JP4610136B2 - プリントラミネート用フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷紙等の表面保護に用いられ、熱接着されるプリントラミネート用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷紙の表面保護、耐水性や耐油性の付与あるいは、表面光沢向上等を目的として、印刷紙に樹脂フィルムをラミネートすることは、広く実施されている。このような目的に使用されるプリントラミネート用フィルムとしては、基材フィルムに延伸ポリプロピレンフィルムを用い、又該フィルムと印刷紙、写真等との接着剤としては、溶剤型のエチレン・酢酸ビニル共重合体系接着剤が多用されている。しかしながら、溶剤型の接着剤を用いる方法は、溶剤を取り扱うところから溶剤回収や作業環境に特に留意する必要があり、また一般には、さらに硬化剤を用いるところからポットライフを考慮する必要があった。
【0003】
有機溶剤や接着剤を使用しないラミネートフィルムの製造方法が知られている。例えば、二軸延伸ポリプロピレンフィルム基材に、二種以上のエチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体の混合物よりなる感熱接着層を付与したラミネートフィルムの感熱接着面と印刷紙の印刷面とを加熱圧着のみで貼り合わせてプリントラミネート製品を製造する方法(特開昭56−42652号公報、特公平4−22431号公報、特開平3−73341号公報)がある。
【0004】
しかしながら、印刷面との易接着性の要求に対して、感熱接着層のエチレン系共重合体樹脂は官能性モノマー含量が極力多いものを使用するため、滑り性、抗ブロッキング性が劣り、フィルム生産時に離ロール性が悪くなりシワが入ったり、フィルムを巻き取り状態で運送や保存した場合、重なり合った基材面とエチレン系共重合体樹脂がくっつき、フィルムを巻き戻してラミネートプリントに使用する時、貼り合わせ張力が強くなり、積層フィルムが伸びたり、破断する等の問題がある。
【0005】
さらに、感熱接着層として、メタロセン化合物を触媒とした直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体にエチレン系樹脂を含有する樹脂組成物を積層したフィルムを加熱圧着のみで貼り合わせてプリントラミネート製品を製造する方法(特開平7−117197号公報)もある。しかし、この積層フィルムは、プリントラミネート時の積層フィルムのカット性が劣り、また良好な外観、加熱接着強度を得るには、高温でのラミネートが必要となり、カールやたるみが発生したり、インクの変色やにじみが生じ、実用上問題があった。従って、常温ではべたつき等がなく、極力わずかな加熱で、良好な外観、加熱接着強度が得られるプリントラミネート用フィルムが求められている。
【0006】
押出ラミネート時の加工性を解決するために、エチレン系樹脂と直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体を2層にして共押出ラミネート加工する方法も提案されている(特開2000−351184号公報)。この方法によれば、加工性が良好で、低温でのプリントラミネート製品の外観(ツブレ)及び加熱接着強度をある程度改良できる。しかし印刷紙の種類や厚みによっては、接着強度が不足する場合が生じ、結局ラミネート温度を高めざるを得ない問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前述の問題点に鑑みなされたもので、次に掲げるような特徴を有する。
(1)プリントラミネート時に溶剤臭が発生することなく、溶剤除去、回収装置を必要とせず、ポットライフを考慮する必要もない。
(2)フィルム生産時のシワ、プリントラミネート時の積層フィルムの伸び、破断がない。
(3)(A)(B)2種類の樹脂を2層共押出することにより押出ラミネート加工時のサージング現象を押さえ、安定したフィルム成形ができる。
(4)低温で印刷紙と加熱接着でき、印刷紙が熱による影響を受けず、カール、たるみ、印刷インクの変色、にじみが無くなり、安定したプリントラミネート製品が得られる。(5)印刷紙との接着強度に優れ、ツブレ性に優れる。
(6)熱可塑性樹脂フィルム基材との接着性に優れる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂フィルム基材の片面に、特定のエチレン系樹脂を積層し、その上に特定の直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体層を印刷体の印刷面に接するように熱接着積層することにより、安定したフィルム成形ができることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂フィルム基材の片面に下記(A)の樹脂層が接し、その上に(B)の樹脂層が積層されたプリントラミネート用フィルムに存する。
(A):密度が0.900g/cm3 未満、メルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分の直鎖状エチレン系共重合体94〜50重量%と分岐状低密度エチレン系樹脂6〜50重量%を含有する樹脂組成物
(B):密度が0.900g/cm3 未満、メルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分の直鎖状エチレン系共重合体
【0009】
【発明の実施の形態】
1.熱可塑性樹脂フィルム基材
本発明で用いられる熱可塑性樹脂フィルム基材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂の無延伸または延伸フィルムが挙げられる。基材フィルムの厚みは、通常6〜100μm、好ましくは7〜40μmである。熱可塑性樹脂フィルム基材の中には、滑剤、アンチブッロキング剤、安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、その他の添加剤が配合されていても良い。
【0010】
2.接着樹脂層
前記熱可塑性樹脂フィルム基材の表面に積層される樹脂層は、下記の特定のエチレン系樹脂組成物からなる(A)層と、その上に積層される直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体(B)層よりなる。
【0011】
(A)エチレン系樹脂組成物
(A)の樹脂層には、下記▲1▼及び▲2▼の2種類のエチレン系樹脂が使用される。
▲1▼ 直鎖状エチレン系共重合体
本発明で用いる直鎖状エチレン系共重合体の密度(JIS K7112、A法)は、0.900g/cm3未満、好ましくは0.895g/cm3未満である。密度が0.900g/cm3以上では、特に0.910g/cm3以上では、プリントラミネート時の加熱接着温度が高くなり、低温でのプリントラミネート製品の接着温度、外観(ツブレ)が悪化する。また、カール性やたるみも悪化する。密度の下限は限定的ではなく、小さいほど熱的特性に有利であるが、後述するように製造上から制限がある。
【0012】
また、該直鎖状エチレン系共重合体のメルトフローレート(MFR)(JISK7210、条件4)は、1〜100g/10分、好ましくは2〜80g/10分である。MFRが上記未満のものは溶融粘度が高すぎるため、押出ラミネート加工時の延展性が不足する。一方上記範囲を超えるものは、溶融粘度が低すぎるため、ネックインが大きくなり成形性に劣る。
また、該直鎖状エチレン系共重合体は、その示差走査熱量計(DSC)測定の80℃における融解量が共重合体全量に対して50重量%以上、特に80〜100重量%であるものが好ましい。上記範囲未満のものは、加熱接着時の所要熱量が大きくなり、低温での加熱接着性に劣る。高温接着にすると、カール、たるみ、ツブレの原因となり好ましくない。
【0013】
かかる直鎖状エチレン系共重合体は、エチレンと少なくとも一種類の炭素数が3〜12のα−オレフィンとを共重合して得らるものである。具体的には、エチレンと1種類の炭素数が3〜12のα−オレフィンが共重合して得られた2元共重合体、及びエチレンと2種類の炭素数が3〜12のα−オレフィンが共重合して得られた3元共重合体が挙げられる。炭素数が3〜12のα−オレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられ、単独で用いても数種類用いてもよい。該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/1−ヘキセン共重合体、エチレン/1−オクテン共重合体、エチレン/プロピレン/1−ブテン共重合体、及びエチレン/プロピレン/1−ヘキセン共重合体が好ましい。
【0014】
さらに、該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、無水マレイン酸、スチレン等をグラフト重合させたものも利用できる。また、該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体には、滑剤、アンチブッロキング剤、安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、低分子量ポリマー、その他各種添加剤を必要に応じて添加できる。
【0015】
本発明で用いる直鎖状エチレン系共重合体は、公知のチーグラー系触媒またはメタロセン触媒を用いて重合することができる。好ましくはメタロセン化合物を用いて高圧イオン重合、気相重合、溶液重合により製造した共重合体が好ましい。メタロセン触媒としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の遷移金属のメタロセン化合物とこれを活性化する助触媒との組合せが用いられる。メタロセン化合物としては、遷移金属に置換又は非置換のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子が結合した化合物が用いられる。助触媒としては、アルミノキサン化合物、ルイス酸、イオン交換性珪酸塩、有機アルミニウム化合物などが適宜組み合わせて用いられる。
【0016】
▲2▼ 分岐状低密度エチレン系樹脂
本発明で用いる分岐状低密度エチレン系樹脂とは、長鎖分岐を有し、密度が0.940g/cm3未満、好ましくは0.930g/cm3未満のエチレン単独重合体、又はエチレン共重合体である。エチレン共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等が例示される。エチレンと共重合するモノマーは、二種以上を混合して用いても良い。中でも、エチレン単独重合体はサージング防止、ネックイン改良、カット性改良などの点で好ましい。
かかる分岐状低密度エチレン系樹脂は、通常高圧法ラジカル重合法によって製造することができる。
【0017】
(A)層を構成する樹脂組成物は、▲1▼直鎖状エチレン系共重合体と▲2▼分岐状低密度エチレン系樹脂を配合して調整される。配合割合としては、直鎖状エチレン系共重合体が通常50〜94重量%、好ましくは60〜90重量%、分岐状低密度エチレン系樹脂が通常6〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。分岐状低密度エチレン系樹脂の配合量が上記範囲未満では押出ラミネート加工時にサージング現象が発生し、加工性が悪化する。一方上記範囲を超えると延展性が不足し、加工性が劣り、低温での加熱接着性も劣る。
【0018】
(B)直鎖状エチレン系重合体
本発明において、(B)層を構成する直鎖状エチレン系重合体としては、前記した(A)層を構成する直鎖状エチレン系重合体と同様のものが使用される。ここで「同様」とは、直鎖状エチレン系重合体に含まれるものであれば、(A)層の直鎖状エチレン系重合体と(B)層の直鎖状エチレン系重合体とは、物性、製法などは同一でも異なっていてもよいことを意味する。
なお、(B)層にも必要に応じて滑剤、アンチブッロキング剤、安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、低分子量ポリマー、その他各種添加剤を添加できる。
【0019】
3.接着樹脂層の厚み
上記接着樹脂層の厚みは(A)樹脂層と(B)樹脂層を併せて5μm以上、好ましくは7〜80μmで、(A)樹脂層と(B)樹脂層の厚み比率の制限はないが、好ましくは(A):(B)が1:1〜1:3が望ましい。
【0020】
4.プリントラミネート用フィルム
本発明におけるプリントラミネート用フィルムは、熱可塑性フィルム基材の片面に(A)樹脂層、その上に(B)樹脂層を積層して得られるがその製造方法としては次のような方法がある。
(A)樹脂層、その上に(B)樹脂層貼り合わせる2度貼り押出ラミネート法、(B)樹脂フィルムを溶融(A)樹脂層によって貼り合わせるサンドイッチ押出ラミネート法、(A)及び(B)樹脂2層フィルムをドライラミネートする方法、(A)及び(B)樹脂2層溶融共押出ラミネート法がある。好ましくは、高速薄肉成形性の良い2層共押出ラミネート法が望ましい。この場合、加工温度は150〜300℃、好ましくは200〜280℃が望ましい。又、熱可塑性樹脂フィルム基材と(A)樹脂層間をオゾン処理することが好ましい。
【0021】
(A)及び(B)樹脂を2層溶融共押出ラミネート加工する際には、熱可塑性樹脂フィルム基材に予めコロナ処理のような表面処理を行っておくか、アンカーコート剤を塗布しておくことが望ましい。
【0022】
かくして得られたプリントラミネート用フィルムには、印刷体の印刷面との接着性を良好にするため、(B)樹脂層面をコロナ処理、オゾン処理等の酸化処理を行うことが好ましい。特にコロナ処理が最も簡便で効果がある。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例における積層フィルムの特性、プリントラミネート製品の特性評価方法及び実施例で使用した樹脂は次の通りである。
【0024】
押出ラミネート加工性
(1)サージング現象:
積層樹脂層の厚み(共押出の場合はトータル厚み)が15μmで引取速度200m/分で、Tダイから押し出される溶融樹脂のサージング現象(流れ方向で±5μm以上の厚み変動)の発生の有無を観察し、下記の評価基準で評価した。
良:サージング現象の発生無し。
不良:サージング現象の発生有りで、押出ラミネート加工が困難。
【0025】
積層フィルム特性
(1)抗ブロッキング性:
幅21cm、長さ29cmの二軸延伸フィルム面と積層フィルムのコロナ放電処理面を重ね合わせ、温度が60℃のオーブン中で幅15cm、長さ20cmにわたって0.05kg/cm2の荷重を負荷して24時間放置した後、重ね合わせたフィルムの剥離面積が10cm2(幅2cm、長さ5cm)になるようにカットし、引張試験機で剥離(引張速度500mm/分)に要する剥離荷重(kg/10cm2)を測定した。この値が小さい程抗ブロッキング性は優れており、下記範囲で×〜◎と判断した。
×:剥離荷重が2kg以上(積層フィルムが切断)。
△:剥離荷重が1.5〜2kg未満(積層フィルムが伸びきる)。
○:剥離荷重が1.0〜1.5kg未満(積層フィルムの伸びが復元)。
◎:剥離荷重が1.0kg未満。
【0026】
(2)基材との接着強度
積層フィルムを、幅15mm、長さ100mmの試験片に切断し、長さ50mmを手で剥離した後、島津製作所社製の引張試験機で180度方向に300mm/分の引張速度で剥離した引張強度の値を示した。
(3)エルメンドルフ引裂強度
プリントラミネート用フィルムをプラスチックフィルム及びシートの引裂試験法(JIS K7128 B法 エルメンドルフ引裂法)で測定した。
【0027】
プリントラミネート製品の特性
(1)光沢度及びツブレ:
プリントラミネート製品の印刷部の光沢度(20度)を、スガ試験機社製のUGV−5DP(商品名)で測定した値を示し、又、ツブレ性(印刷紙と積層樹脂との密着性)は、外観のツブレ状態を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。
○:残存空気が全く無く、印刷色が鮮明。
△:印刷色上に空気がスジ状や斑点として残存。
×:印刷色上に空気が帯状に残存し、印刷色が不鮮明。
【0028】
(2)接着強度:
プリントラミネート製品を、幅25mm、長さ100mmの試験片に切断し、長さ方向50mmを手で剥離した後、島津製作所引張試験機で180度方向に300mm/分の引張速度で剥離した引張強度の値を示した。
【0029】
(3)トンネリング性:
プリントラミネート製品の印刷紙の非貼合面にマイクロシリンジにて軽油100μlを滴下し、温度23℃、湿度50%の雰囲気下に放置し、24時間後の積層フィルム面の変化を観察し、下記の評価基準で評価した。
◎:接着強度、外観全く問題なし。
○:接着強度が僅かに低下しているが外観変化なし(使用に耐える程度)。
△:僅かにブツブツが発生。
×:明らかにトンネリング発生。
【0030】
実施例・比較例で使用した試料
(1)エチレン・1−ヘキセン共重合体(LLDPE−1)
日本ポリケム社製、カーネルKS560(商品名)MFR:16.5g/10分、 密度:0.898g/cm3 、DSC測定の80℃に於ける融解量:56.0重量%
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合体(LLDPEー2)
日本ポリケム社製、カーネルKJ640(商品名)MFR:30g/10分、 密度:0.880g/cm3 、DSC測定の80℃における融解量:90.7重量%
(3)エチレン・1−ヘキセン共重合体(LLDPEー3)
デュポン、ダウケミカル社製、エンゲージEG8407(商品名)MFR:30g/10分 密度:0.870g/cm3 、DSC測定の80℃における融解量:100重量%
(4)エチレン.1−ヘキセン共重合体(LLDPE−4)
日本ポリケム社製、カーネルKC370(商品名)MFR:4g/10分 密度:0.905g/cm3 、DSC測定の80℃における融解量:38.7重量%
(5)エチレン.1−ブテン共重合体(LLDPE−5)
日本ポリケム社製、ノバテックUJ370(商品名)MFR:16g/10分、密度:0.921g/cm3 、DSC測定の80℃における融解量:15.5重量%
(6)高圧法低密度PE(LDPE)
日本ポリケム社製、ノバテックLC701(商品名)MFR:14g/10分 密度:0.919g/cm3
【0031】
[実施例1]
(1)(A)樹脂層を前記ラミネート樹脂のLLDPE−1:80重量%とLDPE:20重量%との組成物、(B)樹脂層ををLLDPE−2としてそれぞれを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚(A)層7μm、(B)層8μm、トータル厚み15μmでフィルム状に(A)樹脂層面が基材面になるように2層で溶融共押出しした。(A)樹脂層全体の密度は0.902g/cm3 であった。
(2)次いで、押出ラミネート装置の基材の繰出部より厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム〔二村化学工業製 LOF2(商品名)〕を繰り出し、この片面にアンカーコート剤を塗布し、乾燥後塗布面とTダイからフィルム状に2層で溶融共押出しした(A)樹脂層の間をオゾン処理し、表面をマット仕上げした令却ロールと圧縮ゴムロールで圧着ラミネートし、更に積層されたフィルムの(B)樹脂層の表面に20W.分/m2のコロナ放電処理を施し、積層フィルムを得た。その時の加工性と積層フィルムの評価結果を表1に示す。なお、表1では、二軸延伸ポリプロピレンフィルムをOPPの略称で表示した。
(3)次に、得られた積層フィルムのコロナ放電処理面とオフセット印刷したアート紙をロール温度が50、60、70℃、線圧が55.6Kg、速度が30m/分の圧着機で熱圧着し、プリントラミネート製品を得た。
(4)押出ラミネート加工性、積層フィルムの基材と(A)樹脂層間の接着強度、抗ブロッキング性を表1に示した。また、プリントラミネート製品の光沢性、印刷したアート紙との接着強度、印刷したアート紙とのトンネリング性の評価結果を表2に示す。
【0032】
[実施例2]
(1)(A)樹脂層を前記ラミネート樹脂のLLDPE−2:80重量%とLDPE:20重量%との組成物、(B)樹脂層をLLDPE−2にした以外は実施例1と同様にした。
【0033】
[実施例3]
(1)(A)樹脂層を前記ラミネート樹脂のLLDPE−3:80重量%とLDPE:20重量%との組成物、(B)樹脂層をLLDPE−3にした以外は実施例1と同様にした。
【0034】
[実施例4]
(1)(A)樹脂層を前記ラミネート樹脂のLLDPE−2:50重量%とLDPE:50重量%との組成物、(B)樹脂層をLLDPE−2にした以外は実施例1と同様にした。
【0035】
[実施例5]
(1)(A)樹脂層を前記ラミネート樹脂のLLDPE−1:92重量%とLDPE:8重量%との組成物、(B)樹脂層をLLDPE−2にした以外は実施例1と同様にした。
【0036】
[比較例1]
(1)(A)、(B)樹脂層を前記ラミネート樹脂のLLDPE−2として、それぞれを口径65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚(A)層7μm、(B)8μm層でフィルム状に(A)樹脂層面が基材面になるように2層で溶融共押出しした。しかし、Tダイから押し出される溶融した樹脂にサージングが発生し、フィルム成形が不可能となり、以下の操作を中止した。
【0037】
[比較例2]
(1)前記ラミネート樹脂LLDPE−2:90重量%とLDPE:10重量%の混合物を口径90mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚15μmでフィルムフィルム状に1層で溶融押出した以外は実施例1と同様にした。
【0038】
[比較例3]
(1)(A)樹脂層を前記ラミネート樹脂のLLDPE−4:80重量%とLDPE:20重量%の組成物、(B)樹脂層をLLDPE−2としてそれぞれを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚(A)層7μm、(B)層8μmでフィルム状に(A)樹脂層面が基材面になるように2層で溶融共押出しした。
(2)以下は実施例1と同様にした。
【0039】
[比較例4]
(1)(A)樹脂層を前記ラミネート樹脂のLLDPE−5:80重量%とLDPE:20重量%との組成物、(B)樹脂層をLLDPE−2としてそれぞれを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚(A)層7μm、(B)層8μmでフィルム状に(A)樹脂層面が基材面になるように2層で溶融共押出しした。
(2)以下は実施例1と同様にした。
【0040】
[比較例5]
(1)(A)樹脂層を前記ラミネート樹脂のLDPE、(B)樹脂層をLLDPE−2としてそれぞれを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚(A)層7μm、(B)層8μmでフィルム状に(A)樹脂層面が基材面になるように2層で溶融共押出しした。
(2)以下は実施例1と同様にした。
【0041】
[比較例6]
(1)(A)樹脂層を前記ラミネート樹脂のLLDPE−2:95重量%とLDPE:5重量%との組成物、(B)樹脂層をLLDPE−2としてそれぞれを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚(A)層7μm、(B)層8μmでフィルム状に(A)樹脂層面が基材面になるように2層で溶融共押出しした。共押出しに際し、ネックインが100mm以上となり、フィルム成形がやや困難であった。なお、ネックインとは、Tダイスから樹脂が押し出される幅と積層フィルムの幅との差をいう。積層フィルムの幅の方が小さくなる。
(2)以下は実施例1と同様にした。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】
本発明のプリントラミネート用フィルムは、印刷体の印刷面と低温でプリントラミネーションができ、プリントラミネート製品の印刷インクの変色、カール防止ができ、プリントラミネート時の積層フィルムのカット性が改良される。又、(A)樹脂層と(B)樹脂層を2層共押出をすることにより、押出ラミネート加工時のサージング現象を防止し、安定したフィルム成形ができる。
Claims (8)
- 熱可塑性樹脂フィルム基材の片面に下記(A)の樹脂層が接し、その上に(B)の樹脂層が積層されたプリントラミネート用フィルム。
(A):密度が0.900g/cm3 未満、メルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分の直鎖状エチレン系共重合体50〜94重量%と分岐状低密度エチレン系樹脂6〜50重量%を含有する樹脂組成物
(B):密度が0.900g/cm3 未満、メルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分の直鎖状エチレン系共重合体 - (A)及び(B)の直鎖状エチレン系共重合体が、メタロセン触媒を使用して製造されたものである請求項1記載のプリントラミネート用フィルム。
- (A)及び(B)の直鎖状エチレン系共重合体が、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体である請求項1又は2記載のプリントラミネート用フィルム。
- (A)及び(B)の直鎖状エチレン系共重合体が、示差走査熱量計(DSC)測定の80℃における融解量が共重合体全量に対して50重量%以上である請求項1〜3いずれか1項記載のプリントラミネート用フィルム。
- (A)の分岐状低密度エチレン系樹脂が、高圧ラジカル重合法で製造されたものである請求項1〜3いずれか1項記載のプリントラミネート用フィルム。
- (A)の樹脂組成物の密度が0.900g/cm3 未満である請求項1〜5いずれか1項記載のプリントラミネート用フィルム。
- (A)及び(B)の樹脂層が共押出されてなる請求項1〜6いずれか1項記載のプリントラミネート用フィルム。
- 熱可塑性樹脂フィルム基材がポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートである
請求項1〜7いずれか1項記載のプリントラミネート用フィルム。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001259068A JP4610136B2 (ja) | 2001-08-29 | 2001-08-29 | プリントラミネート用フィルム |
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