JP4751719B2 - 遺伝子解析装置 - Google Patents
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患者が敗血症に罹りやすいか否か及び/又は敗血症に急速に進行しやすいか否かを決定するために、患者から核酸サンプルを採取し、該サンプル中におけるパターン2対立遺伝子、又はパターン2対立遺伝子と連鎖不平衡であるマーカー遺伝子を検出し、パターン2対立遺伝子又はパターン2対立遺伝子と連鎖不平衡であるマーカー遺伝子が検出されれば該患者が敗血症に罹りやすいと判定する(特許文献1参照。)。
比較的に少量の核酸を用いて数十万箇所に及ぶSNP部位についてタイピングを行なうために、少なくとも一つの一塩基多型部位を含む複数の塩基配列を、核酸及び複数対のプライマーを用いて同時に増幅し、増幅した複数の塩基配列を用いて、当該塩基配列に含まれる一塩基多型部位の塩基をタイピング工程により判別する。そのタイピング工程として、インベーダ(登録商標)法又はタックマン(登録商標)PCR(polymerase chain reaction)法を用いる(特許文献3参照。)。
他の好ましい形態では、タイピング反応温度調節部は、プローブ配置部の下部に位置する下部温度調節ユニットと、プローブ配置部の上部に位置することのできる上部温度調節ユニットとからなり、両ユニットの一方又は両方が移動可能になっている。さらに好ましくは、温度調節ユニットで移動可能なものは水平方向にスライド可能に支持され、分注部の一部と係合し、分注部の移動によりスライド動作がなされるものである。
反応容器のさらに好ましい一例は、プローブ配置部が設けられている基板に、凹部として形成され複数の多型部位それぞれをはさんで結合する複数のプライマーを含む遺伝子増幅試薬を収容しフィルムで封止された遺伝子増幅試薬収容部をさらに備えたものである。
図には現れていないが、遺伝子増幅反応を行なう増幅反応部を持った反応容器を装着する装着部を備えている。さらに、図1に示されるように、吸引及び吐出のためのノズル28を移動させて反応容器の液の移送を行なう分注部112と、少なくとも分注部112の分注動作を制御する制御部118を少なくとも備えている。
遺伝子増幅反応としてPCR反応を使用する場合は、増幅反応温度制御部120はPCR反応のための温度サイクル用の温度調節部となる。
制御部118を外部から操作したり検査結果を表示したりするために、制御部118にパーソナルコンピュータ(PC)122を接続してもよい。
これらの遺伝子を含むサンプルも特に限定されない。すなわち、生体試料、生体由来試料、抽出核酸試料などに対して多型検出を行なうことができる。ここで、生体試料や生体由来試料は、核酸の抽出操作を行なわず、核酸包含体(例えば細胞、真菌、細菌、ウイルスなど、核酸を内部に含有する膜構造体)を維持した形態の試料である。生体試料の例としては、臓器、組織、体液、排泄物などが挙げられる。体液には、血液試料、髄液、唾液、乳などが含まれる。血液試料には、全血、血漿、血清などが含まれる。排泄物には、尿、便などが含まれる。生体由来試料は、生体試料から回収した核酸包含体である。核酸包含体の回収方法は特に限定されないが、遠心・超遠心操作、ポリエチレングリコールなどの共沈剤、吸着担体などを用いた方法が挙げられる。抽出核酸試料は、核酸の抽出操作を行なった試料であり、抽出後さらに核酸を精製した試料であってもよい。抽出方法としては、酵素、界面活性剤、カオトロピック剤などを用いた方法が挙げられる。精製方法としては、フェノール/クロロホルム、イオン交換樹脂、ガラスフィルター、ガラスビーズ、磁気ビーズ、タンパク凝集作用を有する試薬などを用いた方法が挙げられる。
本発明で検出できる多型は、特に限定されず、SNP及び複数ヌクレオチドからなる配列にわたる多型の両方を含む。本発明においては、多型にはさらに変異も含む。具体的には、本発明で検出できる多型の例としては、SNP、挿入多型、欠失多型、反復配列多型などが挙げられる。
ここで、多型部位とプライマーの関係を示すと、1つの多型部位を増幅するためにはその多型部位をはさんで結合する一対のプライマーが必要になる。対象となる生体サンプルには複数種類の多型部位が存在するので、それらの多型部位が互いに離れた位置に存在する場合には多型部位の種類の数の2倍の種類のプライマーが必要になる。しかし、2つの多型部位が接近している場合には、それらの多型部位それぞれをはさんでプライマーを結合させて増幅することも、またそれらの2つの多型部位の間にはプライマーを結合させず、2つの多型部位の配列の両側にのみプライマーを結合させて増幅することもできる。したがって、必要なプライマーの種類は必ずしも多型部位の種類の数の2倍になるわけではない。本発明における「複数の多型部位それぞれをはさんで結合する複数のプライマー」とは一対のプライマーが1つの多型部位をはさんで結合する場合だけでなく、2又はそれ以上の多型部位をはさんで結合する場合も含めて、複数の多型部位を増幅するのに必要な種類のプライマーという意味で使用している。
遺伝子増幅試薬の一例はPCR反応試薬である。
タイピング工程はインベーダ(登録商標)法やタックマン(登録商標)PCR法を使用することができる。その場合、タイピング試薬はインベーダ(登録商標)試薬又はタックマン(登録商標)PCR試薬である。
PCR工程では血液などの生体サンプル2にPCR反応試薬4を添加するか、逆にPCR反応試薬4に生体サンプル2を添加する。
プライマーはPCR反応によるDNA合成の開始点として働くオリゴヌクレオチドをいう。プライマーは合成したものであってもよく、生物界から単離したものであってもよい。
各レポータープローブはそれに対応したSNPの塩基に応じて2種類のものを用意すれば、そのSNPがホモ接合体であるかヘテロ接合体であるかを判別することができる。
平板状の基板10の同じ側に試薬収容部14及び反応液よりも比重の低い不揮発性液体収容部16が凹部として形成されている。基板10の同じ側にはさらに、反応部18も形成されている。試薬収容部14と不揮発性液体収容部16はフィルム20で封止されており、試薬と不揮発性液体をノズルで吸入して他の場所に移送する際には、そのフィルム20を取り除いてノズルで吸入するか、又はそのフィルム20をノズルで貫通可能なものとしておいてノズルを貫通させてノズルで吸入する。
基板10の表面は、フィルム20上から、試薬収容部14、不揮発性液体収容部16及び反応部18を被う大きさの剥離可能なシール材22で被われている。
実施例では、不揮発性液体としてミネラルオイルを使用し、以後、不揮発性液体収容部をミネラルオイル収容部と称す。
増幅反応部32はPCR反応試薬とサンプルとの混合液に対して遺伝子増幅反応を行なわせるものである。
増幅反応部32−1は基板内に形成された流路状の反応室33と、反応室33が構成されている流路の両端につながり、上方に向かって開口したポート34a,34bを備えている。
図4(B)は流路状の反応室33の第2の形態33bを表わしたものであり、その反応室33bを構成する流路はポート34a,34bの間で「コ」状に折れ曲がっている。
増幅反応部32の平面状の部分には上下から温度調節ユニット37a,37bが接触して反応室33a,33b内の反応液の温度を制御し、増幅反応を起こさせる。
図3(B)で増幅反応部32−1が上下の温度調節ユニット62,60で挟まれた状態でペルチェ素子130と120により反応部32−2内の反応液が所定の温度サイクルになるように加熱と冷却が繰り返される。
増幅反応部32−2は基板10に形成された反応室となる凹形状のウエル35と、そのウエル35の凹部に入り込んでその一部の空間を占める凸部37aをもち、ウエル35に対して着脱可能な蓋37とからなるものである。図5(C)は蓋37をウエル33から外し、基板10上の特定の場所に載置した状態を示したものである。
図6(B)の状態でペルチェ素子130と120により反応部32−2内の反応液が所定の温度サイクルになるように加熱と冷却が繰り返される。
装置内にヒータとして上下に一対の温度調節ユニット60と62が配置されている。反応容器装着部は、下側温度調節ユニット60上に図2に示された反応容器41がスライドして所定の位置に位置決めされる案内部が形成されていることにより構成されている。反応容器装着部には反応容器41にサンプルが注入されたものが5枚平行に並べて設置される。これらの温度調節ユニット60,62は、矢印で示されるY方向に移動することができる。
下部温度調節ユニット60はそれぞれの下面側が回動可能なジョイント142により共通のレバー141の先端側に支持されている。レバー141は軸140により回動可能に支持され、レバー141の基端部には上部温度調節ユニット62を下降させるための基板143と一体化された連結部材の下端部が当接している。
下部温度調節ユニット60aはプローブ配置部に対応する位置にのみ開口152をもっている。
ノズル28は液の吸入と吐出を行なうときは先端に分注チップ70を装着する。
図13に示されるように、使用時にシール材22が剥がされる。タイピング試薬収容部14、ミネラルオイル収容部18及び遺伝子増幅試薬収容部30を封止しているフィルム20は剥がされないでそのまま残っている。
また、遺伝子解析装置には使い捨て可能な分注チップがセットされる。
ノズル28がフィルム20を貫通して遺伝子増幅試薬収容部30に挿入されてPCR反応試薬が吸入され、PCR反応試薬はそのノズル28によりサンプル注入部12に2〜20μL移送される。サンプル注入部12ではノズル28による吸入と吐出が繰り返されることにより、サンプル反応液とPCR反応試薬が混合されてPCR反応液となる。
ここで、ポート34aから注入する液体はミネラルオイル40に限らず、他の液体であってもよく、好ましくは比重が反応液と同じか反応液よりも低い液体である。
各プローブ配置部18では反応液がプローブと反応して所定のSNPがあればそのプローブから蛍光が発せられる。蛍光は基板10の裏面側から励起光を照射することにより検出する。
PCR反応試薬は既知のものであり、例えば特許文献3の段落[0046]に記載されているような、プライマー、DNAポリメラーゼ及びTaqStart (CLONTECH Laboratories社製)を含む反応試薬を使用することができる。また、PCR反応試薬にはAmpDirect(島津製作所製)が混入されていてもよい。プライマーは、例えば、特許文献3の表1に記載されているSNP ID1〜20、配列番号を1〜40などを使用することができる。
4 PCR反応試薬
6 インベーダ(登録商標)試薬
8 プローブ配置部
10a 基板
12 サンプル注入部
14 タイピング試薬収容部
16 ミネラルオイル収容部
18 プローブ配置部
20 フィルム
22 シール材
28 分注ノズル
30 遺伝子増幅試薬収容部
31 PCR終了液注入部
32 増幅反応部
34a,34b ポート
36a,36b ポートの開口
38 PCR反応液
38a PCR反応終了液
41 反応容器
60,62 温度調節ユニット
60a,62a タイピング反応温度制御部の温度調節ユニット
64 蛍光検出部
66 送液アーム
70 分注チップ
110 タイピング反応温度制御部
112 分注部
118 制御部
Claims (6)
- 複数の多型部位のそれぞれに対応して蛍光を発するプローブを個別に保持した複数のプローブ配置部を備えた遺伝子多型診断用反応容器を装着する装着部と、
核酸とタイピング試薬との反応液を前記プローブ配置部のプローブと反応させるために前記プローブ配置部の温度を制御するタイピング反応温度調節部と、
前記反応液を前記各プローブ配置部へ移送する分注部と、
前記各プローブ配置部に励起光を照射して蛍光を検出する蛍光検出装置と、
タイピング反応温度調節部の温度制御、前記分注部の分注動作、並びに前記蛍光検出装置の検出動作を制御する制御部と、を備え、
前記タイピング反応温度調節部の少なくとも一部は、前記反応容器が前記装着部に装着された状態で、前記プローブ配置部を温度調節する位置とその位置から外れた位置との間で移動可能に支持されており、
前記タイピング反応温度調節部の移動可能な部分は水平方向にスライド可能に支持され、前記分注部の一部と係合し、分注部の移動によりスライド動作がなされるようになっている遺伝子解析装置。 - 前記タイピング反応温度調節部の移動可能な部分は前記プローブ配置部を温度調節する位置に移動させられる前に予め温度調節されている請求項1に記載の遺伝子解析装置。
- 前記タイピング反応温度調節部は、前記プローブ配置部の下部に位置する下部温度調節ユニットと、前記プローブ配置部の上部に位置することのできる上部温度調節ユニットとからなり、両温度調節ユニットの一方又は両方が移動可能になっている請求項1又は2に記載の遺伝子解析装置。
- 前記反応容器は、前記基板に、凹部として形成され不揮発性液体を収容しフィルムで封止された不揮発性液体収容部をさらに備えたものである請求項1から3のいずれかに記載の遺伝子解析装置。
- 前記反応容器は、前記基板に、凹部として形成され複数の多型部位それぞれをはさんで結合する複数のプライマーを含む遺伝子増幅試薬を収容しフィルムで封止された遺伝子増幅試薬収容部をさらに備えたものである請求項1から4のいずれかに記載の遺伝子解析装置。
- 前記反応容器は、前記基板に、凹部として形成されタイピング試薬を収容しフィルムで封止されたタイピング試薬収容部を備えた遺伝子多型診断用反応容器である請求項1から5のいずれかに記載の遺伝子解析装置。
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