JP4761489B2 - 表面保護用積層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面保護用積層フィルムに関し、さらに詳しくは、印刷紙、写真などの表面保護に用いられ、加熱圧着によって印刷紙などの印刷面に接着される表面保護用積層フィルム(プリントラミネート用フィルム)に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷紙、写真などの表面保護、耐水性や耐油性の付与あるいは、表面光沢向上などを目的として、印刷紙、写真などにフィルムをラミネートすることは、広く行われている。このようなプリントラミネート用フィルムとして、基材フィルムに延伸ポリプロピレンフィルムが、またその接着剤として、溶剤型エチレン・酢酸ビニル共重合体系接着剤が多用されている。しかしながら、溶剤型の接着剤を用いる方法は、溶剤を取り扱うことより、特に溶剤回収や作業環境に留意する必要があり、また一般には硬化剤を用いることから、そのポットライフを考慮する必要があった。
【0003】
有機溶剤や接着剤を使用することなく、2種以上のエチレン・アルキルエステル共重合体およびエチレン・酢酸ビニル共重合体の混合物よりなる感熱接着層を付与した、二軸延伸ポリプロピレンラミネートフィルムの感熱接着面と印刷紙の接着面とを加熱圧着のみで貼り合わせてプリントラミネート製品を製造する方法(特開昭56−42652号公報、特公平4−2431号公報、特開平3−73341号公報など)がある。
【0004】
しかしながら、印刷面との易接着性の要求に対して、感熱接着層のエチレン系共重合体樹脂は、官能性モノマー含量が極力多いものを使用するため、該方法で得られるラミネートフィルムは、滑り性、抗ブロッキング性に劣る。また、該方法で得られるラミネートフィルムは、フィルム生産時に、離ロール性が悪くなり皺が入ったり、フィルムを巻き取り状態で運送や保存した場合、重なり合った基材面とエチレン系共重合体樹脂がくっつき、フィルムを巻き戻してラミネートプリントに使用する時に貼り合わせ張力が強くなり、積層フィルムが伸びたり、破断するなどの問題があった。
【0005】
一方、感熱接着層として、メタロセン化合物を触媒とした直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体に、エチレン系樹脂を含有させた樹脂組成物を用いたフィルムを、加熱圧着のみで貼り合わせてプリントラミネート製品を製造する方法(特開平7−117197号公報など)もある。しかしながら、直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体にエチレン系樹脂を含有させたものを積層した積層フィルムでは、プリントラミネート製品の外観(ツブレ)、および低温での加熱接着強度に劣る。また、この積層フィルムは、プリントラミネート時の積層フィルムのカット性に劣る。
【0006】
また、感熱接着層として、直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体単体のみを用いると、プリントラミネート製品の外観(ツブレ)、および低温加熱接着での接着強度に優れる利点があるが、フィルム基材への押出ラミネート加工時にサージング現象を起こしフィルム成形ができないという問題がある。
【0007】
上記押出ラミネート時の加工性を改良するために、エチレン系樹脂と直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体を2層溶融共押出ラミネート加工する方法があるが、プロピレン系樹脂フィルム基材にエチレン系樹脂層を接着させるためには、基材にアンカーコート剤を塗布する必要がある。該アンカーコート剤は、溶剤系であり、溶剤を取り扱うための溶剤回収や火災、作業環境に注意する必要が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を改良すべくなされたものである。すなわち、
1)プリントラミネート時に溶剤臭が発生することなく、溶剤除去、回収装置を必要とせず、硬化剤のポットライフを考慮する必要もない、
2)フィルム生産時の皺、プリントラミネート時の積層フィルムの伸び、破断がない、
3)押出ラミネート加工時のサージング現象を押え、安定した積層フィルム成形ができる、
4)押出ラミネート加工時にアンカーコート剤塗布の必要がなく、溶剤臭の発生がない、
5)プリントラミネート時、低温で加熱接着でき、プリントラミネート製品の印刷インクの変色がなく、かつ、カールもない、
6)印刷紙との接着強度に優れる、
7)プリントラミネート時の積層フィルムのカット性に優れる、
表面保護用積層フィルムを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、プロピレン系樹脂フィルム基材の片面に、特定のプロピレン系重合体を積層し、その上に特定の直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体を、印刷体の印刷面に熱接着できるように積層することにより、印刷体の印刷面と低温でプリントラミネーションが可能であり、プリントラミネート製品の印刷インクの変色、カールが防止でき、プリントラミネート時の積層フィルムのカット性が改良され、かつ、押出ラミネート加工時のサージング現象が防止され、安定したフィルム成形ができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、プロピレン系樹脂フィルム基材の片面に、下記(A)樹脂層が接し、その上に(B)樹脂層が積層されてなる表面保護用積層フィルムが提供される。
(A)樹脂:コモノマーとしてのα−オレフィン含有量が0〜5重量%、MFR(230℃、2.16kg荷重)が1〜100g/10分であるプロピレン系重合体。
(B)樹脂:エチレンと炭素数が3〜12のα−オレフィンとを共重合して得た、密度が0.870〜0.910g/cm3、MFR(190℃、2.16kg荷重)が1〜100g/10分である直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体。
【0011】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、(A)樹脂が、上記プロピレン系重合体99〜80重量%とMFR(190℃、2.16kg荷重)が1〜50g/10分である高圧法低密度ポリエチレン1〜20重量%を含有する樹脂組成物である表面保護用積層フィルムが提供される。
【0012】
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、(A)樹脂が、上記プロピレン系重合体98〜80重量%と、MFR(190℃、2.16kg荷重)が1〜50g/10分である高圧法低密度ポリエチレン1〜20重量%と、密度が0.900g/cm3以下、かつ、MFR(190℃、2.16kg荷重)が1〜50g/10分であるエチレンと炭素数が3〜12のα−オレフィンとの共重合体1〜10重量%を含有する樹脂組成物である表面保護用積層フィルムが提供される。
【0013】
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1ないし第3の発明において、(B)樹脂である直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体が、温度上昇溶離分別(TREF)において80℃以下における溶出量が共重合体全量に対して90重量%以上のものである表面保護用積層フィルムが提供される。
【0014】
また、本発明の第5の発明によれば、第1ないし第4の発明において、(B)樹脂である直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体が、重合触媒としてメタロセン化合物を用いて重合されたものである表面保護用積層フィルムが提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
1.プロピレン系樹脂フィルム基材
本発明の表面保護用積層フィルムに用いられる基材は、ポリプロピレン系樹脂の無延伸または延伸フィルムである。用いることのできるポリプロピレン系樹脂は、限定されるものではないが、例えば後述する(A)樹脂層に用いることのできるプロピレン系重合体から選ぶことができる。
基材層の厚みは、好ましくは6〜100μm、より好ましくは7〜40μmである。プロピレン系樹脂フィルム基材の中には、滑剤、アンチブッロキング剤、安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、その他の添加剤が配合されていてもよい。
【0016】
2.接着樹脂層
本発明の、上記プロピレン系樹脂フィルム基材の片面に積層される樹脂層は、下記の(A)プロピレン系重合体樹脂層およびその上に積層される(B)直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂層である。
【0017】
(A)プロピレン系重合体
本発明の(A)樹脂層に用いるプロピレン系重合体は、結晶性プロピレン単独重合体またはα−オレフィン含有量が5重量%以下のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体である。α−オレフィン含有量が5重量%を超えると、積層フィルムのカット性が劣る。
また、MFR(JIS K6921)が1〜100g/10分、好ましくは5〜70g/10分である。MFRが1g/10分未満であると、溶融粘度が高すぎるため、押出ラミネート加工時の薄肉加工性が不足する。一方、MFRが100g/10分を超過すると、溶融粘度が低すぎるため、ネックインが大きくなり成形性に劣る。
上記α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンなどが例示できる。
【0018】
また、本発明の(A)樹脂層に用いるプロピレン系重合体は、押出ラミネート時の加工性(サージング現象、ネックインなど)を改良するため、MFR1〜50g/10分の高圧法低密度ポリエチレンとの樹脂組成物として使用することができる。その際、配合比率は、プロピレン系重合体99〜80重量%に対して、高圧法低密度ポリエチレン1〜20重量%である。高圧法低密度ポリエチレンが、1重量%未満である(プロピレン系重合体が99重量%を超える)と、ネックインが大きくなり加工性に劣り、一方、高圧法低密度ポリエチレンが、20重量%を超える(プロピレン系重合体が80重量%未満である)と、サージング現象が生じるので、いずれも好ましくない。
【0019】
本発明の(A)樹脂層に用いるプロピレン系重合体は、プリントラミネート製品の外観を改良するため、さらに上記に加えて、密度が0.900g/cm3以下、かつ、MFR(190℃、2.16kg荷重)が1〜50g/10分であるエチレンと炭素数が3〜12のα−オレフィンとの共重合体1〜10重量%を配合した樹脂組成物として使用することができる。該エチレンと炭素数が3〜12のα−オレフィンとの共重合体の樹脂組成物に対する配合比率が、1重量%未満であると、外観の改良効果に乏しく、一方、10重量%を超えると、積層フィルムのカット性が劣るので、いずれも好ましくない。
【0020】
また、上記プロピレン系重合体またはそれを含む樹脂組成物には、滑剤、アンチブッロキング剤、安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、低分子量ポリマー、その他各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
上記プロピレン系重合体の重合法は、特に限定されず、気相法、バルク法および溶液法などの公知の方法のいずれでもよく、また用いる重合触媒も、特に限定されず、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒など公知の触媒が使用できる。
【0021】
(B)直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体
本発明の(B)樹脂層に用いる直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数が3〜12のα−オレフィンとを共重合して得られる共重合体である。
具体的には、エチレンと1種類の炭素数3〜12のα−オレフィンとを共重合して得られる2元共重合体、およびエチレンと2種類の炭素数3〜12のα−オレフィンとを共重合して得られる3元共重合体が挙げられる。
炭素数が3〜12のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられ、単独で用いても2種以上用いてもよい。
【0022】
該(B)直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、密度(JIS K6922)が0.870〜0.910g/cm3、好ましくは0.875〜0.905g/cm3、MFR(JIS K6921)が1〜100g/10分、好ましくは2〜80g/10分である。
【0023】
該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.870g/cm3未満では、ブッロキング性が悪くなり、プリントラミネート時の積層フィルムの伸びや破断が起きる可能性があり、積層フィルムのカット性にも劣る。一方、密度が0.910g/cm3を超えると、印刷体の印刷面との接着性、およびプリントラミネート製品の外観(ツブレ)に劣る。
また、MFRが1g/10分未満のものは、溶融粘度が高すぎるため押出ラミネート加工時の延展性が不足する。一方、100g/10分を超過するものは、溶融粘度が低すぎるためネックインが大きくなり成形性に劣る。
【0024】
本発明で用いる(B)直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、公知のチタン系触媒またはメタロセン触媒を用いて重合して製造することができるが、重合触媒としてメタロセン化合物を用いて高圧イオン重合、気相重合、溶液重合により製造した共重合体を用いることが好ましく、特に下記の物性を有するメタロセン触媒による共重合体が好ましい。
【0025】
すなわち、該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体の温度上昇溶離分別(TREF)による溶出量は、80℃における溶出量が共重合体全量に対して90重量%以上であることが好ましい。
【0026】
なお、温度上昇溶離分別(Temperature Rising Elution Fractionation:TREF)による測定は、「Journal of Applied Polymer Science,Vol 26, 4217−4231.(1981)」および「高分子論文集 2P1C09(1985年)」に記載されている原理に基づき、以下のようにして行われる。
まず、測定の対象とするポリマーを溶媒中で完全に溶解させる。その後、冷却して不活性担体表面に薄いポリマー層を形成させる。かかるポリマー層は結晶しやすいものが内側(不活性担体表面に近い側)に、結晶しにくいものが外側に形成されてなるものである。次に温度を連続または段階的に上昇させると、低温度段階では対象のポリマー組成中の非晶部分、すなわちポリマーの持つ短鎖分岐の分岐度の多いものから溶出し、温度が上昇するとともに徐々に分岐度の少ないものが溶出し、最終的に分岐のない直鎖状の部分が溶出し測定は終了する。かかる温度での溶出成分の濃度を検出し、その溶出量と溶出温度によって描かれるグラフによってポリマーの組成分布を見ることができるものである。
【0027】
該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、無水マレイン酸、スチレンなどをグラフト重合させたものも使用できる。
【0028】
また、該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体には、滑剤、アンチブッロキング剤、安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、低分子量ポリマー、その他各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
【0029】
3.接着樹脂層の厚み
上記接着樹脂層の厚みは、(A)樹脂層および(B)樹脂層を併せて、好ましくは6μm以上、より好ましくは7〜80μmで、特に(A)樹脂層および(B)樹脂層の厚み比率の制限はない。
【0030】
4.表面保護用積層フィルムの製造方法
本発明の表面保護用積層フィルムの製造方法には、2層溶融共押出ラミネート法、サンドイッチ押出ラミネート法、ドライラミネート法など適用し得るが、高速薄肉成形性に優れた2層溶融共押出ラミネート法が好ましい。この場合の加工温度は、好ましくは150〜300℃、より好ましくは200〜280℃である。
【0031】
また、上記で得られた表面保護用積層フィルムは、シート状物の印刷面との接着性を良好にするため、(B)樹脂層面をコロナ処理、オゾン処理などの酸化処理を行うことが好ましい。特にコロナ処理が最も簡便で効果がある。
【0032】
本発明の加熱圧着プリントラミネートに用いる積層フィルムの接着層である(B)樹脂は融点(DSC法)が低く、エチレン系樹脂を混合していないために、印刷体の印刷面と低温でプリントラミネーションができ、プリントラミネート製品の印刷紙との接着強度が強くなり、印刷インクの変色、カール防止ができる。また、押出ラミネート加工においては、(A)樹脂層および(B)樹脂層を共押出しすることにより、サージング現象を防止し、安定したフィルム成形が可能であり、プロピレン系樹脂フィルム基材との接着強度が強くなり、プリントラミネート時の積層フィルムのカット性が改良される。
【0033】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例における押出ラミネート加工性、積層フィルムの特性、プリントラミネート製品の特性評価方法および実施例で使用した樹脂は以下の通りである。
【0034】
評価方法
1.押出ラミネート加工性
積層樹脂層の厚み(共押出の場合はトータル厚み)が15μm(設定値)で、引取速度200m/分にて、Tダイから押し出される溶融樹脂のサージング現象(流れ方向で±5μm以上の厚み変動)の発生の有無を観察し、下記の評価基準で評価した。
良:サージング現象の発生なし
不良:サージング現象が発生し、押出ラミネート加工が困難
【0035】
2.積層フィルムの特性
(1)抗ブロッキング性:幅21cm、長さ29cmの二軸延伸フィルム面と積層フィルムのコロナ放電処理面を重ね合わせ、温度が60℃のオーブン中で幅15cm、長さ20cmにわたって0.05kg/cm2の荷重を負荷して24時間放置した後、重ね合わせたフィルムの剥離面積が10cm2(幅2cm、長さ5cm)になるようにカットし、引張試験機で剥離(引張速度500mm/分)に要する荷重を測定した。この値が小さい程、抗ブロッキング性は優れており、下記範囲で×〜◎と評価した。
剥離荷重(kg/10cm 2 ) 評価
2kg以上(積層フィルムが切断) ×
1.5〜2kg未満(積層フィルムが伸びきる) △
1.0〜1.5kg未満(積層フィルムの伸びが復元) ○
1.0kg未満 ◎
【0036】
(2)基材との接着強度:積層フィルムを、幅15mm、長さ100mmの試験片に切断し、長さ50mmを手で剥離した後、島津制作所引張試験機で180度方向に300mm/分の引張速度で剥離した引張強度の値を示した。
【0037】
(3)エルメンドルフ引裂強度:表面保護用積層フィルムをプラスチックフィルムおよびシートの引裂試験法(JIS K7128 B法 エルメンドルフ引裂法)で測定した。
【0038】
3.プリントラミネート製品の特性
(1)光沢度およびツブレ:プリントラミネート製品の印刷部の光沢度(20度)を、スガ試験機社製のUGVー5DP(商品名)で測定した値を示し、また、ツブレ性(印刷紙と積層樹脂との密着性)は、外観のツブレ状態を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。
外観のツブレ状態 評価
残存空気が全く無く、印刷色が鮮明 ○
印刷色上に空気がスジ状や斑点として残存 △
印刷色上に空気が帯状に残存し、印刷色が不鮮明 ×
【0039】
(2)接着強度:プリントラミネート製品を、幅25mm、長さ100mmの試験片に切断し、長さ方向50mmを手で剥離した後、島津製作所引張試験機で180度方向に300mm/分の引張速度で剥離した引張強度の値を示した。
【0040】
(3)トンネリング性:プリントラミネート製品の印刷紙の非貼合面にマイクロシリンジにて軽油100μlを滴下し、温度23℃、湿度50%の雰囲気下に放置し、24時間後の積層フィルム面の変化を観察し、下記の評価基準で評価した。
トンネリング性 評価
接着強度、外観とも全く問題なし ◎
接着強度が僅かに低下しているが外観変化なし(使用に耐える程度) ○
僅かにブツブツが発生 △
明らかにトンネリング発生 ×
【0041】
押出ラミネート使用樹脂
(1)プロピレン系重合体(PP)
日本ポリケム(株)製 ノバテックFL25RC(商品名)、エチレン含有量:4.4重量%、MFR:23g/10分
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合体(LLDPE−1)
日本ポリケム(株)製 カーネルKS560(商品名)、MFR:16.5g/10分、密度:0.898g/cm3、温度上昇溶離分別(TREF)の80℃以下における溶出量:100重量%
(3)エチレン・1−ヘキセン共重合体(LLDPE−2)
日本ポリケム(株)製 カーネルKJ6400(商品名)、MFR:30g/10分、密度:0.880g/cm3、温度上昇溶離分別(TREF)の80℃以下における溶出量:100重量%
【0042】
(4)高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)
日本ポリケム(株)製 ノバテックLC701(商品名)、MFR:14g/10分、密度:0.919g/cm3、エチレン含有量:100重量%
(5)エチレン.酢酸ビニル共重合体(EVA)
日本ポリケム(株)製 ノバテックLV570(商品名)、MFR:15g/10分、酢酸ビニル(VA)含有量:20重量%
【0043】
実施例1
(1)(A)樹脂を前記ラミネート樹脂のPP、(B)樹脂をLLDPE−1として、それぞれを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚が(A)樹脂層7μm、(B)樹脂層8μmにて、フィルム状に(A)樹脂層面が基材面となるように2層で溶融共押出しした。
(2)次いで、押出ラミネート装置の基材の繰出部より厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム〔二村化学工業製 LOF2(商品名)〕を繰り出し、この片面に、Tダイからフィルム状に2層で溶融共押出しした(A)樹脂層を基材面にして、表面をマット仕上げした冷却ロールと圧縮ゴムロールで圧着ラミネートし、さらに積層されたフィルムの(B)樹脂層の表面に20W・分/m2のコロナ放電処理を施し、積層フィルムを得た。その時の加工性と積層フィルムの評価結果を表1に示す。
(3)次に、得られた積層フィルムのコロナ放電処理面とオフセット印刷したアート紙をロール温度が70、80、100℃、線圧が55.6kg、速度が30m/分の圧着機で熱圧着し、プリントラミネート製品を得た。
(4)押出ラミネート加工性、積層フィルムの基材と(A)樹脂層間の接着強度、抗ブロッキング性を表1、およびプリントラミネート製品の光沢性、印刷したアート紙との接着強度、印刷したアート紙とのトンネリング性の評価結果を表2に示す。
【0044】
実施例2
(1)(B)樹脂を前記ラミネート樹脂のLLDPE−2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、積層フィルム、プリントラミネート製品を得た。評価結果を表1および表2に示す。
【0045】
比較例1
(1)(A)樹脂および(B)樹脂を、前記ラミネート樹脂のLLDPE−1として、それぞれを口径65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚(A)樹脂層7μm、(B)樹脂層8μにて、フィルム状に(A)樹脂層面が基材面となるように2層で溶融共押出ししたこと以外は、実施例1と同様にして、積層フィルム、プリントラミネート製品を得た。評価結果を表1および表2に示す。
【0046】
比較例2
(1)(A)樹脂を、前記ラミネート樹脂のLDPEおよび(B)樹脂を、前記ラミネート樹脂のLLDPE−1として、それぞれを口径65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚(A)樹脂層7μm、(B)樹脂層8μmにて、フィルム状に(A)樹脂層面が基材面となるように2層で溶融共押出ししたこと以外は、実施例1と同様にして、積層フィルム、プリントラミネート製品を得た。評価結果を表1および表2に示す。
【0047】
比較例3
(1)(A)樹脂を、前記ラミネート樹脂のLDPEおよび(B)樹脂を、前記ラミネート樹脂のLLDPE−1として、それぞれを口径65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚(A)樹脂層7μm、(B)樹脂層8μmにて、フィルム状に(A)樹脂層面が基材面となるように2層で溶融共押出しした。
(2)次いで、押出ラミネート装置の基材の繰出部より厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム〔二村化学工業製 LOF2(商品名)〕を繰り出し、この片面にアンカーコート剤を塗布し、乾燥処理後、塗布面とTダイからフィルム状に溶融共押出しした樹脂層の間をオゾン処理し、表面をマット仕上げした冷却ロールと圧縮ゴムロールで圧着ラミネートし、さらに積層されたフィルムの樹脂層の表面に20W・分/m2のコロナ放電処理を施し、積層フィルムを得たこと以外は、実施例1と同様にして、積層フィルム、プリントラミネート製品を得た。評価結果を表1および表2に示す。
【0048】
比較例4
(1)前記ラミネート樹脂LLDPE−1:90重量%と、LDPE:10重量%の混合物を、口径90mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚15μmにて、フィルム状に1層で溶融押出しした。
(2)次いで、押出ラミネート装置の基材の繰出部より厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム〔二村化学工業製 LOF2(商品名)〕を繰り出し、この片面にアンカーコート剤を塗布し、乾燥処理後、塗布面とTダイからフィルム状に溶融共押出しした樹脂層の間をオゾン処理し、表面をマット仕上げした冷却ロールと圧縮ゴムロールで圧着ラミネートし、さらに積層されたフィルムの樹脂層の表面に20W・分/m2のコロナ放電処理を施し、積層フィルムを得たこと以外は、実施例1と同様にして、積層フィルム、プリントラミネート製品を得た。評価結果を表1および表2に示す。
【0049】
比較例5
(1)前記ラミネート樹脂のEVAを、口径90mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度240℃、幅500mm、肉厚15μmにて、フィルム状に1層で溶融押出しした。
(2)次いで、押出ラミネート装置の基材の繰出部より厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム〔二村化学工業製 LOF2(商品名)〕を繰り出し、この片面にアンカーコート剤を塗布し、乾燥処理後、塗布面とTダイからフィルム状に溶融共押出しした樹脂層の間をオゾン処理し、表面をマット仕上げした冷却ロールと圧縮ゴムロールで圧着ラミネートし、さらに積層されたフィルムの樹脂層の表面に20W・分/m2のコロナ放電処理を施し、積層フィルムを得たこと以外は、実施例1と同様にして、積層フィルム、プリントラミネート製品を得た。評価結果を表1および表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】
本発明の表面保護用積層フィルムは、プロピレン系樹脂フィルム基材に積層する接着樹脂層を2層とし、印刷体(写真)の印刷面に加熱圧着される接着層の(B)樹脂は、直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体単体であり、融解ピーク温度が低く、印刷面と低温で加熱圧着が可能であり、かつ、印刷紙などに加熱圧着した製品印刷紙との接着性に優れ、印刷インクの変色、カール防止ができる。さらに、(A)樹脂層および(B)樹脂層を共押出しすることにより、押出ラミネート加工時のサージング現象を防止し、安定したフィルム成形が可能であり、かつ、フィルム基材にアンカーコート剤を塗布することなく基材と樹脂間の接着ができ、積層フィルムのカット性が改良される。
Claims (3)
- プロピレン系樹脂フィルム基材の片面に、下記(A)樹脂層が接し、その上に(B)樹脂層が積層されてなるプリントラミネート用積層フィルム。
(A)樹脂:コモノマーとしてのα−オレフィン含有量が0〜5重量%、MFR(230℃、2.16kg荷重)が1〜100g/10分であるプロピレン系重合体。
(B)樹脂:重合触媒としてメタロセン化合物を用いて重合されたエチレンと炭素数が3〜12のα−オレフィンとを共重合して得た、密度が0.870〜0.910g/cm3、MFR(190℃、2.16kg荷重)が1〜100g/10分、かつ温度上昇溶離分別(TREF)において80℃以下における溶出量が共重合体全量にして90重量%以上のものである直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体。 - (A)樹脂が、上記プロピレン系重合体99〜80重量%とMFR(190℃、2.16kg荷重)が1〜50g/10分である高圧法低密度ポリエチレン1〜20重量%を含有する樹脂組成物である請求項1に記載のプリントラミネート用積層フィルム。
- (A)樹脂が、上記プロピレン系重合体98〜80重量%と、MFR(190℃、2.16kg荷重)が1〜50g/10分である高圧法低密度ポリエチレン1〜20重量%と、密度が0.900g/cm3以下、かつ、MFR(190℃、2.16kg荷重)が1〜50g/10分であるエチレンと炭素数が3〜12のα−オレフィンとの共重合体1〜10重量%を含有する樹脂組成物である請求項1に記載のプリントラミネート用積層フィルム。
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