JP4752678B2 - 開閉装置 - Google Patents

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Description

この発明は、接離自在な一対の電極を有し、該電極が接触・隔離をすることによって、一対の電極の開極・閉極動作が行われる開閉装置に関するのものであり、特に、電磁駆動の開閉装置に関するものである。
電磁力を利用した従来の開閉装置は、可動電極と固定電極とから構成され、電路の開閉を直接行うスイッチ部と、可動電極から延出する可動軸と、電源により駆動され、可動軸に駆動力を与えてスイッチ部を開閉させる操作機構とから構成されている。
このような開閉装置では、電磁力による駆動力を利用しているため、開閉動作が高速になる。特に閉極動作において、可動電極が固定電極に衝突する際に大きな衝撃力が生じ、この衝撃により各電極同士の再接点現象(以下、チャタリングと呼ぶ)が発生する。このチャタリング時間が長い場合には、各電極が溶着するという問題が生じるため、可能な限りチャタリング時間を短くする必要がある。そのため、例えば、2つの開閉ユニットを直列に対向配置すると共に、固定側電極を背中合わせに配置固定して、可動電極が固定電極に衝突したときの衝撃力を打ち消し合うことにより、固定電極を支持する支持部材の損傷を防止すると共に、2つの開閉ユニットにおける各スイッチの電路を容易、かつ確実に遮断できるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
また、スイッチ部を開閉させる操作機構に、開閉動作による衝撃を緩和する減速手段(ダンパ)を設けて衝撃力を緩和し、開閉動作の高速応答性を確保しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
特開2002−124157号公報 特開2002−124165号公報
特許文献1の開閉装置では、2つの開閉装置ユニットを直列配置するので、十分なスペースがなければ、配置することが困難である。
また、特許文献2の開閉装置では、高価なダンパを設置して、衝撃によるエネルギーを減衰させる構造となっているので、製品コストが高くなるといった問題点があった。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、低コストで信頼性が高く、かつコンパクトな開閉装置を提供することを目的としている。
この発明に係る開閉装置は、可動電極と固定電極とからなり、電路の開閉を行うスイッチ部、上記可動電極から延出する可動軸、上記可動軸に駆動力を与えて上記スイッチ部の開閉動作を行う操作機構、上記スイッチ部と上記可動軸とを内部に保持するスイッチ部ホルダ、および該スイッチ部ホルダを固定する固定面を有するホルダ保持部を備えた開閉装置において、上記ホルダ保持部の上記固定面は、複数の板が可動軸方向に積層され、上記複数の板は、該複数の板に設けられた積層板拘束部材用貫通穴を通る拘束部材により拘束されているものである。
この発明によれば、スイッチ部ホルダを固定する固定面が、複数の板を積層して積層板拘束部材用貫通穴を通る拘束部材により拘束した構成であるので、閉極動作による衝撃により、上記固定面が変形し、この変形に伴い、積層板同士がこすれ合うことで、摩擦により運動エネルギーが消費されるため、チャタリング時間を短くすることができる。
また、開閉装置の駆動速度等の装置特性を変更した場合でも、例えば積層数や積層面の凹凸等、積層構成を変更することで、容易にチャタリング特性を制御することが可能である。
また、チャタリング抑制のための部品を取り付けるためのスペースが必要ではないため、大きな設計変更をしなくてもコンパクトな装置とすることができる。
また、積層化した固定面は、板部材のみで構成されているので、安価に構成できる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による開閉装置を示す構成図である。固定電極1と可動電極2とからなるスイッチ部3と、可動電極2から延出した可動軸4と、この可動軸4に駆動力を与え、可動軸4を軸方向に駆動してスイッチ部3の開閉動作を行う操作機構5と、スイッチ部3と可動軸4とを内部に保持するスイッチ部ホルダ6と、スイッチ部ホルダ6を固定する固定面となるベースプレート(ホルダ保持部)7と、ベースプレート7および操作機構5をそれぞれ支持するストラット81、82と、ストラット81、82を固定するフランジ9とから構成されている。
図1において、スイッチ部3は、固定電極1および可動電極2を有し、当該固定電極1および可動電極2の隔離あるいは接触によって、それぞれ電路を開く動作(以後、開極動作と呼ぶ)、あるいは閉じる動作(以後、閉極動作と呼ぶ)を行う。
なお、本実施の形態の開閉装置は、絶縁ガスを用いない機種で大電流の遮断を行うものであり、固定電極1および可動電極2は、真空バルブ10に収納されている。
可動軸4は、操作機構5からの駆動力を伝えるものであり、操作機構5への電流介入を防ぐため、間に絶縁ロッド11が挿入されている。可動軸4は、絶縁ロッド11よりスイッチ部3側が充電部、絶縁ロッド11より操作機構5側が無充電部となっている。
操作機構5は、電磁力により駆動力を発生する駆動機構12と駆動機構を保持する駆動機構保持盤13とを備えている。駆動機構12は、可動軸4の無充電部に固定された可動コイル14と、この可動コイル14のスイッチ部3側に対向して設けられた閉極用固定コイル15と、可動コイル14のスイッチ部3側とは反対の側に対向して設けられた開極用固定コイル16とを備えている。
スイッチ部ホルダ6は、絶縁性能を安定化するために、スイッチ部3と一体で注形(モールド)された構成となっている。
また、一般的な遮断機は、図1に示す開閉装置が、U,V,Wの各相ごとに3機並列に配置された構造となっており、ベースプレート7は、3つのスイッチ部ホルダ6が取り付けられるようになっている。また、ベースプレート7は、同一形状の鉄板数枚を可動軸方向に積層して構成されたものとなっている。
このベースプレート7は、前述のように、スイッチ部ホルダ6を固定すると共に、ストラット81を用いてフランジ9に固定されるため、図2に示すように、フランジ固定用ボルト穴17、およびスイッチ部ホルダ固定用ボルト穴18が設けられている。
また、ベースプレート7は、上記ボルト穴17、18以外に、積層板拘束部材用貫通穴19が設けられており、この積層板拘束部材用貫通穴19にボルト(拘束部材)を通して、積層する複数の板同士を拘束する構成となっている。
以上のような構成とすれば、複数の積層板で構成されたベースプレート7は、閉極動作により生じる衝撃で、図3に破線で示すような変形をするため、複数の積層板同士で摩擦が発生し、この摩擦による運動エネルギーの消費により、可動電極2が跳ね返る運動エネルギーを小さくすることが可能となる。
また、ベースプレート7を構成する複数の積層板を拘束部材で拘束したことにより、衝突の衝撃により変形が生じた際に、積層板間で摩擦が生じやすく、摩擦による運動エネルギーの消費が大きくなり、チャタリング時間をより短くすることが可能となる。
また、ベースプレート7の材質を替えることにより、ベースプレート7の剛性を変更することも可能であり、系全体の特性を変化させることも可能である。
この効果により、チャタリング時間を大きく低減することが可能となる。
図4にチャタリング時間の低減効果を示す。横軸は、可動軸4の投入速度比(基準となる投入速度(ここでは実施の形態1の構成で可動軸の移動速度が最大となる速度)に対する投入速度比。ただし、各投入速度は、可動軸ストロークの40%の距離から固定電極1の端面までの平均速度としている。)、縦軸は、チャタリング時間比(ベースプレート7を1枚の板で構成した場合の最大チャタリング時間に対する、各試験条件のチャタリング時間比)であり、同一コンフィギュレーションで、ベースプレート7を8枚の積層板で構成した場合(△印)と、ベースプレートを1枚の板で構成した場合(■印)に対し、投入速度を変化させてチャタリング時間を測定した試験結果である。
この結果から、本発明の実施の形態1を適用した場合には、適用しない場合の最大20%程度までのチャタリング時間を短縮することが可能となる。
通常、絶縁ガスを用いた開閉装置においては、スイッチ部3とスイッチ部ホルダ6とは本実施の形態のように、一体にモールドされないため、固定電極1側あるいは操作機構5側に衝撃緩和構造を設置することが可能であり、閉極動作に伴い発生する運動エネルギーを上記衝撃緩和構造により消費させて、チャタリングの発生時間を減少させることが可能である。しかし、絶縁ガスを用いない(ドライエアを使用)大容量の開閉装置の場合は、前述のように絶縁性能を安定化するために、スイッチ部がスイッチ部ホルダと一体で注形されるため、固定電極1側に上記衝撃緩和構造を設置することが困難となる。
そこで、スイッチ部ホルダ6とスイッチ部3とが一体でモールドされた構成の開閉装置に対して、本実施の形態のような構成とすれば、低コストで、かつコンパクトな構成で、チャタリング時間を短縮することが可能となる。
なお、ベースプレート7を構成する複数の積層板の厚さ、形状、積層数、積層面積等に関しては、スイッチ部ホルダ6を取り付け、支持できる厚さ、形状等とすると共に、チャタリング時間を最適(通常、数msec以下)にするように構成するとよい。
実施の形態2.
実施の形態1では、ベースプレート7を構成する複数の積層板の形状を板厚一定の平板としたが、たとえば、図5に示すように、各積層板の断面形状を同一の波形状とし、凹凸を揃えて積層する構成としてもよい。
この構成によれば、通常の板材の場合と比較して、接触面積が増えるために、摩擦が生じやすく、より衝撃エネルギーを減衰させることが可能となる。
実施の形態3.
実施の形態1では、スイッチ部ホルダ6とスイッチ部3とは、絶縁のために一体でモールドされた構成としたが、スイッチ部ホルダ6とスイッチ部3とがモールドされていないもの、例えば絶縁ガスを用いた開閉装置等に対して、実施の形態1と同様、ベースプレート7を複数の積層板で構成してもよい。
この構成によれば、実施の形態1と同様に、衝撃による変形でベースプレート7の積層板間において摩擦が生じるため運動エネルギーが消費され、チャタリングを抑制することが可能である。
また、スイッチ部ホルダ6とスイッチ部3とがモールドされていない構成に対し、ベースプレート7を複数の積層板で構成すると共に、固定側電極1に図6に示すような微動機構20を組み合わせて設置しても良い。
微動機構20を加えた場合には、固定電極1と可動電極2とが離れた位置から急峻に接して電路を閉じる閉極動作をするとき、微動機構20において固定電極側可動ブロック22は下向きに押され、固定板23側の固定板側可動ブロック21は左右方向に伸縮するばね24で支持されているので、固定板側可動ブロック21は横方向に微小な振動を生じる。この微小な振動によって、固定電極側可動ブロック22と固定板側可動ブロック21との接触面間、および、固定板側可動ブロック21と固定板23との接触面間に摩擦力による仕事が生じ、摩擦力×移動量の分だけ運動エネルギーを消費させることができる。
なお、摩擦力は図6の下方部に4箇所、太線で示した矢印で図示されている。
複数の積層板で構成されるベースプレート7と微動機構20との相互作用により運動エネルギーをより多く消費することが可能となるため、可動電極2が跳ね返るエネルギーをより小さくすることが可能となり、チャタリング時間を減少させることが可能となる。
実施の形態4.
実施の形態2では、ベースプレート7を構成する積層板の形状を、同一の波形状とし、凹凸を揃えて積層する構成としたが、実施の形態1の構成、あるいは実施の形態2の構成に対し、各積層板の表面を粗くしてもよい。
この構成によれば、表面の粗い積層板同士が衝撃により、変形する場合、構成する板同士の摩擦が大きいため、この摩擦で消費されるエネルギー大きくなり、可動電極2が跳ね返るエネルギーをより小さくすることが可能となり、チャタリング時間を減少させることが可能となる。
実施の形態5.
一般的な遮断機の場合、開閉装置が3台(U,V,Wの3相に対応)並列配置された構成であり、そのため、通常、実施の形態1に示すように、1枚のベースプレート7上に3つの開閉装置が設置されることになるが、ベースプレート7を3相の開閉装置のそれぞれの相に独立(分離)して設置してもよい。この場合、独立して設置されたそれぞれのベースプレート7は、3相の開閉装置にわたって設置された1つのフランジ9に固定されたストラット81により支持される構成とするとよい。
この構成によれば、閉極動作を行った際に各相の投入タイミングずれが発生しても、そのタイミングのずれによる3相間の相互干渉が、チャタリング時間に与える影響を最小限に抑えられるため、チャタリング時間を短縮することが可能となる。
実施の形態6.
上記各実施の形態1〜5では、スイッチ部ホルダ6をベースプレート7およびストラット81を介して、フランジ9に固定していたが、ストラット81とベースプレート7を介さず、直接、スイッチ部ホルダ6を、積層化されたフランジ9に固定する構成としてもよい。この場合、フランジ9がスイッチ部ホルダ6を固定する固定面となり、フランジ(ホルダ保持部)9の構成は、実施の形態1、2、4で示したベースプレート7の構成と同様の構成とすればよい。
フランジ9を積層化したことにより、閉極動作により生じる衝撃で、フランジ9が変形し、フランジ9を構成する積層板同士で摩擦が発生するため、この摩擦よる運動エネルギーの消費により、可動電極2が跳ね返る運動エネルギーを小さくすることが可能となり、チャタリングの発生時間を減少させることが可能となる。
さらに、ベースプレート7とフランジ9を支持するストラット81がなくなるため部品点数が減少し、コストを削減することも可能である。
本発明の実施の形態1による開閉装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態1に係わるベースプレートの構造を示す平面図である。 本発明の実施の形態1に係わるベースプレートの挙動を示す図である。 本発明の実施の形態1による開閉装置におけるチャタリング時間比、および従来の開閉装置におけるチャタリング時間比を示す図である。 本発明の実施の形態2に係わるベースプレートを示す断面構成図である。 本発明の実施の形態3に係わる微動機構を示す断面構成図である。
符号の説明
1 固定電極、2 可動電極、3 スイッチ部、4 可動軸、5 操作機構、6 スイッチ部ホルダ、7 ベースプレート、81,82 ストラット、9 フランジ、10 真空バルブ、11 絶縁ロッド、12 駆動機構、13 駆動機構保持盤、14 可動コイル、15 閉極用固定コイル、16:開極用固定コイル、17 フランジ固定用ボルト穴、18 スイッチ部ホルダ固定用ボルト穴、19 積層板拘束部材用貫通穴、20 微動機構、21 固定板側可動ブロック、22:固定電極側可動ブロック、23 固定板、24 ばね。

Claims (4)

  1. 可動電極と固定電極とからなり、電路の開閉を行うスイッチ部、上記可動電極から延出する可動軸、上記可動軸に駆動力を与えて上記スイッチ部の開閉動作を行う操作機構、上記スイッチ部と上記可動軸とを内部に保持するスイッチ部ホルダ、および該スイッチ部ホルダを固定する固定面を有するホルダ保持部を備えた開閉装置において、上記ホルダ保持部の上記固定面は、複数の板が可動軸方向に積層され、上記複数の板は、該複数の板に設けられた積層板拘束部材用貫通穴を通る拘束部材により拘束されていることを特徴とする開閉装置。
  2. ホルダ保持部の固定面を構成する複数の板にそれぞれ同一形状凹凸を設け、可動軸方向に積層したことを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
  3. ホルダ保持部の固定面は、3相の開閉装置のそれぞれの相ごとに独立して設置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の開閉装置。
  4. スイッチ部とスイッチ部ホルダとが一体にモールドされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の開閉装置。
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