JP4750240B2 - 二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents

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  • Tires In General (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、良路/不整地兼用走行用のいわゆるオン/オフ用の二輪車用空気入りタイヤに係り、特に、不整地(オフロード)走行性能を著しく犠牲にすることなく良路走行時に騒音を低減可能な二輪車用空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、良路/不整地兼用走行用のオン/オフ用の二輪車用空気入りタイヤは、どちらかといえば、不整地走行性能を重視するあまり、舗装路等の良路走行中の騒音が軽視されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、良路/不整地兼用走行用のオン/オフ用の二輪車用空気入りタイヤと言えども、常に不整地ばかりを走行している訳ではなく、特に一般ユーザー層にあっては、普段はむしろ街中等の良路(オンロード)走行の機会が多く、その騒音が近年、次第に問題になってきつつあった。
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、上記事実を考慮し、不整地走行性能を著しく犠牲にすることなく良路走行時に騒音を低減可能な二輪車用空気入りタイヤを提供することが目的である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、複数本の周方向溝とタイヤ赤道面からトレッド端まで延びる複数本のラグ溝とにより区画される複数のブロックをトレッドに備えた二輪車用空気入りタイヤであって、前記ラグ溝をタイヤ軸方向に対して傾斜させ、前記ラグ溝の溝深さを前記周方向溝の溝深さより深くし、前記トレッドのネガティブ率を30〜60%の範囲内に設定し、標準接地面内での前記ラグ溝の周方向配列ピッチを標準接地面の最大長さの50〜100%の範囲内に設定し、前記ラグ溝の幅をタイヤ赤道面側からトレッド端に向けて徐々に広くなるように形成したことを特徴としている。
【0006】
請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤでは、ラグ溝をタイヤ軸方向に対して傾斜させたので、転動接地時に踏み込み側のブロックエッジ部分が全長に渡って一度に路面を打撃せず、低騒音化が図れる。また、複数のブロックがタイヤ軸方向に一列に並ばないので、複数のブロックが同時に路面を打撃することが無くなるので、低騒音化が図れる。
【0007】
また、トレッドのネガティブ率を30〜60%の範囲内に設定することにより、不整地走行性能を犠牲にせず低騒音化を図ることができる。
【0008】
なお、トレッドのネガティブ率が30%未満になると、溝部の面積が少なくなり過ぎ(ブロックの面積が多過ぎ)、不整地走行時有効となるブロックエッジの働きを抑制してしまい、その結果、走行に必要なグリップが十分得られない。
【0009】
一方、トレッドのネガティブ率が60%を越えると、溝部が多過ぎ(ブロックの面積が少なくなり過ぎ)、良路で有効である接地面積が得られないと同時に、個々のブロックの路面への落差が大きく、打撃音を大きくしてしまう。
【0010】
また、ラグ溝の周方向配列ピッチが標準接地面の最大長さの50%未満になると、ブロックの少なくとも周方向長さが短くなり過ぎて制動力及び駆動力に対するブロック剛性が不足して耐久性に劣る。
【0011】
一方、ラグ溝の周方向配列ピッチが標準接地面の最大長さの100%より長くなると、接地面内のブロックの幅方向エッジ成分が少なくなり過ぎて制動力及び駆動力に対するエッジ効果に劣り、特に不整地走行に劣る。
【0012】
なお、本発明でいう標準接地面とは、タイヤをJATMA基準に準拠した標準リムに組み付け、空気圧及び負荷を空気圧−負荷能力対応表に規定される最大空気圧の80%の空気圧及び最大負荷能力の70%の負荷をかけたキャンバー角0°の時のフットプリントと定義される。
【0013】
また、本発明でいう周方向溝はタイヤ赤道面に対して45°未満の溝を意味し、ラグ溝はタイヤ軸方向に対する傾斜角度が45°以下の溝を意味する。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、標準接地面内での前記ラグ溝の幅を、標準接地面の最大長さの5〜50%の範囲内に設定したことを特徴としている。
【0015】
ラグ溝の幅が、標準接地面の最大長さの5%未満になると、溝幅が狭すぎて排水性の排水性及び不整地走行時の泥濘等の排土性等に劣る。
【0016】
一方、ラグ溝の幅が標準接地面の最大長さの50%より広くなると、接地面内のブロックの少なくとも周方向長さが短くなり過ぎて制動力及び駆動力に対するブロック剛性が不足し耐久性に劣る。
【0017】
したがって、ラグ溝の幅を、標準接地面の最大長さの5〜50%の範囲内に設定することが好ましい。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、標準接地面内での前記ラグ溝全長の少なくとも50%以上の範囲において、ラグ溝幅中心線のタイヤ赤道面に対する角度を60〜70°の範囲内に設定したことを特徴としている。
【0019】
標準接地面内でのラグ溝全長の少なくとも50%以上の範囲において、ラグ溝幅中心線のタイヤ赤道面に対する角度が60°未満になると、ラグ溝の幅方向エッジ成分が短くなり過ぎて制動力及び駆動力に対するエッジ効果に劣り、特に不整地走行に劣る。
【0020】
一方、ラグ溝幅中心線のタイヤ赤道面に対する角度が70°を越えると、転動接地時に路面を打撃するブロックの幅方向エッジ成分が多くなり過ぎて低騒音性に劣る。
【0021】
請求項4に記載の発明、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、標準接地面内での前記ラグ溝の出現本数を1〜2本の範囲内に設定したことを特徴としている。
【0022】
標準接地面内でのラグ溝の出現本数が1本より少なくなると、排水性、不整地走行時の制動性、駆動性及び排土性等に劣る。
【0023】
一方、標準接地面内でのラグ溝の出現本数が2本より多くなると、ブロック剛性、対低騒音性等に劣り、それらの性能を総合的に並立向上させることができなくなる。
【0024】
したがって、標準接地面内でのラグ溝の出現本数を1〜2本の範囲内に設定することが好ましい。
【0025】
なお、本発明におけるラグ溝の出現本数の数え方は以下の通りである。
【0026】
出現本数1本:標準接地面内においてラグ溝が標準接地面を完全に横断している場合で、ラグ溝の踏面側の溝端部(ブロックエッジと同じ)が2個現れている場合(図7(A),(B)参照。なお、図7(A)において符号20は標準接地面、14はラグ溝。)。
【0027】
出現本数0.5本:標準接地面内においてラグ溝が標準接地面を完全に横断している場合で、ラグ溝の踏面側の溝端部(ブロックエッジと同じ)が1個現れている場合(図7(C)参照)。
【0028】
なお、図7(D)に示すように、ラグ溝が標準接地面内を完全に横断していない場合は、標準接地面の外形線にラグ溝が横断してるものを0.5本と数える(ちなみに、図7(D)の場合は1.5本と数える。)。
【0029】
請求項5に記載の発明は、複数本の周方向溝とタイヤ赤道面からトレッド端まで延びる複数本のラグ溝とにより区画される複数のブロックをトレッドに備えた二輪車用空気入りタイヤであって、前記ブロックの踏み込み側のエッジの少なくとも一部をタイヤ軸方向に対して傾斜させ、前記ラグ溝の溝深さを前記周方向溝の溝深さより深くし、前記トレッドのネガティブ率を30〜60%の範囲内に設定し、標準接地面内での前記ラグ溝の周方向配列ピッチを標準接地面の最大長さの50〜100%の範囲内に設定し、前記ラグ溝の幅をタイヤ赤道面側からトレッド端に向けて徐々に広くなるように形成したことを特徴としている。
【0030】
請求項5に記載の二輪車用空気入りタイヤでは、ブロックの踏み込み側のエッジの少なくとも一部(全てが好ましい)をタイヤ軸方向に対して傾斜させたので、転動接地時に踏み込み側のブロックエッジ部分が全長に渡って一度に路面を打撃せず、低騒音化が図れる。また、複数のブロックがタイヤ軸方向に一列に並ばないので、複数のブロックが同時に路面を打撃することが無く、低騒音化が図れる。
【0031】
また、トレッドのネガティブ率を30〜60%の範囲内に設定することにより、不整地走行性能を犠牲にせず低騒音化を図ることができる。
【0032】
なお、ブロックの踏み込み側のエッジ形状は、直線形状であっても良く、直線形状以外の形状、例えば、V字形状、屈曲形状、曲線形状等であっても良い。
【0033】
なお、トレッドのネガティブ率が30%未満になると、溝部の面積が少なくなり過ぎ(ブロックの面積が多過ぎ)、不整地走行時有効となるブロックエッジの働きを抑制してしまい、その結果、走行に必要なグリップが十分得られない。
【0034】
一方、トレッドのネガティブ率が60%を越えると、溝部が多過ぎ(ブロックの面積が少なくなり過ぎ)、良路で有効である接地面積が得られないと同時に、個々のブロックの路面への落差が大きく、打撃音を大きくしてしまう。
【0035】
また、ラグ溝の周方向配列ピッチが標準接地面の最大長さの50%未満になると、ブロックの少なくとも周方向長さが短くなり過ぎて制動力及び駆動力に対するブロック剛性が不足して耐久性に劣る。
【0036】
一方、ラグ溝の周方向配列ピッチが標準接地面の最大長さの100%より長くなると、接地面内のブロックの幅方向エッジ成分が少なくなり過ぎて制動力及び駆動力に対するエッジ効果に劣り、特に不整地走行に劣る。
【0037】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記ラグ溝の幅を、標準接地面の最大長さの5〜50%の範囲内に設定したことを特徴としている。
【0038】
ラグ溝の幅が、標準接地面の最大長さの5%未満になると、溝幅が狭すぎて排水性及び不整地走行時の泥濘等の排土性等に劣る。
【0039】
一方、ラグ溝の幅が標準接地面の最大長さの50%より広くすると、接地面内のブロックの少なくとも周方向長さが短くなり過ぎて制動力及び駆動力に対するブロック剛性が不足し耐久性に劣る。
【0040】
したがって、ラグ溝の幅を、標準接地面の最大長さの5〜50%の範囲内に設定することが好ましい。
【0041】
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、標準接地面内での前記ラグ溝の出現本数を1〜2本の範囲内に設定したことを特徴としている。
【0042】
標準接地面内でのラグ溝の出現本数が1本より少なくなると、排水性、不整地走行時の制動性、駆動性及び排土性等に劣る。
【0043】
一方、標準接地面内でのラグ溝の出現本数が2本より多くなると、ブロック剛性、対低騒音性等に劣り、それらの性能を総合的に並立向上させることができなくなる。
【0044】
したがって、標準接地面内でのラグ溝の出現本数を1〜2本の範囲内に設定することが好ましい。
【0045】
【発明の実施の形態】
本発明の二輪車用空気入りタイヤの一実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
【0046】
図1には、前輪用の二輪車用空気入りタイヤ10(タイヤサイズ:130/80−18)のトレッド12が平面図(展開図)にて示されている。
【0047】
なお、本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10の内部構造は、通常の二輪車用空気入りタイヤと同様であるので、内部構造に付いての説明は省略する。
【0048】
図1に示すように、トレッド12には、複数のラグ溝14と周方向溝16とによって区画されたブロック18が複数個設けられている。
【0049】
ラグ溝14は、左側のトレッド端12L側からタイヤ赤道面CLに向けて右上がりに傾斜しており、タイヤ赤道面CLから右側のトレッド端12Rへ向けて右下がりに傾斜している。
【0050】
このラグ溝14は、タイヤ赤道面CL側からトレッド端12L,12Rへ向けて溝幅が除々に広くなるように形成されている。
【0051】
ラグ溝14の幅W1 は、最も狭いタイヤ赤道面CL付近で約7mm、最も広いトレッド端12L,12R付近で約19mmである。
【0052】
この二輪車用空気入りタイヤ10の標準接地面20の長さをL0 としたときに、標準接地面20内において、ラグ溝14の周方向配列ピッチP(ラグ溝幅中心線14C間距離)は、標準接地面20の最大長さL0 の50〜100%の範囲内に設定することが好ましい。本実施形態では、周方向配列ピッチP/標準接地面20の最大長さL0 =60%に設定されている。
【0053】
標準接地面20内におけるラグ溝14の幅W1 は、標準接地面20の最大長さL0 の5〜50%の範囲内に設定することが好ましい。本実施形態では、標準接地面20内において、ラグ溝14の幅W1 /標準接地面20の最大長さL0 =8%に設定されている。
【0054】
標準接地面20内でのラグ溝14の全長(ラグ溝幅中心線14Cのペリフェリ−長さ)の少なくとも50%以上の範囲において、ラグ溝幅中心線14Cのタイヤ赤道面CLに対する角度(鋭角側で計測)を60〜70°の範囲内に設定し、かつ、標準接地面20内でのラグ溝14の出現本数を1〜2本の範囲内に設定することが好ましい。
【0055】
本実施形態では、標準接地面20内でのラグ溝14の全長の少なくとも50%以上の範囲において、ラグ溝幅中心線14Cのタイヤ赤道面CLに対する角度θ1 が平均で62°に設定されており、ラグ溝14の出現本数が1〜2本である(回転位置によって1〜2本の間で増減する。)。
【0056】
なお、本実施形態のラグ溝14の深さは6mmである。
【0057】
ラグ溝14とラグ溝14との間には、本実施形態では4本の周方向溝16が形成されている。
【0058】
本実施形態では、タイヤ赤道面CLの左側に配置される周方向溝16は左上がりに傾斜しており、タイヤ赤道面CLの左側に配置される周方向溝16は右上がりに傾斜している。
【0059】
本実施形態では、周方向溝16の幅方向中心線のタイヤ赤道面CLに対する角度θ2 が平均で62°に設定されている。
【0060】
本実施形態の周方向溝16は、若干幅狭のものと若干幅広のものとが混在しているが、トレッド12全体で平均すると溝幅W2 は8mmに設定されており、溝深さは3.5mmであり、略等間隔に配置されている。
【0061】
なお、トレッド12のネガティブ率は30〜60%の範囲内に設定されていることが好ましく、本実施形態では31%に設定されている。
【0062】
図2には、後輪用の二輪車用空気入りタイヤ30(タイヤサイズ:180/80−14)のトレッド12が平面図(展開図)にて示されている。なお、前輪用の二輪車用空気入りタイヤ10と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0063】
図2に示すように、後輪の二輪車用空気入りタイヤ30も前輪用の二輪車用空気入りタイヤ10と略同等のトレッドパターンを有している。
【0064】
以下に、後輪用の二輪車用空気入りタイヤ30の前輪用の二輪車用空気入りタイヤ10と異なる点を説明する。
【0065】
トレッド12のネガティブ率34%。
【0066】
標準接地面20内におけるラグ溝14の幅W1 が標準接地面20の最大長さL0 の7%に設定されている。
【0067】
標準接地面20内でのラグ溝14の全長の少なくとも50%以上の範囲において、ラグ溝幅中心線14Cのタイヤ赤道面CLに対する角度θ1 が平均で65°に設定されている。
【0068】
ちなみに、後輪用の二輪車用空気入りタイヤ30は、前輪用の二輪車用空気入りタイヤ10と同様に、標準接地面20内において、周方向配列ピッチP/標準接地面20の最大長さL0 =60%に設定されており、ラグ溝14の出現本数が1〜2本である。
(作用)
本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10及び二輪車用空気入りタイヤ30では、複数のブロック18がタイヤ軸方向に一列に並ばず、ラグ溝14がタイヤ赤道面に対して60〜70°の範囲内で傾斜しているので、複数のブロック18が同時に路面を打撃することが無くなり、転動接地時にブロック18の踏み込み側のエッジ18Aが全長に渡って一度に路面を打撃しなくなるので、低騒音になる。
【0069】
また、トレッド12のネガティブ率が30〜60%の範囲内に設定されているので、不整地走行性能を犠牲にせず低騒音になる。
【0070】
なお、トレッド12のネガティブ率が30%未満になると、溝部の面積が少なくなり過ぎ(ブロック18の面積が多過ぎ)、不整地走行時有効となるブロックエッジの働きを抑制してしまい、その結果、走行に必要なグリップが十分得られない。
【0071】
一方、トレッド12のネガティブ率が60%を越えると、溝部が多過ぎ(ブロック18の面積が少なくなり過ぎ)、良路で有効である接地面積が得られないと同時に、個々のブロック18の路面への落差が大きく、打撃音を大きくしてしまう。
【0072】
また、ラグ溝14の周方向配列ピッチPが標準接地面20の最大長さL0 の50%未満になると、ブロック18の少なくとも周方向長さが短くなり過ぎて制動力及び駆動力に対するブロック剛性が不足して耐久性が低下する。
【0073】
一方、ラグ溝14の周方向配列ピッチPが標準接地面20の最大長さL0 の100%より長くなると、接地面内のブロック18の幅方向エッジ成分が少なくなり過ぎて制動力及び駆動力に対するエッジ効果が低下し、特に不整地走行性能が低下する。
【0074】
ラグ溝14の幅W1 が、標準接地面20の最大長さL0 の5%未満になると、溝幅が狭すぎて排水性及び不整地走行時の泥濘等の排土性等に劣る。
【0075】
一方、ラグ溝14の幅W1 が標準接地面20の最大長さL0 の50%より広くすると、接地面内のブロック18の少なくとも周方向長さが短くなり過ぎて制動力及び駆動力に対するブロック剛性が不足し耐久性が低下する。
【0076】
標準接地面20内でのラグ溝14全長の少なくとも50%以上の範囲において、ラグ溝幅中心線14Cのタイヤ赤道面CLに対する角度θ1 が60°未満になると、ラグ溝14の幅方向エッジ成分が短くなり過ぎて制動力及び駆動力に対するエッジ効果に劣り、特に不整地走行に劣る。
【0077】
一方、ラグ溝幅中心線14Cのタイヤ赤道面CLに対する角度θ1 が70°を越えると、転動接地時に路面を打撃するブロック18の幅方向エッジ成分が多くなり過ぎて低騒音性に劣る。
【0078】
標準接地面20内でのラグ溝の出現本数が1本より少なくなると、排水性、不整地走行時の制動性、駆動性及び排土性等に劣る。
【0079】
一方、標準接地面20内でのラグ溝14の出現本数が2本より多くなると、ブロック剛性、対低騒音性等に劣り、それらの性能を総合的に並立向上させることができなくなる。
【0080】
ここで、上記駆動に関しては駆動輪である後輪用の二輪車用空気入りタイヤ30の説明である。
【0081】
なお、上記実施形態は本発明の一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、ラグ溝14及び周方向溝16の各々の形状、配置、角度、幅等、また、ブロック18の形状、配置等は適宜変更可能である。
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、本発明の適用さた実施例のタイヤ(前述した実施形態のタイヤ前後の2種)と従来例のタイヤ(前後2種)の合計4種類のタイヤを用意し、これら4種のタイヤについて室内のドラム試験機にて騒音試験を実施した。
【0082】
試験は、試験タイヤをリム組みし(前輪用のタイヤはサイズ2.50×18のリムに、後輪用のタイヤはサイズ4.50×14のリムに組付け)、前後輪共に内圧1.5kgf/cm2 を充填し、所定の荷重(前輪用は82kg、後輪用は160kg)を負荷させてパターンノイズの騒音レベル(時速45km/h)を計測した。
【0083】
図3に示すように、従来例の前輪用の二輪車用空気入りタイヤ100のトレッド102には、周方向に沿って直線状に延びる複数の周方向溝104とタイヤ軸方向に沿って直線状に延びるラグ溝106とによって区画されるブロック108が複数個設けられている。
【0084】
なお、標準接地面20内において、ラグ溝106の溝幅W1 は40(平均)mm、ラグ溝106の周方向配列ピッチPが40(平均)mm、ネガティブ率は70%、ラグ溝106の出現本数は2本である。ちなみに、トレッド102全体で平均すると周方向溝104の溝幅W2 は12(平均)mmである。
【0085】
図4に示すように、従来例の後輪用の二輪車用空気入りタイヤ110のトレッド102には、周方向に沿って実質上直線状に延びる複数の周方向溝112とタイヤ軸方向に沿って実質上直線状に延びるラグ溝114とタイヤ赤道面CLを横断する細幅のラグ溝115(但しラグ溝114より浅い)とによって区画されるブロック116が複数個設けられている。ちなみに、この後輪用の二輪車用空気入りタイヤ110では、周方向溝112とラグ溝114との明確な区別は無く、周方向溝112とラグ溝114とが一体となった溝である。
【0086】
なお、トレッド102のネガティブ率は70%、標準接地面20内において、ラグ溝106の溝幅W1 が40(平均)mm、ラグ溝106の周方向配列ピッチPが40(平均)mm、ラグ溝106の出現本数が1.5〜2本である。
【0087】
また、トレッド102全体で平均すると周方向溝104の溝幅W2 は12(平均)mmである。
【0088】
前輪用のタイヤの試験結果は図5のグラフに示す通りであり、後輪用のタイヤの試験結果は図6のグラフに示す通りである。
【0089】
本発明の適用された実施例のタイヤは、従来例のタイヤに比較して、騒音のピーク値が低く、低騒音であることが分かる。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤは上記の構成としたので、不整地走行性能を著しく犠牲にすることなく良路走行時の騒音を低減できる、という優れた効果を有する。
【0091】
請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤは上記の構成としたので、排水性及び不整地走行時の泥濘等の排土性を従来並に得ることができると共に、従来並の耐久性を得ることができる、という優れた効果を有する。
【0092】
請求項3に記載の二輪車用空気入りタイヤは上記の構成としたので、不整地走行性能及び低騒音性を確実に得ることができる、という優れた効果を有する。
【0093】
請求項4に記載の二輪車用空気入りタイヤは上記の構成としたので、制動性、駆動性、排水性及び排土性を従来並に得ることができ、また、ブロック剛性と対低騒音性を総合的に並立向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0094】
請求項5に記載の二輪車用空気入りタイヤは上記の構成としたので、不整地走行性能を著しく犠牲にすることなく良路走行時の騒音を低減できる、という優れた効果を有する。
【0095】
請求項6に記載の二輪車用空気入りタイヤは上記の構成としたので、排水性及び不整地走行時の泥濘等の排土性を従来並に得ることができると共に、従来並の耐久性を得ることができる、という優れた効果を有する。
【0096】
また、請求項7に記載の二輪車用空気入りタイヤは上記の構成としたので、制動性、駆動性、排水性及び排土性を従来並に得ることができ、また、ブロック剛性と対低騒音性を総合的に並立向上させることができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る前輪用の二輪車用空気入りタイヤのトレッドの展開図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る後輪用の二輪車用空気入りタイヤのトレッドの展開図である。
【図3】 従来の前輪用の二輪車用空気入りタイヤのトレッドの展開図である。
【図4】 従来例の後輪用の二輪車用空気入りタイヤのトレッドの展開図である。
【図5】 前輪の騒音試験の結果を示すグラフである。
【図6】 後輪の騒音試験の結果を示すグラフである。
【図7】 (A)乃至(D)は、ラグ溝の出現本数を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 二輪車用空気入りタイヤ
12 トレッド
14 ラグ溝
16 周方向溝
18 ブロック
20 標準接地面

Claims (7)

  1. 複数本の周方向溝とタイヤ赤道面からトレッド端まで延びる複数本のラグ溝とにより区画される複数のブロックをトレッドに備えた二輪車用空気入りタイヤであって、
    前記ラグ溝をタイヤ軸方向に対して傾斜させ、
    前記ラグ溝の溝深さを前記周方向溝の溝深さより深くし、
    前記トレッドのネガティブ率を30〜60%の範囲内に設定し、
    標準接地面内での前記ラグ溝の周方向配列ピッチを標準接地面の最大長さの50〜100%の範囲内に設定し、前記ラグ溝の幅をタイヤ赤道面側からトレッド端に向けて徐々に広くなるように形成したことを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
  2. 標準接地面内での前記ラグ溝の幅を、標準接地面の最大長さの5〜50%の範囲内に設定したことを特徴とする請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  3. 標準接地面内での前記ラグ溝全長の少なくとも50%以上の範囲において、ラグ溝幅中心線のタイヤ赤道面に対する角度を60〜70°の範囲内に設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  4. 標準接地面内での前記ラグ溝の出現本数を1〜2本の範囲内に設定したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  5. 複数本の周方向溝とタイヤ赤道面からトレッド端まで延びる複数本のラグ溝とにより区画される複数のブロックをトレッドに備えた二輪車用空気入りタイヤであって、
    前記ブロックの踏み込み側のエッジの少なくとも一部をタイヤ軸方向に対して傾斜させ、
    前記ラグ溝の溝深さを前記周方向溝の溝深さより深くし、
    前記トレッドのネガティブ率を30〜60%の範囲内に設定し、
    標準接地面内での前記ラグ溝の周方向配列ピッチを標準接地面の最大長さの50〜100%の範囲内に設定し、前記ラグ溝の幅をタイヤ赤道面側からトレッド端に向けて徐々に広くなるように形成したことを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
  6. 前記ラグ溝の幅を、標準接地面の最大長さの5〜50%の範囲内に設定したことを特徴とする請求項5に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  7. 標準接地面内での前記ラグ溝の出現本数を1〜2本の範囲内に設定したことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
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