JPH09235210A - 固形化粧料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性があり、使用性（のび・つき）に優
れ、しかも塗布時のつやを付与し、その持続性にも優
れ、経時の保存安定性に優れた固形化粧料を提供する。 【解決手段】 デキストリン脂肪酸エステルと重質流動
イソパラフィンと液状油性成分とを配合することを特徴
とする固形化粧料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、透明感に優れ、塗
布時の艶を付与し、のび、つき、艶の持続性、保存安定
性が良好な油性の固形化粧料を提供する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】透明感
のある固形化粧料としては、ポリアミド樹脂、エステル
ガム等の樹脂類（高分子物質）、シュガーエステル、１
２−ヒドロキシステアリン酸を配合したものがあるだけ
である。（特公昭４５−４１３１８公報、特公昭５２−
７０６７公報、特開昭６３−１１９４０５公報、特開平
２−２６４７０７公報） しかしながら、これらの化粧料は、透明性、官能特性
（のび、つき、つや、つやの持続性）、保存安定性の点
で必ずしも満足の行くものではなかった。特に、外観の
透明性に加え、塗布時のつやが要求されるものに付いて
は、満足のいくものが得られなかった。本発明は外観の
透明性に加え、塗布時のつやを付与し、官能特性（の
び、つき、つやの持続性）、保存安定性に優れた固形化
粧料を提供することを課題とする。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を行った結果、デキストリン
脂肪酸エステルと重質流動イソパラフィンと液状油性成
分とを配合することを特徴とする固形化粧料は透明性に
優れ、塗布時のつやを付与すると共に、保存安定性を向
上し、高温及び低温での安定性が良好で、しかも官能特
性に優れた系を与えることを見出した。この他に透明性
を特に要求されない化粧料においても、塗布時のつやを
付与すると共に、保存安定性を向上し、高温及び低温で
の安定性が良好で、しかも官能特性に優れた固形化粧料
を与えることを見出した。

【０００４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態に基づ
き、本発明のさらに詳細に説明する。本発明におけるデ
キストリン脂肪酸エステルとしては、デキストリンと炭
素数１２〜２２の高級脂肪酸とのエステルが用いられ、
具体的には、ラウリン酸デキストリン、ミリスチン酸デ
キストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘニン酸デ
キストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン、等が挙げられ
る。これらのうち、パルミチン酸デキストリンが安定
性、使用性面から最も好ましい。これらのデキストリン
脂肪酸エステルは、広く市販されており、例えば、デキ
ストリン脂肪酸エステルは「レオパール ＫＬ」「レオ
パール ＫＥ」の商品名で千葉製粉株式会社より発売さ
れているが、これらに限定されるものではない。

【０００５】本発明におけるデキストリン脂肪酸エステ
ルの配合量は固形化粧料組成物全量に対して１〜２５重
量％が好ましく、より好ましくは、５〜１５重量％配合
される。この配合量が１重量％未満では高温における安
定性に問題があり、逆に２５重量％を越えると、硬く固
化した状態になり使用性が良好なものが得られない。

【０００６】本発明に使用する重質流動イソパラフィン
はイソブテンとｎ−ブテンを共重合して得られる液体ポ
リマーであり、多く市販品として得られる平均分子量５
００〜２７００程度のものが好ましい。更に好ましく
は、平均分子量８００〜１２００のものである。平均分
子量５００以下の重質流動イソパラフィンは高温安定性
に問題があり、逆に平均分子量２７００以上では硬度が
高くなりすぎ、化粧料として使用性に問題がある。

【０００７】本発明における重質流動イソパラフィンの
配合量は、固形化粧料組成物全量に対して２０〜６０重
量％が好ましく、更に好ましくは３０〜５０重量％であ
る。２０重量％以下では安定性に問題があり、６０重量
％以上では使用性（のび）に問題がある。

【０００８】本発明に用いられる液状油性成分は、通常
化粧料に使用される液状油性成分であり、例えば下記の
様な種類の油分であり、これらの中から１種または２種
以上を化粧料の使用目的に応じて組み合わせて用いる。
本発明に用いられる液状油性成分とは、マカデミアナッ
ツ油、アーモンド油、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワ
ー油、大豆油、椿油、液状ラノリン等の動植物油；流動
パラフィン、イソパラフィン、スクワラン等の炭化水素
油分；メチルフェニルポリシロキサン等のシリコン油；
パーフルオロアルキルエーテル等のパーフルオロ油；イ
ソステアリン酸トリグリセライド、ミリスチン酸イソプ
ロピル、２−エチルヘキサン酸トリグリセライド、リン
ゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシ
ル、パルミチン酸イソプロピル、２−エチルヘキサン酸
セエチル等の高級脂肪酸エステエル類；オレイン酸、エ
ルカ酸、リノール酸、リノレイン酸、イソステアリン酸
等の高級脂肪酸；オレイルコールやイソステアリルアル
コール等の高級アルコール類等があげられる。。

【０００９】本発明における液状油性成分の配合量は、
固形化粧料組成物全量に対して２０〜６０重量％が好ま
しく、更に好ましくは３０〜５０重量％である。２０重
量％以下では安定性に問題があり、６０重量％以上では
使用性（のび）に問題がある。

【００１０】本発明の化粧料には、前記必須成分の他
に、使用目的により、固形状または半固形状の炭化水素
類やエステル油類、動植物油類及びその硬化油、高級脂
肪酸類や高級アルコール類、各種高分子樹脂類、着色色
材、色素、疎水化処理顔料、体質顔料、増粘剤、界面活
性剤、保湿剤、イオン交換水、抗酸化剤、防腐剤、その
他の薬剤、香料等を本発明の目的を達成するよう、その
種類や配合量を適切な範囲で選定して配合することが可
能である。本発明の固形化粧料の形態は、固形状であれ
ば特に制限がなく、広く各種化粧品用基剤として利用出
来る。例えば口紅、リップクリーム、ポマード、ヘアー
スティック、練香水等に特に適しているが、これに限定
されるものではない。

【実施例】以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限
定されるものではない。なお、配合量等は特に指定がな
い限り、重量％で示す。

【００１１】次に、本発明の効果試験の評価項目および
評価基準に関して詳述する。 ＜透明性評価試験＞深さ３ｍｍの透明プラスティックセ
ルに試作品を流し込み後、一夜放置したサンプルを、隠
蔽率試験紙ＪＩＳ５４００（白黒の紙）の白黒の境界線
上に置き、その境界線の見え方を観察し、その見え方の
差で、透明性の官能評価を行った。パネル１０名にスタ
ンダ−ドサンプルと実施例の試作品を比較評価してもら
い、評点の平均値により次のように分類評価した。

【００１２】 （評価基準） 透明性 評価基準 評価点 ────────────────────────────────── 透明性の非常に良いもの 明確なライン ３ 透明性のやや良いもの 境界ラインが少しぼやける ２ 透明性がやや劣るもの 境界ラインが透けて見える １ 透明性がない 境界ラインが見えない ０ ────────────────────────────────── 上記の評価点に従って数値化し、その平均点数で評価し
た。 ◎：評価点平均２．５点以上 ○：評価点平均１．５点以上、２．５点未満 △：評価点平均０．５点以上、１．５点未満 ×：評価点平均０．５点未満

【００１３】＜安定性評価試験＞各試料を、−１０℃、
０℃、２５℃、４５℃の恒温槽に３ケ月間保存し、色
調、匂い、外観性状（にじみまたはひび割れ）および使
用感の変化について下記の基準によって評価した。 （評価基準） ○：いずれの温度においても色調・匂い・外観性状・使
用感のいずれにも全く変化がない。 ×：いずれかの温度において色調・匂い・外観性状・使
用感のいずれかに変化が見られた。

【００１４】＜官能評価試験＞女性パネラー３０名に各
試料を使用させ、つき、のび、つや、つやの持続性につ
いて、下記基準により評価した。 （評価基準） 評価点 ──────────────────────────────────── ない ややある ある 非常にある （良くない）（やや良い） （良い） （非常に良い） ──────────────────────────────────── つき ０ １ ２ ３ のび ０ １ ２ ３ つや ０ １ ２ ３ つやの持続性 ０ １ ２ ３ ──────────────────────────────────── 上記の評価点に従って数値化し、その平均点数で評価し
た。 ◎：評価点平均２．５点以上 ○：評価点平均１．５点以上、２．５点未満 △：評価点平均０．５点以上、１．５点未満 ×：評価点平均０．５点未満

【００１５】実施例１〜７，比較例１ 表１に示す処方により、実施例１〜７および比較例１の
リップグロスを調製し、前記評価試験を行った。試験結
果は表１に併せて記載した。なお、これらリップグロス
の調製は、重質流動イソパラフィンを除く全ての成分を
溶解混合後、これに重質流動イソパラフィンを加え、撹
拌混合し、冷却固化させる方法によった。表１の配合量
は重量％である。

【００１６】

【表１】

【００１７】実施例８ スチック状口紅 マイクロクリスタリンワックス １０ パルミチン酸デキストリン ８ 重質流動イソパラフィン（MW-1000) ４０ 流動パラフィン ４０ リソ−ルルビンンＢ １ リソ−ルルビンＢＣＡ １ 酸化防止剤 適量 香料 微量 （製法）重質流動イソパラフィン、香料以外の全ての成
分を加熱溶解する（８５℃）。これに重質流動イソパラ
フィン、香料を加え、型に流し込み冷却し、スチック状
口紅を得た。本製品は、外観が半透明で、塗布時の艶が
あり、また経時の安定性も優れたものである。

【００１８】実施例９ リップクリ−ム マイクロクリスタリンワックス ５ パルミチン酸デキストリン １０ 重質流動イソパラフィン（MW-1000) ５０ 流動パラフィン ２５ マカデミアナッツ油 １０ 酸化防止剤 適量 （製法）重質流動イソパラフィン、香料以外の全ての成
分を加熱溶解する（８５℃）。これに重質流動イソパラ
フィン、香料を加え、小型プラスティックク容器に流し
込み冷却し、リップクリ−ムを得た。本製品は外観の透
明性があり、塗布時の艶、トリ−トメント性があり、経
時の安定性も優れたものである。

【００１９】実施例１０ ポマ−ド 精製モクロウ １０ パルミチン酸デキストリン １０ 重質流動イソパラフィン（MW-1000) ３０ 流動パラフィン ５０ 酸化防止剤 適量 染料・香料 適量 （製法）重質流動イソパラフィン、香料以外の全ての成
分を加熱溶解する（８５℃）。これに重質流動イソパラ
フィン、香料を加え、ポマ−ド容器に流し込み冷却し、
ポマ−ドを得た。本製品は透明性があり、頭髪をつやや
かにし、経時の安定性も優れ、変臭もない。

【００２０】実施例１１ ヘアスティック サラシミツロウ １０ 精製モクロウ ４ ポリオキシエチレン(40)ブチルエ−テル ４８ パルミチン酸デキストリン ２ 重質流動イソパラフィン(MW-1000) ２０ 自己乳化型モノステアリン酸グリセリン ７ 親油型モノステアリン酸グリセリン ４ ２エチルヘキサントリ酸グリセライド ５ 酸化防止剤 適量 染料・香料 適量 （製法）香料以外の全ての成分を加熱溶解する（８５
℃）。これに香料を加え、容器に流し込み冷却し、ヘア
スチックを得た。本製品は、使いやすいスティック状で
あり、滑らかな使用感触と艶があり、経時の安定性にも
優れている。

【００２１】実施例１２ 練香水 マイクロクリスタリンワックス ５ パルミチン酸グリセリン １５ 重質流動イソパラフィン(MW-1000) ２０ 流動パラフィン ２０ ２エチルヘキサン酸セチル ２５ 酸化防止剤 適量 香料 １５ （製法）香料以外の全ての成分を加熱溶解する（８５
℃）。これに香料を加え、容器に流し込み冷却し、練香
水を得た。本製品は、透明感及び艶があり、こってりし
た使用感で、香りの持ちが良く、経時での安定性に優れ
ている。

【発明の効果】以上記載のごとく、デキストリン脂肪酸
エステルと重質流動イソパラフィンと液状油性成分とを
含有して成る本発明の固形化粧料は、透明性があり、使
用性（のび・つき）に優れ、しかも塗布時のつやを付与
し、その持続性にも優れ、更経時の保存安定性に優れた
ものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ａ６１Ｋ 7/025 Ａ６１Ｋ 7/025 7/027 7/027 7/11 7/11 7/46 7/46 Ａ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 デキストリン脂肪酸エステルと重質流動
   イソパラフィンと液状油性を配合することを特徴とする
   固形化粧料
2. 【請求項２】 デキストリン脂肪酸エステルがパルミチ
   ン酸デキストリンであることを特徴とする請求項１の固
   形化粧料