JP4744542B2 - 設計支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、製品や部品等の構造物の構造設計を支援する設計支援装置に関し、例えば、構造物の設計情報、物性値情報、拘束条件、および荷重条件を含む入力データを用いた有限要素法による構造解析を行い、構造物の構造設計を支援する設計支援装置に関する。
従来から、工業製品等の構造物の設計に、コンピュータが利用されており、コンピュータに構造物の剛性評価等の解析を行わせるプログラムや、そのプログラムを実装したシステムが提案されている。
例えば、特許文献1には、製品の剛性設計に利用されるCAE(Computer Aided Engineering)システムの構成が開示されている。このCAEシステムは、CAD装置から3次元製品の形状データ等を取得し、その取得した形状データ等をもとに製品を有限要素(Finite Element)と呼ばれる有限の領域に離散化する有限要素分割を行う。そして、前記CAEシステムは、リブ設計、肉厚設計等の構造設計を行うための有限要素法による構造解析を行い、その解析結果(製品の変位や形状変形)を出力する。設計者は、前記解析結果より、初期段階の製品形状に修正を加えていき、製品スペックを満たす最適な製品形状を設計する。
以下、従来から行われているコンピュータによるシミュレーションを利用した構造設計の手順について説明する。なお、コンピュータによるシミュレーションは、コンピュータに、公知のCAE(Computer Aided Engineering)プログラムを実行させることにより行われる。
具体的には、先ず、設計者は、構造物の設計図面等を用いて図面DR(デザインレビュー)を行い、構造物の中から弱体部位(所定の剛性基準を満たさない部分)と考えられる部分を予測する。
つぎに、設計者は、前記コンピュータによるシミュレーションを利用して、予測した弱体部位が剛性基準を満たすか否かを検証する。
具体的には、設計者が、前記コンピュータに、構造物の「設計情報、物性値情報、拘束条件、荷重条件、弱体部位を認定する位置情報」等の入力データを与える。前記コンピュータは、与えられた入力データを用いて、予測した弱体部位に対して集中荷重を加えた有限要素法による構造解析(集中荷重による剛性CAE)を行い、構造物の変位を求め、その求めた変位を示す情報を出力する。
ここで、前記コンピュータが出力する構造物の変位を示す情報を図7に例示する。なお、図7は、自動車のインストルメントパネル(インパネ)の弱体部位に集中荷重を加えた有限要素法による構造解析(集中荷重による剛性CAE)により求めた構造物の変位を示す情報を例示した図である。
また、図示する符合200は、インパネを示している。また、図7(a)の符合201、および図7(b)の符合202は、いずれも、インパネ200の予測した弱体部位に集中荷重による剛性CAEを行った場合の変位した領域を示している。そして、設計者は、前記コンピュータが出力した構造物の変位を示す情報を見て、予測した弱体部位に剛性強化対策が必要か否かを判断する。
つぎに、設計者は、剛性強化対策が必要と判断した弱体部位について、前記コンピュータに、有限要素法によるトポロジ最適化処理を実行させ、構造物の剛性強化が必要な部位を示した解析結果を出力させる。このトポロジ最適化処理は、一般的に、弱体部位毎に実施される。
ここで、トポロジ最適化処理により得られた解析結果を図8に例示する。
なお、図8(a)は、図7(a)の符合201が示す領域を弱体部位と判断して、当該弱体部位201に対してトポロジ最適化処理を行った解析結果である。また、図8(b)は、図7(b)の符合202が示す領域を弱体部位と判断して、当該弱体部位202に対してトポロジ最適化処理を行った解析結果である。なお、符号203、および符号204は、いずれも、剛性強化が必要な部位を示している。
そして、設計者は、前記の解析結果(図8)を見て、弱体部位毎に剛性強化が必要な部位に対して、リブの追加や板厚の増加等の対策を施していた。
特開2000−293548号公報
しかしながら、上述した、従来から行われている構造設計の手法は、以下に示す技術的課題を有している。
具体的には、上述した従来の構造設計は、設計者が構造物の弱体部位を予測しているため、設計者が弱体部位の判定をするのが困難であり、精度の高い構造設計を行うことができないという技術的課題を有していた。
また、構造物によっては、設計初期段階において弱体部位が複数存在することが多いが、従来のように、設計者による判断では、複数の弱体部位を正確に予測することは難しかった。なお、設計者が、疑わしいと思われる部分を全て弱体部位として挙げ、有限要素法による構造解析により検証していくことにより、弱体部位を見落とす可能性を低減できる。しかし、この方法では、弱体部位の検証のために、多大な労力と時間がかかってしまう。
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであり、構造物の構造設計を支援する設計支援装置において、構造設計の手間および時間を減少させると共に、精度の高い構造設計を実現させる設計支援装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、演算処理を行うCPUと、少なくとも構造物の設計情報、物性値情報、拘束条件、および荷重条件を含む入力データと設計支援プログラムとが格納されたメモリとが具備され、前記CPUが前記メモリに格納された設計支援プログラムを実行することにより、前記入力データを用いた有限要素法による構造解析を行い、構造物の構造設計を支援する設計支援装置であって、前記CPUが、前記入力データを用いて前記設計支援プログラムを実行することにより、前記構造物に等分布荷重を加えた有限要素法による構造解析を演算処理により実施して、該構造物の変位を算出し、更に前記算出した変位のうち、変位量が一番大きい領域を、その変位量が所定の目標値より大きい場合に該構造物の弱体部位となされる弱体部位候補として推定し、次に、前記推定した弱体部位に所定の集中荷重を加えた有限要素法を用いた構造解析を演算処理により実施して前記構造物の変位を算出し、前記算出した変位が前記目標値より大きいか否かにより弱体部位候補を検証する弱体部位抽出処理を行い、更に、前記弱体部位抽出処理において、前記算出された変位が前記目標値より大きければ、該弱体部位候補を弱体部位として認定すると共に、該認定した弱体部位に対し、擬似的に拘束を増やす、或いは板厚を増加させることにより、その剛性を疑似的に上げた上で、再度、前記弱体部位抽出処理を行い、次の弱体部位候補の推定および検証を行うことを特徴とする。
このように本発明では、設計支援装置が、有限要素法による構造解析により、構造物の剛性強化が必要と思われる領域を弱体部位候補として推定し、その推定した弱体部位候補を検証するようにしている。また、検証により弱体部位候補の変位が所定基準より大きければ、その弱体部位候補を弱体部位として認定すると共に、該弱体部位の剛性を疑似的に上げた上で、再度、有限要素法の構造解析により、構造物の弱体部位候補(次の弱体部位候補)の推定および検証を行っている。
すなわち、本発明によれば、設計者自身の経験や知識に頼ることなく、設計支援装置が構造物の弱体部位を抽出するため、構造物の弱体部位を正確に求めることができると共に、設計者の作業負担が軽減される。
また、本発明によれば、認定した弱体部位の剛性を疑似的に上げた上で、再度、有限要素法による構造解析を行うことにより、疑似的に上げた弱体部位以外の領域に弱体部位があるか否かを設計支援装置により検証できるようになる。
また、前記弱体部位抽出処理において、前記算出された変位が前記目標値より小さい値となる弱体部位候補が検証されるまで、前記弱体部位候補を弱体部位として認定すると共に、該認定した弱体部位の剛性を疑似的に上げた上で行う前記弱体部位抽出処理を繰り返すことが望ましい。
このように構成することにより、構造物に複数の弱体部位が存在する場合であっても、それらの弱体部位を漏れなく抽出することができるようになる。これにより、構造設計の精度を高めることができる。
また、前記認定された弱体部位が複数の場合、各弱体部位に、それぞれの変位量と、それを取り巻く組み付けにより発生する応力と、歪みの少なくともいずれかに応じた重み付けを行い、重み付けされた前記全ての弱体部位を対象とした有限要素法によるトポロジ最適化処理を行い、前記構造物の剛性強化が必要な剛性強化必要部位を特定することが望ましい。
このようにしたのは、従来技術のように、弱体部位毎にトポロジ最適化処理を行い、剛性強化必要部位を求め、その剛性強化必要部位毎に剛性強化対策を行った場合に、過剰品質となる剛性強化対策を行うことがあったためである。
そして、本発明は、認定した弱体部位が複数あっても、それらの弱体部位に対して所定の重み付けをした有限要素法によるトポロジ最適化処理を行うようにしているため(すなわち、複数の弱体部位に対し、一括してトポロジ最適化処理を行っているため)、過剰品質となる剛性強化対策が行われる可能性を軽減することができる。
本発明によれば、構造物の設計を支援する設計支援装置において、構造設計の手間および時間を減少させると共に、精度の高い構造設計を実現させることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
先ず、本実施形態の構造物の設計支援装置の機能構成を図1に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態の設計支援装置の機能ブロック図である。
図示するように、設計支援装置Aは、製品(或いは製品を構成する部品)等の構造物の設計情報等を使ってその製品の剛性などの特性を解析したり、トポロジ(topology)の最適化を行ったりする情報処理装置1と、設計者からの各種要求を受け付ける入力装置2と、情報処理装置1が行った解析結果を出力する出力装置3とを備える。また、情報処理装置1は、LAN(Local Area Network)等のネットワークNWを介して、CAD装置4に接続されている。
情報処理装置1は、構造物に対し、有限要素法による構造解析を行い、構造物の変位を求めて、その変位から当該構造物の弱体部位を予測する。また、情報処理装置1は、前記構造解析により、構造物に弱体部位があれば、さらに、有限要素法によるトポロジ最適化処理を実行し、出力装置3に、その解析結果を出力する。
入力装置2は、キーボードやマウス等により構成され、設計者からの各種要求や解析条件(物性値情報、拘束条件、荷重条件)等を受け付けて情報処理装置1に出力する。
出力装置3は、液晶ディスプレイ等により構成され、情報処理装置1が出力する画像情報を表示する。
また、CAD装置4には、構造解析を行う対象の構造物のCAD情報(例えば、自動車の構成部品の設計情報)が格納されている。そして、CAD装置4は、情報処理装置1からの要求にしたがい、情報処理装置1にCAD情報を出力する。
以下、設計支援装置Aの具体的な構成を説明する。なお、本実施形態のCAD装置4は、公知の技術により実現されるため、詳細な説明は省略する。
情報処理装置1は、制御部10、データ取得部20、構造解析部30、および出力部40を有する。
制御部10は、情報処理装置1の全体の動作を制御する。また、制御部10は、入力装置2を介して、設計者が入力する各種要求を受け付ける。そして、制御部10は、上記の受け付けた要求にしたがい、データ取得部20、構造解析部30、および出力部40を制御して、設計者からの要求に応じた処理を行う。
データ取得部20は、ネットワークNWに接続されている外部装置(例えば、CAD装置4)と通信を行い、外部装置との間でデータの授受を行う。例えば、データ取得部20は、ネットワークNWを介して、CAD装置4にアクセスし、CAD装置4に格納されている設計情報(CAD情報)を取得する。
また、データ取得部20は、入力装置2を介して、設計者が入力する、解析対象の構造物の「解析条件(物性値情報、拘束条件、荷重条件)」の入力を受け付ける。
構造解析部30は、CAD装置4から取得した構造物の設計情報、および「解析条件」を用いて、後述する図3の各処理ステップを実行し、構造物の弱体部位を予測したり、構造物の中から剛性の強化が必要部位(剛性強化必要部位)を求めたりする。
出力部40は、構造解析部30から解析結果を取得し、その解析結果か示す画像情報(図4、5、6参照)を生成し、出力装置3に、その生成した画像情報を出力する。
つぎに、本実施形態の情報処理装置1のハードウェア構成を説明する。
図2は、本実施形態の情報処理装置のハードウェア構成図である。
図示するように、情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)50と、RAM(Random Access Memory)等により構成された主記憶装置51と、I/Oインタフェース52と、ハードディスク等により構成された補助記憶装置53と、ネットワークNWに接続されている装置との間で行うデータ授受の制御を行うネットワークインタフェース54とを有する。
また、補助記憶装置53には、上述した各部(制御部10、データ取得部20、構造解析部30、および出力部40)の機能を実現するためのプログラム(設計支援プログラム55)が格納されている。
そして、情報処理装置1の各部(制御部10、データ取得部20、構造解析部30、および出力部40)の機能は、CPU50が補助記憶装置53に格納されている前記プログラムを主記憶装置51にロードして実行することにより実現される。
続いて、本実施形態の設計支援装置Aが行う構造物の設計支援処理について図3に基づいて説明する。
図3は、本発明の実施形態の設計支援装置が行う構造物の設計支援処理の手順を示したフローチャートである。
なお、図示する処理ステップに先立って、設計支援装置Aを構成する情報処理装置1には、設計対象の構造物の設計情報と、当該構造物の解析条件(物性値情報、拘束条件、荷重条件)とが入力されているものとする。すなわち、情報処理装置1のメモリ(主記憶装置51又は補助記憶装置53)には、前記構造物の設計情報および解析条件が記憶されている。
また、以下のフローチャートでは、設計対象の構造物が、自動車のインストルメントパネル(インパネ)である場合を例にする。また、以下の処理ステップの中で用いられる有限要素法は、周知のものと同様である。
先ず、情報処理装置1の構造解析部30は、前記メモリに記憶されている「構造物(インパネ)の設計情報」および「構造物(インパネ)の解析条件」を用いて、インパネに所定の等分布荷重を加えた有限要素法による構造解析(等分布荷重による剛性CAE)を実施し、インパネの変位を求め、その変位から「インパネの弱体部位(所定の剛性基準を満たさない部位)の候補(弱体部位候補)」を推定する(S10)。
具体的には、構造解析部30は、略板状の形成されたインパネ一方面(例えば、車室側に配置される意匠面)に対し、インパネの意匠面に略直交する方向の等分布荷重(x1(N))を加えた有限要素法による構造解析を実施し、インパネ100の意匠面の変位(Z(mm))を求める。そして、構造解析部30は、前記求めたインパネの変位のうち、その変位量が一番大きい領域(部位)を特定し、その特定した領域(部位)をインパネの弱体部位候補として推定する。すなわち、本ステップ(S10)では、1カ所の弱体部位候補が推定される。
なお、S10において、構造解析部30は、出力部40に、上記の解析結果(インパネの変位を示す情報、および弱体部位候補を示す情報)を送り、出力部40に解析結果を表示させるようにしてもよい。
つぎに、構造解析部30は、前記メモリに記憶されている「構造物(インパネ)の設計情報」および「構造物(インパネ)の解析条件」を用いて、S10で推定した弱体部位候補に対して、所定の集中荷重(x2(N))を加えた有限要素法による構造解析(集中荷重による剛性CAE)を実施し、インパネの変位(Z(mm))を求める(S15)。
また、構造解析部30は、前記求めた変位(Z(mm))が所定の目標値を達成しているか否かを判定する(S20)。
例えば、目標値が「a(mm)以内」と定められている場合、構造解析部30は、本ステップで求めた変位(Z(mm))のうちの最大変位(Zmax(mm))が目標値(a(mm))以内であるか否かを判定すればよい。
そして、S20において、構造解析部30は、前記最大変位(Zmax)が目標値(a(mm))より大きければ(Zmax>a)、S25に進む。すなわち、構造解析部30は、前記求めた変位(Z(mm))が所定の目標値に達成していなければ、S10で予測した弱体部位候補に剛性強化の必要があると判断して、S25に進む。
一方、構造解析部30は、前記求めたインパネの変位のうちの最大変位(zmax)が目標値(a(mm))以内であれば(Zmax≦a)、S40に進む。すなわち、構造解析部30は、前記求めた変位(Z(mm))が所定の目標値に達成していれば、S10で推定した弱体部位候補に剛性強化の必要がないと判断し、S40に進む。
なお、構造解析部30は、S15において、出力部40に、本ステップでの解析結果(インパネ100の変位を示す情報)を送り、出力部40に解析結果の表示処理を実行させるようにしてもよい。
或いは、構造解析部30は、S20において、前記求めた変位(Z(mm))が目標値(a(mm))より大きいと判定した場合に、出力部40に、本ステップでの解析結果(インパネ100の変位を示す情報)を送り、出力部40に解析結果の表示処理を実行させ、設計者にインパネの弱体部位を提示するようにしてもよい。
具体的には、S15(又はS20)において、出力部40は、構造解析部30からの解析結果を受け付けると、その解析結果を用いて、インパネの変位を示した画像情報(弱体部位検証情報)を生成し、出力装置3にその「弱体部位検証情報」を表示する。
ここで、出力部40が表示する弱体部位検証情報の一例を図4に示す。
なお、図4における符号100は、自動車のインパネを示している。また、図示する弱体部位検証情報は、インパネ100の意匠面が、変位量に応じて色分された状態で示されている。なお、この弱体部位検証情報では、インパネの意匠面のうち、符号101で示す領域が、変位量が目標値よりも大きい弱体部位であることを示している。
図3に戻り、S20において求めたインパネの変位が所定の目標値より大きかった場合に進むS25以降の処理について説明する。
S25では、構造解析部30は、S10で推定した弱体部位候補を弱体部位と認定すると共に、前記メモリの所定領域に、当該認定した弱体部位を示す情報を格納(登録)し、S30に進む。
なお、弱体部位を示す情報は、少なくとも、S10で推定した弱体部位候補の位置情報と、S20で求めた変位(弱体部位候補に集中荷重を加えた剛性CAEを行い求めた変位)とが含まれる。
S30では、構造解析部30は、S25で認定した弱体部位の剛性を疑似的にアップさせ(例えば、弱体部位に対する拘束を増やしたり、弱体部位の板厚を増加させたりする)、再び、S10の処理に戻り、インパネの弱体部位候補の推定を行う。すなわち、S30に続いて行われるS10では、S25で認定した弱体部位の剛性を強くした上で、等分布荷重による剛性CAEが行われる。
このように、S30において、疑似的に弱体部位の剛性アップをさせてから、再び、S10に戻り、インパネの弱体部位候補を推定することにより、剛性アップさせた弱体部位以外の領域が、新たな弱体部位候補として推定されるようになる。
例えば、S30において図4に示したインパネ100の弱体部位101の剛性をアップさせてからS10に戻り、インパネの弱体部位候補を推定したとする。この場合、例えば、図5に示すように弱体部位101以外の領域である、符号102で示す領域が弱体部位候補として推定される。
そして、本実施形態では、S20において、弱体部位候補に集中荷重を加えた有限要素法により求めたインパネの変位が所定の目標値を満たすまで、S10〜S30の処理が繰り返されるため、インパネに弱体部位が複数ある場合であっても、その複数の弱体部位を正確に漏れなく抽出することができる。
次に、S20において求めたインパネの変位が前記目標値以内であった場合に進むS40の処理を説明する。
S40では、構造解析部40は、S25において認定した弱体部位に対して、所定の重み付けをした有限要素法によるトポロジ最適化処理を行い、インパネの中から剛性強化が必要な部位(剛性強化必要部位)を求める。
具体的には、構造解析部40は、前記メモリの所定領域に格納しておいた弱体部位を示す情報(S25においてメモリに登録した情報)と、前記入力データ(インパネの設計情報、インパネの解析条件)とを用いて、S25で認定した全ての弱体部位を対象にした有限要素法によるトポロジ最適化処理を行う。
すなわち、本実施形態は、複数の弱体部位がある場合に、弱体部位毎にトポロジ最適化処理を行うのではなく(例えば、4個の弱体部位があれば、1箇所ずつ計4回のトポロジ最適化処理を行うのではなく)、全ての弱体部位を一括したトポロジ最適化処理を行って、剛性強化必要部位を求める。
なお、このトポロジ最適化処理は、各弱体部位に、それぞれの変位量(S15で求めた変位量)、それを取り巻く組付けなどから発生する応力、ひずみなどに応じた重み付けを行った上で行われる。
このように、全ての弱体部位を対象にしたトポロジ最適化処理を行うようにしたのは、弱体部位毎にトポロジ最適化処理を行った場合に生じる弊害を解消させるためである。
以下、弱体部位毎にトポロジ最適化処理を行った場合に生じる弊害について説明する。
具体的には、例えば、上述した図8(a)、(b)に示すように、弱体部位毎にトポロジ最適化処理を行い、その解析結果を参照し、リブの追加や板厚増加等の強化対策を行ったとする。この場合に、図8(a)、(b)に示すように、弱体部位毎に求めた剛性強化必要部位(203、204)が重なることがある。そして、それぞれの弱体部位毎に強化対策を行うと、過剰品質となる剛性強化対策を行うことがあった。
そのため、本実施形態では、各弱体部位について、それぞれの変位量(S15で求めた変位量)、それを取り巻く組付けなどから発生する応力、ひずみなどに応じた重み付けを行った上で、全ての弱体部位を対象にしたトポロジ最適化処理を行うことにより、過剰品質となる剛性強化が行われることを防止するようにした。
そして、S40のトポロジ最適化処理を終えると、構造解析部30は、出力部40を介して、出力装置3にトポロジ最適化処理により得られた解析結果を表示して処理を終了する(S45)。
具体的には、構造解析部30は、出力部40に、トポロジ最適化処理により得られた解析結果を送信する。出力部40は、構造解析部30からの前記解析結果を受け付けると、受け付けた解析結果を用いて、インパネの剛性強化必要部位を示した画像情報(剛性強化部位指定情報)を生成する。そして、出力部40は、出力装置3に、生成した剛性強化部位指定情報を表示する。
例えば、出力部40は、図6に示す剛性強化部位指定情報を表示する。
図示する剛性強化部位指定情報は、インパネ100の剛性強化が必要な部分が識別可能に構成されている。なお、図示する例では、符号103で示す部分(斜線で示した領域)が、剛性強化が必要な部位として、他の部分(剛性強化が不要な部位)と識別可能に示されている。
このように、出力部4は、出力装置3に剛性強化部位指定情報を表示することにより、設計者に対して、構造物の剛性強化対策を取るように促すことができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、設計支援装置が、構造物に等分布荷重を加えた有限要素法による構造解析を実施し、その構造物の変位を求めて、その変位から該構造物の弱体部位候補を推定するようにしている。また、前記の推定した弱体部位候補に対して所定の集中荷重を加えた有限要素法による構造解析行い、所定基準を満たさなければ、剛性強化対策が必要な弱体部位として認定するようにしている。すなわち、本実施形態では、従来のように、設計者が弱体部位を予測する必要がないため、正確に弱体部位を求めることができる。
また、本実施形態によれば、設計段階の構造物に剛性強化対策が必要な弱体部位が複数存在する場合であっても、上述した図3のS10〜S30の処理を繰り返すことにより、その複数の弱体部位を正確に抽出することができる。
また、構造支援装置AがS10〜S30を行い、弱体部位候補の推定と、その弱体部位候補の検証を行うように構成されているため、上述した従来技術に比べて、効率的に弱体部位の抽出を行える。
また、本実施形態によれば、上述したように、複数の弱体部位を正確に抽出することができる。そのため、図3のS40の処理を行うことにより、構造物に複数の弱体部位がある場合において、過剰に剛性対策が施されることを防止することができる。この結果、本実施形態によれば、構造設計の精度を高めることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなくその要旨の範囲内において、種々の変形が可能である。
上記実施形態の設計支援装置は、1台の情報処理装置1が構造設計支援のための各種処理を行うようにしているが、特にこれに限定されるものではない。複数のコンピュータにより構成されたシステムにより、上述した各部(制御部10、データ取得部20、構造解析部30、出力部40)の機能を実現させるようにしてもよい。
例えば、構構造解析部30の機能を実行(担当)するコンピュータと、画像情報を生成する出力部40の機能を実行(担当)するコンピュータとを分けるようにしてもよい。
本発明の実施形態の設計支援装置の機能ブロック図である。 本発明の実施形態の設計支援装置を構成する情報処理装置のハードウェア構成図である。 本発明の実施形態の設計支援装置が行う構造物の設計支援処理の手順を示したフローチャートである。 本発明の実施形態の設計支援装置が出力するインパネの弱体部位検証情報の一例を示した図である。 本発明の実施形態の設計支援装置が出力するインパネの弱体部位検証情報の一例を示した図である。 本発明の実施形態の設計支援装置が出力するインパネの剛性強化必要部位を示した画像情報の一例である。 従来技術による、構造物の弱体部位に集中荷重を加えた有限要素法による構造解析により得られた構造物の変位を示す情報を例示したものである。 従来技術の有限要素法によるトポロジ最適化処理で得られた解析結果を例示した図である。
符号の説明
A…設計支援装置
1…情報処理装置
2…入力装置
3…出力装置
4…CAD装置
10…制御部
20…データ取得部
30…構造解析部
40…出力部
50…CPU
51…主記憶装置
52…I/Oインタフェース
53…補助記憶装置
54…NWインタフェース
55…設計支援プログラム
100…インストルメントパネル

Claims (3)

  1. 演算処理を行うCPUと、少なくとも構造物の設計情報、物性値情報、拘束条件、および荷重条件を含む入力データと設計支援プログラムとが格納されたメモリとが具備され、前記CPUが前記メモリに格納された設計支援プログラムを実行することにより、前記入力データを用いた有限要素法による構造解析を行い、構造物の構造設計を支援する設計支援装置であって、
    前記CPUが、前記入力データを用いて前記設計支援プログラムを実行することにより、
    前記構造物に等分布荷重を加えた有限要素法による構造解析を演算処理により実施して、該構造物の変位を算出し、
    更に前記算出した変位のうち、変位量が一番大きい領域を、その変位量が所定の目標値より大きい場合に該構造物の弱体部位となされる弱体部位候補として推定し、
    次に、前記推定した弱体部位に所定の集中荷重を加えた有限要素法を用いた構造解析を演算処理により実施して前記構造物の変位を算出し、前記算出した変位が前記目標値より大きいか否かにより弱体部位候補を検証する弱体部位抽出処理を行い
    更に、前記弱体部位抽出処理において、前記算出された変位が前記目標値より大きければ、該弱体部位候補を弱体部位として認定すると共に、該認定した弱体部位に対し、擬似的に拘束を増やす、或いは板厚を増加させることにより、その剛性を疑似的に上げた上で、再度、前記弱体部位抽出処理を行い、次の弱体部位候補の推定および検証を行うことを特徴とする設計支援装置。
  2. 前記弱体部位抽出処理において、前記算出された変位が前記目標値より小さい値となる弱体部位候補が検証されるまで、前記弱体部位候補を弱体部位として認定すると共に、該認定した弱体部位の剛性を疑似的に上げた上で行う前記弱体部位抽出処理を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の設計支援装置。
  3. 前記認定された弱体部位が複数の場合、各弱体部位に、それぞれの変位量と、それを取り巻く組み付けにより発生する応力と、歪みの少なくともいずれかに応じた重み付けを行い、
    重み付けされた前記全ての弱体部位を対象とした有限要素法によるトポロジ最適化処理を行い、前記構造物の剛性強化が必要な剛性強化必要部位を特定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された設計支援装置。
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