JP4759855B2 - 鋼構造物の水平2軸免震装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種クレーン、自動倉庫、立体駐車場、或いはビル構造物等のように鋼製の支柱で支持されている鋼構造物における水平2軸方向(水平全方向)の免震を行えるようにした鋼構造物の水平2軸免震装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
構造物の地震に対する安全性を高める技術には、大きく分けて二つの方法がある。一つは、構造を剛に設計して強度を高めた耐震構造とする方法と、もう一つは、構造を柔軟に設計して長周期化し、地震動による力を免れる免震構造とする方法である。
【0003】
図13は、従来から知られている免震装置の一例を示している。図13に示すように、構造物aを設置する基礎を二重化し、その二重化した下部基礎bと上部基礎cとの間に、積層ゴムdによる柔軟な免震装置eを設置し、積層ゴムdを介して免震の対象となる構造物aを支持することにより、全体の長周期化を図る方法である。又、図示しないが、前記二重化した下部基礎bと上部基礎cとの間に、摩擦が小さい接触対を配置する方法もある。この方法によっても、接触対を介して免震の対象となる構造物aを支持することによって、全体の長周期化を図ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したように積層ゴムdを用いた従来の免震装置e、或いは低摩擦の接触対を用いた免震装置は、基礎を下部基礎bと上部基礎cのように二重化しなければならず、基礎工事費が嵩むと共に、免震装置eの要素単価も割高でコストが増加するという問題がある。
【0005】
又、前記積層ゴムdや接触対による免震装置eには、復元機構、減衰機構、及びトリガ機構等を組み合わせて設ける必要があり、そのために更に構造が複雑になって高価になるという問題がある。
【0006】
又、クレーン等のように、重心位置が比較的高い位置にある構造物aでは、地震による横振動による応答として回転振動(ロッキング)が発生する。この場合には、基礎に曲げモーメントが働き、引張力側に転じる領域が発生するが、積層ゴムdは引張力を受けられるようには設計されていないため、構造物aのロッキングを防止することはできない。
【0007】
更に、上記手法のいずれにおいても、地震の発生によって構成部材が水平方向へ相互にずれて停止した場合を考慮すると、これらの相対位置を元の状態に戻すために、大きな荷重容量を持つジャッキ等の復元機構を備える必要があるうえに、復元機構による復元に時間がかかるという問題がある。
【0008】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、通常時及び小さい加振力の振動発生時は、剛構造を呈して鋼構造物を支持し、又、大きい加振力の地震発生時には免震を行って振動が鋼構造物に伝達するのを抑制し、同時に鋼構造物のロッキングを防止できるようにした鋼構造物の水平2軸免震装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、略円形の当接面の周外側に隙間を有して対向する上下の揺動金具と、該上下の揺動金具の隙間が形成された相互間を弾性体を介して引き付け締結する締結具とからなる1対の免震屈曲部を上下に配置してその相互間を固定脚にて連結した両端形座屈免震装置を備え、該両端形座屈免震装置を鋼構造物の支柱の上下中間位置に配置し、両端形座屈免震装置の下側の免震屈曲部における下側の揺動金具を下部支柱に固定し、両端形座屈免震装置の上側の免震屈曲部における上側の揺動金具を上部支柱に固定したことを特徴とする鋼構造物の水平2軸免震装置である。
【0011】
上記手段において、免震屈曲部は、上下の揺動金具の調芯機構を備えていてもよく、又、調芯機構は、一方の揺動金具の当接面に形成した凸部と、他方の揺動金具の当接面に形成して前記凸部に嵌合する凹部であってもよく、又、調芯機構は、一方の揺動金具の当接面を除く周外側が凹形状の略截頭円錐面を有し、他方の揺動金具の当接面を除く周外側が凸形状の略截頭円錐面を有しており、前記凹形状の截頭円錐面と凸形状の截頭円錐面との間に周外側に向かって間隔が増加する隙間を備えた構成であってもよい。
【0012】
請求項5に係る発明は、矩形形状を有する当接面の左右辺の外側に隙間を備えて上下に対向する左右揺動金具と、該左右揺動金具における隙間が形成された左右端部の相互間を弾性体を介して引き付け締結する締結具とからなる左右免震屈曲部と、
矩形形状を有する当接面の前後辺の外側に隙間を備えて上下に対向する前後揺動金具と、該前後揺動金具における隙間が形成された前後端部の相互間を弾性体を介して引き付け締結する締結具とからなる前後免震屈曲部とを、上下に間隔を有して配置し、
その間隔に連結脚を配置し、
該連結脚の一端を、左右方向に延びる連結ピンを介して左右免震屈曲部における左右揺動金具の一方に連結し、
連結脚の他端を、前後方向に延びる連結ピンを介して前後免震屈曲部における前後揺動金具の一方に連結することにより直交組合わせ形座屈免震装置を構成し、
該直交組合わせ形座屈免震装置における左右揺動金具の他方を鋼構造物の上部支柱と下部支柱の一方に固定し、前記直交組合わせ形座屈免震装置における前後揺動金具の他方を鋼構造物の上部支柱と下部支柱の他方に固定したことを特徴とする鋼構造物の水平2軸免震装置である。
【0013】
上記手段において、左右免震屈曲部及び前後免震屈曲部における当接面の辺部に調芯機構を備えていてもよく、又、調芯機構は、ピン状の凸部であってもよい。
【0014】
上記手段では、次のように作用する。
【0015】
本発明の鋼構造物の水平2軸免震装置は、両端形座屈免震装置、或いは、直交組合わせ形座屈免震装置からなる座屈免震装置によって鋼構造部を免震するようにしたので、通常時は当接面の密接によって剛構造を呈して鋼構造物を支持することができ、又、地震による加振力が作用した場合には、各座屈免震装置が水平2軸方向に座屈するように傾くことにより、加振力を吸収して2軸方向の免震を行う。
【0016】
又、前記したように、全ての座屈免震装置が同時に同方向に座屈したように変形することにより、地震によって鋼構造物にロッキングの問題が生じることを防止する。
【0017】
又、各座屈免震装置よりも上方の鋼構造物の荷重により生じる復元モーメント、及び弾性体の反発力によって、当接面が密に接触した状態に戻るように作用する復元力を有する。
【0018】
更に、調芯機構を備えることによって、各座屈免震装置の2軸方向への位置ずれが防止されて、地震が収束すると、鋼構造物は初期の位置に確実に復元される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の形態の基本構成をクレーンに備えた場合の参考図であり、クレーンのように全体が鋼材にて組み立てられている鋼構造物1の場合のクレーンの脚2,3の正面図である。脚2,3の下端は車輪4を介してレール5上に支持され、レール5に沿って走行できるようになっている。
【0021】
上記脚2,3は、夫々上端寄りの箇所で、上部材2a,3aと下部の支持脚2b,3bとに分割しており、上部材2a,3aの下部に、T字形座屈免震装置6による水平2軸免震装置を構成している。
【0022】
T字形座屈免震装置6は、その一例を図1、図2に示すように、揺動金具7,8を上下に対向して備えており、一方の揺動金具7の対向面は平面となっており、又、他方の揺動金具8の対向面は、前記一方の揺動金具7に当接する円形の当接面9を有し、該当接面9の周外側には外部に向かって間隔が増加する隙間10が形成されるようにしたテーパ面10aを有する截頭円錐形状となっている。更に、前記上下の揺動金具7,8の隙間10が形成された外周部相互間は、弾性体11を介して締結具12により引き付け締結しており、このようにして免震屈曲部13を構成している。
【0023】
上下の揺動金具7,8の隙間10が形成されている外周部の相互間を引き付けるための弾性体11には、大荷重の引き付けができるものとして皿バネを積み重ねた構造のものが好適に用いられる。又、弾性体11に要求される引き付け強度が小さい場合には、コイルバネ等を用いることもできる。弾性体11による引き付け強度と締結具12による締め付け強度は、所定の予圧縮力が想定される地震の規模に対応するように予め設定しておく。
【0024】
そして、前記免震屈曲部13における上側の揺動金具7を鋼構造物1の支柱の下端(図1では上部材2a,3a)に固定し、且つ免震屈曲部13における下側の揺動金具8を支持脚2b,3bの上端に固定することにより、前記したT字形座屈免震装置6が構成される。
【0025】
即ち、図6に示すように、固定基礎(レール5)に対して車輪4により支持されている支持脚2b,3bの下端は、水平2軸方向に揺動が可能な支点Pとしてとらえることができ、従って、支持脚2b,3bの上端に免震屈曲部13の一方の揺動金具8を固定することにより、水平2軸方向に座屈が可能なT字形座屈免震装置6を構成できる。
【0026】
尚、前記免震屈曲部13の揺動金具7,8間に隙間10を形成するために図1、図2では下側の揺動金具8をテーパ面10aにより截頭円錐形状としているが、このテーパ面10aに変えて、図3に示すように曲面10bとしてもよい。
【0027】
又、図2及び図3では上側の揺動金具7に対する下側の揺動金具8の対向面に、円形の当接面9を形成するためのテーパ面10a或いは曲面10bを備えた場合について説明したが、図4のように、上側の揺動金具7側にテーパ面10a或いは曲面10bを形成するようにしてもよく、或いは、上下の揺動金具7,8の両対向面にテーパ面10a或いは曲面10bを形成してもよい。
【0028】
更に、前記した免震屈曲部13の揺動金具7,8間には、例えば図4に示すような調芯機構14を備えている。図4の調芯機構14は、揺動金具8の対向面における中央部に略半球の凸部15を備えており、又、揺動金具7の対向面における中央部には前記凸部15に嵌合する凹部16を備えている。この凹部16は、図4のような円錐状の凹みであっても、或いは貫通した孔であってもよい。又、図示とは反対に、揺動金具7に凸部15を備え、揺動金具8に凹部16を備えるようにしてもよい。
【0029】
又、図5は調芯機構14の他の例を示したもので、上側の揺動金具7の当接面9を除く周外側が凹形状の略截頭円錐面17を有しており、他方の揺動金具8の当接面9を除く周外側が、前記凹形状の略截頭円錐面17に嵌合する凸形状の略截頭円錐面18を有しており、前記凹形状の略截頭円錐面17と凸形状の略截頭円錐面18との間に周外側に向かって間隔が増加する隙間10を形成している。
【0030】
以下に上記形態例の作用を説明する。
【0031】
図1〜図4に示すクレーンからなる鋼構造物1において、通常時は、図6に示すように、T字形座屈免震装置6よりも上方に位置している鋼構造物1の部材の鉛直方向の荷重、及び弾性体11の予圧縮力(初期締め付け力)によって、揺動金具7,8は当接面9で密に接触し、これによりT字形座屈免震装置6は剛構造の鉛直状態を保持して鋼構造物1を支持する。地震による小さな加振力の振動があっても、上記した剛構造による支持状態が保持される。
【0032】
一方、地震による大きな加振力が支持脚2b,3bに作用すると、T字形座屈免震装置6により水平2軸免震装置による免震が行われる。
【0033】
即ち、図7に示すように、大きな加振力の地震が発生し、その加振力が弾性体11による揺動金具7,8の初期締め付け力を超えると、隙間10の一方が拡がり他方が狭まって揺動金具7,8は当接面9を境に傾き、支持脚2b,3bは免震屈曲部13の当接面9を境に折れ曲がる。このように、地震によってT字形座屈免震装置6が傾く(座屈したように折れ曲がる)ことにより、加振力を吸収して2軸方向に免震し、免震屈曲部13よりも上部に位置している部材の応答加速度の低減が図られて、鋼構造物1の部材の折損や倒壊を回避できる。
【0034】
又、前記したように、全てのT字形座屈免震装置6が同時に同方向に座屈したように変形することにより、地震によって鋼構造物1にロッキングの問題を生じることもない。
【0035】
次いで、鋼構造物1の免震屈曲部13よりも上方の部材の荷重で生じるT字形座屈免震装置6の復元モーメント、及び隙間10が増加した側の弾性体11の反発力により、揺動金具7,8の相対的な傾きが減少するように変位し、再び当接面9が密に接触した状態へ戻り、図6のようにT字形座屈免震装置6は鉛直な状態に復帰する。
【0036】
又、前記したように、地震によって図7のように隙間10の一方が狭まり他方が拡がるように、免震屈曲部13を境にT字形座屈免震装置6が折れ曲がった後、図6のようにT字形座屈免震装置6が鉛直の元の状態に復帰する時には、図4に示した調芯機構14では下側の揺動金具8に備えた凸部15が上側の揺動金具7に備えた凹部16に嵌合することによって、揺動金具7,8は互いに調芯されて元の位置に復帰する。又、図5に示した調芯機構14では、上側の揺動金具7が当接面9を除く周外側に凹形状の略截頭円錐面17を有し、下側の揺動金具8がこれに嵌合する凸形状の略截頭円錐面18を有しているので、この凹形状の略截頭円錐面17と凸形状の略截頭円錐面18との嵌合によって、揺動金具7,8が互いにズレを生じることがないように調芯される。
【0037】
上記したように、T字形座屈免震装置6による水平2軸免震装置を備えたことにより、通常時は当接面9の密接によってT字形座屈免震装置6は剛構造を有して鋼構造物1を支持し、又、地震による加振力が作用した場合にはT字形座屈免震装置6の座屈作用により加振力を吸収し減衰させて水平2軸方向の免震を行うことができ、更に、T字形座屈免震装置6よりも上方の鋼構造物1の荷重により生じる復元モーメント、及び弾性体11の反発力により、当接面9が密に接触した状態になるように揺動金具7,8が復帰し、この時、調芯機構14によって揺動金具7,8の2軸方向への位置ずれが防止されるので、地震が収束すると、鋼構造物1は初期の位置に確実に復元することになる。従って、鋼構造物1がクレーンの場合には、クレーン作業を直ちに再開することができる。
【0038】
一方、前記図2に示した前記免震屈曲部13は、一方の揺動金具8に円形の当接面9を形成した場合を示したが、これ以外に、図8に示すように、揺動金具8に円形に近い多角形の当接面9’を備えて、その多角形の当接面9’の外側にテーパ面10aを形成することにより截頭多角錘形状としてもよい。尚、図8では、図2における弾性体11と締結具12の設置を省略して示している。又、図8の場合には、多角形の当接面9’の外形形状に沿うようにピン状の凸部19を設け、このピン状の凸部19に嵌合する細長い凹部を他方の揺動金具7の下面(図示せず)に形成した調芯機構14を構成している。上記多角形の当接面9’のような略円形の当接面をもつ免震屈曲部13を備えたT字形座屈免震装置6においても、前記した円形の当接面9を有した場合と同様の作用を有することができる。
【0039】
図9は、立体倉庫のように支柱20が基礎に固定されている鋼構造物21に適用するようにした本発明の実施例示す正面図である。図9に示すように、鋼構造物21の支柱20の中間位置に、両端形座屈免震装置22を設ける。
【0040】
両端形座屈免震装置22は、図9、図10に示すように、前記図1に示した円形の当接面9、又は図8に示した多角形の当接面9’の周外側に隙間10を有して対向する上下の揺動金具7,8と、該上下の揺動金具7,8の隙間10が形成された外周部相互間を弾性体11を介して引き付け締結する締結具12とを有する上側の免震屈曲部13Aを備え、更に、該免震屈曲部13Aと同一の構成を有した免震屈曲部13Bを反転させて下側に備え、この一対の免震屈曲部13A,13Bの揺動金具8,8間を、固定脚23にて連結した構成としている。
【0041】
そして、両端形座屈免震装置22の下側の免震屈曲部13Bにおける下側の揺動金具7を下部支柱20bに固定し、両端形座屈免震装置22の上側の免震屈曲部13Aにおける上側の揺動金具7を上部支柱20aに固定し、これにより、鋼構造物21の支柱20の中間に両端形座屈免震装置22を配置している。
【0042】
上記図9、図10に示したように、鋼構造物21の支柱20の中間に、両端形座屈免震装置22を配置した水平2軸免震装置とすることにより、通常時は当接面9の密接によって両端形座屈免震装置22は剛構造を有して鋼構造物21を支持し、又、地震による加振力が作用した場合には、両端形座屈免震装置22が水平2軸方向に座屈するように傾くことにより、加振力を吸収して2軸方向の免震を行うことができる。
【0043】
又、前記したように、全ての両端形座屈免震装置22が同時に同方向に座屈したように変形することにより、地震によって鋼構造物21にロッキングの問題を生じることもない。
【0044】
又、両端形座屈免震装置22よりも上方の鋼構造物21の荷重により生じる復元モーメント、及び弾性体11の反発力によって、当接面9が密に接触した状態に戻るように作用して、揺動金具7,8が元の状態に復帰される。この時、前記図4及び図5に示したような調芯機構14を備えることによって、揺動金具7,8の2軸方向への位置ずれが防止されて、地震が収束すると、鋼構造物21は初期の位置に確実に復元されるようになる。
【0045】
図11は、前記図10の構成に類似した本発明の他の実施例を示すものであり、図9のような鋼構造物21の支柱20の中間位置に、直交組合わせ形座屈免震装置24を設ける。
【0046】
直交組合わせ形座屈免震装置24は、対向する相互間に、矩形形状を有する当接面25の左右辺26の左右外側に傾斜面27aにより隙間27を備えて上下に配した左右揺動金具28,29と、該左右揺動金具28,29における隙間が形成された左右端部の相互間を弾性体11を介して引き付け締結する締結具12とからなる左右免震屈曲部30を備えている。
【0047】
更に、対向する相互間に、矩形形状を有する当接面31の前後辺32の外側に傾斜面33aにより隙間33を備えて上下に配した前後揺動金具34,35と、該前後揺動金具34,35における隙間33が形成された前後端部の相互間を弾性体11を介して引き付け締結する締結具12とからなる前後免震屈曲部36を備えている。
【0048】
そして、上記左右免震屈曲部30と前後免震屈曲部36とを上下に間隔を有して配置し、その間隔内に連結脚37を配置する。そして、連結脚37の上端を、左右方向に延びる連結ピン38を介して左右免震屈曲部30における下側の左右揺動金具29に連結し、且つ連結脚37の下端を、前後方向に延びる連結ピン39を介して前後免震屈曲部36における上側の前後揺動金具34に連結することにより、直交組合わせ形座屈免震装置24を構成する。
【0049】
上記直交組合わせ形座屈免震装置24における左右免震屈曲部30の上側の左右揺動金具28を鋼構造物21の上部支柱20aに固定し、又、直交組合わせ形座屈免震装置24における前後免震屈曲部36の下側の前後揺動金具34を鋼構造物21の下部支柱20bに固定することにより、直交組合わせ形座屈免震装置24を鋼構造物21の支柱20の中間位置に配置する。
【0050】
又、前記左右免震屈曲部30における当接面25の左右辺26、及び前後免震屈曲部36における当接面31の前後辺32に沿うように、ピン40,41を備え、且つ左右揺動金具28の下面及び前後揺動金具35の上面には、前記ピン40,41に嵌合する凹部42,43を備えた調芯機構44,45を構成している。
【0051】
図11に示したように、鋼構造物21の支柱20の中間に、直交組合わせ形座屈免震装置24を配置した水平2軸免震装置とすることにより、通常時は当接面25,31の密接によって直交組合わせ形座屈免震装置24は剛構造を有して鋼構造物21を支持し、又、地震による加振力が作用した場合には、直交組合わせ形座屈免震装置24が水平2軸方向に座屈するように傾くことにより、加振力を吸収して2軸方向の免震を行うことができる。この時、左右免震屈曲部30は、弾性体11に抗して連結ピン39を支点として連結脚37と共に左右に傾くことができ、又、前後免震屈曲部36は、弾性体11に抗して連結ピン38を支点として連結脚37と共に前後に傾くことができる。
【0052】
又、前記したように、全ての直交組合わせ形座屈免震装置24が同時に同方向に座屈したように変形することにより、地震によって鋼構造物21にロッキングの問題を生じることもない。
【0053】
又、直交組合わせ形座屈免震装置24よりも上方の鋼構造物21の荷重により生じる復元モーメント、及び弾性体11の反発力によって、当接面25,31が密に接触した状態に戻るように作用して、左右揺動金具28,29及び前後揺動金具34,35が元の状態に復帰される。この時、前記したように左右免震屈曲部30及び前後免震屈曲部36に備えた調芯機構44,45によって、左右揺動金具28,29及び前後揺動金具34,35の2軸方向への位置ずれが防止されて、地震が収束すると、鋼構造物21は初期の位置に確実に復元されるようになる。
【0054】
上述した形態例では、弾性体11を支柱2の外側に配置した場合について例示したが、図12に示すように、弾性体11を支柱2の内側に配置するようにしても良い。このように弾性体11を支柱2の内側に配置すると、弾性体11の縮み量(ストローク)が小さくなり、弾性体11の設置数も減少でき、弾性体11を外部から見えない状態にすることができる。
【0055】
尚、本発明の鋼構造物の水平2軸免震装置は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、図示例以外の種々の鋼構造物にも適用できること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0056】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の鋼構造物の水平2軸免震装置によれば、両端形座屈免震装置、或いは、直交組合わせ形座屈免震装置からなる座屈免震装置によって鋼構造部を免震するようにしたので、通常時は当接面の密接によって剛構造を呈して鋼構造物を支持することができ、又、地震による加振力が作用した場合には、各座屈免震装置が水平2軸方向に座屈するように傾くことにより、加振力を吸収して2軸方向の免震を行える効果がある。
【0057】
又、前記したように、全ての座屈免震装置が同時に同方向に座屈したように変形することにより、地震によって鋼構造物にロッキングの問題が生じることを防止できる効果がある。
【0058】
又、各座屈免震装置よりも上方の鋼構造物の荷重により生じる復元モーメント、及び弾性体の反発力によって、当接面が密に接触した状態に戻るように作用する復元力を有する効果がある。
【0059】
更に、調芯機構を備えることによって、各座屈免震装置の2軸方向への位置ずれが防止されて、地震が収束すると、鋼構造物は初期の位置に確実に復元される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の形態の基本構成であるT字形座屈免震装置をクレーンに備えた場合の参考図である。
【図2】 図1のT字形座屈免震装置の斜視図である。
【図3】 図1の免震屈曲部の他の形状例を示す正面図である。
【図4】 図1における免震屈曲部の更に他の形状例を示す正面図である。
【図5】 図1における免震屈曲部の更に他の形状例を示す正面図である。
【図6】 図1の装置を略図的に示した正面図である。
【図7】 図6のT字形座屈免震装置が座屈した状態を示す側面図である。
【図8】 免震屈曲部に多角形の当接面を備えた場合の例を示す斜視図である。
【図9】 本発明の鋼構造物の水平2軸免震装置の実施例を示すもので、両端形座屈免震装置を立体倉庫に備えた場合の正面図である。
【図10】 図9の両端形座屈免震装置の正面図である。
【図11】 本発明の鋼構造物の水平2軸免震装置の他の実施例を示すもので、直交組合わせ形座屈免震装置の斜視図である。
【図12】 弾性体を支柱の内側に配置した例を示す説明図である。
【図13】 従来の構造物の免震装置の一例を示す正面図である。
【符号の説明】
7,8 揺動金具
9 円形の当接面
10 隙間
11 弾性体
12 締結具
13A,13B 免震屈曲部
14 調芯機構
15 凸部
16 凹部
17 凹形状の略截頭円錐面
18 凸形状の略截頭円錐面
20 支柱
20a 上部支柱
20b 下部支柱
21 鋼構造物
22 両端形座屈免震装置
23 固定脚
24 直交組合わせ形座屈免震装置
25 当接面
26 左右辺
27 隙間
28,29 左右揺動金具
30 左右免震屈曲部
31 当接面
32 前後辺
33 隙間
34,35 前後揺動金具
36 前後免震屈曲部
37 連結脚
38 連結ピン
39 連結ピン
40,41 ピン状の凸部
44,45 調芯機構
Claims (7)
- 略円形の当接面の周外側に隙間を有して対向する上下の揺動金具と、該上下の揺動金具の隙間が形成された相互間を弾性体を介して引き付け締結する締結具とからなる1対の免震屈曲部を上下に配置してその相互間を固定脚にて連結した両端形座屈免震装置を備え、該両端形座屈免震装置を鋼構造物の支柱の上下中間位置に配置し、両端形座屈免震装置の下側の免震屈曲部における下側の揺動金具を下部支柱に固定し、両端形座屈免震装置の上側の免震屈曲部における上側の揺動金具を上部支柱に固定したことを特徴とする鋼構造物の水平2軸免震装置。
- 免震屈曲部が、上下の揺動金具の調芯機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の鋼構造物の水平2軸免震装置。
- 調芯機構が、一方の揺動金具の当接面に形成した凸部と、他方の揺動金具の当接面に形成して前記凸部に嵌合する凹部であることを特徴とする請求項2に記載の鋼構造物の水平2軸免震装置。
- 調芯機構が、一方の揺動金具の当接面を除く周外側が凹形状の略截頭円錐面を有し、他方の揺動金具の当接面を除く周外側が凸形状の略截頭円錐面を有しており、前記凹形状の截頭円錐面と凸形状の截頭円錐面との間に周外側に向かって間隔が増加する隙間を備えていることを特徴とする請求項2に記載の鋼構造物の水平2軸免震装置。
- 矩形形状を有する当接面の左右辺の外側に隙間を備えて上下に対向する左右揺動金具と、該左右揺動金具における隙間が形成された左右端部の相互間を弾性体を介して引き付け締結する締結具とからなる左右免震屈曲部と、
矩形形状を有する当接面の前後辺の外側に隙間を備えて上下に対向する前後揺動金具と、該前後揺動金具における隙間が形成された前後端部の相互間を弾性体を介して引き付け締結する締結具とからなる前後免震屈曲部とを、上下に間隔を有して配置し、
その間隔に連結脚を配置し、
該連結脚の一端を、左右方向に延びる連結ピンを介して左右免震屈曲部における左右揺動金具の一方に連結し、
連結脚の他端を、前後方向に延びる連結ピンを介して前後免震屈曲部における前後揺動金具の一方に連結することにより直交組合わせ形座屈免震装置を構成し、
該直交組合わせ形座屈免震装置における左右揺動金具の他方を鋼構造物の上部支柱と下部支柱の一方に固定し、前記直交組合わせ形座屈免震装置における前後揺動金具の他方を鋼構造物の上部支柱と下部支柱の他方に固定したことを特徴とする鋼構造物の水平2軸免震装置。 - 左右免震屈曲部及び前後免震屈曲部における当接面の辺部に調芯機構を備えたことを特徴とする請求項5に記載の鋼構造物の水平2軸免震装置。
- 調芯機構が、ピン状の凸部であることを特徴とする請求項6に記載の鋼構造物の水平2軸免震装置。
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