JP6069894B2 - 既存建物の免震化工法 - Google Patents

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本発明は、既存建物の柱に免震装置を設置する既存建物の免震化工法に関する。
既存建物の柱に免震装置を設置する既存建物の免震化工法としては、例えば、既存建物の上下梁間に仮設ブレース等を配置し、柱毎に、柱の負担荷重を仮設支柱に移し替え、柱の中間部を切除して、切除空間に免震装置を設置した後に仮設支柱等を撤去する既存建物の免震化工法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−57189号公報
既存建物の免震化工事は、工期が長期間にわたるため、既存建物を使用しながら工事が行われる場合がほとんどである。上記のように、既存建物の柱等の軸力材を単に切断して免震装置を設置すると、軸力材を切除してから免震装置が適切に機能するまでの期間は、構造体として不安定になる。このため、上記のように仮設ブレースを設置したり、耐力壁に仮設のプレートを設置するなどの処置が施されている。また、工事期間中に地震が発生することを想定し、水平力に対して安全性を確保するために、設置する仮設部材は大掛かりなものとなり、コストや工程に大きな負担になるという課題がある。
本発明はかかる従来の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、簡単で小規模な構成により、水平荷重に対抗可能に既存建物を支持しつつ施工することが可能な既存建物の免震化工法を提供することにある。
かかる目的を達成するために本発明の既存建物の免震化工法は、
既存建物の柱に免震装置を設置する既存建物の免震化工法であって、
前記免震装置を設置する前記柱の上側である柱上部の外周にコンクリートを打ち増して当該柱上部を補強する柱上部補強部を形成する柱上部補強工程と、
前記柱上部の下側となる柱下部の外周にコンクリートを打ち増して当該柱下部を補強する柱下部補強部を前記柱と一体とした下補強柱体を形成する柱下部補強工程と、
前記柱上部補強部を下方から支持する荷重支持部材を、前記柱より上側の上部構造体の荷重を前記柱より下側の下部構造体側に伝達すべく前記下補強柱体に支持させるとともに、前記柱上部補強部と前記荷重支持部材との間に水平方向荷重に対抗可能な摩擦接合部を設ける荷重支持部材設置工程と、
前記荷重支持部材が前記下補強柱体に支持された後に、前記柱上部と前記柱下部との間を切除する柱切除工程と、
切除された前記柱上部と前記柱下部との間に前記免震装置を備える免震装置設置工程とを有し、
前記免震装置設置工程後に前記荷重支持部材を撤去することを特徴とする既存建物の免震化工法である。
このような既存建物の免震化工法によれば、柱上部を補強した柱上部補強部を下方から支持する荷重支持部材を、上部構造体の荷重を下部構造体側に伝達すべく、柱下部を補強した柱下部補強部が柱と一体をなす下補強柱体に支持させるので、荷重支持部材が介在されている柱上部側と柱下部側との間の柱に、免震装置を設置するために切断等の加工を施しても上部構造体の荷重を支持することが可能である。このため、柱上部側と柱下部側との間の柱に免震装置を容易に設置することが可能である。このとき、柱上部補強部を下方から支持する荷重支持部材は柱より上側の上部構造体の荷重を柱より下側の下部構造体側に伝達すべく前記下補強柱体に支持させるので、大掛かりな設備を使用することなく荷重支持部材にて支持させることが可能である。
また、このような既存建物の免震化工法によれば、荷重支持部材により支持された状態で柱上部と柱下部との間を切除するので、建物の構造強度を確保しつつ柱上部と柱下部との間の柱を切除し、容易に免震装置を設置することが可能である。
また、柱上部補強部と荷重支持部材との間に水平方向荷重に対抗可能な摩擦接合部が設けられるので、たとえ、既存建物の柱に免震装置を設置する施工中に地震が発生しても、柱上部補強部と荷重支持部材との間に設けられた摩擦接合部により、柱上部補強部と荷重支持部材との水平方向における相対移動は生じない。このため、施工中の既存建物が地震により損傷することを防止することが可能である。このように、簡単で小規模な構成により、水平荷重に対抗可能に既存建物を支持しつつ柱に免震装置を設置することが可能である。
かかる既存建物の免震化工法であって、前記柱上部補強部と前記柱下部補強部とが上下方向において互いに対向する部位の間に、前記荷重支持部材を介在させることにより、前記上部構造体の荷重が前記下部構造体側に伝達可能となることが望ましい。
このような既存建物の免震化工法によれば、建物の荷重を支持する荷重支持部材は、柱上部補強部と柱下部補強部とが上下方向において互いに対向する部位の間に介在されるので、柱より上側の上部構造体の荷重を柱より下側の下部構造体側に確実に伝達することが可能である。
かかる既存建物の免震化工法であって、前記柱上部補強部と前記柱下部補強部との間に、前記荷重支持部材が介在されたときに前記柱上部補強部との間に空隙が生じた場合には、前記空隙にグラウトを充填することが望ましい。
このような既存建物の免震化工法によれば、柱上部補強部と柱下部補強部との間に荷重支持部材を介在したときに空隙が生じたとしても空隙にグラウトを充填するので、荷重支持部材を介して、上部構造体の荷重を下部構造体側に確実に伝達することが可能である。
かかる既存建物の免震化工法であって、前記柱上部補強部及び前記柱下部補強部の外周側には、前記柱上部補強部と前記荷重支持部材との間及び前記柱下部補強部と前記荷重支持部材との間に跨って、前記荷重支持部材の水平方向におけるズレを防止するズレ防止部材を固定することが望ましい。
このような既存建物の免震化工法によれば、柱上部補強部及び柱下部補強部の外周側から、柱上部補強部と荷重支持部材との間及び柱下部補強部と荷重支持部材との間に跨って、荷重支持部材の水平方向におけるズレを防止するズレ防止部材を固定するので、上部構造体と下部構造体とが水平方向に相対移動することをより確実に防止することが可能である。
かかる既存建物の免震化工法であって、前記荷重支持部材は、当該荷重支持部材の上面が前記柱上部補強部の下面に当接された状態にて、当該荷重支持部材及び前記下補強柱体を横方向に貫通されて引張力が導入されたPC鋼棒により前記下補強柱体に圧着されることが望ましい。
このような既存建物の免震化工法によれば、荷重支持部材の上面が柱上部補強部の下面に当接された状態にて、荷重支持部材が横方向に貫通されて引張力が導入されたPC鋼棒により下補強柱体に圧着されるので、荷重支持部材の下方には柱下部補強部が存在していなくともよい。このため、柱下部の周囲が狭い場合であっても、上部構造体の荷重を支持しつつ、柱上部側と柱下部側との間の柱に、免震装置を設置するために切断等の加工を施して免震装置を設置することが可能である。
かかる既存建物の免震化工法であって、前記免震装置設置工程では、前記免震装置とともに超薄型ジャッキを設置し、前記超薄型ジャッキにグラウトを充填して前記柱上部側に当接させることが望ましい。
このような既存建物の免震化工法によれば、柱の切除された部位に免震装置とともに設置した超薄型ジャッキにグラウトを充填するので、切除した柱上部と柱下部との間にて荷重を支持することが可能である。このため、柱を切除する際に支持していた荷重支持部材から免震装置へ荷重を移行させることが可能である。ここで、超薄型ジャッキとは、狭い空間であっても設置することが可能で、大きな力を安定した状態で作用させることが可能なジャッキであり、袋状の本体に、オイルやグラウトなどを充填することによりジャッキアップすることが可能である。このような超薄型ジャッキとしては、たとえば、極東鋼弦コンクリート振興株式会社製FKKフラットジャッキ(登録商標)が挙げられる。
かかる既存建物の免震化工法であって、前記荷重支持部材を撤去した後に、前記超薄型ジャッキが介在されている上下の部位間にグラウトを充填して前記超薄型ジャッキを埋設することが望ましい。
このような既存建物の免震化工法によれば、荷重支持部材を撤去した後に、超薄型ジャッキが介在されている上下の部位間にグラウトを充填して超薄型ジャッキを埋設するので、超薄型ジャッキが設けられた部位を、容易に他の部位と同様強度とすることが可能である。
また、
既存建物の柱に免震装置を設置する既存建物の免震化工法であって、
前記免震装置を設置する前記柱の上側である柱上部の外周にコンクリートを打ち増して当該柱上部を補強する柱上部補強部を形成する柱上部補強工程と、
前記柱上部の下側となる柱下部の外周にコンクリートを打ち増して当該柱下部を補強する柱下部補強部を前記柱と一体とした下補強柱体を形成する柱下部補強工程と、
前記柱上部補強部を下方から支持する荷重支持部材を、前記柱より上側の上部構造体の荷重を前記柱より下側の下部構造体側に伝達すべく前記下補強柱体に支持させるとともに、前記柱上部補強部と前記荷重支持部材との間に水平方向荷重に対抗可能な摩擦接合部を設ける荷重支持部材設置工程と、
を有し、
前記荷重支持部材は、当該荷重支持部材の上面が前記柱上部補強部の下面に当接された状態にて、当該荷重支持部材及び前記下補強柱体を貫通されて引張力が導入されたPC鋼棒により前記下補強柱体に圧着され
前記PC鋼棒は前記荷重支持部材に設けられたルーズホールに貫通され、
前記荷重支持部材を撤去する際には、前記PC鋼棒に導入されている引張力を低減することにより、前記荷重支持部材が支持する前記上部構造体の荷重を前記免震装置側に移行した後に前記荷重支持部材を撤去することを特徴とする。
荷重支持部材を引張力により下補強柱体に圧着しているPC鋼棒の引張力を低減すると、荷重支持部材が支持している力により、荷重支持部材を下補強柱体に対して相対移動させて、上部構造体の荷重を免震装置が介在された柱側に容易に移行させることが可能である。
本発明によれば、簡単で小規模な構成により、水平方向荷重に対抗可能に既存建物を支持しつつ施工することが可能な既存建物の免震化工法を提供することが可能である。
図1(a)は、既存建物の柱を示す正面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−A断面図である。 図2(a)は、柱上部及び柱下部を補強した状態を示す正面図であり、図2(b)は、図2(a)におけるB−B断面図である。 図3(a)は、仮受PCブロックを設置した状態を示す正面図であり、図3(b)は、図3(a)におけるC−C断面図である。 図4(a)は、柱の一部を切除した状態を示す正面図であり、図4(b)は、図4(a)におけるD−D断面図である。 図5(a)は、積層ゴム支承を設置する下側固定部を形成した状態を示す正面図であり、図5(b)は、図5(a)におけるE−E断面図である。 図6(a)は、柱の切除部に積層ゴム支承、超薄型ジャッキ及び上ベースプレートを配置した状態を示す正面図であり、図6(b)は、図6(a)におけるF−F断面図である。 図7(a)は、上ベースプレート上にコンクリートを打設した状態を示す正面図であり、図7(b)は、図7(a)におけるG−G断面図である。 図8(a)は、超薄型ジャッキにグラウトを充填して積層ゴム支承側に荷重を移行させた状態を示す正面図であり、図8(b)は、図8(a)におけるH−H断面図である。 図9(a)は、仮受PCブロックを撤去した状態を示す正面図であり、図9(b)は、図9(a)におけるI−I断面図である。 図10(a)は、積層ゴム支承が介在されている上ベースプレートと積層ゴム支承との間にグラウトを充填した状態を示す正面図であり、図10(b)は、図10(a)におけるJ−J断面図である。 第1実施形態にかかる既存建物の免震化工法の手順を示すフロー図である。 図12(a)は、地震時において仮受PCブロックが介在されている柱に作用する力を説明するための図であり、図12(b)は、地震時において仮受PCブロックに作用する力を説明するための図である。 第2実施形態にかかる既存建物の免震化工法を説明するための正面図である。 第2実施形態にかかる既存建物の免震化工法の手順を示すフロー図である。 本発明の変形例にかかる既存建物の免震化工法を説明するための正面図である。 本発明の変形例にかかる既存建物の免震化工法の手順を示すフロー図である。
以下、本実施形態の既存建物の免震化工法の一例について図を用いて詳細に説明する。
第1実施形態の既存建物の免震化工法として、既存建物の地上一階の床と地下一階の床とを繋ぐ複数の柱に免震装置としての積層ゴム支承を各々設置する例にについて説明する。
図1〜図10は、本発明にかかる既存建物の免震化工法を、順を追って示しており、下に正面図、上に正面図に示した破断面における断面図を示している。図1(a)は、既存建物の柱を示す正面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−A断面図である。図2(a)は、柱上部及び柱下部を補強した状態を示す正面図であり、図2(b)は、図2(a)におけるB−B断面図である。図3(a)は、仮受PCブロックを設置した状態を示す正面図であり、図3(b)は、図3(a)におけるC−C断面図である。図4(a)は、柱の一部を切除した状態を示す正面図であり、図4(b)は、図4(a)におけるD−D断面図である。図5(a)は、積層ゴム支承を設置する下側固定部を形成した状態を示す正面図であり、図5(b)は、図5(a)におけるE−E断面図である。図6(a)は、柱の切除部に積層ゴム支承、超薄型ジャッキ及び上ベースプレートを配置した状態を示す正面図であり、図6(b)は、図6(a)におけるF−F断面図である。図7(a)は、上ベースプレート上にコンクリートを打設した状態を示す正面図であり、図7(b)は、図7(a)におけるG−G断面図である。図8(a)は、超薄型ジャッキにグラウトを充填して積層ゴム支承側に荷重を移行させた状態を示す正面図であり、図8(b)は、図8(a)におけるH−H断面図である。図9(a)は、仮受PCブロックを撤去した状態を示す正面図であり、図9(b)は、図9(a)におけるI−I断面図である。図10(a)は、積層ゴム支承が介在されている上ベースプレートと積層ゴム支承との間にグラウトを充填した状態を示す正面図であり、図10(b)は、図10(a)におけるJ−J断面図である。図11は、第1実施形態にかかる既存建物の免震化工法の手順を示すフロー図である。
第1実施形態の既存建物1の免震化工法は、図1に示すような地上一階の床1aと地下一階の床1bとの途中にて各既存柱10の一部を切除し、図10に示すように、切除した部位に免震装置としての積層ゴム支承20を設置する。以下の説明においては、1本の既存柱10を例に挙げて説明する。
第1実施形態の既存建物1の免震化工法では、図11に示すように、まず、図1に示す既存建物1の断面がほぼ正方形状をなす既存柱10において、積層ゴム支承20(図6〜図10)を介装する部位の上側の柱上部11と、積層ゴム支承20を介装する部位の下側となる柱下部12とを図2に示すように補強する。ここでは、柱上部11の外周部に当該柱上部11と一体をなすようにコンクリートを打ち増して柱上部11を補強する柱上部補強部11aを形成し(柱上部補強工程S110)、柱下部12の外周部に当該柱下部12と一体をなすようにコンクリートを打ち増して柱下部12を補強する柱下部補強部12aを形成する(柱下部補強工程S110)。このとき、柱下部補強部12aは、全周に渡ってほぼ均等の厚さをなすように打ち増され、柱上部補強部11aは、正方形状をなす断面における二対の対辺のうち一方の対辺側が柱下部補強部12aとほぼ同じ厚さをなしており、他方の対辺側が柱下部補強部12aより厚くなるように打ち増されている。このため、水平面内の直交する2方向において、一方は柱上部補強部11aと柱下部補強部12aとが上下方向に対面する位置に設けられており、他方は、柱上部補強部11aが柱下部補強部12aと上下方向に対面する部位の外側に柱下部補強部12aと対面しない非対面部11bを有している。
次に、図3に示すように、四角柱状のPCコンクリートでなる荷重支持部材としての仮受PCブロック15を、柱上部補強部11aと、柱下部12及び柱下部補強部12aでなる下補強柱体13との間に介装させる(荷重支持部材設置工程S120)。
仮受PCブロック15は、柱上部補強部11aの非対面部11bにて、柱上部補強部11aの四隅となる位置に下方から当接させたときに、柱上部補強部11aの角部をなす外周面と、各仮受PCブロック15の1つの角部をなす外周面とがほぼ面一になるような、水平断面形状をなしている。また、仮受PCブロック15の上面15aが柱上部補強部11aの下面である非対面部11bに当接されたときに、仮受PCブロック15の下面15bが、下補強柱体13の上面13aより下方に位置するように構成されている。また、仮受PCブロック15には、上面15aが柱上部補強部11aの非対面部11bに当接されて下補強柱体13の上面13aより下に位置する部位に、水平方向に貫通する2つのブロック貫通孔(不図示)が設けられている。
下補強柱体13の柱下部補強部12aには、仮受PCブロック15を柱上部補強部11aの四隅となる位置に下方から当接させたときに、2つの仮受PCブロック15にて挟まれる位置に、両側の仮受PCブロック15に設けられている各2つのブロック貫通孔と繋がるように、2つの補強部貫通孔(不図示)が設けられている。これらブロック貫通孔及び補強部貫通孔にはPC鋼棒16が挿通され、両端部にナット(不図示)が螺合されて引張力が導入され、2つの仮受PCブロック15が柱下部補強部12aに圧着されるように構成されている。このとき、各ブロック貫通孔及び各補強部貫通孔は、その内径がPC鋼棒16の外径より大きく形成された、所謂ルーズホールである。
そして、仮受PCブロック15を取り付ける際には、仮受PCブロック15の上面15aを柱上部補強部11aの非対面部11bに当接させて、2つの仮受PCブロック15のブロック貫通孔と柱下部補強部12aの補強部貫通孔に挿通させたPC鋼棒16の両端に螺合したナットを締め込んで、2つの仮受PCブロック15を柱下部補強部12aに圧着させる。このとき、PC鋼棒16は、仮受PCブロック15と既存柱10とを貫通するように設けられていてもよい。第1実施形態では、柱上部補強部11aの非対面部11bと仮受PCブロック15の上面15aとが、柱上部補強部と荷重支持部材との間に設けられる、水平方向荷重に対抗可能な摩擦接合部に相当する。
次に、図4に示すように、既存柱10の補強されていない部分、すなわち、既存柱10の、柱上部補強部11aより下に位置し、柱下部補強部12aより上に位置する部位を切除する(柱切除工程S130)。この、既存柱10が切除されて形成された空間に、積層ゴム支承20が設置される。
次に、図5に示すように、既存柱10が切除された空間を形成する下面、すなわち、下補強柱体13の上面13aに積層ゴム支承20を取り付けるための取付下地21を形成する(S140)。
取付下地21は、既存柱10を切除する際に、内部に埋設されている鉄筋(不図示)を上方に突出させて残しておいた、柱下部12を含む下補強柱体13上に形成される。取付下地21を形成する際には、まず、上方に突出した鉄筋を囲むように、柱下部補強部12aとほぼ同様の外周をなすように型枠(不図示)を設置する。そして、型枠内に、水平方向に渡る鉄筋を配設するとともに、型枠の中央に位置させて、下面にアンカー22aが設けられたベースプレート22を配置する。ベースプレート22には、積層ゴム支承20の上下の端に設けられたフランジ20aが備える取付孔と位置を合わせて開口が設けられており、開口の下面側にはナット22cが固定されている。そして、型枠内にコンクリート23を打設し、コンクリート23が硬化した後に型枠を外して取付下地21が完成する。
形成された取付下地21に上に、図6に示すように、積層ゴム支承20を配置し、積層ゴム支承20の取付孔とベースプレート22の開口とを貫通するボルト24にて積層ゴム支承20を取付下地21に固定する(免震装置設置工程S150)。その後、積層ゴム支承20上に超薄型ジャッキ25と、超薄型ジャッキ25の上に取付下地21のベースプレート22と同様のベースプレート22を、上下を反転させて配置する。このとき、取付下地21と同様に、既存柱10を切除する際に、鉄筋(不図示)を下方に突出させて残しておき、鉄筋を囲むように型枠(不図示)を設置し、型枠の内に、水平方向に渡る鉄筋(不図示)を配設しておく。そして、積層ゴム支承20の上側のフランジ20a上に超薄型ジャッキ25を載置し、超薄型ジャッキ25上に上側のベースプレート22を、アンカー22aが設けられている側を上に向けて載置する。その後、積層ゴム支承20の上側のフランジ20aに設けられた取付孔とベースプレート22の開口とを貫通するボルト26にて積層ゴム支承20を固定する。そして、図7に示すように、型枠内にコンクリート23を打設して、上側のベースプレート22が固定されることにより、積層ゴム支承20が既存柱10間に配置される。
次に、図8に示すように、超薄型ジャッキ25内に無収縮グラウトを充填し、無収縮グラウトが充填された超薄型ジャッキ25にて、積層ゴム支承20の上面と上側のベースプレート22の下面と押圧させることにより、仮受PCブロック15にて支持されていた荷重を積層ゴム支承20側に移行させる(S160)。そして、2つの仮受PCブロック15と柱下部補強部12aとを貫通しているPC鋼棒16に螺合されているナットを緩めてPC鋼棒16をはずし、図9に示すように、仮受PCブロック15を撤去する(S170)。
最後に、図10に示すように、超薄型ジャッキ25が設けられている、積層ゴム支承20と上側のベースプレート22との間に無収縮グラウト27を充填して、既存柱10への積層ゴム支承20の設置が完了する(S180)。
第1実施形態の既存建物の免震化工法によれば、柱上部11を補強した柱上部補強部11aを下方から支持する仮受PCブロック15を、上部構造体2の荷重を下部構造体3側に伝達すべく、柱下部12を補強した柱下部補強部12aが既存柱10と一体をなす下補強柱体13に支持させるので、仮受PCブロック15が介在されている柱上部11側と柱下部12側との間の既存柱10を切除しても上部構造体2の荷重を支持することが可能である。このため、柱上部11側と柱下部12側との間の既存柱10に積層ゴム支承20を容易に設置することが可能である。このとき、柱上部補強部11aは、柱上部11の外周にコンクリートを打ち増して形成し、柱下部補強部12aは柱下部12の外周にコンクリートを打ち増して形成するだけなので、積層ゴム支承20を設置する既存柱10を容易に補強することが可能である。
また、柱上部補強部11aを下方から支持する仮受PCブロック15は既存柱10より上側の上部構造体2の荷重を既存柱10より下側の下部構造体3側に伝達すべく下補強柱体13に支持させるので、大掛かりな設備を使用することなく仮受PCブロック15に上部構造体2の荷重を支持させることが可能である。
また、柱上部補強部11aと仮受PCブロック15との間には、柱上部補強部11aの非対面部11bと仮受PCブロック15の上面15aとが、水平方向荷重に対抗可能な摩擦接合部を構成するので、たとえ、既存建物1の既存柱10に積層ゴム支承20を設置する施工中に地震が発生しても、柱上部補強部11aと仮受PCブロック15との水平方向における相対移動は生じない。このため、施工中の既存建物1が地震により損傷することを防止することが可能である。たとえば、地震により作用する水平方向荷重は、一次設計において、水平震度0.2(鉛直荷重の20%)として計算するのが標準的なので、鉛直荷重、すなわち支持している荷重Nの約20%であるとすれば、柱上部補強部11aと仮受PCブロック15との接合部における静止摩擦力Pは(式1)にて求められる。
P=μ×N ・・・(式1)
このため、地震による水平方向荷重を柱上部補強部11aと仮受PCブロック15との接合部における静止摩擦力Pにて対抗させる場合には、静止摩擦力Pが、仮受PCブロック15にて支持している荷重Nの20%以上となるように設定する。すなわち、柱上部補強部11aの非対面部11bと仮受PCブロック15の上面15aとの静止摩擦係数μを0.2以上としてそれに安全率を考慮することにより、柱上部補強部11aと仮受PCブロック15との接合部にて地震による水平方向荷重に対抗させることが可能である。
また、水平力と鉛直力は地震動応答解析により導き出してもよい。この場合には、その応答値は地盤や建物の条件により異なる結果となる。例えば、レベル1地震動で250gal程度(鉛直荷重の25%程度の水平力となる)の応答となるのをひとつの一般的な目安としてもよい。
このように、簡単で小規模な構成により、水平方向荷重に対抗可能に上部構造体2の荷重を支持しつつ既存柱10に積層ゴム支承20を設置することが可能である。ここで、仮受PCブロック15は、地震等の水平荷重が作用した際に、上下が互いに逆方向に引っ張られて転倒しないように、柱上部補強部11a及び柱下部補強部12aと十分に広い面積にて対向するように構成されている。
ここで、地震時に仮受PCブロック15が転倒しないために考慮すべきロジックを説明する。
図12(a)は、地震時において仮受PCブロックが介在されている柱に作用する力を説明するための図であり、図12(b)は、地震時において仮受PCブロックに作用する力を説明するための図である。
地図12(a)に示すように、地震時に仮受PCブロック15が転倒しないためには、地震時の水平力によって浮力が発生しないような形状(高さH:底辺W比)が、仮受PCブロック15に求められる。ここでは、1本の柱に4本の仮受PCブロック15が介在されていることとする。すなわち、柱にかかる鉛直力がPvであるとすると、各仮受PCブロック15にかかる鉛直力はPv/4となり、柱にかかる水平力がPhであるとすると、各仮受PCブロック15にかかる水平力はPh/4となる。ここで、Pv及びPhは、地震動応答解析の結果に基づく、水平力の最大値Phと鉛直力の最小値Pvである。
そして、(式2)にて求められる、この地震動による浮力Pf/4が鉛直力Pv/4より小さい場合に仮受PCブロック15が浮き上がらず転倒しないので、(式3)を満たす高さHと底辺Wにより、適切な仮受PCブロック15の形状が求められる。
Pf=(Ph/4)×(H/W) ・・・(式2)
Pv/4 > Pf ・・・(式3)
たとえば、Pv=1000t,Ph=250t,H=1200mmの場合には、
1200/W < 1000/250
W = 300mm
となり、安全を考慮して、例えば400mmとする。
また、実際には、この力に対してせん断、圧縮、曲げについて仮受PCブロック15の耐力も検討するが、ここでは説明を省略する。
また、仮受PCブロック15は、上面15aが柱上部補強部11aの非対面部11bに当接された状態にて、仮受PCブロック15が横方向に貫通されて引張力が導入されたPC鋼棒16により下補強柱体13に圧着されるので、仮受PCブロック15の下方には柱下部補強部12aが存在していなくともよい。このため、柱下部12の周囲が狭い場合であっても、上部構造体2の荷重を支持しつつ、柱上部11側と柱下部12側との間の既存柱10を切除して積層ゴム支承20を設置することが可能である。
また、仮受PCブロック15により支持された状態で柱上部11と柱下部12との間を切除するので、既存建物1の構造強度を確保しつつ、また、地震による水平方向荷重と対抗可能な状態にて柱上部11と柱下部12との間の既存柱10を切除し、容易に積層ゴム支承20を設置することが可能である。
また、既存柱10の切除された部位に積層ゴム支承20とともに設置した超薄型ジャッキ25に無収縮グラウトを充填するので、切除した柱上部11と柱下部12との間にて荷重を支持することが可能である。このため、既存柱10を切除する際に支持していた仮受PCブロック15から積層ゴム支承20へ荷重を移行させることが可能である。
また、仮受PCブロック15を撤去した後に、超薄型ジャッキ25が介在されている上下の部位間に無収縮グラウト27を充填して超薄型ジャッキ25を埋設するので、超薄型ジャッキ25が設けられた部位を、容易に他の部位と同様強度とすることが可能である。
また、仮受PCブロック15を引張力により下補強柱体13に圧着しているPC鋼棒16の引張力を低減すると、仮受PCブロック15が支持している力により、仮受PCブロック15を下補強柱体13に対して相対移動させて、上部構造体2の荷重を積層ゴム支承20が介在された既存柱10側に容易に移行させることが可能である。
図13は、第2実施形態にかかる既存建物の免震化工法を説明するための正面図である。図14は、第2実施形態にかかる既存建物の免震化工法の手順を示すフロー図である。
第2実施形態の既存建物の免震化工法は、第1実施形態にてPC鋼棒16により下補強柱体13に圧着した仮受PCブロック15を、図13に示すように、柱上部補強部11aと柱下部補強部12aとが上下の対向する部位間に介在させる。以下の説明においては、第1実施形態と同様の構成については同符号を付して説明を省略し、また、同様の工程についても説明を省略する。
第2実施形態の場合には、柱上部補強工程(S110)において、柱上部補強部11aを柱下部補強部12aと対向するように形成し、非対面部11bは設けられていなくともよい。
まず、柱上部補強部11aと柱下部補強部12aとの間に仮受PCブロック15を設置する。このとき、柱上部補強部11aと柱下部補強部12aとの間に仮受PCブロック15が空隙を生じることなく介在されることが望ましいが、空隙が生じる場合には、柱下部補強部12aの、柱上部補強部11aと対向する部位上に仮受PCブロック15を載置し、仮受PCブロック15の上面15aと柱上部補強部11aとの間の空隙に無収縮グラウトを充填する(S121)。このとき、仮受PCブロック15は、柱上部補強部11a及び柱下部補強部12aの四隅となる位置に、柱上部補強部11a及び柱下部補強部12aの角部をなす外周面11c、12cと、仮受PCブロック15の1つの角部をなす外周面15cとが面一になるように配置する。
そして、柱上部補強部11a及び柱下部補強部12aの角部をなす各外周面11c、12cと、これら各外周面11c、12cと面一をなす4つの仮受PCブロック15の各々2つの外周面15cとに渡るように、仮受PCブロック15の水平方向のズレを防止するズレ防止部材28を固定する。第2実施形態の仮受PCブロック15及び柱下部補強部12aには、ブロック貫通孔及び補強部貫通孔は設けられていなくともよい。
その後、第1実施形態と同様に、既存柱10の、柱上部補強部11aより下に位置し柱下部補強部12aより上に位置する部位を切除し(柱切除工程S130)、積層ゴム支承20を取り付けるための取付下地21を形成し(S140)、積層ゴム支承20を取付下地21に固定した後に超薄型ジャッキ25と上側のベースプレート22を配置して(S150)コンクリート23を打設する(S155)。そして、超薄型ジャッキ25内に無収縮グラウトを充填して、積層ゴム支承20の上面と上側のベースプレート22の下面と押圧させることにより、仮受PCブロック15にて支持されていた荷重を積層ゴム支承20側に移行させる(S160)。
その後、ズレ防止部材28及び仮受PCブロック15を撤去した後に(S171)、超薄型ジャッキ25が設けられている、積層ゴム支承20と上側のベースプレート22との間に無収縮グラウト27を充填して、既存柱10への積層ゴム支承20の設置が完了する(S180)。
第2実施形態の既存建物の免震化工法によれば、上部構造体2の荷重を支持する仮受PCブロック15は、柱上部補強部11aと柱下部補強部12aとが上下方向において互いに対向する部位の間に介在されるので、柱上部11より上側の上部構造体2の荷重を柱下部12より下側の下部構造体3側により確実に伝達することが可能である。
また、柱上部補強部11aと柱下部補強部12aとの間に仮受PCブロック15が介在されたときに空隙が生じたとしても空隙に無収縮グラウトを充填するので、仮受PCブロック15を介して、上部構造体2の荷重を下部構造体3側に確実に伝達することが可能である。
また、柱上部補強部11a及び柱下部補強部12aの外周側から、柱上部補強部11aと仮受PCブロック15との間及び柱下部補強部12aと仮受PCブロック15との間に跨って、仮受PCブロック15の水平方向におけるズレを防止するズレ防止部材28を固定するので、上部構造体2と下部構造体3とが水平方向に相対移動することを防止することが可能である。ここで、第1実施形態と同様に、柱上部補強部11aと仮受PCブロック15との間にて、柱上部補強部11aと仮受PCブロック15の上面15aとが、水平方向荷重に対抗可能な摩擦接合部なすように構成されていれば、必ずしもズレ防止部材28を設けなくともよい。また、柱上部補強部11aと仮受PCブロック15との間に無収縮グラウトが充填されている場合であっても、柱上部補強部11a及び仮受PCブロック15と無収縮グラウトとの接合は弱いため、地震により水平方向荷重が入力されたときには初期の段階で接合が切り離され、柱上部補強部11aと仮受PCブロック15との間にて生じる摩擦力により水平方向荷重に対抗することが可能である。
図15は、本発明の変形例にかかる既存建物の免震化工法を説明するための正面図である。図16は、本発明の変形例にかかる既存建物の免震化工法の手順を示すフロー図である。
上記実施形態においては、既存柱10を切除した部分に介在させる免震装置を積層ゴム支承20としたが、これに限るものではなく、例えば、図15に示すような、滑り摩擦支承30でも構わない。既存柱10を切除した部分に滑り摩擦支承30を設置する場合には、第1実施形態の場合と異なり鉛直歪みが微少なため、超薄型ジャッキ25を用いないので、図16に示すように、第1実施形態の免震化工法の手順における超薄型ジャッキ25を設置する工程と、超薄型ジャッキ25に無収縮グラウト充填する工程、及び、超薄型ジャッキ25が設けられている部位の間に無収縮グラウト27を充填して超薄型ジャッキ25を埋設する工程が含まれない。このとき、超薄型ジャッキ25が設けられていないため、超薄型ジャッキ25に無収縮グラウトを充填させて荷重を移行させることはできない。このため、滑り摩擦支承30を設置する場合には、PC鋼棒16の引張力を徐々に緩めて、仮受PCブロック15を下補強柱体13と摺動させつつ仮受PCブロック15を柱上部補強部11aから離すことにより(S161)、既存建物1に衝撃を与えることなく、建物の荷重を移行させることが可能である。
すなわち、免震装置として荷重移行する際に鉛直歪みが大きく生じる積層ゴム支承20を用いる場合には、仮受PCブロック15から積層ゴム支承20へ荷重移行して仮受PCブロック15を撤去する目的と、荷重移行する際に鉛直歪みが大きく生じる積層ゴム支承20の鉛直変位を吸収する目的とで超薄型ジャッキ25を用いるが、PC鋼棒を緩めることで荷重移行し、かつ鉛直歪み量の小さな免震装置の場合は超薄型ジャッキを必ずしも設けなくとも構わない。
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
1 既存建物、1a 地上一階の床、1b 地下一階の床、
2 上部構造体、3 下部構造体、10 既存柱、11 柱上部、
11a 柱上部補強部、11b 非対面部、11c 外周面、
12 柱下部、12a 柱下部補強部、13 下補強柱体、
13a 上面、15 仮受PCブロック、15a 上面、
15b 下面、15c 外周面、16 PC鋼棒、
20 積層ゴム支承、20a フランジ、21 取付下地、
22 ベースプレート、22a アンカー、22c ナット、
23 コンクリート、24 ボルト、25 超薄型ジャッキ、
26 ボルト、27 無収縮グラウト、28 ズレ防止部材、
30 滑り摩擦支承

Claims (8)

  1. 既存建物の柱に免震装置を設置する既存建物の免震化工法であって、
    前記免震装置を設置する前記柱の上側である柱上部の外周にコンクリートを打ち増して当該柱上部を補強する柱上部補強部を形成する柱上部補強工程と、
    前記柱上部の下側となる柱下部の外周にコンクリートを打ち増して当該柱下部を補強する柱下部補強部を前記柱と一体とした下補強柱体を形成する柱下部補強工程と、
    前記柱上部補強部を下方から支持する荷重支持部材を、前記柱より上側の上部構造体の荷重を前記柱より下側の下部構造体側に伝達すべく前記下補強柱体に支持させるとともに、前記柱上部補強部と前記荷重支持部材との間に水平方向荷重に対抗可能な摩擦接合部を設ける荷重支持部材設置工程と、
    前記荷重支持部材が前記下補強柱体に支持された後に、前記柱上部と前記柱下部との間を切除する柱切除工程と、
    切除された前記柱上部と前記柱下部との間に前記免震装置を備える免震装置設置工程とを有し、
    前記免震装置設置工程後に前記荷重支持部材を撤去することを特徴とする既存建物の免震化工法。
  2. 請求項1に記載の既存建物の免震化工法であって、
    前記柱上部補強部と前記柱下部補強部とが上下方向において互いに対向する部位の間に、前記荷重支持部材を介在させることにより、前記上部構造体の荷重が前記下部構造体側に伝達可能となることを特徴とする既存建物の免震化工法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の既存建物の免震化工法であって、
    前記柱上部補強部と前記柱下部補強部との間に、前記荷重支持部材が介在されたときに前記柱上部補強部との間に空隙が生じた場合には、前記空隙にグラウトを充填することを特徴とする既存建物の免震化工法。
  4. 請求項2または請求項3に記載の既存建物の免震化工法であって、
    前記柱上部補強部及び前記柱下部補強部の外周側には、前記柱上部補強部と前記荷重支持部材との間及び前記柱下部補強部と前記荷重支持部材との間に跨って、前記荷重支持部材の水平方向におけるズレを防止するズレ防止部材を固定することを特徴とする既存建物の免震化工法。
  5. 請求項1に記載の既存建物の免震化工法であって、
    前記荷重支持部材は、当該荷重支持部材の上面が前記柱上部補強部の下面に当接された状態にて、当該荷重支持部材及び前記下補強柱体を貫通されて引張力が導入されたPC鋼棒により前記下補強柱体に圧着されることを特徴とする既存建物の免震化工法。
  6. 請求項1乃至請求項5に記載の既存建物の免震化工法であって、
    前記免震装置設置工程では、前記免震装置とともに超薄型ジャッキを設置し、
    前記超薄型ジャッキにグラウトを充填して前記柱上部側に当接させることを特徴とする既存建物の免震化工法。
  7. 請求項6に記載の既存建物の免震化工法であって、
    前記荷重支持部材を撤去した後に、前記超薄型ジャッキが介在されている上下の部位間にグラウトを充填して前記超薄型ジャッキを埋設することを特徴とする既存建物の免震化工法。
  8. 既存建物の柱に免震装置を設置する既存建物の免震化工法であって、
    前記免震装置を設置する前記柱の上側である柱上部の外周にコンクリートを打ち増して当該柱上部を補強する柱上部補強部を形成する柱上部補強工程と、
    前記柱上部の下側となる柱下部の外周にコンクリートを打ち増して当該柱下部を補強する柱下部補強部を前記柱と一体とした下補強柱体を形成する柱下部補強工程と、
    前記柱上部補強部を下方から支持する荷重支持部材を、前記柱より上側の上部構造体の荷重を前記柱より下側の下部構造体側に伝達すべく前記下補強柱体に支持させるとともに、前記柱上部補強部と前記荷重支持部材との間に水平方向荷重に対抗可能な摩擦接合部を設ける荷重支持部材設置工程と、
    を有し、
    前記荷重支持部材は、当該荷重支持部材の上面が前記柱上部補強部の下面に当接された状態にて、当該荷重支持部材及び前記下補強柱体を貫通されて引張力が導入されたPC鋼棒により前記下補強柱体に圧着され
    前記PC鋼棒は前記荷重支持部材に設けられたルーズホールに貫通され、
    前記荷重支持部材を撤去する際には、前記PC鋼棒に導入されている引張力を低減することにより、前記荷重支持部材が支持する前記上部構造体の荷重を前記免震装置側に移行した後に前記荷重支持部材を撤去することを特徴とする既存建物の免震化工法。
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