JPH11166331A - 免震引抜抵抗装置 - Google Patents

免震引抜抵抗装置

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JPH11166331A
JPH11166331A JP33427197A JP33427197A JPH11166331A JP H11166331 A JPH11166331 A JP H11166331A JP 33427197 A JP33427197 A JP 33427197A JP 33427197 A JP33427197 A JP 33427197A JP H11166331 A JPH11166331 A JP H11166331A
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JP
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pull
out resistance
spherical
connecting portion
resistance member
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Application number
JP33427197A
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English (en)
Inventor
Kazuo Sasagawa
和郎 笹川
Masa Aoki
雅 青木
Osamu Mori
修 森
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Toray Engineering Co Ltd
Original Assignee
Toyo Construction Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積層ゴムを用いた免震構造を有する建築物に
おいて、上記積層ゴムに大きな引張力が作用するのを低
コストで防止する。 【解決手段】 建築物1は、地盤に固定される基礎部2
と、この基礎部2上に設けられた上部構造部4とからな
る。これらの間には、積層ゴムからなる免震装置3と免
震引抜抵抗装置10とが配置されている。この免震引抜
抵抗装置10は、上部構造部4に固定される上部連結部
30と基礎部2に固定される下部連結部40とこれらに
連結された引抜抵抗部材20とを有する。また、引抜抵
抗部材20と下部連結部40との連結には大きな遊びが
設けられている。そして、上部連結部30と下部連結部
40との距離が所定距離だけ増加した場合に、下部連結
部40と引抜抵抗部材20との間で引張力を伝達できる
状態となる。そして、この状態で、免震装置3への所定
以上の引張力が働くのを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層ゴム等の免震
装置を用いた免震構造において、該免震装置に地震等に
より大きな引張力が作用した際に、上記引張力に抵抗す
る免震引抜抵抗装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な建築物の免震構造としては、例
えば、免震装置として積層ゴムを用いたものが知られて
いる。上記積層ゴムは、基本的に薄い鉄板とゴムとを交
互に何重にも重ね貼り合わせたものであり、水平方向に
は非常に柔らかく、鉛直方向には非常に固い性質を有す
るものである。従って、建築物の地盤に固定された基礎
部上に積層ゴムを介して建築物の上部構造部を支持させ
た状態とすることにより、積層ゴムと上部構造部とから
なる振動系の固有周期を長くすることができる。これに
より、上部構造部に作用する地震力を減少させることが
できる。
【0003】なお、積層ゴムは、上述のように上記振動
系の固有周期を長くするために、水平剛性が小さなもの
となっており、上記振動系の加速度応答を減少させるこ
とができるが、変位応答は逆に増加することになり、上
部構造部が水平方向に大きく変位することになるので、
水平方向の変位を抑えるダンパ等のエネルギー吸収装置
を併用して、水平方向の変位量を減少させることが好ま
しい。また、鉛(芯)入り積層ゴムや、高減衰積層ゴム
等のように、積層ゴム自体がエネルギー吸収能を有する
ものがあり、このような積層ゴムを用いた場合には、他
のエネルギー吸収装置を併用する必要がない。
【0004】また、積層ゴムは、上述のように、鉛直方
向には極めて固い特性を有し、上部構造部の荷重を十分
支持できるようになっているが、ロッキングなどの現象
により作用する引張力に対応するものではなく、上部構
造部の設計に際して積層ゴムに大きな引張力が作用しな
いようにすることが好ましい。
【0005】しかし、建築物の設計を積層ゴムに大きな
引張力が作用しないものとすると、例えば、積層ゴムに
より免震可能な建築物の幅に対する高さの比が制限さ
れ、建築物のプランが制約されることになる。そこで、
積層ゴムに対応可能な建築物の設計の自由度を高めるた
めには、上部構造部と基礎部との接合部分の構造におい
て、積層ゴムに大きな引張力が作用しない工夫を施すこ
とが考えられ、例えば、建築物の基礎部と上部構造部と
を引張力に対応できる部材で接合することが考えられ
る。
【0006】しかし、基礎部と上部構造部とを単純に接
合してしまうと、積層ゴムにより基礎部に対して水平方
向に変位可能に支持された上部構造部の水平方向の変位
が抑制されてしまうことになり、免震性能が低下してし
まう。そこで、従来、基礎部の上面にX軸方向に沿って
設けられたガイドレールと、上部構造部の下面にY軸方
向に沿って設けられたガイドレールと、これらガイドレ
ールに上端部及び下端部がそれぞれ接合されるととも
に、これらガイドレールに沿って移動自在に設けられた
抗張力部材とからなる引張力対応装置が提案されてい
る。
【0007】このような引張力対応装置を用いれば、基
礎部に対して上部構造部が水平方向に変位した場合に、
抗張力部材の上端部及び下端部がそれぞれガイドレール
に沿って移動することにより上部構造部の変位に抗張力
部材が追従し、上部構造部の変位を妨げることがなく、
この状態で、抗張力部材が基礎部と上部構造部とにかか
る上下方向の引張力に抵抗することができる。従って、
基礎部と上部構造部との間に積層ゴムとともに上述の引
張力対応装置を配置することにより、積層ゴムに引張力
が作用するのを防止することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な引張力対応装置は、X軸方向及びY軸方向の二つの上
下のガイドレールを備えるとともに、これらガイドレー
ルが積層ゴムによる上部構造部の水平変位の長さに対応
した長いものとなっている。また、ガイドレール及びこ
れらガイドレールに沿って移動自在な抗張力部材は、地
震時に作用する引張力に対応可能な高い強度を備えてい
る必要があり、かつ、ガイドレールに対して抗張力部材
が積層ゴムの水平方向の変位に対応してスムーズに移動
する必要がある。従って、どうしても上記引張力対応装
置は、大規模な装置となってしまう。そして、このよう
な引張力対応装置の設置には、高いコストがかかってし
まい、免震構造を有する建築物の施工コストの増加の要
因となっていた。
【0009】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、地震時に建築物の免震装置部分に作用する引張
力に対抗可能で、かつ、低コストに設置することができ
る免震引抜抵抗装置を提供することを目的とするもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
免震引抜抵抗装置は、地盤に固定されるように設けられ
た基礎部と、該基礎部上に免震装置を介して設けられた
上部構造部とからなる建築物において、上記基礎部と上
記上部構造部との間に配置されて上記基礎部と上記上部
構造部との間に作用する引張力に抵抗するものであり、
上記上部構造部と上記基礎部との間に上下に架け渡され
て上記引張力に抵抗する引抜抵抗部材と、上記引抜抵抗
部材の上端部を揺動自在に上記上部構造部に連結する上
部連結部と、上記引抜抵抗部材の下端部を揺動自在に上
記基礎部に連結する下部連結部とを具備してなり、上記
上部連結部と上記下部連結部とのうちの少なくとも一方
の連結部において、上記上部連結部と上記下部連結部と
の間の距離が地震時等において所定距離だけ長くなった
際に、上記連結部と上記引抜抵抗部材との間で上記引張
力が伝達されるように、上記連結部による引抜抵抗部材
の連結に上記所定距離に対応する遊びが設けられている
ことを上記課題の解決手段とした。
【0011】上記構成によれば、基本的には、基礎部に
下端部を揺動自在に連結され、かつ、上部構造部に上端
部を揺動自在に連結された引抜抵抗部材により、基礎部
に対して上部構造部を引き抜くような引張力が生じた場
合に、引抜抵抗部材が上記引張力に抵抗することにな
る。しかし、引抜抵抗部材が上部構造部と基礎部とにそ
れぞれ揺動自在に接合されていても、このままでは、上
部構造部の上部連結部と基礎部の下部連結部との距離が
引抜抵抗部材の長さに規制されてしまい、免震装置(例
えば、積層ゴム)による免震作用が抑制されてしまう
が、上部連結部と下部連結部とのうちの少なくとも一方
の連結部に上記所定距離に対応する遊びが設けられてい
るので、上部連結部と下部連結部との距離が上記所定距
離だけ長くなるように変位するまでは、基礎部の下部連
結部に対して上部構造部の上部連結部が移動可能となる
ので、免震装置の免震作用が抑制されることがない。
【0012】すなわち、上記所定距離の範囲内で、基礎
部に対して上部構造部が基本的に自由に移動可能とな
り、上記所定距離を、基礎部に対する上部構造部の水平
変位の予想される最大の値に対応するものとすれば、積
層ゴムによる免震作用が免震引抜抵抗装置に抑制される
ことがない。さらに、上記水平変位に加えて建物のロッ
キング等により、基礎部の下部連結部と上部構造部の上
部連結部との距離が上記所定距離だけ長くなった場合
に、はじめて、引抜抵抗部材により上部連結部と下部連
結部との間の距離がそれ以上長くなるのが規制されるこ
と、すなわち、引抜抵抗部材が基礎部に対して上部構造
部を引き抜くような引張力に抵抗することになる。
【0013】以上のように、この免震引抜抵抗装置によ
れば、積層ゴム等の免震装置による免震作用を規制する
ことなく、基礎部に対して上部構造部を引き抜くように
作用する引張力に抵抗し、免震装置に所定以上の引張力
が作用するのを防止できるとともに、免震引抜抵抗装置
の構造が、引抜抵抗部材の上下の両端部を上部構造部と
基礎部とに揺動自在に連結するとともに、連結に際して
上記所定距離に対応する遊びを設けるだけの簡単な構成
なので、建築物に安価に免震引抜抵抗装置を設置するこ
とができ、免震構造を有する建築物のコストを低減する
ことができる。
【0014】本発明の請求項2記載の免震引抜抵抗装置
は、上記引抜抵抗部材の上下に球の表面の一部を有する
球面体が設けられるとともに、上記上部連結部及び上記
下部連結部にそれぞれ上記球面体と球面対偶を形成する
球面座が形成され、かつ、上記引抜抵抗部材の上下の球
面体間の距離が上記上部連結部の球面座と上記下部連結
部の球面座との間の距離より上記所定距離だけ長くされ
ることにより、上記上部連結部及び上記下部連結部のう
ちの少なくとも一方において、上記球面座と上記球面体
とが離間するように遊びが設けられ、地震時等において
上記上部連結部と上記下部連結部との間の距離が上記所
定距離だけ長くなった場合に、上記球面体と上記球面座
とが接触して係合することを上記課題の解決手段とし
た。
【0015】上記構成によれば、地震等により上部連結
部と下部連結部との間の距離が上記所定距離だけ長くな
った場合に、少なくとも一方の連結部において球面体と
球面座とが係合し、引抜抵抗部材に引張力が作用し、引
抜抵抗部材が上記引張力に抵抗することになり、上記請
求項1記載の構成と同様の作用効果を奏することができ
る。また、引抜抵抗部材と基礎部及び上部構造部との連
結に球面体と球面座とからなる球面対偶が用いられてお
り、比較的簡単な構成でかつ高い強度で引抜抵抗部材と
基礎部及び上部構造部とをそれぞれ揺動自在に連結する
ことができるので、免震引抜抵抗装置のさらなる低コス
ト化を図ることができる。また、引抜抵抗部材の上下の
球面体間の距離が上部連結部の球面座と下部連結部の球
面座との間の距離より所定距離だけ長くされることによ
り、上部連結部及び下部連結部のうちの少なくとも一方
の連結部において、球面座と球面体とが離間するように
遊びが設けられているので、長い距離の遊びを容易に設
けることができる。
【0016】本発明の請求項3記載の免震引抜抵抗装置
は、上記引抜抵抗部材が、上下の上記球面体と、これら
の球面体に上下両端部がそれぞれ接合される引抜抵抗部
材本体とを備え、上下の上記球面体のうちの少なくとも
一方の球面体と上記引抜抵抗部材本体とが弾性体を介し
て接合されていることを上記課題の解決手段とした。上
記構成によれば、地震時等において上記上部連結部と上
記下部連結部との間の距離が上記所定距離だけ長くなっ
た際に、上記球面体と上記球面座とが接触して係合し、
引抜抵抗部材に引張力が作用することになるが、球面体
と球面座とが係合した際に、急激に引抜抵抗部材に引張
力が作用することになるので、引抜抵抗部材が引張力に
対して十分な強度を有するものとしても、上述のように
急激に引張力がかかった際に変形する可能性があり、一
度の大きな地震で引抜抵抗部材を交換する必要が生じる
可能性があるが、上述のように球面体と引抜抵抗部材と
を弾性体を介して接合することにより、急激に引張力が
作用することによる衝撃が弾性体に吸収され、引抜抵抗
部材が変形するのを防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態の一
例の免震引抜抵抗装置を図面を参照して説明する。図1
は、この一例の免震引抜抵抗装置を有する建築物の概略
を示す図面である。図1に示すように、この免震引抜抵
抗装置が備えられる建築物1は、地盤に固定された基礎
部2と、該基礎部2上に免震装置3を介して設けられた
上部構造部4とからなるものであり、上部構造部4が、
例えば、ビルディング等の建築物の基礎より上の部分と
なる。
【0018】また、上記免震装置3は、この一例におい
て、積層ゴムであり、例えば、高減衰積層ゴムである。
また、免震装置3は、基礎部2上に上部構造部4を支持
するのに必要な個数だけ配置される。なお、免震装置3
としては、現状において、積層ゴムを用いることが最も
好ましいが、上部構造部の固有周期を長くすることがで
きるものならば、積層ゴム以外の免震装置を用いても良
い。そして、基礎部2と上部構造部4とは、この一例の
免震引抜抵抗装置10により繋がれた状態となってい
る。
【0019】そして、上記免震引抜抵抗装置10は、基
礎部2と上部構造部4とを繋ぐ部材である引抜抵抗部材
20と、該引抜抵抗部材20の上端部を上部構造部4に
連結する上部連結部30と、上記引抜抵抗部材20の下
端部を基礎部2に連結する下部連結部40とを備えたも
のである。そして、上記引抜抵抗部材20は、図2及び
図3に示すように、基礎部2と上部構造部4とを繋ぐよ
うに上下に配置される鋼棒21と、該鋼棒21の上端部
に接合される上球部22(図2に図示)と、該鋼棒21
の下端部に接合される下球部23(図3に図示)とを有
するものである。
【0020】上記鋼棒21としては、高強度のPC(プ
レストレス・コンクリート)鋼棒が用いられている。そ
して、鋼棒21の上端部及び下端部は、ネジ溝が形成さ
れて雄ネジとなっている。上記上球部22は、図2に示
すように、略半球状の球面体22aと、該球面体22a
の上面に配置される弾性体22bと、該弾性体22b上
に配置される肉厚の座金22cと、上球部22を鋼棒2
1に取り付けるためのナット22dとを備えたものであ
る。
【0021】上記球面体22aは、球体を上下に切断し
た場合の下半分の部分と略同様の形状、すなわち、略半
球体状のものである。また、略半球体状の球面体22a
の下端部も水平に切断された形状となっており、球面体
22aの上面と下面とが略平行となっている。そして、
球面体22aには、上記鋼棒21を挿通可能な貫通孔が
球面体22aの中心線に沿って上下に形成されている。
【0022】そして、上記球面体22aは、上部連結部
30に形成される球面座31とともに、球継手や球面軸
受と同様の球面対偶を構成するものであり、上部構造部
4に固定された上部連結部30に対して引抜抵抗部材2
0(鋼棒21)の上端部を揺動自在に連結するためのも
のである。なお、球面体22aは、半球状に限定される
ものではなく、例えば、球体の半分より多くの部分を含
むものとしても良く、基本的に上記球面座31と合わせ
て球面対偶を形成することが可能な球面を有するものな
らば良い。上記弾性体22bは、円板状のゴムと円板状
の金属板とを交互に積層した構造、すなわち、上述の積
層ゴムと似た構成を有するものであり、後述するように
衝撃を吸収するために用いられる。
【0023】また、弾性体22bは、肉厚の円板状に形
成されるとともに、その中心部に、上記鋼棒21を挿通
するための貫通孔が形成されている。上記座金22c
は、弾性体22bの上部を押さえた状態で、鋼棒21か
らの衝撃を弾性体22bに伝達するものであり、その中
心部に上記鋼棒21を挿通するための貫通孔が形成され
ている。上記ナット22dは、上記球面体22a、弾性
体22b、座金22cの順に、これらを鋼棒21に外挿
した状態、すなわち、これらに鋼棒21を貫通した状態
で、これらの上方への移動を規制するものである。すな
わち、鋼棒21の上端部の雄ネジ部分にナット22dを
螺合し、球面体22a、弾性体22b、座金22cが鋼
棒21に対してナット22dの下面より上に移動するの
を規制するものである。
【0024】なお、鋼棒21に球面体22aが下方に移
動するのを規制するストッパを設けておき、ストッパと
ナット21dの間に球面体22a、弾性体22b、座金
22cを挟み込むようにして球面体22a、弾性体22
b、座金22cを鋼棒21に締結するものとしても良
い。また、球面体22aは、上部連結部30の球面座3
1により下方への移動を規制されているので、特にスト
ッパを設けなくとも、球面体22a、弾性体22b、座
金22cが下方に移動してしまうことがない。
【0025】そして、球面体22a、弾性体22b、座
金22cに鋼棒21を貫通させるとともに、鋼棒21の
上端部側にナット22dを螺合した状態で、球面体22
aを上部連結部30の球面座31上に配置した状態で
は、上述のように、鋼棒21がその上端部を揺動自在に
上部連結部30に連結された状態となるともに、上部連
結部30が地震時に上方に移動することにより引抜抵抗
部材20に引張力(引抜力)が作用した場合に、鋼棒2
1が急激に下方に移動することによる衝撃が、ナット2
2dから座金22cに伝達され、座金22cから弾性体
22bに伝達され、弾性体22bから球面体22aに伝
達されることになる。そして、球面体22aが球面座3
1に衝撃を伴って押し付けられることになるが、この際
に、弾性体22bがその上下方向に沿って作用する衝撃
を吸収するようになっており、球面体22aが球面座3
1に押し付けられる際の衝撃を弱めるようになってい
る。なお、上述のような構成とすることにより、球面体
22aと鋼棒21とが弾性体22bを介して接合される
ことになるが、弾性体22bには、免震引抜抵抗装置に
かかる引張力が圧縮力として作用するようになっている
ことが好ましい。
【0026】上記下球部23は、基本的に、上球部22
を上下逆にした構成を有するものであるが、この一例に
おいて、下球部23には、上球部22の弾性体22b及
び座金22cに対応する構成が無いものとなっている。
そして、下球部23は、図3に示すように、略半球状の
球面体23aと、該球面体23aを鋼棒21に取り付け
るためのナット23bとを備えたものである。そして、
球面体23aは、上球部22の球面体22aと同様の形
状を有するものであり、球面体22aの上下を逆さにし
たものである。
【0027】そして、球面体23aに鋼棒21を貫通さ
せた状態で下端にナット23bを螺合させることによ
り、鋼棒21に外挿された球面体23aの下方への移動
を規制できるようになっている。そして、鋼棒21に取
り付けられた球面体22aは、下部連結部40に形成さ
れる球面座41とともに、球面対偶を構成するものであ
り、基礎部2に固定された下部連結部40に対して引抜
抵抗部材20(鋼棒21)の下端部を揺動自在に連結す
るためのものである。
【0028】なお、上記鋼棒21の長さは、上部構造部
4に固定された上部連結部30の球面座31と、基礎部
2に固定された下部連結部40の球面座41との間の距
離より長くなっており、引抜抵抗部材20の上球部22
を球面座31に載せた状態で、下球部23は、図3に示
すように、球面座41より下方に配置され、球面座41
に球面体23aが接触していない状態となっている。す
なわち、球面座41と球面体23aとの間には大きな遊
びが設けられた状態となっている。
【0029】そして、地震時に、例えば、上部構造部4
が傾くことにより、上部連結部30と下部連結部40と
の間の距離が所定範囲以上ひらいた場合に、球面座41
に下球部23の球面体23aが接触し、球面体23aと
球面座41とにより球面対偶が構成され、基礎部2に固
定された下部連結部40に対して引抜抵抗部材20(鋼
棒21)の下端部を揺動自在に連結した状態となるよう
になっている。
【0030】上記上部連結部30は、図4〜図6に示す
ように、上部構造部4の底部を構成するスラブの下面に
水平に接合される接合プレート32と、該接合プレート
32から互いに平行に垂設される二枚の支持プレート3
3、33と、該支持プレート33、33に略水平に支持
されるとともに、上記球面座31が形成された受けプレ
ート34とを備えたものである。上記接合プレート32
は、予め、上部構造部4の底面に形成された図示しない
接合部に、ボルト35…により締結されるようになって
おり、上部連結部30を上部構造部4に固定するための
ものである。
【0031】上記支持プレート33、33は、接合プレ
ート32に対して受けプレート34を上下に間隔あけて
支持するためのものであり、接合プレート32とその下
方の受けプレート34との間で、かつ、二枚の支持プレ
ート33、33の間に、引抜抵抗部材20の上球部22
が揺動可能な空間を形成するようになっている。上記受
けプレート34は、肉厚のものであり、その中央部に、
上面側に大きく開口した略半球状の凹部が形成され、該
凹部が球面座31となっている。
【0032】また、球面座31の中央部分には、引抜抵
抗部材20の鋼棒21を貫通させるとともに、鋼棒21
を前後左右に傾けるのに十分な径を有する貫通孔が形成
されている。なお、貫通孔は上球部22を引き抜けない
大きさとなっている。そして、球面座31の球面の径
は、上記引抜抵抗部材20の上球部22の球面体22a
の球面の径と略同じかわずかに大きいものとなってい
る。そして、球面座31の貫通孔に引抜抵抗部材20の
鋼棒21が貫通した状態で球面座31に球面体22aが
転動自在に接触した状態(係合した状態)となることに
より、上述のように引抜抵抗部材20の上端部を揺動自
在に支持するようになっている。なお、球面座31と球
面体22aとの間にはグリースが注入された状態となっ
ている。
【0033】上記下部連結部40は、基本的には、上部
連結部30を上下逆さにした構成と略同様の構成を有す
るものであり、図7及び図8に示すように、基礎部2の
上面に水平に接合された接合プレート42と、該接合プ
レート42から互いに平行に立設される二枚の支持プレ
ート43、43と、該支持プレート43、43に略水平
に支持されるとともに、上記球面座41が形成された受
けプレート44とを備えたものである。
【0034】上記接合プレート42は、予め、基礎部2
に埋設された状態のアンカーボルト45、45により基
礎部2に締結されるようになっており、下部連結部40
を基礎部2に固定するためのものである。上記支持プレ
ート43、43は、接合プレート42に対して受けプレ
ート44を上下に間隔あけて支持するためのものであ
り、接合プレート42とその上方の受けプレート44と
の間で、かつ、二枚の支持プレート43、43の間に、
引抜抵抗部材20の下球部23が揺動可能な空間を形成
するようになっている。
【0035】なお、引抜抵抗部材20の鋼棒21の長さ
は、上述のように、平時の上下の球面座31、41同士
の間の距離より長くなっており、図7に示すように、引
抜抵抗部材20の下球部23が受けプレート44の球面
座41から所定の間隔をあけて下方に配置されているの
で、上部連結部30に比較して接合プレート42と受け
プレート44との間隔が広くなっている。
【0036】上記受けプレート44は、肉厚のものであ
り、その中央部に、下面側に大きく開口した略半球状の
凹部が形成され、該凹部が球面座41となっている。ま
た、球面座41の中央部分には、引抜抵抗部材20の鋼
棒21を貫通させるとともに、鋼棒21を前後左右に傾
けるのに十分な径を有する貫通孔が形成されている。な
お、貫通孔は下球部23を引き抜けない大きさとなって
いる。そして、球面座41の球面の径は、上記引抜抵抗
部材20の下球部23の球面体23aの球面の径と略同
じかわずかに大きいものとなっている。
【0037】そして、球面座41の貫通孔に引抜抵抗部
材20の鋼棒21が貫通した状態で球面座41に球面体
23aが転動自在に接触した状態(係合した状態)とな
ることにより、上述のように引抜抵抗部材20の上端部
を揺動自在に支持するようになっている。なお、上述の
ように、平時には、球面座41から下方に離れた状態で
球面体23aが配置され、基礎部2に対する上部構造部
4の変位により、上部連結部30と下部連結部40の距
離が所定距離だけ増加した場合に、球面座41に球面体
23aが係合するようになっている。
【0038】また、球面座41は、予めグリースが塗布
された状態となっている。また、下部連結部40には、
図3及び図7に示すように、上部連結部30の球面座3
1の貫通孔に鋼棒21を貫通させるとともに、上球部2
2を球面座31に係合することにより、上部連結部30
に揺動自在に吊られた状態の引抜抵抗部材20が、地震
時等に振れるのを防止するための係止部材46が設けら
れている。
【0039】この一例において係止部材46は、例え
ば、リング状にされた針金状のものであり、鋼棒21の
球面座41の近傍に位置する部分を囲った状態とされる
とともに、一部が受けプレート44に固定された状態と
なっており、鋼棒21の動きをある程度規制するように
なっている。なお、係止部材46は、鋼棒21の動きを
完全に規制するものではなく、鋼棒21を囲むリング状
の部分の内径が鋼棒21の径より大きくされて多少の遊
びを持った状態とされるとともに、鋼棒21が動くこと
により、係止部材46にある程度以上の力がかかった場
合に、係止部材46が変形することにより、鋼棒21が
ある程度振れるようになっている。
【0040】すなわち、係止部材46は、地震時におい
て、鋼棒21が振れて鋼棒21が受けプレート44の球
面座41の貫通孔の内周面に激しくぶつかるのを防止す
るものであり、地震時に引抜抵抗部材20の動きを止め
て基礎部2に対する上部構造部4の動きを規制してしま
うようなものではない。従って、係止部材46は、引抜
抵抗部材20に係止された状態で引抜抵抗部材20が激
しくふれるのを抑制できれば良く、引抜抵抗部材20の
動きを完全に止めてしまわないように引抜抵抗部材20
に係止されているとともに、係止部材46自体が容易に
変形可能な可撓性を有することが好ましい。
【0041】次に、上述のような構成を有する免震引抜
抵抗装置10の作用について説明する。免震引抜抵抗装
置10においては、上部構造部4に固定された上部連結
部30の球面座31に引抜抵抗部材20の鋼棒21を貫
通させた状態で、球面座31に上球部22を係合させる
ことにより、引抜抵抗部材20が上部連結部30に揺動
自在に吊られた状態となる。一方、下部連結部40にお
いては、球面座41の貫通孔に引抜抵抗部材20の鋼棒
21を貫通させた状態で、球面座41から離間して下方
に下球部23が配置され、基礎部2に対して上部構造部
4が変位することにより、上部連結部30の球面座31
と下部連結部40の球面座41との距離が、引抜抵抗部
材20の上球部22と下球部23との距離より短い間
は、下球部23と下部連結部40の球面座41とが係合
せず、基礎部2に対する上部構造部4の変位を免震引抜
抵抗装置10が規制しない状態となっており、上部連結
部30の球面座31と下部連結部40の球面座41との
距離が、引抜抵抗部材20の上球部22と下球部23と
の距離と略同じになった際には、下部連結部40の球面
座41に下球部23が係合し、上部連結部30の球面座
31と下部連結部40の球面座41との距離がそれ以上
離間するのを防止する、すなわち、基礎部2に対する上
部構造部4の変位を免震引抜抵抗装置10が規制するよ
うになっている。
【0042】従って、地震時に図9の矢印aに示すよう
に、基礎部2に対して免震装置3上に配置された上部構
造部4が免震装置の作用により水平方向に比較的大きく
移動した場合も、基礎部2に固定された下部連結部40
の球面座41と上部構造部4に固定された上部連結部3
0の球面座31との距離が、引抜抵抗部材20の上球部
22と下球部23との距離より短い間は、基礎部2に対
する上部構造部4の変位が免震引抜装置10により規制
されることがない。従って、免震装置3である積層ゴム
により基礎部2に対して水平方向に変位可能に支持され
た上部構造部4の地震時の水平方向の変位が規制される
ことがないので、免震装置3の機能を引抜抵抗部材20
が抑制してしまうことがない。
【0043】なお、引抜抵抗部材20の長さ、すなわ
ち、上球部22と下球部23との距離は、予想される免
震装置(積層ゴム)3による基礎部2に対する上部構造
部4の変位、例えば、50cm程度の水平変位以内の変
位を抑制しないものとなっている必要がある。従って、
引抜抵抗部材20の長さは、平時の上部連結部30(球
面座31)と下部連結部40(球面座41)との距離を
一方の一対の辺の長さとし、予想される基礎部2に対す
る上部構造部4の水平変位の長さを他方の一対の辺の長
さとする四角形の対角線の長さと略同じもしくは少し長
い長さとなる。
【0044】なお、引抜抵抗部材20の長さとして、実
際には、上球部22のの回転中心と下球部23の回転中
心との距離を用いることになる。また、上部連結部30
と下部連結部40との距離として、実際には、上部連結
部30の球面座31における球面を構成する球の中心
と、下部連結部40の球面座41における球面を構成す
る球の中心との距離を用いることになる。
【0045】そして、図9に示すように基礎部2に対し
て上部構造部4が傾くように変位した場合、もしくは、
上述のような水平方向の変位と傾くような変位が重なっ
た場合に、上部連結部30と下部連結部40との距離が
引抜抵抗部材20の長さより短い場合には、基礎部2に
対する上部構造部4の変位を免震引抜抵抗装置10が規
制しない状態となり、免震装置3に引張力(引抜力)が
作用することになるが、上部連結部30と下部連結部4
0との距離が引抜抵抗部材20の長さとなると、引抜抵
抗部材20により基礎部2に対する上部構造部4の変位
が規制されることになる。
【0046】この状態では、引抜抵抗部材20、すなわ
ち、免震引抜抵抗装置10が引張力を受けることにな
り、免震装置3に所定以上の引張力が作用するのを防止
することができる。従って、建築物の設計に際し、積層
ゴムに大きな引張力が作用しないように、建築物の幅に
対する高さの比を制限するように、建築物のプランを制
約することがなく、免震装置3を有する建築物のプラン
の自由度を拡げることができる。
【0047】なお、上部連結部30と下部連結部40と
の距離が引抜抵抗部材20の長さとなった状態において
も、引抜抵抗部材20の上下両端部は、上部連結部30
と下部連結部40とに揺動自在に連結されているので、
基礎部2に対する上部構造部4の動きを完全に規制する
ものではなく、上部連結部30と下部連結部40との距
離が引抜抵抗部材20の長さ以内であれば、基礎部2に
対して上部構造部4が略自由に動けるようになってお
り、この状態においても、免震装置3による免震機能を
大きく阻害することがない。
【0048】また、引抜抵抗部材20においては、上部
連結部30と下部連結部40との距離が引抜抵抗部材2
0の長さより短い間は、引張力が作用しない状態であ
り、上部連結部30と下部連結部40との距離が引抜抵
抗部材20の長さとなった瞬間に、下部連結部40の球
面座41に引抜抵抗部材20の下球部23が係合し、引
抜抵抗部材20に、急激に引張力が作用し、引抜抵抗部
材20に衝撃が作用することになるが、上述の上球部2
2の弾性体22bがその弾性により衝撃を吸収すること
ができ、引抜抵抗部材20に上述のように衝撃が作用す
るのを防止することができる。
【0049】図10及び図11は、上記例の免震引抜抵
抗装置10の上部連結部30の変更例を示すものであ
り、上記例の上部連結部30が上部構造部4の底部の略
水平な下面に固定されるものであったのに対して、図1
0及び図11に示される上部連結部50は、上部構造部
4の底部を構成するスラブの梁4aの略垂直な側面部に
固定されるものである。
【0050】そして、上部連結部50は、上記梁4aの
側面に接合される略垂直な接合プレート52と、該接合
プレート52から前方に延出するように互いに平行、か
つ、垂直に設けられた二枚の支持プレート53、53
と、該支持プレート53、53の上方向の中央部の両端
部を接合された状態で略水平に支持されるとともに、上
記球面座51が形成された受けプレート54とを備えた
ものである。なお、接合プレート52は、予め、梁4a
の略垂直な側面部に形成された図示しない接合部に、ボ
ルト55…により締結されるようになっている。
【0051】そして、上記上部連結部50は、上述のよ
うにその取り付け位置が上記例の上部連結部30と異な
るだけで、同様に作用するものである。なお、上部連結
部30、50を上記梁4aの下面に配置することも考え
られるが、上部連結部30、50と下部連結部40との
上下距離を短くした場合には、下部連結部40に対して
上部連結部30、50を水平に移動させた場合の水平移
動距離に対する下部連結部40と上部連結部30、50
との直線距離の変化量が大きくなってしまうので、下部
連結部40と上部連結部30、50との距離はできるだ
け長い方が好ましい。
【0052】従って、梁4aの下面に上部連結部30、
50を取り付けることにより、上部連結部30、50と
下部連結部40との上下距離を短くすることはあまり好
ましくなく、上述のように梁4aの側面に取り付ける
か、梁4aの下面より上にあるスラブの下面に取り付け
ることが好ましい。
【0053】図12は、上記例の免震引抜抵抗装置10
の引抜抵抗部材20の上球部22に備えられた弾性体2
2bの変更例を示すものであり、図12に示す上球部2
2においては、弾性体22bに代えて、衝撃吸収層60
が設けられている。上記衝撃吸収層60は、上記弾性体
22bと同様に、円板状のゴムと円板状の金属板とを交
互に積層した構造を有する弾性部61と、該弾性部61
に設けられた貫通孔内に配置されるストッパリング62
と、ストッパリング62を固定する固定板63と有する
ものである。
【0054】そして、上記弾性部61は、その中心部に
上記例の弾性体22bの貫通孔より大きな径の貫通孔6
1aが上下に形成されている。すなわち、弾性部61の
貫通孔61aは、該貫通孔61aに挿通される鋼棒21
より径が大きく、鋼棒21の外周面と弾性部61の内周
面との間に、上記ストッパリング62を配置する空間が
形成されるようになっている。
【0055】上記ストッパリング62は、その内径が鋼
棒21より僅かに大きいものとされ、鋼棒21を挿通す
ることが可能となったものであり、鋼棒21を貫通させ
た状態で、上記鋼棒21の外周面と弾性部61の内周面
との間の空間に配置されるものである。また、ストッパ
リング62は、座金22cと弾性部61との間に挟まれ
た状態で、かつ、鋼棒21が貫通した状態の上記固定板
63に上面を接合された状態となっている。
【0056】また、ストッパリング62は、その上下の
厚みが弾性部61の上下の厚みより薄くなっており、上
述のように固定板63に固定された状態で、ストッパリ
ング62の下面と球面体22aとの間に隙間があくよう
になっている。また、ストッパリング62は、弾性部6
1より硬質な材質、例えば、金属からなるものである。
【0057】上記構成によれば、上部連結部30と下部
連結部40との距離がひらき、上述のように、引抜抵抗
部材20の下球部が下部連結部40の球面座41に係合
した場合に、下部連結部40から離れようとする上部連
結部30により、球面座31に係合した球面体22aが
引き上げられ、球面体22aが弾性部61を上方に押し
上げ、該弾性部61が固定板63及び座金22cを上方
に押し上げ、座金22cがナット22dを上方に押し上
げ、さらに、鋼棒21に螺合されたナット22dが鋼棒
21を押し上げることにより、鋼棒21に引張力が作用
することになる。
【0058】そして、この際には、下球部23が球面座
41に係合した時点で、引抜抵抗部材20に急激に引張
力が作用することになるが、上記例の弾性体22bの弾
性と同様に弾性部61の弾性により衝撃が吸収されるこ
とになる。また、上述のような力が作用した場合には、
弾性部61に圧縮力がかかることになり、弾性部61は
上下の厚みが薄くなるように弾性変形することになる。
そして、弾性部61に大きな圧縮力が作用した場合に
は、弾性部61の厚みがストッパリング62の厚みと同
じになり、上述のストッパリング62と球面体22aと
の隙間がなくなり、ストッパリング62と球面体22a
とが当接することになる。
【0059】このようになった場合には、ストッパリン
グ62により座金22cと球面体22aとの間の力の伝
達が行われるようになり、ストッパリング62に圧縮力
がかかることになり、弾性部61の厚みがストッパリン
グ62の厚みと同じになるだけの圧縮力より大きな圧縮
力が弾性部61にかかることがないようになっている。
従って、弾性部61に大きな圧縮力が作用するのを防止
することができる。これにより、一度の大きな地震によ
り弾性部61が使えなくなるよう自体を防止できる。
【0060】すなわち、上記例の弾性体22bや弾性部
61により引抜抵抗部材20に大きな衝撃が加わるのを
防止して、一度の大きな地震により曲がり等が生じて引
抜抵抗部材20もしくは鋼棒21の交換が必要になるこ
とがないようにしている。また、弾性体22bではな
く、衝撃吸収層60を用いることにより、弾性体22b
と略同様の弾性部61に所定以上の圧縮力が加わるのを
防止して、一度の大きな地震により弾性部61の交換が
必要となることがないようにしており、これによりメン
テナンス性が向上する。
【0061】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の免震引抜抵抗装
置によれば、積層ゴム等の免震装置による免震作用を規
制することなく、基礎部に対して上部構造部を引き抜く
ように作用する引張力に抵抗し、免震装置に所定以上の
引張力が作用するのを防止でき、かつ、免震引抜抵抗装
置の構造が、引抜抵抗部材の上下の両端部を上部構造部
と基礎部とに揺動自在に連結するとともに、連結に際し
て上記所定距離に対応する遊びを設けるだけの簡単な構
成なので、建築物に安価に免震引抜抵抗装置を設置する
ことができ、免震構造を有する建築物のコストを低減す
ることができる。
【0062】本発明の請求項2記載の免震引抜抵抗装置
によれば、上記請求項1記載の構成と同様の作用効果を
奏することができるとともに、引抜抵抗部材と基礎部及
び上部構造部との連結に球面体と球面座とからなる球面
対偶が用いられており、比較的簡単な構成でかつ高い強
度で引抜抵抗部材と基礎部及び上部構造部とをそれぞれ
揺動自在に連結することができるので、免震引抜抵抗装
置のさらなる低コスト化を図ることができる。また、引
抜抵抗部材の上下の球面体間の距離が上部連結部の球面
座と下部連結部の球面座との間の距離より所定距離だけ
長くされることにより、上部連結部及び下部連結部のう
ちの少なくとも一方において、球面座と球面体とが離間
するように遊びが設けられているので、長い距離の遊び
を容易に設けることができる。
【0063】本発明の請求項3記載の免震引抜抵抗装置
によれば、球面体と引抜抵抗部材とを弾性体を介して接
合することにより、急激に引張力が作用することによる
衝撃を弾性体が吸収することで、引抜抵抗部材が変形す
るのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の免震引抜抵抗装置
を適用される建築物の概略構成を示す図面である。
【図2】上記例の免震引抜抵抗装置を示す要部断面図で
ある。
【図3】上記例の免震引抜抵抗装置を示す要部断面図で
ある。
【図4】上記例の免震引抜抵抗装置を示す要部断面図で
ある。
【図5】上記例の免震引抜抵抗装置を示す要部断面図で
ある。
【図6】上記例の免震引抜抵抗装置を示す要部断面図で
ある。
【図7】上記例の免震引抜抵抗装置を示す要部断面図で
ある。
【図8】上記例の免震引抜抵抗装置を示す要部断面図で
ある。
【図9】上記例の免震引抜抵抗装置の作用と説明するた
めの建築物の概略構成を示す図面である。
【図10】上記例とは異なる例の免震引抜抵抗装置を示
す要部断面図である。
【図11】上記例とは異なる例の免震引抜抵抗装置を示
す要部断面図である。
【図12】上記例とは異なる例の免震引抜抵抗装置を示
す要部断面図である。
【符号の説明】
1 建築物 2 基礎部 3 免震装置(積層ゴム) 4 上部構造部 10 免震引抜抵抗装置 20 引抜抵抗部材 22a 球面体 22b 弾性体 23a 球面体 30 上部連結部 31 球面座 40 下部連結部 41 球面座

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地盤に固定されるように設けられた基礎
    部と、該基礎部上に免震装置を介して設けられた上部構
    造部とからなる建築物において、上記基礎部と上記上部
    構造部との間に配置されて上記基礎部と上記上部構造部
    との間に作用する引張力に抵抗する免震引抜抵抗装置で
    あって、 上記上部構造部と上記基礎部との間に上下に架け渡され
    て上記引張力に抵抗する引抜抵抗部材と、 上記引抜抵抗部材の上端部を揺動自在に上記上部構造部
    に連結する上部連結部と、 上記引抜抵抗部材の下端部を揺動自在に上記基礎部に連
    結する下部連結部とを具備してなり、 上記上部連結部と上記下部連結部とのうちの少なくとも
    一方の連結部において、上記上部連結部と上記下部連結
    部との間の距離が地震時等において所定距離だけ長くな
    った際に、上記連結部と上記引抜抵抗部材との間で上記
    引張力が伝達されるように、上記連結部による引抜抵抗
    部材の連結に上記所定距離に対応する遊びが設けられて
    いることを特徴とする免震引抜抵抗装置。
  2. 【請求項2】 上記引抜抵抗部材の上下に球の表面の一
    部を有する球面体が設けられるとともに、上記上部連結
    部及び上記下部連結部にそれぞれ上記球面体と球面対偶
    を形成する球面座が形成され、 かつ、上記引抜抵抗部材の上下の球面体間の距離が上記
    上部連結部の球面座と上記下部連結部の球面座との間の
    距離より上記所定距離だけ長くされることにより、上記
    上部連結部及び上記下部連結部のうちの少なくとも一方
    において、上記球面座と上記球面体とが離間するように
    遊びが設けられ、地震時等において上記上部連結部と上
    記下部連結部との間の距離が上記所定距離だけ長くなっ
    た場合に、上記球面体と上記球面座とが接触して係合す
    ることを特徴とする請求項1記載の免震引抜抵抗装置。
  3. 【請求項3】 上記引抜抵抗部材が、上下の上記球面体
    と、これらの球面体に上下両端部がそれぞれ接合される
    引抜抵抗部材本体とを備え、上下の上記球面体のうちの
    少なくとも一方の球面体と上記引抜抵抗部材本体とが弾
    性体を介して接合されていることを特徴とする請求項2
    記載の免震引抜抵抗装置。
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