JP3990488B2 - ポリオレフィン系多層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系多層フィルムに関するものである。詳しくは、耐熱性、剛性及び耐衝撃性に優れ、さらにラッピング加工性、深絞り加工性に優れたポリオレフィン系多層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン系フィルムは、耐熱性、剛性、機械的強度、透明性、光沢に優れており、各種用途、例えば食品包装、繊維包装等の包装用フィルムや、輸液バック等のメディカル用途、化粧合板、金属板、塗装鋼板、合成樹脂板などの表面保護フィルム、化粧材用フィルム、粘着テープ基材、土木・建築分野における建材用フィルムなどの表面材等、多種類の機能性分野に使用されている。
【0003】
しかしながらその反面、従来のポリオレフィン系フィルムは、例えば表面材として様々な形状の基材へラッピング加工や深絞り加工などを施す場合に、基材の形状に沿って均一且つ十分に伸びず、コーナー部等に白化や破れが生じるなどの加工性における問題点があったり、また低温での耐衝撃性が低いといった欠点もあり、特にそれらの特性がすべてバランスよく備わることを要求される表面材の用途に十分満足することができない。
【0004】
そこで、主に表面材としての加工性や耐衝撃性の向上のために、ポリプロピレンにゴムを添加したり、プロピレン重合時に少量のエチレンを添加して、プロピレンとエチレンをランダムに共重合させる等の方法が提案されてきた。しかし、これらは多少の欠点の改善にはなるものの、十分満足するには至っておらず、また、耐熱性、剛性が低下するなどその特徴を損なう結果となっている。
【0005】
一方、ポリエチレンは、柔軟性や低温での耐衝撃性等において優れており、プロピレン同様、多種類の機能性分野に使用されているものの、剛性が劣り、剛性の要求される分野には満足されていない。そこで、ポリプロピレンフィルムと複合化することにより、剛性と、ラッピング加工性等の表面材としての加工性とを同時に兼ね備えたフィルムの開発が検討されてきた。
【0006】
しかしながら、用途の高度化に伴い、フィルムそれ自体の性能を更に高め、かつ作業効率をさらに一層高めることが強く求められており、また特に、表面保護フィルム、化粧フィルム、土木・建築分野における建材用フィルムなどの表面材の用途においては、近年、環境保護の立場から地球に優しい材料を求める動きが世界的にあって、例えば、塩化ビニル樹脂からポリオレフィン系フィルムへの切り替えが急速に求められているといったような背景から、ポリオレフィン系フィルムの耐熱性、剛性、耐衝撃性及び表面材としての加工性等の向上が、ユーザーから最も多くまた強く要望されているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱性、耐衝撃性、及び剛性に優れ、且つ種々の基材表面へのラッピング加工や深絞り加工等における表面材としての加工性をも兼ね備えた多層フィルムを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決したポリオレフィン系フィルムの鋭意研究を行った結果、特定のポリオレフィン系樹脂材料から形成される多層フィルムとすることにより、耐熱性、剛性、及び耐衝撃性に優れ、かつ表面材としての加工性にも優れたフィルムが得られることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、外層、中間層及び内層の少なくとも3層からなる多層フィルムであって、外層及び内層はそれぞれ独立に、以下の成分(A)50重量%以上と成分(B)50重量%以下とからなる成分(A)と成分(B)の混合樹脂材料で形成されており、
中間層は以下の成分(C)95重量%以下と成分(D)5重量%以上とからなる成分(C)と成分(D)の混合樹脂材料で形成されていることを特徴とする、ポリオレフィン系多層フィルムを提供する。
【0010】
(A)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の量で含有し、MFRが0.1〜50g/10分である結晶性ポリプロピレン。
【0011】
(B)エチレンから誘導される構成単位を主成分とし下記物性(B1)及び(B2)を備えた、エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体。
(B1):MFRが0.1〜50g/10分であること。
(B2):温度上昇溶離分別によって得られる溶出曲線の最大ピークの温度が15〜85℃であり、該ピークの高さをHとしその3分の1の高さにおける該ピークの幅をWとしたときのH/Wの値が2以上であること。
【0012】
(C)下記物性(C1)及び(C2)を備えたプロピレン単独重合体又はプロピレンから誘導される構成単位を主成分としたプロピレンと炭素数2もしくは4〜20のα−オレフィンとの共重合体。
(C1):MFRが0.1〜50g/10分であること。
(C2):示差走査熱量測定法(DSC)によって得られる主たる融解ピークが110〜165℃の範囲内にあること。
【0013】
(D)エチレンから誘導される構成単位を主成分とし、下記物性(D1)及び(D2)を備えたエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体。
(D1)MFRが0.1〜50g/10分であり、
(D2)温度上昇溶離分別によって得られる溶出曲線の最大ピークの温度が15〜85℃であり、該ピークの高さをHとしその3分の1の高さにおける該ピークの幅をWとしたときのH/Wの値が2以上であること。
【0014】
また、本発明は、前記ポリオレフィン系多層フィルムからなることを特徴とする表面保護用フィルムを提供する。
また、本発明は、前記ポリオレフィン系多層フィルムからなることを特徴とする化粧材用フィルムを提供する。
また、本発明は、前記ポリオレフィン系多層フィルムからなることを特徴とする建装材用フィルムを提供する。
【0015】
本発明の多層フィルムは、耐熱性、剛性、及び耐衝撃性に優れ、しかも高い伸びを示すため、種々の包装用フィルム等の従来のポリオレフィン系フィルムの用途において好適であるだけでなく、特に、表面材として種々の基材上へラッピング加工や深絞り加工を施す場合に、引張力が加えられた際にフィルムが基材の形状に沿って均一且つ十分に伸びることからコーナー部等における白化や破れが生じにくく基材に傷が付きにくいといった特徴があり、表面材、特に化粧材用フィルム、建装材用フィルム等の表面保護フィルムとして有用である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の多層フィルムは外層、中間層、及び内層の少なくとも3層から構成される。そして、外層及び内層は成分(A)及び成分(B)からなる樹脂材料から形成され、中間層は成分(C)及び成分(D)からなる樹脂材料から形成される。ここで、成分(B)と成分(D)は同様の範疇から選択される成分である。
【0017】
I.各層を形成する樹脂材料
(1)成分(A)
成分(A)は、プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の量で含有し、MFR(メルトフローレート)が0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜30g/10分である結晶性ポリプロピレンである。なお、この場合のMFRはJIS−K6758に準拠して測定した値である。MFRが上記範囲より大きいとフィルム強度が低下し、フィルムの成膜が不安定となる。また、該MFRが上記範囲より小さいと、樹脂圧力が高くなり、押出性が低下して成形性に劣ることとなる。
【0018】
この結晶性ポリプロピレンは、13C−核磁気共鳴スペクトル法によって決定されるコモノマー含量が10モル%未満、つまりプロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の量で含有するものが用いられる。プロピレンから誘導される構成単位が90モル%より少ないと耐熱性が低下するので好ましくない。なお、ここで使用できるコモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。コモノマーとして用いられるα−オレフィンは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上用いた多元系共重合体も好ましいものとして含まれる。具体的には、プロピレン−エチレン2元共重合体、プロピレン−ブテン2元共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン3元共重合体等を挙げることができる。
【0019】
成分(A)の結晶性ポリプロピレンは、上述した物性を満たすものであれば特に限定されず、如何なるポリプロピレンを用いることもできる。また、その製造方法も特に制限はなく、上記物性を満たすようにあらゆる公知の方法で製造することができる。
【0020】
(2)成分(C)
成分(C)は、下記物性(C1)及び(C2)を備えたプロピレン単独重合体又はプロピレンから誘導される構成単位を主成分としたプロピレンと炭素数2もしくは4〜20のα−オレフィンとの共重合体である。
【0021】
(C1):MFRが0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜30g/10分である。なお、この場合のMFRはJIS−K6758に準拠して測定した値である。該MFRが上記範囲より大きいとフィルム強度が低下し、フィルムの成膜が不安定となる。また、該MFRが上記範囲より小さいと、樹脂圧力が高くなり、押出性が低下する。
【0022】
(C2):示差走査熱量測定法(DSC)によって得られる主たる融解ピークが110〜165℃、好ましくは135〜165℃の範囲内にあるものである。該融解ピーク温度が上記範囲より大きいと、フィルムの透明性、耐衝撃性が低下し、また該融解ピーク温度が上記範囲より小さいと、フィルムの耐熱性が低下するので好ましくない。
【0023】
プロピレンとα−オレフィンとの共重合体の場合、コモノマーである該α−オレフィンとしては、炭素数2もしくは4〜20のもの、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。コモノマーとして用いられるα−オレフィンは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上用いた多元系共重合体も好ましいものとして含まれる。主成分であるプロピレンは、共重合体中75モル%以上含有され、コモノマーは25モル%未満であるのが好ましい。具体的には、プロピレン−エチレン2元共重合体、プロピレン−ブテン2元共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン3元共重合体等を挙げることができる。
【0024】
成分(C)のプロピレン単独重合体又はプロピレン・α−オレフィン共重合体は、上述した物性を満たすものであれば特に限定されず、如何なるポリプロピレンを用いることもできる。また、その製造方法も特に制限はなく、上記物性を満たすようにあらゆる公知の方法で製造することができる。
【0025】
(3)成分(B)及び成分(D)
成分(B)及び成分(D)は、下記物性(B1又はD1)と(B2又はD2)を備えたエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体である。
【0026】
(B1又はD1):MFRが0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜30g/10分である。なお、この場合のMFRはJIS−K7210に準拠して測定した値である。該MFRが上記範囲より大きいとフィルム強度が低下し、フィルムの成膜が不安定となる。また、該MFRが上記範囲より小さいと、樹脂圧力が高くなり、押出性が低下する。
【0027】
(B2又はD2):温度上昇溶離分別によって得られる溶出曲線の最大ピークの温度が15〜85℃、好ましくは25〜82℃であり、かつ該ピークの高さをHとしその3分の1の高さにおける該ピークの幅をWとしたときのH/Wの値が2以上、好ましくは2.5以上である。
【0028】
ここで、温度上昇溶離分別(TREF:Temperature Rising Elution Fraction)とは、一度高温でポリマーを完全に溶解させた後に冷却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させ、次いで温度を連続又は段階的に昇温して、溶出した成分(ポリマー)を回収し、その濃度を連続的に検出して、その溶出成分の量と溶出温度とを求める方法である。その溶出分率と溶出温度によって描かれるグラフが溶出曲線であり、これによりポリマーの組成分布(分子量及び結晶性の分布)を測定することができる。温度上昇溶離分別(TREF)の測定方法及び装置等の詳細については、Journal of Applied Polymer Science、第26巻、第4217〜4231頁(1981年)に記載されている。
【0029】
TREFによって得られる溶出曲線の形はポリマーの分子量及び結晶性の分布によって異なる。例えばピークが一つの曲線、ピークが2つの曲線、及びピークが3つの曲線があり、さらにピークが2つの曲線には溶出温度の低いピークに比べて溶出温度の高いピークの方が溶出分率が大きい(ピークの高さが高い)場合と、溶出温度の低いピークに比べて溶出温度の高いピークの方が溶出分率が小さい(ピークの高さが低い)場合とがある。これを具体的に図に示して説明すると、図1にはピークが1つの場合の溶出曲線を表し、図2にはピークが2つの場合の溶出曲線を表し、図3にはピークが3つの場合の溶出曲線を表し、さらに図2の(a)には溶出温度の低いピークに比べて溶出温度の高いピークの方がピーク高さが高い場合を表し、図2の(b)には溶出温度の低いピークに比べて溶出温度の高いピークの方がピーク高さが低い場合を表す。
【0030】
本発明における溶出曲線の最大ピークとは、ピークが1つの場合の溶出曲線においてはそのピークを、ピークが2つ以上存在する溶出曲線においては、その溶出分率が最大となるピーク(図2及び図3中、符号pで示したピーク)を表す。また、本発明におけるH/Wとは、図1〜3に示したように、最大ピークの高さをHとし、その3分の1の高さにおける幅をWとして計算することにより求められる。図1に示したように、ピークが1つの場合は該ピークの高さと幅とから求められるが、ピークが2つ以上存在する溶出曲線においては、最大ピークと他のピークとの間の谷が該最大ピークの高さの3分の1以上となるような場合があり、形状によっては最大ピークの高さの3分の1の高さにおける幅が該最大ピークと該他のピークとから形成される曲線の幅となる場合がある。そのときはその該最大ピークと他のピークとから形成される曲線全体の幅をWとする(図2(a)及び図3参照)。ピークが2以上の場合であっても、最大ピークとの間の谷が該最大ピークの高さの3分の1未満となるような他のピークが存在する場合は、そのような他のピークは幅Wの計算には関与しない(図2(b)及び図3参照)。
【0031】
このようにして求められる本発明のTREFによる溶出曲線の最大ピークの温度及びH/Wが上記範囲内であれば、組成分布が狭く結晶性が均一なポリオレフィン樹脂が得られ、フィルムとした場合に透明性、耐衝撃性、耐熱性のバランスが向上する。一方、TREFによる溶出曲線の最大ピークの温度上記範囲より大きいと、樹脂に高結晶成分が多く存在し、フィルムの透明性及び衝撃強度が低下するので好ましくない。一方、該ピーク温度が上記範囲より小さいと、フィルムの耐熱性が悪化するので好ましくない。また、H/Wの値が上記範囲より小さいと、樹脂の結晶性分布が広がりすぎ、フィルムの透明性及び耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0032】
上述した物性を備える成分(B)又は成分(D)は、エチレンから誘導される構成単位を主成分とするエチレン・α−オレフィン共重合体である。コモノマーであるα−オレフィンとしては、炭素数3〜18の1−オレフィンであり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。コモノマーとして用いられるα−オレフィンは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上用いた多元系共重合体も好ましいものとして含まれる。具体的には、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。
【0033】
共重合体中のエチレン単位の割合は、好ましくは80モル%以上であり、コモノマーは20モル%未満である。
成分(B)又は成分(D)のエチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法は特に制限されず、上述した物性(B1又はD1)及び(B2又はD2)を満たすように公知の方法で製造することができる。例えば、分子量及び結晶性の分布を制御する公知の方法として、重合温度やコモノマー量を調節する方法を適宜採用することにより、所望の物性のポリマーを得ることができる。
【0034】
また、重合触媒や重合方法についても特に制約はなく、例えば触媒としては、チーグラー型触媒(すなわち、担持又は非担持ハロゲン含有チタン化合物と有機アルミニウム化合物の組合せに基づくもの)、フィリップス型触媒(すなわち、担持酸化クロム(Cr6+)に基づくもの)、カミンスキー型触媒(すなわち、担持又は非担持メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物、特にアルモキサンの組合せに基づくもの)等が挙げられる。
【0035】
重合方法としては、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法(例えば、特開昭59−23011号公報に記載の方法)や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm2以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等が挙げられる。
【0036】
本発明における成分(B)又は成分(D)は、比較的狭い組成分布が望ましいので、特にカミンスキー型触媒を用いることが好ましい。
【0037】
(4)外層及び内層を形成する樹脂材料
外層及び内層を形成する樹脂材料は、成分(A)50重量%以上、好ましくは75重量%以上、及び成分(B)50重量%以下、好ましくは25重量%以下からなる。成分(A)が50重量%より少なく、成分(B)が50重量%より多く配合されていると、耐熱性が低下するので好ましくない。
【0038】
なお、外層と内層とは、各々独立して上述した樹脂材料から形成され、上記条件を満たすものであれば相互に同じ材料であってもよく、また成分(A)及び(B)の配合比や物性等の異なる別種の樹脂材料からなるものであってもよい。
【0039】
(5)中間層を形成する樹脂材料
中間層を形成する樹脂材料中の成分(C)と成分(D)との割合は、成分(C)が95重量%以下、好ましくは75重量%以下であり、成分(D)が5重量%以上、好ましくは25重量%以上である。成分(D)が5重量%より少なく、成分(C)が95重量%より多く配合されていると、耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0040】
(6)その他の成分
本発明の多層フィルムを形成する樹脂材料には、上述した成分(A)〜(D)の他に、一般に樹脂の成形材料や組成物に用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤(中でも、フェノール系、及びリン系酸化防止剤が好ましい)、アンチブロッキング剤、スリップ剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、着色剤、帯電防止剤、抗菌剤、接着剤等を配合することができる。また、本発明の特性を損なわない範囲で、エチレン・プロピレンランダム共重合体等のゴム成分を配合することもできる。
【0041】
(7)樹脂材料の製造
本発明の樹脂材料は、各成分をドライブレンドしてからそのままフィルム成形機のホッパーに投入する形としてもよく、また、押出機、ブラベンダーブラスとグラフ、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー等を用いて溶融・混練し、通常用いられる方法でペレット状として、フィルム製造に供することもできる。成分(A)及び成分(D)については、これらを単独で用いる場合は、そのままフィルム成形機のホッパーに投入し、フィルムを製造することとしてもよい。
【0042】
II.多層フィルムの層構成
本発明の多層フィルムは、その層構成のなかに上述した外層、中間層及び内層からなる3層構造を少なくとも有するものであれば特に制限はなく、例えば外層又は内層のさらに外側(又は内側)に、本発明の効果を損なわない範囲において各種の機能を備えた樹脂層を有していてもよい。例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、延伸ポリプロピレンフィルム等を積層し、その機械的強度、ガスバリヤー性、印刷性能などの機能を向上させることができる。また、外層又は内層には直接印刷することができる。さらに、印刷性、ラミネート性、粘着剤塗布性等を向上させるために、表面処理を行うことができる。表面処理の方法としては、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、火炎処理等が挙げられる。
【0043】
また、外層と内層との間には、前記中間層以外の層が構成層として含まれていてもよい。すなわち、本発明の効果を損なわない範囲において各種の機能を備えた層を含めることができる。そのような層としては、例えば変性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の接着層、印刷層、絵柄層、ガスバリヤー性を付与するためのナイロン、エバール、ポリエステル層等が挙げられる。
【0044】
本発明の多層フィルムにおいては、通常各層の厚みが2〜1000μm程度となるように形成されるが、各層の厚み、比率は特に限定されるものではなく、任意に選択することができる。そのうち、中間層の厚みがフィルム全厚の20〜99%、好ましくは30〜95%となるように構成すると、本発明の効果を十分に発揮することができる。
【0045】
このような本発明の多層フィルムの製造方法は、通常の樹脂組成物からなるフィルムの製造方法と同様の方法で行えばよい。例えば、必要な各成分をあらかじめドライブレンドしてからそのままフィルム成形機のホッパーに投入してフィルムを製造してもよく、また、上述した方法で溶融混練した後ペレット状とし、これを用いてフィルムを製造することもできる。
【0046】
フィルムの製造方法は、空冷インフレーション成形、空冷2段冷却インフレーション成形、Tダイフィルム成形、水冷インフレーション成形等が挙げられ、包装材料に好適なフィルムを得ることができる。多層を形成する方法としては、押出ラミネーション法、熱ラミネーション法、ドライラミネーション法、ウェットラミネーション法等により各層を貼り合わせる方法、共押出ラミネーション法等を挙げることができる。
【0047】
本発明の多層フィルムは、耐熱性、耐衝撃性、及び剛性に優れ、且つ種々の基材表面へのラッピング加工や深絞り加工等における表面材としての加工性をも兼ね備える。
【0048】
III.用途
(1)表面保護用フィルム
本発明の多層フィルムは、印刷、ラミネート、粘着剤塗布などの二次加工工程を行った上、化粧合板、金属板、塗装鋼板、合成樹脂板などの基材の表面保護用フィルムとして用いることができる。かかる表面保護用フィルムは、金属板や塗装鋼板等の表面を保護するために、あるいはこれらの金属板等を絞り加工する際に表面に傷が発生することを防止するために用いられる。
【0049】
本発明の多層フィルムは、基材へのラッピング加工性や絞り加工時の伸び性に優れており、例えば絞り加工時などに金属板等の変形に速やかに追随することができ、破断が生じ難く且つ金属板表面に傷を与えることが少ない。
表面保護用フィルムの厚さは特に限定されないが、通常5〜3000μm程度の範囲で適宜選定される。
【0050】
(2)化粧材用フィルム
本発明の多層フィルムは、家具や台所製品のキャビネットなどの化粧板の表面に使用される化粧材用フィルム・シートとして用いられる。
【0051】
化粧材としては、一般的には、表面層、接着層、及び絵柄層(印刷層)を含む化粧材用フィルム層と基材とからなる積層構造を有するものが挙げられる。化粧材の製造方法としては、例えば基材上に接着剤等を用いてラミネートする方法が挙げられる。
【0052】
基材として用いられるものとしては、例えば木材、合板、集成材、あるいはパーチクルボード、ハードボードなどの木質基材、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板等の金属基材、石膏ボードなどの無機系の基材、等が挙げられる。
【0053】
本発明の多層フィルムは、ラッピング加工性、すなわち基材が凹凸部や複雑な形状を有する場合、その形状に合わせて貼り合わせが可能な加工適性を備えている。具体的には、フィルムの折り曲げ部分に亀裂や切断、白化などの不都合が生じない。
【0054】
(3)建装材用フィルム
本発明の多層フィルムは、床材や壁装材などの建装材の表面材層を形成する建装材用フィルムとして用いられる。建装材は、通常、表面材層の裏面に裏打ち材が積層された構造を有している。
【0055】
表面材層の厚さは特に限定されないが、通常5μm〜3mm程度の範囲で状況に応じて適宜選定される。裏打ち材については特に制限はなく、紙や従来プラスチック系建装材の裏打ち材として慣用されているものを用いることができる。
【0056】
建装材は、前記表面材と裏打ち材とを熱溶着により積層させて作製してもよく、あるいは表面材と裏打ち材とを接着材層を介して積層することにより作製してもよい。例えば、本発明の建装材用フィルムと裏打ち材とをプレス成形機にて樹脂の溶融温度以上で接着させ、積層させることができる。また、さらに表面にエンボス加工や印刷などを施すこともできる。本発明の多層フィルムは、機械的強度や耐熱性に加えてラッピング加工性にも優れていることから、裏打ち材とともにプレス加工等を行っても良好な加工性を示すものであり、建装材用フィルムとして有用である。
【0057】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例における物性の測定及びフィルム物性評価は以下に示す方法によって実施した。
【0058】
(1)MFR(メルトフローレート)
成分(A)及び成分(C)のMFRはJIS−K6758のポリプロピレン試験方法のメルトフローレート(条件;230℃、荷重;2.16kg)に従って測定した。
成分(B)及び成分(D)のMFRはJIS−K7210のポリエチレン試験方法のメルトフローレート(条件;190℃、荷重;2.16kg)に従って測定した。
【0059】
(2)コモノマー濃度
13C−核磁気共鳴スペクトル法によって決定した。
【0060】
(3)示差走査熱量測定法(DSC)による融解ピーク温度の測定
セイコー社製DSCを用い、サンプル量5.0mgを採り、200年0で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度及び融解終了温度で評価した。
【0061】
(4)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線の測定
本発明におけるTREFによる溶出曲線の測定は、以下のようにして行った。測定装置としてクロス分別装置(三菱化学株式会社製、CFC・T150A)を使用し、附属の操作マニュアルの測定法に従って行った。このクロス分別装置は、試料を、溶解温度の差を利用して分別する温度上昇溶離分別(TREF)機構と、分別された区分を更に分子サイズで分別するサイズ排除クロマトグラフ(Size Chromatography:SEC)とをオンラインで接続した装置である。
【0062】
まず、測定すべきサンプル(エチレン・α−オレフィン共重合体)を溶媒(o−ジクロロベンゼン)を用いて濃度が4mg/mlとなるように、140℃で溶解し、これを測定装置内のサンプルループ内に注入した。以下の測定は、設定条件に従って自動的に行われた。
【0063】
サンプルループ内に保持された試料溶液は、溶解温度の差を利用して分別するTREFカラム(不活性担体であるガラスビーズが充填された内径4mm、長さ150mmの装置附属のステンレス製カラム)に0.4ml注入された。該サンプルは、1℃/分の速度で140℃から0℃の温度まで冷却され、上記不活性担体にコーティングされた。このとき、高結晶成分(結晶しやすいもの)から低結晶成分(結晶しにくいもの)の順で不活性担体表面にポリマー層が形成される。TREFカラムを0℃で更に30分間保持した後、0℃の温度で溶解している成分2mlを、1ml/分の流速でTREFカラムからSECカラム(昭和電工株式会社製、AD80M・S、3本)へ注入した。SECで分子サイズでの分別が行われている間に、TREFカラムでは次の溶出温度(5℃)に昇温され、その温度に約30分間保持された。SECでの各溶出区分の測定は39分間隔で行われた。溶出温度としては以下の温度が用いられ、段階的に昇温された。
【0064】
溶出温度(℃):0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140℃。
【0065】
該SECカラムで分子サイズによって分別された溶液について、装置附属の赤外分光光度計でポリマーの濃度に比例する吸光度を測定し(波長3.42μm、メチレンの伸縮振動で検出)、各溶出温度区分のクロマトグラムを得た。内蔵のデータ処理ソフトを用い、上記測定で得られた各溶出温度区分のクロマトグラムのベースラインを引き、演算処理した。各クロマトグラムの面積が積分され、積分溶出曲線が計算された。また、この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が計算された。計算結果の作図はプリンターに出力した。出力された微分溶出曲線の作図は、横軸に溶出温度を100℃当たり89.3mm、縦軸に微分量(溶出分率:全積分溶出量を1.0に規格し、1℃の変化量を微分量とした)0.1当たり76.5mmで行った。
【0066】
次に、この微分溶出曲線から最も高さの高いピーク(最大ピーク)における温度を最大ピーク温度とし、また、この最大ピークのピーク高さをHとし、その3分の1の高さにおける幅をWとして、H/Wの値を算出した。
【0067】
(5)フィルムの成形
成分(A)および成分(B)もしくは成分(A)単体、成分(C)および成分(D)もしくは成分(D)単体について、3層Tダイ成形機を用いて以下の条件で共押出成形を行い、3層フィルムを得た。
【0068】
(成形条件)
機種:プラコー社製Tダイフィルム成形機
内 層:スクリュー径;20mmφ、L/D;25、温度;240℃
中間層:スクリュー径;35mmφ、L/D;28、温度;240℃
外 層:スクリュー径;20mmφ、L/D;25、温度;240℃
ダイリップ;0.8mm
ダイス温度;240℃
冷却ロール温度;30℃
エアーギャップ;60mm
引取速度;8m/分
フィルム厚み;100μ
層厚み比:内層/中間層/外層=1/2/1
【0069】
(6)フィルム物性評価方法
a.120℃耐熱性
滅菌装置内に100mm×100mmの試料フィルムの外面および内面同士を重ねて入れ、上から15kgの荷重をかけた。その後、加圧して、120℃まで雰囲気温度を上昇して、30分間120℃を保持した。そして、試料フィルムを取り出し、以下の基準で評価した。○の評価を得たフィルムは、耐熱性があり、優れていることを意味する。
×:融着してフィルム同士が剥がれないとき。
○:融着せず抵抗なくフィルムが剥がれたとき。
【0070】
b.タテ方向引張弾性率(剛性)
ISO−R1184に準拠して、得られた試料フィルムをインストロン型オートグラフにてタテ方向の引張弾性率を測定した。この値が高いほど、剛性があり、優れていることを意味する。
【0071】
c.衝撃強度(打抜衝撃強さ)
JIS−8134に準拠して、得られたフィルムを23℃の雰囲気下にて24時間以上放置し、状態調整を行った後、同雰囲気下で測定した。この値が大きいほど、耐衝撃性が優れていることを意味する。
【0072】
d.ラッピング加工性
得られたフィルムの内層面にコロナ処理を施し、処理された面にエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を主成分とする接着剤を塗布した。凹凸部を有するパーティクルボード上に、熱を加えずに、内層が接するように形状に沿って貼り合わせ、白化状態を確認し、以下の基準でラッピング加工性を評価した。
×:コーナー部に白化が生じる。
○:白化が生じない。
【0076】
<実施例1>
外層および内層には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;4.0モル%の結晶性ポリプロピレンを、成分(B)として日本ポリケム(株)製「カーネル54FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;58℃、H/W;3.9)を用いて成分(A):成分(B)=75:25(重量比)の割合で配合したものを用い、中間層には、成分(C)としてMFR;5.0g/10分、融解ピーク温度;148℃のプロピレン系共重合体を、成分(D)として日本ポリケム(株)製「カーネル54FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;58℃、H/W;3.9)を用いて成分(C):成分(D)=25:75(重量比)の割合で配合したものを用い、上記の条件で3層Tダイ成形を行い、3層フィルムを評価した。評価の結果は表1に示す通りである。
【0078】
<比較例1>
外層および内層には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;4.0モル%の結晶性ポリプロピレンを単体で用い、中間層には、成分(C)としてMFR;5.0g/10分、融解ピーク温度;148℃のプロピレン系共重合体を単体で用い、上記の条件で3層Tダイ成形を行い、3層フィルムを評価した。評価の結果は表2に示す通りである。耐熱性、剛性は優れるが、衝撃強度が劣るので好ましくない。
【0079】
<比較例2>
外層および内層には、成分(B)として日本ポリケム(株)製「カーネル54FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;58℃、H/W;3.9)を単体で用い、中間層には、成分(D)として日本ポリケム(株)製「カーネル54FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;58℃、H/W;3.9)を単体で用い、上記の条件で3層Tダイ成形を行い、3層フィルムを評価した。評価の結果は表2に示す通りである。衝撃強度は優れるが、剛性が全くなく、また耐熱性も劣るので好ましくない。
【0080】
<比較例3>
外層および内層には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;4.0モル%の結晶性ポリプロピレンを、成分(B)として日本ポリケム(株)製「カーネル54FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;58℃、H/W;3.9)を用いて成分(A):成分(B)=40:60(重量比)の割合で配合したものを用い、中間層には、成分(D)として日本ポリケム(株)製「カーネル54FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;58℃、H/W;3.9)を単体で用い、上記の条件で3層Tダイ成形を行い、3層フィルムを評価した。評価の結果は表2に示す通りである。衝撃強度は優れるが、剛性がなく、また耐熱性も劣るので好ましくない。
【0081】
<比較例4>
外層および内層には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;14.0モル%の結晶性ポリプロピレンを単体で用い、中間層には、成分(D)として日本ポリケム(株)製「カーネル54FTK」(MFR;3.5g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;58℃、H/W;3.9)を単体で用い、上記の条件で3層Tダイ成形を行い、3層フィルムを評価した。評価の結果は表2に示す通りである。衝撃強度は優れるが、剛性がなく、また耐熱性もやや劣るので好ましくない。
【0082】
<比較例5>
外層および内層には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;4.0モル%の結晶性ポリプロピレンを単体で用い、中間層には、成分(D)として日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックLL・UF422」(MFR;0.8g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;89℃、H/W;0.85。ノバテックは登録商標)を単体で用い、上記の条件で3層Tダイ成形を行い、3層フィルムを評価した。評価の結果は表2に示す通りである。耐熱性、剛性は優れるが、衝撃強度が劣り、好ましくない。
【0083】
<比較例6>
外層および内層には、成分(A)としてMFR;5.0g/10分、コモノマー含量;4.0モル%の結晶性ポリプロピレンを単体で用い、中間層には、成分(D)として日本ポリケム(株)製「ノバテックHD・HJ560」(MFR;7g/10分、TREF溶出曲線の最大ピーク温度;98℃、H/W;8.7)を単体で用い、上記の条件で3層Tダイ成形を行い、3層フィルムを評価した。評価の結果は表2に示す通りである。耐熱性、剛性は優れるが、衝撃強度が劣り、好ましくない。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【発明の効果】
本発明の多層フィルムは、耐熱性、耐衝撃性、及び剛性に優れ、且つ種々の基材表面へのラッピング加工や深絞り加工等における表面材としての加工性をも兼ね備えており、包装用フィルムや、特に化粧材用フィルムや建装材用フィルム等の表面保護フィルムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ピークが1つの場合の溶出曲線を表す。
【図2】 ピークが2つの場合の溶出曲線を表す。図2(a)は溶出温度の低いピークより溶出温度の高いピークの方がピーク高さが高い場合を表し、図2(b)は溶出温度の低いピークより溶出温度の高いピークの方がピーク高さが低い場合を表す。
【図3】 ピークが3つの場合の溶出曲線を表す。
【符号の説明】
p・・・最大ピーク
Claims (4)
- 外層、中間層及び内層の少なくとも3層からなる多層フィルムであって、外層及び内層はそれぞれ独立に、以下の成分(A)50重量%以上と成分(B)50重量%以下とからなる成分(A)と成分(B)の混合樹脂材料で形成されており、
中間層は以下の成分(C)95重量%以下と成分(D)5重量%以上とからなる成分(C)と成分(D)の混合樹脂材料で形成されていることを特徴とする、ポリオレフィン系多層フィルム。
(A)プロピレンから誘導される構成単位を90モル%以上の量で含有し、MFRが0.1〜50g/10分である結晶性ポリプロピレン。
(B)エチレンから誘導される構成単位を主成分とし下記物性(B1)及び(B2)を備えたエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体。
(B1):MFRが0.1〜50g/10分であること。
(B2):温度上昇溶離分別によって得られる溶出曲線の最大ピークの温度が15〜85℃であり、該ピークの高さをHとしその3分の1の高さにおける該ピークの幅をWとしたときのH/Wの値が2以上であること。
(C)下記物性(C1)及び(C2)を備えたプロピレン単独重合体又はプロピレンから誘導される構成単位を主成分としたプロピレンと炭素数2もしくは4〜20のα−オレフィンとの共重合体。
(C1):MFRが0.1〜50g/10分であること。
(C2):示差走査熱量測定法(DSC)によって得られる主たる融解ピークが110〜165℃の範囲内にあること。
(D)エチレンから誘導される構成単位を主成分とし、下記物性(D1)及び(D2)を備えたエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体。
(D1):MFRが0.1〜50g/10分であり、
(D2):温度上昇溶離分別によって得られる溶出曲線の最大ピークの温度が15〜85℃であり、該ピークの高さをHとしその3分の1の高さにおける該ピークの幅をWとしたときのH/Wの値が2以上であること。 - 請求項1記載のポリオレフィン系多層フィルムからなることを特徴とする表面保護用フィルム。
- 請求項1記載のポリオレフィン系多層フィルムからなることを特徴とする化粧材用フィルム。
- 請求項1記載のポリオレフィン系多層フィルムからなることを特徴とする建装材用フィルム。
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-
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