JP4124031B2 - 既存柱への免震装置の設置方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は既存柱の軸方向の一部の区間を除去してその除去部分に免震装置を設置するための免震装置の設置方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
既存柱の軸方向の一部の区間に免震装置を設置することにより既存建物を免震構造化する場合、免震装置の設置が完了するまでの間、免震装置の設置層を挟んで上下に区分される下部構造と上部構造との間にジャッキ等の仮設の荷重受け(仮受け材)を設置し、上部構造の荷重を一時的に仮受け材に支持させる必要があるため、上下に区分された上部既存柱と下部既存柱のそれぞれにブラケット等の反力台を固定するか、上部既存柱と下部既存柱の回りにコンクリートを増打ちし、上下の反力台間やコンクリート間に跨って仮受け材を設置し、仮受け材に上部構造の鉛直荷重を負担させた状態で柱を切断し、除去することが行われる(特許文献1〜3参照)。
【0003】
柱の除去後、免震装置の設置に際し、免震装置の上下のフランジを上部既存柱と下部既存柱に定着させなければならないが、免震装置の設置精度の確保と作業性の面から、免震装置のフランジを直接既存柱に定着させることはできないため、免震装置のフランジを既存柱に定着させる上で、上部既存柱の下面と下部既存柱の上面にフランジを受けるベースプレートを固定することが必要になる。
【0004】
ここで、各ベースプレートを既存柱に固定するにはベースプレートに一体化しているアンカーボルトを既存柱やそれに一体化するコンクリート等に埋め込むことが必要になる(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−231550号公報
【特許文献2】
特開平9−273163号公報
【特許文献3】
特開2001−311314号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献3のように上部既存柱2の下面側と下部既存柱3の上面側に充填され、既存柱1に一体化するコンクリートやモルタル等のグラウト14中にアンカーボルト8を定着させる方法によれば、図4−(d)〜(f)に示すように免震装置11の設置に当たり、(c)に示すように少なくとも免震装置11の高さにベースプレート6、7の厚さとアンカーボルト8の定着長さを加えた大きさの区間に亘って既存柱1を除去することが不可欠になるため、除去すべき既存柱1の区間の距離が免震装置11自体の高さより極端に大きくなり、グラウト14の充填量も多くなる。上部既存柱2の下面側と下部既存柱3の上面側の各グラウト14の充填高さはベースプレート6(7)の厚さとアンカーボルト8の定着長さを加えた距離となる。
【0007】
既存柱1の除去から免震装置11の設置までの間の、仮受け材9による上部構造の支持状態での安定性と安全性の面からは仮受け材9の両端間距離(ジャッキのストローク)が小さい方がよいため、除去すべき既存柱1の区間の距離は小さい方がよいが、除去区間の距離と免震装置11の高さとの差の半分がアンカーボルト8の定着長さになるため、除去区間の距離を小さくすれば、アンカーボルト8の定着長さを十分に確保することができなくなる。
【0008】
逆に除去区間の距離を免震装置11の高さより大きめに取れば、アンカーボルト8の定着長さを確保することが可能になるが、グラウト14の充填量も多くなり、不経済である。またグラウト14が硬化し、強度を発現するまでは下部構造側のグラウト14上に免震装置11を設置することができないのであるから、グラウト14の量が多くなれば、その硬化までに要する時間が長くなり、免震装置の設置作業が遅れ、施工能率が低下する。
【0009】
この発明は上記背景より、免震装置のフランジを上部既存柱と下部既存柱に定着させる上で、除去すべき既存柱の区間を短縮しながら、アンカーボルトその他の定着体の十分な定着長さを確保できる免震装置の設置方法を提案するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る既存柱への免震装置の設置方法は、既存柱の軸方向の一部の区間を除去し、その除去部分に免震装置を設置する方法であり、前記既存柱の除去すべき一部の区間を挟んだ上部既存柱と下部既存柱の各周囲のそれぞれに補強部材を付加すると共に、下部の補強部材の上面に、複数枚のプレートに分割されているアンカーボルトが付属したベースプレートを、既存柱を包囲し、その側の補強部材に前記アンカーボルトを定着させた状態で固定し、上部の補強部材の下面に、複数枚のプレートに分割されているアンカーボルトが付属したベースプレートを、既存柱を包囲し、その側の補強部材に対して隙間をおいてレベル調整した状態で定着させ、前記ベースプレートと補強部材の下端との間の空隙にグラウトを充填した後、上部の補強部材の下端部と下部の補強部材の上端部にPC鋼材を水平方向に挿通させ、PC鋼材を挿通させた補強部材に水平方向にプレストレスを与え、上部の補強部材と下部の補強部材の外周に上部の補強部材と下部の補強部材との間に跨って、前記除去すべき一部の区間より上の荷重を負担する仮受け材を設置し、仮受け材に前記除去すべき一部の区間より上の荷重を負担させた状態で、前記一部の区間を除去し、その除去部分に免震装置を設置することを特徴とするものである。
【0011】
補強部材はコンクリートの場合と鋼材の場合があり、コンクリートの場合には現場打ちコンクリートで上部既存柱と下部既存柱の周囲に構築される場合と、プレキャストコンクリートを上部既存柱と下部既存柱の周囲に接合して形成される場合がある。
【0012】
この発明では上部の補強部材の下面と下部の補強部材の上面のうち、少なくとも下部の補強部材の上面または両者に固定されるベースプレートが複数枚に分割されていることで、除去前の既存柱との衝突を回避しながらベースプレートを配置することができ、グラウトの充填に関係なく免震装置を設置することができるため、グラウトの硬化を待つ必要がなくなる結果として一免震装置当たりの設置完了までの作業時間が短縮され、作業効率が上昇する。
【0013】
また、免震装置のフランジを受けるベースプレートがその側の補強部材に定着させられることで、少なくとも下側の補強部材に定着された側のベースプレートと補強部材との間、及びベースプレートと下側の既存柱との間にはベースプレートを定着させるためのグラウトを充填する必要がなくなるため、その側のグラウトの充填高さだけ、除去すべき既存柱の区間を短縮することが可能になり、グラウト材料費の低減が図られる。
【0014】
上側のベースプレートは補強部材ではなく、グラウトに定着させ、除去すべき既存柱の区間の距離は免震装置の高さに、その他方のベースプレートの定着に必要なグラウトの充填高さを加えた程度の大きさとなるが、免震装置の高さに、その設置時の余裕高さを加えた程度の大きさまで短縮することが可能になる。
【0015】
この発明では補強部材に定着されたベースプレート側にグラウトを充填する必要がなく、それだけ除去すべき既存柱の区間の距離が短縮されるため、図4に示す従来方法より既存柱の除去から免震装置の設置までの間の、仮受け材による、除去部分より上の上部構造を支持した状態での安定性と安全性が向上する。
【0016】
また、アンカーボルトをグラウトに定着させる場合のようにグラウトの充填高さの範囲にアンカーボルト等の定着体の定着長さが制限されることがないため、補強部材において十分な定着体の定着長さを確保することが可能になる。
【0017】
また、上部の補強部材の下端部と下部の補強部材の上端部にPC鋼材を水平方向に挿通させ、PC鋼材を挿通させた補強部材に水平方向にプレストレスを与えることで、上部の補強部材と下部の補強部材の外周にこれらに跨って設置した仮受け材が除去すべき区間より上の荷重を負担することによる補強部材の外側への変形を防止することができる。
【0018】
請求項2では両ベースプレート側にグラウトを充填する必要がなく、グラウトに定着させる従来方法における両側のグラウトの充填高さ分だけ、除去すべき既存柱の区間の距離が短縮されるため、除去すべき既存柱の区間が可能な限り小さくなり、既存柱の除去から免震装置の設置までの間の、仮受け材による上部構造の支持状態での安定性と安全性が一層向上する。グラウト充填量の大幅な削減によりグラウト材料費も一層低減される。
【0019】
また請求項1において少なくとも下部の補強部材にベースプレートを定着させる場合と、請求項2においてはアンカーボルトをグラウトに定着させる場合のようにグラウトの硬化を待つことなく、補強部材の付加後、免震装置の設置作業に移行することが可能であるため、施工能率の向上が図られる。
【0020】
補強部材に定着させられるベースプレートは、ベースプレートに付属したアンカーボルトにおいて、補強部材に定着させられるが、アンカーボルトをグラウトに定着させる場合を示す図4のようにグラウトの充填高さによって定着長さが制限されることがなくなるため、アンカーボルトの定着長さを確保できなくなる事態は発生せず、補強部材に十分な定着長さを確保することが可能になる。
【0021】
また、アンカーボルトの長さを大きく取ることが可能であることから、1本当たりの引き抜き抵抗力を増大させることができるため、アンカーボルトの本数を節減することが可能になる。
【0022】
アンカーボルトは補強部材がコンクリートの場合にはコンクリート中に埋設されることにより、鋼材の場合は溶接やボルト等で接合されることにより補強部材に定着される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図1及び図2に基づき、請求項1に記載の発明を説明する。なお、図1は具体的な構成においては本願発明の範囲ではなく、本願発明の概要を説明する目的で用いる。
【0024】
図1−(a)〜(c)に示すように既存柱1の除去すべき区間を挟んだ上部既存柱2と下部既存柱3の各周囲のそれぞれに上部の補強部材4と下部の補強部材5を付加すると共に、上部の補強部材4の下面と下部の補強部材5の上面に、それぞれ複数枚に分割されている上部のベースプレート6と下部のベースプレート7を、既存柱1を包囲し、補強部材4、5に定着させた状態で固定する。
【0025】
図面では補強部材4、5を現場打ちコンクリートで構築する場合を示しているが、プレキャストコンクリートや鋼板等の組み合わせからなる鋼材を上部既存柱2と下部既存柱3に接合する場合もある。
【0026】
ベースプレート6、7にはそれぞれアンカーボルト8が付属し、アンカーボルト8はその側の補強部材4、5に定着させられる。ベースプレート6、7の定着側の面には図2に示すようにナット6a、7aが溶接等により接合されており、ナット6a、7aに螺入する等によりアンカーボルト8がベースプレート6、7に接続されている。
【0027】
上部のベースプレート6と下部のベースプレート7は既存柱1を除去する前で、上部の補強部材4と下部の補強部材5を付加する際に設置することができるよう、図1−(b)に示すように複数枚のプレート61、71に分割されており、補強部材4、5の付加時に上部既存柱2と下部既存柱3を包囲した形で補強部材4、5に固定される。
【0028】
図1では上部のベースプレート6と下部のベースプレート7を構成する複数枚のプレート61、71を共に、既存柱1の角形の断面形状に対応し、既存柱1を包囲する形状のロの字形のプレートを対称に2分割した形のコの字形に形成しているが、プレート61、71が組み合わせられて既存柱1を包囲する形状のベースプレート6、7を構成できれば、ベースプレート6、7の分割数とプレート61、71の形状は問われない。既存柱1の断面形状が円形であれば、ベースプレート6、7はリング状の形状に形成される。
【0029】
アンカーボルト8は補強部材4、5がコンクリートの場合にはコンクリート中に埋設されることにより、鋼材の場合は溶接やボルト等で接合されることにより補強部材4、5に定着される。
【0030】
上部の補強部材4と下部の補強部材5はコンクリート造の場合には図2に示すようにそれぞれ上部既存柱2と下部既存柱3の周囲に主筋とせん断補強筋等の鉄筋51を配筋し、現場打ちコンクリートで上部既存柱2と下部既存柱3の周囲に構築される場合と、鉄筋を内蔵したプレキャストコンクリートを上部既存柱2と下部既存柱3の周囲に接合して形成される場合がある。前者の場合は上部既存柱2と下部既存柱3の回りに鉄筋と型枠を組み立て、ベースプレート6、7のアンカーボルト8をコンクリート中に埋設するように構築される。
【0031】
後者の場合は例えばアンカーボルト8挿入用の孔を有するプレキャストコンクリートを上部既存柱2と下部既存柱3のそれぞれに接合した後にアンカーボルト8をプレキャストコンクリートの孔内に落とし込み、グラウトや接着剤等の充填材を充填することにより、もしくはアンカーボルト8をプレキャストコンクリートの孔内に落とし込み、グラウトや接着剤等の充填材を充填した状態で、プレキャストコンクリートを上部既存柱2と下部既存柱3のそれぞれに接合することにより、補強部材5、6の付加と、ベースプレート6、7の補強部材4、5への定着が同時期に行われる。
【0032】
鋼材の場合の補強部材4、5は上部既存柱2と下部既存柱3の周囲に、アンカーボルト8定着用のプレート等が突設された鋼板等を上部既存柱2と下部既存柱3を包囲するように配置し、隣接する鋼板、もしくは対向する鋼板を互いに接合して上部既存柱2と下部既存柱3の表面に密着させることにより形成される。
【0033】
上部のベースプレート6は、図2に示すように免震装置11の高さに合わせ、上部の補強部材4に対して隙間をおいてレベル調整された状態で補強部材4に定着され、ベースプレート6と補強部材4の下端との間の空隙にグラウト14が充填される。
【0034】
ベースプレート6、7は上部の補強部材4の下面、及び下部の補強部材5の上面が平滑に均された状態で配置され、分割されているプレート61,61同士、及びプレート71,71同士はプレート61、71の接合側の端部に一体化させたフランジ同士をボルト接合することにより、またはフランジ同士、あるいはフランジを一体化させることなくプレート61,61(71,71)同士を直接溶接することにより接合される。
【0035】
補強部材4、5の構築、もしくは接合後、図1−(d)に示すように上部の補強部材4と下部の補強部材5と間に、除去すべき区間より上の荷重を負担するジャッキや鋼材等、圧縮力を負担できる仮受け材9を設置し、両端部を補強部材4、5に接続する。仮受け材9は免震装置11設置時の障害とならない位置に配置する。
【0036】
このとき、仮受け材9が圧縮力を負担することに伴い、ベースプレート6、7を構成するプレート61,61間、及びプレート71,71間に開きが生じないようにするために、仮受け材9の上端部は上部の補強部材4の下端部寄りに、下端部は下部の補強部材5の上端部寄りに接合される。
【0037】
図1では仮受け材9が除去すべき区間より上の荷重を負担することによる補強部材4、5の外側への変形を防止するために、上部の補強部材4の下端部と下部の補強部材5の上端部にPC鋼材10を挿通させ、補強部材4と補強部材5に水平方向にプレストレスを与えている。PC鋼材10は補強部材4、5のみを貫通する場合と、補強部材4と上部既存柱2、補強部材5と下部既存柱3を貫通する場合がある。
【0038】
仮受け材9を上部と下部の補強部材4、5に接続した後、図1−(d)に示すように既存柱1の除去すべき区間を除去し、引き続き、(e)に示すようにその除去部分に免震装置11を設置し、その上下のフランジ12、12をベースプレート6、7にボルト13により接合する。
【0039】
フランジ12、12のベースプレート6、7への接合後、図2に示すように、上部のベースプレート6が上部の補強部材4に対して隙間をおいてレベル調整された状態で、ベースプレート6と補強部材4の下端との間の空隙にグラウト14が充填される。
【0040】
図2に示すように上部の補強部材4がコンクリートで、上部のベースプレート6が上部の補強部材4に対して隙間をおいてレベル調整された状態で補強部材4に定着されている場合にはナット6aをグラウト14中に埋設するために、補強部材4の下端の型枠15に、ナット6aを包囲し、グラウト14が充填されるための箱形のケース16が取り付けられる。
【0041】
グラウト14の硬化後、仮受け材9を撤去して免震装置11の設置作業が終了する。PC鋼材10は補強部材4、5の表面への仕上げ上の障害になる場合は撤去され、そうでない場合は残される。撤去される場合はPC鋼材10が挿通していた孔にグラウトが充填される。図3は免震装置11の設置が完了した様子を示す。
【0042】
【発明の効果】
この発明では免震装置を受けるベースプレートとして複数枚のプレートに分割されているベースプレートを用いた上で、下部の補強部材の上面および上部の補強部材4に対して隙間をおいてレベル調整された状態でベースプレートを固定してその側の補強部材に定着させることで、除去前の既存柱との衝突を回避しながらベースプレートを配置し、グラウトの充填に関係なく免震装置を設置することができるため、一免震装置当たりの設置完了までの作業時間が短縮され、作業効率が上昇する。
【0043】
また、免震装置のフランジを受けるベースプレートを補強部材に定着させることで、下側のベースプレートと補強部材との間にグラウトを充填する必要がなくなるため、下側のグラウトの充填高さだけ、除去すべき既存柱の区間を短縮することができ、グラウト材料費の低減が図られる。
【0044】
下側のグラウト充填高さ分、除去すべき既存柱の区間の距離が短縮されることで、従来方法より既存柱の除去から免震装置設置までの間の、仮受け材による上部構造を支持した状態での安定性と安全性が向上する。
【0045】
また、アンカーボルト等の定着体の定着長さが制限されることがないため、補強部材において十分な定着体の定着長さを確保することができる。
【0046】
加えて少なくとも下部の補強部材について、グラウトの硬化を待つことなく、補強部材を付加した時点で免震装置の設置作業に移行することができるため、施工能率の向上が図られる。
【0047】
また、上部の補強部材の下端部と下部の補強部材の上端部にPC鋼材を水平方向に挿通させ、PC鋼材を挿通させた補強部材に水平方向にプレストレスを与えることで、上部の補強部材と下部の補強部材の外周にこれらに跨って設置した仮受け材が除去すべき区間より上の荷重を負担することによる補強部材の外側への変形を防止することができる。
【0048】
補強部材に十分な定着長さを確保することが可能な状況で、ベースプレートに付属したアンカーボルトをその側の補強部材に定着させるため、1本当たりの引き抜き抵抗力を増大させることができ、アンカーボルトをグラウトに定着させる場合よりアンカーボルトの本数を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)、(c)〜(f)は施工手順を示した立面図、(b)は(a)の水平断面図である。
【図2】 この発明による免震装置の設置部分の詳細を示した立面図である。
【図3】 免震装置の設置が完了した様子を示した立面図である。
【図4】 (a)〜(f)はベースプレートのアンカーをグラウトに定着させる従来方法の施工手順を示した立面図である。
【符号の説明】
1……既存柱、2……上部既存柱、3……下部既存柱、4……(上部)補強部材、5……(上部)補強部材、51……鉄筋、6……(上部)ベースプレート、61……プレート、6a……ナット、7……(下部)ベースプレート、71……プレート、7a……ナット、8……アンカーボルト、9……仮受け材、 10……PC鋼材、11……免震装置、12……フランジ、13……ボルト、14……グラウト、15……型枠、16……ケース。
Claims (1)
- 既存柱の軸方向の一部の区間を除去し、その除去部分に免震装置を設置する方法であり、前記既存柱の除去すべき一部の区間を挟んだ上部既存柱と下部既存柱の各周囲のそれぞれに補強部材を付加すると共に、下部の補強部材の上面に、複数枚のプレートに分割されているアンカーボルトが付属したベースプレートを、既存柱を包囲し、その側の補強部材に前記アンカーボルトを定着させた状態で固定し、上部の補強部材の下面に、複数枚のプレートに分割されているアンカーボルトが付属したベースプレートを、既存柱を包囲し、その側の補強部材に対して隙間をおいてレベル調整した状態で定着させ、前記ベースプレートと補強部材の下端との間の空隙にグラウトを充填した後、上部の補強部材の下端部と下部の補強部材の上端部にPC鋼材を水平方向に挿通させ、PC鋼材を挿通させた補強部材に水平方向にプレストレスを与え、上部の補強部材と下部の補強部材の外周に上部の補強部材と下部の補強部材との間に跨って、前記除去すべき一部の区間より上の荷重を負担する仮受け材を設置し、仮受け材に前記除去すべき一部の区間より上の荷重を負担させた状態で、前記一部の区間を除去し、その除去部分に免震装置を設置する既存柱への免震装置の設置方法。
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