JP6637264B2 - 薄型ジャッキ及びこの薄型ジャッキを用いた免震装置又は支承装置の設置方法 - Google Patents
薄型ジャッキ及びこの薄型ジャッキを用いた免震装置又は支承装置の設置方法 Download PDFInfo
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Description
この免震装置は、据え付け作業時に建造物の荷重を支えていた仮受けジャッキを開放すると、免震装置に建造物の全荷重がかかるので、免震装置は、弾性変形をして建造物が数mmの沈み込が生じる。
一般に、重要な既設構造物、老朽化した既設構造物、不静定構造物など許容変位量が小さい場合、仮受け杭,ブラケットなどの支持条件や荷重の変動が予想されるような場合には、免震装置に前もって圧縮力を加え変形させておくる必要がある。このように、あらかじめ免震装置に圧縮力を加え変形させておく行為をここでは、プレ圧縮と呼ぶ。
図10においては、特許文献1と異なり、仮受けジャッキ17は、基礎柱10にブラケット12を用いて直接取り付けた例を示しているが、その他の構成は特許文献1と異なるところはない。
この図10において、基礎柱10の途中の上下両側に、上部ブラケット12aと下部ブラケット12bとをPC鋼材13で固定し、これらの上部ブラケット12aと下部ブラケット12bとの間の仮受けジャッキ17で建造物の荷重を仮受けする。
仮受け後、上部ブラケット12aと下部ブラケット12bの間の基礎柱10の一部をワイヤソーなどで切断し、基礎柱10は、基礎柱上部10aと基礎柱下部10bに分離されて免震装置設置空間14が形成される。
この状態では、まだ、上側のフランジ18は、アンカーボルト16にて基礎柱上部10aに固定されていない。
しかし、以下のような若干の問題が発生することが判明した。
特許文献1による工法によれば、円形の免震装置11にできるだけバランスよく荷重をかけるために、複数個の薄型ジャッキ19を円形の免震装置11の全周囲に位置するように配置し、これらの薄型ジャッキ19で囲まれた中央部分に支持用モルタル24aを充填する中央充填域29を形成した。
硬化後に、薄型ジャッキ19を開放すると、図11(b)に示すように、上側のフランジ18及び支圧鋼板15の外周辺部が支持用モルタル24aにより支持されていないので、免震装置11の復元力で湾曲して支持用モルタル24aの周縁部に部分的に大きな集中応力が発生する。すると、フランジ18及び支圧鋼板15の曲がり変形により支持用モルタル24aの周縁部に欠け・ひび割れなどの損傷25が生じ、免震装置11としての十分な機能を果たすことができなくなるという問題があった。この問題は、円形の免震装置11にできるだけバランスよく荷重をかけるために配置すべき薄型ジャッキ19の領域と、薄型ジャッキ19を開放しても免震装置11をできるだけ安定して保持するために支持用モルタル24aを充填するための中央充填域29とが同一面に互いにできるだけ大きく形成する必要があるという、相反する目的を達成することが要求されることによるものである。
薄型ジャッキ19を撤去した空間にも補充用モルタル24bを充填するが、フランジ18の変形後であるため損傷25の発生を抑止することができない。
上記の現象は、ビルにおける免震装置の設置だけでなく、橋梁における支承装置の受け替えの場合も同様である。
建造物に免震装置設置空間14を形成し、免震装置11を設置する工程と、
この免震装置11に薄型ジャッキ19を重ねて配置する工程と、
前記薄型ジャッキ19で前記免震装置11をプレ圧縮して支持用モルタル24aを充填する工程と、
この支持用モルタル24aの硬化後、前記薄型ジャッキ19を撤去する工程とからなり、
前記薄型ジャッキ19を配置する工程は、複数の薄型ジャッキ19を前記免震装置11のフランジ18の中心に向かって略等間隔で、かつ、薄型ジャッキ圧縮時に前記フランジの変形を少なくすることができるように中心近くまで配置し、前記フランジ18におけるこれらの薄型ジャッキ19の先端に前記支持用モルタル24aの中央充填域29を有し、前記フランジ18の外周部に複数の前記支持用モルタル24aの外周充填域30を有し、必要であれば、前記中央充填域29と前記各外周充填域30の間に前記支持用モルタル24aの連通充填域39を有するように配置してなることを特徴とする。
また、金属とモルタルの圧縮強度特性に相違がある場合には、フランジ18における薄型ジャッキ19による加圧面積とモルタル支持用モルタル24aの充填面積を圧縮強度特性に応じて設定したことを特徴とする。
さらに、薄型ジャッキ19の基端部は、免震装置11の外周縁よりもフランジ18と支圧鋼板15の厚さ分程度延長して配置したことを特徴とする。
この免震支承装置のフランジに臨ませて薄型ジャッキを重ねて配置する工程と、
前記薄型ジャッキで前記免震支承装置をプレ圧縮して支持用モルタルを充填する工程と、
この支持用モルタルの硬化後、前記薄型ジャッキを撤去する工程とからなり、
前記薄型ジャッキを配置する工程は、複数の薄型ジャッキを前記免震支承装置のフランジの中心に向かって略等間隔で配置し、前記フランジにおけるこれらの薄型ジャッキの先端に前記支持用モルタルの中央充填域を有し、前記フランジの外周部に複数の前記支持用モルタルの外周充填域を有するように配置したことを特徴とする。
建造物に形成した設置空間に、免震装置又は支承装置と薄型ジャッキを重ねて設置し、前記薄型ジャッキにより前記免震装置又は支承装置をプレ圧縮した後、薄型ジャッキの周りに支持用モルタルを充填するために使用される薄型ジャッキであって、前記薄型ジャッキの側面に、薄型ジャッキの伸びに応じて膨張するジャッキ抜き用型枠で包み込んでなるので、薄型ジャッキの周りに支持用モルタルを充填しても、モルタルの圧力に対して型枠をそれ自体の強度ではなく薄型ジャッキで支持することができ、また、薄型ジャッキを容易に抜き取ることができる。
ジャッキ抜き用型枠の上下に柔軟材を設け、前記ジャッキ抜き用型枠の膨張によりこのジャッキ抜き用型枠と柔軟材とを密着するようにしたので、薄型ジャッキが伸びてもジャッキ抜き用型枠と柔軟材がそれに追随して確実に薄型ジャッキを被覆することができる。
建造物に免震装置設置空間を形成し、免震装置を設置する工程と、
この免震装置の端面のフランジに臨ませて薄型ジャッキを重ねて配置する工程と、
前記薄型ジャッキで前記免震装置をプレ圧縮して支持用モルタルを充填する工程と、
この支持用モルタルの硬化後、前記薄型ジャッキを撤去する工程とからなり、
前記薄型ジャッキを配置する工程は、複数の薄型ジャッキを前記免震装置のフランジの中心に向かって略等間隔で、かつ、薄型ジャッキ圧縮時に前記フランジの変形を少なくすることができるように中心近くまで配置し、前記フランジ内におけるこれらの薄型ジャッキの先端に前記支持用モルタルの中央充填域を有し、前記フランジ内の外周部に複数の前記支持用モルタルの外周充填域を有するように配置してなるので、免震装置に荷重をかけるために配置すべき薄型ジャッキの領域と、薄型ジャッキを開放しても免震装置を保持するために支持用モルタルを充填するための中央及び外周充填域をともにバランスよく配置でき、免震装置のフランジの変形を抑止でき、したがって、支持用モルタルの損傷の発生を抑止することができる。
また、こうすることで、外周充填域の外側の型枠に空気を遮蔽する材料を使用すると、この型枠の一方にモルタル注入口を、もう片方にモルタル排出口を設けて、モルタル注入口よりモルタルの充填作業を行い、それと同時にモルタル排出口から型枠内の空気を吸気することで、より型枠内の空気だまりがなくなりモルタルの充填性が高まる効果をもたらす。
薄型ジャッキは、細長で、請求項1記載の薄型ジャッキを複数台用い、フランジに放射状に等間隔で配置し、複数箇所の外周充填域は、それぞれ近似した面積となるように配置したので、免震装置に荷重をかけるために配置すべき薄型ジャッキの領域と、薄型ジャッキの開放後免震装置を保持するために支持用モルタルを充填するための中央及び外周充填域をより一層バランスよく配置できる。
フランジにおける薄型ジャッキによる加圧によるフランジの変形を抑制する薄型ジャッキの配置と、プレ圧縮後のさらなるフランジの変形を抑制する支持用モルタルの配置を両立しているので、プレ圧縮による免震装置への影響を最低限に抑えることができる。
薄型ジャッキが連通した複数のシリンダで構成されることにより、複雑なフランジの変形に追随できるので、プレ圧縮中の形状の変化にも追随対応でき、免震装置への局部的な変形や応力の集中を避けることができる。
建造物である橋梁の橋脚と橋桁との間に支承装置設置空間を形成し、支承装置を交換設置する工程と、
この支承装置のフランジに臨ませて薄型ジャッキを重ねて配置する工程と、
前記薄型ジャッキで前記支承装置をプレ圧縮して支持用モルタルを充填する工程と、
この支持用モルタルの硬化後、前記薄型ジャッキを撤去する工程とからなり、
前記薄型ジャッキを配置する工程は、複数の薄型ジャッキを前記支承装置のフランジの中心に向かって略等間隔で配置し、前記フランジにおけるこれらの薄型ジャッキの先端に前記支持用モルタルの中央充填域を有し、前記フランジの外周部に複数の前記支持用モルタルの外周充填域を有するように配置したので、橋脚と橋桁との間の支承装置である支承装置の交換工事において、支承装置のフランジの変形を抑止でき、したがって、支持用モルタルの損傷の発生を抑止することができる。
建造物に形成した設置空間14に、免震装置11又は支承装置44と薄型ジャッキ19を重ねて設置し、前記薄型ジャッキ19により前記免震装置11又は支承装置44をプレ圧縮した後、薄型ジャッキ19の周りに支持用モルタル24aを充填するために使用される薄型ジャッキ19であって、前記薄型ジャッキ19の側面に、薄型ジャッキ19の伸びに応じて膨張するチューブ型ジャッキ抜き用型枠26で包み込んで構成する。
また、ジャッキ抜き用型枠26の上下に柔軟材27を設け、前記ジャッキ抜き用型枠26の膨張によりこのジャッキ抜き用型枠26と柔軟材27とを密着するように構成する。
建造物に免震装置設置空間14を形成し、免震装置11を設置する工程と、
この免震装置11の端面のフランジに臨ませて薄型ジャッキ19を重ねて配置する工程と、
前記薄型ジャッキ19で前記免震装置11をプレ圧縮して支持用モルタル24aを充填する工程と、
この支持用モルタル24aの硬化後、前記薄型ジャッキ19を撤去する工程とからなり、
前記薄型ジャッキ19を配置する工程は、複数の薄型ジャッキ19を前記免震装置11のフランジ18の中心に向かって略等間隔で配置し、前記フランジ18におけるこれらの薄型ジャッキ19の先端に前記支持用モルタル24aの中央充填域29を有し、前記フランジ18の外周部に複数の前記支持用モルタル24aの外周充填域30を有し、前記中央充填域29と前記各外周充填域30の間に必要に応じて前記支持用モルタル24aの連通充填域39を有するように配置する。
また、金属とモルタルの圧縮強度特性に相違がある場合には、フランジ18における薄型ジャッキ19による加圧面積とモルタル支持用モルタル24aの充填面積を圧縮強度特性に応じて設定する。
さらに、薄型ジャッキ19の基端部は、免震装置11からの反発力の分布を考慮し、外周縁よりもフランジ18と支圧鋼板15の厚さ分程度延長して配置することが好ましい。
建造物である橋梁の橋脚と橋桁との間に支承装置設置空間を形成し、支承装置を交換設置する工程と、
この支承装置のフランジに臨ませて薄型ジャッキを重ねて配置する工程と、
前記薄型ジャッキで前記支承装置をプレ圧縮して支持用モルタルを充填する工程と、
この支持用モルタルの硬化後、前記薄型ジャッキを撤去する工程とからなり、
前記薄型ジャッキを配置する工程は、複数の薄型ジャッキを前記支承装置のフランジの中心に向かって略等間隔で配置し、前記フランジにおけるこれらの薄型ジャッキの先端に前記支持用モルタルの中央充填域を有し、前記フランジの外周部に複数の前記支持用モルタルの外周充填域を有するように配置する。
(A)免震装置設置空間14を形成し、免震装置11を設置する工程
図2において、基礎柱10の一部を切断し、免震装置設置空間14を形成する方法は、図10で示したようにブラケット12を用いて基礎柱10に直接仮受けジャッキ17を取り付ける方法でもよいし、また、特許文献1に記載のように基礎柱の周辺に打ち込んだ補助柱の上端部と建造物との空間に、仮受けジャッキを取り付けて、基礎柱と建造物とを切り離すようにした方法であってもよい。
このようにして形成された免震装置設置空間14において、基礎柱下部10bの上面に、免震装置11の下側のフランジ18をアンカーボルト16で固定的に取り付ける。この工程は、従来と変わるところはない。
免震装置11の上側のフランジ18に支圧鋼板15を取り付け、基礎柱上部10aと支圧鋼板15との間に形成された隙間40に複数台の薄型ジャッキ19を配置する。
本発明に用いられる薄型ジャッキ19は、隙間40に挿入すること、免震装置11の荷重をバランスよく受けるように配置すること、支持用モルタル24aの硬化後に抜き取ることができる等の条件を満たすために、免震装置11の半径450mm、フランジ18の半径600mmとした場合、図3(a)(b)(c)に示すように、長さ(L):幅(W):高さ(H)が例えば、415mm:126mm:52mm=8.0:2.4:1程度の細長くて薄いジャッキとし、ジャッキ本体37に、2列に5個ずつのシリンダ33が設けられ、これら10個のシリンダ33は、油圧ホース21から連通路34ですべて連通している。前記シリンダ33には、ピストン22がOリング35によって液密に嵌合され、このピストン22の上端は偏荷重を避けるためやや丸みを帯び、すべてのピストン22に対して1枚の受圧板20がねじ38により取り付けられている。
この薄型ジャッキ19の高さは、ピストン22が下降しているとき前記隙間40よりわずかに低く、幅は、抜けやすいように先端から基端部まで同一か先端が後端よりやや狭く、かつ、薄型ジャッキ19のジャッキ本体37の基端部には、支持用モルタル24aの充填後に引抜くための取手36が設けられている。
挿入された薄型ジャッキ19の基端部側の前記ジャッキ抜き用型枠26は、支持用モルタル24aが充填される外側まで延ばして設置し、基礎柱下部10bの外周囲には、型枠23が取り付けられる。
支持用モルタル24aの強度は、材質にもよるが、一般的に、鉄製の薄型ジャッキ19より小さいと考えられるので、免震装置11のフランジ18に対して6台の薄型ジャッキ19で略均等に支持するためには、フランジ18に占める薄型ジャッキ19の面積よりモルタル24の面積が大きく、かつ、均等となるように設定するものとする。しかし、モルタルが金属と同等又はそれ以上の場合もあるので、その場合には、金属とモルタルの圧縮強度特性に応じてフランジ18における薄型ジャッキ19による加圧面積とモルタル支持用モルタル24aの充填面積を設定する。
6台の薄型ジャッキ19の設置に際し、フランジ18の外周の局部的な曲りを防止するため、薄型ジャッキ19の基端部を免震装置11の外周からフランジ18と支圧鋼板15の厚さ分の板厚程度(例えば40〜80mm)突出させて配置するのがよい。
以上のように、薄型ジャッキ19の圧縮時に免震装置11又は後述する支承装置44の接触面のフランジ18の変形を少なくすることができるようにフランジ18の中心近くまで配置できる扁平で細長い形状の薄型ジャッキ19が用いられる。
薄型ジャッキ19のシリンダ33に油圧ホース21から圧油を送ると、ピストン22が上昇し、受圧板20で免震装置11を加圧する。すべての薄型ジャッキ19により仮受けジャッキ17で仮受けしている荷重を超えない範囲で加圧した後、図5(b)に示すように、ジャッキ抜き用型枠26を膨張させる。すると、ジャッキ抜き用型枠26は、上下の柔軟材27に密着し、薄型ジャッキ19の外周を完全に被覆する。
薄型ジャッキ19を被覆した後、図5(c)に示すように、中央充填域29と連通充填域39で連続した外周充填域30に支持用モルタル24aを充填する。充填した支持用モルタル24aに空洞ができないように圧力をやや加えつつ中央充填域29から連通充填域39を経て外周充填域30に流れるように注入する。
このとき外周充填域30の外側の型枠に空気を遮蔽する材料を使用すると、この型枠の一方にモルタル注入口を、もう片方にモルタル排出口を設けて、モルタル注入口よりモルタルの充填作業を行い、それと同時にモルタル排出口から型枠内の空気を吸気することで、より型枠内の空気だまりがなくなりモルタルの充填性が高めることもできる。
支持用モルタル24aが硬化するまでチューブ型ジャッキ抜き用型枠26を膨張させたままとし、硬化したら、図5(d)に示すように、まずジャッキ抜き用型枠26を収縮させ、つぎに、薄型ジャッキ19を取手36により撤去する。
最後に、図5(e)に示すように、ジャッキ抜き用型枠26の圧を抜いて撤去する。
つぎに柔軟材27と板材28を撤去して図5(f)に示すように、ジャッキ抜き空間31とし、このジャッキ抜き空間31に図5(g)に示すように、補充用モルタル24bを充填する。
補充用モルタル24bが硬化したら仮受けジャッキ17を開放し、仮受けジャッキ17と型枠23を撤去する。すると、免震装置11に建造物の全荷重がかかり、免震装置11として作動を開始する。この状態では、免震装置11の下側のフランジ18のさらなる湾曲が生じないため、支持用モルタル24aに集中応力が作用せず、正常に作用する。
前記実施例では、図4(b)に示すように、薄型ジャッキ19の上下に、両側面から突出した状態で板材28を配置し、これらの板材28に、それぞれスポンジなどの柔軟材27を接着し、これらの柔軟材27の間に圧搾空気等で膨張するチューブ型のジャッキ抜き用型枠26を配置した。しかし、前記板材28は、必須ではなく、チューブ型のジャッキ抜き用型枠26の上下面に柔軟材27を接着してもよい。しかし、この場合には、圧搾空気等で膨張させたときにジャッキ抜き用型枠26が捩れてしまい上下面の柔軟材27が隙間40の上下面に密着しない恐れがある。これを防ぐためには、板材28に柔軟材27を接着することが望ましい。
前記実施例では、免震装置11の上側のフランジ18に支圧鋼板15を取り付け、基礎柱上部10aと支圧鋼板15との間に形成された隙間40に複数台の薄型ジャッキ19を配置したが、これに限られるものではなく、免震装置11の下側のフランジ18に支圧鋼板15を取り付け、基礎柱下部10bと支圧鋼板15との間に形成された隙間40に複数台の薄型ジャッキ19を配置するようにしてもよい。
橋梁で用いる支承はゴム支承が多く、これらは鉛直荷重に対し変形するので、支承交換時にあらかじめ支承を鉛直荷重に対し縮めておかなければ、変形が生じ、コンクリート部材にひび割れ等の悪影響を与える可能性がある。よって、本発明を橋梁の支承の交換に適用することは好ましい。
この例を図8に基づき説明する。
図8(a)において、建造物である橋梁を構成する橋脚41と橋桁42との間に仮受けジャッキ17を取り付け、古い支承装置44を撤去する。撤去すると、支承装置設置空間43が形成される。
この支承装置設置空間43に、新たな支承装置44を設置する。この支承装置44と橋桁42の下面との隙間40における支承装置44のフランジ18に臨ませてに図1、図6に示すように複数台の薄型ジャッキ19を配置する。
これらの複数台の薄型ジャッキ19は、前記支承装置44のフランジ18の中心に向かって略等間隔で配置するが、前記フランジ18におけるこれらの薄型ジャッキ19の先端に前記支持用モルタルの中央充填域29を有し、前記フランジ18の外周部に複数の前記支持用モルタルの外周充填域30を有するように配置する。
次に、図8(b)に示すように、前記薄型ジャッキ19で前記支承装置44をプレ圧縮して中央充填域29と外周充填域30に、さらに必要に応じて連通充填域39に、支持用モルタル24aを充填する。
この支持用モルタル24aの硬化後、前記薄型ジャッキを撤去し、撤去したジャッキ抜き空間31に、補充用モルタル24bを充填する。
補充用モルタル24bの硬化後、仮受けジャッキ17を開放し撤去する。すると、支承装置44に橋桁42の全荷重がかかり、支承装置44として作動を開始する。この状態では、支承装置44の下側のフランジ18のさらなる湾曲が生じないため、支持用モルタル24aに集中応力が作用せず、正常に作用する。
以上の作用効果は、実施例1、実施例2と変わるところはない。
Claims (8)
- 建造物に形成した設置空間に、免震装置又は支承装置と薄型ジャッキを重ねて設置し、前記薄型ジャッキにより前記免震装置又は支承装置を圧縮した後、薄型ジャッキの周りに支持用モルタルを充填するために使用される薄型ジャッキであって、前記薄型ジャッキの側面に、薄型ジャッキの伸びに応じて膨張するジャッキ抜き用型枠で包み込んでなることを特徴とする薄型ジャッキ。
- ジャッキ抜き用型枠の上下に柔軟材を設け、前記ジャッキ抜き用型枠の膨張によりこのジャッキ抜き用型枠と柔軟材とを密着するようにしたことを特徴とする請求項1記載の薄型ジャッキ。
- 建造物に免震装置設置空間を形成し、免震装置を設置する工程と、
この免震装置の端面のフランジに臨ませて薄型ジャッキを重ねて配置する工程と、
前記薄型ジャッキで前記免震装置を圧縮して支持用モルタルを充填する工程と、
この支持用モルタルの硬化後、前記薄型ジャッキを撤去する工程とからなり、
前記薄型ジャッキを配置する工程は、複数の薄型ジャッキを前記免震装置の前記フランジの中心に向かって略等間隔で、かつ、薄型ジャッキ圧縮時に前記フランジの変形を少なくすることができるように中心近くまで配置し、前記フランジにおけるこれらの薄型ジャッキの先端に前記支持用モルタルの中央充填域を有し、前記フランジの外周部に複数の前記支持用モルタルの外周充填域を有するように配置してなることを特徴とする薄型ジャッキを用いた免震装置の設置方法。 - 中央充填域と各外周充填域の間に支持用モルタルの連通充填域を有するように配置してなることを特徴とする請求項3記載の薄型ジャッキを用いた免震装置の設置方法。
- 薄型ジャッキは、細長で、請求項1記載の薄型ジャッキを複数台用い、フランジに放射状に等間隔で配置し、複数箇所の外周充填域は、それぞれ近似した面積となるように配置したことを特徴とする請求項3又は4記載の薄型ジャッキを用いた免震装置の設置方法。
- フランジにおける薄型ジャッキによる加圧によるフランジの変形を抑制する薄型ジャッキの配置と、圧縮後のさらなるフランジの変形を抑制する支持用モルタルの配置を両立していることを特徴とする請求項3、4又は5記載の薄型ジャッキを用いた免震装置の設置方法。
- 薄型ジャッキが連通した複数のシリンダで構成されることにより、複雑なフランジの変形に追随できることを特徴とする3,4、5又は6記載の薄型ジャッキを用いた免震装置の設置方法。
- 建造物である橋梁の橋脚と橋桁との間に支承装置設置空間を形成し、支承装置を交換設置する工程と、
この支承装置のフランジに臨ませて薄型ジャッキを重ねて配置する工程と、
前記薄型ジャッキで前記支承装置を圧縮して支持用モルタルを充填する工程と、
この支持用モルタルの硬化後、前記薄型ジャッキを撤去する工程とからなり、
前記薄型ジャッキを配置する工程は、複数の薄型ジャッキを前記支承装置のフランジの中心に向かって略等間隔で配置し、前記フランジにおけるこれらの薄型ジャッキの先端に前記支持用モルタルの中央充填域を有し、前記フランジの外周部に複数の前記支持用モルタルの外周充填域を有するように配置してなることを特徴とする薄型ジャッキを用いた支承装置の設置方法。
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