JP4757420B2 - ボックスカルバートトンネルの脱着型応力開放装置並びに該装置のボックスカルバートトンネルへの取付け施工方法 - Google Patents

ボックスカルバートトンネルの脱着型応力開放装置並びに該装置のボックスカルバートトンネルへの取付け施工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、地下鉄道トンネル等の地下に埋設されるボックスカルバート形式の地中構造物に対する耐震対策技術に関し、更に詳しくは、中柱あるいは隔壁等の中間鉛直部材を有するボックスカルバート形式の地中埋設構造物において、その中間鉛直部材に配される応力開放装置並びにその装置の取付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地下に埋設されるボックスカルバート形式の地中構造物として、例えば地下鉄道のトンネル並びにその地下駅舎等があるが、当該地中構造物の構成部材である中柱あるいは隔壁等の中間鉛直部材に応力開放装置を配し、地震により生じる中間鉛直部材への応力集中を開放して耐震をなす耐震対策技術は公知である。
本出願人らも先に、特開平11−336371号公報( 以下「 先行発明」 という) をもって「 ボックスカルバートトンネルの応力開放装置並びにボックスカルバートトンネルの耐震構造」 を提案した。
すなわち、この先行発明は、以下の構成を採る。
1)横断面形状において四角枠体をなすラーメン構造の地中構造物において、当該四角枠体の中間部に幅方向に1列又は複数列の鉛直荷重を負担する中間鉛直部材が配され、その中間鉛直部材に介装されるとともに当該地中構造物の変形に伴う応力を開放する装置であって、
当該装置が介装される当該地中構造物の上位部分に定着され、その下面が平滑とされた上沓、
前記上沓と対置され、当該装置が介装される当該地中構造物の下位部分に定着される下沓、
前記上沓と前記下沓との間に介装されるとともに、上下の鋼板によりゴム層を挟着した基層の上面にすべり板を配してなり、前記基層を下沓に固定され、前記すべり板を上沓のすべり面に当接して配される中間沓、
からなることを特徴とするボックスカルバート形式の地中構造物に配される応力開放装置。
2)横断面形状において四角枠体をなすラーメン構造の地中構造物において、当該四角枠体の中間部に幅方向に1列又は複数列の鉛直荷重を負担する中間鉛直部材が配され、該中間鉛直部材は当該地中構造物の変形に伴う応力を開放する応力開放装置を介して前記四角枠体とはすべり自在に関係付けられてなり、
前記応力開放装置は、当該中間鉛直部材の柱頭部位に配され、平面状の相対接するすべり面を有するとともに、当該応力開放装置が設置される部位における回転変位を許容し、前記すべり面相互が常時密接状態を保持するに足る可及的薄い厚みの弾性層を有する、
ことを特徴とするボックスカルバート形式の地中構造物の耐震構造。
3)横断面形状において四角枠体をなすラーメン構造の地中構造物において、当該四角枠体の中間部に幅方向に1列又は複数列の鉛直荷重を負担する中間鉛直部材が配され、該中間鉛直部材は当該地中構造物の変形に伴う応力を開放する応力開放装置を介して前記四角枠体とはすべり自在に関係付けられてなり、
前記応力開放装置は、当該中間鉛直部材の柱頭部位に配されるとともに、当該応力開放装置が介装される当該構造物の上位部分に定着され、その下面が平滑とされた上沓;前記上沓と対置され、当該応力開放装置が介装される当該構造物の下位部分に定着される下沓;前記上沓と下沓との間に介装されるとともに、上下の鋼板によりゴム層を挟着した基層の上面にすべり板を配してなり、前記基層を下沓に固定され、前記すべり板を上沓のすべり面に当接して配される中間沓;からなる、
ことを特徴とするボックスカルバート形式の地中構造物の耐震構造。
【0003】
そして、この先行発明によれば、常時において、地中構造物に負荷される鉛直荷重は、一部は側壁部に伝達され、他の一部は本応力開放装置を介して中間鉛直部材に伝達される。本応力開放装置において、中間沓を構成するすべり板及び基層は高荷重性を示すものであって、しかも基層は可及的薄く、長期載荷に伴う有害なクリープ現象を生じさせない。地震時において、地中構造物に過大な地震力が作用すると、地中構造物の枠構造によって許容された変形をもって地震力に対抗する。中間鉛直部材においては、枠構造との間に介装された応力開放装置をもってその水平変形は上沓と中間沓とのすべりにより逃がされ、同時に曲げ変形成分は中間沓の弾性により逃がされる。中間鉛直部材は鉛直状態を保持し、所定の荷重支持機能を保持する。
しかしながら、この先行発明においては、構造物の築造とともに設置されることを前提とし、既設の当該構造物への適用、すなわち改造工事に付いては格別の配慮はなされていない。
更には、径年経過による当該応力開放装置の保守点検が必要となるが、その際の当該応力開放装置の構成部材の取外し、該点検による構成部材の保守・取替え(例えば劣化したゴム層の取替え)をなすことができず、先行発明の隘路となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、上記先行発明を更に発展させ、既設の構造物での取替えをなし得、更に既設の構造物への設置をなし得るこの種の応力開放装置いわゆる脱着型応力開放装置を得ることを目的をする。
更には、当該脱着型応力開放装置を含めて、その取付け施工方法を提供することを他の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、以下の構成を採る。
すなわち、本発明の第1番目の発明(第1発明)はボックスカルバート形式の地中構造物に配される応力開放装置に係り、横断面形状において四角枠体をなすラーメン構造の地中構造物において、当該四角枠体の中間部に幅方向に1列又は複数列の鉛直荷重を負担する中間鉛直部材が配され、その中間鉛直部材に介装されるとともに当該地中構造物の変形に伴う応力を開放する装置であって、
当該装置が介装される当該中間鉛直部材の上位部分に対して着脱可能であるとともにその下面が平滑とされた上沓と;
前記上沓と対置され、当該装置が介装される当該中間鉛直部材の下位部分に定置される下沓と;
前記上沓と下沓との間に介装され、上下の鋼板によりゴム体を挟着した積層ゴム体の上部鋼板上にすべり板を固着してなる中間沓と;
前記下沓の外周に取り付けられて下方に延設され、該中間鉛直部材の下位部分の外周を囲繞するとともに該中間鉛直部材の下位部分に対して該下沓を着脱可能に固定する囲枠体と;
からなることを特徴とする。
本発明は鋼製地下構造物あるいはコンクリート製地下構造物のいずれにも適用される。
上記構成において、
(1) 上沓は、当該装置が介装される中間鉛直部材の上位部分に定着される上部分と、該上部分に対して着脱可能であるとともにその下面が平滑とされた下部分とよりなる、上下に2分割体よりなること、
(2) 囲枠体は中間鉛直部材の下位部分の外周に密着されること、
(3) 囲枠体は中間鉛直部材の下位部分の外周に間隙を存して配され、その間隙部に接着性充填材を充填すること、
(4) 囲枠体は上記(2)(3)に係わらず、中間鉛直部材の下位部分を剛性をもって拘束するべく取り付けられること、更には所定の十分な長さを有すること、
は適宜採択される選択的事項である。
更にまた、
(5) すべり板はPTFEを主材として形成される態様、
(6) 上沓の下面には中間沓のすべり板の相手材としてステンレス鋼板が取着されてなる態様、
(7) 中間沓は、上下鋼板の間に更に中間鋼板が配されてなる態様、
(8) すべり板は中間沓の上部鋼板に直接取り付けられる態様、あるいは薄いゴム板を介して取り付けられる態様、
(9) 中間沓自体の加硫成形、あるいは中間沓と下沓との加硫成形を採る態様、
(10)中間沓を下沓の凹部に嵌め込む態様、
もそれぞれ選択的事項である。
【0006】
本発明の第2番目の発明(第2発明)はボックスカルバート形式の地中構造物への応力開放装置の取付け施工方法に関し、横断面形状において四角枠体をなすラーメン構造の地中構造物において、当該四角枠体の中間部に幅方向に1列又は複数列の鉛直荷重を負担する中間鉛直部材が配され、その中間鉛直部材に介装されるとともに当該地中構造物の変形に伴う応力を開放する装置の取付け方法であって、
当該装置が介装される当該中間鉛直部材の上位部分に対して着脱可能であるとともにその下面が平滑とされた上沓と;前記上沓と対置され、当該装置が介装される当該中間鉛直部材の下位部分に定置されるとともにその下面が平滑とされた下沓と;前記上沓と下沓との間に介装され、上下の鋼板によりゴム体を挟着した積層ゴム体の上部鋼板上にすべり板を固着してなる中間沓と;からなる応力開放装置を使用し、
当該中間鉛直部材の下位部分の柱頭部の上面を平坦に整形し、
前記中間鉛直部材の上位部分と下位部分との間の空間に、上記応力開放装置を挿入し、
前記上沓を前記中間鉛直部材の上位部分に取付け固定するとともに、前記下沓に着脱可能に取り付けられ前記中間鉛直部材の下位部分に対して該下沓を着脱可能に固定する囲枠体を該下沓に対して固定する、
ことを特徴とする。
【0007】
本発明の第3番目の発明(第3発明)は他のボックスカルバート形式の地中構造物への応力開放装置の取付け施工方法に関し、横断面形状において四角枠体をなすラーメン構造の地中構造物において、当該四角枠体の中間部に幅方向に1列又は複数列の鉛直荷重を負担する中間鉛直部材が配され、その中間鉛直部材に介装されるとともに当該地中構造物の変形に伴う応力を開放する装置の取付け方法であって、
当該装置が介装される当該中間鉛直部材の上位部分に対して着脱可能であるとともにその下面が平滑とされた上沓と;前記上沓と対置され、当該装置が介装される当該中間鉛直部材の下位部分に定置される下沓と;前記上沓と下沓との間に介装され、上下の鋼板によりゴム体を挟着した積層ゴム体の上部鋼板上にすべり板を固着してなる中間沓と;前記下沓の外周に取り付けられて下方に延設され、該中間鉛直部材の下位部分の外周に嵌合状に囲繞する囲枠体と;からなる応力開放装置を使用し、
当該中間鉛直部材を所定間隔を保って切断し、
当該中間鉛直部材の下位部分の柱頭部の上面を平坦に整形し、
前記中間鉛直部材の上位部分と下位部分との空間に上沓と中間沓と下沓との組立て体よりなる応力開放装置を挿入し、
上沓を当該中間鉛直部材の上位部分に取り付けるとともに、下沓並びに中間鉛直部材の下位部分の外周を囲んで囲枠体を取り付ける、
ことを特徴とする。
【0008】
本発明は以下の実施形態により詳細に開示されるが、以下の実施形態においては更に次の発明を包含するものである。
すなわち、第4番目の発明(第4発明)は、第1発明の応力開放装置の既設地中構造物への取付け・取外し方法であって、当該応力開放装置を設置した地中構造物において、
上沓と中間鉛直部材の上位部分との固定を解除するとともに、下沓に取り付けられている囲枠体を取り去り、
しかる後、その余の応力開放装置を引く抜き、
次いで、新規の囲枠体を取り外した応力開放装置を上記空隙部分に挿入し、しかる後、該新規の応力開放装置を中間鉛直部材の上位部分に固定するとともに、囲枠体を下沓に取り付ける、
ことを特徴とする。
本発明の第5番目の発明(第5発明)は第1発明の応力開放装置の他の既設地中構造物への取付け方法であって、
当該装置が介装される当該地中構造物の上位部分に定着される上部分と、該上部分に対して取付け自在であるとともにその下面が平滑とされた下部分とよりなる、上下に2分割体の上沓と;前記上沓と対置され、当該装置が介装される当該地中構造物の下位部分に定置されるとともにその下面が平滑とされた下沓と;前記上沓と下沓との間に介装され、上下の鋼板によりゴム体を挟着した積層ゴム体の上部鋼板上にすべり板を固着してなる中間沓と;前記下沓の外周に取り付けられて下方に延設され、該地中構造物の下位部分の外周に嵌合状に囲繞する囲枠体と;からなる応力開放装置を使用し、
当該中間鉛直部材を所定間隔を保って切断し、
前記上沓の上部分を当該中間鉛直部材の上位部分に取り付けるとともに、該中間鉛直部材の下位部分の柱頭部の上面を平坦に整形し、該柱頭部に下沓と囲枠体との組付け体を被嵌し、
前記中間鉛直部材の上位部分と下位部分の間に上沓の下部分と中間沓との組立て体よりなる応力開放装置を挿入し、
上沓の下部分を上沓の上部分に取付け固定するとともに、囲枠体と柱頭部及び中間鉛直部材の下位部分との間隙部に充填材を充填してなる、
ことを特徴とする。
【0009】
(作用)
既設のボックスカルバート形式の地中構造物に設置された応力開放装置は次の所期の作用を発揮する。
常時において、地中構造物に負荷される鉛直荷重は、一部は側壁部に伝達され、他の一部は本応力開放装置を介して中間鉛直部材に伝達される。
本応力開放装置において、中間沓を構成するすべり板及び積層ゴム体は高荷重性を示すものであって、しかも積層ゴム体は可及的薄く、長期載荷に伴う有害なクリープ現象を生じさせない。
地震時において、地中構造物に過大な地震力が作用すると、地中構造物の枠構造によって許容された変形をもって地震力に対抗する。中間鉛直部材においては、枠構造との間に介装された応力開放装置をもってその水平変形は上沓と中間沓とのすべりにより逃がされ、同時に曲げ変形成分は中間沓の弾性により逃がされる。中間鉛直部材は鉛直状態を保持し、所定の荷重支持機能を保持する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のボックスカルバートトンネルにおける脱着型応力開放装置並びに該装置のボックスカルバートトンネルへの取付け施工方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図7はその一実施形態のボックスカルバートにおける脱着型応力開放装置Sを示す。すなわち、図1及び図2はその全体構成を示し、図3〜図7はその部分構成を示す。なお、図において、Xは本装置Sの設置されるボックスカルバートトンネルの長手方向を示し、YはXに直交する平面方向を示す。
【0011】
本脱着型応力開放装置Sは、上部の構造体に定着されるとともにその下面が平滑とされた上下に2分割体(上部分1A,下部分1B)よりなる上沓1と;上記上沓1と対置され、下部の構造体に定置されるとともにその上面が平滑とされた下沓2と;上沓1と下沓2との間に介装され、上下の鋼板によりゴム体を挟着した積層ゴム体の上部鋼板上にすべり板3を固着してなる弾性すべり中間沓4と;前記下沓2の外周に取り付けれる囲枠体5と;の主体部からなり、更には、上沓1の上部分1Aに固着されるアンカー鋼材6を含む。
しかして、この応力開放装置Sは平面的に矩形状をなし、その辺部は前記したX軸あるいはY軸に一致するが、通常はその長辺部がX軸に一致し、短辺部がY軸に一致する。
【0012】
以下、各部の細部構造を説明する。
上沓1
上沓1は、鋼製の上部分1Aと下部分1Bとの2分割体よりなり、それらは取付けボルト10をもって一体に組み付けられる。すなわち、下部分1Bの外縁部に沿って複数のボルト挿通孔11が所定間隔を保って開設され、上部分1Aには前記ボルト挿通孔11に対応してねじ孔12が螺設され、これらの孔11,12に下部分1Bから装入された取付けボルト10を回動締め込んで一体となす。
上部分1Aの上面には複数本のアンカー鋼材6が所定間隔を保って溶接固定、或いはねじ込み手段をもって植設される。
また、下部分1Bの下面1aは平滑に仕上げられ、コーティングが施される。本実施形態では、その下面に滑り面ABコートが施されたステンレス製の薄平板の介装板14を下部分1Bに溶接固定する態様を採る。介装板14のすべり板3に当接する面は極めてなめらかに形成される。ステンレス鋼板以外では、鋼板に硬質クロムメッキを施したものであっても、あるいはポリアミドのコーティングを施したものであってもよい。
なお、この介装板14は省略されうるが、その場合には、上沓1の下面にコーティングが施され、平滑面とされる。
【0013】
下沓2
下沓2は、矩形平板状の厚鋼板よりなり、上沓1に対置して設けられ、上沓1よりも幅狭で同一長さを採り、下部の構造体と実質的に同一平面を採る。下沓2の上面及び下面は平面をもって平滑面とされる。上面はまた、浅い凹陥部が形成され、中間沓4を受け入れる構成を採ることができる。
該下沓2は長手方向の長さにおいて上沓1と同一長さを採るが、幅においては上沓1に余裕長さ、すなわち上沓1の許容されるすべり移動長さを存して配される長さを採る。
この下沓2の四周の側面に囲枠体4が取り付けられる。
【0014】
すべり板3・中間沓4
中間沓4は、長手方向に長い長方形状にして丈高の低い平板体をなし、下沓2の上面に載置される。該中間沓3は、上部鋼板16と下部鋼板17との間に内部鋼板18を挟み込んだゴム層19を挟着一体化してなる積層ゴム体よりなる。
上部鋼板16の凹部20にはすべり板3が嵌合固定される。
そして、本実施形態では、上記下沓2とこの中間沓4とはゴム材を介して加硫成形をもって一体成形される。
図5の中間沓4の拡大された断面構造に基づいてその詳細構造を説明する。
上部鋼板16と下部鋼板17とは厚鋼板よりなり、両鋼板16,17の間に内部鋼板18を挟み込んだゴム層19を挟着一体化される。ゴム層19の総厚は当該ボックスカルバートの曲げ変形を許容する最小厚さをもって、可及的薄く設定されるものであって、10mm程度を目安とされる。上下部鋼板16,17・内部鋼板18とゴム層19とは加硫成形を施し加硫接着をもって一体的に固着される。この積層ゴム体は、ボックスカルバートの地震時における曲げ変形を許容するとともに、鉛直荷重を支持する。
【0015】
(すべり板3)
当該中間沓4の上部鋼板16に形成された凹部20にすべり板3が嵌合固着される。すべり板3の上面は積層ゴム体の上面よりわずかに突出する。
すべり板3は、合成樹脂材として四フッ化エチレン樹脂(ポリ・テトラ・フルオロ・エチレン、以下「PTFE」と略記する。)を主材料とし、耐摩耗性及び機械的強度を向上させるためガラス繊維、黒鉛等の充填材を配合した摩擦係数の小さい素材より平板体に形成される。この材料素材により摩擦係数は0.05程度の極めて小さな値を示す。更に、このすべり板5は耐高荷重性を示すとともに、わずかな弾性を持つ。
すべり板3は好ましくはオイレス工業株式会社製のグライト板(商品名)が適用されるが、これと同等のものを除外するものではない。
【0016】
囲枠体5
囲枠体5は、長手(X)方向(線路方向)に配される厚肉の板材5Aと、短(Y)方向(線路直角方向)に配される薄肉の板材5Bとからなり、これらは共に取付けボルト22をもって下沓2に取り付けられる。すなわち、板材5A,5Bにボルト挿通孔23が各板の上縁部に複数箇所にわたって開設され、下沓2の側辺には前記ボルト挿通孔23に対応してねじ孔24が螺設され、これらの孔23,24に取付けボルト22を回動締め込んで一体となす。なお更に、両板材5A,5Bはそれらの端部において、板材5Bから板材5Aへ向けて螺装される固定ボルト25をもって固定される。これにより、囲枠体5は剛性を発揮する。
囲枠体5は十分に長い丈高を有し、その上面は下沓2の上面と面一をなし、下方は下部の構造体に被さる。
【0017】
前記した中間沓4は、囲枠体5に取付けボルト27をもって固定されるストッパ部材28によって拘束される。すなわち、ストッパ部材28は所定厚の長方形状の平板をなし、ボルト挿通孔29が複数箇所にわたって開設され、囲枠体5の板材5Aの上辺には前記ボルト挿通孔29に対応してねじ孔30が螺設され、これらの孔29,30に取付けボルト27を回動締め込んで固定する。
ストッパ部材28は中間沓4の圧縮作用によるゴム体の膨れを拘束する。
ストッパ部材28は本実施形態では、薄板状をなすが、更に肉厚状とされてもよく、この場合において取付けボルト27の上面が構造物の変形による上沓1の傾斜に伴い、該上沓1の下面に触れないことが肝要である。
【0018】
叙上の実施形態では、囲枠体5は十分に長い丈高を有し、その上面を下沓2の上面と面一をなすものであるが、更に丈高を長くし、かつその上面を下沓2の上面より上方に突出する態様を採り得る。この場合、その突出長さをわずかとする、すなわちストッパ部材28に相当する厚さとするか、あるいは又、更に長くしてその上面が上沓1の下面に触れないまでの長さとし得る。本態様においては、ストッパ部材28は省略され、中間沓4の平面積をこのストッパ28に接触するまで拡大される。換言すれば、中間沓4の平面積を下沓2の面積一杯に拡大できる。これにより、中間沓4の応力負担が軽減され、応力的に余裕ができる。
【0019】
図4は本脱着型応力開放装置Sの組立ての態様を示す。
これによれば、上沓1の下部分1Bには介装板14が固定され、下部分1Bは上部分1Aに対して取付けボルト10をもって固定される。中間沓4の上面の凹陥部20にはすべり板3が嵌合固定され、中間沓4は下沓2に固着(加硫接着)される。囲壁体5は下沓2の側面に取付けボルト22をもって固定される。そして、上沓1と下沓2・中間沓3とはすべり面を介して中心を一致して配され、これにより、上沓1と下沓2・中間沓3とはY方向の両側において等距離を存して対置する。
【0020】
因みに、この応力開放装置Sの諸元の一例を示す。上沓1に付いてはその長さL1070mm、幅B760mm、本体部分の厚さ32mm(上部分16mm、下部分16mm)、アンカー部材6の長さ150mmを採る。下沓2に付いてはその幅b420mm、本体部の厚さ32mmを採る。また、中間沓4に付いてはその幅400mm、長さ1020mm、丈高54.5mm、すべり板3に付いては厚さ2mmを採る。中間沓4の上鋼板16の厚さ16mm、下鋼板17の厚さ12mm、内部鋼板18の厚さ4.5mm、ゴム層19の厚さ(1層当たり)1.1mmを採る。囲枠体5に付いては、厚肉体5Aの厚さ22mm、薄肉体5Bの厚さ6mm、高さ100mmを採る。
【0021】
設置施工
次に、本脱着型応力開放装置Sの地中構造物Kへの設置方法の一態様を示す。
図8・図9は本脱着型応力開放装置Sが設置される地中構造物Kの全体構造を示す。図9において、A部分は未だ本脱着型応力開放装置Sの設置されていない状態(工事前)、B部分は本脱着型応力開放装置Sの設置された状態(工事後)を示す。
この地中構造物Kは、横断面形状において、床スラブ32と、該床スラブ32の両側より立ち上がる側壁部33と、該側壁部33の上端部を繋ぐ天井スラブ34とが剛結されたいわゆるラーメン構造を採り、鉄筋コンクリート(RC)造をもって長手方向(線路方向)に長く一体的に形成されてなる。更に、この躯体部の中間部にRC造の中柱35が長手方向に一列に、かつ所定間隔を保って鉛直荷重を支持すべく、天井スラブ34と床スラブ32との間にハンチ部分35aを介して設置される。
この地中構造物Kは、例えば地下鉄の駅舎として使用され、地表面まで数メートルから10数メートルの浅い土被りが存する。
そして、本脱着型応力開放装置Sはこの地中構造物Kの中柱35の上部に介装設置される。すなわち、本実施形態においては、中柱35の上端面を天井スラブ34に連なるハンチ部分35aの下面に一定すき間を存して配し、このすき間内に本応力開放装置Sが介装設置される。
【0022】
以下、本脱着型応力開放装置Sの設置要領を工程順に説明する。
図10・図11はその一工程の状態を示す。本実施形態においては新設構造物の構築途中における本脱着型応力開放装置Sの設置に付いて述べるが、既設構造物に付いてもこれに準じる。本態様ではコンクリート製の地中構造物Kへの適用例を示す。
【0023】
(1) 地中構造物Kの構築過程において、本脱着型応力開放装置Sの設置をなす中柱35の近傍において、型枠用支保工37を設置し、全体的な変形を防止しつつ先ず中柱35を構築する(図10参照)。
【0024】
(2) 中柱35が所定の強度を発現するようになると、この中柱35の上面35aに無収縮モルタルをもって柱頭部39を継ぎ足し、該柱頭部39の上面39aを水準かつ平滑面に形成する(図11参照)。
該柱頭部39の新設は、中柱35の上端部が所定の高さを有し、更には十分な水準度かつ平滑性を保持するものであれば省略されうる。
【0025】
(3) 次いで、この柱頭部39の上面39aに囲枠体5を取り外した本脱着型応力開放装置S、すなわち上沓1の上部分1A・下部分1B・すべり板3・中間沓4・下沓2の組立て体を中心を保持して載置する。すなわち、中柱35の中心と本脱着型応力開放装置Sの中心を一致させる。このとき、本脱着型応力開放装置Sはすべり板3を介して滑動しないように仮固定される。
【0026】
(4) この状態で囲枠体5を下沓2の回りにそのボルト孔23,24に取付けボルト22を回動締め付けて取り付ける。囲枠体5は柱頭部39の側面並びに中柱35の側面に対して作業上から若干の公差が許容され、僅かの間隔(本実施例では2mm)を保持する。
そして、この間隙部に充填材40が注入充填される。充填材40は固結して両部材を接合するとともに、所要の強度を発現して目詰め材として機能するものであって、例えばエポキシ樹脂が用いられるが、その他の接着性の合成樹脂材を除外するものではない。充填材40は所定の強度を発揮して中柱35と囲枠体5とを一体化し、本装置Sは強固に中柱35に定着される。
そして又、下沓2の縁部には囲枠体5のねじ孔30を利用してストッパ部材28が固定ボルト27をもって固定され、中間沓4の移動を拘束する。
【0027】
(5) しかる後、天井スラブ34に連設するハンチ部分35aを含めて、コンクリートを打設して天井スラブ34を構築し、全体として地下構造物Kを完成する。
【0028】
本態様ではコンクリート製の地中構造物Kに付いて述べたが、鋼製の地中構造物を除外するものではなく、この場合には上沓1の上部分1Aのアンカー部材6は勿論、該上部分1A本体も省略されうる。すなわち、下部分1Bが上沓1の本体とみなしえるものであり、該上沓1の本体を鋼構造物の本体に取付けボルトにより固定するものである。
【0029】
この脱着型応力開放装置Sの取替えは次のようになされる。すなわち、本脱着型応力開放装置Sの積層ゴム体の設計変更あるいは劣化により取替えの必要が生じたとき、次の手順により取替え工事がなされる。
(6) 本脱着型応力開放装置Sの取替えをなす中柱35の近傍において、支保工37を設置する(図10参照)。
次いで、上沓1の上部分1Aと下部分1Bとの固定をなす取付けボルト10を緩めそれらの固定を解除するとともに、下沓2に取り付けられている囲枠体5をその取付けボルト22を緩めて取り外す。このとき、囲枠体5が単に中柱35に密着状態であるときは容易に取り外されることは勿論であるが、該囲枠体5が充填材40により固着している場合にも、所要の引き離し力により取り外されるものである。
更にまた、ストッパ部材28も取り外される。
(7) しかる後、その余の応力開放装置S(上沓の下部分1B、中間沓4、下沓2)を引く抜く。
(8) 次いで、新規の上沓1の上部分1A及び囲枠体5を取り外した応力開放装置Sを上記空隙部分に挿入し、中柱35との中心を一致させて設置する。
(9) しかる後、該新規の応力開放装置Sを上沓1の上部分1Aに取付けボルト10をもって固定するとともに、囲枠体5を下沓2に取り付け、上記(4) の要領で固定する。
【0030】
次に、既設の地中構造物Kへの本脱着型応力開放装置Sの設置に付いて述べる。すなわち、当該地中構造物Kには当初より脱着型応力開放装置Sが設置されていない。
以下、工程順に説明する(図10・図11参照)。
(1a)本脱着型応力開放装置Sの設置をなす中柱35の近傍において、支保工37を設置する(図10参照)。該支保工37は通常ジャッキ機能を有し、該ジャッキを伸張させて該支保工37の上下面を構造物Kに強く押し当て、該構造物Kに作用する上載荷重に対抗する。
【0031】
(2a)当該中柱35の上部を所定の間隔Hをもって切断する(図10参照)。この切断のためにワイヤーソーが使用される。
本実施形態では、ハンチ部分35aを残し、それより下方が切断される。
【0032】
(3a) 天井スラブ34に連なる中柱35のハンチ部分35aに付き、アンカーボルト6用の孔42を穿孔し、上沓1の上部分1Aとともに該孔42にアンカーボルト6を挿入し、セメントミルク43を注入し、その固結とともに定着する。これにより、上沓1の上部分1Aは所定位置に定置される(図11参照)。
なお、孔42へのセメントミルク43の注入において、空気抜き手段が講じられることは勿論である。また、セメントミルクに替え、接着性合成樹脂材の注入を除外するものではない。
【0033】
(4a)上記(3a)の工程に並行して、中柱35の切断部の上端部を整形する。すなわち、切断された中柱35の上面35bにその側面に当接して型枠(図示せず)を配し、前記(2) の工程に準じて無収縮モルタルを打設して柱頭部39を構築する。
柱頭部39の上面39aは水準かつ平滑面とされる。この柱頭部39の上面39aから上沓1の上部分1Aの下面までの距離hはその後挿入される上沓1の下部分1B・中間沓3・下沓2の組立て体の高さに等しくされる。
【0034】
(5a)上記(4a)に引き続き、中柱35の上端部に打設された柱頭部39の固結が終了したとき、本脱着型応力開放装置Sの上沓1の下部分1B・中間沓3・下沓2の組立て体を、ハンチ部35aの下面と該中柱35の柱頭部39の上面39aとの間に幅方向(Y方向)より差し込むようにして挿入し、下沓2が柱頭部39の上面39aに中心を一致して収まり、かつ、上沓1の下部分1Bが上沓1の上部分1Aとそれらのボルト用孔11,12の位相を一致させ、取付けボルト10をもって固定する。
これにより、仮固定作業が終了する。
【0035】
(6a)囲枠体5を下沓2の回りにそのボルト孔23,24に取付けボルト22を回動締め付けて取り付ける。囲枠体5は柱頭部42の側面並びに既設の中柱35の側面に対しては、密着されることが好ましいが、作業上から若干の公差が許容され、僅かの間隔(本実施例では2mm)を保持する。
しかして、この間隙部に充填材40が注入充填されることは前記工程(4) に準じてなされる。
そして又、下沓2の縁部には囲枠体5のねじ孔30を利用してストッパ部材28が固定ボルト27をもって固定され、中間沓4の圧縮膨れを阻止する。
以上により、本脱着型応力開放装置Sの所期の中柱35に対する設置が終了し、以下、未設置の中柱35に対して上記の工程(1a)〜 (6a) の工程を繰り返す。
【0036】
なお、上記中柱35の切断工程(2a)において、所定の間隔Hに切断することに替え、更に余裕を存して切断する態様を採ることができる。この場合の本脱着型応力開放装置Sの上沓1の下部分1B・中間沓3・下沓2の組立て体の挿入工程(5a)において、中柱35の柱頭部39と下沓2との間にフラットジャッキ(図示せず)を介装させ、該フラットジャッキに固設性の作動流体(セメントモルタル)を注入して該組立て体を扛上しつつ該組立て体を既に設置された上沓1の上部分1Aに固定し、更に余圧を掛けて扛上作動を停止する。該フラットジャッキの広がりは可及的下沓2の平面と同一、換言すれば中柱35の柱頭部39の平面と同一とされる。該フラットジャッキは公知であり、上記の仕様は容易に得られる。
【0037】
(本実施形態の作用)
本実施形態の脱着型応力開放装置Sは、ボックスカルバート形式の既設地中構造物Kに上述のとおり設置されて次のように作用する。
常時において、本構造物Kに載荷される鉛直荷重は、本構造物Kの側壁部33及び中柱35を介して床スラブ32に伝えられ、地盤Eの地耐力をもって支持される。中柱35はその応分の負担をなすものであって、鉛直荷重は本応力開放装置Sの上沓1、中間沓4及び下沓2を介し、更には柱頭部39を介して中柱35に伝達される。
この場合、中間沓4を構成するすべり板3及び鋼板とゴム層とよりなる積層ゴム体は高荷重性を示し、かつ積層ゴム体は可及的薄く、長期載荷に伴う有害なクリープ現象を生じさせない。
【0038】
地震時において、本地中構造物Kに大きな破壊力を持つ地震力が作用すると、横断面形状において変形を示す。
図12はその誇張された変形状態を示すものであって、実線は非変形状態を示し、破線は変形状態を示す。この変形は地中構造物Kの枠体(32,33,34)が抵抗体として地震力に対抗して許容された範囲内で変形する。なお、この変形は中央の対称軸をもって対称的に現れる。
実測によると、中柱35の柱頭部においては天井スラブ34と相対的水平変位が卓越し、同じく天井スラブ34との相対的鉛直変位は殆どないものである。
中柱35の柱頭部において、天井スラブ34との間に本応力開放装置Sが介装され、当該中柱35の柱頭部39と天井スラブ34との間に現れる相対的水平変位成分δは上沓1の下面と中間沓4のすべり板3との低まさつによるすべりにより逃がされ、また、曲げ変形成分θは中間沓4のゴム層のゴム弾性により逃がされる。このとき、回転変位は高々1°であるのに対し、水平変位成分が振動をもって大きく現れ、本応力開放装置Sの弾性曲げ機能によりすべりは円滑になされ、水平変位を吸収する。
この結果、常時及び地震時を通じ、本応力開放装置Sを備えた中柱35は所期の鉛直荷重を支持し、地中構造物Kの合理的な断面設計をなすことができる。
【0039】
(本実施形態の効果)
本実施形態の脱着型応力開放装置Sは叙上の構成をもって既設の地中構造物Kに設置され、作用を奏するものであるので、既設の地中構造物Kへの設置が可能となるばかりでなく、その取外しを含む取替えも可能となる。従って、本脱着型応力開放装置Sを新設とともに設置しておけば取替えも可能であり、その用途も拡大する。その際の取替え工事に要する工費は著しく低減されるものである。
また、本実施形態の脱着型応力開放装置Sによれば、下沓2の取付けは中柱35を囲繞する囲枠体5によってなされるので、該下沓2上に取り付けられる積層ゴム体の面積を十分に広く確保でき、積層ゴム体の単位面積当たりの負担が小さくなり、かつは中柱35に対し応力的に余裕ができる。
また、本実施形態の脱着型応力開放装置Sの中間沓4には積層体を使用したことにより、支圧力が高まる。また、すべり板3を上部鋼板16の凹部20へ嵌合固定したので、固定力が高まる。
【0040】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的範囲内に包含されるものである。
▲1▼中間沓4において、その中間鋼板18は適宜省略されうる。
▲2▼すべり板3に付き、中間沓4の上部鋼板16に薄いゴム板を介して取り付ける態様を採ることができる。
▲3▼叙上の実施形態では、平面形状が矩形の脱着型応力開放装置Sを示したが、円形を除外するものではない。
円形において、中柱35の平面形状が矩形(正方形・長方形)であって中間沓4が円形を採る態様においては、下沓2及び囲枠体5は矩形状を採る。中柱35の平面形状が円形でときこれに対応して下沓2及び囲枠体5は円形を採り、中間沓4に付いては通常は円形を採るが、矩形状を採る態様を除外するものではない。
【0041】
【発明の効果】
本発明の脱着型応力開放装置によれば、上沓の分割化並びに下沓への囲枠体の取付けにより、既設の地中構造物への設置が可能となるばかりでなく、その取外しを含む取替えも可能となる。従って、本脱着型応力開放装置を新設とともに設置しておけば取替えも可能であり、その用途も拡大する。
特に、下沓に取り付けられる囲枠体により中間鉛直部材への定着がアンカー部材と同等の作用を発揮し、本挿入型応力開放装置の本来の機能を低下させることはない。また、下沓の取付けは中間鉛直部材を囲繞する囲枠体によってなされるので、下沓上に取り付けられる積層ゴム体の面積を十分に広く確保でき、積層ゴム体の単位面積当たりの負担が小さくなり、かつは中間鉛直部材に対し応力的に余裕ができる。
かつ、本発明の脱着型応力開放装置は所定の機能を奏する。すなわち、ボックスカルバートの枠体が地震力によって変形を受けると、中間鉛直部材部分において、その水平変形は上沓と中間沓とのすべりにより逃がされ、同時に曲げ変形成分は中間沓の弾性により逃がされ、当該中間鉛直部材は鉛直状態を保持し、確実に鉛直荷重を支持する。
本応力開放装置を備えた地中構造物は、その中間鉛直部材が地震時においても鉛直状態を保持し、かつ荷重を確実に支持するので、地震時の鉛直荷重を分担させることができ、枠構造と一体となって合理的な免震設計を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のボックスカルバート内に設置される脱着型応力開放装置の一実施形態の全体構造を示す一部断面一部側面図(図2の1−1線の拡大断面図)。
【図2】本装置の一部断面一部側面図(図1の2方向矢視、2−2線断面図)。
【図3】図1及び図2の3−3線断面図。
【図4】本脱着型応力開放装置の分解図。
【図5】図1の部分拡大断面図。
【図6】図5の更なる部分拡大断面図。
【図7】図2の部分拡大断面図(図6に対応する図)。
【図8】本発明の脱着型応力開放装置の設置される地中構造物を含む地下断面図(図9の8−8線断面図)。
【図9】図8の9−9線断面図。
【図10】本発明の脱着型応力開放装置の設置作業の一工程(初期工程)を示す図。
【図11】本発明の脱着型応力開放装置の設置作業の一工程(最終工程)を示す図。
【図12】地中構造物の変形を示す模式図。
【符号の説明】
S…脱着型応力開放装置、K…地中構造物、1…上沓、1A…上部分、1B…下部分、2…下沓、3…すべり板、4…中間沓、5…囲枠体、16…上部鋼板、17…下部鋼板、18…中間鋼板、19…ゴム層、32…床スラブ、33…側壁部、34…天床スラブ、35…中間鉛直部材(中柱)、35a…ハンチ部分、39…柱頭部、39a…柱頭部上面

Claims (4)

  1. 横断面形状において四角枠体をなすラーメン構造の地中構造物において、当該四角枠体の中間部に幅方向に1列又は複数列の鉛直荷重を負担する中間鉛直部材が配され、その中間鉛直部材に介装されるとともに当該地中構造物の変形に伴う応力を開放する装置であって、
    当該装置が介装される当該中間鉛直部材の上位部分に対して着脱可能であるとともにその下面が平滑とされた上沓と;
    前記上沓と対置され、当該装置が介装される当該中間鉛直部材の下位部分に定置される下沓と;
    前記上沓と下沓との間に介装され、上下の鋼板によりゴム体を挟着した積層ゴム体の上部鋼板上にすべり板を固着してなる中間沓と;
    前記下沓の外周に取り付けられて下方に延設され、該中間鉛直部材の下位部分の外周を囲繞するとともに該中間鉛直部材の下位部分に対して該下沓を着脱可能に固定する囲枠体と;
    からなることを特徴とするボックスカルバート形式の地中構造物に配される応力開放装置。
  2. 上沓は、当該装置が介装される中間鉛直部材の上位部分に定着される上部分と、該上部分に対して着脱可能であるとともにその下面が平滑とされた下部分とよりなる、上下に2分割体よりなる請求項1に記載のボックスカルバート形式の地中構造物に配される応力開放装置。
  3. 横断面形状において四角枠体をなすラーメン構造の地中構造物において、当該四角枠体の中間部に幅方向に1列又は複数列の鉛直荷重を負担する中間鉛直部材が配され、その中間鉛直部材に介装されるとともに当該地中構造物の変形に伴う応力を開放する装置の取付け方法であって、
    当該装置が介装される当該中間鉛直部材の上位部分に対して着脱可能であるとともにその下面が平滑とされた上沓と;前記上沓と対置され、当該装置が介装される当該中間鉛直部材の下位部分に定置されるとともにその下面が平滑とされた下沓と;前記上沓と下沓との間に介装され、上下の鋼板によりゴム体を挟着した積層ゴム体の上部鋼板上にすべり板を固着してなる中間沓と;からなる応力開放装置を使用し、
    当該中間鉛直部材の下位部分の柱頭部の上面を平坦に整形し、
    前記中間鉛直部材の上位部分と下位部分との間の空間に、上記応力開放装置を挿入し、
    前記上沓を前記中間鉛直部材の上位部分に取付け固定するとともに、前記下沓に着脱可能に取り付けられ前記中間鉛直部材の下位部分に対して該下沓を着脱可能に固定する囲枠体を該下沓に対して固定する、
    ことを特徴とするボックスカルバート形式の地中構造物への応力開放装置の取付け施工方法。
  4. 横断面形状において四角枠体をなすラーメン構造の地中構造物において、当該四角枠体の中間部に幅方向に1列又は複数列の鉛直荷重を負担する中間鉛直部材が配され、その中間鉛直部材に介装されるとともに当該地中構造物の変形に伴う応力を開放する装置の取付け方法であって、
    当該装置が介装される当該中間鉛直部材の上位部分に対して着脱可能であるとともにその下面が平滑とされた上沓と;前記上沓と対置され、当該装置が介装される当該中間鉛直部材の下位部分に定置される下沓と;前記上沓と下沓との間に介装され、上下の鋼板によりゴム体を挟着した積層ゴム体の上部鋼板上にすべり板を固着してなる中間沓と;前記下沓の外周に取り付けられて下方に延設され、該中間鉛直部材の下位部分の外周に嵌合状に囲繞する囲枠体と;からなる応力開放装置を使用し、
    当該中間鉛直部材を所定間隔を保って切断し、
    当該中間鉛直部材の下位部分の柱頭部の上面を平坦に整形し、
    前記中間鉛直部材の上位部分と下位部分との空間に上沓と中間沓と下沓との組立て体よりなる応力開放装置を挿入し、
    上沓を当該中間鉛直部材の上位部分に取り付けるとともに、下沓並びに中間鉛直部材の下位部分の外周を囲んで囲枠体を取り付ける、
    ことを特徴とするボックスカルバート形式の地中構造物への応力開放装置の取付け方法。
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