JP4887459B2 - 唇用化粧料 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1では、揮発性炭化水素系溶媒、揮発性炭化水素系溶媒に溶解または分散可能な非揮発性シリコーン化合物、及び揮発性溶媒に溶解し、非揮発性シリコーン化合物と非融和性の非揮発性炭化水素系油を含有し、該非揮発性炭化水素系油が、ある溶解パラメーターを有する耐移り性化粧品組成物が開示されている。
しかしながらこの耐移り性化粧品組成物は、安定性の点で改善の余地があり、ワックス量が多いためリキッド状の使用感が得られず、またつやも不十分である。
特許文献2には、非融和性であるペルフルオロポリエーテル型の非揮発性油と揮発性油を含有する耐移り性を有する口紅組成物が記載されている。この特許文献2では支持体への適用中に油分が分離し、第一組成物の上に油分が移動するようになっている。
しかしながら、第一組成物は、かなりのワックスを配合しており、固形状となるため、つややうるおい感が充分に得られない。また、この系では非融和性の油相を良好に分散させることが難しく、発汗などの安定性の問題を生じる。
特許文献3には、揮発性油分と組み合わせてシリコーン界面活性剤を配合し、顔料を良好に分散させた耐移り性を有するスティック化粧品が開示されている。
しかしながら、このスティック化粧品は揮発性油分の組成物における割合が大きいためマットな仕上がりとなり、唇に乾燥感を生じやすいという欠点がある。
特許文献4には、揮発性油分とシリコーン樹脂を配合した一相型の口紅用組成物が開示されている。
しかしながら、この口紅用組成物は、耐移り性は改善されるものの、揮発性油が蒸発した後に時間が経つと乾燥感が生じやすく、また樹脂の皮膜が唇上に残り、皮膜感や突っ張り感を生じると共に、得られた付着物はマットであるという欠点がある。
特許文献5には、シリコーン系皮膜剤と揮発性シリコーン系油分と非揮発性シリコーン系液状油分と乳化剤とを含む連続相油分と、エステル油分と色材とを含む分散相油分とからなり、分散相油分/(分散相油分+連続相油分)の配合量比が0.05〜0.5である油中油型乳化組成物が記載されている。
しかしながら、この油中油型乳化組成物は色材が分散相に存在するため色むらが生じやすく、更には、この系では経時安定性を保つことが困難な場合がある。
(a)イソステアリルグリセリルエーテル 4.5〜35質量%
(b)(a)およびデカメチルシクロペンタシロキサンと混合した時に、90℃で分離せず、25℃で分離する、一種又は二種以上のメチルフェニルシリコーン 20〜80質量%
(c)ワックス 4〜10質量%
前記唇用化粧料において、(b)成分にトリメチルペンタフェニルトリシロキサンを含むことが好適である。
前記唇用化粧料において、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンを(b)成分全量中50質量%以上含むことが好適である。
前記唇用化粧料において、(d)水および/またはグリセリンをさらに配合し、(d)成分は、(a)成分に対して5質量%以上で、化粧料全量中24質量%以下であることが好適である。
本発明にかかる(b)メチルフェニルシリコーンの選択方法は、(a)イソステアリルグリセリルエーテル 4.5〜35質量%と(c)ワックス 4〜10質量%とを含む唇用化粧料において配合される(b)メチルフェニルシリコーン 20〜80質量%の選択方法であって、
該選択方法が、(a)とデカメチルシクロペンタシロキサンの1:1(質量比)の混合物と(b)とを1:2(質量比)で混合した時に、(b)は、90℃で分離せず、25℃で分離するメチルフェニルシリコーンであることを特徴とする。
以下、各構成成分について詳細に説明する。
本発明で用いられる(a)イソステアリルグリセリルエーテルとしては、モノイソステアリルグリセリルエーテルが好ましく、種々の公知の合成法により提供され得る。また、ペネトールGE−IS(花王社製、商品名)として入手することもできる。
本発明で用いられる(b)メチルフェニルシリコーンは、塗布後に(a)成分と分離して表層を形成して二次付着レス効果を発揮すると共に、つやをよくさせるものである。
本発明において、(b)成分は、(a)およびデカメチルシクロペンタシロキサンと混合した時に、90℃で分離せず、25℃で分離するメチルフェニルシリコーンであり、メチルフェニルシリコーンは一種であっても、二種以上の混合物であっても良い。
(測定条件)
(a)とデカメチルシクロペンタシロキサンの1:1(質量比)の混合物を調製し、この混合物を、混合物:(b)=1:2(質量比)で用いて90℃において攪拌混合した場合と、この混合物を静置し、室温(25℃)になった場合において、境界が均一に2層に分離しているものを「分離する」とし、境界が不均一で白濁もしくは半透明な状態、又は、境界がなく透明な相溶した状態を「分離せず」とした。
そして、これらのメチルフェニルシリコーンを、(b)成分全体として上記分離条件を満たすような割合で配合したものであれば良い。
ジフェニルジメチコンとしては、市販品としてシリコーンKF54(400mm2/s(25℃)、信越化学社製)、シリコーンKF50−300CS(信越化学社製)、シリコーンKF−54HV(信越化学社製)等が挙げられる。
特に、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを用いた場合には、塗布した時のつやがよくなるという効果がある。
任意の油性成分としては、特に揮発性油分を配合することが好ましい。揮発性油分としては、揮発性炭化水素油、揮発性シリコーン油等が挙げられる。
例えば、デカメチルシクロペンタシロキサンを化粧料全量中0.5〜25質量%配合することが好ましい。デカメチルシクロペンタシロキサンを配合することにより、安定性がより向上する。
本発明で用いられる(c)ワックスとしては、通常化粧料に配合されるものであれば、特に限定されず、例えば、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ビースワックス、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、固形パラフィン、モクロウ等が挙げられる。
本発明においては、さらに(d)水および/またはグリセリンを配合することにより、液晶が形成されやすくなり、二次付着レス効果はより向上する。
(d)水および/またはグリセリンの配合量は、(a)成分に対して5質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。また、化粧料全量中24質量%以下であることが好ましく、18質量%以下であることが特に好ましい。
保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール等の多価アルコール系保湿剤が挙げられる。
かかる色材としては、通常唇用化粧料に用いられる色材であれば良く、粉末状でもレーキ状(油を練り込んだ状態)でもよい。無機顔料であっても、有機顔料であっても、パール剤であってもよい。色材は、唇用化粧料塗布時には(a)成分に抱え込まれ、(b)成分の内側に存在するようになるため、二次付着し難くなる。
色材の配合量は、化粧料全量中1〜13質量%であることが好ましく、3〜8質量%であることが特に好ましい。
皮膜剤としては、例えば(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー等が例示される。具体的には、シリコーンKP545(信越化学社製)として、商業的に入手可能である。
皮膜剤の配合量は、化粧料全量中2〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることが特に好ましい。
実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験方法について説明する。
(b)メチルフェニルシリコーンの分離状態について、以下の条件で測定した時に、90℃では分離せず、25℃では分離するものを「A」、それ以外のものを「C」とした。
(測定条件)
(a)とデカメチルシクロペンタシロキサンの1:1(質量比)の混合物を調製し、この混合物を、混合物:(b)=1:2(質量比)で用いて90℃において攪拌混合した場合と、この混合物を静置し、室温(25℃)になった場合において、境界が均一に2層に分離しているものを「分離する」とし、境界が不均一で白濁もしくは半透明な状態、又は、境界がなく透明な相溶した状態を「分離せず」とした。
10名の専門パネルによる実使用性試験を行った。評価は、試料を唇に塗布した際の二次付着レス効果について下記の採点基準に基づいて5段階官能評価(スコア)した。そのスコア平均値により、下記評価基準で判定した。
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
(評価基準)
S:スコア平均値4.5点以上5.0点以下
A*:スコア平均値4.0点以上4.5点未満
A:スコア平均値3.5点以上4.0点未満
B:スコア平均値2.5点以上3.5点未満
C:スコア平均値1.0点以上2.5点未満
なお、「−」と表中に記載した例は、安定性が悪く、二次付着レスの効果が測定できないものである。
スティック状にした試料の切断面におけるワックスの均一性について、以下の方法で評価した。
(評価基準)
A:均一
B*:やや均一
B:やや不均一
C:不均一
なお、下記表3〜表5の試験例において、評価項目(1)を測定したところ、いずれも「A」であった。
※2:メチルフェニルシリコーンFZ3156(東レ・ダウコーニング社製)
※3:シリコーンKF54(信越化学社製)
※4:シリコーンKF56(信越化学社製)
これに対して、試験例1−1および試験例1−4と異なる種類もしくは配合割合のメチルフェニルシリコーンを含み、評価(1)の分離条件を満たしていない試験例1−2および試験例1−3の試料は、二次付着レス効果に劣ったり、安定性に劣っていた。
以上のことから、本発明にかかる唇用化粧料は、(a)イソステアリルグリセリルエーテル、(b)メチルフェニルシリコーン、(c)ワックスを含み、(b)メチルフェニルシリコーンが、(a)とデカメチルシクロペンタシロキサンの1:1(質量比)の混合物と(b)とを1:2(質量比)で混合した時に、90℃で分離せず、25℃で分離することが必要である。
本発明者らによるさらなる検討の結果、(a)イソステアリルグリセリルエーテルの配合量は、化粧料全量中4.5〜35質量%である必要があることが明らかになった。
したがって、(b)メチルフェニルシリコーンの配合量は、化粧料全量中20〜80質量%であることが必要である。
したがって、本発明にかかる唇用化粧料は、(d)水および/またはグリセリンを含むことが好ましい。
配合成分 質量%
(1)イソステアリルグリセリルエーテル 14
(2)トリメチルペンタフェニルトリシロキサン 71
(メチルフェニルシリコーンFZ3156(東レ・ダウコーニング社製))
(3)色剤 7
(4)ポリエチレンワックス 4
(5)イオン交換水 3
(6)グリセリン 1
製造方法:
(1)〜(4)を90℃で混合し、温めた(5)、(6)を添加混合する。脱気、充填をし、冷却する。
配合成分 質量%
(1)イソステアリルグリセリルエーテル 14
(2)トリメチルペンタフェニルトリシロキサン 48
(メチルフェニルシリコーンFZ3156(東レ・ダウコーニング社製))
(3)アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー 5
(4)デカメチルシクロペンタシロキサン 11
(5)ポリエチレンワックス 9
(6)色剤 5
(7)イオン交換水 6
(8)グリセリン 2
製造方法:
(1)〜(6)を90℃で混合し、温めた(7)、(8)を添加混合する。脱気、充填をし、冷却する。
配合成分 質量%
(1)イソステアリルグリセリルエーテル 14
(2)トリメチルペンタフェニルトリシロキサン 29
(メチルフェニルシリコーンFZ3156(東レ・ダウコーニング社製))
(3)ジメチルジフェニルポリシロキサン 20
(シリコーンKF54(信越化学社製))
(4)ステアリン酸イヌリン 1
(5)デカメチルシクロペンタシロキサン 15
(6)ポリエチレンワックス 8
(7)色剤 5
(8)イオン交換水 6
(9)グリセリン 2
製造方法:
(1)〜(7)を90℃で混合し、温めた(8)、(9)を添加混合する。脱気、充填をし、冷却する。
Claims (5)
- 次の(a)〜(c)を含むことを特徴とする唇用化粧料。
(a)イソステアリルグリセリルエーテル 4.5〜35質量%
(b)(a)およびデカメチルシクロペンタシロキサンと混合した時に、90℃で分離せず、25℃で分離する、一種又は二種以上のトリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコンから選択されるメチルフェニルシリコーン 20〜80質量%
(c)ワックス 4〜10質量% - 請求項1に記載の唇用化粧料において、(b)成分にトリメチルペンタフェニルトリシロキサンを含むことを特徴とする唇用化粧料。
- 請求項2に記載の唇用化粧料において、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンを(b)成分全量中50質量%以上含むことを特徴とする唇用化粧料。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の唇用化粧料において、(d)水および/またはグリセリンをさらに配合し、(d)成分は、(a)成分に対して5質量%以上で、化粧料全量中24質量%以下であることを特徴とする唇用化粧料。
- (a)イソステアリルグリセリルエーテル 4.5〜35質量%と(c)ワックス 4〜10質量%とを含む唇用化粧料において配合される(b)メチルフェニルシリコーン 20〜80質量%の選択方法であって、
該選択方法が、(a)とデカメチルシクロペンタシロキサンの1:1(質量比)の混合物と(b)とを1:2(質量比)で混合した時に、(b)は、90℃で分離せず、25℃で分離するメチルフェニルシリコーンであることを特徴とする選択方法。
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