JP3581691B2 - 構造物の水平力緩衝装置の取付け方法および取付け構造 - Google Patents

構造物の水平力緩衝装置の取付け方法および取付け構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、橋桁等の上部構造物と橋脚または橋台等の下部構造物との間に配設され、上部構造物の鉛直荷重を支持する荷重支持用弾性支承装置と共に使用され、常時は鉛直荷重を負担せずに、地震時に作用する水平力および上揚力等に対して、上部構造物を緩衝支承する水平力緩衝用弾性支承装置の取付け方法およびその取付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上部構造物と下部構造物との間に設けられる機能分離型の支承装置は、例えば図22a,bに示すように、橋桁30の端部における橋脚31上に橋軸直角方向に並んで配設された、鉛直荷重を支持する荷重支持用弾性支承装置(以下、荷重支持装置32と略す)と、地震時の水平力分散用バネ材および橋桁30の上動に対して緩衝しながら支承する弾性支承材として使用される水平力緩衝用弾性支承装置(以下、水平力緩衝装置33と略す)とからなり、それぞれが機能を分担する構成が採られている。
【0003】
そして、水平力緩衝装置33は、例えば橋桁30の下面に固着されて吊り下げ状態のゴム層からなる緩衝部およびベースプレート33aを介して橋脚31に連結されて構成されている。こうして、水平力緩衝装置33は、常時は橋桁30の鉛直荷重を負担しないが、下部構造物に平面的に据え付けられる場合は、橋桁30のコンクリート打設時に、水平力緩衝装置33の上部がコンクリート用型枠として使用されるので、その水平力緩衝装置33の直上付近の打設コンクリート30aの荷重が、前記水平力緩衝装置33に載荷される状況が発生する。
【0004】
また、橋脚31,31間または橋脚31と橋台間の鉄筋コンクリート製橋桁30に、その内部に配置されたPCケーブル34が緊張した状態で橋桁30の端部に定着されることによりプレストレスが導入されると、橋桁30の中間部を支持している仮設支保工等の仮支持部材35から橋桁30が浮き上がるようになるので、支点側、すなわち荷重支持装置32および水平力緩衝装置33には、コンクリート製橋桁30の荷重がさらに付加される。これに伴い荷重支持装置32の弾性層32aの圧縮変形によるその上端レベルの沈下(低下)と共に、橋桁30側に固定されている水平力緩衝装置33の緩衝部も沈下する。
【0005】
前記の沈下の内、水平力緩衝装置33に付加される橋桁30の荷重を除去するために、橋桁30のコンクリート打設時は型枠として打設コンクリート30aの荷重を支持し、橋桁30のコンクリート30aに充分強度が発現した状態、またはこれにプレストレスが導入された後の状態で、無負荷になるような仮支持装置(仮支持手段)が必要になる。
【0006】
そして、橋桁30のコンクリートに充分強度が発現し、緩衝部の位置が定まった後に、橋脚31上に仮固定されたベースプレート33aが本締め付けされる。
そして、水平力緩衝装置33は、地震時の水平力および上揚力等に対して、ゴム層のせん断変形または弾性変形により、橋桁30を緩衝支承する。一方、荷重支持装置32は、橋桁30の桁幅方向両端部にて、橋桁30と橋脚31との間に配設され、それぞれ橋桁30の鉛直荷重を支持している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、橋桁30の打設コンクリートの強度発現に伴なう収縮により緩衝部の位置ずれに対して、ベースプレートの固着用に設けられたボルト孔とアンカーボルトとの間の隙間分だけしか位置調整ができないという問題があった。
そこで、本発明は、上部構造物築造時の位置ずれに対応可能な水平力緩衝装置の取付け方法および取付け構造の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の取付け方法は、コンクリート製橋桁等の上部構造物に弾性支承体における上端鋼材を固定すると共に、前記上部構造物に吊り下げ状態の前記弾性支承体における下端鋼材を橋脚または橋台等の下部構造物に上部構造物の鉛直荷重を負担しないようにするために上下隙間を有して連結するに当たり、下端鋼材に設けられ橋軸方向に延びる長孔と、下部構造物に立設され前記長孔内に突出するアンカー部材との間に隙間領域を設けて上部構造物築造に伴なう下端鋼材の変位を許容すると共に、上部構造物の短縮変形移動と共にその上部構造物に吊り下げ支持させながら前記弾性支承体を上部構造物の短縮変形と共に吊り下げ移動させ、前記変位後の隙間領域を詰め物にて埋めて連結することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の取付け方法は、コンクリート製橋桁等の上部構造物に弾性支承体における上端鋼材を固定すると共に、前記上部構造物に吊り下げ状態の前記弾性支承体における下端鋼材を橋脚または橋台等の下部構造物に上部構造物の鉛直荷重を負担しないようにするために上下隙間を有して連結するに当たり、下端鋼材に設けられ橋軸方向に延びる長孔と下部構造物に立設され前記長孔内に突出するアンカー部材との間に隙間領域を設け、前記隙間領域に配置した隙間領域調整手段により、築造に伴なう上部構造物の変位見込み量だけ前記弾性支承体における弾性層にせん断力変形を与えて前記下端鋼材を下部構造物に対して予め変位させると共に、上部構造物の短縮移動と共にその上部構造物に吊り下げ支持させながら前記弾性支承体を上部構造物の短縮変形と共に吊り下げ移動させて、前記せん断変形を解消させ、前記変位後の前記隙間領域を詰め物にて埋めて連結することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の取付け方法は、請求項2に記載の取付け方法において、前記隙間領域調整手段が油圧ジャッキであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の取付け構造は、コンクリート製橋桁等の上部構造物と橋脚または橋台等の下部構造物との間に配置され、上部構造物に固定される上端鋼材と、前記上端鋼材に一体化された中間部の弾性層と、前記弾性層に固定されると共に下部構造物との間に上部構造物の鉛直荷重を負担しないようにするために上下隙間を持った吊り下げ状態で下部構造物に連結される連結部を有する下端鋼材とを備え、前記連結部は、橋軸方向に延びる長孔と、下部構造物に立設されたアンカー部材の頭部に外挿される差込み金具と、前記差込み金具と長孔との間に生じる隙間領域を埋める詰め物とを備えていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について図1〜図11を参照して説明する。図1は本実施形態の水平力緩衝用弾性支承装置(以下、水平力緩衝装置と略す)を、橋脚と橋桁との間に適用した例を示す。図2〜図11は、水平力緩衝装置の取り付け部の構造または取り付け方法を示す説明図である。
【0013】
図1は、上部構造物としての鉄筋コンクリート製橋桁1の橋軸方向端部における橋軸直角方向(桁幅方向)の断面図である。図2は水平力緩衝装置2の取り付け部を拡大して示す橋軸直角方向断面図であり、図3は同取り付け部の橋軸方向の拡大断面図である。
【0014】
図1〜図3に示すように、水平力緩衝装置2は、橋桁1の桁幅方向中央部にて下部構造物としての橋脚3との間に配設され、その両側に荷重支持用弾性支承装置(以下、荷重支持装置4と略す)が配設されている。なお、荷重支持装置4は橋桁1の鉛直荷重を弾性支承し、橋桁1の水平方向の動きは、すべり面4aでスライド支承しながら支承する。
【0015】
図4(a),(b)は、水平力緩衝装置2の中央部を構成する弾性支承部5を示す。同図(a)は断面図であり、(b)は底面図である。図示のように、弾性支承部5は、上部鋼板6(上端鋼材)と、複数枚の補強鋼板7入り弾性層8と、下部鋼板9とが加硫一体成形により一体化されてなり、短円柱状(角柱状でもよい)を呈している。
【0016】
前記上部鋼板6の上面中央部には、短円柱状の凸部10が溶接等により固着されて一体に設けられ、凸部10の先端部外周には、雄ねじ部10aが設けられている。そして、図3に示すように、橋桁1側に固着される鋼製ソールプレート11の中央部透孔が、せん断キーとなる前記凸部10の根元の軸部10bに嵌合され、その状態で前記上部鋼板6の雄ねじ部10aに鋼製リングナット12がねじ接合されている(図3参照)。こうして、水平力緩衝装置2における弾性支承部5の上部鋼板6がソールプレート11に固定されている。
【0017】
なお、ソールプレート11には、鉄筋コンクリート製上部構造物1に埋め込み固定されるアンカーバー13の基端部がねじ込まれて立設され、溶接により固着されている。また、アンカーバー13にはワイヤー13aに巻きつけられ、溶接により固着されている。こうして、水平力緩衝装置2はソールプレート11およびアンカーバー13を介して橋桁1の鉄筋コンクリート1aに一体化される(図2、図3)。
【0018】
前記の弾性支承部5は、ゴムのような弾性層8が一体に固着されて配置されると共に、弾性層8の内部には、上下方向に間隔をおいて平行に複数枚(図4では4枚)の補強鋼板7が埋め込み配置されて耐圧補強されている。
【0019】
また、弾性層8の下端に一体化された下部鋼板9の下面中央部には、せん断キーとなる短円柱状の凸部14が一体に形成されている(図4a参照)。この凸部14が、その下のベースプレート15からなる下端鋼材(詳細は後述する)の凹部16に嵌合して両部材9,15間の水平方向の位置決めがなされる(図2、図3参照)。そして、凸部14の周囲における大小の円形状軌跡上に、周方向に等角度間隔をおいて、ベースプレート15との接合用ねじ孔17(図では20個)が下部鋼板9の下面に開口するように設けられている(図4b参照)。
【0020】
前記ベースプレート15の凹部16の深さが、下部鋼板9の凸部14の高さよりも深いので、下部鋼板9とベースプレート15との締め付け面の間に隙間がない状態で、固定ボルト18によりベースプレート15は下部鋼板9にボルト接合される。
【0021】
一方、図2、図3に示すように、橋脚3上面に4個所設けられた凹部3a内には、アンカーボルト19(アンカー部材)が配置され、無収縮モルタル3bが打設されて一体化されている。そして、前記ベースプレート15がアンカーボルト19、後記の差込み金具20およびナット21等により、最終的にナット21が緊締されてベースプレート15の上面に圧着した状態で、橋脚3との間に上下方向隙間S(詳細は後記する)を持って連結される。
【0022】
こうして、水平力緩衝装置2は、前述のように上端の上部鋼板6が橋桁1に一体化され、弾性層8を介して下端のベースプレート15が橋台または橋脚3との間に所定の上下方向隙間Sを持って水平方向に保持、連結される(詳細は後記する)。これにより、連結完了後に、水平力緩衝装置2は、橋桁1の鉛直荷重を負担しないで、橋桁1と橋脚3間の水平力および上揚力を緩衝支承する。
【0023】
図5はベースプレート15の平面図および断面図である。図示のように、ベースプレート15は長方形に形成され、4本のアンカーボルト19の頭部が貫通する部位には、橋軸方向に長い角形長孔22からなる連結部が設けられている。長孔22の長辺長さLは、アンカーボルト19の頭部に外挿される差込み金具20の長さM(図7参照)に対して所定量長く設定されている。また、ベースプレート15の中央部には、前記凹部16が形成され、その周囲には、ベースプレート15を下部鋼板9に固定する前記固定ボルト18のボルト挿通用段付き透孔23が設けられている。前記固定ボルト18のボルト頭部が段付き透孔23の下部大径孔23a内に収納される(図2参照)。
【0024】
そして、ベースプレート15を橋脚3に保持し連結するに当たっては、図6に示すように、ベースプレート15と橋脚3上面との間に所定厚さ(S+α)の仮支持板24を挟むと共に、ベースプレート15の長孔22内に突出するアンカーボルト19の頭部に差込み金具20を外挿し、位置固定の差込み金具20に対してベースプレート15を左方(桁収縮方向とは逆方向の桁端側)へ所定量ずらせて配置する。
【0025】
図7は前記差込み金具20を拡大して示す。同図(a)は平面図であり、(b)は(a)のA矢視の側面図であり、(c)は(a)のB矢視図である。図示のように、差込み金具20は平面視で、長方形のブロック20aの上面にワッシャー20bが溶接により固定されてなり、ブロックの中央部には、ワッシャー20bの孔径と同径の孔20cが同一中心軸線になるように上下方向に貫通して設けられている。前記ブロック20aの長辺の長さMは、ベースプレート15側長孔22の長辺長さLよりも短く、またブロック20aの短辺長さも長孔22の幅寸法よりも若干小さく設定されている。そして、ワッシャー20bの下のブロック20a部の高さは、ベースプレート15の厚さ(高さ)にほぼ等しく設定されている。
【0026】
つぎに、水平力緩衝装置2の取付け方法について、図8〜図11を参照して、前記の未説明の部材の構造説明と共に説明する。
【0027】
上述のように、仮支持板24を水平力緩衝装置2下端のベースプレート15の下に挿入して、かつ差込み金具20の位置(アンカーボルト19の位置)に対してベースプレート15を所定量左方へ(桁端側へ)ずらせた状態で、ナット21をアンカーボルト19に取り付ける。ただし、ナット21は締め付けはしない。前記ソールプレート11および弾性支承部5並びにベースプレート15をずらせる量は、橋桁1の打設コンクリート1aの強度発現に伴なう収縮およびプレストレス導入時の桁の収縮を予め見込んで設定する(図6、図8参照)。
【0028】
そして、前記ソールプレート11をコンクリート用型枠として使用して、適宜配筋およびPC鋼材用のシースおよびPC鋼材等の配設をした後、橋桁1のコンクリート1aを打設する。前記コンクリート1aの硬化により、水平力緩衝装置2の上部鋼板6が橋桁1のコンクリート1aと一体化される。このとき、水平力緩衝装置2の直上に打設されたコンクリート1aの荷重が水平力緩衝装置2に負荷される。前記水平力緩衝装置の直上以外のコンクリート1aの荷重は、荷重支持装置4および仮設支保工により支承されている。
【0029】
ついで、ベースプレート15の下の仮支持板24をジャッキ(図示省略)により引き抜く。その後、PC鋼材を緊張定着させて、橋桁1にプレストレスを導入すると、さらに支点側の支承装置4に桁荷重が付加される。これに伴い水平力緩衝装置2の橋軸直角方向両側に配置された荷重支持装置4は、その弾性層の圧縮変形により若干量(例えば3〜5mm)沈み、それと共に水平力緩衝装置2下端のベースプレート15も沈むが、仮支持板24の板厚(S+α)によって保たれていた隙間により、沈み量(α)は許容、吸収される。こうして、プレストレス導入後にベースプレート15の下面と橋脚3との間に所定の残留隙間Sが確保される(図9参照)。
【0030】
一方、打設コンクリート1aの強度発現に伴なう収縮およびプレストレス導入により、橋桁1と一体状態のベースプレート15の長孔22がアンカーボルト19(橋脚3)に対して相対的に中央径間側へ(右方へ)位置ずれしようとするが、予めずれ量を見込んで配置してあるので、図9、図10に示すように、上部構造物である橋桁1に吊り下げ支持されている水平力緩衝装置2の位置ずれの結果、ベースプレート15側の長孔22の中央部側に橋脚3側の差込み金具20が位置するようになる。
【0031】
ついで、差込み金具20の左右両側に生じる例えば、ほぼ等長の隙間領域には、それぞれの長さに対応する詰め物(詳細は後記する)となる鋼製スペーサ25を挿入して隙間領域を埋める。なお、前記鋼製スペーサ25をプレストレス導入後の桁のクリープ変形後に挿入するようにすることもできる。
【0032】
図11は前記鋼製スペーサ25を示す。同図(a)は平面図であり、(b)は側面図である。また、(c)は(b)のC矢視図である。図示のように、鋼製スペーサ25は片側端面に縦方向に面取りされた面取り端面を有する長さNのブロック25aと、その面取り端面に平行に延びて上面に溶接された細長い板片25bとからなる。スペーサ25の幅Wはベースプレート15の長孔22の幅よりも若干小さく設定されている。そして、ブロック25a部の高さはベースプレート15の厚さ(高さ)に等しく設定されている。また前記板片25bはブロック25aの両側に突出するように配置され、その長さは、前記長孔22の巾寸法よりも大きく設定され、長孔22の両側のベースプレート15の上面に係合されて、前記ブロック25aを支持している。
【0033】
そして、前記隙間領域を埋める際には、それぞれの隙間領域の長さに合わせて、スペーサ25の長さNを加工して、各隙間領域(8個所)にそれぞれ落とし込む。ついでアンカーボルト19のナット21を本締め付けして、水平力緩衝装置2の取り付け作業を完了する。
【0034】
こうして、水平力緩衝装置2上端の位置ずれに対応した取り付け方法が得られると共に、水平力緩衝装置2は、その下端のベースプレート15と橋脚3上面との間に残留隙間Sを有することにより、常時は橋桁1の鉛直荷重を負担することなく、同時にベースプレート15がアンカーボルト19、差込み金具20、スペーサ25およびナット21により橋脚3に保持されることにより、地震時に作用する水平力および橋桁1の上揚力に対して、橋桁1を緩衝支承することができる。この実施形態では、ソールプレート11と弾性支承部5とベースプレート15までを弾性支承体としている。
【0035】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について、図12〜図19を参照して説明する。図12〜図19は、本実施形態の水平力緩衝用弾性支承装置(以下、水平力緩衝装置2と略す)の取り付け方法を示す説明図である。
【0036】
本実施形態は、ベースプレート15部の取り付け方法が、前記第1実施形態と異なり、その他の構成は同じである。したがって、相違点を説明し、重複する説明は省略する。
【0037】
橋桁1にプレストレスの導入が完了するまでは、前記第1実施形態と同様に弾性支承部5を含むベースプレート15までを吊り下げ移動させ、その後、図12、図13に示すように、ベースプレート(下部鋼材)15の長孔(連結部)22のほぼ中央部にアンカーボルト(アンカー部材)19が位置した状態で、橋軸方向一側(図では右側で、中央径間側)の長孔22(2個所)内の差込み金具20(またはアンカーボルト19)の右方側の隙間領域に、隙間領域調整手段としての油圧ジャッキ26をそれぞれ挿入、配置する。
【0037】
ついで、図14に示すように、両油圧ジャッキ26を均等に所定量伸長させる。これにより、弾性層8が弾性的にせん断変形されて、水平力緩衝装置2の下端のベースプレート15側が、位置固定の差込み金具20に対して右方(中央径間側)へ押圧されて変位する。こうして、水平力緩衝装置2に所定量の予備せん断変形を付与する。
【0038】
ついで、図15、図16に示すように、右方側長孔22(2箇所)の油圧ジャッキ26の反対側隙間領域に、対応する長さのスペーサ25(詰め物)を落とし込む。また、ベースプレート15の左方側(桁端側)の長孔22(2個所)では、各差込み金具20の左右両側の隙間領域にそれぞれ対応長さのスペーサ25を落とし込んで埋める。これにより左方側の長孔22のスペーサにより水平力緩衝装置2の予備せん断変形を保持させる。
【0039】
そして、図17に示すように、右方側長孔22(2個所)に挿入、配置してあった油圧ジャッキ26をスペーサ25と入れ替える。このとき、左方側長孔22(2個所)のアンカーボルト19の両側隙間領域がすでに埋められているので、ベースプレート15の移動により、付与済みの予備せん断変形が消失することはない。また右方および左方の長孔22の左側の隙間領域にも鋼製スペーサ25を介在させて、ベースプレート15が水平方向に移動しないように横方向の位置を固定する。
【0040】
そして、図18、図19に示すように、築造された橋桁1のコンクリート1aの乾燥収縮およびクリープ等により、橋桁1側の水平力緩衝装置2上端が右方(中央径間側)へ変位して、一旦付与された予備せん断変形が消失して、設計上の位置に固定する。なお、各長孔22の隙間領域を埋めたスペーサ25はそのまま残される。
【0041】
こうして、本実施形態によれば、水平力緩衝装置2上端の位置ずれを見込んで予備せん断変形を付与することにより、位置ずれに対応した取り付け方法が得られる。
【0042】
なお、図20、図21は、それぞれ水平力緩衝装置2を取り付ける方法の変更例を示す。
図20に示す方法では、前記第1実施形態におけるベースプレート15の全部の長孔22(4個所)について、差込み金具20の両側に残る隙間領域をスペーサ25により埋める方法(図9、図10)の代わりに油圧ジャッキ26を挿入、対向配置すると共に、両油圧ジャッキ26の油圧室同士間を連通管27により連通する。これにより、両油圧ジャッキ26の一方が圧縮されると他方が伸長して、隙間領域を常にガタなく埋めることができる。このような両油圧ジャッキ26のような伸縮式スペーサを介在させることもできる。
【0043】
また、図21に示す方法では、前記第2実施形態におけるベースプレート15の全部の長孔22(4個所)について、差込み金具20の両側の隙間領域をスペーサ25により埋める(図19)方法の代わりに、各長孔22における差込み金具20の両側の隙間領域に油圧ジャッキ26を挿入、対向配置すると共に、両油圧ジャッキ26の油圧室同士間を連通管27により連通する。これにより、両油圧ジャッキ26の一方が圧縮されると他方が伸長して、隙間領域を常にガタなく埋めることができる。
【0044】
前記実施形態においては、上部鋼板6とソールプレート11が別体のものおよび下部鋼板9とベースプレート15を別体のものを使用しているが、本発明を実施する場合、弾性支承体としては、上部鋼板6とソールプレート11を一体のものを使用するようにしてもよく、また下部鋼板9とベースプレート15を一体のものを使用するようにしてもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、上部構造物の鉛直荷重を負担しないようにするために上下隙間を有して連結される弾性支承体を上部構造物の短縮変形と共に吊り下げ移動させる簡単な方法を利用しながら、下部構造物に連結する下端鋼板の連結部に長孔と、下部構造物側のアンカー部材との間に隙間領域を設け、上部構造物築造後の位置ずれを隙間領域で吸収するか、あるいは隙間領域を利用して予め見込んだずれ量だけ下端鋼板をずらせておくことができるので、上部構造物築造後の位置ずれに対応した取付け方法が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の水平力緩衝装置を鉛直荷重支持装置と共に橋脚と橋桁との間に適用した例を示す橋軸直角方向断面図である。
【図2】第1実施形態の橋軸直角方向の拡大断面図である。
【図3】第1実施形態の橋軸方向の拡大断面図である。
【図4】(a)は第1実施形態の弾性支承部の断面図であり、(b)は見上げの平面図である。
【図5】(a)は第1実施形態のベースプレートの平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【図6】第1実施形態のベースプレートの下に仮支持部材を挿入する状態を示す断面説明図である。
【図7】(a)は第1実施形態の差込み金具の平面図、(b)は(a)のA矢視図、(c)は(a)のB矢視図である。
【図8】第1実施形態のベースプレートを予めずらせて仮締め付けする状態を示す断面説明図である。
【図9】第1実施形態の橋桁がずれた後の状態を示す断面説明図である。
【図10】第1実施形態の橋桁がずれた後のベースプレートの状態を示す平面説明図である。
【図11】(a)は第1実施形態のスペーサの平面図、(b)は側面図、(c)は(b)のC矢視図である。
【図12】本発明の第2実施形態の隙間領域に油圧ジャッキを挿入した状態を示す断面説明図であ
る。
【図13】第2実施形態の隙間領域に油圧ジャッキを挿入したベースプレートの状態を示す平面説明図である。
【図14】第2実施形態の予備せん断変形を付与した状態を示す断面説明図である。
【図15】第2実施形態の予備せん断変形を付与後に他側長孔の隙間領域をスペーサにより埋めた状態を示す断面説明図である。
【図16】第2実施形態の予備せん断変形を付与後に他側長孔の隙間領域および油圧ジャッキの反対側隙間領域をスペーサにより埋めた状態を示す平面説明図である。
【図17】第2実施形態の予備せん断変形を付与後に他側長孔の隙間領域および油圧ジャッキの反対側隙間領域をスペーサにより埋めた状態を示す断面説明図である。
【図18】第2実施形態における橋桁の変位後の状態を示す断面説明図である。
【図19】第2実施形態における橋桁の変位後の状態を示す平面説明図である。
【図20】第1実施形態における隙間領域を埋める他の方法を示す平面説明図である。
【図21】第2実施形態における隙間領域を埋める他の方法を示す平面説明図である。
【図22】従来例の説明図である。
【符号の説明】
1 橋桁
1a コンクリート
2 水平力緩衝装置
3 橋脚
3a,16 凹部
3b 無収縮モルタル
4 荷重支持装置
5 弾性支承部
6 上部鋼板(上端鋼材)
7 補強鋼板
8 弾性層
9 下部鋼板
10,14 凸部
10a 雄ねじ部
10b 軸部
11 ソールプレート
12 リングナット
13 アンカーバー
13a ワイヤー
15 ベースプレート(下端鋼材)
17 ねじ孔
18 固定ボルト
19 アンカーボルト(アンカー部材)
20 差込み金具
20a,25a ブロック
20b ワッシャー
20c 孔
21 ナット
22 長孔
23 ボルト孔
24 仮支持板
25 スペーサ(詰め物)
25b 板片
26 油圧ジャッキ(隙間領域調整手段)
27 連通管
30 橋桁
30a コンクリート
31 橋脚
32a 弾性層
33 水平力緩衝装置
33a ベースプレート
34 PCケーブル
35 仮設支持部材

Claims (4)

  1. コンクリート製橋桁等の上部構造物に弾性支承体における上端鋼材を固定すると共に、前記上部構造物に吊り下げ状態の前記弾性支承体における下端鋼材を橋脚または橋台等の下部構造物に上部構造物の鉛直荷重を負担しないようにするために上下隙間を有して連結するに当たり、下端鋼材に設けられ橋軸方向に延びる長孔と、下部構造物に立設され前記長孔内に突出するアンカー部材との間に隙間領域を設けて上部構造物築造に伴なう下端鋼材の変位を許容すると共に、上部構造物の短縮変形移動と共にその上部構造物に吊り下げ支持させながら前記弾性支承体を上部構造物の短縮変形と共に吊り下げ移動させ、前記変位後の隙間領域を詰め物にて埋めて連結することを特徴とする構造物の水平力緩衝装置の取付け方法。
  2. コンクリート製橋桁等の上部構造物に弾性支承体における上端鋼材を固定すると共に、前記上部構造物に吊り下げ状態の前記弾性支承体における下端鋼材を橋脚または橋台等の下部構造物に上部構造物の鉛直荷重を負担しないようにするために上下隙間を有して連結するに当たり、下端鋼材に設けられ橋軸方向に延びる長孔と下部構造物に立設され前記長孔内に突出するアンカー部材との間に隙間領域を設け、前記隙間領域に配置した隙間領域調整手段により、築造に伴なう上部構造物の変位見込み量だけ前記弾性支承体における弾性層にせん断力変形を与えて前記下端鋼材を下部構造物に対して予め変位させると共に、上部構造物の短縮移動と共にその上部構造物に吊り下げ支持させながら前記弾性支承体を上部構造物の短縮変形と共に吊り下げ移動させて、前記せん断変形を解消させ、前記変位後の前記隙間領域を詰め物にて埋めて連結することを特徴とする構造物の水平力緩衝装置の取付け方法。
  3. 前記隙間領域調整手段が油圧ジャッキであることを特徴とする請求項2に記載の構造物の水平力緩衝装置の取付け方法。
  4. コンクリート製橋桁等の上部構造物と橋脚または橋台等の下部構造物との間に配置され、上部構造物に固定される上端鋼材と、前記上端鋼材に一体化された中間部の弾性層と、前記弾性層に固定されると共に下部構造物との間に上部構造物の鉛直荷重を負担しないようにするために上下隙間を持った吊り下げ状態で下部構造物に連結される連結部を有する下端鋼材とを備え、前記連結部は、橋軸方向に延びる長孔と、下部構造物に立設されたアンカー部材の頭部に外挿される差込み金具と、前記差込み金具と長孔との間に生じる隙間領域を埋める詰め物とを備えることを特徴とする構造物の水平力緩衝装置の取付け構造。
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