JP4287978B2 - プリントラミネート用フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷紙等の表面保護に用いられ、熱接着されるプリントラミネート用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷紙の表面保護、耐水性や耐油性の付与あるいは、表面光沢向上等を目的として、印刷紙にフィルムをラミネートすることは、広く実施されている。このような目的に使用されるプリントラミネート用フィルムとしては、基材フィルムに延伸ポリプロピレンフィルムを用い、又その接着剤としては、溶剤型のエチレン・酢酸ビニル共重合体系接着剤が多用されている。しかしながら、溶剤型の接着剤を用いる方法は、溶剤を取り扱うところから溶剤回収や作業環境に特に留意する必要があり、また一般には、さらに硬化剤を用いるところからポットライフを考慮する必要があった。
【0003】
有機溶剤や接着剤を使用しないラミネートフィルムの製造方法としては、二種以上のエチレン・アルキルエステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体の混合物よりなる感熱接着層を付与した二軸延伸ポリプロピレンのラミネートフィルムの感熱接着面と印刷紙の接着面とを加熱圧着のみで貼り合わせてプリントラミネート製品を製造する方法(特開昭56−42652号公報、特公平4−2431号公報、特開平3−73341号公報)がある。しかしながら、印刷面との易接着性の要求に対して、感熱接着層のエチレン系共重合体樹脂は官能性モノマー含量が極力多いものを使用するため、滑り性、抗ブロッキング性が劣り、フィルム生産時に離ロール性が悪くなりシワが入ったり、フィルムを巻き取り状態で運送や保存した場合、重なり合った基材面とエチレン系共重合体樹脂がくっつき、フィルムを巻き戻してラミネートプリントに使用する時、貼り合わせ張力が強くなり、積層フィルムが伸びたり、破断する等の問題がある。
【0004】
さらに、メタロセン化合物を触媒とした直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体にエチレン系樹脂を含有した樹脂を積層したフィルムを加熱圧着のみで貼り合わせてプリントラミネート製品を製造する方法(特開平7−117197号公報)もある。しかし、この積層フィルムは、プリントラミネート時の積層フィルムのカット性が劣る。及び、直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体単体では、押出ラミネート加工時にサージング現象を起こしフィルム成形が出来ない問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前述の問題点に鑑み、プリントラミネート時に溶剤臭が発生することなく、溶剤除去、回収装置を必要とせず、ポットライフを考慮する必要もなく、フィルム生産時のシワ、プリントラミネート時の積層フィルムの伸び、破断がなく、2種類の樹脂を2層共押出することにより押出ラミネート加工時のサージング現象を押さえ、安定したフィルム成形ができ、プリントラミネート時、低温で熱接着でき、プリントラミネート製品の印刷インクの変色がなく、カールもなく、プリントラミネート時の積層フィルムのカット性が改良されたプリントラミネート用フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂フィルム基材の片面に、特定のエチレン系樹脂を積層し、その上に特定の直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体層を印刷体の印刷面に接するように熱接着積層することにより、印刷体の印刷面と低温でプリントラミネーションができ、プリントラミネート製品の印刷インクの変色、カール防止ができ、プリントラミネート時の積層フィルムのカット性が改良され、押出ラミネート加工時のサージング現象を防止し、安定したフィルム成形ができることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂フィルム基材の片面に、アンカーコート剤層、さらに下記の(A)樹脂層および(B)樹脂層が順次積層されてなるプリントラミネート用フィルムであって、
アンカーコート剤層と(A)樹脂層との間は、オゾン処理されており、かつ(A)樹脂層および(B)樹脂層は、溶融共押出により形成されることを特徴とするプリントラミネート用フィルムである。
(A)樹脂:密度が0.915〜0.945g/cm3、MFRが2〜80g/10分のエチレン系樹脂。
(B)樹脂:エチレンと炭素数が3〜12のα−オレフィンとを共重合して得た密度が0.870〜0.910g/cm3、MFRが1〜100g/10分の直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体。
【0007】
【発明の実施の形態】
1.積層フィルムの熱可塑性樹脂フィルム基材
本発明のプリントラミネート用フィルムである積層フィルムに用いられる熱可塑性樹脂フィルム基材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂の無延伸または延伸フィルムが挙げられる。基材フィルムの厚みは、6〜100μmが好ましく、より好ましくは7〜40μmである。熱可塑性樹脂フィルム基材の中には、滑剤、アンチブッロキング剤、安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、その他の添加剤が配合されていても良い。
【0008】
2.接着樹脂層
前記熱可塑性樹脂フィルム基材の表面に積層される樹脂層は、下記のエチレン系樹脂(A)層とその上に積層される直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体(B)層よりなる。
【0009】
(A)エチレン系樹脂
本発明で用いるエチレン系樹脂の密度(JIS K7112、A法)は、0.900〜0.960g/cm3、好ましくは0.905〜0.950g/cm3、特に好ましくは、0.915〜0.945g/cm3である。密度が0.900g/cm3未満ではプリントラミネート時のフィルムのカット性が悪化し、密度が0.960g/cm3を超えると(A)と後述の(B)樹脂層間の接着性が悪くなる。又、プリントラミネート製品の外観(ツブレ)が悪化し、カール性も劣る。
また、該エチレン系樹脂のMFR(JIS K7210、条件4)は、1〜100g/10分、好ましくは2〜80g/10分である。MFRが上記範囲外のものはいずれも溶融粘度が高すぎるか低すぎるため、成形性に劣る。
【0010】
本発明で用いるエチレン系樹脂としては、下記の(a)〜(d)ものが使用できる。
(a)分岐状高圧法低密度ポリエチレン、及びエチレンと共重合可能な単量体、例えば酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メタクリル等と共重合して得られる共重合体樹脂が挙げられる。具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等が例示され、これらは単独、又は二種以上を混合して用いても良い。
(b)低圧法高密度ポリエチレンに前記(a)記載の樹脂を一種以上で、1重量%以上混合したもの。
(c)エチレンと炭素数が4〜12のα−オレフィンとを共重合して得られる直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体に前記(a)記載の樹脂を一種以上で、1重量%以上混合したもの。
(d)エチレンと炭素数が4〜12のα−オレフィンとの共重合体が、重合触媒としてメタロセン化合物を用いて重合された直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体であって、該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体に前記(a)記載の樹脂が一種以上で、1重量%以上混合したもの。
【0011】
(B)直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体
本発明の(B)樹脂層として用いる直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと少なくとも一種類の炭素数が3〜12のα−オレフィンとを共重合して得られた共重合体である。
具体的には、エチレンと1種類の炭素数が3〜12のα−オレフィンが共重合して得られた2元共重合体、及びエチレンと2種類の炭素数が3〜12のα−オレフィンが共重合して得られた3元共重合体が挙げられる。
炭素数が3〜12のα−オレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられ、単独で用いても数種類用いてもよい。
該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/1−ヘキセン共重合体、エチレン/1−オクテン共重合体、エチレン/プロピレン/1−ブテン共重合体、及びエチレン/プロピレン/1−ヘキセン共重合体が好ましい。
【0012】
該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体の密度(JIS K7112、A法)は、0.870〜0.910g/cm3、好ましくは0.875〜0.900g/cm3である。密度が0.870g/cm3未満では、成形性に劣り、ブッロキング性も悪くなり、プリントラミネート時の積層フィルムの伸びや破断が起きる可能性がある。密度が0.910g/cm3を超えると、印刷体の印刷面との接着性、及びプリントラミネート製品の外観(ツブレ)が劣る。
また、該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体のMFR(JIS K7210、条件4)は、1〜100g/10分、好ましくは2〜80g/10分である。MFRが上記範囲外のものはいずれも溶融粘度が高すぎるか低すぎるため、フィルム成形性に劣る。又、1g/10分未満のものは、プリントラミネート製品の外観(ツブレ)が悪化する。
【0013】
本発明で用いる直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、公知のチタン系触媒またはメタロセン触媒を用いて重合することができるが、重合触媒としてメタロセン化合物を用いて高圧イオン重合、気相重合、溶液重合により製造した共重合体が好ましく、次の物性を有するメタロセン触媒による共重合体が特に好ましい。
【0014】
該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体の温度上昇溶離分別(TREF)による溶出量は、80℃における溶出量が共重合体全量に対して90重量%以上であることが好ましい。
【0015】
なお温度上昇溶離分別(Temperature Rising Elution Fractionation:TREF)による測定は、「Journal of Applied Polymer Science,Vol 26,4217−4231.(1981)」および「高分子論文集 2P1C09(1985年)」に記載されている原理に基づき、以下の様にして行われる。
まず、測定の対象とするポリマーを溶媒中で完全に溶解させる。その後、冷却して不活性担体表面に薄いポリマー層を形成させる。かかるポリマー層は結晶しやすいものが内側(不活性担体表面に近い側)に、結晶しにくいものが外側に形成されてなるものである。次に温度を連続または段階的に上昇させると、低温度段階では対象のポリマー組成中の非晶部分、すなわちポリマーの持つ短鎖分岐の分岐度の多いものから溶出し、温度が上昇するとともに徐々に分岐度の少ないものが溶出し、最終的に分岐のない直鎖状の部分が溶出し測定は終了する。かかる温度での溶出成分の濃度を検出し、その溶出量と溶出温度によって描かれるグラフによってポリマーの組成分布を見ることが出来るものである。
【0016】
さらに、該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、無水マレイン酸、スチレン等をグラフト重合させたものも利用できる。
また、該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体には、滑剤、アンチブッロキング剤、安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、低分子量ポリマー、その他各種添加剤を必要に応じて添加できる。
【0017】
3.接着樹脂層の厚み
上記接着樹脂層の厚みは(A)樹脂層と(B)樹脂層を併せて6μm以上、好ましくは7〜80μmで、(A)樹脂層と(B)樹脂層の厚み比率の制限はないが、好ましくは(A):(B)が5:1〜1:1が望ましい。
【0018】
4.プリントラミネート用フィルム
本発明におけるプリントラミネート用フィルムは、熱可塑性フィルム基材の片面に(A)樹脂層、その上に(B)樹脂層を積層して得られるがその製造方法としては次のような方法がある。
(A)樹脂層、その上に(B)樹脂層貼り合わせる2度貼り押出ラミネート法、(B)樹脂フィルムを溶融(A)樹脂層によって貼り合わせるサンドイッチ押出ラミネート法、(A)及び(B)樹脂2層フィルムをドライラミネートする方法、(A)及び(B)樹脂2層溶融共押出ラミネート法がある。好ましくは、高速薄肉成形性の良い2層共押出ラミネート法が望ましい。この場合、加工温度は150〜300℃、好ましくは200〜280℃が望ましい。又、熱可塑性樹脂フィルム基材と(A)樹脂層間をオゾン処理することが好ましい。
【0019】
(A)及び(B)樹脂を2層溶融共押出ラミネート加工する際には、熱可塑性樹脂フィルム基材に予めコロナ処理のような表面処理を行っておくか、アンカーコート剤を塗布しておくことが望ましい。
【0020】
かくして得られたプリントラミネート用フィルムには、印刷体の印刷面との接着性を良好にするため、(B)樹脂層面をコロナ処理、オゾン処理等の酸化処理を行うことが好ましい。特にコロナ処理が最も簡便で効果がある。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例における積層フィルムの特性、プリントラミネート製品の特性評価方法及び実施例で使用した樹脂は次の通りである。
1.評価方法
(1)加工性:積層樹脂層の厚み(2層の場合はトータル厚み)が15μmで引取速度200m/分で、Tダイから押し出される溶融樹脂のサージング現象(流れ方向で±5μm以上の厚み変動)の発生の有無を観察し、下記の評価基準で評価した。
良:サージング現象の発生無し。
不良:サージング現象の発生有りで、フィルム成形が困難。
【0022】
(2)抗ブロッキング性:幅21cm、長さ29cmの二軸延伸フィルム面と積層フィルムのコロナ放電処理面を重ね合わせ、温度が60℃のオーブン中で幅15cm、長さ20cmにわたって0.05kg/cm2の荷重を負荷して24時間放置した後、重ね合わせたフィルムの剥離面積が10cm2(幅2cm、長さ5cm)になるようにカットし、引張試験機で剥離(引張速度500mm/分)に要する荷重を測定した。この値が小さい程抗ブロッキング性は優れており、下記範囲で×〜◎と判断した。
×:剥離荷重(kg/10cm2)が2kg以上(積層フィルムが切断)。
△:剥離荷重(kg/10cm2)が1.5〜2kg未満(積層フィルムが伸びきる)。
○:剥離荷重(kg/10cm2)が1.0〜1.5kg未満(積層フィルムの伸びが復元)。
◎:剥離荷重(kg/10cm2)が1.0kg未満。
【0023】
(3)光沢度及びツブレ:プリントラミネート製品の印刷部の光沢度(20度)を、スガ試験機社製のUGV−5DP(商品名)で測定した値を示し、又、ツブレ性(印刷紙と積層樹脂との密着性)は、外観のツブレ状態を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。
○:残存空気が全く無く、印刷色が鮮明。
△:印刷色上に空気がスジ状や斑点として残存。
×:印刷色上に空気が帯状に残存し、印刷色が不鮮明。
【0024】
(4)接着強度:プリントラミネート製品を、幅25mm、長さ100mmの試験片に切断し、長さ方向50mmを手で剥離した後、島津製作所引張試験機で180度方向に300mm/分の引張速度で剥離した引張強度の値を示した。
【0025】
(5)トンネリング性:プリントラミネート製品の印刷紙の非貼合面にマイクロシリンジにて軽油100μlを滴下し、温度23℃、湿度50%の雰囲気下に放置し、24時間後の積層フィルム面の変化を観察し、下記の評価基準で評価した。
◎:接着強度、外観全く問題なし。
○:接着強度が僅かに低下しているが外観変化なし(使用に耐える程度)。
△:僅かにブツブツが発生。
×:明らかにトンネリング発生。
【0026】
(6)エルメンドルフ引裂強度:プリントラミネート用フィルムをプラスチックフィルム及びシートの引裂試験法(JIS K7128 B法 エルメンドルフ引裂法)で測定した。
【0027】
(7)TREF:TREF温度上昇溶離分別(Temperature Rising Elution Fractionation:TREF)による測定は、一度高温にてポリマーを完全に溶解させた後に冷却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を形成させ、次いで温度を連続または段階的に昇温させ、溶出した成分を回収し、その濃度を連続的に検出して、その溶出量と溶出温度によって描かれるグラフ(溶出曲線)のピークで、ポリマーの組成分布を測定するものである。
【0028】
該溶出曲線の測定は以下のようにして行った。測定装置としてクロス分別装置(ダイヤインストルメント製 CFC T101)を使用した。このクロス分別装置は、試料を溶解温度の差を利用して分別する温度上昇溶離分別(TREF)機構と、分別された区分を更に分子サイズで分別するサイズ排除クロマトグラフ(Size Exclusion Chromatography:SEC)をオンラインで接続したものである。
【0029】
まず測定すべきサンプル(エチレン・α−オレフィンランダム共重合体)を溶媒(o−ジクロロベンゼン)を用い3mg/mlとなるように、140℃で溶解し、これを測定装置内のサンプルループ内に注入する。以下の測定は設定条件に従って自動的に行われる。サンプルループ内に保持された試料溶液は、溶解温度の差を利用して分別するTREFカラム(不活性担体であるガラスビーズが充填された内径4mm、長さ150mmの装置付属のステンレス製カラム)に0.4ml注入される。次に該サンプルを1℃/分の速度で140℃から0℃の温度まで冷却し、上記不活性担体にコーティングさせる。この時、高結晶成分(結晶しやすいもの)から低結晶成分(結晶しにくいもの)の順で不活性担体表面にポリマー層が形成される。TREFカラムが0℃で更に30分間保持された後、0℃の温度で溶解している成分2mlが、1ml/分の流速でTREFカラムからSECカラム(昭和電工製 AD806MS 3本)へ注入される。SECで分子サイズの分別が行われている間に、TREFカラムでは次の溶出温度(5℃)に昇温され、その温度に約30分間保持される。SECでの各溶出区分の測定は39分間隔で行われた。溶出温度は以下の温度で段階的に昇温される。
0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140℃
【0030】
該SECカラムで分子サイズによって分別された溶液は、装置付属の赤外線分光光度計でポリマーの濃度に比例する吸光度が測定され(波長3.42μ,メチレンの伸縮振動で検出)、各溶出温度区分のクロマトグラムが得られる。内蔵のデータ処理ソフトを用い、上記測定で得られた各溶出温度区分のクロマトグラムのベースラインを引き、演算処理される。各クロマトグラムの面積が積分され、積分溶出曲線が計算される。また、この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が計算される。
【0031】
2.試料
(A)樹脂層のエチレン系樹脂
(1)低密度ポリエチレン(LDPE):日本ポリケム(株)製”ノバテックLD LC701”(商品名;MFR14g/10分、密度0.918g/cm3)
(2)エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA):日本ポリケム(株)製”ノバテックEVA LV260”(商品名;MFR8.5g/10分、酢酸ビニル含量6.0重量%)
(3)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE):日本ポリケム(株)製”ノバテックLL UC470”(商品名;MFR12g/10分、密度0.924g/cm3)
(4)高密度ポリエチレン(HDPE):日本ポリケム(株)製”ノバテックHD LY20”(商品名;MFR8g/10分、密度0.941g/cm3)
【0032】
(B)樹脂層の直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体
(1)エチレン・1−ヘキセン共重合体(LLDPE−1)の合成
錯体であるエチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド2.0mmolに、東洋ストウファー製メチルアルモキサンを上記錯体に対して1000mol倍加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。この触媒溶液を、内容量1.5リットルの攪拌式オートクレーブ型連続反応器内に入れ、更にこの反応器内に、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が81重量%となるように供給し、反応器内の圧力を2200kg/cm2に保ち、175℃で反応を行い、MFRが31g/10分、密度が0.892g/cm3、融解ピーク温度80℃、温度上昇溶離分別(TREF)の80℃以下における溶出量が100%の直鎖状エチレン・1−ヘキセン共重合体(LLDPE−1)を得た。
【0033】
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合体(LLDPE−2)の合成
LLDPE−1の合成に用いた触媒溶液を内容量1.5リットルの攪拌式オートクレーブ型連続反応器内に入れ、更にこの反応器内に、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が86重量%となるように供給し、反応器内の圧力を2200kg/cm2に保ち、150℃で反応を行い、MFRが9g/10分、密度が0.881g/cm3、融解ピーク温度60℃、温度上昇溶離分別(TREF)の80℃以下における溶出量が100%の直鎖状エチレン・1−ヘキセン共重合体(LLDPE−2)を得た。
【0034】
実施例1〜2
(1)(A)樹脂層としてLDPEを用い、(B)樹脂層としてLLDPE−1又はLLDPE−2を用い、それぞれの樹脂に0.5重量%のフェノール系安定剤をブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化しラミネート樹脂とした。
(2)前記ラミネート樹脂の(A)樹脂層のLDPEを口径が90mm、(B)樹脂層を口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚(A)層10μm、(B)層5μmでフィルム状に(A)樹脂層面が基材面になるように2層で溶融共押出しした。
(3)次いで、押出ラミネート装置の基材の繰出部より厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)〔二村化学工業製 LOF2(商品名)〕を繰り出し、この片面にアンカーコート剤を塗布し、乾燥後、各塗布面とTダイからフィルム状に2層で溶融共押出しした(A)樹脂層の間をオゾン処理し、表面をマット仕上げした冷却ロールと圧縮ゴムロールで圧着ラミネートし、更に積層されたフィルムの(B)樹脂層の表面に20W・分/m2のコロナ放電処理を施し、積層フィルムを得た。その時の加工性と積層フィルムの評価結果を表1に示す。
(4)次に、得られた積層フィルムのコロナ放電処理面とオフセット印刷したアート紙をロール温度が70、80、100℃、線圧が55.6kg、速度が30m/分の圧着機で熱圧着し、プリントラミネート製品を得た。
(5)この得られたプリントラミネート製品の光沢性、印刷したアート紙との接着強度、印刷したアート紙とのトンネリング性の評価結果を表2に示す。
【0035】
実施例3
接着層樹脂を、(A)樹脂層としてEVAを、(B)樹脂層としてLLDPE−1を用い、EVAを口径が90mm、LLDPE−1を口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度240℃、幅500mm、肉厚(A)層10μm、(B)層5μmでフィルム状に(A)樹脂層面が基材面になるように2層で溶融共押出しして製造する以外は、実施例1と同様にして積層フィルム、プリントラミネート製品を得た。積層フィルムとプリントラミネート製品の評価結果を表1及び表2に示す。
【0036】
実施例4
接着層樹脂を、(A)樹脂層としてLLDPEを、(B)樹脂層としてLLDPE−1を用い、(A)樹脂層のLLDPEを口径が90mmと(B)樹脂層LLDPE−1を口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚(A)層10μm、(B)層5μmでフィルム状に(A)樹脂層面が基材面になるように2層で溶融共押出しして製造する以外は、実施例1と同様にして積層フィルム、プリントラミネート製品を得た。積層フィルムとプリントラミネート製品の評価結果を表1及び表2に示す。
【0037】
実施例5
接着層樹脂を、(A)樹脂層としてHDPEを、(B)樹脂層としてLLDPE−1を用い、(A)樹脂層のHDPEを口径が90mmと(B)樹脂層LLDPE−1を口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚(A)層10μm、(B)層5μmでフィルム状に(A)樹脂層面が基材面になるように2層で溶融共押出しして製造する以外は、実施例1と同様にして積層フィルム、プリントラミネート製品を得た。積層フィルムとプリントラミネート製品の評価結果を表1及び表2に示す。
【0038】
比較例1
(1)LLDPE−1に0.5%のフェノール系安定剤をブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化しラミネート樹脂とした。
(2)前記ラミネート樹脂を口径90mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚15μmでフィルム状に溶融押出した。
(3)積層フィルムとプリントラミネート製品を実施例1と同様にして製造し、その評価結果を表1及び表2に示す。
【0039】
比較例2
90重量%のLLDPE−1と10重量%のLDPEからなる樹脂組成物に0.5重量%のフェノール系安定剤をブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化しラミネート樹脂とした以外は、比較例1と同様にして積層フィルムとプリントラミネート製品を製造し、その評価結果を表1及び表2に示す。
【0040】
比較例3
エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA、日本ポリケム(株)製”ノバテックEVA LV570”(商品名;MFR15g/10分、酢酸ビニル含量20重量%))をラミネート樹脂とし、溶融押出し温度を240℃に変更した以外は、比較例1と同様にして積層フィルムとプリントラミネート製品を製造し、その評価結果を表1及び表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】
本発明のプリントラミネート用フィルムは、熱可塑性樹脂フィルム基材に積層する接着樹脂層を2層とし、印刷体の印刷面に熱接着される接着層の(B)樹脂は示差走査熱量測定法(DSC)により測定した融解ピーク温度が102℃以下、好ましくは92℃以下と低く、印刷体の印刷面と低温でプリントラミネーションができ、プリントラミネート製品の印刷インクの変色、カール防止ができ、プリントラミネート時の積層フィルムのカット性が改良される。又、(A)樹脂層と(B)樹脂層を2層共押出をすることにより、押出ラミネート加工時のサージング現象を防止し、安定したフィルム成形ができる。
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂フィルム基材の片面に、アンカーコート剤層、さらに下記の(A)樹脂層および(B)樹脂層が順次積層されてなるプリントラミネート用フィルムであって、
アンカーコート剤層と(A)樹脂層との間は、オゾン処理されており、かつ(A)樹脂層および(B)樹脂層は、溶融共押出により形成されることを特徴とするプリントラミネート用フィルム。
(A)樹脂:密度が0.915〜0.945g/cm3、MFRが2〜80g/10分のエチレン系樹脂。
(B)樹脂:エチレンと炭素数が3〜12のα−オレフィンとを共重合して得た密度が0.870〜0.910g/cm3、MFRが1〜100g/10分の直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体。 - (A)樹脂は、分岐状高圧法低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1記載のプリントラミネート用フィルム。
- (B)樹脂は、温度上昇溶離分別(TREF)の80℃以下における溶出量が共重合体全量に対して90重量%以上の直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1又は2記載のプリントラミネート用フィルム。
- (B)樹脂は、重合触媒としてメタロセン化合物を用いて重合された直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリントラミネート用フィルム。
- 印刷体の印刷面に、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリントラミネート用フィルムの(B)樹脂層が熱接着されてなるプリントラミネート製品。
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