JPH10299266A - 床面の補修方法 - Google Patents

床面の補修方法

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JPH10299266A
JPH10299266A JP11141697A JP11141697A JPH10299266A JP H10299266 A JPH10299266 A JP H10299266A JP 11141697 A JP11141697 A JP 11141697A JP 11141697 A JP11141697 A JP 11141697A JP H10299266 A JPH10299266 A JP H10299266A
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JP
Japan
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resin
floor
floor surface
cement mortar
reinforcing
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JP11141697A
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Junpei Furuya
純平 古家
Takeshi Yamaguchi
武志 山口
Kazue Mizoguchi
和江 溝口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 施工後、短期間で使用を開始でき、しかも十
分なはく離強度を有する仕上層を形成できるとともに、
床面に亀裂があるときはその再発をも確実に防止できる
床面の補修方法を提供する。 【解決手段】 床面の、補修を要する領域に、浸透性の
樹脂溶液と、エポキシ樹脂系の接着剤とを塗布し、次い
で接着剤が完全に硬化する前の状態で、樹脂セメントモ
ルタルを塗り重ねて仕上層を形成する。また床面に亀裂
があるときは、亀裂と交差させて床面に補強筋を埋め込
み、かつ仕上層中に補強網体を埋設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば工場や倉
庫、あるいはこれらの間をつなぐ通路などの、コンクリ
ート製またはモルタル製の床面を補修するための、新規
な補修方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フォークリフトなどの車両の走行する、
工場や倉庫や通路の床面には、亀裂や陥没などの欠陥が
発生しやすい。しかもこれらの欠陥を生じると、・車両
の走行に支障を来したり、あるいは・欠陥の部分で、車
両通過の衝撃などによって細かく砕かれたセメントなど
の塵によって、工場で生産している製品の品質などに影
響がでたりする、といったおそれがある。
【0003】このため、床面に欠陥が発生した場合には
その都度、補修を行う必要がある。コンクリートやモル
タルなどの床面を補修する従来の方法としてはたとえ
ば、 床面の、欠陥が生じた領域をはつり撤去し、鉄筋を
組み換えたのち、新たにコンクリートやモルタルを打ち
直す方法、 上記の領域の上に、コンクリートやセメントモルタ
ルなどのセメント系の仕上層を塗り重ねて欠陥を覆う方
法、 上記の領域の上に、樹脂塗料や樹脂モルタルなどの
仕上層を塗り重ねて欠陥を覆う方法、などがある。
【0004】しかし、上記のうちの方法では、古い床
面の撤去から始まって、打ち直したコンクリートなどの
養生が完了して十分な強度を有するに至るまでにおよそ
2〜3週間を要し、その間、補修した領域を使用できな
いという問題がある。工場などは、ほとんど無休で操業
される場合が多いため、その一部でも上記のように長期
間にわたって使用できないのは重大な問題である。
【0005】一方、の方法においてもやはり、コンク
リートなどの養生、硬化が完了するまで、補修した領域
を長期間にわたって使用できないという問題がある。ま
たの方法では、・仕上層が車両の通過時の衝撃などに
よって浮きやはく離を発生したり、あるいは・下地の亀
裂はそのまま残されるため、それが車両の通過時の荷重
移動などで動くことによって、仕上層に亀裂が再発した
りするといった問題を生じるおそれもある。
【0006】さらにの方法で形成される樹脂の仕上層
は、セメント系の仕上層に比べて強度が十分でないた
め、亀裂の再発や浮き、はく離などをさらに生じやすい
という問題がある。またの方法で使用される樹脂塗料
や樹脂モルタルは、コンクリートなどに比べて高価であ
るため、とくに下地の不陸を表面に出さないように厚塗
りした場合に、施工費用が著しく高くつくという問題も
ある。
【0007】そこで、発明者のうち山口らは先に、コン
クリートまたはモルタルの床面の、補修を要する領域に
水中硬化型のエポキシ樹脂プライマーを塗布し、このプ
ライマーが硬化する前に、その上に特定の組成を有する
樹脂セメントモルタルの仕上層を形成する補修方法を提
案した(特開平1−295967号公報)。かかる補修
方法においては、プライマーと、樹脂セメントモルタル
中に含まれる樹脂とが結合することによって、床面と仕
上層とが、プライマーを介して結合される。このため仕
上層は、従来のものに比べて浮いたりはく離したりしに
くいものとなる。
【0008】また上記の仕上層は、樹脂セメントモルタ
ル中に混和された樹脂エマルションの減水効果によって
水/セメント比の小さい状態となるので、プライマーに
よる補強効果と相まって、ごく短時間の養生により高強
度を有するものとなり、補修した領域を比較的早期に使
用することが可能となる。また床面に亀裂がある場合、
上記の補修方法においては、プライマーを塗布するに先
立って、たとえば金属製の補強網体を、亀裂を跨ぐよう
に床面に固定しているので、仕上層に亀裂が再発するの
をある程度は抑制できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしその後の検討に
より、上記の補修方法で形成される仕上層は、その耐久
性がいまだ十分でないことが明らかとなった。とくに、
普通乗用車などに比べて重量の大きなフォークリフトが
急加減速、急旋回などを繰り返すことの多い工場や倉庫
やその間の通路などの床面において、上記の仕上層では
いまだ満足のゆく結果をえられず、浮きやはく離などを
生じやすいことが判明した。
【0010】この原因は、上記の床面が長期間の使用に
よって風化劣化して、その表層部が脆弱になっているた
めであると考えられる。この風化劣化は、とくに屋外の
通路などの、風雨にさらされる床面において顕著であ
る。床面の、脆弱化した表層部を、たとえばブラスト処
理や機械的な研削などで除去することも考えられる。し
かし工場などの床面は、その過酷な使用条件ゆえに決し
て平滑ではないので、表層部をきれいに除去するのは困
難であり、脆弱化した表層部が少しでも残っていれば、
そこから仕上層の浮きやはく離などが発生する。また上
記の処理には手間と時間がかかるので、工期の短縮とい
う目的にも反することになる。
【0011】また前記のように、亀裂のある床面に補強
網体を固定したのち、その上に仕上層を形成した場合に
は、補強網体の下側、床面との間に樹脂セメントモルタ
ルが十分に充てんされずに空隙を生じ、この空隙の部分
で露出した補強網体が腐食して仕上層のはく離強度を低
下させて、浮きやはく離をさらに促進させるおそれもあ
った。
【0012】さらにまた亀裂の程度によっては、上記の
補強網体のみによる補強では不十分で、たとえば車両の
通過などによる亀裂の再発を確実に防止できない場合の
あることも判明した。本発明の主たる目的は、とくに風
化、劣化してその表層部が脆弱化した床面などに対し
て、施工後、短期間で使用を開始でき、しかも上記表層
部の除去などを必要とせずに、工場などで要求される十
分なはく離強度を有するために浮いたりはく離したりし
ない仕上層を形成できる、新規な床面の補修方法を提供
することにある。また本発明の他の目的は、床面に亀裂
がある場合にその再発を確実に防止できる床面の補修方
法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、本発明の床面の補修方法は、コンクリートまたはモ
ルタルの床面の、補修を要する領域に、当該床面に対し
て浸透性を有する樹脂溶液と、エポキシ樹脂系の接着剤
とをこの順に塗布し、次いで接着剤が完全に硬化する前
の状態で、その上に樹脂セメントモルタルを塗り重ねて
仕上層を形成することを特徴とするものである。
【0014】また床面の、補修を要する領域に亀裂があ
る場合は、樹脂溶液の塗布に先立って、上記亀裂と交差
させて、床面に補強筋を埋め込み、かつ仕上層中に、上
記の領域を覆うように、補強網体を埋設すればよい。上
記構成からなる、本発明の床面の補修方法においては、
床面の、補修を要する領域に浸透した樹脂溶液中の樹脂
が、当該領域の、風化、劣化によって脆弱化した表層部
を補強してその破壊を防止し、またエポキシ樹脂系の接
着剤と結合することによって、接着剤による床面と仕上
層との結合をさらに強化する。
【0015】それゆえ本発明の補修方法によれば、接着
剤と、樹脂セメントモルタル中に含まれる樹脂とが結合
することと相まって、風化、劣化して脆弱化した表層部
の除去などをせずに、たとえば脱脂処理などの簡単な前
処理を行っただけの床面などに、従来のものに比べてさ
らにはく離強度の高い、浮いたりはく離したりしにくい
仕上層を形成することができる。
【0016】また上記の仕上層は、先に述べたように樹
脂セメントモルタル中に混和された樹脂エマルションの
減水効果によって、水/セメント比の小さい状態とな
る。このため仕上層は、上述した樹脂溶液および接着剤
による補強効果と相まって、およそ24〜48時間程度
というごく短時間の養生により高強度を有するものとな
り、補修した領域を比較的早期に使用することが可能と
なる。
【0017】また床面の、補修を要する領域に亀裂があ
る場合には、前記のように床面に埋め込んだ補強筋によ
って、たとえば車両通過時の荷重移動などで亀裂が動く
のを防止できる上、仕上層中に埋め込んだ補強網体によ
って当該仕上層を補強できるため、仕上層への亀裂の再
発をより確実に防止できる。さらに上記の補強網体は、
たとえば樹脂セメントモルタルを塗布して仕上層を形成
する工程の途中で、塗膜上の所定の位置に補強網体を置
き、その上から再び樹脂セメントモルタルを塗布するこ
とにより、仕上層中に、空隙を生じることなく埋設され
る。このため補強網体は腐食を生じるおそれがないの
で、仕上層は、長期間にわたって、はく離強度を高レベ
ルに維持することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明を説明する。本発明
において、コンクリートまたはモルタルの床面の、補修
を要する領域に塗布される、床面に対して浸透性を有す
る樹脂溶液としては、浸透性を有する種々の樹脂溶液
が、いずれも使用可能である。
【0019】ただし、とくにエポキシ樹脂系の接着剤と
の結合による前述した補強効果を考慮すると、当該接着
剤と相溶性を有する樹脂の溶液が好ましい。かかる溶液
としては、たとえば未硬化のエポキシ樹脂またはウレタ
ン樹脂の、有機溶剤溶液あるいは水溶液が好適に使用さ
れる。樹脂溶液の具体例としては、これに限定されない
がたとえば、大同塗料(株)製の含浸プライマー(エポ
キシ樹脂系)などがあげられる。
【0020】樹脂溶液の塗布量は、およそ30〜300
g/m2 程度であるのが好ましい。塗布量が上記の範囲
未満では、前述した、樹脂溶液を塗布する効果が不十分
となって、仕上層のはく離強度が低下するおそれがあ
る。また逆に上記の範囲を超えた場合には、溶液の乾燥
に時間がかかるため、内部に封じ込められた溶剤の影響
や、あるいは乾燥に続いて始まる樹脂の硬化が遅れるこ
とによって、仕上層のはく離強度が低下するおそれがあ
る。また、溶液の乾燥を待って、その上に接着剤と樹脂
セメントモルタルとを塗り重ねたのでは、工期の短縮と
いう目的に反することになってしまう。
【0021】なお樹脂溶液の塗布量は、上記範囲内でも
とくに100〜200g/m2 程度であるのが好まし
く、150g/m2 前後であるのがさらに好ましい。樹
脂溶液を塗布した上に塗布されるエポキシ樹脂系の接着
剤としては、種々のエポキシ樹脂系の接着剤がいずれも
使用可能である。ただし本発明においては、先に塗布す
る樹脂溶液が床面に浸透して、前述したように、当該床
面の風化、劣化した表層部を補強するとともに、接着剤
と床面との結合に寄与するので、接着剤自体は、従来の
プライマーのように浸透性などを考慮しなくてもよく、
その他の特性にすぐれた接着剤を選択的に使用できる。
【0022】かかるエポキシ樹脂系の接着剤としては、
たとえばとくに接着力にすぐれた無溶剤型のエポキシ樹
脂接着剤や、あるいは下地が水分を含んでいても十分な
接着力を発揮できる水溶性のエポキシ樹脂接着剤などが
好適に使用される。エポキシ樹脂系の接着剤の塗布量
は、およそ100〜600g/m2 程度であるのが好ま
しい。
【0023】塗布量が上記の範囲未満では、前述した、
接着剤を塗布する効果が不十分となって、仕上層のはく
離強度が低下するおそれがある。また逆に上記の範囲を
超えた場合には、床面の低所などに溜まった過剰の接着
剤が、次いで塗り重ねられる樹脂セメントモルタルより
も比重が軽いためにその表面に浮き上がって、金こてな
どによる、樹脂セメントモルタルの表面の仕上げを阻害
して、仕上層の外観を悪化させるおそれがある。また、
塗布量が上記の範囲を超えてもそれ以上の接着強度の向
上は期待できないので、過剰の接着剤がむだになって経
済的にも不利である。
【0024】なお接着剤の塗布量は、上記範囲内でもと
くに200〜500g/m2 程度であるのが好ましく、
350g/m2 前後であるのがさらに好ましい。エポキ
シ樹脂系の接着剤は、前述した樹脂溶液を塗布する効果
を高めるために、先に塗布した樹脂溶液中の樹脂が完全
に硬化する前の状態で、その上に塗布するのが好まし
い。
【0025】仕上層は、上記エポキシ樹脂系の接着剤を
塗布した上に、樹脂セメントモルタルを塗り重ねること
によって形成される。樹脂セメントモルタルとしては、
セメントに、混和用の樹脂エマルションと、細骨材と、
水とを少なくとも配合した種々の組成のものが、いずれ
も使用可能である。
【0026】セメントとしては、ポルトランドセメン
ト、早強セメント、超早強セメントなどの通常のセメン
トが使用される。混和用の樹脂エマルションとしては、
たとえばアクリル樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合
体系、スチレン−ブタジエン共重合体系、エポキシ樹脂
系などの、セメントアルカリに対して安定な種々のセメ
ント混和用エマルションが、いずれも好適に使用され
る。
【0027】セメント100重量部に対する樹脂エマル
ションの配合量は、当該エマルション中の固形分(すな
わち樹脂分)の量で表して2〜30重量部であるのが好
ましい。樹脂エマルションの配合量が上記の範囲未満で
は、仕上層が脆くなって、亀裂などを生じやすくなった
り、あるいは10mm以下程度の薄塗りができなくなっ
たりするおそれがある。また逆に上記の範囲を超えた場
合には、仕上層の強度が低下するおそれがある。
【0028】なお樹脂エマルションの配合量は、上記範
囲内でもとくに5〜20重量%であるのが好ましく、1
0重量%前後であるのがさらに好ましい。細骨材として
は、モルタル用として常用される、各種サイズの珪砂な
どが好適に使用される。細骨材の配合量は、セメント1
00重量部に対して50〜250重量部であるのが好ま
しい。
【0029】細骨材の配合量が上記の範囲未満では、モ
ルタルの養生時の収縮が大きくなりすぎるおそれがあ
る。また逆に上記の範囲を超えた場合には、仕上層の強
度が不足するおそれがある上、モルタルを床面に塗り重
ねるなどの作業性を考慮して水の量を設定すると水/セ
メント比が大きくなりすぎ、短時間での強度の発現が困
難になって、補修用として適さなくなるおそれがある。
【0030】なお細骨材の配合量は、上記範囲内でもと
くに100〜200重量%であるのが好ましく、150
重量%前後であるのがさらに好ましい。水は、樹脂エマ
ルション中の水分を考慮して、セメント100重量部に
対する、樹脂エマルション中の水分と、配合する水との
合計量が30〜50重量%となるように、その配合量を
設定するのが好ましい。
【0031】水の合計量が上記の範囲未満では、モルタ
ルを床面に塗り重ねるなどの作業性が悪くなるおそれが
ある。また逆に上記の範囲を超えた場合には、水/セメ
ント比が大きくなりすぎ、短時間での強度の発現が困難
になって、補修用として適さなくなるおそれがある。な
お樹脂エマルション中の水分と、配合する水との合計量
は、上記範囲内でもとくに33〜45重量%であるのが
好ましく、40重量%前後であるのがさらに好ましい。
【0032】樹脂セメントモルタルには、上記の各成分
に加えてさらに、補強用の繊維を配合してもよい。補強
用の繊維を配合すると、仕上層を構成するセメントマト
リクスが、かかる繊維によって補強されるため、仕上層
の曲げ強度、衝撃強度、耐摩耗性などをさらに向上する
ことができる。補強用の繊維としては、たとえば金属繊
維、ガラス繊維、カーボン繊維、合成繊維などがあげら
れる。
【0033】補強用の繊維は、樹脂セメントモルタルの
全量中、0.2〜6体積%の割合となるように配合する
のが好ましい。繊維の配合量が上記の範囲未満では、当
該繊維による補強効果が十分にえられないおそれがあ
る。また逆に上記の範囲を超えた場合には、モルタルを
床面に塗り重ねるなどの作業性が悪くなるおそれがあ
る。
【0034】なお補強用の繊維の配合量は、上記範囲内
でもとくに1.0〜4体積%であるのが好ましく、2体
積%前後であるのがさらに好ましい。上記の各成分を含
む樹脂セメントモルタルにて形成される仕上層の厚みは
とくに限定されず、亀裂や陥没の深さなどに応じて適
宜、変更できるが、上記亀裂や陥没のない領域の厚みは
3mm以上であるのが好ましい。
【0035】仕上層の厚みが上記の範囲未満では、乾燥
が早すぎてセメント本来の強度がえられないため、とく
に屋外において、雨水などの吸水膨脹による強度低下の
影響を受けやすいため、耐久性の点で問題となるおそれ
がある。床面の、補修を要する領域に亀裂がある場合に
は、前記のように亀裂と交差させて、当該床面に補強筋
が埋め込まれる。補強筋としては鉄筋が好適に使用され
る他、硬化性樹脂を、カーボン繊維、ガラス繊維、合成
繊維などで補強した合成筋を使用してもよい。
【0036】補強筋を床面に埋め込むには、亀裂と交差
させて床面に溝を形成し、この溝に補強筋をはめ込んだ
のち、溝に、たとえばエポキシ樹脂系の接着剤や樹脂セ
メントモルタルなどを充てんすればよい。次工程である
樹脂溶液の塗布は、当該補強筋による亀裂部の補強強度
を確保した上で補修箇所の使用を開始するために、溝に
充てんした接着剤やモルタルなどが完全に硬化した後に
行うのが好ましい。
【0037】また仕上層中には、前記のように、補強筋
を埋め込んだ領域を覆うように、補強網体が埋設され
る。補強網体としては、たとえばパンチングメタルラ
ス、溶接金網、エキスパンドメタルラス、カーボンメッ
シュ、ガラスメッシュなどの、網構造を有する種々の補
強網体がいずれも使用可能である。網体を仕上層中に埋
設するには、前述したように樹脂セメントモルタルを塗
布して仕上層を形成する工程の途中で、塗膜上の所定の
位置に補強網体を置き、その上から再び樹脂セメントモ
ルタルを塗布すればよい。
【0038】また床面の、補修を要する領域に陥没があ
る場合にも、上記と同様に仕上層中に、陥没の領域を覆
うように、補強網体を埋設するのが好ましい。
【0039】
【実施例】以下にこの発明を、実施例に基づいて説明す
る。 参考例(樹脂セメントモルタルの製造) 下記の各成分を配合して樹脂セメントモルタルを製造し
た。 (成 分) (配合量) セメント 50kg 砂(4〜7号珪砂) 75kg 樹脂エマルション 10kg ガラス繊維 4kg 水 15kg なお、上記のうち樹脂エマルションとしては、カネボウ
NSC(株)製の商品名「ヨドゾールGF−20」を使
用した。セメント100重量部に対する樹脂エマルショ
ンの配合量は、当該エマルション中の固形分の量に換算
して10重量部であった。
【0040】またガラス繊維としては、旭硝子(株)製
の商品名「ARCS13YE801」を使用した。ガラ
ス繊維は、樹脂セメントモルタルの全量中、2体積%の
割合となるように配合した。さらにセメント100重量
部に対する、樹脂エマルション中の水分と、配合する水
との合計量は40重量部であった。
【0041】実施例 工場建屋の屋外の、3トンフォークリフトが頻繁に通行
するコンクリート製の通路の、亀裂および亀裂を含む陥
没が発生した領域を事前に脱脂洗浄したのち、亀裂と直
交させて、300mm間隔で、幅20mm、深さ20m
m、長さ350mmの溝を形成した。
【0042】つぎに各溝に、長さ300mmの4分異形
鉄筋をそれぞれはめ込んだのち、溝に、無溶剤型のエポ
キシ樹脂接着剤〔コニシ(株)製の商品名「ボンドE2
00」〕を充てんし、硬化させて、鉄筋を埋め込み固定
した。つぎに上記の領域に、樹脂溶液〔前出の大同塗料
(株)製のエポキシ樹脂系含浸プライマー〕を塗布し
た。樹脂溶液の塗布量は、150g/m2 とした。
【0043】つぎに、樹脂溶液中の樹脂が完全に硬化す
る前の状態で、その上に、無溶剤型のエポキシ樹脂接着
剤〔前出のボンドE200〕を塗布した。エポキシ樹脂
接着剤の塗布量は、350g/m2 とした。つぎに、エ
ポキシ樹脂接着剤がべたつきのある完全に硬化する前の
状態で、その上に、前記参考例で製造した樹脂セメント
モルタルを、金こてを用いて、陥没のない領域の厚みが
15mmで、かつ陥没部の最大厚みが70mmとなるよ
うに塗り重ねた。
【0044】また亀裂の直上部の領域には、樹脂セメン
トモルタルの塗り重ねの途中で、塗膜上に幅300m
m、長さ900mmの補強網体〔小川商店(株)製のエ
キスパンドメタル1.2A〕を置き、その上から再び樹
脂セメントモルタルを塗布することによって、上記の補
強網体を埋め込んだ。そして、樹脂セメントモルタルの
層の表面全体を金こてで押さえて平滑に仕上げたのち3
6時間、養生させて仕上層を形成し、補修を完了した。
【0045】上記の養生時間が経過して補修が完了した
通路を、その直後から、3トンフォークリフトの通行を
含めて使用を開始して3か月間、状況を観察したとこ
ろ、仕上層に、亀裂の再発や浮き、はく離などは一切み
られず、良好な状態を維持できた。そこでつぎに、仕上
層の、補強網体を埋設した領域内の、施工前にあった亀
裂から3cm離れた5か所の位置と、それ以外の、補強
網体を埋設していない領域内の5か所の位置において、
それぞれ以下に記す引っ張り破断強度試験を行った。 (引っ張り破断強度試験)測定箇所の仕上層に、ダイヤ
モンドカッターを用いて、下地のコンクリートに達する
4cm角の切込みを入れたのち、切込みで囲まれた4c
m角の領域の、仕上層の表面に、同寸法の金属製アタッ
チメントを、エポキシ樹脂接着剤を用いて接着した。
【0046】つぎに、接着剤が硬化した状態で、建研式
接着試験機を用いて、上記金属製アタッチメントを鉛直
方向上方に引っ張って、仕上層の引っ張り破断強度を測
定した。その結果、仕上層の単位面積あたりの引っ張り
破断強度は、いずれの箇所においても22〜24kg/
cm2 と安定していることが確認された。
【0047】また破断状況を観察したところ、いずれの
試料も、仕上層の下面に、下地のコンクリートが、砕石
を含む厚い層状に付着しており、破断が、コンクリート
内部での破断であることがわかった。さらに試験後、各
試料のうち補強網体が埋設された試料を観察したとこ
ろ、仕上層の厚み方向の中央部に埋設された補強網体
は、腐食のない、埋設したときと同じ状態を維持してい
ることが確認された。
【0048】比較例 実施例の補修を行ったのと同じ通路の、同程度の亀裂お
よび亀裂を含む陥没が発生した領域を事前に脱脂洗浄し
たのち、幅300mm、長さ900mmの補強網体〔小
川商店(株)製のエキスパンドメタル1.2A〕を、ス
テンレス製のアンカーボルトを使用して、亀裂を跨ぐよ
うに床面に固定した。アンカーボルトによる固定は、補
強網体の周囲6か所に行った。
【0049】つぎに上記の領域に、水中硬化型のエポキ
シ樹脂プライマー〔住友化学工業(株)製、主剤:スミ
エポキシELA−115、硬化剤:スミキュアーML−
2〕を塗布した。樹脂溶液の塗布量は、400g/m2
とした。つぎに、プライマーが完全に硬化する前の状態
で、その上に、前記参考例で製造した樹脂セメントモル
タルを、金こてを用いて、陥没のない領域の厚みが15
mmで、かつ陥没部の最大厚みが70mmとなるように
塗り重ねた。
【0050】そして、樹脂セメントモルタルの層の表面
全体を金こてで押さえて平滑に仕上げたのち36時間、
養生させて仕上層を形成し、補修を完了した。上記の養
生時間が経過して補修が完了した通路を、その直後か
ら、3トンフォークリフトの通行を含めて使用を開始し
て状況を観察したところ、使用開始から1か月、経過し
た時点での叩き音検査の結果、仕上層の、亀裂の直上の
部分に、幅約10cm、長さ約20cmにわたって浮き
が発生しているのが確認された。またこの浮きが発生し
た仕上げ層の表面には、長さ約10cmにわたるヘアー
クラックが確認された。
【0051】さらに3か月後に同様の観察を行ったとこ
ろ、浮きの領域は約20cm、長さ約60cmまで拡大
しており、ヘアークラックの長さも約60cmに成長し
ていた。そこでつぎに、仕上層の、補強網体を埋設した
領域内で、かつ上記の浮きが発生していない5か所の位
置と、それ以外の、補強網体を埋設していない領域内の
5か所の位置において、それぞれ実施例と同様に引っ張
り破断強度試験を行った。
【0052】その結果、後者の、補強網体を埋設してい
ない領域の引っ張り破断強度は5〜12kg/cm2
あって、実施例に比べて全体的に強度が低くなってお
り、しかもその強度に大きなばらつきのあることが確認
された。また前者の、補強網体を埋設した領域のうち浮
きのない箇所での引っ張り破断強度は3〜9kg/cm
2 であって、強度がさらに低くなっており、しかもばら
つきも大きいことがわかった。
【0053】また破断状況を観察したところ、いずれの
試料も、コンクリートと接着剤との界面でのはく離であ
った。さらに試験後、各試料のうち補強網体が埋設され
た試料を観察したところ、仕上層の厚み方向の最下部に
位置した補強網体のとくに下面の、プライマーやモルタ
ルの充てんが不十分で露出した表面に、赤さびが発生し
ているのが観察された。
【0054】さらにまた、仕上層のうち前記のように浮
きが発生した部分を切断して観察したところ、補強網体
の下面にはプライマーやモルタルが全く充てんされてお
らず、露出した補強網体はその全面に赤さびが発生し、
しかもその一部が黒さびに進行して、鉄内部まで腐食し
ているのが認められた。
【0055】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
施工後、短期間で使用を開始でき、しかも工場などの床
面に要求される十分なはく離強度を有する仕上層を形成
できるとともに、床面に亀裂がある場合にはその再発を
も確実に防止できる、新規な床面の補修方法を提供しう
るという特有の作用効果を奏する。
フロントページの続き (72)発明者 山口 武志 大阪府寝屋川市三井が丘5丁目1番89− 102 (72)発明者 溝口 和江 兵庫県尼崎市塚口町1丁目6番地の14

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンクリートまたはモルタルの床面の、補
    修を要する領域に、当該床面に対して浸透性を有する樹
    脂溶液と、エポキシ樹脂系の接着剤とをこの順に塗布
    し、次いで接着剤が完全に硬化する前の状態で、その上
    に樹脂セメントモルタルを塗り重ねて仕上層を形成する
    ことを特徴とする床面の補修方法。
  2. 【請求項2】樹脂溶液の塗布に先立って、補修を要する
    領域に生じた亀裂と交差させて、床面に補強筋を埋め込
    み、かつ仕上層中に、上記の領域を覆うように、補強網
    体を埋設する請求項1記載の床面の補修方法。
  3. 【請求項3】樹脂セメントモルタルを塗布して仕上層を
    形成する工程の途中で、塗膜上の所定の位置に補強網体
    を置き、その上から再び樹脂セメントモルタルを塗布す
    ることにより、仕上層中に補強網体を埋設する請求項2
    記載の床面の補修方法。
  4. 【請求項4】床面に対して浸透性を有する樹脂溶液が、
    未硬化のエポキシ樹脂またはウレタン樹脂の溶液である
    請求項1記載の床面の補修方法。
  5. 【請求項5】エポキシ樹脂系の接着剤が、無溶剤型また
    は水溶性のエポキシ樹脂接着剤である請求項1記載の床
    面の補修方法。
  6. 【請求項6】樹脂セメントモルタルが、混和用の樹脂エ
    マルションを、セメント100重量部に対して、当該エ
    マルション中の固形分の量で表して2〜30重量部の割
    合で配合したものである請求項1記載の床面の補修方
    法。
  7. 【請求項7】樹脂セメントモルタルが、補強用の繊維
    を、その全量中、0.2〜6体積%の割合となるように
    配合したものである請求項1記載の床面の補修方法。
  8. 【請求項8】補強用の繊維が、金属繊維、ガラス繊維、
    カーボン繊維、および合成繊維からなる群より選ばれた
    少なくとも一種である請求項7記載の床面の補修方法。
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