JP3036700B1 - 減震装置 - Google Patents

減震装置

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JP3036700B1
JP3036700B1 JP11029440A JP2944099A JP3036700B1 JP 3036700 B1 JP3036700 B1 JP 3036700B1 JP 11029440 A JP11029440 A JP 11029440A JP 2944099 A JP2944099 A JP 2944099A JP 3036700 B1 JP3036700 B1 JP 3036700B1
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Abstract

【要約】 【課題】 小地震、強風では一々建物揺動せず、その一
方で大きな地震では十分に相対移動し、種々の揺れへの
制震性良好、自動復元能力も高く、永年使用でも土埃錆
つきも無く、構造単純で堅固且つ安価な減震装置を提
供。 【解決手段】 大きな揺れがあって球体18が外側に向
って行くとき、先ずは図2のように、凹球面49で球体
18がぴったり受け止められ、そこから球体18は、凹
球面48をいわば駆け上がろうとする。このとき、減震
装置10には建物重量が掛かっており、この駆け上がり
への強い抑止力が働く。球体18はこの力を受けなが
ら、下部円盤体24の凹球面48に衝突し駆け上がって
行く。球体18が、凹球面49、凹球面48に順に衝突
することで、衝撃は二重に和らげられ、建物へのダメー
ジが防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は減震装置に関し、特
に、一戸建住宅その他、小規模建物の地震対策に使用し
て効果的な減震装置に関する。
【0002】
【従来の技術】建物を地震から守る手法の一つとして減
震手法がある。この手法は、何らかの方法で地盤に対し
て建物を移動可能にしておくものであり、これで地震の
揺れを吸収し、建物の損壊を防止する。このうち、マン
ション、ビルなどの大規模な建物に関しては、膨大な重
量を支えつつ如何にその機能を発揮させるかが一つのテ
ーマであり、例えば鉄板とゴム板とをサンドイッチにし
た免震装置その他が提案されており、実用化されてい
る。
【0003】一方、一般の住宅や商店、事務所など小規
模の建物に関しては、コストの掛からない簡素な構造を
維持しつつ如何にその効果を発揮させるかが一つのテー
マであり、例えば球体(ボール)を利用した減震手法が
幾つか提案されている(特開昭55−39527号公
報、特開平4−131539号公報、実開平3−622
47号、実開昭62−204055号公報、実開昭64
−649号公報公報など。)
【0004】球体は転がり抵抗が非常に小さい。この
為、これを利用した減震手法とすれば、相対的に重量が
少ない小規模建物でも、建物が地盤の動きに追随して動
いてしまうということはなく、有効な減震効果が得られ
る。若し、これらに上記例示したような大規模建物用の
手法を用いたなら、これら大規模建物用免震構造は、小
さなエネルギーに関しその抵抗が非常に大きいため、地
盤の動きが建物にその侭伝わってしまうことになり、適
切な減震効果は得られないであろう。
【0005】なお、「減震」の語は「震動を減殺、減
衰、減少、減免等する」という意味で用いている。上記
のように「免震」という用語も知られているが、比較的
大掛かりな装置を指すことが多いようである。そこで、
本願では「減震」という用語を使用することにする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、技術は常に
改善が求められる。この点で、この種装置に対する課題
について考察して見ると、それは、例えば小さな地震や
強風ではいちいち建物が揺れ動かないことであり、大き
な地震では十分に相対移動して地盤の動きが建物に伝わ
らないようにすることであり、大小種々の揺れに対し
て、夫々に適宜の制動が掛かりその揺れが的確に収斂さ
れることであり、揺れが治まったら特段の作業を要せず
して元の位置に自動的に復元することであり、永年使用
していても中に埃(土埃)やゴミが入ったり錆ついたり
してしまわず、いざというとき確実に作動するものであ
ることであり、更には、構造単純で堅固且つ安価である
ことなどである。このような観点から上記各従来例を見
直してみると、これらには、上記要求される各機能、特
性等が十分に備っているとは言い難く、夫々にまだまだ
改善すべき余地が見られる。
【0007】本発明の目的は、これら従来技術の欠点を
解消し、小さな地震や強風ではいちいち建物が揺れ動か
ず、大きな地震では十分に相対移動して地盤の動きが建
物に伝わらず、大小種々の揺れに対して夫々に適宜の制
動が掛かってその揺れが的確に収斂するものであり、揺
れが治まったとき、特段の作業を要せずして、元の位置
に自動的に復元し、永年使用しても中にゴミが入ったり
錆ついたりせず、いざというとき完全に機能するもので
あり、しかも、構造単純で堅固且つ安価である減震装置
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため本発
明では、下部凹部を有する下板盤と、上部凹部を有する
上板盤とが、夫々の凹部が対向するように、且つそれら
凹部の周りの各対向周縁が建物重量で平常時相互に密着
するように配置されており、前記下部凹部と前記上部凹
部の少なくとも一方の中央には副孔が形成されており、
平常時、前記下部周縁と前記上部周縁とが密着すること
で前記下部凹部と前記上部凹部により形成される内部空
間には、その差し渡し径より僅かに小さい直径の球体が
内包されており、前記下部凹部及び前記上部凹部は、中
心に近い部分が該中心に向って深くなる斜面とされてお
り、且つその斜面と夫々の対向周縁との間の各凹部内面
は、その一方が前記球体と同じ半径の曲面に、他方が前
記球体より大きな半径の曲面にされており、前記下板盤
と前記上板盤は連結手段で連結されている。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を図示実施の
形態例の減震装置10に基いて説明する。図1は平常時
の減震装置10の状態、図2は大きな揺れが加わったと
きの減震装置10の状態を示す。図3は、下板盤11及
び上板盤12を取り出して示し、図4は下板盤11の平
面、図5は上板盤12の下面を示す。図6は配置例を示
し、(A)は基礎コンクリート13上への減震装置10
の配置例の全体像、(B)は出隅部への減震装置10の
配置例の詳細、(C)は直線部への配置例の詳細を示
す。なお、図6では、減震装置10が多数存在する。符
号10はその一部に付す。図7は保護カバー56,57
の取付例を示す。なお、主要部分には、実施の形態例の
減震装置10の実際寸法を示した。この大きさに限定さ
れる訳ではないが、実際寸法を示した方がより深い理解
が得られると思い表示している。
【0010】これら各図に於て、基礎コンクリート13
の上には高さ調整モルタル16が積層されており、この
上に本発明実施の形態例の減震装置10が載置されてい
て、その上に建物土台14が載置される。なお、各柱1
7の中間に配置すると土台14が撓み、土台14に無理
が掛かる畏れがある。減震装置10は夫々の柱17直下
の土台14の下に配置するのが良い。この場合、減震装
置10配置部分以外の基礎コンクリート13と土台14
との間には、クッションゴム15(図6(B)(C))
を介挿しておくと良い。
【0011】減震装置10は、下板盤11、上板盤1
2、その間に配置された球体18、連結ボルト19、圧
縮スプリング21、座金22等を備えており、ステンレ
ススチール等、錆の来ない素材で形成されている。下板
盤11は下部取付板23及び下部円盤体24を備え、こ
の下部円盤体24は、周縁が下部取付板23に溶接固定
されている(28)。上板盤12も上部取付板26及び
上部円盤体27を備え、上部円盤体27も周縁が上部取
付板26に溶接固定されていて(29)、平常時、上部
円盤体27の対向周縁31と下部円盤体24の対向周縁
32が密着している(下部凹部33及び上部凹部34で
形成される内部空間36の上下の差し渡し寸法Rが、内
包された球体18の外径Dより0.2mmだけ大き
い。)。
【0012】下部取付板23には、取付用長孔37が穿
設されている(図4)。基礎コンクリート13に埋設さ
れたアンカーボルト38がここに下から貫通されナット
締めされており、これで、下部取付板23、即ち下板盤
11が基礎コンクリート13上に固定されている。上部
取付板26にも、取付用丸孔41が穿設されている(図
5)。建物土台14に貫通された取付ボルト39がここ
に上から貫通され、これもナット締めされており、これ
で、上部取付板26、即ち上板盤12が建物土台14に
下側から固定されている。なお、減震装置10のうち、
図6の矢印で示すような出隅部に配置されるものにつ
いては、基礎コンクリート13が直角に曲っているのに
合わせ、取付部分を図4の2点鎖線で示す位置に設ける
と良い。
【0013】下部円盤体24には、下部凹部33が穿設
されており、上方に向って開口している。上部円盤体2
7にも同じく上部凹部34が穿設されていて、これは下
部凹部33に向って開口している。これら向い合う各凹
部33,34により形成される内部空間36には、先に
言及した球体18が内包されており、その外径Dは、内
部空間36の上下の差し渡し寸法Rより、0.2mmだ
け小さい。因みに、球体18の直径Dは40mmであ
る。
【0014】下部凹部33、上部凹部34の詳細は図3
に示される。何れの凹部33,34も、中心部が深くな
る摺鉢状をなし、中心に直径10mm、深さ2mmの副
円孔42,43が穿設されていて、そこから夫々の対向
周縁31,32に向かって9度のテーパ面46,47が
形成されている。テーパ面46,47と対向周縁31,
32の間は凹球面48,49とされている。この凹球面
48,49は、下部凹部33、上部凹部34の各中心か
ら見ればドーナツ状の凹部である。
【0015】なお、下部凹部33と上部凹部34とで
は、テーパ面46,47と凹球面48,49の割合、及
びそこから対向周縁31,32に続く凹球面の半径が微
妙に異なる。即ち、下部凹部33の方は、凹部中心から
凹部外周に向って、半径寸法42mmの62%に達する
部分までが、9度のテーパ面46とされ、残り38%が
そこから対向周縁に連なる凹球面とされている。こちら
の凹球面の半径は25mmである。上部凹部34の方
は、凹部中心から凹部外周に向って、半径寸法42mm
の85%に達する部分までが9度のテーパ面47とさ
れ、残り15%がこのテーパ面47から対向周縁31に
連なる凹球面とされている。こちらの凹球面の半径は2
0mmである。なお上下各円盤体は外周(側面形状)が
円筒形であるが、要は向い合った面に上下各凹部33,
34が穿設されていれば足り、外周自体が円である必要
はない。
【0016】下部取付板23及び上部取付板26は、4
本の連結ボルト19(φ12mm)で連結されている。
即ち、図4、図5にその詳細を示すように、下部、上部
の各取付板23,26には、4個づつ挿通孔51が穿設
されており、これらに夫々前記連結ボルト19が挿通さ
れていて、その下端にダブルナット52がねじ込まれて
いる。この連結ボルト19が請求項にいう連結手段にあ
たる。ダブルナット52と下部取付板23、或いはボル
ト頭53と上部取付板26との間には、夫々圧縮スプリ
ング21が座金22付きで介挿されている。
【0017】この実施の形態例の減震装置10は、以下
の如く作動する。 (1)微動の上下動について 建物の重量と、減震装置の4本の連結ボルト19、及び
この連結ボルト19に嵌挿された圧縮スプリング21の
弾発力により、上下動への抑制が働く。圧縮スプリング
21の弾発力は、建物重量に応じ、ダブルナット52の
位置で調整する。 (2)激動の上下動について 4本の連結ボルト19、及びそれらに嵌挿された圧縮ス
プリング21の弾発力により、建物と基礎コンクリート
13とが分離することなく、建物が地盤に定着すること
になる。
【0018】(3)微動の横揺れについて 前述のとおり、下部凹部33及び上部凹部34で形成さ
れる内部空間36の上下の差し渡し寸法Rは、内包され
た球体18の外径Dより0.2mmだけ大きい。従っ
て、減震装置10の上下各円盤体24,27の対向周縁
31,32は、平常時、常に当接されていて、そこに建
物の重量が掛かる。従って、そこには水平方向の動きに
対する大きな摩擦抵抗が存在し、これにより、微動の横
揺れでは実施の形態例の減震装置10は作動せず、通常
の建物の揺れで冶まる。また、如何に軽く転動するかに
意を注いでいたように見える従来の球体利用の減震構造
と異なり、台風その他の強風でも、簡単に横移動するよ
うなことはない。
【0019】(4)中程度の横縦の揺れについて 一定以上の横縦の振動を受けた場合、球体18にその振
動が加わって、360度、どの方向でも同じ様に震動を
受け止めることが出来る。実施の形態例の減震装置10
では、球体18を中心に、下板盤11が一方に2cm可
動であり、上板盤12が反対側に2cm可動である。従
って、基礎コンクリート13とその上の建築物との間で
は、片方に4cm可動ということになる。
【0020】また、揺れの返りが有り、反対側に地盤が
移動した場合、その方向にも再度4cm可動ということ
になる。地震の場合、この運動により、往復で8cmの
揺れまで吸収することが出来る。仮に往復12cmの揺
れを生じる地震であったとしたら、12cm−8cm
で、実質4cmの揺れで治めることが可能である。この
揺れなら、家具や食器の転倒は十分防止される(不足な
ら、上、下各凹部33,34の直径84mmをもっと拡
大する)。
【0021】(5)大揺れの場合について 実施の形態例の寸法とした場合、往復8cm以上の大揺
れの場合に球体18が凹球面48,49に衝突する計算
になる。本実施の形態例の減震装置10では、このよう
な場合に衝撃をやんわりと受け止められるように、図3
に示す如く、上部、下部各凹部33,34の各凹球面4
8,49の半径に差異を設けている。即ち、下部円盤体
24では、中心部から2.6cm(全体の62%)まで
は9度の勾配、その外側の1.6cm(全体の38%)
は半径25mmの凹球面48としている。従って、この
凹球面48の半径は球体18の半径20mmより大き
い。
【0022】一方、上部円盤体27については、中心部
分より3.5cm(全体の85%)までが9度の勾配、
その外側の6.5cm(全体の15%)は半径20mm
の凹球面49とされている。この半径は、球体18の半
径20Rと等しい。従って、大きな揺れがあって球体1
8が外側に向って行く場合、先ずは図2に示す如く、上
部円盤体27の凹球面49で球体18がぴったり受け止
められる。その状態で、球体18が更に外側に移動して
行き、球体18は、言わば下部円盤体24の凹球面48
を駆け上がろうとする。
【0023】このとき、減震装置10には建物重量が掛
かっている。従って、この駆け上がりの際に、強い抑止
力が作用し、球体18はその力を受けながら、下部円盤
体24の凹球面48に衝突する。即ち、実施の形態例の
減震装置10では、大揺れの際、球体18が、上部円盤
体27の凹球面49、下部円盤体24の凹球面48とい
う、二つの部分により、しかも、あとの方では強い制動
を受けながら衝突する。従って、衝撃は二重に和らげら
れ、建物へのダメージは防止される。
【0024】(6)建物を自動的に元の位置に戻すこと
について 下部凹部33、上部凹部34は、共に、中央側が9度の
テーパ面46,47、その外が凹球面48,49とされ
ており、中央が深くなる摺鉢状で、そこに球体18が介
挿されている。揺れが加わってこの球体18が平常位置
を離れたときは、そこに建物重量が加わる。従って、球
体18の移動量が少ないときは9度のテーパ面46,4
7で、また、揺れが大きいときは、夫々の凹球面48,
49で、球体18を中央に戻そうとする力が働き、球体
18は自動的に中央に戻る。 (7)スプリング21の作用について これらは、下板盤11、上板盤12を引き寄せる作用が
あり、前述の建物重量と相俟って、これらを正対位置に
戻そうとする。
【0025】(8)下部凹部33、上部凹部34中央の
各副円孔42,43について 球体18が中央近くに戻って来たところで(中心から1
mm前後)、球体18が下部凹部33の副円孔42又は
上部凹部34の副円孔43に填まりこもうとする。この
とき、この減震装置10には建物の重量が働いている。
従って、上部円盤体27には、下部円盤体24の中心に
向かおうとする力が加わり、上部円盤体27が下部円盤
体24の真上に来たとき、そこで球体18の下面が下部
円盤体24の副円孔42に、球体18上面が上部円盤体
27の副円孔43に落ち込む。これで、建物重量によっ
て夫々の円盤体の対向周縁31,32が強く当接してい
る平常状態(図1)に戻る。なお、各副円孔42,43
は、上部円盤体27が中心に戻るように付勢し、且つ戻
ったあと対向周縁31,32が密着出来るよう球体18
をいわば内部空間36内で遊ばせる働きをしている。こ
の働きは、一応何れか一方の副円孔(42又は43)だ
けでも実現出来る。従って、一方に副円孔を形成した形
態で本発明を実施しても構わない。
【0026】(9)下部、上部各円盤体24,27の対
向周縁32,31の効用について これらは、前述のとおり建物の重量によって平常時強く
当接されている。従って、上下各凹部34,33によっ
て形成されている内部空間36には埃など入る余地はな
く、長年経過しても、内部空間36は清浄に保たれ、埃
の堆積による作動不良や、埃、雨などによる錆つきなど
も生じない。なお、何らかの事情で水が入ったときに備
え、下部凹部33中心の副円孔42には、下方に貫通す
る水抜き孔を穿設しておくと良い(不図示)。この場
合、副円孔42の直径10mmの開口は球体18で塞が
れており、また、水抜き孔の下側開口は基礎コンクリー
ト13に接しているから、この水抜き孔から埃が侵入す
ることはまず考えられない。
【0027】なお、下部、上部各円盤体24,27は平
常時密着されている。従って、減震装置10が建物外部
に露出していたとしても、埃、雨による障害は起きな
い。しかし、用心に越したことはない。そこで本実施の
形態例では、腐食防止用にと養生カバー56,57を配
置し、減震装置10の外部露出部分を覆うようにしてい
る(図7)。また、実施の形態例の減震装置10では、
上部凹部34、下部凹部33の各中央側はテーパ面4
6,47にした。ここは凹部の中心に向って深くなって
いれば良く、例えば球面であっても構わない。また、各
円盤体24,27と各取付板23,26とは一体であっ
ても構わない。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、下部
凹部を有する下板盤と、上部凹部を有する上板盤とを、
夫々の凹部が対向するように、且つそれら凹部の周りの
各対向周縁が建物重量で平常時相互に密着するように配
置し、下部凹部と上部凹部の少なくとも一方の中央に副
孔を形成し、平常時、下部周縁と上部周縁の密着で下部
凹部と上部凹部により形成される内部空間には、その差
し渡し径より僅かに小さい直径の球体を内包し、下部凹
部及び上部凹部は、中央側がその中心に向って深くなる
斜面とし、且つその斜面と夫々の対向周縁との間の各凹
部の内面は、その一方は球体と同じ半径の曲面に、他方
は球体より大きな半径の曲面とし、下板盤と上板盤とは
連結手段で連結するようにした。
【0029】従って、従来の減震構造の欠点は解消さ
れ、小さな地震や強風では、いちいち建物が揺れ動か
ず、大きな地震では十分に相対移動して地盤の動きが建
物に伝わらず、大小種々の揺れに対して夫々に適宜の制
動が掛かってその揺れは的確に収斂され、揺れが治まれ
ば、特段の作業を要せずして元の位置に自動的に復元
し、永年使用している間にも中に埃(土埃)が入ったり
錆ついたりせず、いざというときも確実に作動し、しか
も、構造単純で堅固且つ安価な減震装置を実現すること
ができ、特に一般住宅等、小規模建物の地震対策に使用
して好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】平常時の減震装置10の状態を示し、(A)は
中央縦断面図(図4−及び図5−に沿った垂直
切断)、(B)は上部凹部34、下部凹部33の各中心
付近を取り出して示す拡大中央縦断面図である。なお、
(A)に於て2点鎖線で示すのは、図4−に沿った
縦断面である。
【図2】大きな揺れが加わったときの減震装置10の状
態を示す中央縦断面図(図1と同じ切断部位)。
【図3】下板盤11及び上板盤12を取り出して示す中
央縦断面図(図1と同じ切断部位)。
【図4】下板盤11を示す平面図。
【図5】上板盤12を示す下面図。
【図6】実施の形態例の減震装置10の配置例を示すも
ので、(A)は基礎コンクリート13上への配置例の全
体像を示す平面図、同図(B)は出隅部への減震装置1
0の配置例の詳細を示す側面図((A)の矢視)、同
図(C)は直線部への配置例の詳細を示す側面図
((A)の矢視)。
【図7】保護カバー56,57の取付状態を示し、
(A)は側面図(図6(A)の矢視)、(B)は断面
図(−線に沿った縦断面)。
【符号の説明】
10…実施の形態例の減震装置 11…下板盤 12…上板盤 13…基礎コンク
リート 14…土台 15…クッション
ゴム 16…高さ調整モルタル 17…柱 18…球体 19…連結ボルト 21…圧縮スプリング 22…座金 23…下部取付板 24…下部円盤体 26…上部取付板 27…上部円盤体 28…下部取付板溶接部 29…上部取付板
溶接部 31…対向周縁(上部) 32…対向周縁
(下部) 33…下部凹部 34…上部凹部 36…内部空間 37…取付用長孔 38…アンカーボルト 39…取付ボルト 41…取付用丸孔 42…副円孔
(下) 43…副円孔(上) 46…テーパ面
(下) 47…テーパ面(上) 48…凹球面
(下) 49…凹球面(上) 51…挿通孔 52…ダブルナット 53…ボルト頭 56,57…保護カバー R…内部空間36
の上下の差し渡し寸法 D…内包された球体18の外径

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部凹部を有する下板盤と、上部凹部を
    有する上板盤とが、夫々の凹部が対向するように、且つ
    それら凹部の周りの各対向周縁が建物重量で平常時相互
    に密着するように配置されており、前記下部凹部と前記
    上部凹部の少なくとも一方の中央には副孔が形成され、
    平常時、前記下部周縁と前記上部周縁とが密着すること
    で前記下部凹部と前記上部凹部により形成される内部空
    間には、その差し渡し径より僅かに小さい直径の球体が
    内包されており、前記下部凹部及び前記上部凹部は、中
    心に近い部分が該中心に向って深くなる斜面とされてお
    り、且つその斜面と夫々の対向周縁との間の各凹部内面
    は、その一方が前記球体と同じ半径の曲面に、他方が前
    記球体より大きな半径の曲面にされており、前記下板盤
    と前記上板盤は連結手段で連結されていることを特徴と
    する減震装置。
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