JP4643041B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スポーツカー等の高性能車両に適した空気入りタイヤに係り、特に、他性能を犠牲にせずに、新品時のパターンノイズの改良と、摩耗後のパターノイズとウエット性能を両立可能な空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
スポーツカー等の高性能車両に用いられる空気入りタイヤのトレッドパターンとしては、周方向に直線状に延びる周方向主溝と、傾斜溝とを組み合わせたいわゆる方向性パターンが一般的である。
【0003】
ところで、摩耗後に偏摩耗をおこし、パターンノイズを悪化させる原因は、主にショルダーブロックのヒール・アンド・トゥ摩耗であり、これを抑制するためにラグ溝を閉じたり、ラグ溝を真横方向に配置することが一般的である。
【0004】
また、一方で、排水性能を向上させるためには、ラグ溝で周方向主溝と接地端とを連結することが効果的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、溝体積を大きくすると、一般には排水性は向上するが、単に溝幅を広げるだけではブロック剛性が不足したり、溝内エアボリュームの増加によりパターンノイズが悪化したりする。
【0006】
一般に、ショルダーブロックはヒール・アンド・トゥ摩耗及びノイズが発生し易く、これを防止すべくショルダーラグは接地面下で閉じるサイプ化すること、またはラグ溝を周方向主溝に開口しないことが多い。
【0007】
しかしながら、共にウエット排水性が低下する問題がある。
【0008】
また、一般には、ショルダーリブは、排水性のためラグ溝を設けるが、このラグ溝により、連続したスムーズな接地が損なわれ、ヒール・アンド・トゥ摩耗の発生源となることが多い。
【0009】
本発明は、上記事実を考慮し、上記のような諸問題を生ずることなく、新品時から摩耗後の、偏摩耗とウエット性能の両立が可能な空気入りタイヤを提供することが目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、トレッド側部領域にタイヤ周方向に延びる陸部を備え、同一トレッド側部領域内において、少なくともタイヤ赤道面側からトレッド端に向けて延び、かつタイヤ周方向に対して一方向に傾斜する傾斜溝をタイヤ周方向に間隔をおいて配置した空気入りタイヤであって、前記トレッド側部領域の陸部には、少なくとも新品時の接地面下で踏面側開口部が実質上閉じる程度の溝幅を有する狭幅傾斜溝と、少なくとも新品時の接地面下で踏面側開口部が閉じない溝幅を有する広幅傾斜溝と、がタイヤ周方向に交互に設けられており、前記狭幅傾斜溝は、溝底に向けて溝幅が広がる断面形状を有し、前記広幅傾斜溝は、溝底に向けて溝幅が狭まる断面形状を有することを特徴としている。
【0011】
次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0012】
新品時において、ウエット路面を走行する際の接地面内の水は、主に周方向主溝及び広幅傾斜溝により排水される。
【0013】
次に、トレッド側部領域の狭幅傾斜溝の作用を説明する。
【0014】
新品時、トレッド側部領域の狭幅傾斜溝は、接地面下で踏面側開口部が実質上閉じるので、接地時のインパクト成分が小さく、パターンノイズの発生源とならない。また、接地したときに狭幅傾斜溝の踏面側開口部分が閉じるように狭幅傾斜溝の溝幅を設定しておけば、接地したときに狭幅傾斜溝を挟んで蹴り出し側のエッジ部分と、踏み込み側のエッジ部分とが互いに接触して支え合い、陸部のエッジの動きが少なくなり、ヒール・アンド・トゥ摩耗の発生を抑制することができる。
【0015】
さらに、この狭幅傾斜は溝深さ方向で広がる断面形状であるので、この狭幅傾斜を隣接する周方向主溝と接地端とを連結するように設ければ、溝底側の溝幅の広がった部分が、隣接する周方向主溝と接地端とを結ぶ流路となり、ウエット性能をある程度確保することができる。
【0016】
50%摩耗時、広幅傾斜溝は溝幅が狭くなって排水性が落ちるが、トレッド側部領域の狭幅傾斜溝は溝幅が広くなるので、広幅傾斜溝の排水性が低下した分を確実に補うことができる。なお、トレッドが摩耗すると、陸部は高さが低くなり剛性が高くなるので、狭幅傾斜溝の存在に起因するヒール・アンド・トゥ摩耗が発生しても程度は軽くて済む。
【0017】
また、走行によりトレッドが摩耗すると、狭幅傾斜溝の溝底部側に向けて溝幅が広がる断面形状部分が踏面に表れる。トレッドが摩耗すると、溝ボリュームが減少して排水性能が低下する傾向にあるが、前述したように断面形状部分が踏面に表れるので、摩耗時においても高い排水性が得られるようになり、ウエット性能の低下を抑制できる。なお、トレッドが摩耗し、断面形状部分が踏面に表れると狭幅傾斜溝の溝幅が広くなるが、溝深さも同時に浅くなっているので、パターンノイズの音圧は低く、問題は無い。
【0018】
次に、トレッド側部領域の広幅傾斜溝の作用を説明する。
【0019】
新品時、トレッド側部領域の広幅傾斜溝は、溝幅が広い(接地面下で踏面側の開口部が閉じない設定であるため)ので、高い排水性を確保することができる。
【0020】
なお、仮に、広幅傾斜溝の溝幅が広幅のまま溝深さ方向に一定であると、広幅傾斜溝を挟んで蹴り出し側のエッジ部分と、踏み込み側のエッジ部分とが離れているために、陸部のエッジ付近の動きを抑えることはできず、ヒール・アンド・トゥ摩耗を発生してしまう。しかしながら、本発明の広幅傾斜溝は、深さ方向に溝幅が狭くなる構成(例えば、断面V字状部分)、即ち、広幅傾斜溝の両側の陸部の基部付近が補強される構成となり、エッジ付近の剛性が向上して動きが抑えられ、ヒール・アンド・トゥ摩耗の発生程度を軽くすることができる。
【0021】
50%摩耗時、程度が軽くともヒール・アンド・トゥ摩耗を発生させてしまうトレッド側部領域の広幅傾斜溝は、溝幅が狭くなり、幅狭部分を挟んで蹴り出し側のエッジ部分と、踏み込み側のエッジ部分とが互いに接触して支え合うので、陸部のエッジの動きが少なくなり、ヒール・アンド・トゥ摩耗を完全に解消する方向に向かう。
【0022】
以上のように、新品から摩耗時まで、基本的にヒール・アンド・トゥ摩耗が起き難い構成であるが、摩耗により幅狭傾斜溝と広幅傾斜溝の互いの溝幅が入れ替わる関係になることで、ウエット性能有利とヒール・アンド・トゥ摩耗有利のそれぞれの溝の役割も入れ替わり、広幅傾斜溝の新品時不利であったヒール・アンド・トゥ摩耗の、50%摩耗以降の発生を特に抑制することができ、幅狭傾斜溝の新品時不利であったウエット性能は50%摩耗以降完全なオープンな広幅溝(幅狭傾斜溝の溝底側の幅広部分のこと)で確保でき、ヒール・アンド・トゥ摩耗も抑制することができるようになる。
【0023】
なお、本発明では、空気入りタイヤを以下に説明する標準リムに装着し、標準空気圧を充填し、正規荷重を作用させたときのタイヤ接地面をタイヤ幅方向に4等分したときの2つの中央の領域をトレッド中央領域、トレッド中央領域の外側の領域をトレッド側部域としている。
【0024】
標準リムとはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版規定のリムであり、標準空気圧とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版の最大負荷能力に対応する空気圧であり、正規荷重とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版の単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重である。
【0025】
また、接地面下で踏面側開口部が実質上閉じる程度の溝幅とは、空気入りタイヤをJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版規定のリムに装着し、JATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版の最大負荷能力に対応する空気圧を充填し、JATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版の単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重を作用させたときに、接地面下(車軸直下)において、踏面側開口部が完全に閉じる設定の溝幅は勿論のこと、接地面下の踏面側開口部の幅が、非接地状態で測定した溝幅の50%以内に狭まるように設定した溝幅も含まれるものとする。
【0026】
接地面下で踏面側開口部が閉じない溝幅とは、上記と同様の接地面下で、踏面側開口部が閉じず、少なくとも細幅溝よりも大きな溝幅を確保可能に設定した溝幅をいう。
【0027】
なお、日本以外では、荷重とは下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)のことであり、空気圧とは下記規格に記載されている単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことであり、リムとは下記規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または、”Approved Rim" 、”Recommended Rim")のことである。
【0028】
規格は、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では、”The Tire and Rim Association Inc. のYear Book ”であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual”である。
【0029】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記広幅傾斜溝は、隣接する周方向主溝には開口せず、接地端には開口する、ことを特徴としている。
【0030】
次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0031】
トレッド側部領域の陸部において、接地面下で踏面側開口部が閉じず、かつトレッドの接地端に開口する広幅傾斜溝を設けたため、トレッド側部領域の接地面内の水を接地端外側に排出でき、トレッド側部領域における排水性を確保することができる。
【0032】
ここで、広幅傾斜溝が隣接する周方向主溝に開口していると、特に、開口部分のヒール・アンド・トゥ摩耗の発生程度が大きくなる。しかしながら、本発明では、広幅傾斜溝が隣接する周方向主溝に開口していないので、ヒール・アンド・トゥ摩耗の発生程度は大きくならない。
【0033】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記狭幅傾斜溝は、溝幅が略一定の一定幅部分と、前記一定幅部分の溝底側に設けられ前記一定幅部分よりも幅の広い略円形断面部分と、有することを特徴としている。
【0034】
次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0035】
狭幅傾斜溝には、溝幅が略一定の一定幅部分の溝底側に、一定幅部分よりも幅の広い略円形断面部分を設けたので、溝底付近の応力集中を避けることができ、クラック等による陸部の欠け等を防止することができる。
【0036】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記広幅傾斜溝は、前記周方向主溝の約50%摩耗以降では接地面下で踏面側開口部が閉じ、前記狭幅傾斜溝は、前記周方向主溝の約35%摩耗以降では接地面下で踏面側開口部が閉じない、ことを特徴としている。
【0037】
次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0038】
先ず、広幅傾斜溝に付いて説明する。
【0039】
広幅傾斜溝が、周方向主溝の約50%摩耗時よりも後の時点で接地面下の踏面側開口部が閉じるように設定されていると(比較的広幅の部分の深さ寸法が長く、比較的狭幅の部分の深さ寸法が短い場合)、陸部の基部の補強効果が不足し、ヒール・アンド・トゥ摩耗の悪化程度がひどくなる。
【0040】
一方、広幅傾斜溝が、周方向主溝の約50%摩耗時よりも前の時点で接地面下の踏面側開口部が閉じるように設定されていると、新品時〜摩耗初期の排水性が不足し、初期のウエット性能を確保することができなくなる。
【0041】
したがって、広幅傾斜溝は、周方向主溝の約50%摩耗より前の時点では接地面下で踏面側開口部が閉じず、周方向主溝の約50%摩耗以降の接地面下では踏面側開口部が閉じることが好ましい。
【0042】
次に、狭幅傾斜溝に付いて説明する。
【0043】
狭幅傾斜溝が、周方向主溝の約35%摩耗時よりも前の時点で接地面下の踏面側開口部が開くように設定されていると(即ち、周方向主溝の約35%摩耗時よりも前の時点で比較的広幅の部分が踏面に表れる)、新品時〜摩耗初期において、比較的細幅部分の溝深さ方向長さが短くなり過ぎていることになり、蹴り出し側のエッジ部分と踏み込み側のエッジ部分との接触面積が減少して互いに支え合うことが出来なくなり、ヒール・アンド・トゥ摩耗の発生を抑制することができなくなる。
【0044】
一方、狭幅傾斜溝の踏面側開口部が開くようになる時期が、周方向主溝の約35%摩耗時よりも後の時点に設定されていると(即ち、周方向主溝の約35%摩耗時よりも後の時点で比較的広幅の部分が踏面に表れる)、摩耗後の溝ボリュームが少なくなり、十分な排水性を確保することが出来なくなる。
【0045】
したがって、狭幅傾斜溝は、周方向主溝の約35%摩耗よりも前の時点では接地面下で踏面側開口部が閉じ、周方向主溝の約35%摩耗以降の接地面下では踏面側開口部が閉じないことが好ましい。
【0046】
なお、周方向主溝の35%摩耗から50%摩耗の範囲においては、接地面に溝幅が広い傾斜溝のみが開口しているように規定されているが(即ち、広幅傾斜溝が開口し、かつ狭幅傾斜溝の比較的広幅の部分が開口している)、実際には、広幅傾斜溝近傍の陸部は狭幅傾斜溝近傍の陸部と比較して偏摩耗の発生の頻度が高く、比較的狭幅傾斜溝付近の陸部より早期に摩耗が進行するため、上記の摩耗段階で接地面内にある傾斜溝の幅が全て広い幅となることは少ない(即ち、狭幅傾斜溝の比較的広幅の部分が踏面に表れたときに、既に広幅傾斜溝が狭幅となっている状態が有り得る。)。
【0047】
また、狭幅傾斜溝の幅は、35%以降50%付近まで漸増することが好ましく、約50%付近で、狭幅傾斜溝と広幅傾斜溝の溝幅の関係が入れ替わることが上記性能を引き出す上で好ましい。
【0048】
なお、ここでいう約50%とは、50±5%のことを意味し、約35%とは、35±5%のことを意味する。
【0049】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、トレッド中央域にタイヤ周方向に延びる陸部を備え、トレッド中央域にタイヤ周方向に延びる前記陸部には、少なくとも新品時において、タイヤ幅方向に隣接する一方の周方向主溝と他方の周方向主溝とを連通し、かつ接地面下で踏面側開口部が実質上閉じる程度の溝幅を有する狭幅部分を備えた横断傾斜溝が形成されている、ことを特徴としている。
【0050】
次に、請求項5に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0051】
トレッド中央域の周方向に延びる陸部に、仮に、幅方向に横断する溝を設けると、複数のブロック状の陸部が周方向に列をなすことになり、接地時のインパクト成分によりパターンノイズの悪化を招くが、本発明のように、陸部は横断するものの、新品時の接地面下においては、狭幅部分の踏面側開口部が実質上閉じる横断傾斜溝を設ければ、少なくとも新品時においては、接地時のインパクト成分が抑制され、パターンノイズの発生源とならない。
【0052】
さらに、接地面下で踏面側開口部が閉じような横断傾斜溝を陸部に設けていれば、接地面下では陸部の剛性が確保されるので、微小舵角時の操縦安定性を向上することができる。
【0053】
なお、摩耗後は、横断傾斜溝は接地面下で閉じなくてもパターンノイズの悪化は無い。その理由は、摩耗後は横断傾斜溝の溝深さも同時に浅くなっているので、パターンノイズの音圧が低くなるからである。
【0054】
さらに、摩耗後は、陸部の高さが低くなって陸部剛性が上がるので、横断傾斜溝が閉じなくても操縦安定性は確保できる。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ10のトレッド12が平面図にて示されている。
【0056】
図1に示すように、トレッド12には、タイヤ赤道面CLを挟んで両側に、周方向(矢印A方向及び矢印B方向。なお、矢印A方向はタイヤ回転方向)に沿って延びる中央周方向主溝14が設けられており、中央周方向主溝14のタイヤ幅方向(矢印L方向及び矢印R方向)の外側には、側部周方向主溝16が設けられている。
【0057】
中央周方向主溝14は、溝幅が8mm、溝深さが8mmであり、側部周方向主溝16は、溝幅が6mm、溝深さが8mmである。
【0058】
なお、本実施形態の空気入りタイヤ10において、トレッド中央域とは、図1の符号19で示す境界線(2点鎖線)のタイヤ幅方向内側の領域であり、トレッド側部域とは符号19で示す境界線(2点鎖線)のタイヤ幅方向外側の領域である。
【0059】
なお、トレッド側部域の幅(タイヤ幅方向)は、タイヤ幅方向の一方の接地端12Aから他方の接地端12Aまでの寸法、即ち、トレッド幅(本実施形態では170mm)の1/4の幅であり、トレッド中央域の幅(タイヤ幅方向)は、トレッド幅の1/2の幅である。
【0060】
ちなみに、タイヤ赤道面CLから中央周方向主溝14の溝中心線までのタイヤ幅方向距離はトレッド幅の8%であり、タイヤ赤道面CLから側部周方向主溝16の溝中心線までのタイヤ幅方向距離はトレッド幅の33%である。
【0061】
タイヤ赤道面CL上には、2つの中央周方向主溝14によって区画された周方向に沿って延びる一定幅のリブ18が形成されている。
【0062】
中央周方向主溝14と側部周方向主溝16との間は、これら中央周方向主溝14及び側部周方向主溝16と、狭幅急傾斜溝20、狭幅緩傾斜溝22、狭幅緩傾斜溝24、広幅急傾斜溝26、広幅急傾斜溝28によって区画された略三角形のブロック30、略三角形のブロック32、略菱形のブロック34、略菱形のブロック36が連なる陸部37である。
【0063】
狭幅急傾斜溝20は中央周方向主溝14と側部周方向主溝16の略中間部に形成されており、タイヤ赤道面CLの右側では右上がりに、左側では左上がりに傾斜している。
【0064】
狭幅急傾斜溝20の周方向に対する傾斜角度(平均値)θ1は30度である。
なお、狭幅急傾斜溝20の周方向に対する傾斜角度(平均値)θ1は、30度に限らないが、15度から40度の範囲内が好ましい。
【0065】
狭幅急傾斜溝20の溝幅は、少なくとも新品時〜摩耗初期(0〜33%摩耗時)において接地することで踏面側の開口部分が閉じる様に設定されている。本実施形態の狭幅急傾斜溝20は、溝幅が溝長手方向及び溝深さ方向共に0.7mmで一定である。
【0066】
狭幅急傾斜溝20のタイヤ赤道面CL側の端部には広幅急傾斜溝26が、狭幅急傾斜溝20のタイヤ幅方向外側の端部には広幅急傾斜溝28が連結している。
【0067】
広幅急傾斜溝26のタイヤ周方向に対する傾斜角度θ2は、中央周方向主溝14に向かうにしたがって徐々に小さくなっており、本実施形態では、狭幅急傾斜溝20側の端部において30度、中央周方向主溝14側の端部において10度である。
【0068】
同様に、広幅急傾斜溝28のタイヤ周方向に対する傾斜角度θ3は、側部周方向主溝16に向かって徐々に小さくなっており、本実施形態では、狭幅急傾斜溝20側の端部において30度、側部周方向主溝16側の端部において10度である。
【0069】
広幅急傾斜溝26の溝幅は、中央周方向主溝14に向かって若干幅広となっているが、平均で3mmである。なお、広幅急傾斜溝26の溝幅は、深さ方向には略一定である(即ち、トレッド12が摩耗しても溝幅は殆ど変化しない)。
【0070】
広幅急傾斜溝26の溝深さは、中央周方向主溝14に向かって徐々に深くなっており、狭幅急傾斜溝20側の端部において6.5mm、中央周方向主溝14側の端部において8mmである。
【0071】
同様に、広幅急傾斜溝28の溝幅は、側部周方向主溝16に向かって若干幅広となっているが、平均で3mmである。なお、広幅急傾斜溝28の溝幅は、深さ方向には略一定である(即ち、トレッド12が摩耗しても溝幅は殆ど変化しない)。
【0072】
広幅急傾斜溝28の溝深さは、側部周方向主溝16に向かって徐々に深くなっており、狭幅急傾斜溝20側の端部において6.5mm、側部周方向主溝16側の端部において8mmである
次に、狭幅緩傾斜溝22は、中央周方向主溝14と側部周方向主溝16の略中間部に、狭幅急傾斜溝20と交差して形成されており、タイヤ赤道面CLの右側では右上がりに、左側では左上がりに傾斜している。
【0073】
狭幅緩傾斜溝22の周方向に対する傾斜角度(平均値)θ4は70度である。なお、狭幅緩傾斜溝22の周方向に対する傾斜角度(平均値)θ4は、70度に限らないが、60度以上が好ましい。
【0074】
狭幅緩傾斜溝22の溝幅は、少なくとも新品時〜摩耗初期(0〜33%摩耗時)において接地することで踏面側の開口部分が閉じる様に設定されている。本実施形態の狭幅緩傾斜溝22は、溝幅が溝長手方向及び溝深さ方向共に0.7mmで一定である。
【0075】
この狭幅緩傾斜溝22は、中央周方向主溝14と側部周方向主溝16とを連結している。
【0076】
次に、狭幅緩傾斜溝24は、中央周方向主溝14と側部周方向主溝16の略中間部で、かつ狭幅緩傾斜溝22と狭幅緩傾斜溝22との間に設けられている。
【0077】
狭幅緩傾斜溝24は、狭幅緩傾斜溝22と平行に設けられており、一方の端部が広幅急傾斜溝26に、他方の端部が広幅急傾斜溝28に連結している。
【0078】
なお、狭幅緩傾斜溝24、広幅急傾斜溝26及び広幅急傾斜溝28が、本発明の横断傾斜溝に相当するものである。
【0079】
なお、狭幅緩傾斜溝24の周方向に対する傾斜角度(平均値)θ2は、狭幅緩傾斜溝22と同様に70度に限らないが、60度以上が好ましい。
【0080】
図2(B)に示すように、狭幅緩傾斜溝24は、断面形状がいわゆる鍵穴形状であり、踏面側の一定幅部分24Aと、溝底側の円形断面部分24Bを備えている。
【0081】
狭幅緩傾斜溝24は、溝深さD1が6.5mm、一定幅部分24Aの溝幅W1が0.7mm、断面円形部22Bの径d1が4mmである。
【0082】
この狭幅緩傾斜溝24の一定幅部分24Aの溝幅W1は、新品時〜摩耗初期において、接地することで踏面側の開口部分が閉じる寸法である。
【0083】
なお、トレッド12を平面視すると、略三角形のブロック30の中央周方向主溝14側の角部分は、鋭角に形成されている。この鋭角部分は、図3に示すように、滑らかなアール面取り38が施されている。
【0084】
図示はしないが、同様に、略三角形のブロック32の側部周方向主溝16側の角部分も鋭角に形成されており、この鋭角部分もブロック30と同様に滑らかなアール面取りが施されている。
【0085】
図1に示すように、トレッド12の側部周方向主溝16のタイヤ幅方向外側に配置される陸部44には、狭幅緩傾斜溝40及び広幅緩傾斜溝42が交互、かつ略等間隔に形成されている。
【0086】
狭幅緩傾斜溝40及び広幅緩傾斜溝42は、タイヤ赤道面CLの右側では右上がりに、左側では左上がりに傾斜している。
【0087】
この狭幅緩傾斜溝40は、側部周方向主溝16からトレッド12の接地端12Aのタイヤ幅方向外側のショルダー部へと延びており、ショルダー部にて開口している。
【0088】
狭幅緩傾斜溝40の周方向に対する傾斜角度(平均値)θ5は80度である。なお、狭幅緩傾斜溝40の周方向に対する傾斜角度(平均値)θ5は、80度に限らないが、70度以上が好ましい。
【0089】
この狭幅緩傾斜溝40も、前述した狭幅急傾斜溝24等と同様に、断面形状が鍵穴形状である。なお、狭幅緩傾斜溝40の断面寸法は狭幅急傾斜溝24とは異なっており、溝深さが6.5mm、一定幅部分の溝幅が1mm、断面円形部の径が4mmである。
【0090】
この狭幅緩傾斜溝40も狭幅緩傾斜溝24と同様に、新品時〜摩耗初期において、接地することで踏面側の開口部分が閉じる。
【0091】
広幅緩傾斜溝42の周方向に対する傾斜角度(平均値)θ6は80度である。
【0092】
なお、広幅緩傾斜溝42の周方向に対する傾斜角度(平均値)θ6は、80度に限らないが、70度以上が好ましい。
【0093】
この広幅緩傾斜溝42は、部分的に断面形状が異なっている。
【0094】
広幅緩傾斜溝42の側部周方向主溝16側の底上げ部43を除く略全体は、図2(A)に示すように、踏面側は溝底側に向かうにしたがって幅狭となる断面略V字形状のでV字状部42Aであり、溝底側が一定幅の一定幅部42Bである。
【0095】
広幅緩傾斜溝42の溝深さD2(底上げ部43を除く)は、6.5mmである。
【0096】
V字状部42Aは、踏面側の溝幅W2が3mmであり、深さ寸法D3が4mmである。
【0097】
また、一定幅部42Bは、トレッド12が摩耗して踏面に表れたときに踏面側の開口部が閉じるように、その溝幅W3が設定されている。なお、本実施形態の一定幅部42Bの溝幅W3は1mmである。
【0098】
底上げ部43は、図2(C)に示すように底部が傾斜しており、最大溝深さD4が2mm(片側が0mm)に設定されている。なお、底上げ部43の幅は、V字状部42Aと同様の3mmである。
【0099】
このように、底上げ部43は、その名の通り他の部分よりも浅く形成されているが、その深さ(平均値)は、他の部分の溝深さD2の50%以下であれば良い。なお、底上げ部43の深さ(平均値)が、他の部分の溝深さD2の50%以下であれば、広幅緩傾斜溝42は、実質上、側部周方向主溝16には連結されていないとする。
【0100】
図1に示すように、本実施形態の底上げ部43の最大長さL1は、8mmである。なお、底上げ部43の最大長さL1は8mmに限らず、5〜10mm程度であれば良い。底上げ部43の最大長さL1が長過ぎると、広幅緩傾斜溝42の排水性能が低下する。一方、底上げ部43の最大長さL1が5mm未満になると、後の作用で述べるヒール・アンド・トゥ摩耗の抑制効果が得られなくなる。
【0101】
本実施形態の狭幅急傾斜溝20、狭幅緩傾斜溝22、狭幅緩傾斜溝24及び狭幅緩傾斜溝40の各溝幅は、空気入りタイヤ10をJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版規定のリムに装着し、JATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版の最大負荷能力に対応する空気圧を充填し、JATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版の単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重を作用させたときに、接地面下(車軸直下)において、踏面側開口部が少なくとも新品時において完全に閉じる設定である。
【0102】
一方、陸部37の広幅急傾斜溝26及び広幅急傾斜溝28は、上記と同様の接地面下において、踏面側開口部が閉じない設定である。
【0103】
但し、陸部44の広幅緩傾斜溝42の踏面側の開口部は、新品時では閉じないが、一定幅部42Bが踏面に表れると閉じる設定である。
(作用)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用効果(1)〜(16)を説明する。
(1) 本実施形態の空気入りタイヤ10では、新品時において、ウエット路面を走行する際の接地面内の水は、主に中央周方向主溝14、側部周方向主溝16、広幅急傾斜溝26、広幅急傾斜溝28及び広幅緩傾斜溝42により効率的に排水される。なお、空気入りタイヤ10は矢印A方向に回転するので、溝内の水は矢印B方向側へと流れる。
【0104】
ここで、広幅緩傾斜溝42において(新品時)、V字状部42Aの溝深さが広幅緩傾斜溝42の溝深さD2の45%よりも浅いと(即ち、V字状部42Aの溝深さが浅過ぎる場合)、溝ボリュームが少なく、必要とされる初期のウエット性能が得られなくなる。
(2) 狭幅急傾斜溝20、狭幅緩傾斜溝22及び狭幅緩傾斜溝24は、中央周方向主溝14と側部周方向主溝16との間の陸部37の剛性を低下させ、狭幅緩傾斜溝40は側部周方向主溝16のタイヤ幅方向外側の陸部分の剛性を低下させるので、接地性の確保、ロードノイズの低減、乗り心地のソフト化が図られる。
【0105】
なお、狭幅緩傾斜溝22及び狭幅緩傾斜溝24においては、周方向に対する傾斜角度を70度に設定しているので、中央周方向主溝14と側部周方向主溝16との間の陸部分の周方向剛性を必要十分に低下させることができる。
【0106】
また、狭幅緩傾斜溝40においては、周方向に対する傾斜角度を80度に設定しているので、側部周方向主溝16のタイヤ幅方向外側の陸部分の周方向剛性を必要十分に低下させることができる。
(3) 狭幅急傾斜溝20、狭幅緩傾斜溝22及び狭幅緩傾斜溝24を設けたことにより、ウエット路面や氷上等の低μ路面で必要とされるエッジ成分を確保することができる。
【0107】
なお、狭幅緩傾斜溝22及び狭幅緩傾斜溝24においては、周方向に対する傾斜角度を60度以上に設定しているので、低μ路面走行時に必要とされる高いエッジ効果が得られる。
(4) 広幅急傾斜溝26が中央周方向主溝14に、広幅急傾斜溝28が側部周方向主溝16に開口することで、中央周方向主溝14と側部周方向主溝16との間の陸部分表面の排水を担うことができる。
(5) 広幅急傾斜溝26及び広幅急傾斜溝28は、接地面の水の流線方向に近い急傾斜に設定(周方向に対する傾斜角度15〜40度)されているため効率的な排水が可能である。
(6) これら広幅急傾斜溝26及び広幅急傾斜溝28はタイヤ周方向に対する傾斜角度が比較的小さいので、接地時のインパクト成分が小さく、パターンノイズに対して有利である。
(7) これら広幅急傾斜溝26及び広幅急傾斜溝28は、中央周方向主溝14と側部周方向主溝16とを連結するように横断していないので、これによってもパターンノイズに対して有利である。
(8) 中央周方向主溝14と側部周方向主溝16との間の陸部37において、広幅急傾斜溝26及び広幅急傾斜溝28に、各々狭幅急傾斜溝20及び狭幅緩傾斜溝24を連結したので、相乗効果により排水性が向上する。また、側部周方向主溝16へ効率的に排水できる。
(9) 新品時において、狭幅急傾斜溝20、狭幅緩傾斜溝22、狭幅緩傾斜溝24及び狭幅緩傾斜溝40は、接地時に踏面側の開口部が閉じるので、インパクト成分が抑制され、パターンノイズの発生源とならない。
【0108】
また、新品時において、接地面下では、狭幅緩傾斜溝24及び狭幅緩傾斜溝40の各踏面側開口部が閉じるので、陸部37,44の剛性が確保され、微小舵角時の操縦安定性を向上することができる。
【0109】
なお、摩耗後は、陸部37,44の高さが低くなって陸部剛性が上がるので、狭幅緩傾斜溝24及び狭幅緩傾斜溝40が閉じなくても操縦安定性は確保できる。
(10) 新品時〜摩耗初期において、接地した際に狭幅急傾斜溝20、狭幅緩傾斜溝22、狭幅緩傾斜溝24及び狭幅緩傾斜溝40の各蹴り出し側のエッジ部分と踏み込み側のエッジ部分とが互いに接触して支え合うため、各エッジの動きが少なくなり、ヒール・アンド・トゥ摩耗の発生を抑制することができる。
(11) 陸部44において、仮に広幅緩傾斜溝42の溝幅が深さ方向に一定の広幅であると、踏み込み側エッジと蹴り出し側エッジは剛性差が有り動くため、ヒール・アンド・トゥ摩耗を発生してしまうが、深さ方向に向かうにしたがって溝幅が狭くなる、即ち、陸部44の基部のボリュームが増えて補強となり、陸部端の剛性が上がるので、接地時のエッジ付近の動きが少なくなり、ヒール・アンド・トゥ摩耗の発生程度を軽減することができる。
【0110】
なお、広幅緩傾斜溝42において、V字状部42Aの溝深さが広幅緩傾斜溝42の溝深さD2の75%よりも深いと(即ち、V字状部42Aの溝深さが深過ぎる場合)、上記ヒール・アンド・トゥ摩耗の悪化程度がひどくなる。
(12) 摩耗中期になると、狭幅緩傾斜溝40の円形断面部分が表れて狭幅緩傾斜溝40の溝幅が広くなるが、陸部44の高さも低くなって陸部44の剛性が上がるので、ヒール・アンド・トゥ摩耗の程度も軽くすむ。
(13) 摩耗中期(50%摩耗時)になると、狭幅緩傾斜溝40の円形断面部分が表れて狭幅緩傾斜溝40の溝幅が広くなる(接地面下においても踏面側開口部が閉じない)が、陸部44の高さも低くなって陸部44の剛性が上がるので、ヒール・アンド・トゥ摩耗の程度も軽くすむ。
(14) 摩耗中期になると、広幅緩傾斜溝42は一定幅部42Bのみとなって陸部44の剛性が上がるので、ヒール・アンド・トゥ摩耗を解消する方向に向かう。
(15) トレッド12が摩耗すると、溝ボリュームが減少して排水性能が低下する傾向にあるが、摩耗中期以降には、図4及び図5に示すように、狭幅緩傾斜溝24の溝底側に設けた溝断面積が大に設定された円形断面部分24Bが踏面に表れ、また、狭幅緩傾斜溝40の断面円形部も踏面に表れるので、ウエット性能の低下を抑制することができる。
【0111】
なお、トレッド側部域の摩耗中期における広幅緩傾斜溝42の溝幅減少による排水性の低下は、上記のように狭幅緩傾斜溝40の断面円形部が踏面に表れることで補われる。
【0112】
また、狭幅緩傾斜溝24の断面円形部24が踏面に表れると、図4及び図5に示すように、狭幅緩傾斜溝24に連なる広幅急傾斜溝26及び広幅急傾斜溝28と同等以上の溝幅となり、中央周方向主溝14及び側部周方向主溝16への排水性能が向上する(即ち、トレッド中央域の排水性の低下が抑えられる)。
(16) トレッド12が摩耗すると、狭幅緩傾斜溝24の溝幅及び狭幅緩傾斜溝40の溝幅は各々広くなるが、溝深さも同時に浅くなるので、パターンノイズの音圧は低く、問題とはならない。
(17) 狭幅緩傾斜溝24の溝底部分及び狭幅緩傾斜溝40の溝底部分に各々断面円形部分を設けているので、溝底付近の応力集中を避けることができ、クラック等による陸部の欠け等を防止することができる。
(18) 中央周方向主溝14と側部周方向主溝16との間の陸部37において、狭幅急傾斜溝20の傾斜角度と狭幅緩傾斜溝22の傾斜角度との角度差を30度以上に設定し、狭幅急傾斜溝20の傾斜角度と狭幅緩傾斜溝24の傾斜角度との角度差を30度以上に設定しているので、この陸部37の各ブロックの剛性の低下し過ぎ(偏摩耗の原因)を防止することができる。
(19) 側部周方向主溝16のタイヤ幅方向外側の陸部44において、接地面下で踏面側開口部が閉じず、かつトレッド12の接地端12Aに開口する広幅緩傾斜溝42を設けているので、広幅緩傾斜溝42によりトレッド側部領域の接地面内の水を接地端12A外側に排出でき、トレッド側部領域における排水性を向上することができる。
(20) 仮に、側部周方向主溝16のタイヤ幅方向外側の陸部44に形成されている広幅緩傾斜溝42が側部周方向主溝16に開口していると、特に、側部周方向主溝16への開口付近のヒール・アンド・トゥ摩耗の発生程度が大きくなる。
【0113】
しかしながら、本実施形態では、広幅緩傾斜溝42が側部周方向主溝16に開口していないので、ヒール・アンド・トゥ摩耗の発生程度は大きくならない。
(21) ブロック30の鋭角部分及びブロック32の鋭角部分の各々に滑らかなアール面取り38を施したので、ここでの排水効果が向上する。
【0114】
また、アール面取り38を施すことにより、ブロック30の及びブロック32の剛性の弱い部分が除去され、ブロック30及びブロック32の剛性を確保することができる。
【0115】
なお、空気入りタイヤ10のトレッドパターンは、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり、上記実施形態のものに限定されない。
(22) トレッド中央域に、タイヤ幅方向に延びる溝を設けていないタイヤ周方向に連続するリブ18を設けたので、微小舵角の操縦安定性を向上することができると共に、パターンノイズを向上することができる。
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、従来例の空気入りタイヤと本発明の適用された実施例の空気入りタイヤを用意し、ウエットハイドロプレーニング試験、パターンノイズの測定、耐偏摩耗テストを行った。
・ウエットハイドロプレーニング試験:水深5mmのウエット路面を通過する際のハイドロプレーニング発生限界速度のフィーリング評価。
・パターンノイズ:直線平滑路を速度100km/hから惰行したときの車内音のフィーリング評価。
・耐偏摩耗テスト:高速道、市街地路、山坂路を想定したモード走行において、所定の走行距離走行後のタイヤトレッド表面の目視評価及び残溝計測。
【0116】
実施例の空気入りタイヤは上記実施形態の空気入りタイヤ10であり、従来例の空気入りタイヤは図6に示すパターンを有する空気入りタイヤ100である。
【0117】
図6に示すように、従来例の空気入りタイヤ100のトレッド102には、タイヤ赤道面CLを挟んで両側に周方向主溝104が、その外側に周方向主溝106が形成されると共に、タイヤ赤道面CLの右側では右上がりに傾斜する横断副溝108、110、112が、タイヤ赤道面CLの左側には左上がりに傾斜する横断副溝108、110、112が形成されている。
【0118】
また、タイヤ赤道面CL上には、周方向主溝104,106よりも幅の狭い周方向副溝114が形成されている。
【0119】
なお、図6において、矢印A方向がタイヤ回転方向である。また、空気入りタイヤ100のタイヤサイズは、実施例の空気入りタイヤ10と同一サイズであり、トレッド幅(なお、接地端は符号116の2点鎖線で指示する部位)も同一の170mmである。
【0120】
空気入りタイヤ100の各溝の寸法及び傾斜角度を以下の表1に記載する。なお、横断副溝110は、ショルダー部側へ向けて徐々に溝幅が拡大している。また、タイヤ赤道面CLから周方向主溝104の溝中心線までのタイヤ幅方向距離はトレッド幅の12%であり、タイヤ赤道面CLから周方向主溝106の溝中心線までのタイヤ幅方向距離はトレッド幅の30%である。
【0121】
【表1】
Figure 0004643041
【0122】
なお、タイヤサイズは何れもPSR205/55R16、内圧は230kPa、荷重は実車2名乗車相当である。
【0123】
評価は、以下の表2に記載する通りである。何れも従来例のタイヤを100とする指数で表しており、数値が大きい程性能が良いことを表している。
【0124】
【表2】
Figure 0004643041
【0125】
試験の結果から、本発明の適用された実施例の空気入りタイヤは、従来例の空気入りタイヤに対して全ての性能が向上していることが分る。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の空気入りタイヤは上記の構成としたので、他性能を犠牲にせずに、新品時から摩耗後の、偏摩耗とウエット性能を両立することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの新品時のトレッドの平面図である。
【図2】(A)は図1に示すトレッドの2(A)−2(A)線断面図であり、(B)は図1に示すトレッドの2(B)−2(B)線断面図であり、(C)は図1に示すトレッドの2(C)−2(C)線断面図である。
【図3】図1に示すトレッドの3−3線断面図である。
【図4】50%摩耗時のトレッドの平面図である。
【図5】(A)は図4に示すトレッドの5(A)−5(A)線断面図であり、(B)は図4に示すトレッドの5(B)−5(B)線断面図である。
【図6】試験に用いた従来例の空気入りタイヤのトレッドの平面図である。
【符号の説明】
10 空気入りタイヤ
12 トレッド
14 中央周方向主溝
16 側部周方向主溝
24 狭幅緩傾斜溝(横断傾斜溝)
24A 一定幅部分
24B 円形断面部分(略円形断面部分)
26 広幅急傾斜溝(横断傾斜溝)
28 広幅急傾斜溝(横断傾斜溝)
37 陸部
40 狭幅緩傾斜溝
42 広幅緩傾斜溝
44 陸部

Claims (5)

  1. トレッド側部領域にタイヤ周方向に延びる陸部を備え、同一トレッド側部領域内において、少なくともタイヤ赤道面側からトレッド端に向けて延び、かつタイヤ周方向に対して一方向に傾斜する傾斜溝をタイヤ周方向に間隔をおいて配置した空気入りタイヤであって、
    前記トレッド側部領域の陸部には、少なくとも新品時の接地面下で踏面側開口部が実質上閉じる程度の溝幅を有する狭幅傾斜溝と、少なくとも新品時の接地面下で踏面側開口部が閉じない溝幅を有する広幅傾斜溝と、がタイヤ周方向に交互に設けられており、
    前記狭幅傾斜溝は、溝底に向けて溝幅が広がる断面形状を有し、
    前記広幅傾斜溝は、溝底に向けて溝幅が狭まる断面形状を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記広幅傾斜溝は、隣接する周方向主溝には開口せず、接地端には開口する、ことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記狭幅傾斜溝は、溝幅が略一定の一定幅部分と、前記一定幅部分の溝底側に設けられ前記一定幅部分よりも幅の広い略円形断面部分と、有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記広幅傾斜溝は、前記周方向主溝の約50%摩耗以降では接地面下で踏面側開口部が閉じ、
    前記狭幅傾斜溝は、前記周方向主溝の約35%摩耗以降では接地面下で踏面側開口部が閉じない、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. トレッド中央域にタイヤ周方向に延びる陸部を備え、
    トレッド中央域にタイヤ周方向に延びる前記陸部には、少なくとも新品時において、タイヤ幅方向に隣接する一方の周方向主溝と他方の周方向主溝とを連通し、かつ接地面下で踏面側開口部が実質上閉じる程度の溝幅を有する狭幅部分を備えた横断傾斜溝が形成されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
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