素ワックス
を配合することを特徴とする口唇化粧料に関する。
本発明に用いられる成分(a)(ヘキサデセン/ビニルピロリドン)コポリマーはヘキサデセンとN−ビニルピロリドンで構成される共重合体であり化粧料に用いられるものであれば、特に制限されず、使用することができる。
成分(a)は、化粧品の成分表示名称で、(ヘキサデセン/ビニルピロリドン)コポリマーとして収録されているものを用いることができ、市販品としては、ANTARON V−216(ISP社製)等があげらる。
成分(a)の(ヘキサデセン/ビニルピロリドン)コポリマーはその一種又は二種以上を用いることができ、配合量は3〜30質量%(以下、単に「%」と示す。)であり、好ましくは5%以上であり、20%以下である。この範囲であると、密着感があり、化粧膜のツヤ感に優れ、伸び広がりが軽い使用感が更に向上し、3%未満では、密着感の点で劣り、30%を超えると伸び広がりが軽い使用感に劣るため良くない。
成分(b)のトリメリト酸と脱水縮合させるアルコールは、炭素数10〜13のものが、本願の効果を向上させる点において優れている。具体的には、トリメリト酸トリオクチル、トリメリト酸トリデシル、トリメリト酸トリウンデシル、トリメリト酸トリドデシル、トリメリト酸トリトリデシル、等が挙げられる。この中でも特に、トリメリト酸トリオクチル、トリメリト酸トリトリデシルが化粧膜のツヤ感の向上、高温での経時安定性上の点から好ましい。市販品としては、LIPONATE TDTM(粘度565mPa・s、屈折率1.48、リポケミカルズ社製)等が挙げられる。
具体的には、(エチレン/プロピレン)コポリマー、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、オゾケライトワックス、パラフィンワックス、セレシンワックス等が挙げられる。中でも、化粧膜のツヤ感や密着感の点において、(エチレン/プロピレン)コポリマーやフィッシャートロプシュワックスが好ましい。例えば、化粧品の成分表示名称で、(エチレン/プロピレン)コポリマーや合成ワックスとして収録されているものを用いることができる。
市販品として、EP−700(融点90〜99℃:Baker Petrolite社製)、PERFORMALENE 500(融点83〜92℃:ニューフェーズテクノロジー社製)、PERFORMALENE 655(融点96〜102℃:ニューフェーズテクノロジー社製)、CIREBELLE 109L(融点91〜96℃:CIREBELLE社製)、CIREBELLE 108(融点79〜84℃:CIREBELLE社製)等が例示できる。
融点が70〜110℃であると、伸び広がりの軽い使用感と化粧膜のツヤ感の点において、好ましい。
尚、本願において、融点は、「医薬部外品規格一般試験法の融点測定法」に基づき測定されるものである。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤や、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられ、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が挙げられ、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられ、防腐剤としてはパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2ペンタジオール等が挙げられる。
下記表1に示す処方の口唇化粧料を調製し、密着感、化粧膜のツヤ感、伸び広がりが軽い使用感と、強度について下記の方法により評価した。その結果も併せて表1に示す。
注2:パールリーム18(日油社製)
注3:フィッシャートロプシュワックス(融点91〜96℃)
注4:LIPONATE TDTM(リポケミカルズ社製)
A.成分(1)〜(10)を110℃まで加熱し、均一溶解する。
B.Aをスティック状容器に充填し、冷却固化して口唇化粧料を得た。
下記評価項目について下記方法により評価を行い、その結果も併せて表1に示した。
イ.密着感
ロ.化粧膜のツヤ感
ハ.伸び広がりが軽い使用感
ニ.光沢性
ホ.強度
イ〜ハの項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。イについては、密着感があるかどうか、ロについては各試料の塗布時にツヤ感があると感じるかどうか、ハについては各試料塗布時に伸び広がりが軽い使用感を感じるかどうかを評価した。
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え5点以下 :良好
△ :1点を超え3.5点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
ニの光沢性については、各試料を溶融し、ラッピングフィルムシート(粒度30μm:住友3M社製)上に膜厚100μmのドクターブレードで被膜を形成させ、測定サンプルとする。これをグロスメーターVG−7000(日本電色工業社製)を用い、入射角45℃の正反射光強度を測定し、下記4段階判定基準により判定した。
4段階判定基準
(判定):(グロスメーターの読み値)
◎ :55を超える
○ :45を超える55以下
△ :35を超える45以下
× :35以下
測定機:FUDOH RHEOMETER RT−2002D・D(レオテック社製)
速度:6cm/m
アダプタ−:ピアノ線
測定部:容器より最長に繰り出し、容器根元より12mm部を測定
3段階判定基準
(判定):(平均荷重値)
○ :60g以上
△ :30g以上〜60g未満
× :30g未満
ホの強度については、使用しても折れない強度のものであった。また、比較例7以外は、各試料とも良い結果が得られた。
一方、成分(a)の代わりに、屈折率は低いが、粘度が同等のデカイソステアリン酸ポリグリセリル−10を用いた比較例1は、官能評価の化粧膜のツヤ感が得られず、物性評価でも同じ結果となり、ベタツキがあり伸び広がりが軽い使用感に劣るものであった。
成分(a)の代わりに、屈折率は同等であるが、粘度が低いトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルを用いた比較例2は、官能評価では化粧膜のツヤ感が全く得られず、物性評価でも同じ結果となり、伸び広がりがとても良く軽い使用感は得られたが、密着性が悪く、ズルズルして化粧膜の消失が生じてしまうものであった。
成分(a)の代わりに、粘度は同等であるが屈折率の高い水添ポリイソブテンを用いた比較例3は、粘度が高すぎて、膜が均一にならないため、実施例1よりも劣る結果となった、かなりのベタツキが生じ、伸び広がりが軽い使用感は全く得られなかった。
成分(a)の代わりに、粘度は同等であるが親水部を有するセスキオレイン酸ソルビタンを用いた比較例4は、ツヤ感が得られず、ベタツキも生じるものであった。
また、成分(b)の代わりに、粘度は同等であるが屈折率の低いトリイソステアリン酸ポリグリセリル−2を用いた比較例5は、表面の平滑性が得られず、ツヤ感に劣るものであった。
成分(b)の代わりに、粘度は同等であるが屈折率の低いリンゴ酸ジイソステアリルを用いた比較例6は、伸び広がりが非常に重くなり、軽い使用感は全く得られなかった。
成分(b)の代わりに、粘度は低いが屈折率の高いパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを用いた比較例7は、密着感が得られないため、ズルズルして化粧膜の消失が生じ、ツヤ感にも劣るものであった。
下記表2及び3に示す処方の口唇化粧料を調製し、密着感、化粧膜のツヤ感、伸び広がりが軽い使用感について前記の方法(評価方法1:官能評価)により評価した。その結果も併せて表2及び3に示す。
*2:EP−700(Baker Petrolite社製)
*3:PERFORMALENE655(ニュ−フェーズテクノロジー社製)
*4:合成セレシンJNP−81(融点79〜89℃:日本ナチュラルプロダクツ社製)
*5:ANTARON V−216(ISP社製)
*6:パールリーム18(日油社製)
*7:LIPONATE TDTM(リポケミカルズ社製)
*8:KF−54(信越化学工業社製)
*9:PlANDOOl−S(日本精化社製)
*10:AEROSIL R−976S(日本アエロジル社製)
A.成分(1)〜(16)を110℃まで加熱し、均一溶解する。
B.Aに成分(17)〜(23)をAに加え、均一に混合する。
C.Bを90℃に加熱し、スティック状容器に充填して口紅を得た。
一方、成分(a)の(ヘキサデセン/ビニルピロリドン)コポリマーの配合量が3%よりも少ない配合量である比較例8は密着感の点で劣り、表面の平滑性にも劣るため化粧膜のツヤ感にも劣っており、配合量が30%よりも多い比較例9は伸び広がりが軽い使用感の点で劣っていた。
また、成分(b)のトリメリト酸エステルの配合量が70%よりも多い比較例10は密着感や伸び広がりが軽い使用感の点で劣っていた。配合量が3%よりも少ない比較例11は化粧膜のツヤ感の点で劣っていた。
成分(b)の代わりに粘度が同等のトリイソステアリン酸ポリグリセリル−2やリンゴ酸ジイソステアリルを用いた比較例12、比較例13は、密着感に劣り、化粧膜のツヤ感も得られなかった。
成分(b)の代わりに、粘度が低いが、屈折率が高いメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを用いた比較例14では密着感が得られず、化粧膜の消失が生じてしまい化粧膜のツヤ感にも劣るものでったた。
成分(a)の代わりに、屈折率は低いが、粘度が同等のデカイソステアリン酸ポリグリセリル−10を用いた比較例15は、化粧膜のツヤ感が得られず、ベタツキがあり伸び広がりが軽い使用感に劣るものであった。
成分(a)の代わりに、粘度と屈折率が低いトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルを用いた比較例16は、化粧膜のツヤ感が得られず、軽い使用感は得られたが、密着性が悪く、ズルズルして化粧膜の消失が生じてしまうものであった。
成分(a)の代わりに、水添ポリイソブテンを用いた比較例17は、密着感はあるもののベタツキがかなり生じ軽い使用感が得られず、化粧膜のツヤ感も少し低くなった。
(成分) (%)
1.合成ワックス *11 2
2.パルミチン酸デキストリン 5
3.(ヘキサデセン/ビニルピロリドン)コポリマー *5 10
4.リンゴ酸ジイソステアリル 5
5.流動パラフィン 10
6.水添ポリイソブテン *12 20
7.トリメリト酸トリトリデシル *7 7
8.トリメチルペンタフェニルトリシロキサン 10
9.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/
フィトステリル/ベヘニル) *13 5
10.2−エチルヘキサン酸セチル 残量
11.無水ケイ酸 *14 1
12.フッ素化合物3%処理ベンガラ被覆雲母 0.5
13.酸化チタン被覆ガラス末 *15 2
14.赤色202号 0.8
15.黄色4号アルミニウムレーキ 1
16.黒酸化鉄 0.2
17.p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 1
18.dl−α−トフェロール 0.1
19.香料 0.01
20.パラオキシ安息香酸プロピル 0.1
(製造方法)
A.成分(1)〜(12)を110℃まで加熱し、均一溶解する。
B.Aに成分(13)〜(20)をAに加え、均一に混合する。
C.Bを容器に充填して口紅を得た。
*11:フィッシャートロプシュワックス:CIREBELLE 108(CIREBELLE社製)
*12:パールリーム24(日油社製)
*13:エルデュウPS−306(味の素社製)
*14:AEROSIL300(日本アエロジル社製)
*15:メタシャインMT1080RR(日本板ガラス社製)
本発明のリップグロスは、密着感、化粧膜のツヤ感、伸び広がりが軽い使用感のすべて点で満足のいくものであった。
(成分) (%)
1.合成ワックス *1 7
2.水添ポリイソブテン *6 10
3.リンゴ酸ジイソステアリル 残量
4.トリメリト酸トリトリデシル *7 8
5.(ヘキサデセン/ビニルピロリドン)コポリマー *5 25
6.流動パラフィン 10
7.N−ラウロイル−L−グルタミン酸
(フィトステリル/オクチルドデシル) *16 5
8.ダイマージリノール酸(フィトステリル/
イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) *9 10
9.ワセリン 5
10.ジフェニルジメチコン *8 1
11.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)
クロスポリマー *17 2
12.無水ケイ酸 *14 3
13.赤202号 1
14.黄色4号 1.2
15.酸化チタン 0.4
16.黒酸化鉄 0.2
17.シリコーン3%処理酸化チタン被覆ガラスフレーク *18 3
*16:エルデュウPS−203(味の素社製)
*17:KSP−100(信越化学工業社製)
*18:ジメチルポリシロキサン3%処理メタシャインMT1120RY
(製造方法)
A:成分(1)〜(10)ヲ110℃に加温して溶解する。
B:Aに(11)〜(17)を加え、均一に混合する。
C:Bを脱泡後、90℃にて口紅容器に充填して製品とする。
本発明のリップグロスは、密着感、化粧膜のツヤ感、伸び広がりが軽い使用感のすべて点で満足のいくものであった。
(成分) (%)
1.(エチレン/プロピレンコポリマー)*2 4
2.トリメリト酸トリトリデシル *7 20
3.トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2 15
4.(ヘキサデセン/ビニルピロリドン)コポリマー *5 5
5.ダイマージリノール酸(フィトステリル/
イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) *9 10
6.ワセリン 5
7.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー *17 2
8.ジメチチルポリシロキサン(10mm2/s、25℃) 4
9.p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 0.1
10.リンゴ酸ジイソステアリル 残量
11.酸化チタン被覆ガラス末 *15 1
(製造方法)
A:成分(1)〜(6)を110℃に加温して溶解する。
B:Aに(7)〜(10)を加えて80℃で溶解し均一に混合する。
B:Bに成分11を加えて均一に混合する。
C:Cを脱泡後、90℃にて皿に流し込み室温まで冷却して製品とする。
本発明の口紅は、密着感、化粧膜のツヤ感、伸び広がりが軽い使用感のすべて点で満足のいくものであった。
Claims (4)
- 次の成分(a)〜(c);
(a)(ヘキサデセン/ビニルピロリドン)コポリマー 3〜30質量%
(b)トリメリト酸エステル 3〜70質量%
(c)(エチレン/プロピレン)コポリマー、フィッシャートロプシュワックスから選ばれる一種または二種以上の炭化水素ワックス
を配合することを特徴とする口唇化粧料。 - 前記成分(c)の融点が70〜110℃であることを特徴とする請求項1に記載の口唇化粧料。
- 前記成分(c)の配合量が1〜25質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の口唇化粧料
- スティック形状であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の口唇化粧料。
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