JP4792277B2 - 反応容器及び反応容器処理装置 - Google Patents
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Description
また、本発明は、その反応容器を用いて人間を初めとする動物や植物のゲノムDNAの多型、特にSNP(一塩基多型)を検出するための反応容器処理装置に関するものである。
患者が敗血症に罹りやすいか否か及び/又は敗血症に急速に進行しやすいか否かを決定するために、患者から核酸サンプルを採取し、該サンプル中におけるパターン2対立遺伝子、又はパターン2対立遺伝子と連鎖不平衡であるマーカー遺伝子を検出し、パターン2対立遺伝子又はパターン2対立遺伝子と連鎖不平衡であるマーカー遺伝子が検出されれば該患者が敗血症に罹りやすいと判定する(特許文献1参照。)。
比較的に少量のゲノムDNAを用いて数十万箇所に及ぶSNP部位についてタイピングを行なうために、少なくとも一つの一塩基多型部位を含む複数の塩基配列を、ゲノムDNA及び複数対のプライマーを用いて同時に増幅し、増幅した複数の塩基配列を用いて、当該塩基配列に含まれる一塩基多型部位の塩基をタイピング工程により判別する。そのタイピング工程として、インベーダ(登録商標)法又はタックマン(登録商標)PCR法を用いる(特許文献3参照。)。
このような問題はPCR反応に限らず、他の反応についても言えることである。
そこで、本発明は熱伝達効率を向上させた温度反応部を備えた反応容器と、そのような反応容器を使用する反応容器処理装置を提供することを目的とするものである。
温度反応部を遺伝子増幅反応を行なわせる増幅反応部とした場合、この反応容器は試薬として複数の多型部位それぞれを挟んで結合する複数のプライマーを含む遺伝子増幅試薬を収容した遺伝子増幅試薬収容部をさらに一体的に備えたものとすることができる。
生体サンプルは血液、唾液、ゲノムDNAなどである。
遺伝子増幅試薬の一例はPCR反応試薬である。
タイピング工程はインベーダ(登録商標)法やタックマン(登録商標)PCR法を使用することができる。その場合、タイピング試薬はインベーダ(登録商標)試薬又はタックマン(登録商標)PCR試薬である。
PCR工程では血液などの生体サンプル2にPCR反応試薬4を添加するか、逆にPCR反応試薬4に生体サンプル2を添加する。
DNAが血球や細胞から遊離し、PCR反応に必要な試薬がDNAに接触して反応が進む。
プライマーはPCR反応によるDNA合成の開始点として働くオリゴヌクレオチドをいう。プライマーは合成したものであってもよく、生物界から単離したものであってもよい。
各レポータープローブはそれに対応したSNPの塩基に応じて2種類のものを用意すれば、そのSNPがホモ接合体であるかヘテロ接合体であるかを判別することができる。
この反応容器の同じ基板に凹部として形成され、扱う反応液よりも比重の低い不揮発性液体を収容しフィルムで封止された不揮発性液体収容部をさらに備えていてもよい。
不揮発性液体又は試薬の収容部を封止しているフィルムは分注機構に装着される分注チップで貫通可能なものであることが好ましい。
反応容器によっては、本発明の反応容器処理装置は、さらに、先端に着脱可能な分注チップを備えた分注プローブによる吸引及び吐出のための機構を備えて液を移送して分注する分注部を備え、その場合には制御部は分注部の分注動作も制御するものとなる。
係合機構は分注プローブの先端部に設けられており、分注チップはこの係合機構を被って分注プローブの先端に装着されるものであり、この係合機構を使用するときは分注チップは分注プローブから取り外された状態とされるものである。
温度制御部の蓋に、係合機構により蓋を保持して着脱できる係合部が設けられているので、反応容器処理装置内で蓋の着脱操作をすることができる。
外した蓋を載置しておく設置場所をこの反応容器に設けた場合には、ウエルから外した蓋を再度ウエルに被せる動作が容易になる。
試薬や不揮発性液体を封止しているフィルムを分注チップで貫通可能なものとしておけば、反応容器処理装置内での液の移送が容易になる。
係合機構として分注プローブの先端部を利用するので、係合機構を別途設ける必要がなくなり、反応容器処理装置の構成が簡略化され、小型化し、低コスト化することができる。
この反応容器処理装置は、平板状基板にサンプルに反応を起こさせる反応部を少なくとも備えた本発明の反応容器が装着される反応容器装着部を備えている。さらに、図1に示されるように、図1に示されるように、吸引及び吐出のための分注プローブ28を移動させて反応容器の液の移送を行なう分注部112と、少なくとも分注部112の分注動作を制御する制御部118とを少なくとも備えている。分注プローブ28の先端部には使い捨て可能な分注チップが着脱可能に取りつけられて液の吸引と吐出がなされる。
遺伝子増幅反応としてPCR反応を使用する場合は、増幅反応温度制御部120はPCR反応のための温度サイクル用の温調部となる。
制御部118を外部から操作したり検査結果を表示したりするために、制御部118にパーソナルコンピュータ(PC)122を接続してもよい。
この実施例では、不揮発性液体としてミネラルオイルを使用し、以後、不揮発性液体収容部をミネラルオイル収容部と称す。
図2(C)は遺伝子増幅反応部32の蓋34をウエル33から外し、基板10上の特定の場所に載置した状態を示したものである。遺伝子増幅反応部32は基板10に固定され、反応液を収容するためのウエル33と、ウエル33に対し着脱可能に被せられ、ウエル33の凹部に入り込んでその一部の空間を占める凸部をもつ蓋34とから構成されている。
図3(B)の状態でペルチェ素子130と120により反応部32内の反応液が所定の温度サイクルになるように加熱と冷却が繰り返される。
図4に示されるように、使用時にシール材22が剥がされる。タイピング試薬収容部14、ミネラルオイル収容部18及び遺伝子増幅試薬収容部30を封止しているフィルム20は剥がされないでそのまま残っている。
各プローブ配置部18では反応液がプローブと反応して所定のSNPがあればそのプローブから蛍光が発せられる。蛍光は基板10の裏面側から励起光を照射することにより検出する。
PCR反応試薬は既知のものであり、例えば特許文献3の段落[0046]に記載されているような、プライマー、DNAポリメラーゼ及びTaqStart (CLONTECH Laboratories社製)を含む反応試薬を使用することができる。また、PCR反応試薬にはAmpDirect(島津製作所製)が混入されていてもよい。プライマーは、例えば、特許文献3の表1に記載されているSNP ID1〜20、配列番号を1〜40などを使用することができる。
装置内にヒータとして上下に一対のヒートブロック60と62が配置されている。反応容器装着部には下側ヒートブロック60上に図2に示された反応容器41がスライドして所定の位置に位置決めされる案内部が形成されている。反応容器装着部には反応容器41にサンプルが注入されたものが5枚平行に並べて設置される。これらのヒートブロック60,62は、矢印で示されるY方向に移動することができる。
遺伝子増幅反応部32、その蓋34及び蓋34を着脱するための係合機構の例を図10から図15に示す。
蓋34の一例は(A)に示されるものであり、その蓋34−1の上部中央部に鍵型の突起36aが形成されている。蓋34の図では、凸部34aが下側になるように図示されている。以下の蓋の図面においても同じである。他の蓋の例は(B)に示されるものであり、蓋34−2の上部の開口部の縁に切込みが形成されていることによって係合部となる突起36bが形成されている。
4 PCR反応試薬
6 インベーダ(登録商標)試薬
8 プローブ配置部
10 基板
12 サンプル注入部
14 タイピング試薬収容部
16 ミネラルオイル収容部
18 プローブ配置部
20 フィルム
28 分注プローブ
28b,28c 係合機構
30 遺伝子増幅試薬収容部
31 PCR終了液注入部
32 遺伝子増幅反応部
33 ウエル
34,34−1〜34−6 蓋
35 ボール
37 リング
36a〜36g 係合部
41 反応容器
60,62 ヒートブロック
64 蛍光検出部
66 送液アーム
70 チップ
110 タイピング反応温度制御部
112 分注部112
118 制御部
Claims (12)
- 平板状の基板に形成されサンプルに反応を起こさせる少なくとも1つの反応部を備えた反応容器において、
前記反応部の1つとしてサンプルと試薬との混合液からなる反応液を収容し、温度制御機構により温度が制御されることによりその反応液に反応を起こさせる温度反応部を含み、該温度反応部は前記反応液を収容する凹部をもつウエルとその蓋とからなり、前記蓋は前記ウエルの凹部に入り込んでその一部の空間を占める凸部をもち、前記ウエルに対し着脱可能になっており、
前記蓋には、この反応容器が処理される反応容器処理装置内の分注プローブの先端に設けられた係合機構であって前記分注プローブの先端に装着された分注チップ内に収容できる大きさの係合機構と係合する係合部が設けられており、前記蓋は前記係合部を介して前記係合機構により着脱できることを特徴とする反応容器。 - 前記ウエルに所定量の反応液が入れられ、ウエルの凹部を前記蓋で閉じたとき、ウエル内の反応液が蓋の前記凸部に接触するか、又はウエル内の反応液の上部の空間ができるだけ小さくなるように、ウエルの凹部形状及び蓋の凸部形状が設定されている請求項1に記載の反応容器。
- 前記ウエルは弾性変形する爪部によりこの反応容器に固定されている請求項1又は2に記載の反応容器。
- この反応容器には前記ウエルから取り外された前記蓋を載置する場所が設けられている請求項1から3のいずれかに記載の反応容器。
- 前記温度反応部は遺伝子増幅試薬とサンプルとの混合液からなる反応液に対して遺伝子増幅反応を行なわせる増幅反応部であり、
この反応容器は前記試薬として複数の多型部位それぞれを挟んで結合する複数のプライマーを含む遺伝子増幅試薬を収容した遺伝子増幅試薬収容部をさらに一体的に備えている請求項1から4のいずれかに記載の反応容器。 - 前記基板に凹部として形成され、扱う反応液よりも比重の低い不揮発性液体を収容しフィルムで封止された不揮発性液体収容部をさらに備えている請求項1から5のいずれかに記載の反応容器。
- 前記基板に凹部として形成され、複数の多型部位に対応して調製されたタイピング試薬を収容しフィルムで封止されたタイピング試薬収容部をさらに備え、
前記反応部の1つとして前記複数の多型部位のそれぞれに対応して蛍光を発するプローブを個別に保持した複数のプローブ配置部を含み、
この反応容器が遺伝子多型診断用試薬キットを構成している請求項1から6のいずれかに記載の反応容器。 - 対象とする多型が一塩基多型である請求項7に記載の反応容器。
- 前記フィルムは分注機構に装着される分注チップで貫通可能なものである請求項6から8のいずれかに記載の反応容器。
- 請求項1から9のいずれかに記載の反応容器を装着する反応容器装着部と、
先端に着脱可能な分注チップを備えた分注プローブによる吸引及び吐出のための機構を備えて液を移送して分注する分注部と、
前記ウエルに蓋が被せられた状態の温度反応部のウエル底面及び蓋上面に接触して温度制御を行なう温度制御機構と、
前記分注部の分注動作及び前記温度制御機構の温度制御動作を少なくとも制御する制御部と、
前記分注プローブの先端部に装着された分注チップ内に収容される大きさをもち、前記分注プローブの先端部に設けられ、分注チップが前記分注プローブから取り外された状態で前記係合部と係合して前記温度反応部での前記蓋の着脱を行なう係合機構と、
を備えた反応容器処理装置。 - 前記温度反応部は遺伝子増幅試薬とサンプルとの混合液からなる反応液に対して遺伝子増幅反応を行なわせる増幅反応部である請求項1又は2に記載の反応容器。
- 請求項11に記載の反応容器を装着する反応容器装着部と、
前記ウエルに蓋が被せられた状態の温度反応部のウエル底面及び蓋上面に接触して温度制御を行なう温度制御機構と、
前記温度制御機構の温度制御動作を制御する制御部と、
を備えた反応容器処理装置。
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