JP4744541B2 - 設計支援装置 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、製品の剛性設計に利用されるCAE(Computer Aided Engineering)システムの構成が開示されている。このCAEシステムは、CAD装置から3次元製品の形状データおよび材料データを取得し、その取得した形状データをもとに製品を有限要素(Finite Element)と呼ばれる有限の領域に離散化する有限要素分割を行う。そして、前記CAEシステムは、リブ設計、肉厚設計等の構造設計を行うための有限要素法による構造解析を行い、その解析結果(製品の変位や形状変形)を出力する。設計者は、前記解析結果より、初期段階の製品形状に修正を加えていき、製品スペックを満たす最適な製品形状を設計する。
なお、上述したCAEシステムを利用して構造物の剛性を確保するための構造設計を行う場合、設計者が設計図等から構造物の弱体部位を予測し、その予測した弱体部位を上記CAEシステムでシミュレーションして検証していた。
具体的には、上述した従来の構造設計は、設計者が構造物の弱体部位を予測しているため、設計者が弱体部位を探し出すことが困難であり、精度の高い構造設計を行うことができないという技術的課題を有していた。
また、設計者が弱体部位を予測する場合、疑わしい部分を全て弱体部位として挙げる傾向にあるため、予測した弱体部位が剛性基準を満たすか否かを検証するため手間が増えてしまい、その結果、構造設計に多大な時間がかかっていた。
すなわち、本発明によれば、従来のように、設計者が弱体部位を予測する必要がないため、正確に弱体部位を求めることができ、これにより、精度の高い構造設計を実現することができる。
また、設計支援装置が推定した弱体部位について所定基準を満たすか否かを検証することにより、剛性が不足している部位を判定できる。そのため、上述した従来技術のように、弱体部位の検証に、多大な時間が取られることがない。
上記のように、構造物の剛性強化が必要な部位を求めて出力することにより、設計者に、剛性強化が必要な部位に対する設計変更を促すことができる。すなわち、本発明によれば、設計者に対して、所定の剛性基準を満たすように構造物を設計するように誘導することができる。
先ず、本実施形態の構造物の設計支援装置の機能構成を図1に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態の設計支援装置の機能ブロック図である。
また、情報処理装置1は、前記解析結果を参照した設計者からの強化対策を示す情報の入力を受け付け、その受け付けた情報に応じて、有限要素法による構造解析を行い、強化対策により弱体部位が剛性基準を満たすようになったか否かを検証する。
出力装置3は、液晶ディスプレイ等により構成され、情報処理装置1が出力する画像情報を表示する。
また、CAD装置4には、構造解析を行う対象の構造物のCAD情報(例えば、自動車の構成部品の設計情報)が格納されている。そして、CAD装置4は、情報処理装置1からの要求にしたがい、情報処理装置1にCAD情報を出力する。
以下、設計支援装置Aの具体的な構成を説明する。なお、本実施形態のCAD装置4は、公知の技術により実現されるため、詳細な説明は省略する。
制御部10は、情報処理装置1の全体の動作を制御する。また、制御部10は、入力装置2を介して、設計者が入力する各種要求を受け付ける。そして、制御部10は、上記の受け付けた要求にしたがい、データ取得部20、構造解析部30、および出力部40を制御して、設計者からの要求に応じた処理を行う。
また、データ取得部20は、入力装置2を介して、設計者が入力する、解析対象の構造物の「解析条件(物性値情報、拘束条件、荷重条件)」の入力を受け付ける。
出力部40は、構造解析部30から解析結果を取得し、その解析結果から解析結果を示す画像情報(図4、5、6参照)を生成し、出力装置3に、その生成した画像情報を出力する。
図2は、本実施形態の情報処理装置のハードウェア構成図である。
図示するように、情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)50と、RAM(Random Access Memory)等により構成された主記憶装置51と、I/Oインタフェース52と、ハードディスク等により構成された補助記憶装置53と、ネットワークNWに接続されている装置との間で行うデータ授受の制御を行うネットワークインタフェース54とを有する。
また、補助記憶装置53には、上述した各部(制御部10、データ取得部20、構造解析部30、および出力部40)の機能を実現するためのプログラム(設計支援プログラム55)が格納されている。
図3は、本発明の実施形態の設計支援装置が行う構造物設計支援処理の手順を示したフローチャートである。
なお、図示する処理ステップに先立って、設計支援装置Aを構成する情報処理装置1には、設計対象の構造物の設計情報と、当該構造物の解析条件(物性値情報、拘束条件、荷重条件)とが入力されているものとする。すなわち、情報処理装置1のメモリ(主記憶装置51又は補助記憶装置53)には、前記構造物の設計情報および解析条件が記憶されている。
また、以下のフローチャートでは、設計対象の構造物が、車両のインストルメントパネル(インパネ)である場合を例にする。また、以下の処理ステップの中で用いられる有限要素法は、周知のものと同様である。
具体的には、構造解析部30は、略板状の形成されたインパネの一方面(例えば、車室側に配置される意匠面)に対し、インパネの意匠面に略直交する方向の等分布荷重(x1(N))を加えた有限要素法による構造解析を実施し、インパネの意匠面の変位(Z(mm))を求める。そして、構造解析部30は、前記求めたインパネの変位のうち、その変位量が一番大きい領域(部位)を特定し、その特定した部分(領域)をインパネの弱体部位として推定する。すなわち、本ステップ(S10)では、1カ所の弱体部位が推定される。
具体的には、S10において、出力部40は、構造解析部30からの解析結果を受け付けると、該解析結果を用いて、インパネの変位および弱体部位を示した画像情報(弱体部位推定情報)を生成し、出力装置3にその「弱体部位推定情報」を表示する。
また、構造解析部30は、前記求めた変位(Z(mm))が所定の目標値を達成しているか否かを判定する(S20)。
例えば、目標値が「a(mm)以内」と定められている場合、構造解析部30は、本ステップで求めた変位(Z(mm))のうちの最大変位(Zmax(mm))が目標値(a(mm))以内であるか否かを判定すればよい。
一方、構造解析部30は、前記最大変位(z(max))が目標値(a(mm))より大きければ(Zmax>a)、S25に進む。すなわち、構造解析部30は、前記求めた変位(Z(mm))が所定の目標値に達成していなければ、S10で予測した弱体部位に剛性強化の必要があると判断して、S25に進む。
或いは、構造解析部30は、S20において、前記求めた変位(Z(mm))が目標値(a(mm))より大きいと判定した場合に、出力部40に、本ステップでの解析結果(インパネの変位を示す情報)を送り、出力部40に解析結果の表示処理を実行させ、設計者にインパネの弱体部位を提示するようにしてもよい。これにより、設計者に、インパネの設計変更(弱体部位の構造強化)を促すことができる。
ここで、出力部40が表示する弱体部位検証情報の一例を図5に示す。
図示する弱体部位検証情報も、図4で示した弱体部位推定情報と同様、インパネ100の意匠面が、変位量に応じて色分された状態で示されている。なお、この弱体部位検証情報では、インパネ100の意匠面のうち、符号103の領域の変位量が一番大きいことを示している。
S25では、構造解析部30は、S10で予測した弱体部位に対して有限要素法によるトポロジ最適化処理を行い、インパネの剛性強化が必要な剛性強化必要部位を求める。そして、構造解析部30は、出力部40に、トポロジ最適化処理により求めた「剛性強化必要部位を示す情報」を送り、出力部40に「剛性強化必要部位を示す情報」の表示処理を実行させる。
出力部40は、構造解析部30からの「剛性強化必要部位を示す情報」を受け付けると、受け付けた「剛性強化必要部位を示す情報」を用いて、インパネの剛性強化必要部位を示した画像情報(剛性強化部位指定情報)を生成する。そして、出力部40は、出力装置3に、生成した剛性強化部位指定情報を表示する。
図示する剛性強化部位指定情報は、インパネの剛性強化が必要な部分が識別可能に構成されている。なお、図示する例では、符号104で示す部分(領域)が、剛性強化が必要な部位として、他の部分(剛性強化が不要な部位)と色分けして示されている。
なお、本ステップでは、設計者は、板厚増加やリブ追加による強化対策が可能と入力した場合、さらに、具体的な「板厚増加やリブ追加による強化対策」を示す情報を入力する。また、設計者は、板厚増加やリブ追加による強化対策ができないと入力した場合、S35に進んで、インパネの「拘束や支持部位の追加による強化対策」を示す情報を入力する。
そして、S20において、構造解析部30は、目標値を達成していれば、S30で受け付けた強化対策により弱体部位が所定の剛性基準を満たすように強化されたと判定してS40に進む。また、構造解析部30は、目標値を達成していなければ、S30で受け付けた強化対策が不十分であるとして、S25に戻り、再び、トポロジ最適化処理を行う。
そして、構造解析部30は、「拘束や支持部位の追加による強化対策」を反映させた上で、再度、上述したS10以降の処理を行う。
S40では、構造解析部30は、S10で推定した弱体部位が、所定の剛性基準を満たしているため、インパネの構造を決定して処理を終了する(例えば、S30やS35で強化対策が施されていれば、強化対策を施した構造に決定して処理を終了する)。
なお、設計対象の構造物に弱体部位(剛性強化が必要な部位)が複数ある場合もあるが、その場合においても、以下に示すように図3のフローを繰り返して行うことにより対応することができる。
一方、S20においてインパネの変位が所定の目標値に達成していなければ、S25以降の処理を行い、2つめの弱体部位に対する強度対策を行うようにする。
また、前記の2回目に行ったS10〜S40の処理による弱体部位への強化対策を終えると、2回目のS40で決定した構造について、再度、S10〜S20の処理を行い、他に弱体部位があるか否かを検証する。
そして、他の弱体部位がないと判定されるまで、図3の処理を繰り返すようにすれば、弱体部位が複数個所ある場合においても、所定の剛性基準を満足する構造を確保することができる。
すなわち、本実施形態では、従来のように、設計者が弱体部位を予測する必要がないため、正確に弱体部位を求めることができる。また、本実施形態によれば、弱体部位が複数ある場合でも、上述したように、図3の処理フローを繰り返すことにより、複数の弱体部位を正確に特定することができる。
このように、本実施形態によれば、正確に構造物の弱体部位を特定することができるため、構造物の構造設計の精度を高めることができる。
これにより、本実施形態によれば、設計者に対して、構造物の剛性強化が必要な部位に対して強化対策(設計変更)を取るように促すことができる。したがって、本実施形態では、所定の剛性基準を満たすように構造物を設計するように設計者を誘導することができる。
すなわち、本実施形態の設計支援装置を利用して構造物の構造設計を行うようにすれば、設計者にスキルや設計経験が少ない場合であっても、所定の剛性基準を満たすような構造物を設計するように誘導することができる。
例えば、構構造解析部30の機能を実行(担当)するコンピュータと、画像情報を生成する出力部40の機能を実行(担当)するコンピュータとを分けるようにしてもよい。
1…情報処理装置
2…入力装置
3…出力装置
4…CAD装置
10…制御部
20…データ取得部
30…構造解析部
40…出力部
50…CPU
51…主記憶装置
52…I/Oインタフェース
53…補助記憶装置
54…NWインタフェース
55…設計支援プログラム
100…インストルメントパネル
Claims (2)
- 演算処理を行うCPUと、少なくとも構造物の設計情報、物性値情報、拘束条件、および荷重条件を含む入力データと設計支援プログラムとが格納されたメモリとが具備され、前記CPUが前記メモリに格納された設計支援プログラムを実行することにより、前記入力データを用いた有限要素法による構造解析を行い、構造物の構造設計を支援する設計支援装置であって、
前記CPUが、前記入力データを用いて前記設計支援プログラムを実行することにより、
前記構造物に等分布荷重を加えた有限要素法による構造解析を演算処理により実施して、該構造物の変位を算出し、
更に前記算出した変位のうち、変位量が一番大きい部位を該構造物の弱体部位として推定し、
次に、前記入力データを用いて、前記推定した弱体部位に所定の集中荷重を加えた有限要素法を用いた構造解析を演算処理により実施して前記構造物の変位を算出し、前記算出した変位が所定基準を満たすか否かの結果を出力することを特徴とする設計支援装置。 - 更に、前記算出した構造物の変位が所定基準を満たさなければ、前記推定した弱体部位に対して有限要素法によるトポロジ最適化処理を演算処理により実施し、前記構造物の剛性強化が必要な部位を特定し、該剛性強化が必要な部位を示す情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の設計支援装置。
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