JP4748831B2 - 電子部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層セラミックコンデンサや積層セラミックインダクタなどの積層セラミック電子部品等の各種電子部品に関し、特に、電極層の材料にAgアロイを用いたものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子部品やその電子部品を使用するアプリケーション自体の小型化や薄型化にともなって、積層セラミックコンデンサのように誘電体層と導電体層とを交互に重ね合わせた二層以上の積層体からなる電子部品も同様に小型化や薄型化が望まれ実現されてきた。そして、電子部品の構成層となる誘電体層と内部電極(導電体)層も薄型化するとともに、電子部品としての誘電特性や電気伝導特性の向上について研究されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
積層セラミックコンデンサを構成する誘電体セラミックスの製造工程中に高温度の焼成工程が存在するために、使用可能な内部電極層用金属材料としては、従来より高融点のPdあるいはPdを主成分とする合金電極層やNiあるいはNiを主成分とする合金電極層が用いられているが、これらの金属材料は、電気特性やその他の特性を考慮すると、必ずしも最適な材料とはいえず、最適な材料の検索が行なわれてきた。
【0004】
Agは、電気伝導率が金属元素内で最良であること、かつ、一般的な材料として広く使われているので安価であること、スパッタリング法などによって層を形成する際に金属元素内でプロセス中のレートが最大であること等の優位性があげられる。
【0005】
しかも、Agは酸素や水に対して安定であり、誘電層に利用される誘電体には酸化物が多いことから、NiやNiを主成分とする合金で問題とされる誘電層との界面における酸化などの問題が生じない等の優位性が確認されている。
【0006】
しかし、純Agは、硫黄、塩素、沃素およびその他のアルカリ系、ハロゲン系元素と反応し易いので耐候性に問題があって、純Agをそのまま採用することは困難であるので、誘電体層との界面に中間層としてバリア材が必要であると考えられていた。
【0007】
また、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品において、内部電極層や外部電極にAgを使用すると、湿気および印加電圧によりAgがイオン化され、移行したAgが凝集して電極間を短絡することがあり、この現象をマイグレーションと呼んでいる。このマイグレーションを回避するために、多層の防湿処理を施している。
【0008】
そこで、本発明は、耐候制が優れた電子部品に適用できるAgアロイを提供するために考えられたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電極層および/または誘電体層を有するもので、この電極層および/または誘電体層は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auののうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイからなるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態における電子部品に用いる電極層および/または誘電体層でAgアロイについて説明する。ここで、Agアロイとは、「AgおよびPdにCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を合金化または混合したもので、固溶体、共晶、化合物またはそれらが共存するもの」のことである。
【0011】
本実施の形態によるAgアロイは所定のAgおよびPdならびに所定の金属粉末とを溶融法により混合・合金化しスパッタリングのターゲットを作成した。検討した組成を(表1)〜(表8)に示す。また、粉体が必要な場合は、この溶融金属を中性雰囲気中にてアトマイジングすることにより作成した。さらに必要に応じて粉砕を行った。比較検討例についても同様に準備した。
【0012】
試料の比較検討は、「NaCl浸漬」、「半田付け性」、「絶縁抵抗」について行った。「NaCl浸漬」における比較検討は、NaCl溶液に浸漬時間は1時間で、試料を取り出したのち外観の状態を目視にて調べた。「半田付け性」における比較検討は、各種試料を250℃の共晶点半田槽に3秒間ディップして、半田付け性を評価し、電極に半田が付着した面積が70%以上の場合は半田付け性を良好として判断した。「絶縁抵抗」は、各種試料の両端面にリード線を取り付け5Vの電圧を印加し、恒温恒湿槽にて65℃、相対湿度95%の雰囲気で負荷寿命試験を実施し、評価は試験後の試料の抵抗1000時間試験を継続した後、絶縁抵抗計にて測定した。
【0013】
【表1】
Figure 0004748831
【0014】
【表2】
Figure 0004748831
【0015】
【表3】
Figure 0004748831
【0016】
【表4】
Figure 0004748831
【0017】
【表5】
Figure 0004748831
【0018】
【表6】
Figure 0004748831
【0019】
【表7】
Figure 0004748831
【0020】
【表8】
Figure 0004748831
【0021】
(表1)〜(表8)により明らかなように、「NaCl浸漬」は、NaClの0.5%溶液に浸漬した場合、Ag100%(試料No.100)では30分で表面状態が変色し、1時間で一部溶出・剥離が発生した。またAg−Pdを用いた場合(試料No.112)においても同様に30分で変色、1時間で一部剥離が発生していることがわかる。一方、本発明のAgアロイ、すなわちAgを主成分として、Pdを0.1〜5.0重量%、Cu、Si、Cr、Ti、Ni、Au、Ptの内の少なくとも1種類以上を0.1〜5.0重量%添加した混合物または合金化した電極においては1時間後は全く変色等は見られなかった。さらに浸漬試験を継続した場合、24時時間後に変色がわずかに見られたが、剥離や溶出は全く発生していないことがわかる。
【0022】
また、「半田付け性」は、本発明の請求範囲を超えた場合、すなわち(表1)に記載したPdまたはCuの添加量が5重量%を超えた場合、半田付け性が悪化することがわかる。半田付けこの試料の両端面にリード線を取付け5Vの電圧を印加し、恒温恒湿槽にて65℃、相対湿度95%の雰囲気で負荷寿命試験を実施した。評価は試験後の試料の抵抗を1000時間試験を継続した後、絶縁抵抗計にて測定した。Agを用いた場合、1000時間でAgのイオンマイグレーションが発生している。またAg−Pdを用いた場合においても同様に絶縁抵抗の低下が発生していた。この試料を顕微鏡で観察した結果、Agのマイグレーションが発生していた。一方、本発明によるAgアロイにおいてはAgのイオンマイグレーションは1000時間まで発生していない。本実施の形態によるAgアロイにおいて耐イオンマイグレーション性はAg−Pdに加える第3成分としてCuが最も安定で次にSi、Cr、Tiのグループ、その次にNi、Au、Ptのグループの順に安定していた。また、第3成分としてCuを含む組成は第4成分としてSi、Cr、Ti、Ni、Au、Ptいずれを用いた場合においても安定であった。本実施の形態によるAgアロイが、このように化学的にも電気的にも安定な理由は明確でないが、たとえばAgアロイがNaイオンなどに接触した際、添加物がなどに対しAg表面に不導体層を形成することである。
【0023】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1における電子部品について、円板型セラミックコンデンサを例にして説明する。
【0024】
図1(a)は本発明の実施例1における円板型セラミックコンデンサの横方向から見た断面図、図1(b)は同縦方向から見た断面図である。
【0025】
図1において、11は誘電体層で、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、鉛系ペロブスカイト等の焼結体からなるものである。この誘電体層11の両面には電極層12を備え、この電極層12はAgを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイからなるものである。
【0026】
13はリード線で、電極層12と電気的に接続するように半田14により接合して設けている。15は樹脂層で、エポキシ樹脂等により少なくとも誘電体層11および電極層12を覆うように設けている。
【0027】
以上のように設けられた円板型セラミックコンデンサについて、以下にその製造方法を説明する。
【0028】
まず、BaCO3およびTiO2に添加物を添加して湿式混合、乾燥し仮焼成し、得られたものを湿式粉砕した後に乾燥し、バインダと純水を加え造粒する。その後、所望の大きさに成形し、焼成し、焼結体からなる誘電体層11を形成する。
【0029】
次に、この誘電体層11の両面に、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイに、金属添加物を70〜85重量%、無機結合材料としてのホウケイ酸鉛系ガラスフリットを5.0重量%および有機ビヒクルを10〜25重量%を混合したペーストを塗布し、焼付処理をして電極層12を形成する。
【0030】
次に、この電極層12と電気的に接続するように半田14によりリード線13を接合する。
【0031】
最後に、エポキシ樹脂等により少なくとも誘電体層11および電極層12を覆う樹脂層15を形成して、円板型セラミックコンデンサを製造するものである。
【0032】
以上のように構成および製造された円板型セラミックコンデンサについて、以下にその特性検討を比較する。
【0033】
特性検討に用いる本実施例1における円板型セラミックコンデンサの電極層12のAgアロイは、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるもののうち、組成である「Agを96.5重量%、Pdを1重量%およびCuを2.5重量%からなるAgアロイ」を用いる。比較例の電極層としては、「Agを97重量%およびPdを3重量%からなるAg−Pd合金を用いた。
【0034】
比較方法は、本実施例1のAgアロイおよび比較例のAg−Pd合金を有する円板型セラミックコンデンサをプリント基板の回路パターン間に接続する。その後、恒温恒湿漕にて65℃、相対湿度95%の雰囲気中において回路パターン間に直流電圧150Vを印加する寿命試験を行った。比較検討項目は、回路パターン間の静電容量(nF)の変化を市販のLCRを用いて、1kHz、1Vrmsで測定し、経過時間(H)と容量変化率(%)との関係により比較検討した。
【0035】
図2は、本発明の実施例1における円板型セラミックコンデンサに用いるAgアロイと比較例であるAg−Pd合金とを比較した経過時間(H)と容量変化率(%)との関係を示す図である。
【0036】
図に示すように、実施例1における電極層は3000時間を経過しても殆ど容量が変化しないのに対して、比較例における電極層は500時間を経過する頃から容量が低下し始めた。実施例1における電極層が容量が変化しないのは、電極層に用いたAgアロイが湿度に対して安定でイオンマイグレーションが発生しにくいからである。
【0037】
なお、本実施例では、組成である「Agを96.5重量%、Pdを1重量%およびCuを2.5重量%からなるAgアロイ」を用いて説明したが、Agアロイは、「Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなる」ものであれば同様の効果を奏するものである。
【0038】
(実施例2)
以下、本発明の実施例2における電子部品について、積層セラミックコンデンサを例にして説明する。
【0039】
図3は、本発明の実施例2における積層セラミックコンデンサの断面図である。
【0040】
図3において、21は誘電体層で、マグネニオブ酸鉛(Pb(MgNb)O3)、酸化チタン(TiO3)、チタン酸バリウムまたは鉛系ペロブスカイト等からなるものである。この誘電体層21の内部には、高さ方向の側面に交互に露出するように内部電極層22を備えている。23は外部電極層で、誘電体層21の側面で内部電極層22と電気的に接続するように設けられている。この外部電極層23は、Niメッキ層24を介して半田メッキ層25を備えている。
【0041】
上述した外部電極層23および/または内部電極層22は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイを用いるものである。内部電極層22にAgアロイを用いない場合には、Pd、Pt、Ag−Pd、Ag等の貴金属、またはNi、Cu、Fe、Co等の卑金属が用いられる。
【0042】
以上のように設けられた積層セラミックコンデンサについて、以下にその製造方法を説明する。
【0043】
まず、BaTiO3を主成分とする焼結体の誘電体層21を有するグリーンシートにNiからなる内部電極層22を印刷し、グリーンシートを剥離して所望の枚数を積層した後、高さ方向の側面が交互に露出するように切断し、還元雰囲気にて焼成する。
【0044】
次に、誘電体層21の側面で内部電極層22と電気的に接続するようにAgを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイに、金属添加物を70〜85重量%、無機結合材料としてのホウケイ酸鉛系ガラスフリットを5.0重量%および有機ビヒクルを10〜25重量%混合したペーストを塗布し、焼付処理をして外部電極層23を形成する。
【0045】
次に、露出した外部電極層23を覆うようにNiメッキ層24、半田メッキ層25をこの順番に形成して積層セラミックコンデンサを製造するものである。
【0046】
以上のように構成および製造された積層セラミックコンデンサについて、以下にその特性検討を比較する。
【0047】
特性検討に用いる本実施例2における積層セラミックコンデンサの外部電極層23のAgアロイは、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるもののうち、組成である「Agを92.5重量%、Pdを5.0重量%およびCrを2.5重量%からなるAgアロイ」を用いる。比較例の電極層としては、「Agを97重量%およびPdを3重量%からなるAg−Pd合金を用いた。
【0048】
比較方法は、本実施例2のAgアロイおよび比較例のAg−Pd合金の電極層を有する積層セラミックコンデンサをプリント基板の回路パターン間に共晶点半田にて接続する。その後、恒温恒湿漕にて65℃、相対湿度95%の雰囲気中において回路パターン間に直流電圧150Vを印加する寿命試験を行った。比較検討項目は、回路パターン間の静電容量(nF)の変化を市販のLCRを用いて、1kHz、1Vrmsで測定し、経過時間(H)と容量変化率(%)との関係により比較検討した。
【0049】
図4は、本発明の実施例2における積層セラミックコンデンサに用いるAgアロイと比較例であるAg−Pd合金とを比較した経過時間(H)と容量変化率(%)との関係を示す図である。
【0050】
図4に示すように、実施例1における電極層は3000時間を経過しても殆ど容量が変化しないのに対して、比較例における電極層は250時間を経過する頃から容量が低下し始めた。実施例2における外部電極層の容量が変化しないのは、電極層に用いたAgアロイが湿度に対して安定でイオンマイグレーションが発生しにくいからである。
【0051】
なお、本実施例2では外部電極層23にのみをAgアロイにて形成したが、誘電体層にマグネニオブ酸鉛などの低温焼成材料を用い、内部電極層22にもAgアロイを用いるとさらに湿度に対して安定でイオンマイグレーションが発生しにくい積層セラミックコンデンサを提供することができる。
【0052】
また、本実施例2では、組成である「Agを92.5重量%、Pdを5.0重量%およびCrを2.5重量%からなる」を用いて説明したが、Agアロイは、「Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなる」ものであれば同様の効果を奏するものである。
【0053】
(実施例3)
以下、本発明の実施例3における電子部品について、チップコイルを例にして説明する。
【0054】
図5は、本発明の実施例3におけるチップコイルの断面図である。
【0055】
図5において、31はI形状の基材で、96%のアルミナ、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、マグネシア、チタニアまたはガラスセラミックに何れか等からなるものである。この基材31の薄肉部には、コイル導体をスパイラル状のコイル部32を備えている。また、基材31の両端面に位置する厚肉部の一方はコイル部32と電気的に接続する外部電極層33を有するとともに、厚肉部の他方も同様にコイル部32と電気的に接続する外部電極層33を備えている。さらに、基材31の薄肉部には、少なくとも露出するコイル部32を覆うように保護膜34を備えている。
【0056】
上述したコイル部32および外部電極層33は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイを用いるものである。
【0057】
以上のように設けられたチップコイルについて、以下にその製造方法を説明する。
【0058】
まず、基材31を覆うようにAgを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイに、金属添加物を70〜85重量%、無機結合材料としてのホウケイ酸鉛系ガラスフリットを5.0重量%および有機ビヒクルを10〜25重量%混合したペーストをタピネオールおよび酢酸ブチルにより希釈し、ディッピングにより数回塗布し焼付処理して、Agアロイ層を形成する。このAgアロイ層のうち、基材31の両端面に位置する厚肉部は、外部電極層33に相当し、この外部電極層33は、基材31の薄肉部のAgアロイ層と電気的に接続されている。
【0059】
次に、基材31の両端面を保持して回転させながら基材31の薄肉部のAgアロイ層をYAGレーザにて一部を切断し、コイル部32を形成する。
【0060】
次に、少なくとも露出するコイル部32を覆うように液状樹脂をコーティングして焼付処理して保護膜34を形成してチップコイルを製造するものである。
【0061】
以上のように構成および製造されたチップコイルについて、以下にその特性検討を比較する。
【0062】
特性検討に用いる本実施例3におけるチップコイルの外部電極層23のAgアロイは、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるもののうち、組成である「Agを92.5重量%、Pdを5.0重量%およびCrを2.5重量%からなるAgアロイ」を用いる。比較例の電極層としては、「Agを97重量%およびPdを3重量%からなるAg−Pd合金を用いた。
【0063】
比較方法は、本実施例3のAgアロイおよび比較例のAg−Pd合金の電極層を有するチップインダクタをプリント基板の回路パターン間に共晶点半田にて接続する。その後、恒温恒湿漕にて65℃、相対湿度95%の雰囲気中において回路パターン間に直流電圧150Vを印加する寿命試験を行った。比較検討項目は、回路パターン間のインダクタンス(nH)の変化を市販のLCRを用いて、500kHzで測定し、経過時間(H)とインダクタンス変化率(%)との関係により比較検討した。
【0064】
図6は、本発明の実施例3におけるチップコイルに用いるAgアロイと比較例であるAg−Pd合金とを比較した経過時間(H)とインダクタンス変化率(%)との関係を示す図である。
【0065】
図6に示すように、実施例3における電極層は3000時間を経過しても殆どインダクタンスが変化しないのに対して、比較例における電極層は500時間を経過する頃からインダクタンスが低下し始めた。実施例3における外部電極層のインダクタンスが変化しないのは、電極層に用いたAgアロイが湿度に対して安定でイオンマイグレーションが発生しにくいからである。
【0066】
なお、本実施例3ではYAGレーザにて一部を切断してコイル部32を形成したが、Agアロイを基材31の薄肉部に薄膜プロセスによってパターニングしても同様の効果を奏する。
【0067】
また、本実施例では、組成である「Agを92.5重量%、Pdを5.0重量%およびCrを2.5重量%からなるAgアロイ」を用いて説明したが、Agアロイは、「Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなる」ものであれば同様の効果を奏するものである。
【0068】
(実施例4)
以下、本発明の実施例4における電子部品について、チップビーズを例にして説明する。
【0069】
図7は、本発明の実施例4におけるチップビーズの断面図である。
【0070】
図7において、41は磁性体層で、MnZn系フェライト、NiZn系フェライトまたはNiZnCu系フェライト等からなるものである。この磁性体層41の内部には、螺旋状に形成されその始端および終端は磁性体層41の側面から露出する内部電極層42を備えている。43は一対の外部電極層で、磁性体層41の側面で内部電極層42と電気的に接続するように設けられている。
【0071】
上述した外部電極層43および/または内部電極層42は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイを用いるものである。
【0072】
以上のように構成されたチップビーズについて、以下にその製造方法を説明する。
【0073】
まず、焼結助剤としてCuを含むNiZn系フェライト原料粉末に対して、テルピネオールおよびエチルセルロースを重量比で100:6で混合したバインダを添加し、3本ロールを用いて混練し磁性体ペーストを作製する。さらに、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイに、テルピネオールおよびエチルセルロースを重量比で100:6で混合したバインダを添加して、Agアロイペーストを作製する。
【0074】
次に、樹脂シートからなる支持体の上面のワーク内にスクリーン印刷により磁性体ペーストとAgアロイペーストを交互に印刷して乾燥させて磁性体層41と、この磁性体層41の内部に内部電極層42を形成した後、焼成し、積層体を形成する。この際、内部電極層42は、螺旋状に形成されるものである。
【0075】
次に、前工程で得られた積層体を磁性体層41の側面から露出するように切断するか、または、積層体を個片に切断し磁性体層41の側面から露出するように研磨する。
【0076】
次に、磁性体層41の側面で内部電極層42と電気的に接続するように、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイからなる電極ペーストの印刷等の方法により一対の外部電極層43を形成し、チップビーズを製造するものである。
【0077】
以上のように構成および製造されたチップビーズについて、以下にその特性検討を比較する。
【0078】
特性検討に用いる本実施例4におけるチップビーズの内部電極層42および外部電極層43のAgアロイは、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるもののうち、組成である「Agを96.5重量%、Pdを1.0重量%およびSiを2.5重量%からなるAgアロイ」を用いる。比較例の電極層としては、「Agを97重量%およびPdを3重量%からなるAg−Pd合金を用いた。
【0079】
比較方法は、本実施例4のAgアロイおよび比較例のAg−Pd合金の電極層を有するチップビーズをプリント基板の回路パターン間に共晶点半田にて接続する。その後、恒温恒湿漕にて65℃、相対湿度95%の雰囲気中において回路パターン間に直流電圧150Vを印加する寿命試験を行った。比較検討項目は、回路パターン間のインダクタンス(nH)の変化を市販のLCRを用いて、500kHzで測定し、経過時間(H)とインダクタンス変化率(%)との関係により比較検討した。
【0080】
図8は、本発明の実施例4におけるチップビーズに用いるAgアロイと比較例であるAg−Pd合金とを比較した経過時間(H)とインダクタンス変化率(%)との関係を示す図である。
【0081】
図8に示すように、実施例4における電極層は3000時間を経過しても殆ど容量が変化しないのに対して、比較例における電極層は500時間を経過する頃から容量が低下し始め、3000時間ではインダクタンス変化率が−2.5%となった。実施例3における外部電極層の容量が変化しないのは、電極層に用いたAgアロイが湿度に対して安定でイオンマイグレーションが発生しにくいからである。また、Agアロイが化学的に安定で磁性体層に含まれる成分、特にCu等との反応性が低いからである。
【0082】
なお、本実施例4では1個のチップビーズで構成したが、このチップビーズを複数個からなるトランスまたはチョークコイルを形成しても同様な効果を奏するものである。
【0083】
また、本実施例4では、組成である「Agを96.5重量%、Pdを1.0重量%およびSiを2.5重量%からなるAgアロイ」」を用いて説明したが、Agアロイは、「Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなる」ものであれば同様の効果を奏するものである。
【0084】
(実施例5)
以下、本発明の実施例5における電子部品について、角チップ型抵抗器を例にあげて説明する。
【0085】
図9は、本発明の実施例5における角チップ型抵抗器の断面図である。
【0086】
図9において、51は基板で、アルミナ、フォルステライト、カラスセラミック等からなるものである。この基板51の上面には抵抗体層52を、Ni−Cr、酸化ルテニウム等を薄膜または厚膜により設けている。この抵抗体層52の上面の側部には、一対の上面電極層53有するとともに、少なくとも露出する部分には有機物またはガラス等の無機物からなる保護層54を備えている。また、基板51の側面には、上面電極層53と電気的に接続する一対の側面電極層55を備えている。
【0087】
上述した上面電極層53および/または側面電極層55からなる電極層は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイを用いるものである。
【0088】
以上のように構成された角チップ型抵抗器について、以下にその製造方法を説明する。
【0089】
まず、基板51の上面にNi−Crをスパッタリングして抵抗体層52を形成する。
【0090】
次に、抵抗体層52の上面の側部の所定箇所にAgを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイをスパッタリングして上面電極層53を形成する。
【0091】
次に、少なくとも露出した抵抗体層52を覆うようにエポキシ樹脂等をスクリーン印刷し、保護層54を形成する。
【0092】
次に、基板51の側面に上面電極層53と電気的に接続するようにAgを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイを印刷またはスパッタリングにより、一対の側面電極層55を形成して、角チップ型抵抗器を製造するものである。
【0093】
以上のように構成および製造された角チップ型抵抗器について、以下にその特性検討を比較する。
【0094】
特性検討に用いる本実施例5における角チップ型抵抗器の上面電極層53および側面電極層55のAgアロイは、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるもののうち、組成である「Agを96.5重量%、Pdを1.0重量%およびNiを2.5重量%からなるAgアロイ」を用いる。比較例の電極層としては、「Agを97重量%およびPdを3重量%からなるAg−Pd合金を用いた。
【0095】
比較方法は、本実施例5のAgアロイおよび比較例のAg−Pd合金の電極層を有する角チップ抵抗器をプリント基板の回路パターン間に共晶点半田にて接続する。その後、恒温恒湿漕にて65℃、相対湿度95%の雰囲気中において回路パターン間に直流電圧150Vを印加する寿命試験を行った。比較検討項目は、回路パターン間の抵抗値(R)の変化を市販の抵抗計を用いて測定し、経過時間(H)と抵抗値変化率(%)との関係により比較検討した。
【0096】
図10は本発明の実施例5における角チップ型抵抗器に用いるAgアロイと比較例であるAg−Pd合金とを比較した経過時間(H)と抵抗値変化率(%)との関係を示す図である。
【0097】
図10に示すように、実施例5における電極層は3000時間を経過しても殆ど抵抗値が変化しないのに対して、比較例における電極層は500時間を経過する頃から抵抗値が低下し始める。実施例5における外部電極層の抵抗値が変化しないのは、電極層に用いたAgアロイが湿度に対して安定でイオンマイグレーションが発生しにくいからである。
【0098】
なお、本実施例5では基板51の上面に抵抗層52を設けさらにこの抵抗層52の上面の側部に一対の上面電極層53を備える構成としたが、基板の上面の側部に一対の上面電極層を設け、この上面電極層を跨ぐように抵抗体層を備える構成としても同様の効果を奏するものである。
【0099】
また、本実施例では、組成である「Agを96.5重量%、Pdを1.0重量%およびNiを2.5重量%からなるAgアロイ」を用いて説明したが、Agアロイは、「Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなる」ものであれば同様の効果を奏するものである。
【0100】
(実施例6)
以下、本発明の実施例6における電子部品について、チップバリスタを例にして説明する。
【0101】
図11は、本発明の実施例6におけるチップバリスタの断面図である。
【0102】
図11において、61はバリスタ層で、ZnO、Zn−Bi、Zn−PrまたはSrTiO3の何れかを主成分とするものである。このバリスタ層61の内部には、高さ方向の側面に交互に露出するように内部電極層62を備えている。63は外部電極層で、バリスタ層61の側面で内部電極層62と電気的に接続するように設けられている。
【0103】
上述した外部電極層63および/または内部電極層62は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイを用いるものである。内部電極層22にAgアロイを用いない場合には、Pd、Pt、Ag−Pd、Ag等の貴金属、またはNi、Cu、Fe、Co等の卑金属が用いられる。
【0104】
以上のように設けられたチップバリスタについて、以下にその製造方法を説明する。
【0105】
まず、ZnOを主成分とする焼結体のバリスタ層61を有するグリーンシートにAgを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイからなる内部電極層62を印刷し、グリーンシートを剥離して所望の枚数を積層した後、高さ方向の側面が交互に露出するように切断し、大気中にて焼成する。
【0106】
次に、バリスタ層61の側面で内部電極層62と電気的に接続するようにAgを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイに、金属添加物を70〜85重量%、無機結合材料としてのホウケイ酸鉛系ガラスフリットを5.0重量%および有機ビヒクルを10〜25重量%混合したペーストを塗布し、焼付処理をして外部電極層63を形成してチップバリスタを製造するものである。
【0107】
以上のように構成および製造されたチップバリスタについて、以下にその特性検討を比較する。
【0108】
特性検討に用いる本実施例6におけるチップバリスタの外部電極層63および/または内部電極層62のAgアロイは、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるもののうち、組成である「Agを92.4重量%、Pdを7.5重量%およびAuを0.1重量%からなるAgアロイ」を用いる。比較例の電極層としては、「Agを97重量%およびPdを3重量%からなるAg−Pd合金を用いた。
【0109】
比較方法は、本実施例6のAgアロイおよび比較例のAg−Pd合金の電極層を有するチップバリスタをプリント基板の回路パターン間に共晶点半田にて接続する。その後、恒温恒湿漕にて65℃、相対湿度95%の雰囲気中において回路パターン間に直流電圧150Vを印加する寿命試験を行った。比較検討項目は、回路パターン間のバリスタ電圧の変化を市販の定電流電源と電圧計を用いて、1mA印加して測定し、経過時間(H)とバリスタ電圧変化率(%)との関係により比較検討した。
【0110】
図12は、本発明の実施例6におけるチップバリスタに用いるAgアロイと比較例であるAg−Pd合金とを比較した経過時間(H)と容量変化率(%)との関係を示す図である。
【0111】
図12に示すように、実施例6における電極層は2000時間を経過しても殆どバリスタ電圧が変化しないのに対して、比較例における電極層は250時間を経過する頃からバリスタ電圧が低下し、2000時間後には大きく変化した。実施例6における外部電極層の容量が変化しないのは、電極層に用いたAgアロイが湿度に対して安定でイオンマイグレーションが発生しにくいからである。さらに、Agアロイが化学的に安定なためバリスタ粒界成分と反応しにくいからでもある。
【0112】
なお、本実施例では、組成である「Agを92.4重量%、Pdを7.5重量%およびAuを0.1重量%からなるAgアロイ」を用いて説明したが、Agアロイは、「Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなる」ものであれば同様の効果を奏するものである。
【0113】
(実施例7)
以下、本発明の実施例7における電子部品について、正特性サーミスタを例にして説明する。
【0114】
図13は、本発明の実施例7における正特性サーミスタの断面図である。
【0115】
図13において、71はBaTiO3等からなる正特性サーミスタである。この正特性サーミスタ71の上下面に下部電極層72および上部電極層73をこの順番に設けている。下部電極層72は、Ni、Cr、Ti、Cu、ZnまたはSnの少なくとも1種類からなるものである。また、上部電極層73は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイからなるものである。
【0116】
以上のように設けられた正特性サーミスタについて、以下にその製造方法を説明する。
【0117】
まず、BaTiO3に添加物として微量のCa、Y、Si等の酸化物を、さらにBaCO3、TiO2に添加物を加えて湿式混合、乾燥し仮焼成をした後に、得られた粉体を粉砕する。その後、乾燥させ、バインダと純水を加えて造粒し、所望の大きさに成形し、焼結して正特性サーミスタ71を形成する。
【0118】
次に、この正特性サーミスタ71の両面に、Cr、Niの順番にスパッタリングして下部電極層72を形成する。
【0119】
次に、正特性サーミスタ71が位置する側と反対側のそれぞれの下部電極層72に、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイをスパッタリングして、上部電極層73を形成して、チップサーミスタを製造するものである。
【0120】
以上のように構成および製造された正特性サーミスタについて、以下にその特性検討を比較する。
【0121】
特性検討に用いる本実施例7における正特性サーミスタの上部電極層73のAgアロイは、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるもののうち、組成である「Agを96.5重量%、Pdを1.0重量%およびPtを2.5重量%からなるAgアロイ」を用いる。比較例の電極層としては、「Agを97重量%およびPdを3重量%からなるAg−Pd合金を用いた。
【0122】
比較方法は、本実施例7のAgアロイおよび比較例のAg−Pd合金を上部電極層に金属の圧接電極を取付け、100Vの電圧を1分間印加し、1分放置する断続負荷試験を常温大気中にて行った。比較検討項目は、断続回数と25℃での抵抗値(以下、「R25」と記す。)変化率との関係により比較検討した。
【0123】
図14は、本発明の実施例7における正特性サーミスタに用いるAgアロイと比較例であるAg−Pd合金とを比較した断続回数(回)とR25変化率(%)との関係を示す図である。
【0124】
図14に示すように、実施例7における上部電極層は30000回を経過しても殆どR25が変化しないのに対して、比較例における上部電極層は500回を経過する頃からR25は大きく変化した。実施例7における上部電極層のR25が変化しないのは、上部電極層に用いたAgアロイが湿度に対して安定でイオンマイグレーションが発生しにくいからである。さらに、Agアロイと下部電極層72との成分が拡散せずに安定な形態を保っているからである。
【0125】
なお、本実施例では、組成である「Agを96.5重量%、Pdを1.0重量%およびPtを2.5重量%からなるAgアロイ」を用いて説明したが、Agアロイは、「Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなる」ものであれば同様の効果を奏するものである。
【0126】
(実施例8)
以下、本発明の実施例8における電子部品について、チップサーミスタを例にして説明する。
【0127】
図15は、本発明の実施例8におけるチップサーミスタの断面図である。
【0128】
図15において、81はチップサーミスタ素子で、Mn、Co、Ni、Cu等の酸化物、または、La、Co、Ba、Sr、Mn等の酸化物からなるものである。このチップサーミスタ素子81の両面には、電極層82を備えている。また、この電極層82は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイに、無機結合材、有機バインダおよび有機溶剤を含む有機ビヒクルと混練して調整するものである。
【0129】
83はリード線で、電極層82と電気的に接合されるように半田84にて接合している。さらに、少なくとも露出するチップサーミスタ素子81と電極層82とを覆うように保護層85を、エポキシ樹脂等により設けている。
【0130】
以上のように設けられたチップサーミスタについて、以下にその製造方法を説明する。
【0131】
まず、Mn34、NiO、Co34およびCuOからなる焼結体を所定量秤量し、湿式混合、乾燥させ仮焼成した後に、湿式粉砕し乾燥させる。その後、バインダと純水を加えて造粒し、所望量の大きさに成形し、焼成してチップサーミスタ素子81を形成する。この際、チップサーミスタ素子81の組成は、抵抗値や温度特性を調整するためにSi、Al、Fe、Cr、Zr、Y等の酸化物を添加しても良い。
【0132】
次に、チップサーミスタ素子81の両面に、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイに、無機結合材、有機バインダおよび有機溶剤を含む有機ビヒクルと混練して調整したペーストにより印刷、乾燥後に焼付けて電極層82を形成する。
【0133】
次に、電極層82と電気的に接合されるように83はリード線を半田84にて接合する。
【0134】
次に、少なくとも露出するチップサーミスタ素子81と電極層82とを覆うようにエポキシ樹脂等を塗布、乾燥させて保護層85を形成し、ペロブスカイト構造を有するサーミスタを製造するものである。
【0135】
以上のように構成および製造されたチップサーミスタについて、以下にその特性検討を比較する。
【0136】
特性検討に用いる本実施例8におけるチップサーミスタの電極層82のAgアロイは、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるもののうち、組成である「Agを94.5重量%、Pdを0.5重量%、Cuを2.5重量%およびCrを2.5重量%からなるAgアロイ」を用いる。比較例の電極層としては、「Agを99.8重量%、Cuを0.1重量%およびCrを0.1重量%からなるAg−Cu−Cr合金を用いた。
【0137】
比較方法は、本実施例7のAgアロイおよび比較例のAg−Cu−Cr合金の電極層を有するチップサーミスタをプリント基板に半田にて実装し、恒温恒湿層にて65℃、相対湿度95%の雰囲気中において直流で0.25Wの定電力を印加して行った。比較検討項目は、経過時間(H)と25℃でのR25変化率(%)との関係により比較検討した。
【0138】
図16は、本発明の実施例8におけるチップサーミスタに用いるAgアロイと比較例であるAg−Cu−Cr合金とを比較した断続回数(回)とR25変化率(%)との関係を示す図である。
【0139】
図16に示すように、実施例8における上部電極層は3000時間を経過しても殆どR25が変化しないのに対して、比較例における上部電極層は1000時間を経過する頃からR25は大きく変化した。実施例7における上部電極層のR25が変化しないのは、上部電極層に用いたAgアロイが湿度に対して安定でイオンマイグレーションが発生しにくいからである。さらに、Agアロイがチップサーミスタに拡散しにくいからである。
【0140】
なお、本実施例では、組成である「Agを94.5重量%、Pdを0.5重量%、Cuを2.5重量%およびCrを2.5重量%からなるAgアロイ」を用いて説明したが、Agアロイは、「Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなる」ものであれば同様の効果を奏するものである。
【0141】
(実施例9)
以下、本発明の実施例9における電子部品について、圧電素子を例にして説明する。
【0142】
図17は、本発明の実施例9における圧電素子の断面図である。
【0143】
図17において、91は圧電体で、Pb(Zr、Ti)O3を主成分とする厚みすべりモードを有するものである。この圧電体91の上下面に下部電極層92および上部電極層93をこの順番に設けている。下部電極層92は、Ni、Cr、Ti、Cu、ZnまたはSnの少なくとも1種類からなるものである。また、上部電極層93は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイからなるものである。
【0144】
以上のように設けられた圧電素子について、以下にその製造方法を説明する。
【0145】
まず、PbO、TiO2およびZrO2とかなる主成分に、Cr23、MnCO3、CaCO3、およびSiO2を所定量秤量し、ボールミルにより混合する。その後、仮焼成しボールミルにより粉砕し、乾燥させた後、結合材としてポリビニルアルコール水溶液を加えて造粒した後、加圧成形し、成形体を得る。さらに、成形体を閉炉中で焼成し圧電磁器矩形板を形成する。
【0146】
次に、圧電磁器矩形板矩形板をラッピングして圧電磁器とし、両面に銀電極を焼付けシリコンオイル中で直流電界を印加して分極処理、熱処理をする。その後、厚み方向にスライスして、圧電体91を形成する。
【0147】
次に、圧電体91の両面に、Ni、Cr、Ti、Cu、ZnまたはSnの少なくとも1種類をスパッタリングして下部電極層92を形成する。
【0148】
次に、圧電体91が位置する側と反対側のそれぞれの下部電極層92に、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイをスパッタリングして、上部電極層93を形成して、圧電素子を製造するものである。
【0149】
以上のように構成および製造された圧電素子について、以下にその特性検討を比較する。
【0150】
特性検討に用いる本実施例9における圧電素子の上部電極層93のAgアロイは、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるもののうち、組成である「Agを98.7重量%、Pdを1.0重量%、Cuを0.1、Siを0.1およびCrを0.1重量%からなるAgアロイ」を用いる。比較例の電極層としては、「Agを97重量%、Cuを0.1重量%およびSiを0.1重量%からなるAg−Cu−Si合金を用いた。
【0151】
比較方法は、下部電極層92を有する圧電素子91に本実施例9のAgアロイおよび比較例のAg−Cu−Si合金を上部電極層を形成する。比較検討項目は、経過時間(H)と共振周波数変化率(%)との関係により比較検討した。
【0152】
図18は、本発明の実施例9における圧電素子に用いるAgアロイと比較例であるAg−Cu−Si合金とを比較した経過時間(H)と共振周波数変化率(%)との関係を示す図である。
【0153】
図18に示すように、実施例9における上部電極層は500時間を経過しても殆ど変化しないのに対して、比較例における上部電極層は500時間経過する頃から共振周波数変化率が大きく変化した。実施例9における上部電極層の共振周波数変化率が変化しないのは、上部電極層に用いたAgアロイが湿度に対して安定でイオンマイグレーションが発生しにくいからである。
【0154】
なお、本実施例では、組成である「Agを98.7重量%、Pdを1.0重量%、Cuを0.1、Siを0.1およびCrを0.1重量%からなるAgアロイ」を用いて説明したが、Agアロイは、「Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなる」ものであれば同様の効果を奏するものである。
【0155】
(実施例10)
以下、本発明の実施例10における電子部品について、チップ圧電素子を例にして説明する。
【0156】
図19は、本発明の実施例10におけるチップ圧電素子の断面図である。
【0157】
図19において、101は圧電体層で、主成分はPbTiZrO3系を主成分とするものである。この圧電体層101の内部には、高さ方向の側面に交互に露出するように内部電極層102を備えている。103は外部電極層で、圧電体層101の側面で内部電極層102と電気的に接続するように設けられている。
【0158】
上述した外部電極層103および/または内部電極層102は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイを用いるものである。内部電極層102にAgアロイを用いない場合には、Pd、Pt、Ag−Pd、Ag等の貴金属、またはNi、Cu、Fe、Co等の卑金属が用いられる。
【0159】
以上のように設けられたチップ圧電素子について、以下にその製造方法を説明する。
【0160】
まず、PbTiZrO3系を主成分とする材料により作製するスラリーをドクターブレード法によりシート成形を行い、得られたグリーンシート状の圧電体層101に所望の形状の内部電極層102を形成するペーストを印刷する。この際、内部電極層102は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイ、または、Pd、Pt、Ag−Pd、Ag等の貴金属、またはNi、Cu、Fe、Co等の卑金属からなるものである。
【0161】
次に、内部電極層102を有するグリーンシート状の圧電体層101を所望の枚数積層し、焼成する。その後、積層方向の側面に交互に露出するように内部電極層102を有するように個片に切断するか、または、個片に切断した後、積層方向の側面に交互に露出するように内部電極層102研磨する。
【0162】
次に、圧電体層101の側面で内部電極層102と電気的に接続するようにAgを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイに、金属添加物を70〜85重量%、無機結合材料としてのホウケイ酸鉛系ガラスフリットを3.0重量%および有機ビヒクルを10〜25重量%混合したペーストを塗布し、焼付処理をして外部電極層103を形成した後、外部電極103間に電圧を印加しシリコンオイル中で分極してチップ圧電素子を製造するものである。
【0163】
以上のように構成および製造されたチップ圧電素子について、以下にその特性検討を比較する。
【0164】
特性検討に用いる本実施例10におけるチップ圧電素子の外部電極層102および/または内部電極層102のAgアロイは、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるもののうち、組成である「Agを98.9重量%、Pdを1.0重量%およびCuを0.1重量%からなるAgアロイ」を用いる。比較例の電極層としては、「Agを100重量%」を用いた。
【0165】
比較方法は、本実施例10のAgアロイおよび比較例のAgを電極層に相当するように焼結された圧電体層に設けた回路パターン間に形成する。その後、恒温恒湿漕にて65℃、相対湿度95%の雰囲気中において回路パターン間に直流電圧50Vを印加し、圧電素子の変化量を測定した。比較検討項目は、経過時間(H)と変位量(μm)との関係により比較検討した。
【0166】
図20は、本発明の実施例10におけるチップ圧電素子に用いるAgアロイと比較例であるAgとを比較した経過時間(H)と変位量(μm)との関係を示す図である。
【0167】
図20に示すように、実施例10における電極層は1000時間を経過しても殆ど変位量が変化しないのに対して、比較例における電極層は500時間を経過する頃から変位量が変化し、1000時間後には大きく変化した。実施例10における電極層の容量が変化しないのは、電極層に用いたAgアロイが湿度に対して安定でイオンマイグレーションが発生しにくいからである。さらに、Agアロイにて電極層を形成するときに圧電体層と反応しにくく安定であるからである。
【0168】
なお、本実施例では、組成である「Agを98.9重量%、Pdを1.0重量%およびCuを0.1重量%からなるAgアロイ」を用いて説明したが、Agアロイは、「Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなる」ものであれば同様の効果を奏するものである。
【0169】
(実施例11)
以下、本発明の実施例11における電子部品について、弾性表面波フィルタを例にして説明する。
【0170】
図21は、本発明の実施例11における弾性表面波フィルタの断面図である。
【0171】
図21において、111は圧電性基板で、SHモードの擬似表面波を伝搬する36°回転Y軸切断、X軸切断伝搬のLiTaO3、水晶、LiNbO3、Li2B4O7またはZnO等からなるものである。この圧電性基板111の上面の側部には一対のランド電極113を、このランド電極層113と電気的に接続する櫛形電極層112とを備えている。ランド電極層113および/または櫛形電極層112からなる電極層は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイからなるものである。
【0172】
以上のように設けられた弾性表面波フィルタについて、以下にその製造方法を説明する。
【0173】
まず、SHモードの擬似表面波を伝搬する36°回転Y軸切断、X軸切断伝搬のLiTaO3からなる圧電性基板111の上面にDCマグネトロンスパッタリング法により、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイを成膜した後、フォトリソグラフィによりパターニングして櫛形電極層112を形成する。
【0174】
次に、この櫛形電極層112に電気的に接続するように圧電性基板111の側部にAgを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイをスパッタリングした後、リフトオフ法によりパターンニングしてランド電極層113を形成して、弾性表面波フィルタを製造するものである。
【0175】
以上のように構成および製造された弾性表面波フィルタについて、以下にその特性検討を比較する。
【0176】
特性検討に用いる本実施例11における弾性表面波フィルタのランド電極層113および/または櫛形電極層112のAgアロイは、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるもののうち、組成である「Agを96.5重量%、Pdを1.0重量%およびCuを2.5重量%からなるAgアロイ」を用いる。比較例の電極層としては、「Alを100重量%」を用いた。
【0177】
比較方法は、本実施例11のAgアロイおよび比較例のAlからなる電極層を有する弾性表面波フィルタをセラミックからなるパッケージにワイヤーボンディングにより接続した後、樹脂封止したものを恒温恒湿漕にて65℃、相対湿度95%の雰囲気中において所定時間放置し寿命試験を実施し、その後の不良率(%)を測定した。
【0178】
図22は、本発明の実施例11における弾性表面波フィルタに用いるAgアロイと比較例であるAlとを比較した経過時間(H)と不良率(%)との関係を示す図である。
【0179】
図22に示すように、実施例11における電極を用いた弾性表面波フィルタは500時間を経過しても不良率が低いのに対して、比較例における電極を用いた弾性表面波フィルタは200時間を経過する頃から急速に不良率が増加した。実施例11の不良率が変化しないのは、電極層に用いたAgアロイが湿度に対して安定でイオンマイグレーションが発生しにくいからである。さらに、Agアロイにて電極層を形成するときに圧電体層と反応しにくく安定であるからである。
【0180】
なお、本実施例11では単相膜からなる電極層について説明したが、AlまたはAl合金を下層電極にAgアロイを上層電極層や中間電極層とした多層構造としても同様の効果を奏するものである。
【0181】
また、本実施例では、組成である「Agを96.5重量%、Pdを1.0重量%およびCuを2.5重量%からなるAgアロイ」を用いて説明したが、Agアロイは、「Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなる」ものであれば同様の効果を奏するものである。
【0182】
(実施例12)
以下、本発明の実施例12における電子部品について、多層配線基板を例にして説明する。
【0183】
図23は、本発明の実施例12における多層配線基板の断面図である。
【0184】
図23において、131は多層基板で、Ba、Nb、Ti系の高周波セラミック、ガラスセラミック、エポキシ、ポリイミドまたはアラミド等からなるものである。
この多層基板131の内部には回路パターンを構成する複数個の内層電極層132および上下間の内層電極層132を電気的に接続するビア電極層134とを備えている。また、多層基板131の上面には、所望のビア電極層134と電気的に接続するものである。
【0185】
以上のように設けられた多層配線基板について、以下にその製造方法を説明する。
【0186】
まず、主成分であるBaCO3、Nd23、TiO3および所望量の焼結助剤を秤量し、ジルコニア玉石および純水とともにボールミルで混合してスラリーとする。その後、スラリーを乾燥させ坩堝に入れ仮焼成し、解砕した後、再度ボールミルで粉砕して乾燥させて第1成分の粉末とする。また、第2成分として、Si−B−Ca−Ba等からなるガラスを用意する。その後、第1成分および第2成分の粉末を、8:2の割合で秤量し、ボールミルにて湿式混合しスラリーとし、このスラリーをドクターブレード法にてシート成形し乾燥させシートとする。
【0187】
次に、このシートにパンチングしてビアを形成し、このビアをAgを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイを印刷、焼成または硬化させてビア電極層134を形成する。
【0188】
また、シートに所望の回路パターンとなるようにAgを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイを印刷、焼成または硬化させて内層電極層132を形成する。
【0189】
次に、ビア電極層134を有するシート、内層電極層132を有するシートおよびシートを所望の枚数積層した後、熱プレスをして積層体を形成する。
【0190】
次に、この積層体の上面にビア電極層134と電気的に接続するようにAgを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイを印刷、焼成または硬化させて表層電極層133を形成して多層配線基板を製造するものである。本実施例においては一例としてLCフィルタを基板に内装した。
【0191】
以上のように構成および製造された多層配線基板について、以下にその特性検討を比較する。
【0192】
特性検討に用いる本実施例12における多層配線基板の電極層に用いるAgアロイは、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるもののうち、組成である「Agを94.9重量%、Pdを5.0重量%およびCuを0.1重量%からなるAgアロイ」を用いる。比較例の電極層としては、「Alを100重量%」を用いた。
【0193】
比較方法は、本実施例12のAgアロイおよび比較例のAgからなる多層配線基板を形成する。比較検討項目は、経過時間(H)と共振周波数変化率(%)との関係により比較検討した。
【0194】
図24は、本発明の実施例12における多層配線基板に用いるAgアロイと比較例であるAgとを比較した経過時間(H)と共振周波数変化率(%)との関係を示す図である。
【0195】
図24に示すように、実施例12における電極層は500時間を経過しても殆ど変化しないのに対して、比較例における電極層は500時間経過する頃から共振周波数変化率が大きく変化した。実施例12における電極層の共振周波数変化率が変化しないのは、電極層に用いたAgアロイが湿度に対して安定でイオンマイグレーションが発生しにくいからである。
【0196】
なお、本実施の形態における表層電極層133を、フェイスダウン可能な素子を実装するパンプ電極としても同様の効果を奏するものである。
【0197】
また、本実施例では、組成である「Agを94.9重量%、Pdを5.0重量%およびCuを0.1重量%からなるAgアロイ」を用いて説明したが、Agアロイは、「Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCu、Si、Cr、Ti、Ni、Auのうち少なくとも1種類を0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなる」ものであれば同様の効果を奏するものである。
【0198】
【発明の効果】
以上のように本発明は、各種電子部品の電極層にAgアロイにより構成することにより、耐候性に優れるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施例1における円板型セラミックコンデンサの横方向から見た断面図、
(b)同縦方向から見た断面図、
【図2】同円板型セラミックコンデンサに用いるAgアロイと比較例であるAg−Pd合金とを比較した経過時間(H)と容量変化率(%)との関係を示す図、
【図3】本発明の実施例2における積層セラミックコンデンサの断面図、
【図4】同積層セラミックコンデンサに用いるAgアロイと比較例であるAg−Pd合金とを比較した経過時間(H)と容量変化率(%)との関係を示す図、
【図5】本発明の実施例3におけるチップコイルの断面図、
【図6】チップコイルに用いるAgアロイと比較例であるAg−Pd合金とを比較した経過時間(H)とインダクタンス変化率(%)との関係を示す図、
【図7】本発明の実施例4におけるチップビーズの断面図、
【図8】チップビーズに用いるAgアロイと比較例であるAg−Pd合金とを比較した経過時間(H)とインダクタンス変化率(%)との関係を示す図、
【図9】本発明の実施例5における角チップ型抵抗器の断面図、
【図10】同角チップ型抵抗器に用いるAgアロイと比較例であるAg−Pd合金とを比較した経過時間(H)と抵抗値変化率(%)との関係を示す図、
【図11】実施例6におけるチップバリスタの断面図、
【図12】同チップバリスタに用いるAgアロイと比較例であるAg−Pd合金とを比較した経過時間(H)と容量変化率(%)との関係を示す図、
【図13】本発明の実施例7におけるチップサーミスタの断面図、
【図14】同チップサーミスタに用いるAgアロイと比較例であるAg−Pd合金とを比較した断続回数(回)とR25変化率(%)との関係を示す図、
【図15】本発明の実施例8におけるペロブスカイト構造を有するサーミスタの断面図、
【図16】同ペロブスカイト構造を有するサーミスタに用いるAgアロイと比較例であるAg−Cu−Cr合金とを比較した断続回数(回)とR25変化率(%)との関係を示す図、
【図17】本発明の実施例9における圧電素子の断面図、
【図18】同圧電素子に用いるAgアロイと比較例であるAg−Cu−Si合金とを比較した経過時間(H)と共振周波数変化率(%)との関係を示す図、
【図19】本発明の実施例10におけるチップ圧電素子の断面図、
【図20】同チップ圧電素子に用いるAgアロイと比較例であるAgとを比較した経過時間(H)と変位量(μm)との関係を示す図、
【図21】本発明の実施例11における弾性表面波フィルタの断面図、
【図22】同弾性表面波フィルタに用いるAgアロイと比較例であるAlとを比較した経過時間(H)と不良率(%)との関係を示す図、
【図23】本発明の実施例12における多層配線基板の断面図、
【図24】同多層配線基板に用いるAgアロイと比較例であるAgとを比較した経過時間(H)と共振周波数変化率(%)との関係を示す図である。
【符号の説明】
11、21 誘電体層
12、82 電極
13、83 リード線
15 エポキシ樹脂
22、42、62 内部電極
23、33、43、63 外部電極
31 基材
32 コイル部
41 磁性体層
51 基板
52 抵抗体層
53 上面電極
54、85 保護層
55 側面伝搬
61 バリスタ層
71、81 正特性サーミスタ
91、101 圧電体
102 内部電極層
103 外部電極層
111 圧電性基板
112 櫛形電極層
113 ランド電極層
131 多層基板
132 内層電極層
133 表層電極層
134 ピア電極層

Claims (5)

  1. 電極層および/または誘電体層を有するもので、この電極層および/または誘電体層は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCuを0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイからスパッタリングターゲットを作製し、スパッタリング法を用いて電極層および/または誘電体層を形成してなる電子部品。
  2. 基板と、この基板の上面に設けられた一対の上面電極層および抵抗体層と、前記抵抗体層と電気的に接続するように前記基板の側面に設けられた側面電極層とからなり、前記上面電極層および/または側面電極層は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCuを0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイからスパッタリングターゲットを作製し、スパッタリング法を用いて電極層および/または誘電体層を形成してなる電子部品。
  3. 正特性サーミスタと、この正特性サーミスタの両面に下部電極層を介して上部電極層を備えるもので、前記上部電極層は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCuを0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイからスパッタリングターゲットを作製し、スパッタリング法を用いて電極層および/または誘電体層を形成してなる電子部品。
  4. 圧電体と、この圧電体の両面に下部電極層と上部電極層とを備えてなり、前記上部電極層は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCuを0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイからスパッタリングターゲットを作製し、スパッタリング法を用いて電極層および/または誘電体層を形成してなる電子部品。
  5. 圧電性基板と、この圧電性基板に一対のランド電極層とこのランド電極層と電気的に接続する櫛形電極層とからなり、前記ランド電極および/または櫛形電極層は、Agを主成分としてPdを0.1〜5.0重量%とCuを0.1〜5.0重量%とを合金化または混合してなるAgアロイからスパッタリングターゲットを作製し、スパッタリング法を用いて電極層および/または誘電体層を形成してなる電子部品。
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