JP4744722B2 - 中空構造を有する金属−セラミックス複合材料の製造方法 - Google Patents
中空構造を有する金属−セラミックス複合材料の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属−セラミックス複合材料の製造方法に関し、特に中空構造を有する金属−セラミックス複合材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、半導体製造装置等にセラミックス粉末またはセラミックス繊維を強化材とし、アルミニウムまたはアルミニウム合金をマトリックスとする金属−セラミックス複合材料が使われ始められている。
【0003】
この複合材料の製造方法、特に金属としてアルミニウムをマトリックスとする複合材料の製造方法としては、粉末冶金法、高圧鋳造法、真空鋳造法等の方法が従来から知られている。しかし、これらの方法では、強化材であるセラミックスの含有率を高くできない、あるいは大型の加圧装置が必要である、もしくはニアネットの成形が困難である、コストが極めて高いなどの理由によりいずれも満足できるものではなかった。
【0004】
そこで最近では、上記問題を解決する製造方法として、米国ランクサイド社が開発した非加圧金属浸透法(PrimexTM)がある。この方法は、SiCやAl2O3などのセラミックス粉末で形成されたプリフォームにMgを含むアルミニウム合金を接触させ、これをN2雰囲気炉中で700〜900℃の温度に加熱して溶融したアルミニウム合金を浸透させる方法である。これは、Mgの化学反応を利用してセラミックス粉末と溶融金属との濡れ性を改善し、機械的な加圧を行わなくてもプリフォーム中に浸透できるという特徴があるので、加圧装置が不要な優れた方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法で作製された複合材料では、プリフォームを鋳込み成形、あるいはプレス成形で形成するため、内部に中空を有する複合材料を作製することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した金属−セラミックス複合材料が有する課題に鑑みなされたものであって、その目的は、中空を有する複合材料が得られる金属−セラミックス複合材料の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、ブロック状のプリフォームを内部に中空を有するように組み上げ、その組み上げたプリフォームに溶融した金属を浸透させれば、中空を有する複合材料が得られるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、
(1)強化材であるセラミックス粉末またはセラミックス繊維で所定のブロック形状をしたプリフォームを複数個形成し、それら複数個のプリフォームを内部に中空を有するように組み上げ、その組み上げたプリフォームにマトリックスである溶融したアルミニウムまたはアルミニウム合金を窒素雰囲気中で非加圧で浸透させることを特徴とする中空構造を有する金属−セラミックス複合材料の製造方法(請求項1)とし、
(2)前記組み上げたプリフォームが、側壁の個々のプリフォーム同士をSUS棒を貫通させて繋ぎあわせたプリフォームであることを特徴とする請求項1記載の中空構造を有する金属−セラミックス複合材料の製造方法(請求項2)とすることを要旨とする。
以下さらに詳細に説明する。
【0009】
上記で述べたように、本発明の複合材料の製造方法としては、強化材であるセラミックス粉末またはセラミックス繊維で所定のブロック形状をしたプリフォームを複数個形成し、それら複数個のプリフォームを内部に中空を有するように組み上げ、その組み上げたプリフォームにマトリックスである溶融したアルミニウムまたはアルミニウム合金を窒素雰囲気中で非加圧で浸透させることとする製造方法とした(請求項1)。
【0010】
これは、先ずブロック状のプリフォームを形成し、そのブロック状のプリフォームを図1、2、3に示すように内部に中空を有するように組み上げ、その組み上げたプリフォームに溶融したアルミニウムまたはアルミニウム合金を浸透させることにより、図3と同じ内部に中空を有する複合材料が作製されるものである。
【0011】
通常はプリフォームの表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金が染み出さないようにカーボンなどからなるバリア材を塗布するが、この場合には、ブロック状のプリフォーム同士の接触面にはバリア材の塗布をしないでその他には塗布して組み上げる必要があり、これによってプリフォーム同士はしっかりと接合され、一方、組み上げられたプリフォームの外側の面と内部の中空部内面とにはアルミニウムまたはアルミニウム合金の染み出しが抑えられた複合材料となる。
【0012】
その組み上げられたプリフォームが大型になると不安定になる場合があるので、その場合には、図4に示すように側壁の個々のプリフォーム同士をSUS棒を貫通させて繋ぎあわせることとした(請求項2)。これにより大型品は勿論のこと、不安定になる要素を有する複雑形状品にも対応することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の複合材料の製造方法をさらに詳しく述べると、先ず強化材であるセラミックス粉末またはセラミックス繊維としてSiC、Al2O3、AlNなどのセラミックス粉末またはセラミックス繊維を用意し、これに浸透させるアルミニウム合金としてMgを含むアルミニウム合金のインゴットも用意する。
【0014】
用意したセラミックス粉末またはセラミックス繊維でブロック状のプリフォームを複数個形成する。プリフォームの形成は、鋳込み成形、プレス成形などどんな方法でも構わない。SUS棒で補強する場合には、SUS棒を挿入する穴を有するプリフォームを複数個形成する。穴を有するプリフォームを形成するのは、あらかじめ穴を有するプリフォームを形成してもよいし、形成したプリフォームに機械加工により穴を設けてもよい。
【0015】
得られた複数個のプリフォームを用いて、先ず図1、2,3に示すようにブロック状の底板となるプリフォームを載置し、その上面にブロック状の側壁となる複数個のプリフォームを積み上げ、その上面にさらにブロック状の上板となるプリフォームを被せて組み上げる。この際、プリフォーム同士が接触する面及びアルミニウム合金を浸透させる面には何も塗布しないが、それ以外にはカーボンなどからなるバリア材を塗布する。
【0016】
得られた組み上げられたプリフォームに用意したアルミニウム合金のインゴットを接触させ、それを窒素雰囲気中で700〜900℃の温度で熱処理し、溶融したアルミニウム合金を非加圧で浸透させ、冷却して内部に中空を有する複合材料を作製する。
【0017】
以上の方法で金属−セラミックス複合材料を作製すれば、内部に中空を有する複合材料が得られる。
【0018】
【実施例】
以下本発明の実施例を具体的に挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0019】
(実施例1)
(1)金属−セラミックス複合材料の作製
強化材として#180(平均粒径66μm)の市販SiC粉末70質量部と#500(平均粒径25μm)の市販SiC粉末30質量部を用い、それにバインダーとしてコロイダルシリカ液をシリカ固形分が2重量部となる量を添加し、それにさらに消泡剤としてフォーマスタVL(サンノブコ社製)を0.2重量部、イオン交換水を24重量部加え、ポットミルで12時間混合した。
【0020】
得られたスラリーを1000×1000×t20mmの成形体が得られるゴム型に流し込み、それを24時間静置し、SiC粉末を沈殿させ、上済み液を布などで除去した後、それを冷凍室に入れ、30時間冷凍させて脱型した。得られた成形体を1000℃の温度で焼成して粉末充填率が70体積%の底板及び上板となるプリフォームを2個形成した。次いで、同じスラリーで別に980×100×t20mmの成形体が得られるゴム型に流し込み、前記と同様にして側壁となるプリフォームを12個形成した。
【0021】
得られたプリフォームの表面にカーボンからなるバリア材を塗布(但し、アルミニウム合金を浸透させる面及びプリフォーム同士が接触する面を除く)し、それらを図1、2,3に示すように組み上げ、その組み上げたプリフォームにAl−3Mg組成のアルミニウム合金のインゴットを接触させ、それを窒素雰囲気中で825℃の温度で24時間熱処理し、溶融したアルミニウム合金を非加圧浸透させた後、冷却して中空を有する複合材料を作製した。
【0022】
(2)評価
得られた複合材料を切断して2分割し、その複合材料の外側面と内部中空面を目視で観察し、アルミニウム合金の染み出しを調べた。その結果、アルミニウム合金の大きな染み出しはなかった。また、その複合材料のプリフォーム同士の接触面を切断し、その面の接合状態を目視で調べた。その結果、プリフォーム同士の接触面には、隙間や剥がれがなく、よく接合されていた。
【0023】
(実施例2)
前記と同じスラリーで図4に示すようにφ11mmの穴を2個有する側壁となるプリフォームを12個形成し、その穴にφ10×長さ300mmのSUS棒を2本挿入した他は実施例1と同様に複合材料を作製し、評価した。その結果、複合材料の外側面と内部中空面には、アルミニウム合金の大きな染み出しはなく、また、プリフォーム同士の接触面には、隙間や剥がれがなく、よく接合されており、プリフォーム同士のズレもなかった。このことは、実施例1を含めて述べると、本発明の製造方法であれば、中空を有する複合材料が得られる製造方法とすることができることを示している。
【0024】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の金属−セラミックス複合材料の製造方法であれば、中空を有する複合材料が得られる金属−セラミックス複合材料の製造方法とすることができるようになった。このことにより、従来でき得なかった中空構造を有する複合材料を作製することができるようになり、剛性を保ったまま軽量化することができるため、半導体製造装置等の部材に使われることが大いに期待できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】底板または上板であるプリフォームを示す模式図である。
【図2】プリフォームの側壁を組み上げたところを示す模式図である。
【図3】プリフォーム全体を組み上げたところを示す模式図である。
【図4】プリフォームの側壁にSUS棒を挿入する穴を示す模式図である。
Claims (1)
- SUS棒を挿入する穴を有し、強化材であるセラミックス粉末またはセラミックス繊維で所定のブロック形状をしたプリフォームを複数個形成し、それら複数個のプリフォームを内部に中空を有するように組み上げ、複数個のプリフォームを貫通させるようにSUS棒を挿入した後、その組み上げたプリフォームにマトリックスである溶融したアルミニウムまたはアルミニウム合金を窒素雰囲気中で非加圧で浸透させることを特徴とする中空構造を有する金属−セラミックス複合材料の製造方法。
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