JP3873379B2 - 表面保護フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金属、ガラス、プラスチック等の成形品、加工品、塗装物等の表面に貼着して被覆し保護するための表面保護フィルム、特に被着体に貼着して運搬、保管、加工等の処理を行った後に剥離する可剥性の表面保護フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼材、アルミニウム等の金属、ガラス、プラスチック、木材などの板その他の成形品、これらの加工品や塗装物などの表面を保護するために、可剥性の表面保護フィルムを貼着し、運搬、保管、隔離等の処理を行った後、剥離して使用することが行われている。
【0003】
この表面保護フィルムは、被着体に貼着させて容易に貼着でき、被着体の運搬、保管、加工中には容易に剥離せず、運搬、保管、加工後に剥離する際容易に剥離可能であることが要求される。そのため表面保護フィルムには被着体に対する適度の粘着性、フィルム自体が被保護面を傷付けない程度の柔軟性、耐食性、および機械油等の油分に対する抵抗性を有し、またこれらの性質が経時または温度によって変化せず、さらに被着体の加工成形に応じて、伸び特性、耐スクラッチ性、耐引裂性、切断、打抜性等の機械的特性が適度であること、耐熱性を有することなどの各種の特性が要求される。またこの種の表面保護フィルムは大量に消費され、かつ速やかに廃棄されるものであるため、安価に製造できるものであることが要求される。
【0004】
従来、この種の表面保護フィルムとして低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の重合体を主成分とする基材フィルムの片面に、アクリル系またはゴム系の粘着剤を塗布したものが使用されている。
しかしこの種の表面保護フィルムは基材層となるフィルムの片面に異種の樹脂からなる粘着剤を塗布してなる表面保護フィルムであるため、フィルムと粘着剤層間の密着性に問題があり、またブロッキングによる巻戻し力を低くするために剥離紙を使用したり、基材層に添加剤を添加する方法が取られているので、貼着作業性が悪かったり、粘着力の経時変化がみられる等の問題点があった。
【0005】
このような点を改善する表面保護フィルムとして、α−オレフィン重合体樹脂からなる1または複数の基材層と、α−オレフィン共重合体を主成分とする粘着層とを共押出により積層した表面保護フィルムが提案されている(特開平7−233354号)。
【0006】
この表面保護フィルムは各種被着体に貼り付する際、粘着層が基材層と剥離を起こさず、初期粘着強度が高く、しかも貼り付けた後での粘着強度(剥離強度)の経時変化が小さく、さらにフィルム巻戻時のブロッキング力が低く、取扱い作業性に優れ、しかも安価に製造することができる。
【0007】
この表面フィルムの基材層としてα−オレフィン重合体があげられているが、実施例で用いられているのは、そのほとんどがポリエチレンである。表面保護フィルムの用途としては、室温で取り扱うもののほか、エッチング加工等を施す薄もの鋼板、加熱乾燥される塗装鋼板、ホットプレスにより製造される積層パネル等の保護フィルムでは、130℃程度までの加熱にも劣化したり、しわや縮みが発生したりしないことが要求される。この様な用途にはポリエチレン基材は不適当である。またもポリプロピレンを基材層に用いた場合巻戻力が高くなり、作業性が悪く使用できないという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高剛性で耐熱性が高く、このため高温使用時のフィルムのしわや縮みがなく、かつ巻戻時のブロッキング力が小さく、しかも初期粘着力が高く貼付後の粘着強度の経時変化が小さい低コストの表面保護フィルムを得ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の表面保護フィルムである。
(1) 基材層の片側に表面層、反対側に粘着層が積層されたフィルムとしてロール状に巻かれて製品とされ、使用に際して巻戻し、粘着層の粘着力により被着体に貼着され、かつ剥離が可能な表面保護フィルムであって、
基材層がポリプロピレンを主成分とする樹脂からなり、
表面層がポリエチレンを主成分とする樹脂からなり、
粘着層が炭素数2〜12のα−オレフィンの共重合体を主成分とする粘着材からなる
フィルムの巻戻力が200g/25mm以下である表面保護フィルム。
(2) 基材層を形成するポリプロピレンがプロピレンの単独重合体およびプロピレンと炭素数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体から選ばれる1種以上のものである上記(1)記載の表面保護フィルム。
(3) 表面層を形成するポリエチレンが低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンおよび直鎖低密度ポリエチレンから選ばれる1種以上のものである上記(1)または(2)記載の表面保護フィルム。
(4) 粘着層がプロピレン、1−ブテンおよび炭素数5〜12のα−オレフィンの共重合体を主成分とするものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の表面保護フィルム。
(5) 粘着層がプロピレン、1−ブテンおよび炭素数5〜12のα−オレフィンからなるα−オレフィン共重合体と、
(A)エチレン、プロピレンおよび1−ブテンから選ばれる少なくとも2種からなる共重合体、
(B)エチレンとα−オレフィンのコオリゴマー
および
(C)スチレン・ジエン系共重合体、またはその水素添加物
から選ばれる少なくとも1種の共重合体とを含む層である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の表面保護フィルム。
【0010】
本発明では、表面保護フィルムに高剛性と耐熱性を持たせて、高温使用時におけるフィルムのしわや縮みを少なくするための低コストの材料としてポリプロピレンを主体とする樹脂により基材層を形成する。ここでポリプロピレンを主体とする樹脂とはポリプロピレンを50重量%超、好ましくは60重量%以上含む樹脂である。
【0011】
本発明で基材層に用いるポリプロピレンはプロピレンの単独重合体のほか、プロピレンと炭素数2または4〜20、好ましくは2または4〜12のα−オレフィン30モル%以下、好ましくは10モル%以下との共重合体などが使用できる。上記プロピレンを共重合させるα−オレフィンとしてはエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどがあげられる。
【0012】
上記ポリプロピレンとしては、230℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート(MFR)が0.5〜30g/10min、好ましくは1〜10g/10minのものを用いるのが好ましい。
ポリプロピレンに配合して使用できる他の樹脂としては、ポリエチレン、ポリブテンなど上記炭素数2または4〜10のα−オレフィンの重合体その他の樹脂があげられる。
本発明では上記ポリプロピレンおよび他の樹脂はそれぞれ1種単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0013】
上記のようなポリプロピレンを主成分とする樹脂を基材層に用いると、この樹脂は後述の粘着層との親和性が大きいため、ロールに巻いた時に基材層と粘着層が粘着性を示す。このため使用のためにフィルムを巻戻す際ブロッキング性を示し、巻戻力が大きくなり、作業性が悪くなる。そこで本発明は基材層の表面側に表面層としてポリエチレンを主成分とする樹脂を積層する。
【0014】
表面層に用いるポリエチレンを主成分とする樹脂は、ポリエチレンの単独重合体のほか、ポリエチレンと炭素数3〜20、好ましくは3〜12のα−オレフィン30モル%以下、好ましくは10モル%以下の共重合体などが使用できる。このようなポリエチレン樹脂としては低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどがあげられる。
【0015】
本発明の表面層に用いるポリエチレンとしては、密度0.90〜0.98g/cm3、好ましくは0.91〜0.97g/cm3、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート(MFR)が0.5〜20g/10min、好ましくは1〜10g/10minのものを用いるのが好ましい。
これらのポリエチレンは1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0016】
本発明で表面層に用いる樹脂はポリエチレンを主成分とする樹脂であって、上記のようなポリエチレンを50重量%超、好ましくは70重量%以上含む樹脂である。表面層としては1種または数種のポリエチレンのみからなるのが好ましいが、必要により炭素数3〜20、好ましくは3〜12の他のα−オレフィンの重合体その他の樹脂を含んでいてもよい。
【0017】
本発明ではこのような表面層と反対側の基材層の面に粘着層を積層する。粘着層を形成する粘着剤は炭素数2〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも2種のα−オレフィンを主たるモノマーとするα−オレフィン共重合体の1種または2種以上の混合物を主成分とするものである。上記のα−オレフィンとしては前記例示のものがあげられる。
【0018】
上記のα−オレフィン共重合体は、X線回折法による結晶化度が10%以下、好ましくは5%以下で、190℃、荷重2.16kgで測定したMFRが0.5〜20g/10min、好ましくは1〜10g/10minのものが好ましい。粘着材はこのようなα−オレフィン共重合体を主成分として50重量%超、好ましくは60重量%以上含むものであり、α−オレフィン以外の粘着材その他の成分を50重量%以下、好ましくは40重量%以下含むことができる。
【0019】
上記のα−オレフィン共重合体の中でも、プロピレン、1−ブテンおよび炭素数5〜12のα−オレフィンの3成分からなる共重合体をα−オレフィン共重合体中において30重量%以上、好ましくは50重量%以上含有する粘着層が好ましく、特にプロピレン10〜85モル%、好ましくは15〜70モル%、1−ブテン3〜60モル%好ましくは5〜50モル%および炭素数5〜12のα−オレフィン10〜85モル%、好ましくは15〜70モル%の共重合体をα−オレフィン共重合体中において30重量%以上、好ましくは50重量%以上含有する粘着材は、常温付近での粘着特性に優れる点で好ましい。
【0020】
前記プロピレン、1−ブテンおよび炭素数5〜12のα−オレフィン共重合体以外の他のα−オレフィン共重合体からなる粘着材としては、
(A)エチレン、プロピレンおよび1−ブテンから選ばれる少なくとも2種からなる共重合体、
(B)エチレンとα−オレフィンのコオリゴマーおよび
(C)スチレン・ジエン系共重合体、またはその水素添加物
から選ばれる少なくとも1種の共重合体があげられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いられる。
【0021】
上記の(C)スチレン・ジエン系共重合体またはその水素添加物の具体例として、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)およびスチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)があげられ、これらは1種単独であるいは2種以上を組合せて用いることができる。
【0022】
前記のエチレン、プロピレンおよび1−ブテンから選ばれる少なくとも2種からなる共重合体(A)としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体等があげられる。この共重合体(A)の具体例として、三井石油化学工業(株)から商品名:タフマーP、タフマーS、タフマーA、タフマーXR等で市販されているものなどがあげられる。
【0023】
また、前記のエチレンとα−オレフィンのコオリゴマー(B)は、エチレンとα−オレフィンとの低分子量共重合体であって、常温で液体状のものである。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数3〜20のα−オレフィンがあげられる。これらの中でも、炭素数3〜14のα−オレフィンが好ましい。
【0024】
上記コオリゴマーは下記式(1)
【化1】
−[(CH2CH2)x(CH2C(R)H)y)]− ・・・(1)
で表される構造単位を有するものである。前記式(1)中、RはCnH2n+1(nは正の整数である)で表される基であり、x、yおよびpは正の整数である。
【0025】
このコオリゴマー(B)は通常、数平均分子量100〜10000、好ましくは200〜5000の範囲のものが用いられる。また、コオリゴマー(B)中のエチレン含有量は通常、30〜70モル%、好ましくは40〜60モル%である。このコオリゴマー(B)の粘着層に占める含有割合は通常、0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%である。
【0026】
前記SEBSは、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体を水素添加してなるものであり、スチレン系重合体ブロックを平均分子量に換算して12000〜100000程度、エチレン・ブチレン重合体ブロックを平均分子量に換算して10000〜300000程度含むものである。このSEBSにおけるスチレン重合体ブロック/エチレン・ブチレン重合体ブロックの含有割合は通常、重量比で5〜50/50〜95、好ましくは10〜30/70〜90である。
【0027】
このSEBSの具体例としては、シェル化学社から商品名:クレイトンGで市販されているものなどがあげられる。粘着層に占めるSEBSの含有割合は通常、0〜50重量%、好ましくは0〜45重量%である。
【0028】
前記SISはスチレン重合体ブロックとイソプレン重合体ブロックとを有するブロック共重合体であり、スチレン重合体ブロックを平均分子量に換算して12000〜100000程度、イソプレン重合体ブロックを平均分子量に換算して10000〜300000程度含むものである。このSISにおけるスチレン重合体ブロック/イソプレン重合体ブロックの含有割合は通常、重量比で5〜50/50〜95、好ましくは10〜30/70〜90である。
【0029】
SISの具体例としては、シェル化学社から商品名:クレイトンDで市販されているものがあげられる。このSISの粘着層に占める含有割合は通常、0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%である。ただし、前記SEBSと、SISを同時に用いる場合には、SEBSとSISの合計量が粘着層に占める含有割合が、45重量%以下であるのが好ましい。
このSISを水素添加したものがSEPSであり、具体例として、(株)クラレから商品名セプトン、ハイブラーで市販されているものがあげられる。
【0030】
本発明のフィルムにおいて、粘着層の構成成分として、前記のα−オレフィン系共重合体と共重合体(A)からなる粘着材を用いると、ガラス転移温度が低下し、初期粘着強度を適正な範囲に調整するとともに、低温粘着特性を改善できる。また、粘着層の構成成分として、前記のα−オレフィン系共重合体とコオリゴマー(B)からなる粘着材を用いると、ガラス転移温度が低下し、初期粘着強度を適正な範囲に調整することができるとともに、粘度を適正な範囲に調整できる。さらに粘着層の構成成分として、前記のα−オレフィン系共重合体とSEBS、SISおよび/またはSEPS粘着材からなる混合樹脂を用いると、ガラス転移温度が低下し、初期粘着強度を適正な範囲に調整するとともに、低温粘着特性を改善できる。
【0031】
本発明のフィルムの粘着層は、前記α−オレフィン系共重合体以外に、さらに他の各種の粘着材を副成分として含んでいてもよい。例えば、α−オレフィンと各種ビニル系化合物との共重合体、それらのグラフト変成物等の樹脂などに代表される熱可塑性エラストマー、液状ブチルゴム等の可塑剤、ポリテルペン等のタッキファイヤーなどを含んでいてもよい。本発明において、これらの副成分は、接着性の官能基、不飽和結合を有するものは、貼り付けた後での粘着強度の経時変化(加温、加圧、湿度、紫外線、等)を悪化させないように、その種類、配合量等を調整することが好ましい。
【0032】
本発明のフィルムの粘着層は、粘着層が炭素数2〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも2種のα−オレフィンを主成分とし、そのX線回折による結晶化度の値が10%以下であるものであり、十分な初期粘着強度を得るためには、結晶化度が5%以下であるものが好ましい。
【0033】
本発明のフィルムの前記基材層、表面層および粘着層はそれぞれ、これらの樹脂に一般的に配合される各種添加剤、例えば各種の充填剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、滑剤等を含有していてもよい。
【0034】
本発明の表面保護フィルムは前記基材層の片側に表面層、反対側に粘着層を積層したものであって、基材層の厚さは10〜300μm、好ましくは30〜200μm程度、表面層の厚さは1〜100μm、好ましくは2〜50μm程度とされる。粘着層は厚さは通常、1〜100μm程度であり、共押出によって本発明のフィルムを製造する場合にはフィルム層構成の制御のし易さ、また十分な機械的強度を有する表面保護フィルムを得ることができる点で、好ましくは3〜50μm程度とされる。
本発明のフィルムの全体の厚さは通常、10〜300μm程度であり、好ましくは30〜200μm程度である。
【0035】
本発明の表面保護フィルムは前記基材層、表面層、粘着層を一体的に積層することにより製造される。特に、基材層、表面層および粘着層を構成する各樹脂を、それぞ溶融加熱して共押出成形し、所定の厚さを有する3層構造の積層フィルムを製造する方法が、高効率でしかも安価に本発明のフィルムを製造できる点で好ましい。また、基材層に粘着層を溶融押出ラミネートする等の方法にしたがって行うこともできる。
【0036】
本発明の表面保護フィルムは、各層を積層したフィルムとしてロール状に巻取られて製品とされ、運搬、保管、使用されるが、使用に際して巻戻力が200g/25mm以下、好ましくは150g/25mm以下とされる。
【0037】
また本発明の表面保護フィルムは、ステンレス鋼板面に対する23℃での初期粘着強度が20g/25mm以上のものであり、2kg/cm2の加圧と60℃の加温を10日間受けた後でも、フィルムが切れず、ステンレス表面への糊残りが無く、1kg/25mm以下の強度で剥離が可能なものである。
【0038】
【発明の効果】
本発明の表面保護フィルムは、基材層の片側に表面層、反対側に粘着層が積層されたフィルムとしてロール状に巻かれて製品とされ、使用に際して巻戻し、粘着層の粘着力により被着体に貼着され、かつ剥離が可能な表面保護フィルムにおいて、基材層がポリプロピレンを主成分とする樹脂からなり、表面層がポリエチレンを主成分とする樹脂からなり、粘着層が炭素数2〜12のα−オレフィン共重合体を主成分とするため、高剛性で耐熱性が高く、このため高温使用時のフィルムのしわや縮みが少なく、かつ巻戻時のブロッキング力が小さく、しかも初期粘着力が高く貼付後の粘着強度の経時変化が小さい低コストの可剥性の表面保護フィルムを得ることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。
各例における物性の測定方法は次の通りである。
【0040】
結晶化度;X線回折法(S,L.AGGARWAL;J.Polymer Sci.18,17,1955に準ずる)によって測定した。
MFR;ASTM 1238に準じて測定した。
巻戻力;23℃の恒温室にて、幅30cmのフィルムの先端にバネ秤を装着し、繰出速度5m/分で繰出したときのバネ秤の読みから巻き戻し力を測定した。
初期粘着強度;JIS Z0237 1991に準拠して測定した。ただし、ステンレスSUS304の表面仕上げは、JIS G4305に規定されたBAの状態のままで、研磨紙での研磨を省略し、180度引き剥し法によって測定される剥離強度を粘着強度の指標とした。
引張弾性率;JIS K6781に準じて測定した。
【0041】
実施例1
下記の表面層、基材層および粘着層をこの順序で積層するように、共押出T−ダイフィルム成形法に下記条件で共押出成形し、表面保護フィルムを製造した。得られた表面保護フィルムについて巻戻力、初期粘着強度および引張弾性率を測定した結果を表1に示す。
【0042】
表面層;高密度ポリエチレン(密度;0.95g/cm3、MFR(190℃,2.16kg)1.1g/10min)70重量部と、低密度ポリエチレン(密度;0.92g/cm3、MFR(190℃,2.16kg)9.5g/10min)30重量部とからなる樹脂組成物(厚さ10μm)。
基材層;プロピレンの単独重合体(MFR(230℃,2.16kg)6.5g/10min)からなるポリプロピレン樹脂(厚さ38〜40μm)。
粘着層;プロピレン・1−ブテン・4−メチル−1−ペンテン共重合体(プロピレン;50モル%、1−ブテン;20モル%、4−メチル−1−ペンテン;30モル%、結晶化度0.5%、MFR(190℃,2.16kg)4.0g/10min)60重量部、エチレン・プロピレン共重合体(エチレン;80モル%、プロピレン;20モル%、MFR(190℃,2.16kg)1.0g/10分、密度;0.87g/cm3)25重量部、SEPS((株)クラレ製、商品名セプトン2063)15重量部を含む粘着材(厚さ:10〜12μm)。
【0043】
成形条件
溶融温度:表面層=230℃
基材層=230℃
粘着層=180℃
共押出温度:230℃
【0044】
実施例2
実施例1において、表面層および基材層を下記の通り変更した。結果を表1に示す。
表面層;実施例1において表面層に用いた高密度ポリエチレン樹脂(厚さ10μm)。
基材層;エチレン含量3モル%のプロピレン・エチレンランダム共重合体からなるポリプロピレン70重量部と、実施例1において表面層に用いた低密度ポリエチレン30重量部とからなる樹脂組成物(厚さ38〜40μm)。
【0045】
比較例1
実施例1において、表面層および基材層を下記の通り変更した。結果を表1に示す。
表面層;実施例1において基材層に用いたポリプロピレン樹脂(厚さ10μm)。
基材層;実施例1において基材層に用いたポリプロピレン樹脂(厚さ38〜40μm)。
【0046】
比較例2
実施例1において、表面層および基材層を下記の通り変更した。結果を表1に示す。
表面層;実施例1において基材層に用いたポリプロピレン樹脂(厚さ10μm)。
基材層;実施例2において基材層として用いたポリプロピレン70重量部と低密度ポリエチレン30重量部とからなる樹脂組成物(厚さ38〜40μm)。
【0047】
【表1】
【0048】
表1の結果より、実施例1、2では巻戻力が小さく、初期粘着強度が高く、引張弾性率も高く剛性があり、表面層にポリプロピレンを用いる比較例1、2は巻戻力が大きくなる。
Claims (5)
- 基材層の片側に表面層、反対側に粘着層が積層されたフィルムとしてロール状に巻かれて製品とされ、使用に際して巻戻し、粘着層の粘着力により被着体に貼着され、かつ剥離が可能な表面保護フィルムであって、
基材層がポリプロピレンを主成分とする樹脂からなり、
表面層がポリエチレンを主成分とする樹脂からなり、
粘着層が炭素数2〜12のα−オレフィンの共重合体を主成分とする粘着材からなる
フィルムの巻戻力が200g/25mm以下である表面保護フィルム。 - 基材層を形成するポリプロピレンがプロピレンの単独重合体およびプロピレンと炭素数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体から選ばれる1種以上のものである請求項1記載の表面保護フィルム。
- 表面層を形成するポリエチレンが低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンおよび直鎖低密度ポリエチレンから選ばれる1種以上のものである請求項1または2記載の表面保護フィルム。
- 粘着層がプロピレン、1−ブテンおよび炭素数5〜12のα−オレフィンの共重合体を主成分とするものである請求項1ないし3のいずれかに記載の表面保護フィルム。
- 粘着層がプロピレン、1−ブテンおよび炭素数5〜12のα−オレフィンからなるα−オレフィン共重合体と、
(A)エチレン、プロピレンおよび1−ブテンから選ばれる少なくとも2種からなる共重合体、
(B)エチレンとα−オレフィンのコオリゴマー
および
(C)スチレン・ジエン系共重合体、またはその水素添加物
から選ばれる少なくとも1種の共重合体とを含む層である請求項1ないし4のいずれかに記載の表面保護フィルム。
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