JP4759588B2 - 打ち継ぎ用接着剤組成物及びコンクリート改修方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄筋コンクリート造建築物や構造部材、又はコンクリート製の2次製品の改修に使用する打ち継ぎ用接着剤組成物であって、詳しくは既設コンクリートに打ち継ぎ用接着剤を塗付し、当該打ち継ぎ用接着剤に接して下塗りとしてモルタル又はポリマー配合モルタルを塗付し、補強用網材を貼り付けた後、モルタル又はポリマー配合モルタルを塗付してなる既設コンクリートの改修において使用する打ち継ぎ用接着剤組成物及び当該打ち継ぎ用接着剤組成物を使用するコンクリート改修方法に関するものである。
従来、鉄筋コンクリート造建築物や構造部材、又は農水路等に使用されるコンクリート製の2次製品である水路の改修には、建造物の壁面の亀裂を防止する表装方法として、建造物の壁面にガラス繊維製織物塗装下地材を貼着し、ついでその貼着された下地材の表面に塗材を施すことから成り、ガラス繊維製塗装下地材を建造物の壁面に貼着するための接着剤として、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いた溶剤溶液型接着剤、水溶液型接着剤又は水性分散液型接着剤やセメントなどの無機質系接着剤が使用でき、壁面に貼着したガラス繊維製塗装下地剤の表面に塗装する塗材として、有機系、無機系、エマルジョン系、水性系、溶剤系などの塗材や、エマルジョン塗料、樹脂入りセメント系塗材が使用できることが開示されている(特許文献1)。
また、下地コンクリート表面に樹脂系水性接着剤を塗付し、同樹脂系水性接着剤が乾燥した後に酢酸ビニル‐エチレン共重合体エマルジョンを含有するモルタルを塗工する下地塗工工程と、同下地塗工工程にて塗工した下地塗工面にガラス繊維製ネットを張設する補強工工程と、同補強工工程にて張設したガラス繊維製ネット上に酢酸ビニル‐エチレン共重合体エマルジョンを含有するモルタルを塗工する仕上塗工工程から成る改修方法が開示されている(特許文献2)。
しかし、改修が必要な既存コンクリート表面は湿潤している場合があり、また例え乾燥していても、コンクリート表面の脆弱層や汚れ等は高圧水洗によって除去するため、施工前の既存コンクリート表面は湿潤状態にあることが多いのが現状であり、この場合特許文献1に開示された方法では、ガラス繊維製塗装下地材を既存コンクリート表面に貼着する接着剤が湿潤したコンクリート表面に十分に接着しないという課題があった。
また同様に特許文献2においても、湿潤したコンクリート表面には樹脂系水性接着剤が十分に接着しないという課題があった。
一方、既設コンクリート又はモルタル等下地に新たなコンクリート又はモルタルを打ち継ぐ方法として、エポキシ樹脂と、ポリアミン系硬化剤とを含有し、またはエポキシ樹脂と、ポリアミン系硬化剤と、ポリサルファイドポリマーと、3級アミン化合物とを含有し、ポリアミン系硬化剤をエポキシ樹脂1当量に対し、0.1〜0.6当量配合したプライマー組成物を既設コンクリート面に塗付する方法が開示されている(特許文献3、特許文献4)。
しかしポリアミン系硬化剤では、下塗りとして塗付するモルタル又はポリマー配合モルタルの水和を阻害する場合があり、また下地表面の含水率が高いコンクリート等に対しては接着性が不十分であるという課題があった。
同様に、硬化コンクリートに新たなコンクリートを打ち継ぐ場合において、硬化コンクリートの打ち継ぎ面に、分散質としてアクリル酸エステル系単量体単位、メタアクリル酸エステル系単量体単位、スチレン系単量体単位及びジエン系単量体単位の中から選ばれた少なくとも一種の単量体単位からなる単独重合体又は共重合体を含有し、かつ分散剤として末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する水性エマルジョンからなるセメントモルタル用打ち継ぎ材を打ち継ぎ面に塗付し、皮膜の高い耐アルカリ性によって新たに打設されるコンクリートの水分の既設コンクリート側への移行を抑制し、新たなコンクリートの接着力を向上させることが開示されている(特許文献5)。
しかしこの方法では、既設コンクリート表面が湿潤している場合は塗付された水性エマルションの造膜が十分に行われず、その状態で新たなコンクリートが打設されると、造膜が不十分な部分が脆弱層となり、打ち継ぎ部における新たなコンクリートの接着性が低下するという課題があった。この課題は新たなコンクリートがモルタル又はポリマー配合モルタルであっても同様であった。
特開昭59-72349号公報 特許第3749833号公報 特開2000−273354号公報 特開2000−345101号公報 特開平6−184489号公報
本発明の課題は、既存コンクリートの表面が湿潤状態であっても、下塗りとして塗付するモルタル又はポリマー配合モルタルを下地コンクリートに確実に接着させることでき、また当該下塗りとしてのモルタル又はポリマー配合モルタルの水和を阻害することが無く、さらには当該下塗りとしてのモルタル又はポリマー配合モルタルと、これに貼り付けた補強用網材と、更に上塗りとして塗付するモルタル又はポリマー配合モルタルを、下地コンクリートに一体的に接着させることが可能で、例えばコンクリート構造材内部のアルカリ骨材反応等によりコンクリート構造材表面で膨張破壊が生じても、補強用網材と一体化されたモルタル又はポリマー配合モルタルが既存コンクリート表面から剥離することが無い打ち継ぎ用接着剤組成物及びコンクリート改修方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題について検討し、請求項1記載の発明は、既設コンクリート表面に打ち継ぎ用接着剤を塗付し、当該打ち継ぎ用接着剤に接して下塗りとしてモルタル又はポリマー配合モルタルを塗付し、補強用網材を貼り付けた後、補強用網材及び下塗りとして塗付したモルタル又はポリマー配合モルタル表面にモルタル層間接着剤を塗付し、当該モルタル層間接着剤に接して、モルタル又はポリマー配合モルタルを塗付してなる既設コンクリートの改修において、既設コンクリート表面に塗付する打ち継ぎ用接着剤組成物であって、エポキシ樹脂と水分散性ポリアミンエポキシアダクトと水硬性セメントとから成ることを特徴とする打ち継ぎ用接着剤組成物であり、既存コンクリートの表面が湿潤状態であっても、下塗りとして塗付するモルタル又はポリマー配合モルタルを下地コンクリートに確実に接着させることができ、また当該下塗りとしてのモルタル又はポリマー配合モルタルの水和を阻害することが無く、さらには当該下塗りとしてのモルタル又はポリマー配合モルタルと、これに貼り付けた補強用網材と、更に上塗りとして塗付するモルタル又はポリマー配合モルタルを、下地コンクリートに一体的に接着させることが可能で、既設コンクリートの表面に膨張破壊が生じても一体化されたモルタル又はポリマー配合モルタルが既存コンクリート表面から剥離することが無い打ち継ぎ用接着剤組成物となる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の打ち継ぎ用接着剤組成物において、水分散性ポリアミンエポキシアダクトが、(A)ポリアミンに、ポリアミンの第一アミノ基の10〜50%と反応する量のモノエポキシドと、ポリアミンの残留第一アミノ基の5〜65%と反応する量のポリエポキシドとの混合物を添加反応させて形成した、水相溶性のポリアミン‐エポキシアダクト0.25〜4重量部および(B)第一アミノ基を有するポリアミンとモノエポキシド又はポリエポキシドとの反応によって得られた樹脂相溶性のポリアミン‐エポキシアダクト1重量部とからなり、ポリアミンの残留アミノ基の少なくとも25%がホルムアルデヒドと反応し、ポリアミンは引き続いて酸との反応によって少なくとも部分的に中和されている前記水相溶性のポリアミン‐エポキシアダクトと前記樹脂相溶性ポリアミン‐エポキシアダクトとの混合物であることを特徴とする打ち継ぎ用接着剤組成物であり、既存コンクリートの表面が湿潤状態であっても、下塗りとして塗付するモルタル又はポリマー配合モルタルを下地コンクリートに確実に接着させることができ、また当該下塗りとしてのモルタル又はポリマー配合モルタルの水和を阻害することが無く、さらには当該下塗りとしてのモルタル又はポリマー配合モルタルと、これに貼り付けた補強用網材と、更に上塗りとして塗付するモルタル又はポリマー配合モルタルを、下地コンクリートに一体的に接着させることが可能で、既設コンクリートの表面に膨張破壊が生じても一体化されたモルタル又はポリマー配合モルタルが既存コンクリート表面から剥離することが無い打ち継ぎ用接着剤組成物となる。
請求項3記載の発明は、既設コンクリート表面に請求項1又は請求項2記載の打ち継ぎ用接着剤組成物を塗付し、当該打ち継ぎ用接着剤組成物に接して下塗りとしてモルタル又はポリマー配合モルタルを塗付し、補強用網材を貼り付けた後、補強用網材及び下塗りとして塗付したモルタル又はポリマー配合モルタル表面にモルタル層間接着剤を塗付し、当該モルタル層間接着剤に接して、モルタル又はポリマー配合モルタルを塗付することを特徴とするコンクリートの改修方法であり、既存コンクリートの表面が湿潤状態であっても、下塗りとして塗付するモルタル又はポリマー配合モルタルを下地コンクリートに確実に接着させることができ、また当該下塗りとしてのモルタル又はポリマー配合モルタルの水和を阻害することが無く、さらには当該下塗りとしてのモルタル又はポリマー配合モルタルと、これに貼り付けた補強用網材と、更に上塗りとして塗付するモルタル又はポリマー配合モルタルを、下地コンクリートに一体的に接着させることが可能で、既設コンクリートの表面に膨張破壊が生じても一体化されたモルタル又はポリマー配合モルタルが既存コンクリート表面から剥離することが無いコンクリート改修方法を提供する。
本発明の打ち継ぎ用接着剤組成物は、既設コンクリート表面に打ち継ぎ用接着剤を塗付し、当該打ち継ぎ用接着剤に接して下塗りとしてモルタル又はポリマー配合モルタルを塗付し、補強用網材を貼り付けた後、補強用網材及び下塗りとして塗付したモルタル又はポリマー配合モルタル表面にモルタル層間接着剤を塗付し、当該モルタル層間接着剤に接して、モルタル又はポリマー配合モルタルを塗付してなる既設コンクリートの改修において、既設コンクリート表面に塗付する打ち継ぎ用接着剤組成物であって、エポキシ樹脂と水分散性ポリアミンエポキシアダクトと水硬性セメントとから成ることを特徴とする打ち継ぎ用接着剤組成物であり、 水分散性ポリアミンエポキシアダクトが(A)ポリアミンに、ポリアミンの第一アミノ基の10〜50%と反応する量のモノエポキシドと、ポリアミンの残留第一アミノ基の5〜65%と反応する量のポリエポキシドとの混合物を添加反応させて形成した、水相溶性のポリアミン‐エポキシアダクト0.25〜4重量部および(B)第一アミノ基を有するポリアミンとモノエポキシド又はポリエポキシドとの反応によって得られた樹脂相溶性のポリアミン‐エポキシアダクト1重量部とからなり、ポリアミンの残留アミノ基の少なくとも25%がホルムアルデヒドと反応し、ポリアミンは引き続いて酸との反応によって少なくとも部分的に中和されている前記水相溶性のポリアミン‐エポキシアダクトと前記樹脂相溶性ポリアミン‐エポキシアダクトとの混合物であることにより、既存コンクリートの表面が湿潤状態であっても、下塗りとして塗付するモルタル又はポリマー配合モルタルを下地コンクリートに確実に接着させることでき、また当該下塗りとしてのモルタル又はポリマー配合モルタルの水和を阻害することが無く、さらには当該下塗りとしてのモルタル又はポリマー配合モルタルと、これに貼り付けた補強用網材と、更に上塗りとして塗付するモルタル又はポリマー配合モルタルを、下地コンクリートに一体的に接着させることが可能で、既設コンクリートの表面に膨張破壊が生じても一体化されたモルタル又はポリマー配合モルタルが既存コンクリート表面から剥離することが無いという効果がある。
また、既設コンクリートが垂直状の壁面であっても、本発明の打ち継ぎ用接着剤組成物は垂れることがなく、リシンガン等で既設コンクリート面に容易に塗付することが可能であり、塗付作業性に優れるという効果がある。詳しくは本発明の打ち継ぎ用接着剤組成物中の水分が、打ち継ぎ用接着剤組成物中の水硬性セメントの水和に急速に消費され、又は空気中に揮発することによって打ち継ぎ用接着剤組成物の粘度の増加が短時間で著しい。このため、垂直状の壁面であっても既設コンクリートに塗付した当該打ち継ぎ用接着剤組成物が垂れることがなく、その部位に留まることは確実であり、その効果は大きい。従って既設コンクリートが壁面で大面積であっても均一に塗付することができる打ち継ぎ用接着剤組成物及びコンクリート改修方法である。
本発明の打ち継ぎ用接着剤組成物は、図1に示すように既設コンクリート1の表面に打ち継ぎ用接着剤2を塗付し、当該打ち継ぎ用接着剤2に接して下塗りとしてモルタル又はポリマー配合モルタル3を塗付し、補強用網材4を貼り付けた後、補強用網材4及び下塗りとして塗付したモルタル又はポリマー配合モルタル3の表面にモルタル層間接着剤5を塗付し、当該モルタル層間接着剤5に接して、モルタル又はポリマー配合モルタル6を塗付してなる既設コンクリート1の改修において、既設コンクリート1の表面に塗付する打ち継ぎ用接着剤2に係る打ち継ぎ用接着剤組成物であって、エポキシ樹脂と水分散性ポリアミンエポキシアダクトと水硬性セメントとを混合したものである。
本発明のエポキシ樹脂は、液状であり、常温硬化するものであればよく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ジアリールスルホン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂およびそれらの変性物などを単独あるいは併せて用いてもよく、また、希釈剤を用いて液状化してもよい。最も多く配合するエポキシ樹脂の軟化点は、35℃以下が好ましい。このような液状エポキシ樹脂としては、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂が、汎用性、コスト等で好ましい。
また本発明の水分散性ポリアミンエポキシアダクトである水系硬化剤は、前記エポキシ樹脂と混合し、また水分を良好に分散させることができるものであればよく、当該水分散性ポリアミンエポキシアダクトは、(A)ポリアミンに、ポリアミンの第一アミノ基の10〜50%と反応する量のモノエポキシドと、ポリアミンの残留第一アミノ基の5〜65%と反応する量のポリエポキシドとの混合物を添加反応させて形成した、水相溶性のポリアミン‐エポキシアダクト0.25〜4重量部および(B)第一アミノ基を有するポリアミンとモノエポキシド又はポリエポキシドとの反応によって得られた樹脂相溶性のポリアミン‐エポキシアダクト1重量部とからなり、ポリアミンの残留アミノ基の少なくとも25%がホルムアルデヒドと反応し、ポリアミンは引き続いて酸との反応によって少なくとも部分的に中和されている前記水相溶性のポリアミン‐エポキシアダクトと前記樹脂相溶性ポリアミン‐エポキシアダクトとの混合物であって、特許2661678号公報に記載されているものである。これに該当する水分散性ポリアミンエポキシアダクトには、ジョリシールJBX−140B(アイカ工業(株)製エポキシ樹脂硬化剤、商品名、活性水素当量380、固形分33%水溶液、粘度90mPas/23℃)がある。
水硬性成分はセメントであり、セメントとしては水硬性であれば特に限定されることはなく、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等の混合セメントや、アルミン酸石灰質セメント、ケイ酸アルミン酸石灰質セメント、リン酸セメント等が使用できる。特に白セメントすなわち白色ポルトランドセメントは、流動性が良い点で好ましい。当該水硬性セメントの配合量はエポキシ樹脂100重量部に対して好ましくは50重量部から250重量部を配合することで本発明の効果が顕著であるが、50重量部未満250重量部超であっても塗付作業性に支障がなく既設コンクリートと下塗りのモルタル又はポリマー配合モルタルが一体化し、また塗付面における本発明の打ち継ぎ用接着剤組成物に垂れを生じる、さらには下塗りとして塗付するモルタル又はポリマー配合モルタルが流下、落下することがなければ、その範囲で配合量を調整することが出来、30重量部から300重量部が配合されてもよい。
配合物の混合形態として、エポキシ樹脂、水分散性ポリアミンエポキシアダクト、水、水硬性セメントが主たる配合物であるが、2液、1粉体とするのが使用に際して好ましい。すなわち、エポキシ樹脂、水分散性ポリアミンエポキシアダクトと水、及び水硬性セメントとするのが、混合・分散不十分、特性の失活、計量ミス・誤差を防ぐには好ましいが、別個に配合しても構わない。
なお本発明のコンクリートの改修に使用されるモルタルは、一般的なセメントモルタルのほか、セメント、骨材、減水剤にビニロン等の短繊維が任意に配合される補強用モルタルが適用でき、ポリマー配合モルタルは、これらのモルタルに、アクリル系樹脂エマルジョン、エチレン・酢酸ビニル共重合系エマルジョン、エチレン、酢酸ビニル、スチレン系、アクリル酸エステル系からなる多元系合成樹脂エマルジョン、SBRラテックス、エポキシ樹脂エマルジョン等が配合されたモルタルを使用することができる。
また、補強用網材は、二軸、三軸いずれの補強用網材が使用可能であり、ガラスメッシュやビニロン三軸連続繊維シート、補強用炭素繊維シート、補強用アラミド繊維シート、ポリエチレンメッシュ、ポリプロピレンメッシュ等を使用することが出来る。
モルタル層間接着剤は、湿潤したモルタル又はポリマー配合モルタルの表面に塗付し、新たに塗付するモルタル又はポリマー配合モルタルを接着させることができ、さらにはこれらのモルタル又はポリマー配合モルタルの水和を阻害させることがないものを使用することが望ましく、例えばジョリシールJBX−140(アイカ工業(株)製)を使用することが出来る。
本発明の打ち継ぎ用接着剤組成物は既設コンクリートに0.3〜0.5kg/m塗付し、0.4kg/mが塗付作業性の点で適当であるが、これは通常改修を必要とする既設コンクリートの表面の凹凸が大きいからであり、既設コンクリート表面の凹凸が少ないか平滑状である場合は、これより少なくても構わない。塗付にあたってはリシンガンによる吹きつけやローラー刷毛により容易に塗付することが出来る。
以下、実施例及び比較例にて詳細に説明する。
実施例1
攪拌機にジョリシールJBX−140A(アイカ工業(株)製エポキシ樹脂、商品名、エポキシ当量180、固形分100%、粘度1300mPas/23℃)100重量部とジョリシールJBX−140B(アイカ工業(株)製水分散性ポリアミンエポキシアダクト、活性水素当量380、固形分33%水溶液、粘度90mPas/23℃、商品名)200重量部を入れ、普通ポルトランドセメント150重量部を配合し十分に混合した打ち継ぎ用接着剤組成物を調製し実施例1とした。
比較例1
実施例1に示した打ち継ぎ用接着剤組成物に変えて、水で希釈して固形分10%に調整したモルタル混和用アクリルエマルジョン(ウルトラゾールCMX−243、ガンツ化成株式会社製、商品名、固形分45%アクリル酸エステル共重合体エマルション)を比較例1とした。
比較例2
実施例1に示した打ち継ぎ用接着剤組成物に換えて新旧コンクリート打ち継ぎ用エポキシ樹脂(ジョリシールJB−8A、アイカ工業株式会社製、商品名:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)400重量部とポリアミン系硬化剤(ジョリシールJB−8B、アイカ工業株式会社製、商品名、変性脂肪族ポリアミン)100重量部を撹拌機に入れて混合したものを比較例2とした。
表1に実施例及び比較例の結果を示す。
Figure 0004759588
試験条件
既存コンクリート下地:JISA 5334(鉄筋コンクリートU形用ふた)に規定するU形ふた、呼び名一種300(400×600×60mm)を既存コンクリート下地とし、その中央部を直径100mmのコア抜き状に、裏面よりオモテ面方向に深さ55mmの切り込みを入れる。その後オモテ面を高圧水洗して表面の脆弱部を除去し、7日間水中に浸漬した後、水中から取り出し、表面に浮き留まっている水をウェスで拭きとり、既存コンクリート下地とした。
試験体の作製:上記試験体下地であるU形ふたの長手側を下側にして垂直に保持し、上記実施例1、比較例1及び比較例2の打ち継ぎ用接着剤組成物をオモテ面全面に塗付した。塗布量は実施例1及び比較例2の打ち継ぎ用接着剤組成物は0.4kg/mを、比較例1の打ち継ぎ用接着剤組成物は0.2kg/mとした。その後、下塗りモルタルとして、普通ポルトランドセメント150重量部、硅砂5号200重量部、硅砂7号100重量部、ビニロン繊維AB 6mm((株)ユニチカ製、商品名)0.2重量部、水道水70重量部、高性能減水剤Melflux1641F(BASFコンストラクション製、商品名)1重量部を混合したモルタルを10mm厚みに鏝塗りした。鏝塗り後、直ちにビニロン3軸連続シートKVT7226Y(日東紡製、商品名)を貼り付け、ブラシと鏝で下塗りモルタル表面に付着させた。その後2時間放置後、モルタル層間接着剤を0.3kg/mを塗付し、30分後に、上記下塗りモルタルと同配合のモルタルを上塗りモルタルとして10mm厚みに塗付し、23℃28日間養生し試験体とした。モルタル層間接着剤は、 攪拌機にJBX−140A(アイカ工業(株)製エポキシ樹脂、商品名、エポキシ当量180、固形分100%、粘度1300mPas/23℃)100重量部とジョリシールJBX−140B(アイカ工業(株)製水分散性ポリアミンエポキシアダクト、活性水素当量380、固形分33%水溶液、粘度90mPas/23℃、商品名)200重量部およびポリオレフィン樹脂系パルプ状物質(ケミベストFDDSS−50、繊維長0.1mm、三井化学株式会社製、商品名)8重量部と水道水42部を入れ、白色ポルトランドセメント150重量部を配合して均一に混合したものを使用した。
試験方法:試験は、日本道路公団規格JHS424:2004 はく落防止の押し抜き試験に準拠した。詳しくは、上記試験体の裏面を上側として長手面の中央を中心に両側200mmを長手方向とは直角方向に平行に架台に支持させ、コア抜き状の切り込み中央部に鉄製ジグ(直径100mm×高さ100mm)をセットし、先ず、U形ふた中央部の円状の薄肉部(切り込みの最深部とU形ふたのオモテ面との5mm厚部分)が破壊するまで1mm/分の速度で鉄製ジグに載荷する。次に5mm/分の速度で載荷を続け、直径100mmのコア部分で押し抜き試験を行い、その最大荷重を測定すると共に、既存コンクリート下地であるU字ふたと下塗りモルタルと接着状態を目視にて観察した。
評価方法
押し抜き最大荷重:上記押し抜き試験にける、最大荷重が6.0KN以上を○、3.0KN以上6.0KN未満を△、3.0KN未満を×とした。
破壊状況:U形ふたと下塗りモルタルとの層間で剥離破壊が無いものを○とし、下塗りモルタルがU字ふたから剥離破壊したものを×とした。
下塗りモルタルの状態:垂直に保持して試験体を作製する当該作製時において、下塗りモルタルを10mm厚みに塗付後、その状態を保持して、ズレや落下がないものを○とし、ズレや落下が生じたものを×とした。
試験結果のまとめ:実施例1の打ち継ぎ用接着剤組成物は押し抜き最大荷重が6.0KN以上あり、既存コンクリート下地であるU字ふたと下塗りモルタルの層間で剥離が生じることがなく、また、下塗りモルタルがモルタル層間接着組成物に接して塗付してもズレたり落下することが無かった。
既設コンクリート1に打ち継ぎ用接着剤2を塗付し、下塗りとしてモルタル又はポリマー配合モルタル3を塗付し、その表面に補強用網材4を貼り付け後、モルタル層間接着剤5を塗付し、さらにモルタル又はポリマー配合モルタル6を塗付した状態を示す断面状態図である。
符号の説明
1 既設コンクリート
2 打ち継ぎ用接着剤
3 モルタル又はポリマー配合モルタル
4 補強用網材
5 モルタル層間接着剤
6 モルタル又はポリマー配合モルタル

Claims (3)

  1. 既設コンクリート表面に打ち継ぎ用接着剤を塗付し、当該打ち継ぎ用接着剤に接して下塗りとしてモルタル又はポリマー配合モルタルを塗付し、補強用網材を貼り付けた後、補強用網材及び下塗りとして塗付したモルタル又はポリマー配合モルタル表面にモルタル層間接着剤を塗付し、当該モルタル層間接着剤に接して、モルタル又はポリマー配合モルタルを塗付してなる既設コンクリートの改修において、既設コンクリート表面に塗付する打ち継ぎ用接着剤組成物であって、エポキシ樹脂と水分散性ポリアミンエポキシアダクトと水硬性セメントとから成ることを特徴とする打ち継ぎ用接着剤組成物
  2. 前記水分散性ポリアミンエポキシアダクトが、(A)ポリアミンに、ポリアミンの第一アミノ基の10〜50%と反応する量のモノエポキシドと、ポリアミンの残留第一アミノ基の5〜65%と反応する量のポリエポキシドとの混合物を添加反応させて形成した、水相溶性のポリアミン‐エポキシアダクト0.25〜4重量部および(B)第一アミノ基を有するポリアミンとモノエポキシド又はポリエポキシドとの反応によって得られた樹脂相溶性のポリアミン‐エポキシアダクト1重量部とからなり、ポリアミンの残留アミノ基の少なくとも25%がホルムアルデヒドと反応し、ポリアミンは引き続いて酸との反応によって少なくとも部分的に中和されている前記水相溶性のポリアミン‐エポキシアダクトと前記樹脂相溶性ポリアミン‐エポキシアダクトとの混合物であることを特徴とする請求項1記載の打ち継ぎ用接着剤組成物
  3. 既設コンクリート表面に請求項1又は請求項2記載の打ち継ぎ用接着剤組成物を塗付し、当該打ち継ぎ用接着剤組成物に接して下塗りとしてモルタル又はポリマー配合モルタルを塗付し、補強用網材を貼り付けた後、補強用網材及び下塗りとして塗付したモルタル又はポリマー配合モルタル表面にモルタル層間接着剤を塗付し、当該モルタル層間接着剤に接して、モルタル又はポリマー配合モルタルを塗付することを特徴とするコンクリートの改修方法


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